JP6641756B2 - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池には、正極と負極とをセパレータを介して積層した積層型のものがある(例えば、特許文献1参照)。リチウムイオン二次電池は、小型でも容量が大きいので、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ等の広い分野で利用されている。特に、車両等で用いられる比較的大型のリチウムイオン二次電池の場合、一般に、積層型の電極組立体が金属製の角型のケースに収容されている。
リチウムイオン二次電池は、電極の活物質の活性化等のために、製造過程で初期充放電が行われる。この初期充放電中に、電極組立体の正極と負極とを互いに近接させるために、ケースに対して積層方向に荷重が付加される。また、リチウムイオン二次電池は、電池性能(例えば、サイクル特性、容量)を向上させるために、負極の活物質としてシリコン系材料を用いることが検討されている。このシリコン系材料の負極の場合、他の材料の電極に比べて充放電時に膨張/収縮し、膨張量が大きい。この膨張を考慮して、積層方向において電極組立体とケースの内側面との間に、所定の間隔を設けることが好ましい。
特許第5182477号公報
しかし、付加する荷重が小さいと、初期充放電中に荷重が電極組立体の電極に均等に掛からない場合がある。この場合、電極組立体の正極と負極との間が広がるため、リチウム析出が発生したり、電極しわが発生したりする虞がある。
そこで、本発明においては、初期充放電時におけるリチウム析出及び電極しわの発生を抑制できるリチウムイオン二次電池の製造方法を提案することを課題とする。
本発明の一側面に係るリチウムイオン二次電池の製造方法は、正極と負極とをセパレータを介して積層してなる電極組立体と、電極組立体を収容するケースとを備えるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、リチウムイオン二次電池の初期充放電を行う初期充放電工程と、初期充放電工程中に電極組立体の積層方向に沿った荷重をケースに対して付加する荷重付加工程と、を含み、負極には、金属箔上にシリコン系材料の活物質を含む活物質層が形成され、荷重付加工程では、ケースで受ける面圧の最大値が2MPa以上になるように荷重を付加する。
この製造方法では、荷重付加工程で付加した荷重によってケースで受ける面圧の最大値を2MPa以上とすることにより、初期充放電工程中に荷重がケース内の電極組立体に適切に掛かり、電極組立体の正極と負極とが互いに近接する。そのため、この製造方法では、初期充放電時におけるリチウム析出及び電極しわの発生を抑制できる。
一実施形態の製造方法の荷重付加工程では、ケースで受ける面圧の最大値が4.5MPa以下になるように荷重を付加するとよい。この製造方法では、ケースで受ける面圧の最大値を4.5MPa以下とすることにより、初期充放電工程中に電極組立体に対して過剰な荷重が掛かるのを抑制できる。
一実施形態の製造方法の初期充放電工程では、充電中にリチウムイオン二次電池の電圧を複数段階に分けて上昇させてもよい。また、この初期充放電工程では、充電中に上昇させた最大電圧の状態を所定時間維持するようにしてもよい。これにより、リチウムイオン二次電池の電池性能を向上させることができる。
一実施形態の製造方法の初期充放電工程では、充電中にリチウムイオン二次電池の周囲温度を複数の温度に変化させてもよい。これにより、リチウムイオン二次電池の実際の使用環境等を考慮して初期充放電を行うことができる。
一実施形態の製造方法では、負極の活物質層のシリコンの含有率は、30質量%以上である。これにより、リチウムイオン二次電池の電池性能が向上する。
一実施形態の製造方法では、負極の活物質層のシリコンの含有率は、80質量%以下である。これにより、リチウムイオン二次電池の電池性能が向上する。
本発明によれば、初期充放電時におけるリチウム析出及び電極しわの発生を抑制できる。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を模式的に示す断面図である。 図1におけるII-II線に沿った断面図である。 初期充放電工程での充電条件の一例であり、(a)が充電条件を示す表であり、(b)が充電条件を示すグラフである。 荷重付加工程での荷重付加方法を模式的に示す図であり、(a)が平面図であり、(b)が側面図である。 面圧の最大値を変えた実施例と比較例を示す表である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造方法を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[リチウムイオン二次電池]
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、角型の非水電解質二次電池であり、複数の正極と負極とをセパレータを介して積層した積層型の電極組立体が角型のケースに収容されている。一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、サイズ(容量)が比較的大型のリチウムイオン二次電池であり、例えば、産業車両、電気自動車、プラグインハイブリッドカー等の車両に搭載されるバッテリとして用いられる。一実施形態では、電極組立体がケースに収容された後に、リチウムイオン二次電池の初期充放電を行う初期充放電工程と、初期充放電中にリチウムイオン二次電池(ケース)に対して荷重を付加する荷重付加工程とを含むリチウムイオン二次電池の製造方法に適用する。これらの工程以外のリチウムイオン二次電池の製造工程については、従来の製造工程が適用される。
リチウムイオン二次電池1の製造方法について説明する前に、図1及び図2を参照して、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池1について説明する。図1は、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を模式的に示す断面図である。図2は、図1におけるII-II線に沿った断面図である。
リチウムイオン二次電池1は、ケース2及びそのケース2内に収容される電極組立体3を備えている。リチウムイオン二次電池1は、ケース2内に電解液が注入されて電解液が電極組立体3の内部に含浸されている。電解液は、例えば、有機溶媒系又は非水系の電解液である。
[ケース]
ケース2は、角型であり、例えば、略直方体形状である。ケース2は、金属製の缶であり、例えば、アルミニウム製、アルミニウム合金製の缶である。ケース2は、有底の角筒状の本体2aと、本体2aの開口部を覆う蓋2bとからなる。本体2aは、略矩形平板状の底板と、底板の各端部から鉛直方向にそれぞれ延びる略矩形平板状の4つの側板とから構成される。蓋2bは、略矩形平板状である。蓋2bは、本体2aの開口部と略同じ形状である。蓋2bは、本体2aの開口部に配置され、本体2aに溶接等で接合される。ケース2は、この本体2aと蓋2bによって内部に略直方体形状の密閉空間が形成される。
ケース2の蓋2bには、正極端子5と負極端子6とが互いに離間して配置されている。正極端子5は、絶縁リング7を介して蓋2bに固定されている。負極端子6は、絶縁リング8を介して蓋2bに固定されている。
[電極組立体]
電極組立体3は、複数の正極11と、複数の負極12と、正極11と負極12との間に配置された複数のセパレータ13とを備えている。電極組立体3は、正極11と負極12とがセパレータ13を介して交互に積層されている。
[正極]
正極11は、金属箔11aと、金属箔11aの少なくとも一面(図2に示す例では両面)に形成された正極活物質層11bとからなる。正極11は、金属箔11aの端部に正極活物質層11bが形成されていないタブ11cを有する。タブ11cは、正極11の端部に設けられており、導電部材14を介して正極端子5に電気的に接続されている。
金属箔11aは、例えば、アルミニウム箔である。正極活物質層11bは、金属箔11aに正極用の電極ペーストが塗工されて形成される。この電極ペーストは、正極活物質、バインダ、溶剤等を含んでいる。正極活物質は、例えば、複合酸化物、硫黄系材料からなる。複合酸化物は、マンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとを含む。バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリノレ基含有樹脂である。溶剤は、例えば、NMP(N−メチルピロリドン)、メタノール、メチルイソブチルケトン等の有機溶剤、水である。また、電極ペーストは、カーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)等の導電助剤を含んでいてもよい。また、電極ペーストは、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を含んでいてもよい。
[負極]
負極12は、金属箔12aと、金属箔12aの少なくとも一面(図2に示す例では両面)に形成された負極活物質層12bとからなる。負極12は、金属箔12aの端部に負極活物質層12bが形成されていないタブ12cを有する。タブ12cは、負極12の端部に設けられており、導電部材15を介して負極端子6に電気的に接続されている。
金属箔12aは、例えば、銅箔である。負極活物質層12bは、金属箔12aに負極用の電極ペーストが塗工されて形成される。この電極ペーストは、負極活物質、バインダ、溶剤等を含んでいる。負極活物質は、Si、SiO(0.5≦x≦1.5)等を含むシリコン系材料(ケイ素系材料)からなる。シリコン系材料は、例えば、ナノシリコン材料である。ナノシリコン材料は、フッ素とナノサイズのシリコン結晶子とを含んでいる。ナノシリコン材料は、シリコン結晶子に加えて、非晶質シリコン、酸化ケイ素(SiO)、又はケイ素化合物の少なくとも一種を更に含む複合体粒子でもよい。ナノシリコン材料は、例えば、層状シリコン化合物(例えば、シリコンナノシート)を熱処理することで得られる。バインダ、溶剤は、例えば、上述した正極11と同様のものが用いられる。負極12の負極活物質層12bにも、上述した正極11と同様に導電助剤、増粘剤が含まれていてもよい。
負極活物質層12bのシリコン(ケイ素)の含有率は、30質量%以上であり、50質量%以上が好ましい。また、負極活物質層12bのシリコンの含有率は、80質量%以下が好ましい。シリコンの含有率が80質量%よりも大きいと、負極活物質層12bの導電性及び結着力が不足するおそれがある。負極12にシリコン系材料の活物質を用いることにより、他の材料の活物質を用いるよりも、リチウムイオン二次電池1を高容量とすることができる。特に、ナノシリコン材料のシリコン結晶子が微細なほど、リチウムイオン二次電池1のサイクル特性が向上する。但し、シリコン系材料の活物質を用いた負極12は、他の材料の活物質を用いた電極と比べて充放電時に活物質が膨張/収縮し、負極活物質層12bの膨張量が大きい。この膨張量は、リチウムイオン二次電池1の満充電状態のときに最も大きくなる。
[セパレータ]
セパレータ13は、正極11と負極12とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させる。セパレータ13は、例えば、図2に示すように、袋状に形成され、内部に正極11を収容するセパレータ13aと、袋状に形成されて内部に正極11、負極12、及びセパレータ13aを収容するセパレータ13bと、を有している。セパレータ13は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布で形成されている。なお、セパレータ13は、袋状に限られず、シート状のものを用いてもよい。
[シリコンシート]
ここで、上述したシリコンシートについて更に説明する。本発明の一態様の非水系二次電池用負極は、集電体(金属箔12a)と、集電体に結着された負極活物質層(12b)とを含んでいる。集電体は、放電或いは充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体のことである。集電体は箔、板等の形状を採用することができるが、目的に応じた形状であれば特に限定されない。集電体としては、リチウムイオン二次電池などに一般に用いられるものを使用すれば良い。例えば、アルミニウム箔、アルミニウムメッシュ、パンチングアルミニウムシート、アルミニウムエキスパンドシート、ステンレススチール箔、ステンレススチールメッシュ、パンチングステンレススチールシート、ステンレススチールエキスパンドシート、発泡ニッケル、ニッケル不織布、銅箔、銅メッシュ、パンチング銅シート、銅エキスパンドシート、チタン箔、チタンメッシュ、カーボン不織布、カーボン織布等が例示される。
負極活物質層は、ナノシリコン、すなわちナノサイズのシリコン粒子を含む第一活物質と、黒鉛を含む第二活物質と、を含む。ナノシリコンは、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造をなし組成式(SiH)nで示される層状ポリシランを非酸化性雰囲気で熱処理することで製造されたものであり、例えば非特許文献1(Physical Review B(1993),vol48,8172-8189)に記載された層状ポリシランを非酸化性雰囲気で熱処理して得られるものである。
第一活物質は、前記ナノシリコンを含む凝集粒子(以下、「ナノシリコン凝集粒子」ということがある。)を含む。なお、本明細書において、「ナノシリコンを含む凝集粒子」とは、シリコン結晶子同士が互いに付着して構成される粒子、及び、複数のシリコン結晶子が非晶質シリコンや不純物を含む他の材料に付着して構成される粒子、並びに、これらの粒子が互いに付着した粒子であって、粒径がナノメートルオーダーのシリコン粒子が層状に配列してなる板状シリコン体が厚み方向に複数枚積層された構造を有している。この構造は、SEM観察により確認される。板状シリコン体は厚みが約10nm〜約100nmに観察される。強度やリチウムイオンなどの挿入・離脱の容易性などの観点から、板状シリコン体の厚みは20nm〜90nmの範囲が好ましく、20nm〜50nmの範囲がより好ましい。また、板状シリコン体の長軸方向の長さは、0.1μm〜50μmであった。なお、板状シリコン体は、アスペクト比(長軸方向の長さ/厚み)が2〜1000であるのが好ましいと考えられる。
TEM(Transmission Electron Microscopy)観察結果によれば、板状シリコン体には濃淡のある縞状構造が認められる。ナノサイズのシリコン粒子は長軸方向長さが5nm〜20nm、短軸方向長さが2nm〜5nm、であり、長軸と短軸の比が2.5〜10の扁平形状である。また空隙及び/又はシリコン酸化物の厚みは2nm〜10nmであり、ナノサイズのシリコン粒子の厚みに対する空隙及び/又はシリコン酸化物の厚みの比は0.5〜2となる。
ナノシリコン凝集粒子は、上記非特許文献1に記載された層状ポリシランを非酸化性雰囲気下にて100℃を超える温度で熱処理することにより製造することができる。この層状ポリシランは、二ケイ化カルシウムと酸とを反応させることにより得ることができる。例えば、非特許文献1に記載されたように、塩化水素と、二ケイ化カルシウムと、を反応させることで製造することができる。二ケイ化カルシウムは、ダイヤモンド型のSiの(111)面の間にCa原子層が挿入された層状結晶をなし、酸との反応でカルシウムが引き抜かれることによって層状ポリシランが得られる。
ナノシリコン凝集粒子におけるナノシリコンのSi結晶子サイズは、蓄電装置の電極活物質として用いるには、0.5nm〜300nmが好ましく、1nm〜100nm、1nm〜50nm、更には1nm〜10nmの範囲が特に好ましい。Si結晶子サイズは、X線回折測定結果のSi(111)面の回折ピークの半値幅からシェラーの式より算出される。
<Si/C複合体>
Si/C複合体は、炭素層がナノシリコン凝集粒子の少なくとも一部を覆ったものであり、その一態様として、炭素層が少なくとも板状シリコン体の表面を覆ったものともいえる。炭素層は、板状シリコン体のナノサイズのシリコン粒子の表面あるいは板状シリコン体の層の間に形成されていてもよいし、ナノサイズのシリコン粒子の間に形成されていてもよい。炭素層は、板状シリコン体の全表面を覆っていることが好ましい。
ナノシリコン凝集粒子を覆って複合化された炭素層の厚さは、1〜100nmの範囲であることが好ましく、10〜50nmの範囲であることがより好ましく、5〜50nmの範囲であることがさらに好ましい。炭素層の厚さが薄すぎると、Si/C複合体のBET比表面積が大きくなりすぎ、SEIの生成によって二次電池のサイクル特性が低下する場合があり、また、電池抵抗が上昇して初期効率が低下する場合がある。炭素層が厚すぎると、二次電池の初期容量が低下するとともに、Liの挿入・離脱が困難となって充放電が困難となる場合がある。また、Si/C複合体は、炭素層のマトリクスにナノシリコン凝集粒子が分散した構造であるものも好ましい。
なお、炭素層の厚さが1nm〜100nmの範囲であれば、Si/C複合体に含まれる炭素は1〜30質量%となり、該複合体のBET比表面積は1m/g〜10m/gの範囲となる。また該複合体は、導電率の逆数である抵抗率が100Ω・cm以下となる。
炭素層は、平均厚さ(R)及び厚さの標準偏差(σ)が以下の関係式(1)を満たすものが好ましい。
関係式(1):R/3σ>1
炭素層の厚さの標準偏差(σ)が大きくなりすぎると負極活物質の特性が不安定となり、蓄電装置のサイクル特性が悪くなる場合がある。また炭素層の平均厚さ(R)が小さいほど、炭素層厚さのばらつきによる負極活物質特性の不安定さが顕著になる。よって、炭素層は関係式(1)を満たすものが好ましい。
炭素層の厚さが1nm〜100nmの範囲であって、かつ、炭素層の平均厚さ(R)及び厚さの標準偏差(σ)が、関係式(1):R/3σ>1を満たすように、炭素層が薄く均一に形成したSi/C複合体が特に好ましい。当該Si/C複合体を負極活物質として用いた非水系二次電池においては、抵抗上昇を抑制しつつ導電性を向上させることや、負極活物質の比表面積を小さくできることによるSEIの生成抑制などが可能となる。さらに上記炭素層によって、非水系二次電池として充放電時における膨張・収縮の繰り返しによるSi/C複合体の微粉化が抑制される。
炭素層は、その炭素のラマンスペクトルにおいて、G-bandとD-bandの比であるG/D比が0.5以上であることが望ましい。炭素のラマンスペクトルにおいては、G-bandのピークが1590cm―1付近、D-bandのピークが1350cm―1付近に観察される。そして、G-bandはグラファイトに由来し、D-bandは欠陥に由来する。したがってG-bandとD-bandの比であるG/D比が高いほど炭素の結晶性が高いことを意味する。
本発明者らの実験によれば、G/D比が低い炭素層のSi/C複合体を具備する蓄電装置の初期効率が低下することが明らかとなった。すなわち、Si/C複合体における炭素層の炭素は、ラマンスペクトルにおいてG-bandとD-bandの比であるG/D比が0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。このようなSi/C複合体を負極活物質に用いることで、蓄電装置における不可逆容量が低減され初期効率が向上する。
Si/C複合体におけるケイ素と炭素との組成は、炭素が1〜40質量%の範囲であることが好ましく、1〜30質量%の範囲であることがより好ましく、3〜7質量%の範囲が特に好ましい。炭素が40質量%より多くなると蓄電装置の負極に用いた場合に初期容量が低くなって実用的でない場合がある。また炭素が1質量%より少ないと、炭素層を複合化した効果が得られない場合がある。
Si/C複合体についてTEM(TransmissionElectron Microscopy)観察を行った。その結果、長径の粒径が約10nmである濃い灰色の粒子が長辺に対して垂直に配向して層状に配列した部分と、薄い灰色の部分とが層状に積層された構造とが観察された。
炭素層は、遷移金属から選ばれる少なくとも一種の金属原子を含んでもよい。この金属原子によって炭素層内における導電性が向上するため、負極におけるリチウムイオンなどの伝導性が改善される。したがって、二次電池の充放電時におけるリチウムなどの吸蔵・放出特性が向上し、Liの移動抵抗を低減できるので、二次電池における初期効率及び初期容量が向上する。
遷移金属から選ばれる金属原子としては、Cu、Fe、Niなどが好ましく、Cuが特に好ましい。また、炭素層における金属原子の含有量は、0.1〜10質量%の範囲が好ましい。金属原子の含有量が0.1質量%未満では添加した効果の発現が困難となる場合があり、10質量%を超えると炭素層の強度が低下し二次電池のサイクル特性が低下してしまう場合がある。
[リチウムイオン二次電池の膨脹特性]
リチウムイオン二次電池1は、充放電時に、ケース2内の電極組立体3の各電極11,12が膨張/収縮する。特に、上述したように、負極12が、正極11に比べて大きく膨張する。図2に示すように、電極組立体3では、複数の負極12が積層されているので、積層方向Dの膨張量が大きくなる。この膨張量は、リチウムイオン二次電池1が満充電状態(最大電圧)のときに最も大きくなる。また、リチウムイオン二次電池1の周囲温度が高くなると、活物質等の材料の熱膨張も加わるので、電極組立体3の膨張量が大きくなる。
ケース2の積層方向Dにおいて対向する内側面2c,2c間の間隔cと電極組立体3の積層方向Dの厚みaとを略同じとした場合、電極組立体3の膨張量が大きくなるほどケース2と電極組立体3との間に大きな応力を生じる。この応力により、リチウムイオン二次電池1の電池寿命等の電池性能が低下する虞がある。
そこで、リチウムイオン二次電池1は、積層方向Dにおいてケース2の内側面2cと電極組立体3との間に所定の大きさの間隔bが設けられている。なお、図2に示す例では間隔が電極組立体3の一方の側面3a側に設けられているが、間隔が電極組立体3の両側にそれぞれ設けられている場合もある。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
リチウムイオン二次電池1の製造方法(特に、初期充放電工程と荷重付加工程)について説明する。リチウムイオン二次電池1を製造する場合、正極11、負極12及びセパレータ13が作製されると、袋状のセパレータ13に正極11を収容する工程、この袋状のセパレータ13に収容された正極11と負極12とを交互に積層する工程、及びそれらの積層体を袋状のセパレータ13bに収容する工程等により、電極組立体3が形成される。さらに、ケース2の本体2aに電極組立体3を挿入する工程、ケース2内に電解液を注入して電解液を電極組立体3の内部に含浸する工程、ケース2を密封する工程により、リチウムイオン二次電池1が形成される。そして、このリチウムイオン二次電池1に対して初期充放電工程及び荷重付加工程が実施される。この他にもエージング工程等が実施される。
[初期充放電工程]
図3を参照して、初期充放電工程について説明する。図3は、初期充放電工程での充電条件の一例であり、(a)が充電条件を示す表であり、(b)が充電条件を示すグラフである。このグラフは、横軸が時間(h)であり、縦軸が電圧(V)である。
初期充放電工程では、リチウムイオン二次電池1に電流を供給することで最大電圧(満充電状態)まで充電し、充電後にリチウムイオン二次電池1を放電させる。この初期充放電は、電極11,12の活物質の活性化、電極11,12に被膜を形成させることで活物質の劣化抑制等を目的として実施される。初期充放電工程での充電方法の一例を、図3を参照して説明する。
この図3に示す例では、リチウムイオン二次電池1の電圧を4.3V(最大電圧)まで3段階で上昇させており、第1段階で3Vまで上昇させ、第2段階で3.9Vまで上昇させ、第3段階で4.3Vまで上昇させる。第1段階では、充電条件が0.1C_CCであり、3Vになるまで0.1の充電電流レート(Cレート)の定電流で充電する。第2段階では、充電条件が0.4C_CCCV_4hであり、3Vから3.9Vになるまで0.4の充電電流レートの定電流で充電し、3.9Vになると定電圧で4時間充電する。第3段階では、充電条件が0.4C_CCCV_2hであり、3.9Vから4.3Vになるまで0.4の充電電流レートの定電流で充電し、4.3Vになると定電圧で2時間充電する。定電圧充電中、供給される電流量は徐々に減少する。リチウムイオン二次電池1は、4.3Vになると満充電状態である。したがって、この例では、リチウムイオン二次電池1の満充電状態(最大電圧)が2時間維持される。この満充電状態での定電圧充電中に、電極組立体3(特に、負極12)の膨張量が最も大きくなる。
図3に示す例では、リチウムイオン二次電池1の周囲温度も変化させている。充電条件の第1段階中及び第2段階中は、大気の標準的な温度(常温)として周囲温度を25℃とする。充電条件の第3段階中は、リチウムイオン二次電池1が車両等で用いられた場合の使用環境温度(特に、使用環境として厳しい高温時の温度)として周囲温度を60℃とする。
なお、上記初期充放電工程における電圧、時間、又は温度等は一例であり、様々に変更してもよい。例えば、リチウムイオン二次電池1の電圧を第1段階で2.8V(使用下限電圧)まで上昇させ、第2段階で3.95Vまで上昇させ、第3段階で4.3V(使用上限電圧)まで上昇させてもよい。また、第1段階では、充電条件0.2C_CCとしてもよく、第2段階では、充電条件を0.8C_CCCV_3hとしてもよく、第3段階では、充電条件を0.8C_CCCV_3hとしてもよい。また、リチウムイオン二次電池1の電圧を2段階又は4段階以上に分けて上昇させてもよく、複数段階に分けることなく定電圧で充電してもよい。また、充電条件の第1段階中の周囲温度を25℃とし、充電条件の第3段階中の周囲温度を25℃としてもよい。また、充電中に周囲温度を変化させることなく、周囲温度を一定としてもよい。
[荷重付加工程]
図4を参照して、荷重付加工程について説明する。図4は、荷重付加工程での荷重付加方法を模式的に示す図であり、(a)が平面図であり、(b)が側面図である。この荷重付加工程は、初期充放電工程と並行して実施される。
荷重付加工程では、初期充放電中にリチウムイオン二次電池1のケース2に対して積層方向Dに沿った荷重を付加する。この荷重付加により、ケース2内の電極組立体3に荷重を掛けることで、電極組立体3内で隣り合う正極11と負極12とが近接し、正極11と負極12との反応が促進される。この荷重付加工程での荷重付加方法の一例を、図4を参照して説明する。
この図4に示す例では、荷重を付加するために、一対のプレート20と、複数のボルト21及びナット22とが用いられる。一対のプレート20は、積層方向Dにおいてリチウムイオン二次電池1(ケース2)を挟み込む部材であり、ケース2の外側面2d(積層方向Dに略直交する外側面)に接した状態で配置される。プレート20は、所定の厚みを有し、略矩形の平板状である。プレート20における外側面2dに接しない部分には、貫通孔が形成されている。この貫通孔には、ボルト21が挿通される。貫通孔の個数は、ボルト21の本数と同数である。ボルト21は、一対のプレート20間よりも長い長尺のボルトである。ボルト21は、図4(b)に示すように、例えば、プレート20の四隅にそれぞれ配置され、本数が4本である。複数のボルト21は、積層方向Dに延在し、一対のプレート20同士を連結する。複数のボルト21は、一対のプレート20の貫通孔にそれぞれ挿通され、プレート20の外側でナット22にそれぞれ螺合されている。この複数のボルト21とナット22との締付力により、一対のプレート20からケース2の外側面2d,2dに荷重が付加される。
この荷重付加工程で付加する荷重(ケース2の外側面2dで受ける荷重)が小さ過ぎると、初期充放電中に電極組立体3が膨張しても(特に、満充電状態で最も膨張しているときでも)、ケース2の外側面2dで受けた荷重がケース2内の電極組立体3の電極11,12に均等に掛からない場合がある。この場合、荷重が適切に掛かっている箇所では膨張が抑えられ、荷重が掛かっていない箇所あるいは荷重が小さくなっている箇所では膨張し易くなり、電極組立体3内において膨張差が生じる。また、電極組立体3内において正極11と負極12との反応にバラツキが生じ、充電時に電極組立体3内の一部に電流が集中する。また、電極組立体3の正極11と負極12との間の間隔が広がるので、正極11と負極12間の電気抵抗が大きくなり、充電電流が流れると正極11と負極12との間の電圧が大きくなる。これらが要因となり、電極組立体3の電極11,12にリチウム析出や電極しわが発生する虞がある。
一方、荷重付加工程で付加する荷重が大き過ぎると、ケース2内の電極組立体3に過剰な荷重が掛かる虞がある。特に、電極組立体3が満充電状態で最も膨張しているときに、過剰な荷重が掛かる虞がある。過剰な荷重が掛かると、電極組立体3の正極11と負極12間の電気抵抗が大きくなる。また、電極組立体3のセパレータ13の孔が押し潰されることで、リチウムイオンがセパレータ13を通過できない虞がある。
そこで、荷重付加工程では、ケース2で受ける面圧の最大値が2MPa以上かつ4.5MPa以下になるように荷重を付加する。ケース2で受ける面圧が最大値となるのは、ケース2内の電極組立体3が最も膨張しているときである。初期充放電中に電極組立体3が最も膨張するのは、満充電状態のときである。したがって、初期充電中、リチウムイオン二次電池1の充電量が増加(電圧が上昇)するにつれてケース2で受ける面圧が大きくなり、満充電状態(最大電圧)のときにケース2で受ける面圧が最大値となる。なお、面圧(MPa(=N/mm))は、単位面積当たりの荷重(N)である。したがって、面圧が同じ値でも、ケース2の外側面2dの面積が大きくなるほど荷重が大きい。
このケース2で受ける面圧の最大値の調整方法の一例を説明する。ケース2で受ける面圧は、ケース2の内側面2cと電極組立体3との間に設けられる間隔bの大きさに応じて変わり、間隔bが小さいほど大きくなる。そこで、リチウムイオン二次電池1の間隔bを所定の大きさに設定することで、ケース2で受ける面圧の最大値を調整する。間隔bは、例えば、0.数mmである。
間隔bの設定方法の一例を説明する。リチウムイオン二次電池1の設計段階で、間隔bの大きさを変えたリチウムイオン二次電池を複数作製する。そして、この各間隔bのリチウムイオン二次電池毎に、初期充放電を実施し、初期充放電中に図4に示す方法で荷重を付加する。この際、各間隔bのリチウムイオン二次電池毎に満充電状態(最大電圧)のときに面圧をそれぞれ計測し、その計測された各面圧のうち2MPa以上かつ4.5MPa以下になる場合の間隔bを取得する。
図4に示す方法で荷重を付加しているときの面圧の計測方法の一例を説明する。上述したうように、4本のボルト21とナット22との締付力により、一対のプレート20からケース2の外側面2dに荷重が付加される。このボルト21毎に軸力計でボルト21の軸力を計測し、4本のボルト21の軸力を積算し、この積算値からケース2の外側面2d全体で受けている荷重を算出する。そして、この荷重をケース2の外側面2dの面積で除算することで、ケース2の外側面2dで受けている面圧を取得する。ちなみに、初期充放電中、リチウムイオン二次電池1の充電量が増加(電圧が上昇)するにつれて各ボルト21の軸力が大きくなり、満充電状態(最大電圧)のときに各ボルト21の軸力が最大値となる。
荷重付加工程においてケース2で受ける面圧の最大値が2MPa以上になるように荷重を付加することで、付加された荷重がケース2内の電極組立体3の電極11,12に略均等に掛かる。これにより、電極組立体3内において電極11,12(特に、負極12)が一様に膨張できる。また、電極組立体3内において正極11と負極12との反応のバラツキが抑えられ、充電時に電極組立体3全体に電流が流れ易くなる。また、正極11と負極12との間の間隔が狭くなり、正極11と負極12との間の電気抵抗が小さくなる。これらにより、電極組立体3の電極11,12のリチウム析出や電極しわの発生が抑制される。
荷重付加工程においてケース2で受ける面圧の最大値が4.5MPa以下になるように荷重を付加することで、初期充放電時に電極組立体3が最も膨張しているときでも、過剰な荷重がケース2内の電極組立体3に掛からない。これにより、電極組立体3の正極11と負極12間の電気抵抗が小さくなる。また、電極組立体3のセパレータ13の孔が押し潰され難くなる。
[実施例]
図5を参照して、ケース2で受ける面圧の最大値を変えた実施例1〜4と比較例1〜3について説明する。この実施例と比較例では、ケース2の内側面2c,2c間の間隔cを一定値(24.6mm)とし、間隔bと電極組立体3の厚みaを変えた。実施例1〜実施例4では、面圧の最大値が2MPa以上になるように間隔bをそれぞれ設定した。比較例1〜3では、面圧の最大値が2MPa未満になるように間隔bをそれぞれ設定した。この実施例と比較例では、各間隔bのリチウムイオン二次電池1に対して初期充放電工程及び荷重付加工程を実施し、初期充放電工程の終了後に電極組立体3をケース2から取り出して、初期充放電中のリチウム析出と電極しわの発生の有無を確認した。そして、リチウム析出と電極しわの何れも発生していない場合には判定結果を異常なし「OK」とし、リチウム析出と電極しわの何れかが発生している場合には判定結果を異常あり「NG」とした。なお、初期充放電工程では図3に示す充電条件で充電を行い、荷重付加工程では図4に示す方法で荷重を付加した。なお、ケース2の外側面2dの面積は、14000mmである。また、正極11の組成比は、NCM111:LFP:AB:PVDF=69:25:3:3とした。正極11の目付けは27mg/cmとし、正極11の厚みは200μmとした。負極12の組成比は、ナノシリコン:グラファイト:AB:PAI=58:25:6:11とした。負極12の目付けは4.7mg/cmとし、負極12の厚みは90μmとした。セパレータ13はポリオレフィン系セパレータとし、セパレータ13の厚みは25μmとした。セパレータ13の絶縁フィルムとしてはポリオレフィン系樹脂を用い、絶縁フィルムの厚みは150μmとした。
実施例1のリチウムイオン二次電池1では、間隔bを0.2mmとした。このリチウムイオン二次電池1の場合、ケース2の外側面2d全体で受ける荷重の最大値は約44kNであり、ケース2の外側面2dで受ける面圧の最大値は約3.14MPaであった。この場合、初期充放電中にリチウム析出と電極しわの何れも発生していなかった。したがって、判定結果は、異常なしである。
実施例2のリチウムイオン二次電池1では、間隔bを0.4mmとした。このリチウムイオン二次電池1の場合、ケース2の外側面2d全体で受ける荷重の最大値は約40kNであり、ケース2の外側面2dで受ける面圧の最大値は約2.85MPaであった。この場合、初期充放電中にリチウム析出と電極しわの何れも発生していなかった。したがって、判定結果は、異常なしである。
実施例3のリチウムイオン二次電池1では、間隔bを0.6mmとした。このリチウムイオン二次電池1の場合、ケース2の外側面2d全体で受ける荷重の最大値は約32kNであり、ケース2の外側面2dで受ける面圧の最大値は約2.28MPaであった。この場合、初期充電中にリチウム析出と電極しわの何れも発生していなかった。したがって、判定結果は、異常なしである。
実施例4のリチウムイオン二次電池1では、間隔bを0.8mmとした。このリチウムイオン二次電池1の場合、ケース2の外側面2d全体で受ける荷重の最大値は約30kNであり、ケース2の外側面2dで受ける面圧の最大値は約2.14MPaであった。この場合、初期充放電中にリチウム析出と電極しわの何れも発生していなかった。したがって、判定結果は、異常なしである。
比較例1のリチウムイオン二次電池では、間隔bを1mmとした。このリチウムイオン二次電池1の場合、ケース2の外側面2d全体で受ける荷重の最大値は約25kNであり、ケース2の外側面2dで受ける面圧の最大値は約1.78MPaであった。この場合、初期充放電中にリチウム析出のみ発生していた。したがって、判定結果は、異常ありである。
比較例2のリチウムイオン二次電池では、間隔bを2mmとした。このリチウムイオン二次電池1の場合、ケース2の外側面2d全体で受ける荷重の最大値は約20kNであり、ケース2の外側面2dで受ける面圧の最大値は約1.43MPaであった。この場合、初期充放電中にリチウム析出と電極しわが発生していた。したがって、判定結果は、異常ありである。
比較例3のリチウムイオン二次電池では、間隔bを3mmとした。このリチウムイオン二次電池1の場合、ケース2の外側面2d全体で受ける荷重の最大値は約15kNであり、ケース2の外側面2dで受ける面圧の最大値は約1.07MPaであった。この場合、初期充放電中にリチウム析出と電極しわが発生していた。したがって、判定結果は、異常ありである。
この実施例1〜4及び比較例1〜3により、荷重付加工程でケース2で受ける面圧の最大値が2MPa以上になるように荷重を付加した場合、初期充放電中にリチウム析出及び電極しわの発生が抑制されることが確認された。なお、この実施例1〜4のうち面圧の最大値が最も大きいものでも約3.14MPaであり、4.5MPa以下である。
このリチウムイオン二次電池1の製造方法によれば、荷重付加工程で付加した荷重によってケース2で受ける面圧の最大値が2MPa以上とすることにより、初期充放電工程中に荷重がケース2内の電極組立体3の電極11,12に略均等に掛かり、電極組立体3の正極11と負極12とが互いに近接する。そのため、このリチウムイオン二次電池1は、初期充放電時におけるリチウム析出及び電極しわの発生を抑制できる。
また、この製造方法によれば、荷重付加工程で付加した荷重によってケース2で受ける面圧の最大値を4.5MPa以下とすることにより、初期充放電工程中に電極組立体3に対して過剰な荷重が掛かるのを抑制できる。
また、この製造方法によれば、初期充放電工程で3段階で定電流充電で電圧を上昇させる共に各段階で定電圧充電で各電圧(特に、最大電圧(満充電状態))を所定時間維持することにより、リチウムイオン二次電池1の電池性能を向上させることができる。また、この製造方法によれば、初期充放電工程でリチウムイオン二次電池1の周囲温度を複数の温度に変化させることにより、リチウムイオン二次電池1の実際の使用環境等を考慮して初期充放電を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、上記実施形態では負極の活物質の材料としてナノシリコン材料を一例として示したが、Si、SiOx等を含む他のシリコン系材料でもよい。また、セパレータ13bは設けられていなくてもよい。
また、上記実施形態では間隔の大きさによりケースで受ける面圧の最大値を調整する構成としたが、間隔を変えずに、他の方法によりケースで受ける面圧の最大値を調整するようにしてもよい。他の方法としては、例えば、ボルトとナットとの締付力を調整する方法、ボルトとナットを用いずに、一対のプレートを油圧等による押圧手段で押圧し、その押圧力を調整する方法がある。
1…リチウムイオン二次電池、2…ケース、2a…本体、2b…蓋、2c…内側面、2d…外側面、3…電極組立体、3a…側面、5…正極端子、6…負極端子、7,8…絶縁リング、11…正極、11a…金属箔、11b…正極活物質層、11c…タブ、12…負極、12a…金属箔、12b…負極活物質層、12c…タブ、13…セパレータ、14,15…導電部材、20…プレート、21…ボルト、22…ナット。

Claims (6)

  1. 正極と負極とをセパレータを介して積層してなる電極組立体と、前記電極組立体を収容するケースとを備えるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記リチウムイオン二次電池の初期充放電を行う初期充放電工程と、
    前記初期充放電工程中に前記電極組立体の積層方向に沿った荷重を前記ケースに対して付加する荷重付加工程と、
    を含み、
    前記負極には、金属箔上にシリコン系材料の活物質を含む活物質層が形成され、
    前記ケースは、直方体形状のアルミニウム製又はアルミニウム合金製の角型缶であり、
    前記荷重付加工程では、一対の挟み込み部材によって前記積層方向に前記ケースを挟み込むことにより、前記ケースで受ける面圧の最大値が2MPa以上4.5MPa以下になるように前記荷重を付加する、リチウムイオン二次電池の製造方法。
  2. 前記初期充放電工程では、充電中に前記リチウムイオン二次電池の電圧を複数段階に分けて上昇させる、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  3. 前記初期充放電工程では、充電中に上昇させた最大電圧の状態を所定時間維持する、請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  4. 前記初期充放電工程では、充電中に前記リチウムイオン二次電池の周囲温度を複数の温度に変化させる、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  5. 前記負極の前記活物質層のシリコンの含有率は、30質量%以上である、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  6. 前記負極の前記活物質層のシリコンの含有率は、80質量%以下である、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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