JP6635216B1 - 磁気記録媒体、磁気記録再生装置および磁気記録媒体カートリッジ - Google Patents

磁気記録媒体、磁気記録再生装置および磁気記録媒体カートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】使用時における良好な走行性能を発揮することのできる磁気記録媒体を提供する。【解決手段】この磁気記録媒体は、テープ状の磁気記録媒体であって、 基体と、その基体上に設けられた下地層と、その下地層上に設けられた磁性層とを有する。基体は、ポリエステルを主たる成分として含む。下地層の平均厚みは0.9μm以下である。下地層および磁性層は、潤滑剤を含む。磁性層は、多数の孔部が設けられた表面を有し、その表面の算術平均粗さRaは、2.5nm以下である。潤滑剤を除去および乾燥した状態における磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、3.5m2/g以上である。垂直方向における角形比は、65%以上である。磁性層の平均厚みは、90nm以下である。磁気記録媒体の平均厚みは、5.6μm以下である。【選択図】図1

Description

本開示は、磁気記録媒体、ならびにそれを用いた磁気記録再生装置および磁気記録媒体カートリッジに関する。
電子データの保存のために、テープ状の磁気記録媒体が幅広く利用されている。例えば特許文献1には、磁気記録媒体の電磁変換特性を向上するために、磁性層の表面を平滑化することが記載されている。また、同文献では、磁気記録媒体とヘッドの接触による摩擦を抑えるために、磁性層に潤滑剤を添加することが記載されている。
特開2006−65953号公報
ところで、このようなテープ状の磁気記録媒体においては、記録または再生時において安定して情報の記録または再生ができることが要求され。
したがって、使用時における良好な走行性能を発揮することのできる磁気記録媒体が望まれる。
本開示の一実施形態としての磁気記録媒体は、テープ状の磁気記録媒体であって、 基体と、その基体上に設けられた下地層と、その下地層上に設けられた磁性層とを有する。基体は、ポリエステルを主たる成分として含む。下地層の平均厚みは0.9μm以下である。下地層および磁性層は、潤滑剤を含む。磁性層は、多数の孔部が設けられた表面を有し、その表面の算術平均粗さRaは、2.5nm以下である。潤滑剤を除去および乾燥した状態における磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、3.5m2/g以上である。磁気記録媒体の垂直方向における角形比は、65%以上である。磁性層の平均厚みは、90nm以下である。磁気記録媒体の平均厚みは、5.6μm以下である。
本開示の一実施形態としての磁気記録再生装置は、上記磁気記録媒体(の巻回体を回転させることにより、磁気記録媒体)を順次送り出すことのできる送り出し装置と、その送り出し装置から送り出された磁気記録媒体を巻き取ることのできる巻き取り装置と、送り出し装置から巻き取り装置へ向けて走行する磁気記録媒体と接触しつつ、磁気記録媒体への情報書き込み、および磁気記録媒体からの情報読み出しを行うことのできる磁気ヘッドとを備える。
本開示の一実施形態としての磁気記録媒体および磁気記録再生装置では、下地層が比較的薄いので、材料コストが低減されるうえ、1カートリッジあたりの巻量向上が期待される。また、磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、3.5m2/g以上であるので、下地層を薄くした場合であっても、潤滑剤が磁気記録媒体の表面に安定して供給される。
本開示の一実施の形態に係る磁気記録媒体の断面図である。 図1に示した磁気記録媒体におけるデータバンドおよびサーボバンドのレイアウトを表す概略説明図である。 図2Aに示したデータバンドを拡大して表す概略説明図である。 図1に示した磁性層に含まれるε酸化鉄粒子の断面構造を模式的に表す断面図である。 図1に示した磁気記録媒体を用いる記録再生装置の概略図である。 変形例としてのε酸化鉄粒子の断面構造を模式的に表す断面図である。 他の変形例としての磁気記録媒体の断面図である。 引っ張り試験機を表す概略模式図である。 動摩擦係数の測定方法を説明する概略模式図である。
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.一実施の形態
1−1.磁気記録媒体の構成
1−2.磁気記録媒体の製造方法
1−3.記録再生装置の構成
1−4.効果
2.変形例
<1.一実施の形態>
[1−1 磁気記録媒体10の構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る磁気記録媒体10の断面構成例を表している。図1に示したように、磁気記録媒体10は複数層が積層された積層構造を有する。具体的には、磁気記録媒体10は、長尺のテープ状の基体11と、基体11の一方の主面11A上に設けられた下地層12と、下地層12の上に設けられた磁性層13と、基体11の他方の主面11B上に設けられたバック層14とを備える。磁性層13の表面13Sが、磁気ヘッドが当接しつつ走行することとなる表面となる。なお、下地層12およびバック層14は、必要に応じて備えられるものであり、無くてもよい。なお、磁気記録媒体10の平均厚みは、例えば5.6μm以下であるとよい。また、磁気記録媒体10のヤング率は、例えば7.78GPa以下であるとよい。
磁気記録媒体10のヤング率は、例えば引っ張り試験機により測定される。引っ張り試験機は、例えば図7に示したように、本体部81と、その本体部81に対して鉛直方向に上下動可能な可動部82と、本体部81に取り付けられる掴み冶具83と、可動部82に取り付けられる掴み冶具84とを備えている。掴み冶具83および掴み冶具84は、磁気記録媒体10から切り出した測定用サンプル10Sの端部をそれぞれ掴むための冶具である。引っ張り試験機としては、例えば島津製作所製の「AG−100D」を使用することができる。
図7に示した引っ張り試験機を用いて磁気記録媒体10の長手方向のヤング率を測定したい場合は、まず、磁気記録媒体10を180mmの長さにカットして測定用サンプル10Sを準備する。次に、上記引っ張り試験機における本体部81および可動部82に、測定用サンプル10Sを全幅(例えば1/2インチ)に亘って固定できる掴み冶具83および掴み冶具84をそれぞれ取り付けたのち、それら掴み冶具83および掴み冶具84により、測定用サンプル10Sの長手方向の両端部をそれぞれ固定する。その際、掴み冶具83と掴み冶具84との間隔は100mmとする。そののち、0.1mm/minの引っ張り速度で測定用サンプル10Sの長手方向へ掴み冶具83と掴み冶具84との間隔を広げていき、測定用サンプル10Sに応力を付与する。このときの応力の変化と伸び量とに基づき、以下の式を用いてヤング率を計算することができる。
E={(ΔN/S)/(ΔX/L)}×106[N/m2
但し、
ΔN:応力の変化[N]
S:測定用サンプル10Sの断面積[mm2
ΔX:伸び量[mm]
L:掴み冶具の間隔[mm]
応力の範囲は0.5Nから1.0Nとし、このときの応力の変化(ΔN)と伸び量(ΔX)とを計算に使用する。
磁気記録媒体10は長尺のテープ状をなし、記録動作および再生動作の際には、自らの長手方向に沿って走行することとなる。磁気記録媒体10は、例えば記録用ヘッドとしてリング型ヘッドを備える記録再生装置に用いられるものであることが好ましい。
(基体11)
基体11は、下地層12および磁性層13を支持する非磁性支持体である。基体11は、長尺のフィルム状をなしている。基体11の平均厚みの上限値は、好ましくは4.2μm以下、より好ましくは4.0μm以下である。基体11の平均厚みの上限値が4.2μm以下であると、1データカートリッジ内に記録できる記録容量を一般的な磁気記録媒体よりも高めることができる。基体11の平均厚みの下限値は、好ましくは3μm以上、より好ましくは3.2μm以上である。基体11の平均厚みの下限値が3μm以上であると、基体11の強度低下を抑制することができる。
基体11の平均厚みは以下のようにして求められる。まず、1/2インチ幅の磁気記録媒体10を準備し、それを250mmの長さに切り出し、サンプルを作製する。続いて、サンプルの基体11以外の層、すなわち下地層12、磁性層13およびバック層14をMEK(メチルエチルケトン)または希塩酸等の溶剤で除去する。次に、測定装置としてミツトヨ(Mitsutoyo)社製レーザーホロゲージ(LGH-110C)を用いて、サンプルである基体11の厚みを5点以上の位置で測定し、それらの測定値を単純に平均(算術平均)して、基体11の平均厚みを算出する。なお、測定位置は、サンプルから無作為に選ばれるものとする。
基体11は、例えば、ポリエステル類を主たる成分として含んでいる。基体11は、ポリエステル類に加えて、ポリオレフィン類、セルロース誘導体、ビニル系樹脂、およびその他の高分子樹脂のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。基体11が上記材料のうちの2種以上を含む場合、それらの2種以上の材料は混合されていてもよいし、共重合されていてもよいし、積層されていてもよい。
基体11に含まれるポリエステル類は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PCT(ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、PEB(ポリエチレン−p−オキシベンゾエート)およびポリエチレンビスフェノキシカルボキシレートのうちの少なくとも1種を含む。
基体11に含まれるポリオレフィン類は、例えば、PE(ポリエチレン)およびPP(ポリプロピレン)のうちの少なくとも1種を含む。セルロース誘導体は、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、CAB(セルロースアセテートブチレート)およびCAP(セルロースアセテートプロピオネート)のうちの少なくとも1種を含む。ビニル系樹脂は、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)およびPVDC(ポリ塩化ビニリデン)のうちの少なくとも1種を含む。
基体11に含まれるその他の高分子樹脂は、例えば、PA(ポリアミド、ナイロン)、芳香族PA(芳香族ポリアミド、アラミド)、PI(ポリイミド)、芳香族PI(芳香族ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、芳香族PAI(芳香族ポリアミドイミド)、PBO(ポリベンゾオキサゾール、例えばザイロン(登録商標))、ポリエーテル、PEK(ポリエーテルケトン)、ポリエーテルエステル、PES(ポリエーテルサルフォン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PSF(ポリスルフォン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PC(ポリカーボネート)、PAR(ポリアリレート)およびPU(ポリウレタン)のうちの少なくとも1種を含む。
(磁性層13)
磁性層13は、信号を記録するための記録層である。磁性層13は、例えば、磁性粉、結着剤および潤滑剤を含む。磁性層13が、必要に応じて、導電性粒子、研磨剤、防錆剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。
磁性層13は、多数の孔部13Aが設けられた表面13Sを有している。これらの多数の孔部13Aには、潤滑剤が蓄えられている。多数の孔部13Aは、磁性層13の表面に対して垂直方向に延設されていることが好ましい。磁性層13の表面13Sに対する潤滑剤の供給性を向上することができるからである。なお、多数の孔部13Aの一部が垂直方向に延設されていてもよい。
磁性層13の表面13Sの算術平均粗さRaは、2.5nm以下、好ましくは2.2nm以下、より好ましくは1.9nm以下である。算術平均粗さRaが2.5nm以下であると、優れた電磁変換特性を得ることができる。磁性層13の表面13Sの算術平均粗さRaの下限値は、好ましくは0.8nm以上、より好ましくは1.0nm以上である。磁性層13の表面13Sの算術平均粗さRaの下限値が0.8nm以上であると、摩擦の増大による走行性の低下を抑制することができる。
表面13Sの算術平均粗さRaは以下のようにして求められる。まず、磁性層13の表面をAFM(Atomic Force Microscope)により観察し、40μm×40μmのAFM像を得る。AFMとしてはDigital Instruments社製、Nano Scope IIIa D3100を用い、カンチレバーとしてはシリコン単結晶製のものを用い、タッピング周波数として200Hz〜400Hzのチューニングにて測定を行う。カンチレバーは、例えばNano World社製の「SPMプローブ NCH ノーマルタイプ PointProbe L(カンチレバー長)=125um」を用いることができる。次に、AFM像を512×512(=262,144)個の測定点に分割し、各測定点にて高さZ(i)(i:測定点番号、i=1〜262,144)を測定し、測定した各測定点の高さZ(i)を単純に平均(算術平均)して平均高さ(平均面)Zave(=(Z(1)+Z(2)+・・・+Z(262,144))/262,144)を求める。続いて、各測定点での平均中心線からの偏差Z”(i)(=|Z(i)−Zave|)を求め、算術平均粗さRa[nm](=(Z”(1)+Z”(2)+・・・+Z”( 262,144))/262,144)を算出する。この際には、画像処理として、Flatten order2、ならびに、planefit order 3 XYによりフィルタリング処理を行ったものをデータとして用いる。
潤滑剤を除去および乾燥した状態における磁気記録媒体10の全体のBET比表面積の下限値は、3.5m2/g以上、好ましくは4.0m2/g以上、より好ましくは4.5m2/g以上、さらにより好ましくは5.0m2/g以上である。BET比表面積の下限値が3.5m2/g以上であると、繰り返し記録または再生を行った後にも(すなわち磁気ヘッドを磁気記録媒体10の表面に接触させて繰り返し走行を行った後にも)、磁性層13の表面と磁気ヘッドの間に対する潤滑剤の供給量の低下を抑制することができる。したがって、動摩擦係数の増加を抑制することができる。
潤滑剤を除去および乾燥した状態における磁気記録媒体10の全体のBET比表面積の上限値は、好ましくは7.0m2/g以下、より好ましくは6.0m2/g以下、さらにより好ましくは5.5m2/g以下である。BET比表面積の上限値が7.0m2/g以下であると、多数回走行後にも潤滑剤を枯渇することなく十分に供給できる。したがって、動摩擦係数の増加を抑制することができる。
ここでいう潤滑剤を除去および乾燥した状態における磁気記録媒体10とは、磁気記録媒体10を常温のヘキサンに24時間に亘って浸漬させたのち、ヘキサンから取り出して自然乾燥させた状態の磁気記録媒体10をいう。
BJH法により求められる磁気記録媒体10の全体の平均細孔直径は、6nm以上12nm以下、好ましくは7nm以上10nm以下、より好ましくは7.5nm以上10nm以下である。平均細孔直径が6nm以上12nm以下であると、上述した動摩擦係数の増加を抑制する効果をさらに向上させることができる。
BET比表面積および細孔分布(細孔容積、脱着時最大細孔容積の細孔直径)は以下のようにして求められる。まず、面積0.1265m2より1割程度大きいサイズの磁気記録媒体10をヘキサン中(テープが十分に浸漬できる量、例えば、150mL)に24時間浸したのち、自然乾燥させ、面積0.1265m2(例えば、乾燥後のテープの両端50cmを切り落とし、テープ幅×10mを準備する。)のサイズに切り出すことにより、測定サンプルを作製する。次に、比表面積・細孔分布測定装置を用いて、BJH法により細孔分布(細孔容積及び平均細孔直径)を求める。以下に、測定装置および測定条件を示す。このようにして、細孔の平均直径が測定される。
測定環境:室温
測定装置:Micromeritics社製3FLEX
測定吸着質:N2ガス
測定圧力範囲(P/P0):0〜0.995
前記測定圧力範囲に関して、圧力は以下の表の通りに変化される。以下の表における圧力値は相対圧P/P0である。以下の表において、例えばステップ1において、開始圧0.000から到達圧0.010へ、10秒当たり0.001変化するように、圧力が変化される。圧力が到達圧に達したら、次のステップにおける圧力変化が行われる。ステップ2〜10においても同様である。ただし、各ステップにおいて、圧力が平衡に達していない場合は、装置は圧力が平衡になるのを待ってから次のステップに移行する。
Figure 0006635216
磁性層13は、例えば図2Aに示すように、複数のサーボバンドSBと複数のデータバンドDBとを予め有していることが好ましい。図2Aは、磁気記録媒体10におけるデータバンドDBおよびサーボバンドSBのレイアウトを表す概略説明図であり、積層構造を有する磁気記録媒体10における積層方向と直交する面内のレイアウトを表している。図2Aに示したように、複数のサーボバンドSBは、磁気記録媒体10の幅方向に等間隔で設けられている。磁気記録媒体10の幅方向とは、磁気記録媒体10の長手方向および磁気記録媒体10の積層方向の双方に対して直交する方向である。幅方向において隣り合うサーボバンドSB同士の間には、データバンドDBが設けられている。サーボバンドSBには、磁気ヘッドのトラッキング制御をするためのサーボ信号が予め書き込まれている。データバンドDBには、ユーザデータが記録される。
磁性層13の表面13Sの面積Sに対するサーボバンドSBの総面積SSBの割合RS(=(SSB/S)×100)の上限値は、高記録容量を確保する観点から、好ましくは4.0%以下、より好ましくは3.0%以下、さらにより好ましくは2.0%以下である。一方、磁性層13の表面の面積Sに対するサーボバンドSBの総面積SSBの割合RSの下限値は、5以上のサーボトラックを確保する観点から、好ましくは0.8%以上である。
磁性層13の表面の面積Sに対するサーボバンドSBの総面積SSBの割合RSは、例えば、磁気記録媒体10を、フェリコロイド現像液(株式会社シグマハイケミカル製、シグマ―カーQ)を用いて現像し、その後、現像した磁気記録媒体10を光学顕微鏡で観察することで測定することができる。光学顕微鏡の観察像から、サーボバンド幅WSBおよびサーボバンドSBの本数を測定する。次に、以下の式から割合RSを求める。
割合RS[%]=(((サーボバンド幅WSB)×(サーボバンド本数))/(磁気記録媒体10の幅))×100
サーボバンドSBの数は、好ましくは5以上、より好ましくは5+4n(但し、nは正の整数である。)以上である。サーボバンドSBの数が5以上であると、磁気記録媒体10の幅方向の寸法変化によるサーボ信号への影響を抑制し、オフトラックが少ない安定した記録再生特性を確保できる。
サーボバンド幅WSBの上限値は、高記録容量を確保する観点から、好ましくは95μm以下、より好ましくは60μm以下、さらにより好ましくは30μm以下である。サーボバンド幅WSBの下限値は、記録ヘッド製造の観点から、好ましくは10μm以上である。サーボバンド幅WSBの幅は以下のようにして求められる。まず、磁気記録媒体10を、フェリコロイド現像液(株式会社シグマハイケミカル製、シグマ―カーQ)を用いて現像する。次に、現像した磁気記録媒体10を光学顕微鏡で観察することでサーボバンド幅WSBの幅を測定することができる。
磁性層13は、図2Bに示したように、データバンドDBに複数のデータトラックTkを形成可能に構成されている。この場合、データトラック幅WTkの上限値は、高記録容量を確保する観点から、好ましくは2.0μm以下、より好ましくは1.5μm以下、さらにより好ましくは1.0μm以下である。データトラック幅WTkの下限値は、磁性粒子サイズの観点から、好ましくは0.02μm以上である。
磁性層13は、高記録容量を確保する観点から、磁化反転間距離Lの最小値が好ましくは48nm以下、より好ましくは44nm以下、さらにより好ましくは40nm以下となるように、データを記録可能に構成されている。磁化反転間距離Lの最小値の下限値は、磁性粒子サイズの観点から考慮される。
磁性層13の平均厚みの上限値は、好ましくは90nm以下、特に好ましくは80nm以下、より好ましくは70nm以下、さらにより好ましくは50nm以下である。磁性層13の平均厚みの上限値が90nm以下であると、記録ヘッドとしてはリング型ヘッドを用いた場合に、自己減磁損失や厚み損失などを軽減できるため、電磁変換特性を向上することができる。
磁性層13の平均厚みの下限値は、好ましくは35nm以上である。磁性層13の平均厚みの上限値が35nm以上であると、再生ヘッドとしてはMR型ヘッドを用いた場合に、出力を確保できるため、電磁変換特性を向上することができる。
磁性層13の平均厚みは以下のようにして求められる。まず、磁気記録媒体10の磁性層13の表面13Sおよびバック層14の表面14Sにカーボン膜を蒸着法により形成したのち、磁性層13の表面13Sを覆うカーボン膜の上にタングステン薄膜を蒸着法によりさらに形成する。これらのカーボン膜およびタングステン膜は、後述の薄片化処理においてサンプルを保護するものである。
次に、磁気記録媒体10をFIB(Focused Ion Beam)法等により加工して薄片化を行う。FIB法を使用する場合には、後述の断面のTEM像を観察する前処理として、保護膜としてカーボン膜及びタングステン薄膜を形成する。当該カーボン膜は蒸着法により磁気記録媒体10の磁性層側表面及びバック層側表面に形成され、そして、当該タングステン薄膜は蒸着法又はスパッタリング法により磁性層側表面にさらに形成される。当該薄片化は磁気記録媒体10の長さ方向(長手方向)に沿って行われる。すなわち、当該薄片化によって、磁気記録媒体10の長手方向及び厚み方向の両方に平行な断面が形成される。得られた薄片化サンプルの前記断面を、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)により、下記の条件で観察し、TEM像を得る。なお、装置の種類に応じて、倍率及び加速電圧は適宜調整されてよい。
装置:TEM(日立製作所製H9000NAR)
加速電圧:300kV
倍率:100,000倍
次に、得られたTEM像を用い、磁気記録媒体10の長手方向で少なくとも10点以上の位置で磁性層13の厚さを測定する。得られた測定値を単純に平均(算術平均)した平均値を磁性層13の平均厚みとする。なお、測定位置は、試験片から無作為に選ばれるものとする。
(磁性粉)
磁性粉は、例えば、ε酸化鉄を含有するナノ粒子(以下「ε酸化鉄粒子」という。)の粉末を含んでいる。ε酸化鉄粒子は微粒子でも高保磁力を得ることができる。ε酸化鉄粒子に含まれるε酸化鉄は、磁気記録媒体10の厚み方向(垂直方向)に優先的に結晶配向していることが好ましい。
図3は、磁性層13に含まれるε酸化鉄粒子20の断面構造の一例を模式的に表す断面図である。図3に示したように、ε酸化鉄粒子20は、球状もしくはほぼ球状を有しているか、または立方体状もしくはほぼ立方体状を有している。ε酸化鉄粒子20が上記のような形状を有しているので、磁性粒子としてε酸化鉄粒子20を用いた場合、磁性粒子として六角板状のバリウムフェライト粒子を用いた場合に比べて、磁気記録媒体10の厚み方向における粒子同士の接触面積を低減し、粒子同士の凝集を抑制することができる。したがって、磁性粉の分散性を高め、より良好なSNR(Signal-to-Noise Ratio)を得ることができる。
ε酸化鉄粒子20は、例えばコアシェル型構造を有していてもよい。具体的には、ε酸化鉄粒子20は、図3に示したように、コア部21と、このコア部21の周囲に設けられた2層構造のシェル部22とを備える。2層構造のシェル部22は、コア部21上に設けられた第1シェル部22aと、第1シェル部22a上に設けられた第2シェル部22bとを有する。
ε酸化鉄粒子20におけるコア部21は、ε酸化鉄を含んでいる。コア部21に含まれるε酸化鉄は、ε−Fe2 3 結晶を主相とするものが好ましく、単相のε−Fe2 3からなるものがより好ましい。
第1シェル部22aは、コア部21の周囲のうちの少なくとも一部を覆っている。具体的には、第1シェル部22aは、コア部21の周囲を部分的に覆っていてもよいし、コア部21の周囲全体を覆っていてもよい。コア部21と第1シェル部22aの交換結合を十分なものとし、磁気特性を向上する観点からすると、コア部21の表面全体を覆っていることが好ましい。
第1シェル部22aは、いわゆる軟磁性層であり、例えば、α−Fe、Ni−Fe合金またはFe−Si−Al合金等の軟磁性体を含む。α−Feは、コア部21に含まれるε酸化鉄を還元することにより得られるものであってもよい。
第2シェル部22bは、酸化防止層としての酸化被膜である。第2シェル部22bは、α酸化鉄、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を含む。α酸化鉄は、例えばFe3 4 、Fe2 3 およびFeOのうちの少なくとも1種の酸化鉄を含んでいる。第1シェル部22aがα−Fe(軟磁性体)を含む場合には、α酸化鉄は、第1シェル部22aに含まれるα−Feを酸化することにより得られるものであってもよい。
ε酸化鉄粒子20が、上述のように第1シェル部22aを有することで、熱安定性を確保するためにコア部21単体の保磁力Hcを大きな値に保ちつつ、ε酸化鉄粒子(コアシェル粒子)20全体としての保磁力Hcを記録に適した保磁力Hcに調整できる。また、ε酸化鉄粒子20が、上述のように第2シェル部22bを有することで、磁気記録媒体10の製造工程およびその工程前において、ε酸化鉄粒子20が空気中に暴露されて粒子表面に錆び等が発生することによりε酸化鉄粒子20の特性が低下するのを抑制することができる。したがって、第1シェル部22aを第2シェル部22bにより覆うことで、磁気記録媒体10の特性劣化を抑制することができる。
磁性粉の平均粒子サイズ(平均最大粒子サイズ)は、好ましくは25nm以下、より好ましくは8nm以上22nm以下、さらにより好ましくは12nm以上22nm以下である。磁気記録媒体10では、記録波長の1/2のサイズの領域が実際の磁化領域となる。このため、磁性粉の平均粒子サイズを最短記録波長の半分以下に設定することで、良好なS/Nを得ることができる。したがって、磁性粉の平均粒子サイズが22nm以下であると、高記録密度の磁気記録媒体10(例えば50nm以下の最短記録波長で信号を記録可能に構成された磁気記録媒体10)において、良好な電磁変換特性(例えばSNR)を得ることができる。一方、磁性粉の平均粒子サイズが8nm以上であると、磁性粉の分散性がより向上し、より優れた電磁変換特性(例えばSNR)を得ることができる。
磁性粉の平均アスペクト比が、好ましくは1以上3.0以下、より好ましくは1以上2.8以下、さらにより好ましくは1以上1.8以下である。磁性粉の平均アスペクト比が1以上3.0以下の範囲内であると、磁性粉の凝集を抑制することができると共に、磁性層13の形成工程において磁性粉を垂直配向させる際に、磁性粉に加わる抵抗を抑制することができる。したがって、磁性粉の垂直配向性を向上することができる。
上記の磁性粉の平均粒子サイズおよび平均アスペクト比は、以下のようにして求められる。まず、測定対象となる磁気記録媒体10をFIB(Focused Ion Beam)法等により加工して薄片化を行う。薄片化は磁気テープの長さ方向(長手方向)に沿うかたちで行う。すなわち、この薄片化によって、磁気記録媒体10の長手方向および厚み方向の双方に平行な断面が形成される。得られた薄片サンプルについて、透過電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製 H-9500)を用いて、加速電圧:200kV、総合倍率500,000倍で磁性層13の厚み方向に対して磁性層13全体が含まれるように断面観察を行い、TEM写真を撮影する。次に、撮影したTEM写真から50個の粒子を無作為に選び出し、各粒子の長軸長DLと短軸長DSとを測定する。ここで、長軸長DLとは、各粒子の輪郭に接するように、あらゆる角度から引いた2本の平行線間の距離のうち最大のもの(いわゆる最大フェレ径)を意味する。一方、短軸長DSとは、粒子の長軸長DLと直交する方向における粒子の長さのうち最大のものを意味する。
続いて、測定した50個の粒子の長軸長DLを単純に平均(算術平均)して平均長軸長DLaveを求める。このようにして求めた平均長軸長DLaveを磁性粉の平均粒子サイズとする。また、測定した50個の粒子の短軸長DSを単純に平均(算術平均)して平均短軸長DSaveを求める。そして、平均長軸長DLaveおよび平均短軸長DSaveから粒子の平均アスペクト比(DLave/DSave)を求める。
磁性粉の平均粒子体積は、好ましくは5500nm3以下、より好ましくは270nm3以上5500nm3以下、さらにより好ましくは900nm3以上5500nm3以下である。磁性粉の平均粒子体積が5500nm3以下であると、磁性粉の平均粒子サイズを22nm以下とする場合と同様の効果が得られる。一方、磁性粉の平均粒子体積が270nm3以上であると、磁性粉の平均粒子サイズを8nm以上とする場合と同様の効果が得られる。
ε酸化鉄粒子20が球状またはほぼ球状を有している場合には、磁性粉の平均粒子体積は以下のようにして求められる。まず、上記の磁性粉の平均粒子サイズの算出方法と同様にして、平均長軸長DLaveを求める。次に、以下の式により、磁性粉の平均体積Vを求める。
V=(π/6)×(DLave)3
(結着剤)
結着剤としては、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等に架橋反応を付与した構造の樹脂が好ましい。しかしながら結着剤はこれらに限定されるものではなく、磁気記録媒体10に対して要求される物性等に応じて、その他の樹脂を適宜配合してもよい。配合する樹脂としては、通常、塗布型の磁気記録媒体10において一般的に用いられる樹脂であれば、特に限定されない。
例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂、または反応型樹脂の例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
また、上述した各結着剤には、磁性粉の分散性を向上させる目的で、−SO3 M、−OSO3 M、−COOM、P=O(OM)2 等の極性官能基が導入されていてもよい。ここで、上記化学式中のMは、水素原子、またはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。
さらに、極性官能基としては、−NR1R2、−NR1R2R3+-の末端基を有する側鎖型のもの、>NR1R2+-の主鎖型のものが挙げられる。ここで、上記式中のR1、R2、R3は、水素原子、または炭化水素基であり、X-は弗素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオン、または無機もしくは有機イオンである。また、極性官能基としては、−OH、−SH、−CN、エポキシ基等も挙げられる。
(潤滑剤)
磁性層13に含まれる潤滑剤は、例えば脂肪酸および脂肪酸エステルを含有している。潤滑剤に含有される脂肪酸は、例えば下記の一般式<1>により示される化合物および一般式<2>により示される化合物のうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。また、潤滑剤に含有される脂肪酸エステルは、下記の一般式<3>により示される化合物および一般式<4>により示される化合物のうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。潤滑剤が、一般式<1>により示される化合物および一般式<3>により示される化合物の2種を含むことにより、一般式<2>により示される化合物および一般式<3>により示される化合物の2種を含むことにより、一般式<1>により示される化合物および一般式<4>により示される化合物の2種を含むことにより、一般式<2>により示される化合物および一般式<4>により示される化合物の2種を含むことにより、一般式<1>により示される化合物、一般式<2>により示される化合物および一般式<3>により示される化合物の3種を含むことにより、一般式<1>により示される化合物、一般式<2>により示される化合物および一般式<4>により示される化合物の3種を含むことにより、一般式<1>により示される化合物、一般式<3>により示される化合物および一般式<4>により示される化合物の3種を含むことにより、一般式<2>により示される化合物、一般式<3>により示される化合物および一般式<4>により示される化合物の3種を含むことにより、または、一般式<1>により示される化合物、一般式<2>により示される化合物、一般式<3>により示される化合物および一般式<4>により示される化合物の4種を含むことにより、磁気記録媒体10における繰り返しの記録又は再生による動摩擦係数の増加を抑制することができる。その結果、磁気記録媒体10の走行性をさらに向上させることができる。
CH3(CH2nCOOH …<1>
(但し、前記一般式<1>において、nは14以上22以下の範囲から選ばれる整数である。)
CH3(CH2pCOO(CH2qCH3…<2>
(但し、前記一般式<2>において、pは14以上22以下の範囲から選ばれる整数であり、qは2以上5以下の範囲から選ばれる整数である。)
CH3(CH2nCH=CH(CH2mCOOH …<3>
(但し、前記一般式<>において、n+mは12以上20以下の範囲から選ばれる整数である。)
CH3(CH2pCOO−(CH2qCH(CH32…<4>
(但し、前記一般式<>において、pは14以上22以下の範囲から選ばれる整数であり、qは1以上3以下の範囲から選ばれる整数である。)
(添加剤)
磁性層13は、非磁性補強粒子として、酸化アルミニウム(α、βまたはγアルミナ)、酸化クロム、酸化珪素、ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタンカーバイト、炭化珪素、炭化チタン、酸化チタン(ルチル型またはアナターゼ型の酸化チタン)等をさらに含んでいてもよい。
(下地層12)
下地層12は、非磁性粉および結着剤を含む非磁性層である。下地層12が、必要に応じて、潤滑剤、導電性粒子、硬化剤および防錆剤等のうちの少なくとも1種の添加剤をさらに含んでいてもよい。また、下地層12は、複数層が積層されてなる多層構造を有していてもよい。下地層12の平均厚みは、好ましくは0.5μm以上0.9μm以下、より好ましくは0.6μm以上0.7μm以下である。下地層12の平均厚みを0.9μm以下に薄くすることにより、基体11の厚みを薄くする場合よりも磁気記録媒体10全体のヤング率が効果的に低下する。このため、磁気記録媒体10に対するテンションコントロールが容易となる。また、下地層12の平均厚みを0.5μm以上とすることにより、基体11と下地層12との接着力が確保される。そのうえ、下地層12の厚みのばらつきを抑えることができ、磁性層13の表面13Sの粗さが大きくなるのを防ぐことができる。
なお、下地層12の平均厚みは、例えば次のように求められる。まず、1/2インチ幅の磁気記録媒体10を準備し、それを250mmの長さに切り出し、サンプルを作製する。続いて、サンプルの磁気記録媒体10について、下地層12および磁性層13を基体11から剥がす。次に、測定装置としてミツトヨ(Mitutoyo)社製レーザーホロゲージ(LGH-110C)を用い、基体11から剥がした下地層12と磁性層13との積層体の厚みを、5点以上の位置で測定する。そののち、それらの測定値を単純平均(算術平均)し、下地層12と磁性層13との積層体の平均厚みを算出する。なお、測定位置は、サンプルから無作為に選ばれるものとする。最後に、その積層体の平均厚みから、上述のようにTEMを用いて測定した磁性層13の平均厚みを差し引くことにより、下地層12の平均厚みを求める。
下地層12は、細孔を有していてよく、すなわち、下地層12は、多数の細孔が設けられていてもよい。下地層12の細孔は、例えば磁性層13に細孔(孔部13A)を形成することに伴い形成されてよく、特には、磁気記録媒体10のバック層14の表面14Sに設けられた多数の突部を磁性層側表面に押し当てることによって形成されうる。すなわち、突部の形に対応する凹部が磁性層13の表面13Sに形成されることによって、磁性層13および下地層12に細孔がそれぞれ形成されうる。また、磁性層形成用塗料の乾燥工程で溶剤が揮発することに伴い細孔が形成されてもよい。また、磁性層13を形成するために磁性層形成用塗料を下地層12の表面に塗布した際に磁性層形成用塗料中の溶剤が下層を塗布乾燥させた際に形成された下地層12の細孔を通り、下地層12内に浸透しうる。そののち磁性層13の乾燥工程において下地層12内に浸透した溶剤が揮発する際に、下地層12内に浸透した溶剤が下地層12から磁性層13の表面13Sへ移動していくことによって細孔が形成されてもよい。このように形成された細孔は、例えば磁性層13と下地層12とを連通しているものでありうる。磁性層形成用塗料の固形分若しくは溶剤の種類及び/又は磁性層形成用塗料の乾燥条件を変更することによって、細孔の平均直径を調整することが出来る。磁性層13および下地層12の両方に細孔が形成されていることによって、良好な走行安定性のために特に適した量の潤滑剤が磁性層側表面に現れ、繰り返しの記録又は再生による動摩擦係数の増加をさらに抑制することができる。
繰り返し記録または再生後における動摩擦係数の低下を抑制する観点からすると、下地層12の孔部と磁性層13の孔部13Aとがつながっていることが好ましい。ここで、下地層12の孔部と磁性層13の孔部13Aとがつながっているとは、下地層12の多数の孔部のうちの一部のものと、磁性層13の多数の孔部13Aのうちの一部のものとがつながっている状態を含むものとする。
磁性層13の表面13Sに対する潤滑剤の供給性を向上する観点からすると、多数の孔部は、磁性層13の表面13Sに対して垂直方向に延設されているものを含んでいることが好ましい。また、磁性層13の表面13Sに対する潤滑剤の供給性を向上する観点からすると、磁性層13の表面13Sに対して垂直方向に延設された下地層12の孔部と、磁性層13の表面13Sに対して垂直方向に延設された磁性層13の孔部13Aとがつながっていることが好ましい。
(下地層12の非磁性粉)
非磁性粉は、例えば無機粒子粉または有機粒子粉の少なくとも1種を含む。また、非磁性粉は、カーボンブラック等の炭素粉を含んでいてもよい。なお、1種の非磁性粉を単独で用いてもよいし、2種以上の非磁性粉を組み合わせて用いてもよい。無機粒子は、例えば、金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物または金属硫化物等を含む。非磁性粉の形状としては、例えば、針状、球状、立方体状、板状等の各種形状が挙げられるが、これに限定されるものではない。
(下地層12の結着剤)
下地層12における結着剤は、上述の磁性層13と同様である。
(バック層14)
バック層14は、例えば結着剤および非磁性粉を含んでいる。バック層14が、必要に応じて潤滑剤、硬化剤および帯電防止剤等のうちの少なくとも1種の添加剤をさらに含んでいてもよい。バック層14における結着剤および非磁性粉は、上述の下地層12における結着剤および非磁性粉と同様である。
バック層14における非磁性粉の平均粒子サイズは、好ましくは10nm以上150nm以下、より好ましくは15nm以上110nm以下である。バック層14の非磁性粉の平均粒子サイズは、上記の磁性層13における磁性粉の平均粒子サイズと同様にして求められる。非磁性粉が、2以上の粒度分布を有するものを含んでいてもよい。
バック層14の平均厚みの上限値は、好ましくは0.6μm以下であり、特に好ましくは0.5μm以下である。バック層14の平均厚みの上限値が0.6μm以下であると、磁気記録媒体10の平均厚みが5.6μm以下である場合でも、下地層12や基体11の厚みを厚く保つことができるので、磁気記録媒体10の記録再生装置内での走行安定性を保つことができる。バック層14の平均厚みの下限値は特に限定されるものではないが、例えば0.2μm以上であり、特に好ましくは0.3μm以上である。
バック層14の平均厚みは以下のようにして求められる。まず、1/2インチ幅の磁気記録媒体10を準備し、それを250mmの長さに切り出し、サンプルを作製する。次に、測定装置としてミツトヨ(Mitutoyo)社製レーザーホロゲージ(LGH-110C)を用いて、サンプルである磁気記録媒体10の厚みを5点以上で測定し、それらの測定値を単純に平均(算術平均)して、磁気記録媒体10の平均厚みtT[μm]を算出する。なお、測定位置は、サンプルから無作為に選ばれるものとする。続いて、サンプルの磁気記録媒体10からバック層14をMEK(メチルエチルケトン)または希塩酸等の溶剤で除去する。そののち、再び上記のレーザーホロゲージを用い、磁気記録媒体10からバック層14を除去したサンプルの厚みを5点以上で測定し、それらの測定値を単純平均(算術平均)してバック層14を除去した磁気記録媒体10の平均厚みtB[μm]を算出する。なお、測定位置は、サンプルから無作為に選ばれるものとする。最後に、以下の式よりバック層14の平均厚みtb[μm]を求める。
b[μm]=tT[μm]−tB[μm]
図1に示したように、バック層14は、多数の突部14Aが設けられた表面を有している。多数の突部14Aは、磁気記録媒体10をロール状に巻き取った状態において、磁性層13の表面13Sに多数の孔部13Aを形成するためのものである。多数の孔部13Aは、例えば、バック層14の表面から突出された多数の非磁性粒子により形成される。
(磁気記録媒体10の平均厚み)
磁気記録媒体10の平均厚み(平均全厚)の上限値は、好ましくは5.6μm以下、より好ましくは5.2μm以下、特に好ましくは4.8μm以下、さらにより好ましくは4.4μm以下である。磁気記録媒体10の平均厚みが5.6μm以下であると、1データカートリッジ内に記録できる記録容量を一般的な磁気記録媒体よりも高めることができる。磁気記録媒体10の平均厚みの下限値は特に限定されるものではないが、例えば3.5μm以上である。
磁気記録媒体10の平均厚みtTは以下のようにして求められる。まず、1/2インチ幅の磁気記録媒体10を準備し、それを250mmの長さに切り出し、サンプルを作製する。次に、測定装置としてMitutoyo社製レーザーホロゲージ(LGH-110C)を用いて、サンプルの厚みを5点以上の位置で測定し、それらの測定値を単純に平均(算術平均)して、平均値tT[μm]を算出する。なお、測定位置は、サンプルから無作為に選ばれるものとする。
(保磁力Hc)
磁気記録媒体10の長手方向における保磁力Hcの上限値は、好ましくは2000Oe以下、より好ましくは1900Oe以下、さらにより好ましくは1800Oe以下である。長手方向における保磁力Hc2が2000Oe以下であると、記録ヘッドからの垂直方向の磁界により感度良く磁化が反応するため、良好な記録パターンを形成することができる。
磁気記録媒体10の長手方向に測定した保磁力Hcの下限値が、好ましくは1000Oe以上である。長手方向にける保磁力Hcの下限値が1000Oe以上であると、記録ヘッドからの漏れ磁束による減磁を抑制することができる。
上記の保磁力Hcは以下のようにして求められる。磁気記録媒体10を3枚重ね合わせて両面テープで接着したのち、φ6.39mmのパンチで打ち抜くことにより測定サンプルを作成する。この際に、磁気記録媒体の長手方向(走行方向)が認識できるように、磁性を持たない任意のインクでマーキングを行う。そして、振動試料型磁力計(Vibrating Sample Magnetometer:VSM)を用いて磁気記録媒体10の長手方向(磁気記録媒体10の走行方向)に対応する測定サンプル(磁気記録媒体10全体)のM−Hループを測定する。次に、アセトンまたはエタノール等を用いて塗膜(下地層12、磁性層13およびバック層14等)を払拭し、基体11のみを残す。そして、得られた基体11を両面テープで3枚重ね合わせて接着したのち、φ6.39mmのパンチで打ち抜くことによりバックグラウンド補正用のサンプル(以下、単に補正用サンプルという。)を得る。そののち、VSMを用いて基体11の長手方向(磁気記録媒体10の走行方向)に対応する補正用サンプル(基体11)のM−Hループを測定する。
測定サンプル(磁気記録媒体10全体)のM−Hループおよび補正用サンプル(基体11)のM−Hループの測定においては、例えば東英工業製の好感度振動試料型磁力計「VSM−P7−15型」が用いられる。測定条件は、測定モード:フルループ、最大磁界:15kOe、磁界ステップ:40bit、Time constant of Locking amp:0.3sec、Waiting time:1sec、MH平均数:20とする。
2つのM−Hループを得たのち、測定サンプル(磁気記録媒体10全体)のM−Hループから補正用サンプル(基体11)のM−Hループが差し引かれることで、バックグラウンド補正が行われ、バックグラウンド補正後のM−Hループが得られる。このバックグラウンド補正の計算には、「VSMP7−15型」に付属されている測定・解析プログラムが用いられる。
得られたバックグラウンド補正後のM−Hループから保磁力Hcが求められる。なお、この計算には、「VSM−P7−15型」に付属されている測定・解析プログラムが用いられる。なお、上記のM−Hループの測定はいずれも、25℃にて行われるものとする。また、M−Hループを磁気記録媒体10の長手方向に測定する際の"反磁界補正"は行わないものとする。
(角形比)
磁気記録媒体10の垂直方向(厚み方向)における角形比S1は、例えば65%以上であり、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらにより好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上である。角形比S1が65%以上であると、磁性粉の垂直配向性が十分に高くなるため、より優れたSNRを得ることができる。
角形比S1は以下のようにして求められる。磁気記録媒体10を3枚重ね合わせて両面テープで接着したのち、φ6.39mmのパンチで打ち抜くことにより測定サンプルを作成する。この際に、磁気記録媒体の長手方向(走行方向)が認識できるように、磁性を持たない任意のインクでマーキングを行う。そして、振動試料型磁力計(Vibrating Sample Magnetometer:VSM)を用いて磁気記録媒体10の長手方向(磁気記録媒体10の走行方向)に対応する測定サンプル(磁気記録媒体10全体)のM−Hループを測定する。次に、アセトンまたはエタノール等を用いて塗膜(下地層12、磁性層13およびバック層14等)を払拭し、基体11のみを残す。そして、得られた基体11を両面テープで3枚重ね合わせて接着したのち、φ6.39mmのパンチで打ち抜くことによりバックグラウンド補正用のサンプル(以下、単に補正用サンプルという。)を得る。そののち、VSMを用いて基体11の長手方向(磁気記録媒体10の走行方向)に対応する補正用サンプル(基体11)のM−Hループを測定する。
測定サンプル(磁気記録媒体10全体)のM−Hループおよび補正用サンプル(基体11)のM−Hループの測定においては、例えば東英工業製の好感度振動試料型磁力計「VSM−P7−15型」が用いられる。測定条件は、測定モード:フルループ、最大磁界:15kOe、磁界ステップ:40bit、Time constant of Locking amp:0.3sec、Waiting time:1sec、MH平均数:20とする。
2つのM−Hループを得たのち、測定サンプル(磁気記録媒体10全体)のM−Hループから補正用サンプル(基体11)のM−Hループが差し引かれることで、バックグラウンド補正が行われ、バックグラウンド補正後のM−Hループが得られる。このバックグラウンド補正の計算には、「VSMP7−15型」に付属されている測定・解析プログラムが用いられる。
得られたバックグラウンド補正後のM−Hループの飽和磁化Ms(emu)および残留磁化Mr(emu)を以下の式に代入して、角形比S1(%)を計算する。
角形比S1(%)=(Mr/Ms)×100
なお、上記のM−Hループの測定はいずれも、25℃にて行われるものとする。また、M−Hループを磁気記録媒体10の垂直方向に測定する際の“反磁界補正”は行わないものとする。
磁気記録媒体10の長手方向(走行方向)における角形比S2が、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、特に好ましくは20%以下、最も好ましくは15%以下である。角形比S2が35%以下であると、磁性粉の垂直配向性が十分に高くなるため、より優れたSNRを得ることができる。
角形比S2は、M−Hループを磁気記録媒体10および基体11の長手方向(走行方向)に測定すること以外は角形比S1と同様にして求められる。
(活性化体積Vact)
活性化体積Vactが、好ましくは8000nm3以下、より好ましくは6000nm3以下、さらにより好ましくは5000nm3以下、特に好ましくは4000nm3以下、最も好ましくは3000nm3以下である。活性化体積Vactが8000nm3以下であると、磁性粉の分散状態が良好になるため、ビット反転領域を急峻にすることができ、記録ヘッドからの漏れ磁界により、隣接するトラックに記録された磁化信号が劣化することを抑制できる。したがって、より優れたSNRが得られる。
上記の活性化体積Vactは、Street&Woolleyにより導出された下記の式により求められる。
Vact(nm3)=kB×T×Χirr/(μ0×Ms×S)
(但し、kB:ボルツマン定数(1.38×10-23J/K)、T:温度(K)、Χirr:非可逆磁化率、μ0:真空の透磁率、S:磁気粘性係数、Ms:飽和磁化(emu/cm3))
上記式に代入される非可逆磁化率Χirr、飽和磁化Msおよび磁気粘性係数Sは、VSMを用いて以下のようにして求められる。VSMに用いる測定サンプルは、磁気記録媒体10を両面テープで3枚重ね合わされたものをφ6.39mmのパンチで打ち抜くことにより作製される。この際に、磁気記録媒体10の長手方向(走行方向)が認識できるように、磁性を持たない任意のインクでマーキングを行う。なお、VSMによる測定方向は、磁気記録媒体10の厚み方向(垂直方向)とする。また、VSMによる測定は、長尺状の磁気記録媒体10から切り出された測定サンプルに対して25℃にて行われるものとする。また、M−Hループを磁気記録媒体10の厚み方向(垂直方向)に測定する際の“反磁界補正”は行わないものとする。さらに、測定サンプル(磁気記録媒体10の全体)のM−Hループ、補正用サンプル(基体11)のM−Hループの測定においては、東英工業社製の高感度振動試料型磁力計「VSM−P7−15型」が用いられる。測定条件は、測定モード:フルループ、最大磁界:15kOe、磁界ステップ:40bit、Time constant of Locking amp:0.3sec、Waiting time:1sec、MH平均数:20とされる。
(非可逆磁化率Χirr)
非可逆磁化率Χirrは、残留磁化曲線(DCD曲線)の傾きにおいて、残留保磁力Hr付近における傾きと定義される。まず、磁気記録媒体10全体に−1193kA/m(15kOe)の磁界を印加し、磁界をゼロに戻し残留磁化状態とする。その後、反対方向に約15.9kA/m(200Oe)の磁界を印加し再びゼロに戻し残留磁化量を測定する。その後も同様に、先ほどの印加磁界よりもさらに15.9kA/m大きい磁界を印加しゼロに戻す測定を繰り返し行い、印加磁界に対して残留磁化量をプロットしDCD曲線を測定する。得られたDCD曲線から、磁化量ゼロとなる点を残留保磁力Hrとし、さらにDCD曲線を微分し、各磁界におけるDCD曲線の傾きを求める。このDCD曲線の傾きにおいて、残留保磁力Hr付近の傾きがΧirrとなる。
(飽和磁化Ms)
まず、上記の保磁力Hcの測定方法と同様にして、バックグラウンド補正後のM−Hループを得る。次に、得られたM−Hループの飽和磁化Ms(emu)の値と、測定サンプル中の磁性層13の体積(cm3)から、Ms(emu/cm3)を算出する。なお、磁性層13の体積は測定サンプルの面積に磁性層13の平均厚みを乗ずることにより求められる。磁性層13の体積の算出に必要な磁性層13の平均厚みの算出方法は、上述した通りである。
(磁気粘性係数S)
まず、磁気記録媒体10(測定サンプル)全体に−1193kA/m(15kOe)の磁界を印加し、磁界をゼロに戻し残留磁化状態とする。そののち、反対方向に、DCD曲線より得られた残留保磁力Hrの値と同等の磁界を印加する。磁界を印加した状態で1000秒間、磁化量を一定の時間間隔で継続的に測定する。このようにして得られた、時間tと磁化量M(t)との関係を以下の式に照らし合わせて磁気粘性係数Sを算出する。
M(t)=M0+S×ln(t)
(但し、M(t):時間tの磁化量、M0:初期の磁化量、S:磁気粘性係数、ln(t):時間の自然対数)
(摩擦係数比(μB/μA))
磁気記録媒体10は、好ましくは、磁気記録媒体10の長手方向に0.4Nの張力を加えた状態における磁気記録媒体10の磁性層13の表面13Sと磁気ヘッドとの間の動摩擦係数μAと、磁気記録媒体10の長手方向に1.2Nの張力を加えた状態における磁気記録媒体100の磁性層13の表面13Sと磁気ヘッドとの間の動摩擦係数μBとの摩擦係数比(μB/μA)が1.0以上2.0以下であり、より好ましくは1.0以上1.8以下であり、さらにより好ましくは1.0以上1.6以下である。摩擦係数比(μB/μA)が上記数値範囲内にあることによって、走行時の張力変動による動摩擦係数の変化を小さくすることができるため、磁気記録媒体10の走行を安定させることができる。
摩擦係数比(μB/μA)を算出するための動摩擦係数μAおよび動摩擦係数μBは以下のとおりにして求められる。先ず、図8に示したように、1/2インチ幅の磁気記録媒体10を、互いに離間して平行に配置された1インチ径の円柱状の2本のガイドロール91,92に磁性層13の表面13Sが接触するように載せる。2本のガイドロール91,92は、互いの位置関係が固定されている。
次いで、LTO5ドライブに搭載されているヘッドブロック(記録再生用)93に対し、磁気記録媒体10を、磁性層13の表面13Sが接触し、かつ抱き角θ1[°]=5.6°となるように接触させ、磁気記録媒体10の一端を掴み治具94により把持して可動式ストレインゲージ95と繋ぐと共に、磁気記録媒体10の他端に錘96を吊り下げ、0.4NのテンションT0を付与する。なお、ヘッドブロック93は、抱き角θ1[°]が5.6°となった位置において固定されるようになっている。これにより、ガイドロール91,92とヘッドブロック93との位置関係も固定される。
次いで、可動式ストレインゲージ95によって、磁気記録媒体10を、ヘッドブロック93に対して10mm/sの速度で可動式ストレインゲージ95へ向かうように60mm摺動させる。この摺動時の可動式ストレインゲージ95の出力値(電圧)を、事前に取得されている出力値と荷重との直線関係(後述する)に基づき、T[N]に変換する。上記60mmの摺動の摺動開始から摺動停止までの間に、13回T[N]を取得し、最初と最後の計2回を除いた11個のT[N]を単純平均することによって、Tave[N]が得られる。
その後、以下の式より動摩擦係数μAを求める。
Figure 0006635216
上述の直線関係は以下のとおりに得られる。すなわち、可動式ストレインゲージ95に0.4Nの荷重をかけた場合と1.5Nの荷重をかけた場合のそれぞれについて、可動式ストレインゲージ95の出力値(電圧)を得る。得られた2つの出力値と前記2つの荷重とから、出力値と荷重との直線関係が得られる。当該直線関係を用いて、上記のとおり、摺動時の可動式ストレインゲージ95による出力値(電圧)がT[N]に変換される。
動摩擦係数μBは、前記他端に付与されるテンションT0[N]を1.2Nとすること以外は動摩擦係数μAの測定方法と同じ方法で測定される。
以上のとおりにして測定された動摩擦係数μA及び動摩擦係数μBから、摩擦係数比(μB/μA)が算出される。
磁気記録媒体10に加わる張力が0.6Nであるときの磁性層13の表面13Sと磁気ヘッドの間の動摩擦係数をμCとした場合、走行開始から5回目の動摩擦係数μC(5)と走行開始から1000回目の動摩擦係数μC(1000)との摩擦係数比(μC(1000)/μC(5))が、好ましくは1.0以上2.0以下、より好ましくは1.2以上1.8以下である。摩擦係数比(μC(1000)/μC(5))が1.0以上で2.0以下であると、多数回走行による動摩擦係数の変化を小さくできるため、磁気記録媒体10の走行を安定させることができる。ここで、磁気ヘッドとしては磁気記録媒体10に対応したドライブのものを用いるものとする。
(摩擦係数比(μC(1000)/μC(5)))
摩擦係数比(μC(1000)/μC(5))を算出するための動摩擦係数μC(5)および動摩擦係数μC(1000)は以下のとおりにして求められる。
磁気記録媒体10は、好ましくは、長手方向に0.6Nの張力を加えた状態にある前記磁気記録媒体を、磁気ヘッド上を5往復摺動させた場合の5往復目における動摩擦係数μC(5)と、当該磁気ヘッド上を1000往復させた場合の1000往復目における動摩擦係数μC(1000)との摩擦係数比(μC(1000)/μC(5))が1.0〜2.0であり、より好ましくは1.0〜1.8であり、さらにより好ましくは1.0〜1.6である。摩擦係数比(μC(1000)/μC(5))が上記数値範囲内にあることによって、多数回走行による動摩擦係数の変化を小さくすることができるため、磁気記録媒体10の走行を安定させることができる。
摩擦係数比(μC(1000)/μC(5))を算出するための動摩擦係数μC(5)及び動摩擦係数μC(1000)は以下のとおりにして求められる。
磁気記録媒体10の前記他端に付与されるテンションT0[N]を0.6Nとすること以外は動摩擦係数μAの測定方法と同じようにして、磁気記録媒体10を可動式ストレインゲージ71と繋ぐ。そして、磁気記録媒体10を、ヘッドブロック74に対して10mm/sにて可動式ストレインゲージへ向かって60mm摺動させ(往路)及び可動式ストレインゲージから離れるように60mm摺動させる(復路)。この往復動作を1000回繰り返す。この1000回の往復動作のうち、5回目の往路の60mmの摺動の摺動開始から摺動停止までの間に、ストレインゲージの出力値(電圧)を13回を取得し、動摩擦係数μAで求めた出力値と荷重との直線関係(後述する)に基づき、T[N]に変換する。最初と最後の計2回を除いた11個を単純平均することによりTave[N]を求める。以下の式により、動摩擦係数μC(5)を求める。
Figure 0006635216
さらに、動摩擦係数μC(1000)は、1000回目の往路の測定をすること以外は動摩擦係数μC(5)と同様にして求める。
以上のとおりにして測定された動摩擦係数μC(5)及び動摩擦係数μC(1000)から、摩擦係数比μC(1000)/μC(5)が算出される。
[1−2 磁気記録媒体10の製造方法]
次に、上述の構成を有する磁気記録媒体10の製造方法について説明する。まず、非磁性粉、結着剤および潤滑剤等を溶剤に混練、分散させることにより、下地層形成用塗料を調製する。次に、磁性粉、結着剤および潤滑剤等を溶剤に混練、分散させることにより、磁性層形成用塗料を調製する。次に、結着剤および非磁性粉等を溶剤に混練、分散させることにより、バック層形成用塗料を調製する。磁性層形成用塗料、下地層形成用塗料およびバック層形成用塗料の調製には、例えば、以下の溶剤、分散装置および混練装置を用いることができる。
上述の塗料調製に用いられる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、適宜混合して用いてもよい。
上述の塗料調製に用いられる混練装置としては、例えば、連続二軸混練機、多段階で希釈可能な連続二軸混練機、ニーダー、加圧ニーダー、ロールニーダー等の混練装置を用いることができるが、特にこれらの装置に限定されるものではない。また、上述の塗料調製に用いられる分散装置としては、例えば、ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、スパイクミル、ピンミル、タワーミル、パールミル(例えばアイリッヒ社製「DCPミル」等)、ホモジナイザー、超音波分散機等の分散装置を用いることができるが、特にこれらの装置に限定されるものではない。
次に、下地層形成用塗料を基体11の一方の主面11Aに塗布して乾燥させることにより、下地層12を形成する。続いて、この下地層12上に磁性層形成用塗料を塗布して乾燥させることにより、磁性層13を下地層12上に形成する。なお、乾燥の際に、例えばソレノイドコイルにより、磁性粉を基体11の厚み方向に磁場配向させることが好ましい。また、乾燥の際に、例えばソレノイドコイルにより、磁性粉を基体11の走行方向(長手方向)に磁場配向させたのちに、基体11の厚み方向に磁場配向させるようにしてもよい。このような磁場配向処理をすることで、磁性粉の垂直配向度(すなわち角形比S1)を向上することができる。磁性層13の形成後、バック層形成用塗料を基体11の他方の主面11Bに塗布して乾燥させることにより、バック層14を形成する。これにより、磁気記録媒体10が得られる。
角形比S1、S2は、例えば、磁性層形成用塗料の塗膜に印加される磁場の強度、磁性層形成用塗料中における固形分の濃度、磁性層形成用塗料の塗膜の乾燥条件(乾燥温度および乾燥時間)を調整することにより所望の値に設定される。塗膜に印加される磁場の強度は、磁性粉の保磁力の2倍以上であることが好ましい。角形比S1をさらに高めるためには(すなわち角形比S2をさらに低めるためには)、磁性層形成用塗料中における磁性粉の分散状態を向上させることが好ましい。また、角形比S1をさらに高めるためには、磁性粉を磁場配向させるための配向装置に磁性層形成用塗料が入る前の段階で、磁性粉を磁化させておくことも有効である。なお、上記の角形比S1、S2の調整方法は単独で使用されてもよいし、2以上組み合わされて使用されてもよい。
その後、得られた磁気記録媒体10にカレンダー処理を行い、磁性層13の表面13Sを平滑化する。次に、カレンダー処理が施された磁気記録媒体10をロール状に巻き取ったのち、この状態で磁気記録媒体10に加熱処理を行うことにより、バック層14の表面の多数の突部14Aを磁性層13の表面13Sに転写する。これにより、磁性層13の表面13Sに多数の孔部13Aが形成される。
加熱処理の温度は、50℃以上80℃以下であることが好ましい。加熱処理の温度が50℃以上であると、良好な転写性を得ることができる。一方、加熱処理の温度が80℃以上であると、細孔量が多くなりすぎ、磁性層13の表面13Sの潤滑剤が過多になってしまうおそれがある。ここで、加熱処理の温度は、磁気記録媒体10を保持する雰囲気の温度である。
加熱処理の時間は、15時間以上40時間以下であることが好ましい。加熱処理の時間が15時間以上であると、良好な転写性を得ることができる。一方、加熱処理の時間が40時間以下であると、生産性の低下を抑制することができる。
最後に、磁気記録媒体10を所定の幅(例えば1/2インチ幅)に裁断する。以上により、目的とする磁気記録媒体10が得られる。
以上の製造方法では、バック層14の表面14Sに設けられた多数の突部14Aを、磁性層13の表面13Sに転写することにより、磁性層13の表面に細孔(孔部13A)が形成されるが、細孔の形成方法はこれに限定されるものではない。例えば、磁性層形成用塗料に含まれる溶剤の種類の調整及び/又は磁性層形成用塗料の乾燥条件の調整によって、磁性層13の表面13Sに細孔が形成されてもよい。また、例えば磁性層形成用塗料の溶剤が乾燥する過程において、磁性層形成用塗料に含まれる固形物と溶剤の偏在により細孔が形成されうる。また、磁性層形成用塗料を塗布する過程において、磁性層形成用塗料に含まれる溶剤は、下層を塗布乾燥させた際に形成された下地層12の細孔を通って下地層12にも吸収されうる。前記塗布後の乾燥工程で下地層12から磁性層13を通って溶剤が移動することによって、磁性層13と下地層12とを連通する細孔が形成されうる。
[1−3 記録再生装置30の構成]
次に、図4を参照して、上述の磁気記録媒体10への情報の記録、および上述の磁気記録媒体10からの情報の再生を行う記録再生装置30の構成について説明する。
記録再生装置30は、磁気記録媒体10の長手方向に加わるテンションを調整可能な構成を有している。また、記録再生装置30は、磁気記録媒体カートリッジ10Aを装填可能な構成を有している。ここでは、説明を容易とするために、記録再生装置30が1つの磁気記録媒体カートリッジ10Aを装填可能な構成を有している場合について説明する。但し、本開示では、記録再生装置30が、複数の磁気記録媒体カートリッジ10Aを装填可能な構成を有していてもよい。
記録再生装置30は、例えばネットワーク43を介してサーバ41およびパーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)42等の情報処理装置に接続されており、これらの情報処理装置から供給されたデータを磁気記録媒体カートリッジ10Aに記録可能に構成されている。
記録再生装置30は、図4に示したように、スピンドル31と、リール32と、駆動装置33と、駆動装置34と、複数のガイドローラ35と、ヘッドユニット36と、通信インターフェース(以下、I/Fと記す)37と、制御装置38とを備える。
スピンドル31は、磁気記録媒体カートリッジ10Aを装着可能に構成されている。磁気記録媒体カートリッジ10Aは、LTO(Linear Tape Open)規格に準拠しており、カートリッジケース10Bに磁気記録媒体10を巻装した単一のリール10Cを回転可能に収容している。磁気記録媒体10には、サーボ信号としてハの字状のサーボパターンが予め記録されている。リール32は、磁気記録媒体カートリッジ10Aから引き出された磁気記録媒体10の先端を固定可能に構成されている。
駆動装置33は、スピンドル31を回転駆動させる装置である。駆動装置34は、リール32を回転駆動させる装置である。磁気記録媒体10に対してデータの記録または再生を行う際には、駆動装置33と駆動装置34とが、スピンドル31とリール32とをそれぞれ回転駆動させることによって、磁気記録媒体10を走行させる。ガイドローラ35は、磁気記録媒体10の走行をガイドするためのローラである。
ヘッドユニット36は、磁気記録媒体10にデータ信号を記録するための複数の記録ヘッドと、磁気記録媒体10に記録されているデータ信号を再生するための複数の再生ヘッドと、磁気記録媒体10に記録されているサーボ信号を再生するための複数のサーボヘッドとを備える。記録ヘッドとしては例えばリング型ヘッドを用いることができ、再生ヘッドとしては例えば磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いることができるが、記録ヘッドおよび再生ヘッドの種類はこれに限定されるものではない。
I/F37は、サーバ41およびPC42等の情報処理装置と通信するためのものであり、ネットワーク43に対して接続される。
制御装置38は、記録再生装置30の全体を制御する。例えば、制御装置38は、サーバ41およびPC42等の情報処理装置の要求に応じて、情報処理装置から供給されるデータ信号をヘッドユニット36により磁気記録媒体10に記録する。また、制御装置38は、サーバ41およびPC42等の情報処理装置の要求に応じて、ヘッドユニット36により、磁気記録媒体10に記録されたデータ信号を再生し、情報処理装置に供給する。
[1−4 効果]
このように、本実施の形態の磁気記録媒体10は、基体11と下地層12と磁性層13とが積層されたテープ状の部材であり、以下の(1)から(8)の各構成要件を満たすようにしたものである。
(1)基体11は、ポリエステルを主たる成分として含む。
(2)下地層12の平均厚みは0.9μm以下である。
(3)下地層12および磁性層13は、潤滑剤を含む。
(4)磁性層13は、多数の孔部13Aが設けられた表面13Sを有し、その表面13Sの算術平均粗さRaは、2.5nm以下である。
(5)潤滑剤を除去および乾燥した状態における磁気記録媒体10の全体のBET比表面積は、3.5m2/mg以上である。
(6)磁気記録媒体10の垂直方向における角形比は、65%以上である。
(7)磁性層13の平均厚みは、90nm以下である。
(8)磁気記録媒体10の平均厚みは、5.6μm以下である。
本実施の形態の磁気記録媒体10は、このような構成を有することにより、その全体の厚みが薄い場合であっても、繰り返し記録または繰り返し再生を実行したのちの動摩擦係数の増加を抑制できる。また、下地層12が比較的薄いので、材料コストを低減できるうえ、1つの磁気記録媒体カートリッジ10Aに装填可能な磁気記録媒体10の巻量向上を図ることができる。さらに、基体11の厚みに対する下地層12の厚みが低減されるので磁気記録媒体10の全体のヤング率を低減できる。ポリエステルを主成分とする基体11のヤング率よりも非磁性粉および結着剤を含む下地層12のヤング率が高いことから、たとえ磁気記録媒体10の厚みが不変であっても、基体11の厚みに対する下地層12の厚みが低減されることで、磁気記録媒体10のヤング率を決定する要因として基体11がより支配的になる。磁気記録媒体10の全体のヤング率を低減できるので、磁気記録媒体10に対し、その長手方向に沿ったテンションを印加しつつ磁気記録媒体10を走行させる場合、その印加するテンションに対する磁気記録媒体10の変形の応答性が向上する。よって、記録再生装置30において記録または再生を行う際に、磁気記録媒体10の走行安定性を向上させることができる。
<2.変形例>
(変形例1)
上記の一実施の形態では、2層構造のシェル部22を有するε酸化鉄粒子20(図3)を例示して説明したが、本技術の磁気記録媒体は、例えば図5に示したように、単層構造のシェル部23を有するε酸化鉄粒子20Aを含むようにしてもよい。ε酸化鉄粒子20Aにおけるシェル部23は、例えば第1シェル部22aと同様の構成を有する。但し、特性劣化を抑制する観点においては、変形例1のε酸化鉄粒子20Aよりも上記の一実施の形態で説明した2層構造のシェル部22を有するε酸化鉄粒子20が好ましい。
(変形例2)
上記一実施の形態の磁気記録媒体10では、コアシェル構造を有するε酸化鉄粒子20を例示して説明したが、ε酸化鉄粒子が、コアシェル構造に代えて添加剤を含んでいてもよいし、コアシェル構造を有すると共に添加剤を含んでいてもよい。この場合、ε酸化鉄粒子のFeの一部が添加剤で置換される。ε酸化鉄粒子が添加剤を含むことによっても、ε酸化鉄粒子全体としての保磁力Hcを記録に適した保磁力Hcに調整できるため、記録容易性を向上することができる。添加剤は、鉄以外の金属元素、好ましくは3価の金属元素、より好ましくはAl(アルミニウム)、Ga(ガリウム)およびIn(インジウム)のうちの少なくとも1種、さらにより好ましくはAlおよびGaのうちの少なくとも1種である。
具体的には、添加剤を含むε酸化鉄は、ε−Fe2-xMxO3結晶(但し、Mは鉄以外の金属元素、好ましくは3価の金属元素、より好ましくはAl、GaおよびInのうちの少なくとも1種、さらにより好ましくはAlおよびGaのうちの少なくとも1種である。xは、例えば0<x<1である。)である。
(変形例3)
本開示の磁性粉は、ε酸化鉄粒子の粉末に代えて、六方晶フェライトを含有するナノ粒子(以下「六方晶フェライト粒子」という。)の粉末を含むようにしてもよい。六方晶フェライト粒子は、例えば、六角板状またはほぼ六角板状を有する。六方晶フェライトは、好ましくはBa(バリウム)、Sr(ストロンチウム)、Pb(鉛)およびCa(カルシウム)のうちの少なくとも1種、より好ましくはBaおよびSrのうちの少なくとも1種を含む。六方晶フェライトは、具体的には例えばバリウムフェライトまたはストロンチウムフェライトであってもよい。バリウムフェライトは、Ba以外にSr、PbおよびCaのうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。ストロンチウムフェライトは、Sr以外にBa、PbおよびCaのうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
より具体的には、六方晶フェライトは、一般式MFe1219で表される平均組成を有する。但し、Mは、例えばBa、Sr、PbおよびCaのうちの少なくとも1種の金属、好ましくはBaおよびSrのうちの少なくとも1種の金属である。Mが、Baと、Sr、PbおよびCaからなる群より選ばれる1種以上の金属との組み合わせであってもよい。また、Mが、Srと、Ba、PbおよびCaからなる群より選ばれる1種以上の金属との組み合わせであってもよい。上記一般式においてFeの一部が他の金属元素で置換されていてもよい。
磁性粉が六方晶フェライト粒子の粉末を含む場合、磁性粉の平均粒子サイズは、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、さらにより好ましくは30nm以下である。磁性粉の平均粒子サイズは、25nm以下、22nm以下、21nm以下、もしくは20nm以下であるとなおよい。また、磁性粉の平均粒子サイズは、例えば10nm以上であり、好ましくは12nm以上、より好ましくは15nm以上であるとよい。したがって、六方晶フェライト粒子の粉末を含む磁性粉の平均粒子サイズは、例えば10nm以上50nm以下、10nm以上40nm以下、12nm以上30nm以下、12nm以上25nm以下、または15nm以上22nm以下とすることができる。磁性粉の平均粒子サイズが上記上限値以下である場合(例えば50nm以下、特には30nm以下である場合)、高記録密度の磁気記録媒体10において、良好な電磁変換特性(例えばSNR)を得ることができる。磁性粉の平均粒子サイズが上記下限値以上である場合(例えば10nm以上、好ましくは12nm以上である場合)、磁性粉の分散性がより向上し、より優れた電磁変換特性(例えばSNR)を得ることができる。
磁性粉が六方晶フェライト粒子の粉末を含む場合、磁性粉の平均アスペクト比は、好ましくは1以上3.5以下、より好ましくは1以上3.1以下、又は1.5以上3.0以下、さらにより好ましくは1.8以上2.8以下でありうる。磁性粉の平均アスペクト比が上記数値範囲内にあることによって、磁性粉の凝集を抑制することができ、さらに、磁性層13の形成工程において磁性粉を垂直配向させる際に、磁性粉に加わる抵抗を抑制することができる。これは、磁性粉の垂直配向性の向上をもたらしうる。
なお、六方晶フェライト粒子の粉末を含む磁性粉の平均粒子サイズおよび平均アスペクト比は以下のようにして求められる。まず、測定対象となる磁気記録媒体10をFIB(Focused Ion Beam)法等により加工して薄片化を行う。薄片化は磁気テープの長さ方向(長手方向)に沿うかたちで行う。得られた薄片サンプルについて、透過電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製 H-9500)を用いて、加速電圧:200kV、総合倍率500,000倍で記録層の厚み方向に対して記録層全体が含まれるように断面観察を行う。次に、撮影したTEM写真から観察面の方向に側面を向けている粒子を50個選び出し、各粒子の最大板厚DAを測定する。このようにして求めた最大板厚DAを単純に平均(算術平均)して平均最大板厚DAaveを求める。続いて、各磁性粉の板径DBを測定する。ここで、板径DBとは、磁性粉の輪郭に接するように、あらゆる角度から引いた2本の平行線間の距離のうち最大のもの(いわゆる最大フェレ径)を意味する。続いて、測定した板径DBを単純平均(算術平均)して平均板径DBaveを求める。そして、平均最大板厚DAaveおよび平均板径DBaveから粒子の平均アスペクト比(DBave/DAave)を求める。
磁性粉が六方晶フェライト粒子の粉末を含む場合、磁性粉の平均粒子体積は、好ましくは5900nm3以下、より好ましくは500nm3以上3400nm3以下、さらにより好ましくは1000nm3以上2500nm3以下である。磁性粉の平均粒子体積が5900nm3以下であると、磁性粉の平均粒子サイズを30nm以下とする場合と同様の効果が得られる。一方、磁性粉の平均粒子体積が500nm3以上であると、磁性粉の平均粒子サイズを12nm以上とする場合と同様の効果が得られる。
なお、磁性粉の平均粒子体積は以下のようにして求められる。まず、上記の磁性粉の平均粒子サイズの算出方法により、平均最大板厚DAaveおよび平均板径DBaveを求める。次に、以下の式により、ε酸化鉄粒子の平均体積Vを求める。
V=3√3/8×DAave×DBave×DBave2
本技術の特に好ましい実施態様に従い、前記磁性粉は、バリウムフェライト磁性粉又はストロンチウムフェライト磁性粉であり、より好ましくはバリウムフェライト磁性粉でありうる。バリウムフェライト磁性粉は、バリウムフェライトを主相とする鉄酸化物の磁性粒子(以下「バリウムフェライト粒子」という。)を含む。バリウムフェライト磁性粉は、例えば高温多湿環境でも抗磁力が落ちないなど、データ記録の信頼性が高い。このような観点から、バリウムフェライト磁性粉は、前記磁性粉として好ましい。
バリウムフェライト磁性粉の平均粒子サイズは、50nm以下、より好ましくは10nm以上40nm以下、さらにより好ましくは12nm以上25nm以下である。
磁性層13が磁性粉としてバリウムフェライト磁性粉を含む場合、磁性層13の平均厚みtm[nm]が、35nm≦tm≦100nmであることが好ましく、特に好ましくは80nm以下である。また、磁気記録媒体10の厚み方向(垂直方向)に測定した保磁力Hcが、好ましくは160kA/m以上280kA/m以下、より好ましくは165kA/m以上275kA/m以下、更により好ましくは170kA/m以上270kA/m以下である。
(変形例4)
磁性粉は、ε酸化鉄粒子の粉末に代えて、Co含有スピネルフェライトを含有するナノ粒子(以下「コバルトフェライト粒子」という。)の粉末を含むようにしてもよい。コバルトフェライト粒子は、一軸異方性を有することが好ましい。コバルトフェライト粒子は、例えば、立方体状またはほぼ立方体状を有している。Co含有スピネルフェライトが、Co以外にNi、Mn、Al、CuおよびZnのうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
Co含有スピネルフェライトは、例えば以下の式で表される平均組成を有する。
Cox y Fe2 Z
(但し、式(1)中、Mは、例えば、Ni、Mn、Al、CuおよびZnのうちの少なくとも1種の金属である。xは、0.4≦x≦1.0の範囲内の値である。yは、0≦y≦0.3の範囲内の値である。但し、x、yは(x+y)≦1.0の関係を満たす。zは3≦z≦4の範囲内の値である。Feの一部が他の金属元素で置換されていてもよい。)
磁性粉がコバルトフェライト粒子の粉末を含む場合、磁性粉の平均粒子サイズは、好ましくは25nm以下、より好ましくは10nm以上23nm以下である。磁性粉の平均粒子サイズが25nm以下であると、高記録密度の磁気記録媒体10において、良好な電磁変換特性(例えばSNR)を得ることができる。一方、磁性粉の平均粒子サイズが10nm以上であると、磁性粉の分散性がより向上し、より優れた電磁変換特性(例えばSNR)を得ることができる。磁性粉がコバルトフェライト粒子の粉末を含む場合、磁性粉の平均アスペクト比は上述の一実施形態と同様である。また、磁性粉の平均粒子サイズおよび平均アスペクト比も上述の一実施形態の算出方法と同様にして求められる。
磁性粉の平均粒子体積は、好ましくは15000nm3以下、より好ましくは1000nm3以上12000nm3以下である。磁性粉の平均粒子体積が15000nm3以下であると、磁性粉の平均粒子サイズを25nm以下とする場合と同様の効果が得られる。一方、磁性粉の平均粒子体積が1000nm3以上であると、磁性粉の平均粒子サイズを10nm以上とする場合と同様の効果が得られる。なお、磁性粉の平均粒子体積は、上述の一実施形態における磁性粉の平均粒子体積の算出方法(ε酸化鉄粒子が立方体状またはほぼ立方体状を有している場合の平均粒子体積の算出方法)と同様である。
コバルトフェライト磁性粉の保磁力Hcは、好ましくは2500Oe以上、より好ましくは2600Oe以上3500Oe以下である。
(変形例5)
磁気記録媒体10は、例えば図6に示したように、基体11の少なくとも一方の表面に設けられたバリア層15をさらに備えるようにしてもよい。バリア層15は、基体11が有する環境に応じた寸法変化を抑制するための層である。例えば、その寸法変化を及ぼす原因の一例として、基体11の吸湿性があるが、バリア層15を設けることにより基体11への水分の侵入速度を低減することができる。バリア層15は、例えば、金属または金属酸化物を含む。ここでいう金属としては、例えば、Al、Cu、Co、Mg、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、Ba、Pt、AuおよびTaのうちの少なくとも1種を用いることができる。金属酸化物としては、例えば、上記金属を1種または2種以上含む金属酸化物を用いることができる。より具体的には例えば、Al23、CuO、CoO、SiO2 、Cr23、TiO2、Ta2 5 およびZrO2 のうちの少なくとも1種を用いることができる。また、バリア層15が、ダイヤモンド状炭素(Diamond-Like Carbon:DLC)またはダイヤモンド等を含むようにしてもよい。
バリア層15の平均厚みは、好ましくは20nm以上1000nm以下、より好ましくは50nm以上1000nm以下である。バリア層15の平均厚みは、磁性層13の平均厚みと同様にして求められる。但し、TEM像の倍率は、バリア層15の厚みに応じて適宜調整される。
(変形例6)
上記の一実施の形態では、バック層14の表面に設けられた多数の突部14Aを、磁性層13の表面13Sに転写することにより、磁性層13の表面13Sに多数の孔部13Aを形成する場合について説明したが、多数の孔部13Aの形成方法はこれに限定されるものではない。例えば、磁性層形成用塗料に含まれる溶剤の種類および磁性層形成用塗料の乾燥条件等を調整することで、磁性層13の表面13Sに多数の孔部13Aを形成するようにしてもよい。
(変形例7)
上述の一実施形態に係る磁気記録媒体10をライブラリ装置に用いるようにしてもよい。この場合、ライブラリ装置は、上述の一実施形態における記録再生装置30を複数備えるものであってもよい。
以下、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、垂直方向における角形比S1、長手方向における角形比S2、細孔分布(細孔容積、脱着時最大細孔容積の細孔直径)、BET比表面積、平均アスペクト比、磁性粉の平均粒子サイズ、磁性粉の平均粒子体積、磁性層の平均厚み、下地層の平均厚み、バック層の平均厚み、基体の平均厚み、および磁性層の表面の算術平均粗さは、上述の一実施形態にて説明した測定方法により求められた値である。
[実施例1]
実施例1としての磁気記録媒体を以下のようにして得た。
<磁性層形成用塗料の調製工程>
磁性層形成用塗料を以下のようにして調製した。まず、下記配合の第1組成物をエクストルーダで混練した。次に、ディスパーを備えた攪拌タンクに、混練した第1組成物と、下記配合の第2組成物を加えて予備混合を行った。続いて、さらにサンドミル混合を行い、フィルター処理を行い、磁性層形成用塗料を調製した。
(第1組成物)
第1組成物における各構成要素および重量は以下の通りである。
・バリウムフェライト(BaFe1219)粒子の粉末(六角板状、平均アスペクト比2.8、平均粒子体積1950nm3):100質量部
・塩化ビニル系樹脂(シクロヘキサノン溶液30質量%):42質量部 (溶剤含む)
(重合度300、Mn=10000、極性基としてOSO3K=0.07mmol/g、
2級OH=0.3mmol/gを含有する。)
・酸化アルミニウム粉末:5質量部(α−Al23、平均粒径0.1μm)
・カーボンブラック(東海カーボン社製、商品名:シーストTA):2質量部
(第2組成物)
第2組成物における各構成要素および重量は以下の通りである。
・塩化ビニル系樹脂:3質量部(溶液含む)
(樹脂溶液:樹脂分30質量%、シクロヘキサノン70質量%)
・n−ブチルステアレート:2質量部
・メチルエチルケトン:121.3質量部
・トルエン:121.3質量部
・シクロヘキサノン:60.7質量部
上述のようにして調製した磁性層形成用塗料に、硬化剤としてポリイソシアネート(商品名:コロネートL、東ソー株式会社製):4質量部と、潤滑剤の脂肪酸としてステアリン酸:2質量部とを添加した。
<下地層形成用塗料の調製工程>
下地層形成用塗料を以下のようにして調製した。まず、下記配合の第3組成物をエクストルーダで混練した。次に、ディスパーを備えた攪拌タンクに、混練した第3組成物と、下記配合の第4組成物を加えて予備混合を行った。続いて、さらにサンドミル混合を行い、フィルター処理を行い、下地層形成用塗料を調製した。
(第3組成物)
第3組成物における各構成要素および重量は以下の通りである。
・針状酸化鉄粉末(α−Fe23、平均長軸長0.15μm):100質量部
・塩化ビニル系樹脂:60.6質量部 (溶液含む)
(樹脂溶液:樹脂分30質量%、シクロヘキサノン70質量%)
・カーボンブラック(平均粒径20nm):10質量部
(第4組成物)
第4組成物における各構成要素および重量は以下の通りである。
・ポリウレタン系樹脂UR8200(東洋紡績製):18.5質量部
・n−ブチルステアレート:2質量部
・メチルエチルケトン:108.2質量部
・トルエン:108.2質量部
・シクロヘキサノン:18.5質量部
上述のようにして調製した下地層形成用塗料に、硬化剤としてポリイソシアネート(商品名:コロネートL、東ソー株式会社製):4質量部と、潤滑剤の脂肪酸としてステアリン酸:2質量部とを添加した。
<バック層形成用塗料の調製工程>
バック層形成用塗料を以下のようにして調製した。下記原料を、ディスパーを備えた攪拌タンクで混合を行い、フィルター処理を行うことで、バック層形成用塗料を調製した。
・小粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)20nm):90質量部
・大粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)270nm):10質量部
・ポリエステルポリウレタン(東ソー株式会社製、商品名:N−2304):100質量部
・メチルエチルケトン:500質量部
・トルエン:400質量部
・シクロヘキサノン:100質量部
<塗布工程>
上述のようにして調製した磁性層形成用塗料および下地層形成用塗料を用いて、非磁性支持体である平均厚み4.0μmの長尺のポリエステルフィルムの一方の主面上に、カレンダー後に平均厚み0.6μmの下地層、および平均厚み80nmの磁性層になるように以下のようにして形成した。まず、上記ポリエステルフィルムの一方の主面上に下地層形成用塗料を塗布、乾燥させることにより、下地層を形成した。次に、下地層上に磁性層形成用塗料を塗布、乾燥させることにより、磁性層を形成した。なお、磁性層形成用塗料の乾燥の際に、ソレノイドコイルにより、磁性粉をフィルムの厚み方向に磁場配向させた。また、磁性層形成用塗料の乾燥条件(乾燥温度および乾燥時間)を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を後出の表2に示す値に設定した。続いて、ポリエステルフィルムの他方の主面上にバック層形成用塗料を塗布し、乾燥させ、カレンダーすることにより、平均厚み0.3μmのバック層を形成した。これにより、磁気記録媒体が得られた。
<カレンダー工程および転写工程>
続いて、カレンダー処理を行い、磁性層の表面を平滑化した。次に、磁性層の表面が平滑化された磁気記録媒体をロール状に巻き取ったのち、その状態のまま磁気記録媒体に60℃、10時間の加熱処理を行った。そして、内周側に位置している端部が反対に外周側に位置するように、磁気記録媒体をロール状に巻き直したのち、その状態のまま磁気記録媒体に60℃、10時間の加熱処理を再度行った。これにより、バック層の表面の多数の突部が磁性層の表面に転写され、磁性層の表面に多数の孔部が形成された。
<裁断工程>
上述のようにして得られた磁気記録媒体を1/2インチ(12.65mm)幅に裁断した。これにより、目的とする長尺状の磁気記録媒体(平均厚み5.6μm)が得られた。なお、得られた磁気記録媒体の、潤滑剤を除去および乾燥した状態におけるBET比表面積は4m2/gであった。
[実施例2]
下地層の平均厚みを0.8μmとしたことを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例2としての磁気記録媒体を得た。
[実施例3〜5]
塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定したことを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例3〜5としての磁気記録媒体をそれぞれ得た。
[実施例6]
下地層の平均厚みを0.9μmとし、バック層の平均厚みを0.4μmとし、基体の平均厚みを4.2μmとした。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、BET比表面積を4.5m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例6としての磁気記録媒体を得た。
[実施例7]
下地層の平均厚みを0.7μmとした。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、BET比表面積を5.0m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例7としての磁気記録媒体を得た。
[実施例8]
磁性層形成用塗料の調製工程において、磁性粉としてストロンチウムフェライト粒子の粉末(六角板状、平均アスペクト比3.0、平均粒子サイズ21.3nm、粒子体積2000nm3)を用いた。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。これらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例8としての磁気記録媒体を得た。
[実施例9]
磁性層形成用塗料の調製工程において、磁性粉としてε酸化鉄粒子の粉末(球状、平均アスペクト比1.1、平均粒子サイズ16nm、粒子体積2150nm3)を用いた。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。これらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例9としての磁気記録媒体を得た。
[実施例10]
磁性層形成用塗料の調製工程において、磁性粉としてコバルトフェライトの粉末(立方体状、平均アスペクト比1.7、平均粒子サイズ18.5nm、粒子体積2200nm3)を用いた。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。これらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例10としての磁気記録媒体を得た。
[実施例11]
下地層の平均厚みを0.9μmとし、バック層の平均厚みを0.4μmとし、基体の平均厚みを4.2μmとした。また、バック層形成用塗料における小粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)20nm)の配合量を80質量部とすると共に大粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)270nm)の配合量を20質量部とした。また、転写工程において加熱条件を調整し、細孔容積を0.023cm3/gとし、脱着時最大細孔容積の細孔直径を9nmとした。さらに、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例11としての磁気記録媒体を得た。
[実施例12]
下地層の平均厚みを0.9μmとし、バック層の平均厚みを0.4μmとし、基体の平均厚みを4.2μmとした。また、転写工程において加熱条件を調整し、脱着時最大細孔容積の細孔直径を10nmとした。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例12としての磁気記録媒体を得た。
[実施例13]
バック層の平均厚みを0.5μmとし、基体の平均厚みを3.6μmとした。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例13としての磁気記録媒体を得た。
[実施例14]
バック層形成用塗料を形成するにあたり、小粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)20nm)の代わりに小粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)50nm)70質量部を配合すると共に、大粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)270nm)の配合量を30質量部とした。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、BET比表面積を6.0m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例16としての磁気記録媒体を得た。なお、脱着時最大細孔容積の細孔直径は12nmであった。
[実施例15]
塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例17としての磁気記録媒体を得た。
[実施例16]
下地層の平均厚みを0.9μmとし、バック層の平均厚みを0.4μmとし、基体の平均厚みを4.2μmとした。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例18としての磁気記録媒体を得た。なお、BET比表面積は3.9m2/gであった。
[実施例17]
塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例19としての磁気記録媒体を得た。なお、BET比表面積は3.8m2/gであった。
[実施例18]
磁性層形成用塗料の調製工程において、磁性粉として、平均アスペクト比2.5、平均粒子サイズ19.0nm、平均粒子体積1600nm3である六角板状バリウムフェライト粒子の粉末を用いたことを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例20としての磁気記録媒体を得た。なお、脱着時最大細孔容積の細孔直径は7nmであった。
[実施例19]
磁性層形成用塗料の調製工程において、磁性粉として、平均アスペクト比2.3、平均粒子サイズ17.0nm、平均粒子体積1300nm3である六角板状バリウムフェライト粒子の粉末を用いたことを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例21としての磁気記録媒体を得た。なお、脱着時最大細孔容積の細孔直径は6nmであった。
[実施例20]
磁性層の平均厚みを60nmとした。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例22としての磁気記録媒体を得た。なお、BET比表面積は3.9m2/gであった。
[実施例21]
磁性層の平均厚みを40nmとした。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例23としての磁気記録媒体を得た。なお、BET比表面積は3.8m2/gであった。
[実施例22]
磁性層形成用塗料の調製工程において、磁性粉として、平均粒子サイズ23.0nm、平均粒子体積2500nm3である六角板状バリウムフェライト粒子の粉末を用いた。また、下地層の平均厚みを0.5μmとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例24としての磁気記録媒体を得た。
[実施例23]
磁性層形成用塗料の調製工程において、磁性粉として、平均粒子サイズ23.0nm、平均粒子体積2500nm3である六角板状バリウムフェライト粒子の粉末を用いたことを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例25としての磁気記録媒体を得た。
[実施例24]
塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、BET比表面積を3.5m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして実施例26としての磁気記録媒体を得た。
[比較例1]
塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表3に示す値に設定した。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、BET比表面積を3.0m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして比較例1としての磁気記録媒体を得た。
[比較例2]
塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表3に示す値に設定した。また、下地層の平均厚みを1.2μmとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして比較例2としての磁気記録媒体を得た。
[比較例3]
塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表3に示す値に設定した。また、下地層の平均厚みを1.2μmとした。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、BET比表面積を2.0m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして比較例3としての磁気記録媒体を得た。
[比較例4]
塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表3に示す値に設定した。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、BET比表面積を2.0m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして比較例4としての磁気記録媒体を得た。
[比較例5]
バック層形成用塗料を形成するにあたり、小粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)20nm)の代わりに小粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)50nm)80質量部を配合すると共に、大粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)270nm)の配合量を20質量部とした。また、 塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表3に示す値に設定した。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、細孔容積を0.018cm3/gとし、BET比表面積を3.0m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして比較例5としての磁気記録媒体を得た。
[比較例6]
バック層形成用塗料を形成するにあたり、小粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)20nm)の代わりに小粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)50nm)90質量部を配合した。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表3に示す値に設定した。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、細孔容積を0.015cm3/gとし、BET比表面積を2.5m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして比較例6としての磁気記録媒体を得た。
[比較例7]
バック層形成用塗料を形成するにあたり、小粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)20nm)を100質量部配合すると共に、大粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)270nm)の配合量を0質量部とした。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表3に示す値に設定した。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、細孔容積を0.015cm3/gとし、脱着時最大細孔容積の細孔直径を5nmとし、BET比表面積を2.0m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして比較例7としての磁気記録媒体を得た。
[比較例8]
バック層形成用塗料を形成するにあたり、小粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)20nm)を100質量部配合すると共に、大粒径のカーボンブラックの粉末(平均粒径(D50)270nm)の配合量を0質量部とした。また、下地層の平均厚みを0.5μmとした。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表3に示す値に設定した。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、細孔容積を0.015cm3/gとし、脱着時最大細孔容積の細孔直径を5nmとし、BET比表面積を2.0m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして比較例7としての磁気記録媒体を得た。
[比較例9]
下地層の平均厚みを1.0μmとし、バック層の平均厚みを0.5μmとした。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表3に示す値に設定した。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、BET比表面積を3.8m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして比較例9としての磁気記録媒体を得た。
[比較例10]
下地層の平均厚みを1.4μmとした。また、塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表3に示す値に設定した。さらに、転写工程において加熱条件を調整し、BET比表面積を3.5m2/gとした。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして比較例10としての磁気記録媒体を得た。
[比較例11,12]
塗布工程において、乾燥条件を調整し、磁気記録媒体の厚み方向(垂直方向)における角形比S1および長手方向における角形比S2を表2に示す値に設定した。それらを除き、他は上記実施例1と同様にして比較例11,12としての磁気記録媒体を得た。
[評価]
上述のようにして得られた実施例1〜26および比較例1〜10の磁気記録媒体について、上述の摩擦係数比(μB/μA)および摩擦係数比(μC(1000)/μC(5))に加えて、以下の評価を行った。
(SNR)
記録/再生ヘッドおよび記録/再生アンプを取り付けた1/2インチテープ走行装置(Mountain Engineering II社製、MTS Transport)を用いて、25℃環境における磁気記録媒体のSNR(電磁変換特性)を測定した。記録ヘッドにはギャップ長0.2μmのリングヘッドを用い、再生ヘッドにはシールド間距離0.1μmのGMRヘッドを用いた。相対速度は6m/s、記録クロック周波数は160MHz、記録トラック幅は2.0μmとした。また、SNRは、下記の文献に記載の方法に基づき算出した。その結果を、実施例1のSNRを1dBとする相対値で表2に示した。
Y.Okazaki: "An Error Rate Emulation System.",IEEE Trans. Man., 31,pp.3093-3095(1995)
表2に、各実施例および各比較例における磁気記録媒体の構成および評価結果をまとめて示す。
Figure 0006635216
表2に示したように、実施例1〜24では、潤滑剤を除去および乾燥した状態における磁気記録媒体の全体のBET比表面積が3.5m2/g以上であるので、繰り返し記録または再生を行ったあとであっても、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの界面に潤滑剤が安定供給され、摩擦係数比の増加を抑制することができた。一方、比較例1,3〜8では、潤滑剤を除去および乾燥した状態における磁気記録媒体の全体のBET比表面積が3.5m2/g未満であるので、繰り返し記録または再生を行ったあとの摩擦係数比の増加が見られた。
また、比較例2,9,10においては、潤滑剤を除去および乾燥した状態における磁気記録媒体の全体のBET比表面積が3.5m2/g以上であるものの、下地層の平均厚みが0.9μmを超えているので、ヤング率が高く、繰り返し記録または再生を行ったあとの摩擦係数比の増加も認められた。
また、実施例1〜24では、磁気記録媒体の垂直方向(厚み方向)における角形比S1が65%以上であるため、良好なSNRが得られている。これに対し、比較例11,12では、磁気記録媒体の垂直方向(厚み方向)における角形比S1が65%未満であるため、SNRの劣化が見られた。
以上、実施の形態およびその変形例を挙げて本開示を具体的に説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態およびその変形例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。具体的には、本開示の磁気記録媒体は、基体、下地層、磁性層、バック層およびバリア層以外の構成要素を含んでいてもよい。また、化合物等の化学式は代表的なものであって、同じ化合物の一般名称であれば、記載された価数等に限定されない。
また、上述の実施形態およびその変形例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本開示の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、本明細書において段階的に記載された数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値または下限値は、他の段階の数値範囲の上限値または下限値に置き換えてもよい。本明細書に例示した材料は、特に断らない限り、1種を単独で用いることができるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
以上説明したように、本開示の一実施形態としての磁気記録媒体によれば、使用時における良好な走行性能を発揮することができる。
なお、本開示の効果はこれに限定されるものではなく、本明細書に記載のいずれの効果であってもよい。また、本技術は以下のような構成を取り得るものである。
(1)
テープ状の磁気記録媒体であって、
基体と、
前記基体上に設けられた下地層と、
前記下地層上に設けられた磁性層と
を有し、
前記基体は、ポリエステルを主たる成分として含み、
前記下地層の平均厚みは0.9μm以下であり、
前記下地層および前記磁性層は、潤滑剤を含み、
前記磁性層は、多数の孔部が設けられた表面を有し、前記表面の算術平均粗さRaは、2.5nm以下であり、
前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、3.5m2/g以上であり、
前記磁気記録媒体の垂直方向における角形比は、65%以上であり、
前記磁性層の平均厚みは、90nm以下であり、
前記磁気記録媒体の平均厚みは、5.6μm以下である
磁気記録媒体。
(2)
前記磁気記録媒体のヤング率は、7.78GPa以下である
上記(1)記載の磁気記録媒体。
(3)
前記基体の平均厚みは、4.2μm以下である
上記(1)または(2)記載の磁気記録媒体。
(4)
前記基体の、前記下地層と反対側に設けられたバック層をさらに有し、
前記バック層の平均厚みは、0.3μm以上0.5μm以下である
上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(5)
前記下地層の平均厚みは0.5μm以上である
上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(6)
BJH法により求められる前記磁気記録媒体の全体の平均細孔直径は、6nm以上12nm以下である
上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(7)
前記磁気記録媒体に加わる張力が0.4Nであるときの前記表面と磁気ヘッドとの間の動摩擦係数μAと、前記磁気記録媒体に加わる張力が1.2Nであるときの前記表面と前記磁気ヘッドとの間の動摩擦係数μBとの摩擦係数比μB/μAが、1.0以上1.8以下である
上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(8)
前記磁気記録媒体に加わる張力が0.6Nであるときの、前記磁気記録媒体の走行開始から5回目の前記表面と磁気ヘッドとの間の動摩擦係数μC(5)と、前記磁気記録媒体に加わる張力が0.6Nであるときの、前記磁気記録媒体の走行開始から1000回目の前記表面と前記磁気ヘッドとの間の動摩擦係数μC(1000)との摩擦係数比μC(1000)/μC(5)が、1.2以上1.8以下である
上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(9)
前記磁性層は磁性粉を含み、
前記磁性粉の平均アスペクト比は、1.1以上3.0以下である
上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(10)
前記磁性層は磁性粉を含み、
前記磁性粉は、Ba(バリウム)およびSr(ストロンチウム)のうちの少なくとも1種を含有する六方晶フェライト、ε酸化鉄またはCo(コバルト)含有スピネル型フェライトを含む
上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(11)
前記磁性層は磁性粉を含み、
前記磁性粉の平均粒子サイズは、25nm以下である
上記(1)から(10)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(12)
前記潤滑剤は、下記の一般式<1>から一般式<4>でそれぞれ示される化合物のうちの少なくとも1種を含む
上記(1)から(11)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
CH3(CH2nCOOH …<1>
(但し、前記一般式<1>において、nは14以上22以下の範囲から選ばれる整数である。)
CH3(CH2pCOO(CH2qCH3…<2>
(但し、前記一般式<2>において、pは14以上22以下の範囲から選ばれる整数であり、qは2以上5以下の範囲から選ばれる整数である。)
CH3(CH2nCH=CH(CH2mCOOH …<3>
(但し、前記一般式<>において、n+mは12以上20以下の範囲から選ばれる整数である。)
CH3(CH2pCOO−(CH2qCH(CH32…<4>
(但し、前記一般式<>において、pは14以上22以下の範囲から選ばれる整数であり、qは1以上3以下の範囲から選ばれる整数である。)
(13)
前記下地層が、多数の孔部を有し、
前記磁性層の孔部と前記下地層の孔部とがつながっている
上記(1)から(12)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(14)
前記磁性層の前記表面の算術平均粗さRaは、0.8nm以上である
上記(1)から(13)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(15)
前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、4.0m2/g以上である
上記(1)から(14)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(16)
前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、4.5m2/g以上である
上記(1)から(15)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(17)
前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、5.0m2/g以上である
上記(1)から(16)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(18)
前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、7.0m2/g以下である
上記(1)から(17)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(19)
前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、6.0m2/g以下である
上記(1)から(18)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(20)
前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、5.5m2/g以下である
上記(1)から(19)のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
(21)
テープ状の磁気記録媒体を順次送り出すことのできる送り出し部と、
前記送り出し部から送り出された前記磁気記録媒体を巻き取ることのできる巻き取り部と、
前記送り出し部から前記巻き取り部へ向けて走行する前記磁気記録媒体と接触しつつ、前記磁気記録媒体への情報書き込み、および前記磁気記録媒体からの情報読み出しを行うことのできる磁気ヘッドと
を備え、
前記磁気記録媒体は、
基体と、
前記基体上に設けられた下地層と、
前記下地層上に設けられた磁性層と
を有し、
前記基体は、ポリエステルを主たる成分として含み、
前記下地層の平均厚みは0.9μm以下であり、
前記下地層および前記磁性層は、潤滑剤を含み、
前記磁性層は、多数の孔部が設けられた表面を有し、前記表面の算術平均粗さRaは、2.5nm以下であり、
前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、3.5m2/g以上であり、
前記磁気記録媒体の垂直方向における角形比は、65%以上であり、
前記磁性層の平均厚みは、90nm以下であり、
前記磁気記録媒体の平均厚みは、5.6μm以下である
磁気記録再生装置。
(22)
前記磁気記録媒体の長手方向に加わるテンションを調整可能な構成を有する
上記(21)に記載の磁気記録再生装置。
(23)
上記(1)〜(22)のいずれか1つに記載のテープ状の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体を収容する筐体と
を備えた磁気記録媒体カートリッジ。
10…磁気記録媒体、11…基体、11A,11B…主面、12…下地層、13…磁性層、14…バック層、20,20A…ε酸化鉄粒子、21…コア部、22…シェル部、22a…第1シェル部、22b…第2シェル部、30…記録再生装置、31…スピンドル、32…リール、33,34…駆動装置、35…ガイドローラ、36…ヘッドユニット、37…通信インターフェース、38…制御装置、41…サーバ、42…パーソナルコンピュータ、43…ネットワーク。

Claims (23)

  1. テープ状の磁気記録媒体であって、
    基体と、
    前記基体上に設けられた下地層と、
    前記下地層上に設けられた磁性層と
    を有し、
    前記基体は、ポリエステルを主たる成分として含み、
    前記下地層の平均厚みは0.9μm以下であり、
    前記下地層および前記磁性層は、潤滑剤を含み、
    前記磁性層は、多数の孔部が設けられた表面を有し、前記表面の算術平均粗さRaは、2.5nm以下であり、
    前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、3.5m2/g以上であり、
    前記磁気記録媒体の垂直方向における角形比は、65%以上であり、
    前記磁性層の平均厚みは、90nm以下であり、
    前記磁気記録媒体の平均厚みは、5.6μm以下である
    磁気記録媒体。
  2. 前記磁気記録媒体のヤング率は、7.78GPa以下である
    請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 前記基体の平均厚みは、4.2μm以下である
    請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 前記基体の、前記下地層と反対側に設けられたバック層をさらに有し、
    前記バック層の平均厚みは、0.3μm以上0.5μm以下である
    請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 前記下地層の平均厚みは0.5μm以上である
    請求項1記載の磁気記録媒体。
  6. BJH法により求められる前記磁気記録媒体の全体の平均細孔直径は、6nm以上12nm以下である
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記磁気記録媒体に加わる張力が0.4Nであるときの前記表面と磁気ヘッドとの間の動摩擦係数μAと、前記磁気記録媒体に加わる張力が1.2Nであるときの前記表面と前記磁気ヘッドとの間の動摩擦係数μBとの摩擦係数比μB/μAが、1.0以上1.8以下である
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記磁気記録媒体に加わる張力が0.6Nであるときの、前記磁気記録媒体の走行開始から5回目の前記表面と磁気ヘッドとの間の動摩擦係数μC(5)と、前記磁気記録媒体に加わる張力が0.6Nであるときの、前記磁気記録媒体の走行開始から1000回目の前記表面と前記磁気ヘッドとの間の動摩擦係数μC(1000)との摩擦係数比μC(1000)/μC(5)が、1.2以上1.8以下である
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  9. 前記磁性層は磁性粉を含み、
    前記磁性粉の平均アスペクト比は、1.1以上3.0以下である
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  10. 前記磁性層は磁性粉を含み、
    前記磁性粉は、Ba(バリウム)およびSr(ストロンチウム)のうちの少なくとも1種を含有する六方晶フェライト、ε酸化鉄またはCo(コバルト)含有スピネル型フェライトを含む
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  11. 前記磁性層は磁性粉を含み、
    前記磁性粉の平均粒子サイズは、25nm以下である
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  12. 前記潤滑剤は、下記の一般式<1>から一般式<4>でそれぞれ示される化合物のうちの少なくとも1種を含む
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
    CH3(CH2nCOOH …<1>
    (但し、前記一般式<1>において、nは14以上22以下の範囲から選ばれる整数である。)
    CH3(CH2pCOO(CH2qCH3…<2>
    (但し、前記一般式<2>において、pは14以上22以下の範囲から選ばれる整数であり、qは2以上5以下の範囲から選ばれる整数である。)
    CH3(CH2nCH=CH(CH2mCOOH …<3>
    (但し、前記一般式<>において、n+mは12以上20以下の範囲から選ばれる整数である。)
    CH3(CH2pCOO−(CH2qCH(CH32…<4>
    (但し、前記一般式<>において、pは14以上22以下の範囲から選ばれる整数であり、qは1以上3以下の範囲から選ばれる整数である。)
  13. 前記下地層が、多数の孔部を有し、
    前記磁性層の孔部と前記下地層の孔部とがつながっている
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  14. 前記磁性層の前記表面の算術平均粗さRaは、0.8nm以上である
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  15. 前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、4.0m2/g以上である
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  16. 前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、4.5m2/g以上である
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  17. 前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、5.0m2/g以上である
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  18. 前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、7.0m2/g以下である
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  19. 前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、6.0m2/g以下である
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  20. 前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、5.5m2/g以下である
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  21. テープ状の磁気記録媒体を順次送り出すことのできる送り出し部と、
    前記送り出し部から送り出された前記磁気記録媒体を巻き取ることのできる巻き取り部と、
    前記送り出し部から前記巻き取り部へ向けて走行する前記磁気記録媒体と接触しつつ、前記磁気記録媒体への情報書き込み、および前記磁気記録媒体からの情報読み出しを行うことのできる磁気ヘッドと
    を備え、
    前記磁気記録媒体は、
    基体と、
    前記基体上に設けられた下地層と、
    前記下地層上に設けられた磁性層と
    を有し、
    前記基体は、ポリエステルを主たる成分として含み、
    前記下地層の平均厚みは0.9μm以下であり、
    前記下地層および前記磁性層は、潤滑剤を含み、
    前記磁性層は、多数の孔部が設けられた表面を有し、前記表面の算術平均粗さRaは、2.5nm以下であり、
    前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、3.5m2/g以上であり、
    前記磁気記録媒体の垂直方向における角形比は、65%以上であり、
    前記磁性層の平均厚みは、90nm以下であり、
    前記磁気記録媒体の平均厚みは、5.6μm以下である
    磁気記録再生装置。
  22. 前記磁気記録媒体の長手方向に加わるテンションを調整可能な構成を有する
    請求項21に記載の磁気記録再生装置。
  23. テープ状の磁気記録媒体と、
    前記磁気記録媒体を収容する筐体と
    を備え、
    前記磁気記録媒体は、
    基体と、
    前記基体上に設けられた下地層と、
    前記下地層上に設けられた磁性層と
    を有し、
    前記基体は、ポリエステルを主たる成分として含み、
    前記下地層の平均厚みは0.9μm以下であり、
    前記下地層および前記磁性層は、潤滑剤を含み、
    前記磁性層は、多数の孔部が設けられた表面を有し、前記表面の算術平均粗さRaは、2.5nm以下であり、
    前記潤滑剤を除去および乾燥した状態における前記磁気記録媒体の全体のBET比表面積は、3.5m2/g以上であり、
    前記磁気記録媒体の垂直方向における角形比は、65%以上であり、
    前記磁性層の平均厚みは、90nm以下であり、
    前記磁気記録媒体の平均厚みは、5.6μm以下である
    磁気記録媒体カートリッジ。
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