[複合機10の全体構成]
図1に示される複合機10(画像記録装置の一例)は、シート搬送装置を備えており、プリント機能、ファクシミリ機能、コピー機能等の各種の機能を有する。プリント機能は、記録紙12(シートの一例、図2参照)に画像を記録する機能である。
なお、複合機10が使用可能に設置された図1の状態を基準として、複合機10における上下方向4と、前後方向6と、左右方向8とが、それぞれ、図1に示されるように定義される。上下方向4は、重力が作用する上下方向にそれぞれ対応している。また、以下においては、左右方向8を「幅方向8」と称する。
図1に示されるように、複合機10は、概ね直方体に形成された筐体60を有する。筐体60は、複合機10の外形を構成する。筐体60の内部には、第1給送トレイ61及び第2給送トレイ62が設けられている。第1給送トレイ61は第2給送トレイ62上に配置されている。
筐体60の前面60Aには、第1開口部60Bが形成されている。筐体60内に設けられた第1給送トレイ61は、第1開口部60Bを通じて、前方へ引き出し可能である。筐体60の前面60Aには、第1開口部60Bの下方に第2開口部60Cが形成されている。筐体60内に設けられた第2給送トレイ62は、第2開口部60Cを通じて、前方へ引き出し可能である。
図2(A)に示されるように、筐体60の後端部60Sにおける幅方向8の中央部には凹部60Mが形成されている。なお、凹部60M内には、図2(B)に示されるように、カバー部材80が配置されているが、図2(A)においては、カバー部材80は省略されている。カバー部材80は、通常は、上下方向4に沿った状態になっているが、図2(B)においては、後方にわずかに回動された状態で示されている。
凹部60Mは、筐体60における幅方向8の中央部において、筐体60の後面よりも前方に凹んでいる。凹部60Mは、上下方向4に延びており、上方、下方、後方のそれぞれは区画されていない。凹部60Mの前方には、凹部60Mの前端を区画する第1側面60D及びカバー部材80が設けられている。また、筐体60には、凹部60Mにおける右端を区画する第2側面60Fと、左端を区画する第3側面60Gとが設けられている。第2側面60F及び第3側面60Gは、前後方向6且つ上下方向4に沿った平面であり、幅方向8において隔てられて相互に対向している。
第1側面60Dは、第2側面60F及び第3側面60Gの上部間に、幅方向8に沿って配置されている。第1側面60Dの下部には背面開口部60Eが設けられており、背面開口部60Eは、凹部60Mの前方を区画するカバー部材80によって塞がれている。背面開口部60Eの右縁及び左縁は、それぞれ、第2側面60F及び第3側面60Gによって区画されている。背面開口部60Eの上縁は、第1側面60Dの下縁部60Hによって区画されている。背面開口部60Eの下方は区画されていない。
筐体60における第2側面60F及び第3側面60Gのそれぞれの下部には、凹部60Mの内部に向かって幅方向8に沿って突出する軸体66が設けられている。第3側面60Gの下部にも、幅方向8に沿って突出する軸体66(図4参照)が設けられている。各軸体66は円柱形状であり、それぞれの軸線が同一の仮想直線上に位置している。各軸体66は、背面開口部60Eを開閉するカバー部材80の下部を支持する。
図3に示されるように、カバー部材80が上下方向4に沿った起立位置になると、背面開口部60Eを塞ぐ状態になる。カバー部材80は、軸体66を中心として、上縁が後方且つ下方に回動されると、背面開口部60Eを開放した倒伏位置(図9及び図10参照)になる。カバー部材80が倒伏位置になると、筐体60の内部は、背面開口部60Eを通して外部に露出される。カバー部材80の構成については後述される。
図2(A)及び図2(B)に示されるように、第2側面60Fの下端部には、軸体66に対して後方に間隔を空けた位置に規制部材67が設けられている。規制部材67は、カバー部材80が起立位置から倒伏位置に回動する際に当接する。第3側面60Gの下端部にも規制部材67(図3参照)が設けられている。
第2側面60Fに設けられた規制部材67は、第2側面60Fに設けられた軸体66から後方に離れた位置に設けられている。第3側面60Gに設けられた規制部材67は、第3側面60Fに設けられた軸体66から後方に離れた位置に設けられている。各軸体66と、その後方に配置された規制部材67とは、前後方向6に沿った同一線上に位置している。
規制部材67は、前後方向6に離れて配置された2つの脚部67Aと、各脚部67Aの上端部間にわたって設けられた当接面67Bとを有する。各脚部67Aは上下方向4に沿って配置されている。当接面67Bは、背面開口部60Eから遠い一端が、当該一端よりも背面開口部60Eに近い他端より下方に位置するように水平方向に対して傾斜している。各脚部67Aの下端は筐体60から下方に突出しており、筐体60が載置される載置面49(図3参照)に当接している。
図4に示されるように、筐体60の内部に設けられた第1給送トレイ61及び第2給送トレイ62には、複数枚の記録紙12が、上下方向4に積み重ねられた状態で収容される。第1給送トレイ61内の記録紙12は、第1給送トレイ61の底面61Aに支持される。第2給送トレイ62内の記録紙12は、第2給送トレイ62の底面62Aに支持される。
第1給送トレイ61の上方には、第1給送部63が設けられている。第1給送部63は、第1給紙トレイ61におけるカバー部材80に近接した位置に配置された第1給送ローラ63Aを有する。第1給送ローラ63Aは、軸線が幅方向8に沿った状態で、第1支持アーム63Bの一端部(先端部)に回転可能に支持されている。第1支持アーム63Bの他端部(基端部)は、第1給送ローラ63Aの軸線に平行に配置された第1支持軸63Cに回動可能に支持されている。第1支持アーム63Bは、第1支持軸63Cから後方かつ下方に向かって延出されている。
第1給送ローラ63Aが記録紙12の上方に位置された状態で、第1支持アーム63Bの先端部が、第1支持軸63Cを中心として下方に回動されると、第1給送ローラ63Aは、第1給紙トレイ61内に収容された最上部の記録紙12に当接する。このような状態で第1給送ローラ63Aが回転されると、複数枚の記録紙12のうち第1給送ローラ63Aと当接している最上位置の記録紙12が、後方へ繰り出される。本実施形態では、第1給紙トレイ61から繰り出される記録紙12は、図6に示されるように、幅方向8に沿った側縁の中央位置が、第1搬送路51における幅方向8の中央線CLに沿った状態(「中央基準」と称される)で搬送される。
第1給送トレイ61の後方には、第1ガイド体71が設けられている。第1ガイド体71は、前方を向く第1ガイド面71Aを有する。第1ガイド面71Aは、前端より後端が上方に位置するように傾斜している。第1給送部63によって繰り出される記録紙12は、ガイド面によって後方且つ上方へ案内される。
第2給送トレイ62の上方には、第2給送部64が設けられている。第2給送部64は、第2給送トレイ62の上方に配置されていること以外は、第1給送部63と同様の構成である。すなわち、第2給送部64は、第2給送ローラ64Aと、第2支持アーム64Bとを有し、第2支持アーム64Bが第2支持軸64Cに回動可能に支持されている。第2支持アーム64Bは、第2支持軸64Cから後方かつ下方に向かって延出されている。
第1ガイド体71の上方には、第1ガイド体71によって案内された記録紙12が搬送される第1搬送路51が延出されている。第1搬送路51は、第1ガイド体71から上方へ向かって延び、さらに後方に突出するように湾曲している。第1搬送路51の上部における湾曲部分を第1湾曲路51Aと称する。第1ガイド体71によって案内される記録紙12は、第1搬送路51の下部においては上方へ搬送され、その後、第1湾曲路51Aにおいて前方へ搬送される。
第2給送トレイ62の後方には、第2ガイド体72が設けられている。第2ガイド体72は、前方を向く第2ガイド面72Aを有する。第2ガイド面72Aは、前端より後端が上方に位置するように傾斜している。第2給送部64によって繰り出される記録紙12は、第2ガイド面72Aによって後方且つ上方へ案内される。
第2給送トレイ62の後端部上には、第2給送部64によって繰り出される記録紙12が搬送される第2搬送路52が設けられている。第2搬送路52は、第1搬送路51の後方、すなわち湾曲外方に位置する。第2搬送路52の上端部は、後方に突出するように湾曲した第2湾曲路52Aになっている。第2湾曲路52Aにおける記録紙12の搬送向き(以下、単に「搬送向き41」とする)の下流端は、第1搬送路51の第1湾曲路51Aにおける搬送向き41の下流において第1搬送路51と接続されている。第2ガイド体72によって案内される記録紙12は、第2搬送路51の下部においては上方へ搬送され、次いで、第2湾曲路52Aにおいて前方へ搬送され、その後、第1搬送路51へ案内される。
第1搬送路51及び第2搬送路52のそれぞれの一部を区画する部材は、カバー部材80に取り付けられている。カバー部材80が倒伏位置になると、第1搬送路51が背面開口部60Eを介して外部に露出される。
第1搬送路51及び第2搬送路52の下流端は、筐体60内を前後方向6に沿って延びる上部搬送路53と連続している。上部搬送路53においては、第1搬送路51及び第2搬送路52のそれぞれを搬送された記録紙12が前方へ搬送される。
上部搬送路53には、搬送向き41に沿って、第1搬送ローラ部21、プラテン22及び記録部30、第2搬送ローラ部23、フラップ25、スイッチバックローラ部26、並びに排出トレイ27が配置されている。
記録紙12を前方へ搬送する第1搬送ローラ部21は、軸線が幅方向8に沿って配置された第1搬送ローラ21Aと、第1搬送ローラ21Aの下方に配置された複数のピンチローラ21Bとを有する。
第1搬送ローラ21Aは、第1搬送路51又は第2搬送路52を通過した記録紙12における上面である第1面に当接可能に配置されている。第1搬送ローラ21Aは、上部搬送路53における幅方向8のほぼ全域に亘る長さを有する。複数のピンチローラ21Bは、幅方向8に一定の間隔が空けられた状態で、それぞれが第1搬送ローラ21Aに接した状態で設けられている。このような第1搬送ローラ部21は、第1搬送ローラ21Aが回転されると、第1搬送ローラ21Aに接した各ピンチローラ21Bが第1搬送ローラ21Aの回転に追従して回転する。
記録紙12が第1搬送ローラ部21へ搬送される場合には、第1搬送ローラ21Aは回転が停止される。このような状態で、記録紙12の先端が第1搬送ローラ21A及びピンチローラ21Bが当接している箇所に当接されつつ、記録紙12における搬送向き41の上流に位置する端部が搬送向き41へ搬送されることによって、記録紙12が第1搬送ローラ21A及びピンチローラ21Bに押し付けられる。これにより、記録紙12の先端が第1搬送ローラ21A及びピンチローラ21Bの当接箇所に沿った状態になり、記録紙12の斜行状態が解消される。その後、第1搬送ローラ21Aが回転されると、記録紙12が第1搬送ローラ21A及びピンチローラ21Bに挟持(ニップ)されて、プラテン22上に搬送される。
プラテン22は、第1搬送ローラ部21によって搬送される記録紙12を、前後方向6及び幅方向8に沿った状態で下方から支持する。記録部30は、インクジェット方式で、プラテン22に支持された記録紙12に画像を記録する。画像が記録されるときには、第1搬送ローラ部21の回転が停止されて、記録紙12はプラテン22上に停止する。そして、停止した記録紙12に対して記録部30がインクを選択的に吐出することによって、1パス分の画像が記録紙12に記録される。その後、第1搬送ローラ部21が回転されることによって、記録紙12が次の1パス分だけ搬送向き41へ搬送されると、第1搬送ローラ部21が停止されて記録紙12が停止する。このとき、記録部30は、記録紙12において、先に画像記録を行ったパスより搬送向き41の上流に位置する。これが繰り返されることによって、記録紙12の全体に亘って画像記録が行われる。
第2搬送ローラ部23は、プラテン22に支持された記録紙12を前方へ搬送する。第2搬送ローラ部23は、プラテン22より前方に位置する。第2搬送ローラ部23は、軸線が幅方向8に沿って配置された第2ローラ軸23Bと、第2ローラ軸23Bに取り付けられた複数の第2搬送ローラ23Aと、第2搬送ローラ23Aの上方に配置された複数の第1拍車ローラ23Cとを有する。
第2ローラ軸23Bが回転されると、第2搬送ローラ23Aのそれぞれが、第2ローラ軸23Bと一体に回転する。第1拍車ローラ23Cのそれぞれは、第2搬送ローラ23Aの回転に追従して回転する。プラテン22上の記録紙12が、回転状態の第2搬送ローラ23A及び第1拍車ローラ23Cの間に搬送されると、記録紙12は、第2搬送ローラ23A及び第1拍車ローラ23Cに挟持されて前向きに搬送される。
第2搬送ローラ部23より前方には、スイッチバックローラ部26が配置されている。スイッチバックローラ部26は、軸線が幅方向8に沿って配置された第3ローラ軸26Bと、第3ローラ軸26Bに取り付けられた複数のスイッチバックローラ26Aと、スイッチバックローラ26Aの上方に配置された複数の第2拍車ローラ26Cとを有する。
スイッチバックローラ部26は、上部搬送路53を前方に搬送される記録紙12を、さらに前方に搬送する状態と、後方に搬送する状態とに切り換えることができる。第3ローラ軸26Bは、正逆回転可能である。スイッチバックローラ26Aのそれぞれが、第3ローラ軸26Bと一体となって正転又は逆転されると、第2拍車ローラ26Cのそれぞれは、スイッチバックローラ26Aの回転に追従して回転する。
上部搬送路53における第2搬送ローラ部23とスイッチバックローラ部26との間には、第3搬送路54が接続されている。第3搬送路54は、第1面に画像が記録された記録紙12を、第1搬送路51へ再搬送させるためのものである。
第3搬送路54は、スイッチバックローラ部26の後方から、第1搬送路51における記録部30より搬送向き41の上流へ延びる搬送ガイド28によって区画されている。搬送ガイド28は、ガイド面となる上面が、スイッチバックローラ部26から後方へ向かって下方に下がるように傾斜している。搬送ガイド28は、プラテン22の下方に位置する。
上部搬送路53において、第2搬送ローラ部23とスイッチバックローラ部26との間には、フラップ25が配置されている。フラップ25は、上部搬送路53の上方に位置している。フラップ25は、回動軸25Aから前方へ向かって延出されており、回動軸25A周りに回動可能である。フラップ25は、回動先端部分が上部搬送路53に進入した位置において、上部搬送路53を搬送向き41へ搬送される記録紙12の先端と当接する。このとき、フラップ25は記録紙12によって回動先端部分が上方へ回動される。したがって、記録紙12は、フラップ25の下方を搬送向き41へ搬送されてスイッチバックローラ部26へ至る。他方、スイッチバックローラ部26によって搬送向き41と逆向き42へ搬送される記録紙12は、上部搬送路53に進入しているフラップ25の回動先端部分と当接する。フラップ25の回動先端部分の下面により、記録紙12は、第3搬送路54へ案内される。
第1筐体60には、上部搬送路53の下流端の下方から前方に延出された排出トレイ27が設けられている。排出トレイ27は、第1給送トレイ61の上方に位置する。片面又は両面に画像が記録された記録紙12は、第2搬送ローラ部23を搬送向き41へ通過することにより、排出トレイ27に排出される。排出トレイ27は、複数枚の記録紙12が積載状態で支持可能である。
[カバー部材80]
図2(B)に示されるように、カバー部材80は、第1側面60Dの背面開口部60Eを覆うカバー本体部81を有する。図5に示されるように、カバー本体部81には、第1搬送路51及び第2搬送路52を区画する部材である第1樹脂部材82及び第2樹脂部材83が設けられている。また、第1樹脂部材82と第2樹脂部材83との間に、金属フレーム84が設けられている。
なお、以下のカバー部材80の各構成の説明では、特に記載がない限り、カバー部材80が、背面開口部60Eを塞ぐ起立位置になった状態(図5に示される状態)であるとして、定義された各方向(上下方向4、前後方向6、左右方向8)に基づいて説明される。
[カバー本体部81]
図6に示されるように、概ね板形状の基部81Aと、基部81Aにおける右端及び左端にそれぞれ設けられた第1側部81B及び第2側部81Cとを有する。基部81Aは、背面開口部60Eを塞ぐ大きさの矩形の平板状である。基部81Aにおける背面81Dは、筐体60の外面を構成している。基部81Aの下端部には、前方に突出した底面81Hが設けられている。
図2(B)に示されるように、基部81Aにおける幅方向8及び上下方向4の中央部には、操作凹部81Rが設けられている。操作凹部81Rは、カバー部材80を開閉操作する際に、作業者の手が挿入される。
図6に示されるように、第1側部81B及び第2側部81Cは、それぞれ板形状であり、下部を除いて、概ね長方形状になっている。図2(B)に示されるように、第1側部81B及び第2側部81Cは、筐体60における凹部60Mの第2側面60F及び第3側面60Gに沿って配置されている。第1側部81B及び第2側部81Cのそれぞれの下部は、下方になるにつれて前後方向6の長さが短くなった形状になっており、第1側部81B及び第2側部81Cのそれぞれの最下部には下方に突出する突出部81Tが設けられており、突出部81Tに長孔81Gが設けられている。
第1側部81Bと第2側部81Cは、カバー部材80が起立位置の場合に、基部81Aにおける幅方向8の両端よりも前方に位置する側部本体81Eと、後方に位置する突部81Fとを有する。図3(A)に示されるように、基部81Aは、カバー部材80が起立位置にある場合には、上端が下端よりも後方に位置するように傾斜した状態になる。
各側部本体81Eは、カバー部材80が起立位置にある場合に、前端の上部及び下部にそれぞれ位置する上部前端縁81P及び下部前端縁81Mを有する。上部前端縁81P及び下部前端縁81Mは、それぞれ上下方向4に沿った状態になっているが、上部前端縁81Pが下部前端縁81Mよりも前方に位置している。
各側部本体81Eの突出部81Tに設けられた長孔81Gは、一方向に沿って延びており、長孔81Gにおける長くなった方向(以下、「長手方向43」とする)は、軸体66からカバー部材80の回動先端部へ向かう方向(図3(A)において矢印43で示される方向。長手方向と同一方向であることから、以下においては、「長手方向43」と称する)に沿っている。カバー部材80が起立位置にあると、長孔81Gの長手方向43は、上下方向4に沿った状態になる。
長孔81Gには、筐体60の第2側面60F及び第3側面60Gのそれぞれに設けられた各軸体66が挿通している(図3参照)。長孔81Gは軸体66に対して回動可能であり、軸体66は、長孔81Gに対して長手方向43に沿ってスライド可能である。
図6に示されるように、第1側部81B及び第2側部81Cのそれぞれに設けられた各突部81Fは、上部が、基部81Aにおける幅方向8の両端から後方への突出長さが上端よりも下端において長くなるように、基部81Aに対して傾斜した第1傾斜面81Jになっている。第1傾斜面81Jは、カバー部材80の起立位置においては、上下方向4に沿った状態になり、第1側部81Bにおける上下方向4の中程よりも下端寄りの位置にまで達している。
各突部81Fの下部は、基部81Aにおける幅方向8の両端から後方への突出長さが上端よりも下端において短くなるように、基部81Aに対して傾斜した第2傾斜面81Kになっている。第1傾斜面81Jと第2傾斜面81Kとは、長孔81Gの長手方向に対して反対方向に傾斜している。
カバー部材80が倒伏位置にある場合、各突部81Fにおける第2傾斜面81Kが、筐体60に設けられた各規制部材67の当接面67Bに当接する。当接面67Bは、各突部81Fにおける第2傾斜面81Kに当接した状態で第2傾斜面81Kに平行になるように、傾斜角度が設定されている。
図3(A)に示されるように、カバー部材80が倒伏位置にある場合、各突部81Fにおける第2傾斜面81Kが、筐体60に設けられた各規制部材67の当接面67Bに当接する。これにより、カバー部材80は倒伏位置において支持され、筐体60の背面開口部60Eが開放される。この状態で筐体60の内部が、背面開口部60Eを介して外部に露出される。
図6に示されるように、カバー本体部81における基部81Aの前面81Lには、複数の第1リブ81Wが設けられている。各第1リブ81Wは、基部81Aにおける上下方向4の全域にわたって上下方向4に沿った状態で、幅方向8に間隔を空けて配置されている。図5(A)に示されるように、各第1リブ81Wにおける基部81Aから突出した先端面81Zは、カバー部材80が起立位置にある場合に、上部を除いて、概ね上下方向4に沿った仮想平面44上に位置する。各第1リブ81Wの上部における先端面81Zは、仮想平面41の上方に連続する仮想湾曲面上に位置する。この仮想湾曲面は、第2搬送路52の第2湾曲路52Aに対応した湾曲形状である。各第1リブ81Wの先端面81Zは、第2搬送路52を搬送される記録紙12を案内するガイド面(「第2ガイド面」の一例)を構成しており、このガイド面により、第2搬送路52の後方及び上方が区画されている。
図5に示されるように、第1側部81B及び第2側部81Cのそれぞれにおける側部本体81Eの上端部は、それぞれの前端部に設けられた連結部81Sによって連結されている。
連結部81Sは、基部81Aの上端から前方へ延出する概ね平板形状である連結部81Sの上面には、それぞれが前後方向6に沿って延びる複数の第2リブ81Xが上方へ突出している。第2リブ81Xは、幅方向8に間隔を空けて配置されている。各第2リブ81Xの上端面は、カバー部材80の上端面を形成している。幅方向8の中央部に設けられた複数の第2リブ81X以外の各第2リブ81Xは、前方の上端面81Yが、前方かつ上方を向いており、前端が後端より下方に位置するように傾斜している。全ての上端面81Yは、同一の仮想平面上に位置しており、カバー部材80が倒伏位置から起立位置へ回動する際に、筐体60に対してカバー部材80の回動先端部を所定の位置へ案内する第2案内面を構成している。
第2リブ81Xの上端面81Yは、カバー部材80が倒伏位置から起立位置へ回動される際に、図2(B)に示される筐体60の第1側面60Dにおける下縁部60Hと当接する。これにより、カバー部材80の回動先端部、すなわち連結部81Sは、背面開口部60E内に進入するように案内される。
カバー本体部81は、樹脂によって一体に成型されている。本実施形態では、カバー本体部81は、ポリスチレン(PS)製である。
[第1樹脂部材82]
図5及び図7に示されるように、第1樹脂部材82は、幅方向8を長手方向とする概ね板形状の部材である。図5に示されるように、第1樹脂部材82は、カバー本体部81の上部に、カバー本体部81の第1リブ81Wに対して前方に間隔を空けた状態で配置されている。図5に示されるように、第1樹脂部材82の上部は、後方に突出するように湾曲した湾曲部82Kになっており、第1樹脂部材82の下部は、上下方向4に沿った平面部82Mになっている。
図7に示されるように、第1樹脂部材82は、幅方向8の両端のそれぞれに、2つの突部82Aが設けられている。第1樹脂部材82の右端に設けられた2つの突部82Aは、上下方向4に間隔をあけて配置されており、それぞれが、幅方向8の右向きに突出されている。第1樹脂部材82の左端に設けられた2つの突部82Aは、上下方向4に間隔をあけて配置されており、それぞれが、幅方向8の左向きに突出されている。
図6に示されるように、第1樹脂部材82の右端に設けられた2つの突部82Aは、カバー本体部81の第1側部81Bにおける側部本体81Eの上部に設けられた各孔81V内にそれぞれ挿入されている。第1樹脂部材82の左端に設けられた2つの突部82Aも、同様にして、第2側部81Cの側部本体81Eにおける上部に取り付けられている。これにより、第1樹脂部材82がカバー本体部81に組み付けられており、第1樹脂部材82における幅方向8の両端部が、カバー本体部81を介して、筐体60に支持されている。
カバー本体部81に第1樹脂部材82が組み付けられた状態において、各突部82Aは、各孔81Vに対して幅方向8に移動可能である。すなわち、第1樹脂部材82の右端及び左端は、第1側部81B及び第2側部81Cにおけるそれぞれの側部本体81Eの上部に当接した状態で、各突部82Aが、孔81Vに挿通されて、各突部82Aの先端部が、側部本体81Eとは間隔を空けた状態で抜け止めされている。これにより、各突部82Aは、上下方向4及び前後方向6に位置決めされた状態で、それぞれの突出向きとは反対向きに、幅方向8に沿ってスライド可能である。
図8に示されるように、第1樹脂部材82におけるカバー本体部81に対向する面82Sには、それぞれが後方に突出する複数の第3リブ82Bが設けられている。各第3リブ82Bは、概ね上下方向4に沿った状態で、幅方向8に間隔を空けて配置されている。各第3リブ82Bにおける先端面82Tは、第1樹脂部材82の湾曲部82Kにおいては、概ね同一の仮想湾曲面45上に位置し、平面部82Mにおいては、概ね同一の仮想平面46上に位置している。
各第3リブ82Bの先端面82Tは、第2搬送路52を搬送される記録紙12を案内するガイド面を構成しており、このガイド面により、第2搬送路52の一部が区画されている。
図8に示されるように、第1樹脂部材82には、上下方向4の中程に、4つの開口部(第3開口部の一例、以下、「第3開口部」とする)82Dが、幅方向8に間隔を空けて形成されている。第1樹脂部材82の上部には、複数の上部開口部82Eが、幅方向8に間隔を空けて形成されている。さらに、第1樹脂部材82の下部には、複数の下部開口部82Fが幅方向8に間隔を空けて形成されている。
第3開口部82Dは、後述される第2樹脂部材83に支持されたコロ85(図7参照)が挿入される。上部開口部82Eには、第2樹脂部材83に設けられた抜け止め部83Eの先端に設けられた係合部83Kが係合されている(図10(B)参照)。下部開口部82Fには、第2樹脂部材83に設けられた位置決め部83Nが係合されている。
第1樹脂部材82には、幅方向8の左端及び右端の近傍に、後述される金属フレーム84を取り付けるための突部82G及び82H(図9参照)が設けられている。各突部82G及び82Hは、第1樹脂部材82の前面から前方に突出されている。各突部82G及び82Hは、金属フレーム84に設けられた第1貫通孔84B及び第2貫通孔84F(それぞれ図10(A)参照)に挿通されて、抜け止めされている。
第1樹脂部材82は、樹脂によって一体に成型されている。本実施形態では、第1樹脂部材82は、カバー本体部81と同様に、ポリスチレン(PS)製である。
[金属フレーム84]
図10に示されるように、金属フレーム84は、帯板形状の金属板である。金属フレーム84の長手方向に沿った縁部には、屈曲部84Aがそれぞれ形成されている。図5に示されるように、各屈曲部84Aは、一方の側縁部が、前方に向かって屈曲されており、他方の側縁部が後方に向かって屈曲されている。
図9に示されるように、金属フレーム84は、第1樹脂部材82におけるカバー本体部81とは反対(すなわち第1樹脂部材82より前方)の位置に、幅方向8に沿って配置されている。金属フレーム84における幅方向8に沿った長さは、第1樹脂部材82における幅方向8に沿った長さよりも短く、また、金属フレーム84の幅方向8の中央部が、第1樹脂部材82における幅方向8の中央部に一致した状態で配置されている。これにより、金属フレーム84における幅方向8の両端は、第1樹脂部材82における幅方向8の両端部よりも幅方向8の中央寄りに位置している。
図10(A)に示されるように、金属フレーム84における幅方向8の各端部の上部には、第1貫通孔84B及び第2貫通孔84Fがそれぞれ設けられている。一方の端部(左向きの端部)に設けられた第1貫通孔84Bは円形になっている。他方の端部(右向きの端部)に設けられた第2貫通孔84Fは、幅方向8に沿って延びる長孔である。図9に示されるように、第1貫通孔84B及び第2貫通孔84Fには、第1樹脂部材82における幅方向8の両端近傍に設けられた突部82G及び82H(図10(B)において模式的に示されている)が挿入されている。左端の第1貫通孔84Bに挿入された突部82Gは、第1貫通孔84B内において幅方向8に移動しない状態になっている。第2貫通孔84Fに挿入された突部82Hは、幅方向8に沿って移動可能である。
また、図10(A)に示されるように、金属フレーム84の上部には、第1貫通孔84B及び第2貫通孔84Fの間に、4つの長孔84Cが設けられている。2つの長孔84Cは、第1貫通孔84B及び第2貫通孔84Fのそれぞれに近接した位置に設けられている。これら2つの長孔84Cの間に、他の2つの長孔84Cが、概ね等しい間隔が空けられた状態で設けられている。各長孔84Cは、幅方向8に沿って延びている。図9に示されるように、各長孔84C内には、締結部材としてのネジ88が挿通されている。
長孔84Cに挿通される各ネジ88は、頭部が金属フレーム84の前面とは間隙が形成された状態で、第1樹脂部材82に設けられたボス部82N(図10(B)参照)にネジ結合されている。なお、このような構成に限らず、ボス部82Nを長孔84C内に挿通させて、ボス部82Nの先端にネジを取り付けて、ネジの頭部によって金属フレーム84を抜け止めする構成としてもよい。
金属フレーム84は、4つのネジ88によって、第1樹脂部材82に取り付けられている。この場合、金属フレーム84の第1貫通孔84Bに挿入された左端の突部82Gに対して固定されているが、4つのネジ88は、長孔84Cに対して幅方向8への相対移動可能である。また、第1樹脂部材82は、幅方向8の両端が、カバー本体部81の第1側部81B及び第2側部81Cに対して幅方向8の中央に向かって移動可能である。このために、第1樹脂部材82は、後方への押圧力が作用すると、後方に突出した湾曲状態に弾性変形可能である。
図9及び図10に示されるように、金属フレーム84には、第2樹脂部材83に支持される4つのコロ85がそれぞれ挿入される4つの第2開口部84Dが設けられている。第2開口部84Dのそれぞれは、幅方向8に間隔を空けて配置されている。
[第2樹脂部材83]
図7に示されるように、複数の第2樹脂部材83が金属フレーム84の前方に設けられている。複数の第2樹脂部材83は、幅方向8に沿って配置されており、それぞれが第1樹脂部材82に取り付けられている。
図7に示されるように、本実施形態では、7つの第2樹脂部材83が設けられている。各第2樹脂部材83は、第1樹脂部材82と同様に、上部が、後方に突出するように湾曲した湾曲部83Aになっており、下部が、上下方向4に沿った平面部83Bになっている。図5に示されるように、第2樹脂部材83の湾曲部83Aにおける搬送向き41の下流端は、第1樹脂部材82の湾曲部82Kにおける搬送向き41の下流端よりも前方に配置されている。第1樹脂部材82の湾曲部82Kにおける搬送向き41の下流端は、第2樹脂部材83の湾曲部83Aに接している。第2樹脂部材83の湾曲部83Aにおける搬送向き41の下流端は、第1搬送ローラ部21の近傍に位置している(図5(B)参照)。
図7に示されるように、各第2樹脂部材83には、第1樹脂部材82とは反対となる面83M、すなわち前方を向く面83Mに、複数の第4リブ83Cが設けられている。各第4リブ83Cは、少なくとも第2樹脂部材83の湾曲部83Aに配置されている。各第4リブ83Cは、湾曲部83Aに沿った状態で、湾曲部83Aの内方に突出している。湾曲部83Aにおける各第4リブ83Cの先端面83Gは、カバー部材80が起立位置にある場合に、後方に突出する仮想湾曲面上に位置する。この構成により、カバー部材80が起立位置にある場合、各第4リブ83Cの先端面83Gは、第1搬送路51の第1湾曲路51Aにおける外方のガイド面(第1ガイド面の一例)を構成しており、このガイド面により、第1搬送路51の第1湾曲路51Aが区画される。
第2樹脂部材83のそれぞれは、金属フレーム84に対向する面の下部から下方に突出する位置決め部83Nが、第1樹脂部材82に設けられた下部開口部82F内に挿入されている。下部開口部82F内に位置決め部83Nが挿入された第2樹脂部材83の上部は、図5(A)に示されるように、第1樹脂部材82の上部に支持されている。
図10(B)に模式的に示されるように、第2樹脂部材83のそれぞれは、金属フレーム84に対向する面83Hの上部から後方に突出する2つの抜け止め部83Eを有する。各抜け止め部83Eの後端には、幅方向8の両外に向けて屈曲された係合部83Kが設けられている。各係合部83Kは、第1樹脂部材82に設けられた上部開口部82Eに抜け止め部83Eが挿通された状態で、上部開口部82Eの周縁部に係合している。
図7に示されるように、幅方向8の中央に配置された第2樹脂部材83には、2つのコロ85の回転軸85A(図5参照)が回転可能に支持されている。また、当該第2樹脂部材83に対して幅方向8の両側に配置された各第2樹脂部材83には、1つのコロ85の回転軸85Aが、それぞれ回転可能に支持されている。
コロ85の回転軸85Aが支持された各第2樹脂部材83は、上下方向4の中央部に、各コロ85が挿入される第1開口部83Fが設けられている。従って、第1開口部83Fは、各第4リブ83Cの先端面83Gによって形成されるガイド面においても形成されている。
各コロ85は、幅方向8に沿った回転軸85A(図5(参照))を有し、各コロ85が第1開口部83F内に挿入された状態で、回転軸85Aにおける幅方向8の両端が、第2樹脂部材83に回転可能に支持される。コロ85の外周面は、第1開口部83Fから前後方向6の両向きに突出している。
図5に示されるように、第2樹脂部材83に支持された各コロ85の一部は、金属フレーム84に設けられた第2開口部84D内にそれぞれ挿入されている。また、各コロ85の一部は、第1樹脂部材82に設けられた第3開口部82D内に挿入されている。各コロ85の一部は、第1樹脂部材82に設けられたガイド面(第2ガイド面の一例、第3開口部82Dにおける第3リブ82Bの先端面81Zによって形成される)から突出している。
第2樹脂部材83は、第1樹脂部材82よりも摩擦係数が小さな合成樹脂によって一体に成形されている。第2樹脂部材83は、例えばポリアセタール(POM)製である。
[記録紙12の給送時におけるカバー部材80の動作]
カバー部材80が起立位置にある場合、筐体60の背面開口部60Eが塞がれた状態になる。このような状態で、例えば、第1給送トレイ61内の記録紙12は、第1給送部63によって第1搬送路51へ搬送される。
第1搬送路51内を搬送される記録紙12は、第2樹脂部材83における第4リブ83Cの先端面により案内されて、第1搬送ローラ21Aへ搬送される。このとき、第1搬送ローラ21Aは停止されており、記録紙12の先端は、第1搬送ローラ21A及びピンチローラ21Bに当接する。なお、記録紙12の先端が当接する際の第1搬送ローラ21Aの状態は、第1搬送ローラ21Aがシートを搬送する回転向きとは逆向きに回転された状態であってもよい。
このような状態で、第1給送部63による記録紙12の搬送が継続されると、図5(B)に示されるように、記録紙12における先端に近接した部分が、第1搬送路51の第1湾曲路51A内において、上方に向かって湾曲した状態になる。その後、さらに記録紙12の湾曲部分における突出量が大きくなると、第2樹脂部材83における第4リブ83Cの先端面83Gに当接する。この場合、記録紙12のサイズに応じて、記録紙12は、幅方向8の中央部に位置する第2樹脂部材83と、この第2樹脂部材83に対して幅方向8の両側に位置する1又は複数の第2樹脂部材83に当接する。これにより、記録紙12が当接した第2樹脂部材83の上部は後方に押圧される。
この場合、記録紙12が当接された第2樹脂部材83の上部には後方への押圧力が作用し、第2樹脂部材83の上部は後方に向かって変位する。これにより、第2樹脂部材83に取り付けられた抜け止め部83Eも後方へ変位し、各抜け止め部83Eの後端に設けられた係合部83Kは、第1樹脂部材82における上部開口部82Eの周縁部から離れることにより係合が解除される。
また、第1樹脂部材82の上部に支持されているために、第2樹脂部材83の上部に後方への押圧力が作用すると、第1樹脂部材82にも後方への押圧力が作用する。この場合、上記のように、第2樹脂部材83における抜け止め部83Eの係合部83Kは、第1樹脂部材82との係合が解除されているために、第1樹脂部材82は、後方への移動可能である。また、第1樹脂部材82における幅方向8の両端は、幅方向8の中央に向かってスライド可能である。さらに、第1樹脂部材82は金属フレーム84に対して後方に突出するように変形可能である。これらのことから、第1樹脂部材82に後方への力が作用すると、第1樹脂部材82は、幅方向8の中央部が後方へ突出する湾曲状態に弾性変形する。
第1樹脂部材82が湾曲状態になると、図10(C)に示されるように、第1樹脂部材82における幅方向8の中央部が、後方へ移動した第2樹脂部材83における各抜け止め部83Eの係合部83Kに係合する。また、第1樹脂部材82のボス部82Nにネジ結合されたネジ88の頭部が金属フレーム84に当接する。
このような状態で、記録紙12による第2樹脂部材83の後方への押圧が継続されると、第1樹脂部材82は、幅方向8の中央部を、さらに後方に向かって突出させる力が作用する。この場合、第1樹脂部材82にネジ結合されたネジ88により、金属フレーム84に後方へ向かう力が作用する。金属フレーム84は、第1樹脂部材82よりも弾性変形立が小さいために、金属フレーム84により、第1樹脂部材82がさらに湾曲することが抑制される。
これにより、第1樹脂部材82は 金属フレーム84によって前方に向かう力が作用する。この力は、湾曲状態になった第1樹脂部材82における幅方向8の両端間の全域にわたり、ほぼ均等に作用する。この力は、第2樹脂部材83を介して、第2樹脂部材83に接した記録紙12に伝達される。
これにより、記録紙12には、第1湾曲路51Aの内方に向かう力が、幅方向8の全体にわって、ほぼ均等に作用する。その結果、記録紙12の先端が、幅方向8の全体にわたって第1搬送ローラ21A及びピンチローラ21Bに当接するように押圧され、記録紙12の斜行状態が解消される。
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、記録紙12が第2樹脂部材83を押圧すると、第2樹脂部材83を支持する第1樹脂部材82にも押圧力が加わり、後方へ突出する湾曲状態に弾性変形する。この場合、第1樹脂部材82は、金属フレーム84によって、第1湾曲路51Aの内方に向かう力が生じ、この力が、幅方向8のほぼ全域にわたってほぼ均等に記録紙12に加わる。これにより、記録紙12の斜行状態を確実に解消することができる。また、第1樹脂部材82における第1搬送路51とは反対側に、記録紙12を押圧するための部材を設けるスペースを確保する必要がなく、シート搬送装置全体を小型化することができる。
金属フレーム84は、当該金属フレーム84の長孔84Cに対して相対移動可能なネジ88により、第1樹脂部材82に取り付けられている。これにより、第1樹脂部材82は、幅方向8の中央部が第1湾曲路51Aの外方へ撓む状態に円滑に弾性変形する。
第1樹脂部材82の両端部には、幅方向8へ突出する突部82Aが設けられており、突部82Aがカバー部材80に設けられた孔81Vに挿入されることにより、筐体60に対して支持されている。これにより、第1樹脂部材82は、幅方向8の端部が筐体に対して確実に支持され、幅方向8の中央部が第1湾曲路51Aの外方へ撓む状態に容易に弾性変形する。
記録紙12は、中央基準で第1搬送路51を搬送されるために、幅方向8の中央部が第1湾曲路51Aの外方に撓んだ状態に弾性変形する第1樹脂部材82によって、記録紙12に対して、幅方向8の全体にわたってほぼ均等に押圧力を作用させることができる。これにより、記録紙12の斜行状態をより一層確実に解消することができる。
金属フレーム84は、第1樹脂部材82と第2樹脂部材83との間に位置されており、第1樹脂部材82は、第2搬送路の少なくとも一部を区画する第2ガイド面を、金属フレーム84とは反対側に有する。この構成により、金属フレーム84によって、第1樹脂部材81の幅方向8の中央部が第1湾曲路51Aの外方に撓む状態に確実に弾性変形させることができる。
第2樹脂部材83における搬送向きの下流端は、第1搬送ローラ部21の近傍に位置しているために、第1搬送路51を搬送される記録紙12が第1搬送ローラ部21にまで確実に案内される。これにより、記録紙12を第1搬送ローラ部21に対して確実に当接させることができる。
金属フレーム84は、1枚の板で構成されており、幅方向8に沿って延びる屈曲部84Aを有するために、金属フレーム84が弾性的に変形することが抑制される。その結果、第1樹脂部材82により、第1湾曲路51Aの内方に向かう大きな力を記録紙12に作用させることができる。
第2樹脂部材83の第1ガイド面に形成された第1開口部83Fから、第2樹脂部材83によって支持されたコロ85の外周面が突出する。これにより、記録紙12に当接したコロ85が回転することによって、第1搬送路51を搬送される記録紙12に対する抵抗を低減でき、記録紙12を第1搬送路51に沿って円滑に搬送することができる。
コロ85の一部が、金属フレーム84の第2開口部84Dから突出される構成であることから、金属フレーム84とコロ85とが、金属フレーム84の厚さ方向に重ならない。これにより、第1樹脂部材82、第2樹脂部材83、及び金属フレーム84の全体としての厚みが増加することを抑制できる。
コロ85の一部が、第1樹脂部材82の第3開口部82Dから突出される構成であることから、第1樹脂部材82とコロ85とが、第1樹脂部材82の厚さ方向に重ならない。これにより、第1樹脂部材82、第2樹脂部材83、及び金属フレーム84の全体としての厚みが増加することを抑制できる。
第2樹脂部材83は、幅方向8に沿って複数が並んだ状態で第1樹脂部材82に取り付けられている。これにより、第1樹脂部材82に対する第2樹脂部材83の取り付けが容易になる。
画像が記録された記録紙12は、第3搬送路54によって第1搬送路51へ再搬送されることから、第3搬送路54から第1搬送路51へ再搬送されるシートの斜行状態を確実に解消することができる。
[変形例]
上記実施形態では、カバー部材80のカバー本体部81、第1樹脂部材82、第2樹脂部材83にリブが形成されており、当該リブの突出先端面が記録紙12を案内する構成であったが、リブが形成されていなくてもよい。この場合、例えば、カバー本体部81、第1樹脂部材82、第2樹脂部材83における各搬送路を向く面が記録紙12を案内する構成とされる。
また、第2搬送路52が設けられない構成、あるいは、コロ85が設けられない構成であってもよい。この場合、コロ85が挿入される開口部を設ける必要がない。
第1樹脂部材82は、筐体60に対してカバー本体部81を介して支持される構成であったが、筐体60に直接支持される構成としてもよい。
また、金属フレーム84は、2つの屈曲部84Aを有する構成に限らず、いずれか一方のみを有する構成、あるいは、屈曲部84Aを有さない構成としてもよい。
また、画像が記録された記録紙12を第1搬送路51に再搬送する第3搬送路54は、設けられていなくてもよい。さらに、第3搬送路54は、上記実施形態の構成に限らない。例えば、上部搬送路53と第3搬送路54との分岐位置が、記録部30よりも搬送向きの上流に位置する構成、あるいは、上部搬送路53と第3搬送路54との合流位置が、分岐位置よりも搬送向きの上流に位置する構成等としてもよい。
第1給送トレイ61及び第2給送トレイ62を有する構成に限らず、第1給送トレイ61のみを有する構成であってもよい。
本発明のシート搬送装置は、画像記録装置に設けられる構成に限らず、スキャナ等に設けられていてもよい。