JP6634910B2 - 反応器およびそれを用いたアルコールの連続製造方法 - Google Patents
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Description
[1] リン酸を担持した多孔性担体を内蔵し、内面を銅でライニングした、オレフィン
と水の気相水和反応によりアルコールを製造する反応器であって、
該リン酸を担持した多孔性担体と銅を隔離する隔離シートを設置し、該隔離シートがプ
ラスチックを含む反応器。
[2] 前記プラスチックがフッ素樹脂である[1]に記載の反応器。
[3] リン酸を担持した多孔性担体を内蔵し、内面を銅でライニングした、オレフィン
と水の気相水和反応によりアルコールを製造する反応器であって、
該リン酸を担持した多孔性担体と銅を隔離する隔離シートを設置し、該隔離シートが無
機繊維を含む反応器。
り、
該半球状塔頂部にオレフィンと水の供給口を有し、
前記隔離シートを該筒状部に設置した[1]乃至[3]のいずれかに記載の反応器。
[5] 前記筒状部全体のうち、少なくとも上から10%の長さまで、前記隔離シートを
設置した[4]に記載の反応器。
[6] 前記隔離シートと反応器本体が脱着可能な構造で固定されている[1]乃至[5
]のいずれかに記載の反応器。
[7] 前記隔離シートの厚みが0.1mm以上2mm以下である[1]乃至[6]のい
ずれかに記載の反応器。
よりエタノールを連続的に製造するアルコールの連続製造方法。
[9] 前記多孔性担体がシリカゲルである[8]に記載のアルコールの連続製造方法。
[10] エチレンの気相水和反応によりエタノールを24ヵ月間製造する内に少なくと
も1回、前記隔離シートを新しい隔離シートと交換する[8]又は[9]に記載のアルコ
ールの連続製造方法。
本発明は、オレフィンの気相水和反応によりアルコールを製造する反応器の発明である。該反応器はリン酸を担持した多孔性担体を内蔵している。多孔性担体としては、シリカゲル、珪藻土、ベントナイト等があげられ、好ましくはシリカゲルである。リン酸はオレフィンの気相水和反応の触媒であり、多孔性担体に担持することにより、触媒活性を保持することができる。但し、時間の経過とともに触媒活性の低下、揮散により反応器からリン酸が排出される場合があるので、間欠的あるいは継続的にリン酸を反応器に供給し、多孔性担体に担持することができる。
該反応器は内面を銅でライニングしている(以下、銅でライニングしたものを「銅ライニング材」と称する場合がある。)。銅でライニングすることにより気相水和反応を阻害することなく安定的にアルコールを製造することができる。但し、銅ライニング材はリン酸に対しては、気相水和反応の高温条件化であっても長時間耐性を有するが、リン酸を担
持した多孔性担体が長時間高温で銅ライニング材に接触した場合には、徐々に銅ライニング材の該接触部位の腐食が進行することが判明した。また、反応器内の、エチレン等のオレフィンや水の供給口に近い部分にある銅ライニング材の腐食がより進行しやすいことも明らかとなった。
尚、本発明において、銅とは、純銅又は銅含有率が70重量%以上の銅合金であり、中でもリン脱酸銅が好ましい。
該筒状部に該リン酸を担持した多孔性担体と銅を隔離する隔離シートが設置されていることが好ましい。該隔離シートの設置により、銅ライニング材の腐食を抑制することができ、長時間安定的に効率よくアルコールを連続製造することができる。とりわけ、供給口に近い部分である該筒状部全体のうち、少なくとも上から10%の長さまでに、該隔離シートを設置することが銅ライニング材の腐食を更に抑制することができ、より好ましい。
エチレンと水をあらかじめ混合した混合物を高温で気化し、該反応器に設置された供給口より該混合物を連続的に供給する。該反応器内では、リン酸を担持した多孔性担体を内蔵しており、リン酸が触媒として作用し、連続して供給されたエチレンと水との気相水和反応を促進し、連続的にエタノールが製造され、該反応器外へ排出される。多孔性担体としては、シリカゲル、珪藻土、ベントナイトがあげられ、好ましくはシリカゲルである。尚、該リン酸は多孔性担体に担持されているが、エタノールの連続的な製造に伴い、エタノールとともに反応器外へ排出される場合があるので、一定量、反応器に補給される。反応温度としては、反応効率及びエネルギーコストを勘案し240℃〜260℃が好ましく、反応圧力としては、エチレン転化率の面で5.4MPaG〜6.9MPaGが好ましい。反応器に供給する水/エチレンのモル比はエチレン転化率、エチレン重合物の抑制を勘案し、0.4前後が好ましい。
混合原料供給口を具備した半球状塔頂部と、それに続く筒状部を有する、内面をリン脱酸銅でライニングした塔型反応器に、シリカゲルを投入後、更にリン酸を供給し、該リン酸をシリカゲルに担持した。尚、該リン酸を担持したシリカゲルは塔型反応器の筒状部内面(銅ライニング材)に接触していた。
スクロスにフッ素樹脂を含浸させたシートを張り合わせたテストピースを、塔型反応器の筒状部の最上部内面に対し、テストピースの面が直行する方向に設置した。すなわち、テストピースの両面共にリン酸を担持したシリカゲルが接触している状態とした。
エチレンと水を混合させ、混合原料とし、加熱装置で加温し、混合原料供給口より塔型反応器に連続的に供給し、反応温度240℃〜242℃、反応圧力6.78MPaG〜6.80MPaGで気相水和反応を4か月間実施し、塔底から反応生成物であるエタノール
を連続的に排出した。
気相水和反応終了後、該テストピースを塔型反応器より取り出し、銅ピースとシートを分離し、シートによりリン酸を担持したシリカゲルと隔離された銅ピースの表面状態と、リン酸を担持したシリカゲルと接触していた銅ピースの表面状態を比較した。
その結果、シートによりリン酸を担持したシリカゲルと隔離された銅ピースの表面状態はシート凸部と接触した箇所に軽微な腐食を認めるものの、全体的に金属光沢を有し良好な状態であった。
一方、リン酸を担持したシリカゲルと接触していた銅ピース表面状態は、面全体に腐食が発生し、特にシリカゲルの接触部と解されるところに孔食が認められた。
上記結果より、リン酸を担持したシリカゲルとの接触有無により、明らかに腐食の影響が異なり、シートにより隔離することにより腐食が軽減された。
B 筒状部
C オレフィンと水の供給口
D 排出口
E リン酸を担持した多孔性担体
F 隔離シート
G 銅ライニング材
H 隔離シート
I 反応器本体
J ボルト
K ナット
L 隔離シート押さえ板
Claims (10)
- リン酸を担持した多孔性担体を内蔵し、内面を銅でライニングした、オレフィンと水の
気相水和反応によりアルコールを製造する反応器であって、
該リン酸を担持した多孔性担体と銅を隔離する隔離シートを設置し、該隔離シートがプ
ラスチックを含む反応器。 - 前記プラスチックがフッ素樹脂である請求項1に記載の反応器。
- リン酸を担持した多孔性担体を内蔵し、内面を銅でライニングした、オレフィンと水の
気相水和反応によりアルコールを製造する反応器であって、
該リン酸を担持した多孔性担体と銅を隔離する隔離シートを設置し、該隔離シートが無
機繊維を含む反応器。 - 該反応器が半球状塔頂部とそれに続く筒状部を少なくとも有する塔型反応器であり、
該半球状塔頂部にオレフィンと水の供給口を有し、
前記隔離シートを該筒状部に設置した請求項1乃至3のいずれか1項に記載の反応器。 - 前記筒状部全体のうち、少なくとも上から10%の長さまで、前記隔離シートを設置し
た請求項4に記載の反応器。 - 前記隔離シートと反応器本体とが脱着可能な構造で固定されている請求項1乃至5のい
ずれか1項に記載の反応器。 - 前記隔離シートの厚みが0.1mm以上2mm以下である請求項1乃至6のいずれか1
項に記載の反応器。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の反応器を用い、エチレンの気相水和反応により
エタノールを連続的に製造するアルコールの連続製造方法。 - 前記多孔性担体がシリカゲルである請求項8に記載のアルコールの連続製造方法。
- エチレンの気相水和反応によりエタノールを24ヵ月間製造する内に少なくとも1回、
前記隔離シートを新しい隔離シートと交換する請求項8又は9に記載のアルコールの連続
製造方法。
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JP2016056953A JP6634910B2 (ja) | 2016-03-22 | 2016-03-22 | 反応器およびそれを用いたアルコールの連続製造方法 |
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