JP6641669B2 - 壁装材 - Google Patents

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Description

本発明は、壁装材に関する。
建築物の内壁の下地材に固定される表面化粧材として、透明ガラス板の裏面に意匠層が積層された壁装材(積層体)が知られている(例えば、特許文献1)。壁装材の意匠層は、透明ガラス板の裏面に顔料等を含む塗料を塗布することにより形成されており、透明ガラス板と密着されているため、透明ガラス板を介して意匠層を視認することにより高級感を演出することができる。例えば、建築物においては、石膏ボード又は合板等の下地材に壁装材の意匠層側を固定することで、高級感のある内壁を実現することができる。
一方、特許文献2には、基盤とこの基盤の上に形成された吹き付け塗装体とを備えた複数の建築物用壁装体(壁装材に相当)を、縦横に接合させた状態で建築物の外壁面(下地材に相当)に貼着する建築物の施工方法が開示されている。また、特許文献2の施工方法では、建築物用壁装体を、接着剤を用いて建築物の外壁面に貼着することが好ましいと開示されている。
特開2014−76625号公報 特開2000−96801号公報
特許文献2等に開示されている貼着工法は、一般にミラー工法と称され、接着剤を下地材に点付けすることにより下地材に貼着される。
ところで、ミラー工法では、壁装材の厚さが厚くなるに従って、壁装材が重量物となるため施工性が悪化するという問題があり、また、壁装材の厚さを薄くすると、施工性は改善されるものの、壁装材の剛性が小さくなるので、下地材に壁装材を平坦に貼着することが難しくなるという問題がある。また、石膏ボード又は合板等の板状材の下地材に、厚さの薄い壁装材を貼着すると以下の問題が生じることも確認した。
すなわち、上記の板状材によって下地材を構成した場合、板状材同士の継ぎ目に生じる隙間を埋めるため、その継ぎ目に沿ってパテ(putty)を塗布するが、パテは、下地材の平坦部から突出し段差部となって残存する。厚さの薄い従来の壁装材は、その段差部を吸収することが難しいので、壁装材の平坦性が悪化する。つまり、段差部に貼着された壁装材の一部が、段差部が転写することによって凸条に変形(「反り」と等価である。)するので、壁装材の平坦性が悪化する。壁装材がガラス製又は光沢のある樹脂製の場合、凸条の変形部分に映り込んだ像が歪むので、壁装材の見栄えが悪化してしまう。
以上の如く、従来の壁装材は、施工性を改善するために厚さを薄くすると、平坦性が低下したり、下地材の段差部を吸収できず凸状に変形したりする問題が発生した。
なお、上記の例ではガラス製の壁装材について説明したが、ガラス製に限らず他の脆性材料の壁装材についても同様の問題が発生した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、厚さの薄い板状材を使用しつつ強度を確保することができ、かつ段差部を有する下地材に貼着された場合でも壁装材に映り込んだ像の歪みを抑制することができる壁装材を提供することを目的とする。
本発明は、本発明の目的を達成するために、意匠性を有する脆性の板状材と、板状材の一方面に備えられた板状の樹脂材と、を有し、板状材の厚さが0.5mm以上、3.2mm以下、樹脂材の厚さが2mm以上、8mm以下、樹脂材の樹脂の25%圧縮応力が400kPa以下であり、下記の試験方法により算出される段差吸収率が20%以上である壁装材を提供する。
〔試験方法〕
平坦部と、平坦部に備えられた段差部であって平坦部からの高さが0.5mm以上1.0mm以下であり、幅が5mmである帯状の段差部と、を有する下地模型体を用意するとともに、一辺が300mmである矩形の壁装材を用意し、壁装材の樹脂材側を、下地模型体の平坦部と段差部とに亘って載置するとともに、段差部を挟んで両側にそれぞれ50mm離間した位置で、樹脂の10%以下の圧縮応力にて壁装材と下地模型体とを挟持部材により挟持し、このとき、下地模型体の壁装材を載置する面と反対側の面をA面とし、下地模型体の段差部に載置された壁装材の板状材側の面をB面とし、下地模型体の平坦部に載置された壁装材の縁部の板状材側の面をC面とし、A面からB面までの高さをH1、A面からC面までの高さをH2、下地模型体の平坦部から段差部までの高さをH3としたときに、下記の(1)式にて算出される段差吸収率が20%以上である。
〔1−(H1−H2)/H3〕×100…(1)
ここで、厚さの薄い軽量な板状材であっても板状の樹脂材と一体化させることにより壁装材としての強度が得られる。このような壁装材を使用することにより、施工性が向上し、かつ下地材に壁装材を平坦に貼着することができる。この知見に基づき本発明は、板状材の厚さを0.5mm以上、3.2mm以下、樹脂材の厚さを2mm以上、8mm以下に規定することで、厚さの薄い板状材を使用しつつ壁装材の強度を確保した。
一方、壁装材が下地材に貼着されると、板状材の一部は、下地材の段差部が転写して凸条に変形する。この凸条の変形部分に映り込んだ像の歪みについて検討した結果、(1)式にて算出される段差吸収率が20%以上であれば、壁装材に映り込んだ像の歪みを抑えることができることを実験にて確認した。そして、壁装材に映り込んだ像の歪みを抑制する観点に基づいて、樹脂材の樹脂の25%圧縮応力を検討した結果、400kPa以下であれば、上記厚さサイズの壁装材において、壁装材に映り込んだ像の歪みを抑えることができ、外観的に違和感のない壁装材を提供できることを確認した。
(1)式において、(H1−H2)/H3にて算出される値は、段差部に対する壁装材の変形率を示している。この変形率を1から減算することによって段差吸収率が算出される。段差吸収率は、壁装材に映り込んだ像の歪みを評価する好適な値である。
本発明の壁装材によれば、厚さの薄い板状材を使用しつつ強度を確保することができ、かつ段差部を有する下地材に貼着された場合でも壁装材に映り込んだ像の歪みを抑制することができる。
実施形態の壁装材の断面を模式的に示した図 段差吸収率を算出するための試験機を示した斜視図 (A)は試験体の平面図、(B)は試験体の側面図、(C)は(B)のD部の拡大図 24枚の壁装材において試験結果1の段差吸収率を示した一覧表 試験結果1において、厚さ5mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 試験結果1において、厚さ4mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 試験結果1において、厚さ3mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 試験結果1において、厚さ2mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 24枚の壁装材において試験結果2の段差吸収率を示した一覧表 試験結果2において、厚さ5mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 試験結果2において、厚さ4mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 試験結果2において、厚さ3mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 試験結果2において、厚さ2mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 24枚の壁装材において試験結果3の段差吸収率を示した一覧表 試験結果3において、厚さ5mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 試験結果3において、厚さ4mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 試験結果3において、厚さ3mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 試験結果3において、厚さ2mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 24枚の壁装材において試験結果4の段差吸収率を示した一覧表 試験結果4において、厚さ5mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 試験結果4において、厚さ4mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 試験結果4において、厚さ3mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ 試験結果4において、厚さ2mmの樹脂材に対する25%圧縮応力と壁装材の凸条部の高さとの関係を示したグラフ (A)は樹脂材の可視光線透過率試験の内容を模式的に示した上面図、(B)は(A)の側面図 可視光線透過率試験の評価結果を示した表 (A)は突起部を有する見切り材の拡大側面図、(B)は見切り材が壁装材に備えられた拡大斜視図 見切り材の他の形態を示した拡大側面図
以下、本発明の壁装材の実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲であれば、以下の実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
〔壁装材10〕
図1は、実施形態の壁装材10を模式的に示した断面図である。
壁装材10は、建築物の壁面を構成する下地材の表面に接着剤によって貼着される。下地材としては、石膏ボード又は合板等の板状材を挙げることができる。なお、壁装材10は、壁、天井等の建材や収納家具等の各種用途にも適用することができる。
壁装材10は、脆性の板状材である透明のガラス板12と、ガラス板12の一方面に意匠層14を介して備えられた板状の樹脂材16と、を有する。ガラス板12は、意匠層14によって意匠性が備えられている。また、樹脂材16は、後述する接着剤によって意匠層14に接着されている。
上記構成により壁装材10のガラス板12は、樹脂材16によって補強されているので割れ難くなる。また、ガラス板12が万が一割れた時にも、ガラス板12が樹脂材16に接着されているので、ガラス片の飛散を防止することができる。更に、ガラス板12に衝撃が加わっても樹脂材16が衝撃を吸収するので、耐衝撃性も高くなる。これにより、実施形態の壁装材10は、高い安全性を有する。また、従来の壁装材と同様に、ガラス板12の一方面に意匠層14が備えられているので、高級感のある美観を演出することができる。
なお、実施形態では、壁装材10の板状材としてガラス板12を例示するが、これに限定されるものではない。例えば、メラミン、アクリル、ポリカーボネイト等の脆性のある硬質樹脂製の板状材を適用してもよく、また、セラミックス、石材等の脆性のある板状材を適用してもよい。
<ガラス板12>
ガラス板12のガラスの種類は特に限定されないが、例えばソーダライムガラス、無アルカリガラス又はアルミノシリケートガラス等が挙げられる。ガラス板12の厚さは、壁装材10の施工性を改善するために0.5mm以上、3.2mm以下に規定されている。
一般にガラス板は比重が大きく、壁装材として適用されるガラス板は大面積となるため、重量物となる。このため壁装材の下地材への施工は、作業員が数名で施工する必要があり容易ではなかった。そこで、実施形態では、ガラス板12に樹脂材16を接着することで、壁装材10としての強度を確保したので、ガラス板12の厚さを薄くすることができる。すなわち、壁装材として使用されるガラス板の厚さは、従来4mm以上であったが、実施形態ではガラス板12の厚さを0.5mm以上、3.2mm以下に規定している。また、樹脂材16の厚さと25%圧縮応力とに基づいて、ガラス板12の厚さを1.5mm以上、3.2mm以下に規定することもでき、また、0.5mm以上、1.5mm未満に規定することもできる。
ガラス板12は、公知の方法で製造できる。すなわち、フロート法、フュージョン法、ダウンドロー法、ロールアウト法等によりリボン状に成形されたガラスを切断して製造される。また、ガラス板12は、イオン交換法等の化学強化処理、又は風冷強化法等の物理強化処理によって強化されたガラス板であってもよい。
また、ガラス板12の可視光透過率(JIS R3106に準拠して求められる)は、60%以上であることが美観上好ましく、70%以上であることがより好ましい。更に、ガラス板12の表面にテクスチャーを設けるため、ガラス板12の表面にフロスト加工等の後加工によってテクスチャー処理を施してもよい。
<意匠層14>
ガラス板12と樹脂材16との間には意匠層14が備えられる。ガラス板12は、意匠性がガラス板12と樹脂材16との間に介在された意匠層14によって付与される。意匠層14はガラス板12に密着されていることが好ましい。これにより、ガラス板12を介して意匠層14を見た時の壁装材10は、奥行き感、高級感が増し美観上優れる。意匠層14は、着色顔料を含む塗料をガラス板12の表面に塗布して乾燥、硬化させることによって形成してもよい。塗料としては、例えば、アクリル樹脂系塗料が挙げられる。アクリル樹脂系塗料は、付着力が大きく、耐候性、耐食性にも優れる。また、仕上げが美麗である点で好ましい。なお、意匠層14は、意匠性を付与できるものであれば特に限定されず、例えば、メラミン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料であってもよく、着色顔料も様々な色であってよい。
塗料の塗布方法としては、特に限定されないが、例えばロールコート法、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法、スクリーン印刷法、スピンコート法等が挙げられる。
また、塗料ではなく、シート状に成形された意匠層14を、ガラス板12に接着剤によって貼着させてもよい。この場合、シート状に成形された意匠層14は、単色であってもよいし、天然石調やレンガ調等の模様が形成されていてもよい。
<樹脂材16>
樹脂材16は、ガラス板12を補強するため、及び後述する下地材の帯状の段差部の段差を吸収するために、その厚さが2mm以上、8mm以下に規定され、かつ樹脂材16の樹脂の25%圧縮応力が400kPa以下に規定されている。樹脂材16の厚さが8mm以下であると、従来のガラス化粧板の板厚と同等であるため、壁面への施工も従来と同様に特別な作業を要さないため好ましい。また、5mm以下であることがさらに好ましい。
樹脂材16は、意匠層14に接着剤又は粘着剤(以下、粘着剤を含め、接着剤という。)等で貼着される。接着剤は、樹脂材16の全面に塗布されてもよく一部でもよい。接着剤を全面に塗布する方が、ガラス板12が割れ難くなるので有利である。また、ガラス板12の意匠層14に接着剤を塗布してもよい。接着剤としては、一般的な建築用シーリング材を使用することができ、例えば変成シリコーン系シーリング材、アクリル系粘着剤や合成ゴム系粘着剤等が挙げられる。なお、接着剤は、両面テープのようなシート状であってもよい。また、接着剤は、不燃性が高くなるように材料や塗布量を選定することが建築材料として好適である。
樹脂材16のサイズは、ガラス板12の一方面の全面を覆うサイズでもよいし、ガラス板12の一方面の表面積に対して約80%以上の大きさを持つサイズであってもよい。
樹脂材16のショアA硬度は、10以上60以下であることが好ましい。ショアA硬度とは、デュロメータ(アスカー社製アスカーゴム硬度計A型)の測定値を指す。ショアA硬度が10以上であれば、壁装材10を十分な剛性で支持することができるので、壁装材10の施工性が向上する。樹脂材16のショアA硬度は、好ましくは20以上であり、より好ましくは30以上である。また、ショアA硬度が60以下であれば十分な衝撃吸収性を有するため、ガラス板12が強い衝撃を受けたとしても割れ難くなるので好ましい。
樹脂材16は、軽量かつ適度な柔軟性を有する発泡ポリエチレン樹脂、発泡ウレタン樹脂又は発泡ゴムであることが好ましい。これらの樹脂は難燃性なので、建築材料として不燃材の認定を得ることができる。
また、樹脂材16の可視光線透過率が10%以下に設定されることにより、壁装材10の意匠性が維持されている。樹脂材16の可視光線透過率として、10%以下であることが好ましいことは、図24(A)、(B)に示す可視光線透過率試験、及び図25に示す可視光線透過率試験結果に基づくものである。図24(A)、(B)の可視光線透過率試験、及び図25の可視光線透過率試験結果の詳細は、明細書の後段で説明する。
図26(A)は突起部32を有する見切り材34の拡大側面図である。図26(B)は、側面視略L字形状の見切り材34が壁装材10の縁部に備えられた拡大斜視図である。
図26の如く、壁装材10は、突起部32を有する見切り材34を備えていてもよい。樹脂材16の樹脂の25%圧縮応力が400kPa以下に規定されてことから、図26(A)に示すように見切り材34の突起部32を、樹脂材16の建築物の内壁側の面16Aと、建築物の内壁の下地材36との界面に挟み込むことで、見切り材34を壁装材10に装着し固定することができる。また、見切り材34の形状は図26(A)の形状に限定されず、例えば図27に示す見切り材38の他の形態の如く側面38Aがフラットな形状のものでもよい。見切り材34、38は樹脂製であることが好ましく、アルミニウム箔をインサート成形していることが好ましい。
〔壁装材10の平坦性確認試験〕
前述の如く、厚さの薄い軽量なガラス板12であっても樹脂材16と一体化させることによって、壁装材10としての強度が得られる。このような壁装材10を使用することにより、施工性が向上し、かつ下地材に壁装材10を平坦に貼着することができる。この知見に基づき実施形態では、ガラス板12の厚さを0.5mm以上、3.2mm以下に規定し、かつ樹脂材16の厚さを2mm以上、8mm以下に規定することで、厚さの薄いガラス板12を使用しつつ壁装材10としての強度を確保した。
一方、壁装材10が下地材に貼着されると、壁装材10の一部は、下地材の段差部が転写して凸条に変形する。この凸条の変形部分に生じる、壁装材に映り込んだ像の歪みについて検討した結果、後述する段差吸収率が20%以上であれば、壁装材に映り込んだ像の歪みを抑えることができることを実験にて確認した。なお、段差吸収率が30%以上であればより好ましいことも実験にて確認した。そして、壁装材に映り込んだ像の歪みを抑制する観点に基づいて、樹脂材16の樹脂の25%圧縮応力を検討した結果、400kPa以下であれば、上記厚さサイズの壁装材10において、壁装材に映り込んだ像の歪みを抑制することができることを実験にて確認した。
実施形態の壁装材10は、脆性のガラス板12と、ガラス板12の一方面に意匠層14を介して備えられた板状の樹脂材16と、を有し、ガラス板12の厚さが0.5mm以上、3.2mm以下、樹脂材16の厚さが2mm以上、8mm以下、樹脂材16の樹脂の25%圧縮応力が400kPa以下の壁装材であることを前提とする。そして、実施形態の壁装材10は、下記の平坦性確認試験によって算出される段差吸収率が20%以上であるものを対象とする。これにより、実施形態の壁装材10によれば、厚さの薄いガラス板12を使用しつつ強度を確保することができ、かつ段差部を有する下地材に貼着された場合でも、壁装材に映り込んだ像の歪みを抑制することができる。
<試験体20>
図2は、平坦性確認試験に使用される試験体20を示した斜視図であり、図3(A)は試験体20の平面図、図3(B)は試験体20の側面図、図3(C)は、図3(B)のサークルで示したD部の拡大図である。
平坦性確認試験では、実際の下地材を想定した下地模型体である石膏ボード22に壁装材10を4つのクリップ(挟持部材)24によって密着させて、壁装材10の平坦性を確認した。
石膏ボード22は、その厚さが12.5mmであり、その平坦部22Aには、凸条の段差部22Bが備えられている。段差部22Bは、平坦部22Aの中央部であって、石膏ボード22の対向する二辺E、Fに沿って平行に備えられている。この段差部22Bを挟んだ両側に4つのクリップ24が配置されている。また、段差部22Bは、平坦部22Aからの高さ(H3)が0.5mmであり、幅は5mmである。また、平坦部22Aからの高さ(H3)が1.0mmであって、幅が5mmの段差部22Bを有する別の石膏ボード22も用意されている。なお、本件の平坦性確認試験では、段差部22Bとして、幅が5mmであって、高さ(H3)が0.5mm、1.0mmのアクリル板を使用し、このアクリル板を平坦部22Aに載置又は接着させることで、段差部22Bを平坦部22Aに形成した。
壁装材10は、一辺が300mmの矩形体であり、図1に示した構成を有している。なお、石膏ボード22も一辺が300mmの矩形体であることが好ましい。
一方、クリップ24は、石膏ボード22の対向する二辺G、Jにそれぞれ2つずつ配置されており、石膏ボード22に壁装材10を密着させたときの樹脂材16の圧縮変形が10%以下になるように、その挟持力が規定されている。これは、実際の下地材に壁装材10を密着させたときに生じる樹脂材16の圧縮変形率が、10%以下であることに基づく。また、クリップ24の幅は50mmであり、段差部22Bの両側からそれぞれ50mm離間した位置を挟持している。
以上の如く、本件の平坦性確認試験は、実際の下地材に生じる段差部の高さが0.5mm以上1.0mm以下であることを想定し、また、その幅が5mmであることを想定した試験である。本件の平坦性確認試験では、段差部22Bによって生じる壁装材10の反りに起因した、壁装材10の像の歪みを目視にて評価する。
<試験方法>
壁装材10の樹脂材16側を、石膏ボード22の平坦部22Aと段差部22Bとに亘って載置する。次に、段差部22Bを挟んで両側にそれぞれ50mm離間した位置で、樹脂材16の樹脂の10%以下の圧縮応力にて壁装材10と石膏ボード22とをクリップ24によって挟持する。これにより、壁装材10と段差部22Bとが相対的に押圧されて、段差部22Bに載置されている壁装材10の一部が段差部22Bに沿って凸条に変形する。
このとき、石膏ボード22の壁装材10を載置する面(平坦部22A側の面)と反対側の面をA面とし、石膏ボード22の段差部22Bに載置された壁装材10のガラス板12側の面をB面とし、石膏ボード22の平坦部22Aに載置された壁装材10の縁部のガラス板12側の面をC面とし、A面からB面までの高さをH1、A面からC面までの高さをH2、石膏ボード22の平坦部22Aから段差部22Bまでの高さをH3としたときに下記の(1)式にて算出される値を段差吸収率として取得する。
〔1−(H1−H2)/H3〕×100…(1)
本件の試験方法では、石膏ボード22の裏面22CであるA面を基準位置に設定した。また、高さH1の検出点は、B面のうち辺Gに近い図3(A)で示したC点である。また、高さH2の検出点はA点及びB点であり、A点とB点との平均値を高さH2として規定した。また、A点は、壁装材10の直交する二辺E、Gが交差する隅部Kから二辺E、Gにそれぞれ10mm離れた座標位置に設定されている。同様にB点は、壁装材10の直交する二辺F、Gが交差する隅部Mから二辺F、Gにそれぞれ10mm離れた座標位置に設定されている。
上記(1)式の段差吸収率について説明すると、(H1−H2)/H3にて算出される値は、段差部22Bに起因する壁装材10の全体の変形率を示している。この変形率を1から減算することによって段差吸収率が算出される。段差吸収率は、壁装材10に映り込んだ像の歪みを評価する好適な値である。本発明の発明者は、鋭意実験を繰り返すことで、(1)式で算出される段差吸収率が20%以上であれば、像の歪みを抑えることができ、外観的に違和感を与えない壁装材を提供できることを確認した。なお、図3(C)では、H1−H2の減算値を便宜上、符号tで示している。
<試験結果1>
図4に示す表1は、厚さ0.7mmのガラス板を使用し、25%圧縮応力が50kPa、110kPa、130kPa、200kPa、275kPa、475kPaの樹脂材であって厚さがそれぞれ5mm、4mm、3mm、2mmの樹脂材が備えられた、計24枚の壁装材の段差吸収率を示した一覧表である。また、表1では、段差部22Bの高さ(H3)を0.5mm、1.0mmに設定したときの段差吸収率を24枚の壁装材毎に示している。なお、表1で示している樹脂材変形率とは、壁装材全体の変形率ではなく、段差部22Bの高さ(H3)を0.5mm、1.0mmに設定したときの樹脂材のみの変形率を示している。
ここで、ガラス板の厚さ0.7mmとは、日本工業規格(JIS R 3202:2011)に規定されている呼び厚さであり、±0.2mmの許容差を有する。つまり、厚さ0.7mmのガラス板とは、厚さが0.5mm以上0.9mm以下のガラス板を指す。
図5〜図8は図4の一覧表において、樹脂材の樹脂の25%圧縮応力(横軸)と壁装材の凸条部の高さ(縦軸(H1−H2))との関係を、樹脂材の異なる厚さ毎に示したグラフである。
すなわち、図5、図6、図7、図8は、厚さ0.7mmのガラス板で厚さ5mm、4mm、3mm、2mmの樹脂材を使用した、それぞれ計6枚の壁装材における、25%圧縮応力(kPa)とガラス板の凸条部の高さ(mm)の関係を示したグラフである。
また、図5〜図8の線Aは、段差部の高さ(H3)を0.5mmに設定したときに得られたデータ(◇マーク)を直線的に視覚化したものであり、図5〜図8の線Bは、段差部の高さ(H3)を1.0mmに設定したときに得られたデータ(□マーク)を直線的に視覚化したものである。また、これらの線A、Bは最小二乗法による回帰直線である。
一例として表1の最上段に記載された25%圧縮応力が50kPa、厚さ5mmの樹脂材を有する壁装材を参照すると、段差部の高さが0.5mmのときの段差吸収率は、
H1=19.223
H2=(19.233+19.196)/2≒19.215
H3=0.5
であるので、
〔1−(19.223−19.215)/0.5)〕×100≒98%
となる。
また、表1の25%圧縮応力が200kPa、厚さ2mmの樹脂材を有する壁装材を参照すると、段差部の高さが0.5mmのときの段差吸収率は、
H1=16.171
H2=(15.767+15.795)/2=15.781
H3=0.5
であるので、
〔1−(16.171−15.781)/0.5)〕×100=22%
となる。
厚さ0.5mm以上0.9mm以下のガラス板を対象とする試験結果1によれば、樹脂材の樹脂の25%圧縮応力が200kPa以下であれば、樹脂材の厚さが2mm以上であっても、20%以上の段差吸収率を得ることができることを実験にて確認した。
また、25%圧縮応力が275kPa、樹脂材の厚さが5mmの壁装材であって、段差部の高さが1.0mmのときに、段差吸収率が20%となる壁装材も確認した。更に、25%圧縮応力が275kPa、樹脂材の厚さが4mmの壁装材であって、段差部の高さが0.5mmのときに、段差吸収率が22%となる壁装材も確認した。
<試験結果2>
図9に示す表2は、厚さ1.1mmのガラス板を使用し、25%圧縮応力が50kPa、110kPa、130kPa、200kPa、275kPa、475kPaの樹脂材であって厚さがそれぞれ5mm、4mm、3mm、2mmの樹脂材が備えられた、計24枚の壁装材の段差吸収率を示した一覧表である。また、図9では、段差部22Bの高さ(H3)を0.5mm、1.0mmに設定したときの段差吸収率を24枚の壁装材毎に示している。
また、ガラス板の厚さ1.7mmとは、日本工業規格(JIS R 3202:2011)に規定されている呼び厚さであり、±0.2mmの許容差を有する。つまり、厚さ1.1mmのガラス板とは、厚さが0.9mm以上1.3mm以下のガラス板を指す。
図10〜図13は図9の一覧表において、樹脂材の樹脂の25%圧縮応力(横軸)と壁装材の凸条部の高さ(縦軸(H1−H2))との関係を、樹脂材の異なる厚さ毎に示したグラフである。
すなわち、図10、図11、図12、図13は、厚さ1.1mmのガラス板で厚さ5mm、4mm、3mm、2mmの樹脂材を使用した、それぞれ計6枚の壁装材における、25%圧縮応力(kPa)とガラス板の凸条部の高さ(mm)の関係を示したグラフである。また、図10〜図13の線Aは、段差部の高さ(H3)を0.5mmに設定したときに得られたデータ(◇マーク)を直線的に視覚化したものであり、図10〜図13の線Bは、段差部の高さ(H3)を1.0mmに設定したときに得られたデータ(□マーク)を直線的に視覚化したものである。また、これらの線A、Bは最小二乗法による回帰直線である。
厚さ0.9mm以上1.3mm以下のガラス板を対象とする試験結果2によれば、25%圧縮応力が200kPa以下であれば、樹脂材の厚さが2mm以上であっても、20%以上の段差吸収率を得ることができることを実験にて確認した。
また、25%圧縮応力が275kPa、樹脂材の厚さが5mmの壁装材であって、段差部の高さが0.5mmのときに、段差吸収率が33%となる壁装材も確認した。また、25%圧縮応力が275kPa、樹脂材の厚さが4mmの壁装材であって、段差部の高さが0.5mmのときに、段差吸収率が30%となる壁装材も確認した。また、25%圧縮応力が275kPa、樹脂材の厚さが4mmの壁装材であって、段差部の高さが1.0mmのときに、段差吸収率が23%となる壁装材も確認した。また、25%圧縮応力が275kPa、樹脂材の厚さが3mmの壁装材であって、段差部の高さが0.5mmのときに、段差吸収率が25%となる壁装材も確認した。更に、25%圧縮応力が275kPa、樹脂材の厚さが3mmの壁装材であって、段差部の高さ1.0mmのときに、段差吸収率が21%となる壁装材も確認した。
<試験結果3>
図14に示す表3は、厚さ2.0mmのガラス板を使用し、25%圧縮応力が50kPa、110kPa、130kPa、200kPa、275kPa、475kPaの樹脂材であって厚さがそれぞれ5mm、4mm、3mm、2mmの樹脂材が備えられた、計24枚の壁装材の段差吸収率を示した一覧表である。また、図14では、段差部22Bの高さ(H3)を0.5mm、1.0mmに設定したときの段差吸収率を24枚の壁装材毎に示している。
また、ガラス板の厚さ2.0mmとは、日本工業規格(JIS R 3202:2011)に規定されている呼び厚さであり、±0.2mmの許容差を有する。つまり、厚さ2.0mmのガラス板とは、厚さが1.8mm以上2.2mm以下のガラス板を指す。
図15〜図18は図14の一覧表において、樹脂材の樹脂の25%圧縮応力(横軸)と壁装材の凸条部の高さ(縦軸(H1−H2))との関係を、樹脂材の異なる厚さ毎に示したグラフである。
すなわち、図15、図16、図17、図18は、厚さ2.0mmのガラス板で厚さ5mm、4mm、3mm、2mmの樹脂材を使用した、それぞれ計6枚の壁装材における、25%圧縮応力(kPa)とガラス板の凸条部の高さ(mm)の関係を示したグラフである。また、図15〜図18の線Aは、段差部の高さ(H3)を0.5mmに設定したときに得られたデータ(◇マーク)を直線的に視覚化したものであり、図15〜図18の線Bは、段差部の高さ(H3)を1.0mmに設定したときに得られたデータ(□マーク)を直線的に視覚化したものである。また、これらの線A、Bは最小二乗法による回帰直線である。
厚さ1.8mm以上2.2mm以下のガラス板を対象とする試験結果3によれば、樹脂材の樹脂の25%圧縮応力が275kPa以下であれば、樹脂材の厚さが3mm以上であっても、20%以上の段差吸収率を得ることができることを実験にて確認した。
<試験結果4>
図19に示す表4は、厚さ3.0mmのガラス板を使用し、25%圧縮応力が50kPa、110kPa、130kPa、200kPa、275kPa、475kPaの樹脂材であって厚さがそれぞれ5mm、4mm、3mm、2mmの樹脂材が備えられた、計24枚の壁装材の段差吸収率を示した一覧表である。また、図19では、段差部22Bの高さ(H3)を0.5mm、1.0mmに設定したときの段差吸収率を24枚の壁装材毎に示している。
また、ガラス板の厚さ3.0mmとは、日本工業規格(JIS R 3202:2011)に規定されている呼び厚さであり、±0.2mmの許容差を有する。つまり、厚さ3.0mmのガラス板とは、厚さが2.8mm以上3.2mm以下のガラス板を指す。
図20〜図23は図19の一覧表において、樹脂材の樹脂の25%圧縮応力(横軸)と壁装材の凸条部の高さ(縦軸(H1−H2))との関係を、樹脂材の異なる厚さ毎に示したグラフである。
すなわち、図20、図21、図22、図23は、厚さ3.0mmのガラス板で厚さ5mm、4mm、3mm、2mmの樹脂材を使用した、それぞれ計6枚の壁装材における、25%圧縮応力(kPa)とガラス板の凸条部の高さ(mm)の関係を示したグラフである。また、図20〜図23の線Aは、段差部の高さ(H3)を0.5mmに設定したときに得られたデータ(◇マーク)を直線的に視覚化したものであり、図20〜図23の線Bは、段差部の高さ(H3)を1.0mmに設定したときに得られたデータ(□マーク)を直線的に視覚化したものである。また、これらの線A、Bは最小二乗法による回帰直線である。
厚さ2.8mm以上3.2mm以下のガラス板を対象とする試験結果4によれば、25%圧縮応力が475kPa以下であれば、樹脂材の厚さが4mm以上であっても、20%以上の段差吸収率を得ることができることを実験にて確認した。
また、25%圧縮応力が475kPa、樹脂材の厚さが3mmの壁装材であって、段差部の高さが0.5mmのときに、段差吸収率が25%となる壁装材も確認した。
<まとめ>
試験結果1〜4から明らかであるが、ガラス板の厚さが厚くなるに従って、ガラス板の剛性が高くなるので、(H1−H2)/H3にて算出される壁装材全体の変形率が小さくなり、段差吸収率が大きくなる傾向にあった。換言すると、ガラス板の厚さが薄くなるに従って、ガラス板の剛性が小さくなるので、(H1−H2)/H3にて算出される壁装材の変形率が大きくなり、段差吸収率が小さくなることが判明した。
一方、樹脂材においては、25%圧縮応力が大きくなるに従って、樹脂材の硬度が高くなるので、段差吸収率が小さくなる傾向にあった。換言すると、樹脂材においては、25%圧縮応力が小さくなるに従って、樹脂材の柔軟性が高まるので、段差吸収率が大きくなることが判明した。
また、試験体20の樹脂材として、25%圧縮応力が275kPa、475kPaの樹脂を使用し、その間の圧縮応力を有する樹脂材を使用していないが、図15の線A、Bから考察するに、段差吸収率が20%以上を満足する25%圧縮応力の上限値として、400kPaを規定することができる点も判明した。
更に、試験結果1〜4に基づけば、ガラス板の厚さが0.5mm以上、3.2mm未満、樹脂材の厚さが2mm以上、5mm以下、樹脂材の樹脂の25%圧縮応力が200kPa以下である壁装材が好ましい態様であることが判明した。
また、試験結果2〜4に基づけば、ガラス板の厚さが0.9mm以上、3.2mm以下、樹脂材の厚さが2mm以上、5mm以下、樹脂材の樹脂の25%圧縮応力が200kPa以下である壁装材が好ましい態様であることが判明した。これは、段差吸収率が30%以上に設定した場合の壁装材の形態である。前述の如く、段差吸収率が30%以上であれば壁装材に映り込んだ像の歪みをより一層抑えることができることに基づいた形態である。
また、試験結果2〜4に基づけば、ガラス板の厚さが0.9mm以上、3.2mm以下、樹脂材の厚さが3mm以上、5mm以下、樹脂材の樹脂の25%圧縮応力が300kPa以下である壁装材が好ましい態様であることが判明した。
〔樹脂材16の可視光線透過率について〕
従来技術であるミラー工法は、壁装材であるガラス板と壁面間に空隙があり、ガラス板を透過した光、ガラスエッジ、及び空隙部から透過した光により、接着剤の影が浮き出る現象が起こりうる。また、ガラス板の面に塗布又はフィルムで貼り付けられた意匠層に透過性がある場合、接着剤の反射色調の影響を受け、接着剤の部分が異なった色に浮き出る現象が起こりうる。
ここで、実施形態の壁装材の樹脂材16は、ガラス板12のガラス面全面に貼り付けられ、均質な材料であることから、上記の現象は発生しない。
しかしながら、壁面に隙間があったり、配線コードを挿通するための孔が壁面に設けられていたりすると、壁面の背面側に配置されている光源からの光が、隙間や孔を介して樹脂材16を照明し、上記の現象が生じる場合がある。
そこで、壁面の隙間や孔に起因する上記の現象を防止するために、樹脂材16の可視光線透過率を、図24(A)、(B)に示す可視光線透過率試験によって規定する。
〔可視光線透過率試験〕
図24(A)は、樹脂材16の可視光線透過率試験の内容を模式的に示した上面図、(B)は(A)の側面図である。図25は、可視光線透過率試験の評価結果を示した表である。
図24の如く、本件の可視光線透過率試験では、可視光線透過率5%のガラス板を壁装材10のガラス板12として用い、そのガラス板12の背面(意匠層側)に可視光線透過率を調整した樹脂材16を全面に貼り付け、下地材26に形成した幅10mmの隙間28から照明を照射して、光の漏れの意匠層への影響度を評価した。
試験サンプルとして19枚(No.1〜No.19)の壁装材10を製作し、これらの壁装材10の樹脂材16の可視光線透過率を0.8%〜26.3%の範囲で調整した。また、照明器として、昼白色40Wの蛍光灯30を使用し、下地材26の背面側から30cm離れた位置から隙間28に照明を照射した。
〔評価結果〕
評価をA、B、Cに分けて評価を行った。A評価は、「光の漏れは確認できない」ものであり、B評価は「注意深く確認しなければ光の漏れは確認できない」ものであり、C評価は、「光の漏れが確認できる」ものとした。
その結果、図25に示すように、可視光線透過率が10%以下の樹脂材16を使用した場合、下地材26の背面から光が漏れてくる場合においても光の漏れを防止することができる。これにより、壁装材10の意匠性を維持することができる。
10…壁装材、12…ガラス板、14…意匠層、16…樹脂材、20…試験体、22…石膏ボード、22A…平坦部、22B…段差部、24…クリップ、26…下地材、28…隙間、30…蛍光灯、32…突起部、34…見切り材、36…下地材、38…見切り材、38A…側面

Claims (7)

  1. 意匠性を有する脆性の板状材と、前記板状材の一方面に備えられた板状の樹脂材と、を有し、
    前記板状材の厚さが0.5mm以上、3.2mm以下、
    前記樹脂材の厚さが2mm以上、8mm以下、
    前記樹脂材の樹脂の25%圧縮応力が400kPa以下であり、
    下記の試験方法により算出される段差吸収率が20%以上であり、
    前記樹脂材は、発泡ポリエチレン樹脂又は発泡ゴムであり、
    前記樹脂材のショアA硬度は、10以上60以下である壁装材。
    〔試験方法〕
    平坦部と、前記平坦部に備えられた段差部であって前記平坦部からの高さが0.5mm以上1.0mm以下であり、幅が5mmである帯状の段差部と、を有する下地模型体を用意するとともに、一辺が300mmである矩形の前記壁装材を用意し、
    前記壁装材の前記樹脂材側を、前記下地模型体の前記平坦部と前記段差部とに亘って載置するとともに、前記段差部を挟んで両側にそれぞれ50mm離間した位置で、前記樹脂の10%以下の圧縮応力にて前記壁装材と前記下地模型体とを挟持部材により挟持し、
    このとき、
    前記下地模型体の前記壁装材を載置する面と反対側の面をA面とし、
    前記下地模型体の前記段差部に載置された前記壁装材の前記板状材側の面をB面とし、
    前記下地模型体の前記平坦部に載置された前記壁装材の縁部の前記板状材側の面をC面とし、
    前記A面から前記B面までの高さをH1、
    前記A面から前記C面までの高さをH2、
    前記下地模型体の前記平坦部から前記段差部までの高さをH3としたときに、下記の(1)式にて算出される段差吸収率が20%以上である。
    〔1−(H1−H2)/H3〕×100…(1)
  2. 前記板状材の厚さが0.5mm以上、3.2mm未満、
    前記樹脂材の厚さが2mm以上、5mm以下、
    前記樹脂材の樹脂の25%圧縮応力が200kPa以下、
    である請求項1に記載の壁装材。
  3. 前記板状材の厚さが0.9mm以上、3.2mm以下、
    前記樹脂材の厚さが2mm以上、5mm以下、
    前記樹脂材の樹脂の25%圧縮応力が200kPa以下、
    前記段差吸収率が30%以上、
    である請求項1に記載の壁装材。
  4. 前記板状材の厚さが0.9mm以上、3.2mm以下、
    前記樹脂材の厚さが3mm以上、5mm以下、
    前記樹脂材の樹脂の25%圧縮応力が300kPa以下、
    である請求項1に記載の壁装材。
  5. 前記樹脂材の可視光線透過率が10%以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の壁装材。
  6. 前記壁装材は突起部を有する見切り材を備え、前記樹脂材の建築物の内壁側の面と、建築物の内壁の下地材の界面とで、前記見切り材の前記突起部が挟み込まれている、請求項1から5のいずれか1項に記載の壁装材。
  7. 前記板状材は、前記意匠性が前記樹脂材との間に介在された意匠層によって付与される、請求項1から6のいずれか1項に記載の壁装材。
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