JP6635765B2 - ポリオレフィン樹脂用炭素繊維分散剤 - Google Patents
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Description
一方で、ポリオレフィン樹脂は分子内に極性基を有しない、いわゆる非極性で極めて不活性な高分子物質である。さらに、結晶性が高く、溶剤類に対する溶解性も著しく低いため、接着性、塗装性等に課題があり、また他のエンジニアリングプラスチックや熱硬化性樹脂等と比較すると曲げ強度や引張弾性率が劣るため、非常に大きな曲げ強度や引張弾性率が求められる分野では使用できない等の問題もあった。
ポリオレフィン樹脂用の炭素繊維分散剤としては、無水マレイン酸で変性したポリオレフィン等が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、炭素繊維の表面処理方法としては、プラズマ処理やサイジング剤の利用等の方法がある(例えば、特許文献2,3参照)。
本発明の目的は、優れた炭素繊維分散性をポリオレフィン樹脂に与える分散剤、および優れた曲げ強度や引張弾性率等の機械物性を有する、該分散剤を含有するポリオレフィン樹脂組成物を提供することにある。
(1)ポリオレフィン樹脂と炭素繊維との親和性に優れるため、炭素繊維に優れた分散性を付与する。
(2)該分散剤とポリオレフィン樹脂と炭素繊維とを含有してなるポリオレフィン樹脂組成物の成形品は、優れた機械物性を有する。
本発明におけるポリオレフィン(a)としては、カルボニル基(好ましくはカルボキシル基、以下同じ。)をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1)、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2)、アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a3)、およびイソシアネート基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a4)等が使用できる。 さらに、カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a5)、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a6)およびアミノ基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a7)およびイソシアネート基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a8)等が使用できる。
これらのうち、変性のし易さからカルボニル基を有するポリオレフィン(a1)および(a5)が好ましい。
熱減成法による低分子量ポリオレフィンでは、Mnが800〜6,000の範囲で、1分子当たりの平均末端二重結合量が1.5〜2個のものが得られる〔村田勝英、牧野忠彦、日本化学会誌、p.192(1975)〕。
熱減成法による低分子量ポリオレフィンは、例えば特開平3−62804号公報記載の方法により得ることができる。
(a00)は、炭素数1,000当たり0.3〜20個、好ましくは0.5〜15個、特に好ましくは0.7〜10個の二重結合を有するものである。
変性のしやすさの点で、熱減成法による低分子量ポリオレフィン(特にMnが2,000〜20,000のポリエチレンおよび/またはポリプロピレン)が好ましい。
熱減成法による低分子量ポリオレフィンでは、Mnが5,000〜30,000の範囲で、1分子当たりの平均末端二重結合量が1〜1.5個のものが得られる。
変性に用いられるα,β−不飽和カルボン酸(無水物)としては、炭素数(以下Cと略記することがある)3〜10の、モノ−およびジカルボン酸、およびこれらの無水物、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸(無水物)、フマル酸、イタコン酸(無水物)およびシトラコン酸(無水物)等が挙げられる。
これらのうち好ましいのはマレイン酸(無水物)およびフマル酸、特に好ましいのはマレイン酸(無水物)である。
変性に使用するα、β−不飽和カルボン酸(無水物)の量は、ポリオレフィン(a0)の重量に基づき、通常0.5〜40%、好ましくは1〜30%である(上記および以下において、%は重量%を表わす)。
α,β−不飽和カルボン酸(無水物)による変性は、(a0)の末端二重結合に、溶液法または溶融法のいずれかの方法で、α,β−不飽和カルボン酸(無水物)を熱的に付加(エン反応)させることにより行うことができる。(a0)にα,β−不飽和カルボン酸(無水物)を反応させる温度は、通常170〜230℃である。
二次変性に用いるラクタムとしては、C6〜12のラクタム、例えば、カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタムおよびウンデカノラクタム等が挙げられる。
また、アミノカルボン酸としては、C2〜12のアミノカルボン酸、例えば、アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニン等)、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、および12−アミノドデカン酸が挙げられる。これらのうち好ましいのは、カプロラクタムおよび12−アミノドデカン酸である。
二次変性に用いるラクタムまたはアミノカルボン酸の量は、(a11)中のα、β−不飽和カルボン酸(無水物)の残基1個当たり0.1〜50個、好ましくは0.3〜20個、特に好ましくは0.5〜10個、最も好ましくは1個である。
また、該(a1)の酸価は、通常2〜280(mgKOH/g、以下、数値のみを記載する。)、好ましくは2〜100、さらに好ましくは3〜50である。酸価がこの範囲であると、後述するポリアミド(b)との反応性の点で好ましい。
変性に使用できるヒドロキシルアミンとしては、C2〜10のヒドロキシルアミン、例えば、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノール、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、2−アミノエタノールである。
変性に用いるヒドロキシルアミンのヒドロキシル基の量は、(a1)中のα、β−不飽和カルボン酸(無水物)の残基1個当たり0.1〜2個、好ましくは0.3〜1.5個、特に好ましくは0.5〜1.2個、最も好ましくは1個である。
また、該(a2)の水酸基価は、通常2〜280(mgKOH/g、以下、数値のみを記載する。)、好ましくは2〜100、さらに好ましくは3〜50である。水酸基価がこの範囲であると、後述するポリアミド(b)との反応性の点で好ましい。
この変性に用いるジアミン(Q13)としては、C2〜18(好ましくは2〜12)のジアミン、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、エチレンジアミンである。
変性に用いるジアミンのアミノ基の量は、(a1)中のα、β−不飽和カルボン酸(無水物)の残基1個当たり0.1〜2個、好ましくは0.3〜1.5個、特に好ましくは0.5〜1.2個、最も好ましくは1個である。
また、該(a3)のアミン価は、通常2〜280(mgKOH/g、以下、数値のみを記載する。)、好ましくは2〜100、さらに好ましくは3〜50である。アミン価がこの範囲であると、後述するポリアミド(b)との反応性の点で好ましい。
PIとしては、C(NCO基中のCを除く、以下同様)6〜20の芳香族PI、C2〜18の脂肪族PI、C4〜15の脂環式PI、C8〜15の芳香脂肪族PI、これらのPIの変性体およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
これらのうち、好ましいのはTDI、MDIおよびHDI、さらに好ましいのはHDIである。
イソシアネート変性ポリオレフィンを形成する際の、PIと(a2)との当量比(NCO/OH比)は、通常1.8/1〜3/1、好ましくは2/1である。
本発明におけるポリアミド(b)としては、ラクタム開環重合体(b1)、アミノカルボン酸の自己重縮合体(b2)、ジアミンとジカルボン酸の脱水重縮合体(b3)およびこれらの重(縮)合体を構成するモノマー単位が2種類以上である共重合ナイロン(b4)等が使用できる。
アミノカルボン酸の自己重縮合体(b2)としては、C2〜20のアミノカルボン酸の重縮合体が使用できる。ここで用いるアミノカルボン酸としては、C2〜12のアミノカルボン酸、例えば、アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニン等)、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、および12−アミノドデカン酸が挙げられ、(b2)としてはω−アミノエナント酸の重縮合によるナイロン7、11−アミノウンデカン酸の重縮合によるナイロン11、12−アミノドデカン酸の重縮合によるナイロン12等が挙げられる。
ここで用いるジアミンとしてはC2〜18(好ましくは2〜12)のジアミン、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン等が挙げられ、ジカルボン酸としてはC2〜30(好ましくは3〜20、さらに好ましくは4〜15)の不飽和ジカルボン酸、例えば、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸等が挙げられ、(b3)としてはヘキサンメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン66、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合によるナイロン610等が挙げられる。
分子量調整剤としてのジカルボン酸のうち、好ましいのは脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸、さらに好ましいのはアジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸である。また、分子量調整剤としてのジアミンのうち、好ましいのはヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミンである。
装置 :高温ゲルパーミエイションクロマトグラフ
[「Alliance GPC V2000」、Waters(株)製]
溶媒 :オルトジクロロベンゼン
基準物質 :ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm,MIXED−B 2本直列
[ポリマーラボラトリーズ(株)]
カラム温度:135℃
検出器 :屈折率検出器
本発明におけるブロックポリマー(A)は、上記ポリオレフィン(a)のブロックとポリアミド(b)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合およびウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して結合したものである。
これらのうち分散性の観点から好ましいのは、(b)がラクタム開環重合体(b1)であるポリマー(A1)および(b)がアミノカルボン酸の自己重縮合体(b2)であるポリマー(A2)、さらに好ましくは(b)がアミノカルボン酸の自己重縮合体(b2)であるポリマー(A2)である。
また、(A)の構造は、[(a)−(b)]がとくに好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂用炭素繊維分散剤(X)は、前記ポリマー(A)を含有してなる。該(X)は後述のポリオレフィン樹脂(B)と炭素繊維(C)用の分散剤として用いられる。
本発明におけるポリオレフィン樹脂(B)としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体[共重合比(重量比)=0.1/99.9〜99.9/0.1]、プロピレンおよび/またはエチレンと他のα−オレフィン(C4〜12)の1種以上との共重合体(ランダムおよび/またはブロック付加)[共重合比(重量比)=99/1〜5/95]、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)[共重合比(重量比)=95/5〜60/40]、エチレン/エチルアクリレート共重合体(EEA)[共重合比(重量比)=95/5〜60/40]が挙げられる。これらのうち炭素繊維分散性付与の観点から好ましいのは、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレンおよび/またはエチレンとC4〜12のα−オレフィンの1種以上との共重合体[共重合比(重量比)=90/10〜10/90、ランダムおよび/またはブロック付加]が挙げられる。
これらの(B)のうち、好ましいのはポリプロピレン、ポリエチレンおよびプロピレン−エチレン共重合体、さらに好ましくはプロピレン−エチレン共重合体である。
(B)のMnは、成形品の機械的物性および成形性の観点から、好ましくは50,000〜200,000、さらに好ましくは70,000〜150,000、特に好ましくは80,000〜120,000である。
本発明における炭素繊維(C)としては、公知の各種炭素繊維、例えばポリアクリロニトリル、レーヨン、ピッチ、炭化水素ガスなどを原料とする炭素繊維、黒鉛繊維、およびこれらにニッケル、アルミニウム、銅などの金属をコーティングした金属被覆炭素繊維等が挙げられる。機械的強度の観点から好ましいのはポリアクリロニトリル系炭素繊維、および、これにさらに金属をコーティングした金属被覆炭素繊維である。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、前記ポリオレフィン樹脂用炭素繊維分散剤(X)とポリオレフィン樹脂(B)と炭素繊維(C)とを含有してなる。
(X)と(B)と(C)との合計重量に基づく割合は、(X)は、(C)の分散性および成形品の機械物性の観点から好ましくは0.1〜15%、さらに好ましくは0.5〜12%、とくに好ましくは1〜10%;(B)は、成形品の生産性および機械物性の観点から好ましくは30〜98%、さらに好ましくは40〜85%、とくに好ましくは50〜80%;(C)は、成形品の機械物性および生産性の観点から好ましくは1〜60%、さらに好ましくは5〜55%、とくに好ましくは10〜50%である。
(G)としては、着色剤(G1)、難燃剤(G2)、(C)以外の充填剤(G3)、滑剤(G4)、帯電防止剤(G5)、(X)以外の分散剤(G6)、酸化防止剤(G7)および紫外線吸収剤(G8)からなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
顔料としては、無機顔料(アルミナホワイト、グラファイト等);有機顔料(アゾレーキ系等)が挙げられる。
染料としては、アゾ系、アントラキノン系等が挙げられる。
、木質材料(木粉等)、無機繊維(ガラス繊維等)およびこれらの混合物等が挙げられる。
該組成物の全重量に基づく各添加剤の使用量は、(G1)は通常5%以下、好ましくは0.1〜3%;(G2)は通常8%以下、好ましくは1〜3%;(G3)は通常5%以下、好ましくは0.1〜1%;(G4)は通常8%以下、好ましくは1〜5%;(G5)は通常8%以下、好ましくは1〜3%;(G6)は通常1%以下、好ましくは0.1〜0.5%;(G7)は通常2%以下、好ましくは0.05〜0.5%;(G8)は通常2%以下、好ましくは0.05〜0.5%である。
本発明の成形品は、前記ポリオレフィン樹脂組成物を成形してなる。
成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法、インフレーション法 等)等が挙げられ、目的に応じて単層成形、多層成形あるいは発泡成形等の手段も取り入れた任意の方法で成形できる。成形品の形態としては、板状、シート状、フィルム、織物、繊維(不織布等も含む)等が挙げられる。
塗装膜厚(乾燥後膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが塗膜物性の観点から好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。
また、該成形品に印刷する方法としては、種々の印刷法、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷およびオフセット印刷が挙げられる。印刷インキとしてはプラスチックの印刷に通常用いられるものが挙げられる。
ステンレス製のオートクレーブに、熱減成法〔エチレン/プロピレンランダム共重合体(エチレン含量2%)を360±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)、16分間で熱減成〕で得られた低分子量エチレン/プロピレンランダム共重合体(Mn9,800、炭素数1,000当たりの二重結合量1.4個、1分子当たりの二重結合の平均数1.0、少なくとも片末端が変性可能なポリオレフィンの含有量80%)90部、無水マレイン酸10部およびキシレン30部を仕込み、均一混合後、窒素ガス雰囲気下(密閉下)、撹拌しながら、200℃で溶融させ10時間反応させた。
その後、過剰の無水マレイン酸とキシレンを減圧下(1.3kPa以下)、200℃、3時間で留去して、カルボニル基を有するポリオレフィン(a1−1)95部を得た。(a1−1)のMnは10,000であった。
製造例1において、熱減成法で得られた低分子量エチレン/プロピレンランダム共重合体90部に代えて、熱減成法[エチレン/プロピレンランダム共重合体(エチレン含量2%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)、16分間で熱減成] で得られた低分子量エチレン/プロピレンランダム共重合体(Mn4,800、炭素数1,000当たりの二重結合量5.6個、1分子当たりの二重結合の平均数2.0、少なくとも片末端が変性可能なポリオレフィンの含有量95%)90部を用いたこと以外は製造例1と同様にして、カルボニル基を有するポリオレフィン(a1−2)92部を得た。(a1−2)のMnは5,000であった。
製造例1において、熱減成法で得られた低分子量ポリプロピレン90部および無水マレイン酸10部に代えて、熱減成法[エチレン/プロピレンランダム共重合体(エチレン含量2%)を360±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)、12分間で熱減成] で得られた低分子量エチレン/プロピレンランダム共重合体(Mn19,500、炭素数1,000当たりの二重結合量0.7個、1分子当たりの二重結合の平均数1.0、少なくとも片末端が変性可能なポリオレフィンの含有量70%)94部および無水マレイン酸6部を用いたこと以外は製造例1と同様にして、カルボニル基を有するポリオレフィン(a1−3)98部を得た。(a1−3)のMnは19,800であった。
次に、カルボニル基を有するポリオレフィン(a1−3)97部に対して、エタノールアミン5部を加え、窒素ガス雰囲気下、180℃で溶融し、2時間反応させた。その後、過剰のエタノールアミンを減圧下(1.3kPa以下)、180℃、2時間で留去して、水酸基を有するポリオレフィン(a2−1)を得た。(a2−1)のMnは19,850であった。
ステンレス製のオートクレーブに、カルボニル基を有するポリオレフィン(a1−3)88部、ポリテトラメチレングリコール12部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら200℃で溶融し、3時間、減圧下(1.3kPa以下以下)で反応させ、水酸基を有するポリオレフィン(a2−2)96部を得た。(a2−2)のMnは20,000であった。
製造例1において、熱減成法ステンレス製のオートクレーブに、熱減成法で得られた低分子量ポリプロピレン90部および無水マレイン酸10部に代えて、熱減成法[エチレン/プロピレンランダム共重合体(エチレン含量2%)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)、20分間で熱減成]で得られた低分子量ポリプロピレン(Mn2,300、炭素数1,000当たりの二重結合量5.6個、1分子当たりの二重結合の平均数1.0、少なくとも片末端が変性可能なポリオレフィンの含有量93%)80部および無水マレイン酸20部を用いたこと以外は製造例1と同様にして、カルボニル基を有するポリオレフィン(a1−4)92部を得た。(a1−4)のMnは2,400であった。
次に、カルボニル基を有するポリオレフィン(a1−4)90部に対して、ビス(2−アミノエチル)エーテル10部を加え、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら、200℃で溶融し、2時間反応させた。その後、過剰のビス(2−アミノエチル)エーテルを減圧下(1.3kPa以下)、200℃、2時間で留去して、アミノ基を有するポリオレフィン(a3−1)を得た。(a3−1)のMnは2,500であった。
ステンレス製のオートクレーブに、水酸基を有するポリオレフィン(a2−1)88部、HDI12部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら200℃で溶融し、3時間、減圧下(1.3kPa以下以下)で反応させ、イソシアネート基を有するポリオレフィン(a4−1)96部を得た。(a4−1)のMnは19,900であった。
ステンレス製のオートクレーブに、イソシアネート基を有するポリオレフィン(a4−1)95部、エタノールアミン5部を加え、窒素ガス雰囲気下、180℃で溶融し、2時間反応させた。その後、過剰のエタノールアミンを減圧下(1.3kPa以下)、180℃、2時間で留去して、アミノ基を有するポリオレフィン(a3−2)を得た。(a3−2)のMnは19,950であった。
ステンレス製オートクレーブに、ε−カプロラクタム100.0部を仕込み、220℃、0.13kPa以下の減圧下で10時間重合させポリマーを得た。このポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによってナイロン6(b1−1)を得た。(b1−1)のMnは20,000であった。
ステンレス製オートクレーブに、12−アミノドデカン酸100.0部を仕込み、220℃、0.13kPa以下の減圧下で7時間重合させポリマーを得た。このポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによってナイロン12(b2−1)を得た。(b2−1)のMnは10,000であった。
ステンレス製オートクレーブに、11−アミノドデカン酸100.0部を仕込み、220℃、0.13kPa以下の減圧下で2時間重合させポリマーを得た。このポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによってナイロン11(b2−2)を得た。(b2−2)のMnは2,500であった。
ステンレス製オートクレーブに、アジピン酸55.7部、ヘキサメチレンジアミン44.3部を仕込み、220℃、0.13kPa以下の減圧下で5時間重合させポリマーを得た。このポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによってナイロン66(b3−1)を得た。(b3−1)のMnは5,000であった。
ステンレス製オートクレーブに、12−アミノドデカン酸50.3部、11−アミノドデカン酸49.3部、エタノールアミン0.4部を仕込み、220℃、0.13kPa以下の減圧下で2時間重合させポリマーを得た。このポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによって共重合ナイロン(b4−1)を得た。(b4−1)のMnは9,600であった。
ステンレス製オートクレーブに、カルボニル基を有するポリオレフィン(a1−1)49.5部、ナイロン12(b2−1)50.2部、酸化防止剤[商品名「イルガノックス1010」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製]0.3部を仕込み、220℃、0.13kPa以下の減圧下で3時間重合させ粘稠なポリマーを得た。このポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによって(a1−1)のブロックと(b2−1)のブロックからなるポリマー(A−1)を含有してなるポリオレフィン樹脂用炭素繊維分散剤(X−1)を得た。(A−1)の構造は[(a1−1)−(b2−1)]n(n=1)であり、(a1−1)と(b2−1)とはイミド結合を介して結合しており、Mnは20,000であった。
実施例1において、(a1−1)49.5部、(b2−1)50.2部に代えて、カルボニル基を有するポリオレフィン(a1−2)50.1部、ナイロン66(b3−1)49.6部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、(a1−2)と(b3−1)からなるポリマー(A−2)を含有してなるポリオレフィン樹脂用炭素繊維分散剤(X−2)を得た。(A−2)の構造は[(a1−2)−(b3−1)]n(n=10)であり、(a1−2)と(b3−1)とはイミド結合を介して結合しており、Mnは100,000であった。
実施例1において、(a1−1)49.5部、(b2−1)50.2部に代えて、水酸基を有するポリオレフィン(a2−1)70.5部、(b2−1)29.5部を用たこと以外は、実施例1と同様にして、(a2−1)のブロック、(b2−1)のブロックからなるポリマー(A−3)を含有してなるポリオレフィン樹脂用炭素繊維分散剤(X−3)を得た。(A−3)の構造は[(a2−1)−(b2−1)]n(n=1)であり、(a2−1)と(b2−1)とはエステル結合を介して結合しており、Mnは30,000であった。
実施例1において、(a1−1)49.5部、(b2−1)50.2部に代えて、水酸基を有するポリオレフィン(a2−2)50.6部、ナイロン6(b1−1)49.4部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、(a2−2)のブロックと(b1−1)のブロックからなるポリマー(A−4)を含有してなる帯電防止剤(X−4)を得た。(A−4)の構造は[(a2−2)−(b1−1)]n(n=1)であり、(a2−2)と(b1−1)とはエステル結合を介して結合しており、Mnは40,000であった。
実施例1において、(a1−1)49.5部、(b2−1)50.2部に代えて、アミノ基を有するポリオレフィン(a3−1)10.1部、ナイロン6(b1−1)89.9部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、(a3−1)のブロックと(b1−1)のブロックからなるポリマー(A−5)を含有してなる帯電防止剤(X−5)を得た。(A−5)の構造は[(a3−1)−(b1−1)]n(n=1)であり、(a3−1)と(b1−1)とはアミド結合を介して結合しており、Mnは23,000であった。
実施例1において、(a1−1)49.5部、(b2−1)50.2部に代えて、アミノ基を有するポリオレフィン(a3−2)89.3部、ナイロン11(b2−2)10.7部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、(a3−2)のブロックと(b2−2)のブロックからなるポリマー(A−6)を含有してなる帯電防止剤(X−6)を得た。(A−6)の構造は[(a3−2)−(b2−2)]n(n=1)であり、(a3−2)と(b2−2)とはアミド結合を介して結合しており、Mnは22,000であった。
実施例1において、(a1−1)49.5部、(b2−1)50.2部に代えて、アミノ基を有するポリオレフィン(a3−1)50.3部、ナイロン11(b2−2)49.7部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、(a3−1)のブロックと(b2−2)のブロックからなるポリマー(A−7)を含有してなる帯電防止剤(X−7)を得た。(A−7)の構造は[(a3−1)−(b2−2)]n(n=1)であり、(a3−1)と(b2−2)とはアミド結合を介して結合しており、Mnは5,000であった。
実施例1において、(a1−1)49.5部、(b2−1)50.2部に代えて、イソシアネート基を有するポリオレフィン(a4−1)40.9部、共重合ナイロン(b4−1)59.1部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、(a4−1)のブロックと(b4−1)のブロックからなるポリマー(A−8)を含有してなる帯電防止剤(X−8)を得た。(A−8)の構造は[(a4−1)−(b4−1)]n(n=1)であり、(a4−1)と(b4−1)とはウレタン結合を介して結合しており、Mnは29,500であった。
比較例として、(a1−1)100部をそのまま用いて、ブロックポリマー(比A−1)を含有してなるポリオレフィン樹脂用炭素繊維分散剤(比X−1)を得た。
比較例として、(b1−1)100部をそのまま用いて、ブロックポリマー(比A−2)を含有してなるポリオレフィン樹脂用炭素繊維分散剤(比X−2)を得た。
表1に示す配合組成(部)に従って、配合成分をヘンシェルミキサーで3分間混合した後、ベント付き2軸押出機[型番「2D25S」、(株)東洋精機製作所製]にて、100rpm、220℃、滞留時間5分の条件で溶融混練して、実施例8〜22、比較例3〜9のポリオレフィン樹脂組成物を作成した。各ポリオレフィン樹脂組成物について射出成形機[商品名「PS40E5ASE」、日精樹脂工業(株)]を用い、シリンダー温度220℃、金型温度50℃で成形し、所定の試験片を作成後、後述の評価方法に従って評価した。結果を表1に示す。
B−1:プロピレン−エチレン共重合体
[商品名:サンアロマーPM771M、サンアロマー(株)製]
B−2:ポリプロピレン樹脂
[商品名:サンアロマーPM900A、サンアロマー(株)製]
B−3:ポリエチレン樹脂
[商品名:UBEポリエチレンF222、宇部興産(株)製]
C−1:炭素繊維
[商品名「トレカT700SC−1200」、東レ(株)製、
ポリアクリロニトリル系]を繊維長5mmにカットしたもの
C−2:炭素繊維
[商品名「ダイヤリードK223SE」、三菱樹脂(株)製、ピッチ系]
を繊維長5mmにカットしたもの
(1)耐衝撃性(単位:kJ/m2)
ASTM D6110に準拠してシャルピー衝撃値を測定した。
(2)曲げ弾性率(単位:MPa)
ASTM D790に準拠して測定した。
(3)荷重たわみ温度(単位:℃)
荷重たわみ温度をJIS K7191−2に準拠して測定した。
上記(1)の試験後の試験片の破断面を観察し、(B)と(C)の親和性を以下の基準で評価した。
◎:(D)/(E)間に界面剥離なし
○:(D)/(E)間に界面剥離があるがごく一部
△:(D)/(E)間に界面剥離がやや多い
×:(D)/(E)間に界面剥離が多い
Claims (6)
- ポリオレフィン(a)のブロックと、ポリアミド(b)のブロックとがエステル結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合およびウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して結合したブロックポリマー(A)を含有してなり、前記(a)が、カルボニル基、水酸基、アミノ基およびイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を片末端又は両末端に有し、該(a)の数平均分子量が1,000〜30,000であって、前記(A)の構造が[(a)-(b)]n、(b)−[(a)-(b)]n及び[(a)-(b)]n−(a)からなる群から選ばれる少なくとも1種<但し、n=1〜10>であるポリオレフィン樹脂用炭素繊維分散剤(X)。
- (a)と(b)との重量比[(a)/(b)]が、10/90〜90/10である請求項1記載のポリオレフィン樹脂用炭素繊維分散剤。
- 請求項1または2記載のポリオレフィン樹脂用炭素繊維分散剤(X)とポリオレフィン樹脂(B)と炭素繊維(C)とを含有してなるポリオレフィン樹脂組成物。
- (X)とポリオレフィン樹脂(B)と炭素繊維(C)との合計重量に基づく割合が、(X)が0.1〜15%、(B)が30〜98%、(C)が1〜60%である請求項3記載の組成物。
- さらに、着色剤(G1)、難燃剤(G2)、(C)以外の充填剤(G3)、滑剤(G4)、帯電防止剤(G5)、(X)以外の分散剤(G6)、酸化防止剤(G7)および紫外線吸収剤(G8)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してなる請求項3または4記載の組成物。
- 請求項3〜5のいずれか記載の組成物を成形した成形品。
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