JP6634629B2 - 渦流探傷装置 - Google Patents

渦流探傷装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6634629B2
JP6634629B2 JP2015132763A JP2015132763A JP6634629B2 JP 6634629 B2 JP6634629 B2 JP 6634629B2 JP 2015132763 A JP2015132763 A JP 2015132763A JP 2015132763 A JP2015132763 A JP 2015132763A JP 6634629 B2 JP6634629 B2 JP 6634629B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
eddy current
flaw detection
inspected
inspection
inspection target
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015132763A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017015569A (ja
Inventor
春名 和幸
和幸 春名
福田 耕治
耕治 福田
裕貴 中川
裕貴 中川
道 市栄
道 市栄
智裕 西岡
智裕 西岡
里香 田中
里香 田中
徳 浜地
徳 浜地
邦博 小長光
邦博 小長光
中村 真一郎
真一郎 中村
慶三郎 川野
慶三郎 川野
光裕 東
光裕 東
村田 伸
伸 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Technology Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Technology Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp, Nippon Steel Technology Co Ltd filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2015132763A priority Critical patent/JP6634629B2/ja
Publication of JP2017015569A publication Critical patent/JP2017015569A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6634629B2 publication Critical patent/JP6634629B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Magnetic Means (AREA)

Description

本発明は、例えば、管、丸棒鋼、線材、丸ビレットの外面など、検査対象面が曲面である長尺の被検査材の検査対象面全体を精度良く探傷可能な渦流探傷装置に関する。
従来、例えば、特許文献1に記載のように、渦流探傷プローブ(特許文献1では「旋回プローブ13」を円盤(特許文献1では「回転体16」)の回転中心からずらした位置に取り付けて、長尺の被検査材の検査対象面に対向配置し、円盤を回転させると共に、円盤に対して被検査材を長手方向に相対的に移動させることで、被検査材の検査対象面に生じているきずを検出する渦流探傷装置が知られている。
上記のように、渦流探傷プローブを回転させる方式の渦流探傷装置では、渦流探傷プローブは平面上で回転するため、検査対象面が曲面である場合、渦流探傷プローブの回転位置に応じて、検査対象面からのリフトオフが変化する。リフトオフが相対的に大きい箇所では渦流探傷プローブの出力信号(きず検出信号)の強度が相対的に低下するため、きずの検出能も相対的に低下する。このリフトオフが相対的に大きい箇所でのきず検出能の低下を補完するために、探傷感度(きず検出信号の増幅率)を大きくすると、渦流探傷プローブの回転位置に関わらず探傷感度が大きくなる。このため、リフトオフが相対的に小さい箇所でのきず検出信号の強度が大きくなり過ぎて、きずの過検出が生じるために有効ではない。検査対象面の曲率が大きいほど上記リフトオフの変化による影響は顕著であり、検査対象面の曲率が所定値以上に大きい場合には、検査対象面において探傷可能な範囲が限定される(リフトオフが相対的に小さい箇所しか探傷できない)という問題がある。
特開平2−32247号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、検査対象面が曲面である長尺の被検査材の検査対象面全体を精度良く探傷可能な渦流探傷装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の(1)〜(3)を満足する渦流探傷装置とすることで、リフトオフの変化による影響を低減できると共に、被検査材の検査対象面全体を探傷可能であることに想到した。
(1)従来のように渦流探傷プローブを回転させるのではなく、被検査材の長手方向に直交する短手方向に沿って複数の渦流探傷プローブを配置する。
(2)複数の渦流探傷プローブによる探傷範囲(被検査材の短手方向に沿って配置された各渦流探傷プローブの探傷範囲を合成して得られる探傷範囲)が被検査材の検査対象面の短手方向全体に亘るように、なお且つ、複数の渦流探傷プローブの被検査材の検査対象面からのリフトオフが互いに同等となるように、複数の渦流探傷プローブを位置決めする。
(3)渦流探傷を実行する際、複数の渦流探傷プローブが被検査材の長手方向に沿って相対的に移動する。
ただし、複数の渦流探傷プローブが被検査材の長手方向に沿ってのみ相対的に移動するのであれば、被検査材の長手方向に沿って直線状に延びるきずについては、その長手方向両端部しか検出できない可能性が生じる。すなわち、きずの中央部では、渦流探傷プローブによって被検査材に誘起された渦電流の経路が時間的に変化しないために、きず検出信号が得られない可能性がある。
そのため、本発明者らは更に鋭意検討した結果、以下の(4)を更に満足する渦流探傷装置とすることで、被検査材の長手方向に沿って直線状に延びるきずであっても、きずの両端部のみならず全体からきず検出信号が得られ易くなり、きず検出精度が高まることを見出した。
(4)渦流探傷を実行する際、複数の渦流探傷プローブが被検査材の短手方向に沿って揺動する。
本発明は、本発明者らの上記の知見に基づき完成したものである。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、第1の手段として、検査対象面が曲面である長尺の被検査材を探傷する渦流探傷装置であって、前記被検査材の検査対象面に対向し、前記被検査材の長手方向から見て、前記被検査材の長手方向に直交する短手方向に沿って配置された複数の渦流探傷プローブと、前記複数の渦流探傷プローブを前記被検査材の検査対象面に対して位置決めする位置決め手段と、前記複数の渦流探傷プローブを前記被検査材の短手方向に沿って揺動させる揺動手段とを備え、前記複数の渦流探傷プローブは、前記検査対象面に対向する面が平坦面であり、前記位置決め手段は、前記複数の渦流探傷プローブの前記被検査材の長手方向周りの回動位置を調整して位置決めすることが可能であり、前記複数の渦流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向から見て、探傷範囲が前記被検査材の検査対象面の短手方向全体に亘ると共に、前記被検査材の検査対象面からのリフトオフが互いに同等となるように、前記位置決め手段によって位置決めされており、渦流探傷を実行する際、前記複数の渦流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向に沿って相対的に移動すると共に、前記揺動手段によって前記被検査材の短手方向に沿って揺動することを特徴とする渦流探傷装置を提供する。
また、前記課題を解決するため、本発明は、第2の手段として、検査対象面が曲面である長尺の被検査材を探傷する渦流探傷装置であって、前記被検査材の検査対象面に対向し、前記被検査材の長手方向から見て、前記被検査材の長手方向に直交する短手方向に沿って配置された複数の渦流探傷プローブと、前記複数の渦流探傷プローブを前記被検査材の検査対象面に対して位置決めする位置決め手段と、前記複数の渦流探傷プローブを前記被検査材の短手方向に沿って揺動させる揺動手段とを備え、前記複数の渦流探傷プローブは、それぞれ渦流探傷センサを具備し、前記複数の渦流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向から見て、探傷範囲が前記被検査材の検査対象面の短手方向全体に亘ると共に、前記被検査材の検査対象面からのリフトオフが互いに同等となるように、前記位置決め手段によって位置決めされており、渦流探傷を実行する際、前記複数の渦流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向に沿って相対的に移動すると共に、前記揺動手段によって、前記被検査材の短手方向に沿った前記渦流探傷センサの有効探傷範囲と同程度の揺動幅で揺動することを特徴とする渦流探傷装置を提供する。
本発明の第1及び第2の手段に係る渦流探傷装置によれば、複数の渦流探傷プローブが、被検査材の長手方向から見て、探傷範囲が被検査材の検査対象面の短手方向全体に亘ると共に、被検査材の検査対象面からのリフトオフが互いに同等となるように、位置決め手段によって位置決めされている。そして、渦流探傷を実行する際、複数の渦流探傷プローブは、被検査材の長手方向に沿って相対的に移動する。このため、リフトオフの変化による影響を低減できると共に、被検査材の検査対象面全体を探傷可能である。
また、本発明の第1及び第2の手段に係る渦流探傷装置によれば、渦流探傷を実行する際、複数の渦流探傷プローブが、揺動手段によって被検査材の短手方向に沿って揺動する。このため、被検査材の長手方向に沿って直線状に延びるきずであっても、きずの両端部のみならず全体を検出し易くなり、きず検出精度が高まる。
以上のように、本発明の第1及び第2の手段に係る渦流探傷装置によれば、検査対象面が曲面である長尺の被検査材の検査対象面全体を精度良く探傷可能である。
さらに、前記課題を解決するため、本発明は、第3の手段として、検査対象面が曲面である長尺の被検査材を探傷する渦流探傷装置であって、前記被検査材の検査対象面に対向し、前記被検査材の長手方向から見て、前記被検査材の長手方向に直交する短手方向に沿って配置された複数の渦流探傷プローブと、前記複数の渦流探傷プローブを前記被検査材の検査対象面に対して位置決めする位置決め手段と、前記複数の渦流探傷プローブを前記被検査材の短手方向に沿って揺動させる揺動手段とを備え、前記複数の渦流探傷プローブは、それぞれ複数の渦流探傷センサを具備し、前記複数の各渦流探傷センサは、前記被検査材の短手方向に沿って並設され、前記被検査材の検査対象面に対して互いに逆位相の交流磁界を作用させて前記被検査材の検査対象面に渦電流を誘起する一対の励磁コイルと、前記一対の励磁コイルの間に設けられ、前記一対の励磁コイルによって誘起された渦電流によって生じる磁界を検出する検出コイルとを有し、前記複数の渦流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向から見て、探傷範囲が前記被検査材の検査対象面の短手方向全体に亘ると共に、前記被検査材の検査対象面からのリフトオフが互いに同等となるように、前記位置決め手段によって位置決めされており、渦流探傷を実行する際、前記複数の渦流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向に沿って相対的に移動すると共に、前記揺動手段によって前記被検査材の短手方向に沿って揺動することを特徴とする渦流探傷装置を提供する
本発明の第3の手段に係る渦流探傷装置によれば、各渦流探傷センサが具備する一対の励磁コイルのうち、一方の励磁コイルから被検査材の検査対象面に対して作用する交流磁界と、他方の励磁コイルから被検査材の検査対象面に対して作用する交流磁界とが逆位相である。このため、各励磁コイルからの交流磁界によって被検査材の検査対象面に誘起される各渦電流、及び、各渦電流によって生じる各磁界も逆位相となる。したがって、被検査材の検査対象面にきずが存在しない場合、一対の励磁コイルの間に設けられた検出コイルで検出される各磁界の強度は略同等になると共に逆位相であるため、原理上は検出コイルに起電力が発生しない(検出コイルの検出信号の強度がゼロである)。一方、被検査材の検査対象面にきずが存在する場合には、検出コイルで検出される各磁界は逆位相であるものの、その強度がきずの存在する位置や大きさによって互いに異なるものとなる。このため、検出される各磁界の強度差に応じて検出コイルに起電力が発生し、検出コイルからきず検出信号が出力される。
本発明の第3の手段に係る渦流探傷装置によれば、励磁コイルが単一の構成に比べて、リフトオフの変化による影響を受け難いという利点を有する。励磁コイルが単一の場合、リフトオフの変化に伴い、被検査材の検査対象面に作用する交流磁界によって誘起される渦電流の強度が変化し、渦電流によって生じ検出コイルで検出される磁界の強度が変化するため、検出コイルの出力信号がリフトオフの変化に伴って変化する。しかしながら、本発明の第3の手段に係る渦流探傷装置によれば、一対の励磁コイルの双方がリフトオフの変化の影響を受けるものの、各励磁コイルによって生じ検出コイルで検出される各磁界が逆位相であり相殺されるため、リフトオフの変化に伴う検出コイルの出力信号の変化を抑制可能である。
本発明の第3の手段に係る渦流探傷装置における渦流探傷センサ(一対の励磁コイルと、一対の励磁コイルの間に設けられた検出コイルとを有する渦流探傷センサ)によれば、検出コイルの直下近傍にきずが存在すると、きずが存在しない場合と同様に、検出コイルで検出される各磁界の強度が略同等になり、逆位相であるため、検出コイルに起電力が発生しないおそれがある。換言すれば、検出コイルの直下近傍領域が探傷不能な不感帯になる可能性がある。
この不感帯を抑制するには、被検査材の長手方向に沿って少なくとも一対の渦流探傷センサを並設し、被検査材の長手方向から見て、一方の渦流探傷センサの不感帯(検出コイルの直下近傍領域)が他方の渦流探傷センサの有効探傷範囲(検出コイルの直下近傍を除く領域)と重なるように、各渦流探傷センサの位置を被検査材の短手方向に沿ってずらして配置すればよい。
具体的には、本発明の第3の手段に係る渦流探傷装置において、前記複数の各渦電流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向に沿って並設された少なくとも一対の前記渦流探傷センサを具備し、前記一対の渦流探傷センサのうち、一方の渦流探傷センサにおける前記被検査材の短手方向に沿ったきず検出信号の強度分布のピークの中間に、他方の渦流探傷センサにおける前記被検査材の短手方向に沿ったきず検出信号の強度分布のピークが位置するように、前記一対の渦流探傷センサが前記被検査材の短手方向に沿ってずれて配置されていることが好ましい。
上記の好ましい構成によれば、一方の渦流探傷センサにおける被検査材の短手方向に沿ったきず検出信号の強度分布のピークの中間(この中間点近傍領域が、一方の渦流探傷センサの不感帯になると考えられる)に、他方の渦流探傷センサにおける被検査材の短手方向に沿ったきず検出信号の強度分布のピーク(このピーク点近傍領域は、他方の渦流探傷センサの有効探傷範囲になると考えられる)が位置するように、一対の渦流探傷センサが被検査材の短手方向に沿ってずれて配置される。このため、被検査材の長手方向から見て、一方の渦流探傷センサの不感帯が他方の渦流探傷センサの有効探傷範囲に重なることになる。これにより、一対の渦流探傷センサ全体で評価すれば、不感帯が抑制されることになる。
なお、上記の好ましい構成における「被検査材の短手方向に沿ったきず検出信号の強度分布」とは、被検査材に所定の人工きず(たとえば、一対の励磁コイル及び検出コイルよりも小さい幅で被検査材の長手方向に延びる人工きず)を設け、この人工きずに対して渦流探傷センサを被検査材の短手方向に沿って相対的に移動させた場合に得られる検出コイルの出力信号(きず検出信号)の強度分布を意味する。この強度分布は、渦流探傷センサが有する一対の励磁コイルの直下に人工きずが位置したときにピークになる(したがって、2つのピークを有する)と考えられる。
本発明によれば、検査対象面が曲面である長尺の被検査材の検査対象面全体を精度良く探傷可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る渦流探傷装置の概略構成を模式的に示す図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る渦流探傷装置が備える位置決め手段及び揺動手段の概略構成を模式的に示す図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る渦流探傷装置が備える揺動手段によって渦流探傷プローブを揺動させる効果を模式的に説明する図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る渦流探傷装置が備える渦流探傷プローブが具備する渦流探傷センサの概略構成及びきずの検出原理を模式的に説明する図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る渦流探傷装置が備える渦流探傷プローブが具備する一対の渦流探傷センサの配置状態と、きず検出信号の強度分布を模式的に示す図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る渦流探傷装置が備える渦流探傷プローブが具備する8つの渦流探傷センサの配置状態を示す裏面図である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係る渦流探傷装置について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る渦流探傷装置の概略構成を模式的に示す図である。図1(a)は被検査材の長手方向から見た正面図であり、図1(b)は被検査材の長手方向に直交する短手方向から見た側面図である。なお、図1(a)では、便宜上、渦流探傷装置が備える位置決め手段の図示を省略している。また、図1(a)では、便宜上、渦流探傷装置が備える複数の渦流探傷プローブのうち、3つの渦流探傷プローブを残りの3つの渦流探傷プローブよりも上方に図示しているが、実際には被検査材の検査対象面からのリフトオフが互いに同等であるため、残りの3つの渦流探傷プローブもほぼ同じ高さに位置する。
図2は、本実施形態に係る渦流探傷装置が備える位置決め手段及び揺動手段の概略構成を模式的に示す図である。図2(a)は被検査材の長手方向から見た正面図であり、図2(b)は裏面図である。
図1又は図2に示すように、本実施形態に係る渦流探傷装置100は、検査対象面S1が曲面である長尺の被検査材S(例えば、丸棒鋼など)を探傷する装置であり、複数の渦流探傷プローブ1(本実施形態では、6つの渦流探傷プローブ1a〜1f)と、位置決め手段2と、揺動手段3とを備えている。また、本実施形態に係る渦流探傷装置100は、各渦流探傷プローブ1に電気的に接続された探傷器4と、探傷器4及びPLC(Programmable Logic Controller、図示せず)に電気的に接続された制御装置5とを備えている。
複数の渦流探傷プローブ1は、被検査材Sの検査対象面S1に対向し、被検査材Sの長手方向(図1に示すX方向)から見て、被検査材Sの長手方向に直交する短手方向(図1に示すY方向)に沿って配置されている。具体的には、複数の渦流探傷プローブ1は、被検査材Sの長手方向から見て、被検査材Sの短手方向に沿って隣接する渦流探傷プローブ1(例えば渦流探傷プローブ1aと渦流探傷プローブ1b)の探傷範囲が一部重なり合って、複数の渦流探傷プローブ1全体の探傷範囲(各渦流探傷プローブ1の探傷範囲を合成して得られる探傷範囲)が被検査材Sの検査対象面S1の短手方向全体に亘るように配置されている。また、複数の渦流探傷プローブ1は、被検査材Sの検査対象面S1からのリフトオフLが互いに同等(本実施形態では2〜2.2mm)となるように配置されている。より具体的に説明すれば、制御装置5には、被検査材Sの検査対象面S1の形状毎に、上記の条件(複数の渦流探傷プローブ1全体の探傷範囲が被検査材Sの検査対象面S1の短手方向全体に亘り、被検査材Sの検査対象面S1からのリフトオフLが互いに同等となる条件)を満足する各渦流探傷プローブ1の位置が予め記憶されている。そして、渦流探傷を実行する前に、制御装置5は、上位のコンピュータから被検査材Sの検査対象面S1に関する情報を受信し、予め記憶した各渦流探傷プローブ1の位置の中から、受信した情報に適合する各渦流探傷プローブ1の位置を選択し、各渦流探傷プローブ1がこの選択した位置となるように、PLCを介して位置決め手段2に制御信号を送信して位置決めさせる。なお、図1(b)に示すように、各渦流探傷プローブ1は、被検査材Sの長手方向にずれた位置に配置されている。
本実施形態の位置決め手段2は、複数の渦流探傷プローブ1を被検査材Sの検査対象面S1に対して位置決めする手段であり、筐体21と、エアシリンダー22と、支持部材23と、基台24とを具備する。
筐体21は、渦流探傷プローブ1毎に設けられ、各渦流探傷プローブ1と揺動手段3の機構部とを収容している。ただし、各渦流探傷プローブ1の端部(被検査材Sの検査対象面S1に対向する側の端部)は、筐体21の外部に露出している。
エアシリンダ22は、筐体21毎に取り付けられ、進退動することによって各筐体21ひいては各渦流探傷プローブ1を上下方向(図1に示すZ方向)に沿って移動させる。
支持部材23は、エアシリンダ22毎に取り付けられ、各エアシリンダ22を被検査材Sの長手方向(X方向)周りに回動可能(図2に示すθ方向に回動可能)に軸支すると共に、被検査材Sの短手方向(Y方向)に移動可能に基台24に取り付けられている。各エアシリンダ22は、回転モータ(図示せず)を駆動源として回動可能とされており、各支持部材23は、一軸ステージ241によって被検査材Sの短手方向に沿って移動可能とされている。
基台24には、全ての支持部材23(本実施形態では6つの支持部材23)が取り付けられており、基台24は、上下方向(Z方向)に移動可能に構成されている。
前述のように、位置決め手段2は、制御装置5から送信された制御信号(被検査材Sの検査対象面S1に適合する各渦流探傷プローブ1の位置となるように位置決め手段2を制御する信号)に基づき、各渦流探傷プローブ1を位置決めする。
具体的には、制御装置5から送信された制御信号に基づき、基台24は上下方向に移動する。これにより、基台24に連結された各渦流探傷プローブ1の上下方向(Z方向)位置が一律に粗調整される。次に、制御装置5から送信された制御信号に基づき、各支持部材23に取り付けられた一軸ステージ241が駆動し、各支持部材23ひいては各支持部材23に連結された各渦流探傷プローブ1のY方向位置が個別に調整される。図1(b)に示すように、各渦流探傷プローブ1と共に各筐体21も被検査材Sの長手方向にずれた位置に配置されているため、図1(a)に示すように、被検査材Sの長手方向から見た場合には各筐体21が干渉するように見えるものの、実際には干渉せずに各渦流探傷プローブのY方向位置を調整可能である。そして、制御装置5から送信された制御信号に基づき、回転モータ(図示せず)が駆動し、各エアシリンダ22のθ方向位置が個別に調整される。最後に、各筐体21の下部に取り付けられた車輪(図示せず)が被検査材Sの検査対象面S1に当接するまで各エアシリンダ22が伸長することで、各渦流探傷プローブ1の上下方向(Z方向)位置が個別に微調整される。
以上に説明した位置決め手段2の動作により、複数の渦流探傷プローブ1全体の探傷範囲が被検査材Sの検査対象面S1の短手方向全体に亘ると共に、被検査材Sの検査対象面S1からのリフトオフLが互いに同等となるように、複数の渦流探傷プローブ1が位置決めされる。
本実施形態の揺動手段3は、複数の渦流探傷プローブ1を被検査材Sの短手方向(Y方向に沿って揺動させる手段であり、渦流探傷プローブ1毎に設けられている。本実施形態の揺動手段3は、回転モータ31と、回転モータ31の回転軸に取り付けられた駆動歯車32と、駆動歯車32に噛み合う従動歯車33と、従動歯車33の回転軸に取り付けられたカム34と、カム34の外縁に接触すると共に渦流探傷プローブ1を支持する支持部材35と、支持部材35と筐体21の内壁との間に介在してY方向に沿って伸縮可能な弾性部材36と、支持部材35のY方向への移動を案内する案内部材37とを具備する。回転モータ31の回転軸、駆動歯車32、従動歯車33、カム34、支持部材35、弾性部材36及び案内部材37が、前述した筐体21に収容される揺動手段3の機構部に相当する。
後述のように、渦流探傷を実行する際、複数の渦流探傷プローブ1は、揺動手段3によって被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿って揺動する。具体的には、各揺動手段3は、制御装置5からPLCを介して送信された制御信号(揺動手段3を制御する信号)に基づき、各渦流探傷プローブ1を揺動させる。
より具体的には、制御装置5から送信された制御信号に基づき、揺動手段3が具備する回転モータ31が回転し、この回転力が、駆動歯車32及び従動歯車33を介してカム34に伝達し、カム34が図2(b)の矢符に示す方向に回転する。これにより、カム34の外縁に接触する支持部材35がY方向に沿って揺動し、支持部材35に支持された渦流探傷プローブ1もY方向に沿って揺動する。本実施形態のカム34の外縁は楕円形であるため、図2(b)の上図に示すように、カム34の回転中心341から最も離れた外縁(楕円の長径に位置する箇所)が支持部材35に接触するときに、支持部材35ひいては渦流探傷プローブ1は、最も回転モータ31の回転中心から離れた位置になり、図2(b)の下図に示すように、カム34の回転中心341に最も近い外縁(楕円の短径に位置する箇所)が支持部材35に接触するときに、支持部材35ひいては渦流探傷プローブ1は、最も回転モータ31の回転中心に近い位置となる。このため、回転モータ31の回転に伴いカム34が1回転する毎に、渦流探傷プローブ1はY方向に沿って2往復揺動することになる。
なお、図2(b)の下図に示す状態(カム34が1回転する間に弾性部材36の長さが最も長くなる状態)においても、弾性部材36は自然長よりも縮んだ状態とされている。このため、弾性部材36によって支持部材35はカム34の外縁に向けて付勢されており、カム34の外縁と支持部材35とは安定した状態で接触可能である。
本実施形態の探傷器4は、後述のように、渦流探傷プローブ1が具備する渦流探傷センサ11(具体的には、渦流探傷センサ11が有する一対の励磁コイル)に交流電流を通電すると共に、過流探傷センサ11(具体的には、渦流探傷センサ11が有する検出コイル)から出力された検出信号に同期検波等の各種信号処理を施す機能を果たす。探傷器4のより具体的な構成については、公知の渦流探傷用の探傷器と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
本実施形態の制御装置5は、前述のように、位置決め手段2や揺動手段3を制御する機能を果たす他、探傷器4を制御したり、探傷器4から出力された検出信号に基づき、きずの有無を判定する機能を果たす。具体的には、制御装置5は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータに上記の機能を果たすための所定のプログラムがインストールされた構成とされる。
以上の構成を有する渦流探傷装置100で渦流探傷を実行する際、複数の渦流探傷プローブ1は、被検査材Sの長手方向に沿って相対的に移動すると共に、揺動手段3によって被検査材Sの短手方向に沿って揺動する。
被検査材Sの長手方向に沿った複数の渦流探傷プローブ1の相対的な移動について、本実施形態では、複数の渦流探傷プローブ1が静止する一方、被検査材Sが所定の搬送手段によって長手方向に沿って移動する(例えば、搬送手段としての被検査材Sの下部を支持する搬送ロールが回転することによって、被検査材Sが長手方向に沿って搬送される)構成とされているが、本発明はこれに限るものではなく、被検査材Sが静止して、複数の渦流探傷プローブ1が被検査材Sの長手方向に沿って移動する構成(例えば、基台24をX方向に移動可能とし、基台24をX方向に移動させることで渦流探傷プローブ1を被検査材Sの長手方向に沿って移動させる構成)を採用することも可能である。
本実施形態に係る渦流探傷装置100によれば、複数の渦流探傷プローブ1が、被検査材Sの長手方向から見て、探傷範囲が被検査材Sの検査対象面S1の短手方向全体に亘ると共に、被検査材Sの検査対象面S1からのリフトオフが互いに同等となるように、位置決め手段2によって位置決めされている。そして、渦流探傷を実行する際、複数の渦流探傷プローブ1は、被検査材Sの長手方向に沿って相対的に移動する。このため、リフトオフの変化による影響を低減できると共に、被検査材Sの検査対象面S1全体を探傷可能である。
図3は、本実施形態に係る渦流探傷装置100が備える揺動手段3によって渦流探傷プローブ1を揺動させる効果を模式的に説明する図である。図3(a)は揺動手段3によって渦流探傷プローブ1を揺動させない状態と、このときに得られるきず検出信号の例を模式的に示し、図3(b)は揺動手段3によって揺動させる状態と、このときに得られるきず検出信号の例を模式的に示す。
なお、図3では、便宜上、1つの渦流探傷プローブ1のみを図示しているが、実際には、前述のように、渦流探傷プローブ1毎に揺動手段3が設けられているため、複数の渦流探傷プローブ1が被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿って揺動することになる。この際、各渦流探傷プローブ1の揺動が同期する(揺動の位相が同一になる)ように、各揺動手段3が具備する各回転モータ31の回転速度及び回転位相は同一とされている。また、後述のように、1つの渦流探傷プローブ1は複数の渦流探傷センサ11を具備するため、図3に示すようなきず検出信号は、各渦流探傷センサ11毎に出力される。
図3(a)に示すように、渦流探傷プローブ1が被検査材Sの長手方向に沿ってのみ相対的に移動するのであれば、被検査材Sの長手方向に沿って直線状に延びるきずFについては、その長手方向両端部しか検出できない可能性が生じる。すなわち、きずFの中央部では、渦流探傷プローブ1によって被検査材Sに誘起された渦電流の経路が時間的に変化しないために、きず検出信号が得られない可能性がある。
これに対し、図3(b)に示すように、本実施形態に係る渦流探傷装置100によれば、渦流探傷を実行する際、渦流探傷プローブ1が、揺動手段3によって被検査材Sの短手方向に沿って揺動するため、被検査材Sの長手方向に沿って直線状に延びるきずFであっても、きずの両端部のみならず全体からきず検出信号が得られ易くなり、きず検出精度が高まる。
なお、複数の渦流探傷プローブ1の被検査材Sの長手方向に沿った相対的な移動速度(本実施形態では、被検査材Sの搬送速度)が1m/sec程度で、検出対象とするきずFの長さが100mm以上である場合、揺動手段3による渦流探傷プローブ1の揺動周波数は、5Hz程度に設定することが好ましい。揺動周波数が5Hz、すなわち揺動周期が0.2secであれば、その間に被検査材Sは長手方向に200mmだけ移動するため、渦電流探傷プローブ1は、100mm以上の長さのきずFを少なくとも1回は被検査材Sの短手方向に横断することになるからである。このように、渦流探傷プローブ1の揺動周波数は、きずFを少なくとも1回は被検査材Sの短手方向に横断できるように、検出対象とするきずFの長さと、渦流探傷プローブ1の被検査材Sの長手方向に沿った相対的な移動速度とに基づき決定することが好ましい。
また、渦流探傷プローブ1の揺動幅Wは、後述するように、1つの渦流探傷センサ11の有効探傷範囲(被検査材Sの短手方向についての有効探傷範囲)と同程度にすることが好ましい。例えば、1つの渦流探傷センサ11の有効探傷範囲が1.5mm程度である場合、渦流探傷プローブ1の揺動幅Wは±0.75mm程度に設定することが好ましい。
以下、本実施形態の渦流探傷プローブ1の具体的な構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る渦流探傷装置100が備える渦流探傷プローブ1が具備する渦流探傷センサ11の概略構成及びきずの検出原理を模式的に説明する図である。図4(a)はきずが存在しない状態(又は、検出コイル113の直下近傍にきずFが存在する状態)における渦流探傷センサ11の概略構成及び磁界を示す正面図(被検査材の長手方向から見た正面図)であり、図4(b)はきずFが存在(検出コイル113の直下近傍を除く領域に存在)する状態における渦流探傷センサ11の概略構成及び磁界を示す正面図(被検査材の長手方向から見た正面図)である。
本実施形態の複数の渦流探傷プローブ1は、それぞれ複数(本実施形態では8つ。図2(b)及び後述の図6参照)の渦流探傷センサ11を具備する。
そして、図4に示すように、各渦流探傷センサ11は、一対の励磁コイル111、112と、検出コイル113とを有する。各コイル111〜113には、フェライト等の磁性材料が磁心として挿入されている。また、各コイル111〜113は、それぞれ探傷器4(図1参照)に電気的に接続されている。さらに、各コイル111〜113は、絶縁性材料(例えば、樹脂)でモールドされて、一体化されている。
一対の励磁コイル111、112は、被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿って並設され、互いに逆向きに巻回されている。そして、一対の励磁コイル111、112は、探傷器4から交流電流が通電されることにより、被検査材Sの検査対象面S1に対して互いに逆位相の交流磁界M1、M2を作用させて被検査材Sの検査対象面S1に渦電流を誘起する。
検出コイル113は、一対の励磁コイル111、112の間に設けられている。具体的には、本実施形態の検出コイル113は、一対の励磁コイル111、112の中間点(Y方向の中間点)に設けられている。検出コイル113は、一対の励磁コイル111、112によって誘起された渦電流によって生じる磁界M3、M4を検出する。
上記のように、各渦流探傷センサ11が具備する一対の励磁コイル111、112のうち、一方の励磁コイル111から被検査材Sの検査対象面S1に対して作用する交流磁界M1と、他方の励磁コイル112から被検査材Sの検査対象面S1に対して作用する交流磁界M2とが逆位相である。このため、各励磁コイル111、112からの交流磁界M1、M2によって被検査材Sの検査対象面S1に誘起される各渦電流、及び、各渦電流によって生じる各磁界M3、M4も逆位相となる。したがって、図4(a)に示すように、被検査材Sの検査対象面S1にきずFが存在しない場合(図4(a)に破線で示すきずFが存在しない場合)、検出コイル113で検出される各磁界M3、M4の強度は略同等になると共に逆位相であるため、原理上は検出コイル113に起電力が発生しない(検出コイル113の検出信号の強度がゼロである)。一方、図4(b)に示すように、被検査材Sの検査対象面S1にきずFが存在する場合には、検出コイル113で検出される各磁界M3、M4は逆位相であるものの、その強度がきずの存在する位置や大きさによって異なるものとなる(図4(b)に示す例では、磁界M3の強度>磁界M4の強度となる)。このため、その強度差に応じて検出コイル113に起電力が発生し、検出コイル113からきず検出信号が出力される。
ここで、本実施形態の渦流探傷センサ11によれば、検出コイル113の直下近傍にきずFが存在すると(図4(a)に破線で示すきずFが存在する場合)、きずFが存在しない場合と同様に、検出コイル113で検出される各磁界M3、M4の強度が略同等になり、逆位相であるため、検出コイル113に起電力が発生しないおそれがある。換言すれば、検出コイル113の直下近傍領域が探傷不能な不感帯になる可能性がある。
上記の不感帯を抑制するには、被検査材Sの長手方向(X方向)に沿って少なくとも一対の渦流探傷センサ11を並設し、被検査材Sの長手方向から見て、一方の渦流探傷センサ11の不感帯(検出コイル113の直下近傍領域)が他方の渦流探傷センサ11の有効探傷範囲(検出コイルの直下近傍を除く領域)と重なるように、各渦流探傷センサ11の位置を被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿ってずらして配置すればよい。
図5は、各渦流探傷プローブ1が具備する一対の渦流探傷センサ11の配置状態と、きず検出信号の強度分布を模式的に示す図である。図5(a)は一対の渦流探傷センサ11の配置状態を、図5(b)はきず検出信号の強度分布を示す。なお、図5(b)では説明の便宜上、実際に得られるきず検出信号(正負の値をとる)の絶対値をピークの値からの減衰量で図示している。
本実施形態では、図5(a)に示すように、被検査材Sの長手方向(X方向)に沿って並設された一対の渦流探傷センサ11(ch1、ch2)のうち、一方の渦流探傷センサ11(ch1)における被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿ったきず検出信号の強度分布のピークP11、P12の中間に、他方の渦流探傷センサ11(ch2)における被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿ったきず検出信号の強度分布のピークP21が位置するように、一対の渦流探傷センサ11(ch1、ch2)が被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿ってずれて配置されている。具体的には、一方の渦流探傷センサ11(ch1)における被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿ったきず検出信号の強度分布の正のピークP11と負のピークP12の中間に、他方の渦流探傷センサ11(ch2)における被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿ったきず検出信号の強度分布の正のピークP21が位置するように、一対の渦流探傷センサ11(ch1、ch2)が被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿ってずれて配置されている。一対の渦流探傷センサ11における各コイル111〜113の配置位置や寸法が同等であれば、一方の渦流探傷センサ11(ch1)のピークP11、P12の中間に他方の渦流探傷センサ11(ch2)のピークP21が位置する場合には、他方の渦流探傷センサ11(ch2)のピークP21、P22の中間に一方の渦流探傷センサ11(ch1)のピークP12も位置することになる。
なお、「被検査材Sの短手方向に沿ったきず検出信号の強度分布」とは、被検査材Sに所定の人工きず(たとえば、一対の励磁コイル111、112及び検出コイル113よりも小さい幅で被検査材Sの長手方向に延びる人工きず)を設け、この人工きずに対して渦流探傷センサ11を被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿って相対的に移動させた場合に得られる検出コイル113の出力信号(きず検出信号)の強度分布を意味する。この強度分布は、図5(b)に示すように、渦流探傷センサ11が有する一対の励磁コイル111、112の直下に人工きずが位置したときにピークになる(したがって、2つのピークP11、P12(又は、P21、P22)を有する)と考えられる。
上記のように、本実施形態の渦流探傷センサ11は、一方の渦流探傷センサ11(ch1)における被検査材Sの短手方向に沿ったきず検出信号の強度分布のピークP11、P12の中間(この中間点近傍領域が、一方の渦流探傷センサ11の不感帯(例えば、きず検出信号の強度がピークP11、P12よりも2.5dB以上低下する領域。図5(b)に示す例では約1.5mm)になると考えられる)に、他方の渦流探傷センサ11(ch2)における被検査材Sの短手方向に沿ったきず検出信号の強度分布のピークP21(このピーク点近傍領域は、他方の渦流探傷センサ11の有効探傷範囲(例えば、きず検出信号の強度がピークP21に対して2.5dB未満しか低下しない領域。図5(b)に示す例では約1.5mm)になると考えられる)が位置するように、一対の渦流探傷センサ11(ch1、ch2)が被検査材Sの短手方向に沿ってずれて配置される。図5に示す例では、具体的には、一方の渦流探傷センサ11(ch1)の検出コイル113と、他方の渦流探傷センサ11(ch2)の検出コイル113とが約1.5mmずれて配置されている。このため、被検査材Sの長手方向(X方向)から見て、一方の渦流探傷センサ11(ch1)の不感帯(約1.5mm)が他方の渦流探傷センサ11(ch2)の有効探傷範囲(約1.5mm)に重なることになる。これにより、一対の渦流探傷センサ11全体で評価すれば、不感帯が抑制されることになる。
なお、前述したように、渦流探傷プローブ1の揺動幅Wは、1つの渦流探傷センサ11の有効探傷範囲(被検査材Sの短手方向についての有効探傷範囲)と同程度にすることが好ましい。これにより、きずFが1つの渦流探傷センサ11の有効探傷範囲を通過する可能性が高まるため、より一層、不感帯を抑制することが可能である。
図6は、本実施形態の各渦流探傷プローブ1が具備する8つの渦流探傷センサ11の配置状態を模式的に示す裏面図である。
図6に示すように、本実施形態では、図5を参照して前述した一対の渦流探傷センサ11が4組(A組〜D組)配置されている。A組〜D組のそれぞれを構成する一対の渦流探傷センサ11の位置関係は前述の通りであり、一方の渦流探傷センサ11の検出コイルと他方の渦流探傷センサ11の検出コイルとが、被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿って約1.5mmずれて配置されている。これにより、A組〜D組のそれぞれを構成する一対の渦流探傷センサ11全体として不感帯が抑制されている。
また、A組を構成する一対の渦流探傷センサ11とB組を構成する一対の渦流探傷センサ11との間、B組を構成する一対の渦流探傷センサ11とC組を構成する一対の渦流探傷センサ11との間、及び、C組を構成する一対の渦流探傷センサ11とD組を構成する一対の渦流探傷センサ11との間も不感帯が抑制されるように位置決めされている。具体的には、A組とB組とをそれぞれ構成する一対の渦流探傷センサ11のうち、被検査材Sの短手方向(Y方向)について近い渦流探傷センサ11同士のずれ量が約4.2mmに設定されている。すなわち、A組を構成する一対の渦流探傷センサ11のうち図の上側に配置された渦流探傷センサ11の検出コイルと、B組を構成する一対の渦流探傷センサ11のうち図の下側に配置された渦流探傷センサ11の検出コイルとが、被検査材Sの短手方向(Y方向)に沿って約4.2mmずれて配置されている。その他の組の間についても同様である。
各組を構成する一対の渦流探傷センサ11のずれ量(約1.5mm)は、検出信号の強度分布の正のピークから負のピークに至るまでの時間(距離)に応じて設定されることになる。一方、各組間の渦流探傷センサ11のずれ量(約4.2mm)は、検出信号の強度分布が正のピークから2.5dB低下した状態から正のピークに至るまでの時間(距離)と負のピークから負のピークの2.5dB低下した状態に至るまでの時間(距離)との和に応じて設定されることになる。一般に、検出信号の強度分布の正のピークから負のピークに至るまでの時間よりも、正のピークから2.5dB低下した状態から正のピークに至るまでの時間と負のピークから負のピークの2.5dB低下した状態に至るまでの時間との和の方が大きいため、各組間の渦流探傷センサ11のずれ量(約4.2mm)を、各組を構成する一対の渦流探傷センサ11のずれ量(約1.5mm)より大きく設定しても、各組間の不感帯を抑制可能である。
本実施形態の各渦流探傷プローブ1は、全体として、被検査材Sの短手方向について約24mmの有効探傷範囲を有することになる。
1・・・渦流探傷プローブ
2・・・位置決め手段
3・・・揺動手段
4・・・探傷器
5・・・制御装置
100・・・渦流探傷装置
S・・・被検査材
X・・・長手方向
Y・・・短手方向

Claims (4)

  1. 検査対象面が曲面である長尺の被検査材を探傷する渦流探傷装置であって、
    前記被検査材の検査対象面に対向し、前記被検査材の長手方向から見て、前記被検査材の長手方向に直交する短手方向に沿って配置された複数の渦流探傷プローブと、
    前記複数の渦流探傷プローブを前記被検査材の検査対象面に対して位置決めする位置決め手段と、
    前記複数の渦流探傷プローブを前記被検査材の短手方向に沿って揺動させる揺動手段とを備え、
    前記複数の渦流探傷プローブは、前記検査対象面に対向する面が平坦面であり、
    前記位置決め手段は、前記複数の渦流探傷プローブの前記被検査材の長手方向周りの回動位置を調整して位置決めすることが可能であり、
    前記複数の渦流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向から見て、探傷範囲が前記被検査材の検査対象面の短手方向全体に亘ると共に、前記被検査材の検査対象面からのリフトオフが互いに同等となるように、前記位置決め手段によって位置決めされており、
    渦流探傷を実行する際、前記複数の渦流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向に沿って相対的に移動すると共に、前記揺動手段によって前記被検査材の短手方向に沿って揺動することを特徴とする渦流探傷装置。
  2. 検査対象面が曲面である長尺の被検査材を探傷する渦流探傷装置であって、
    前記被検査材の検査対象面に対向し、前記被検査材の長手方向から見て、前記被検査材の長手方向に直交する短手方向に沿って配置された複数の渦流探傷プローブと、
    前記複数の渦流探傷プローブを前記被検査材の検査対象面に対して位置決めする位置決め手段と、
    前記複数の渦流探傷プローブを前記被検査材の短手方向に沿って揺動させる揺動手段とを備え、
    前記複数の渦流探傷プローブは、それぞれ渦流探傷センサを具備し、
    前記複数の渦流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向から見て、探傷範囲が前記被検査材の検査対象面の短手方向全体に亘ると共に、前記被検査材の検査対象面からのリフトオフが互いに同等となるように、前記位置決め手段によって位置決めされており、
    渦流探傷を実行する際、前記複数の渦流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向に沿って相対的に移動すると共に、前記揺動手段によって前記被検査材の短手方向に沿った前記渦流探傷センサの有効探傷範囲と同程度の揺動幅で揺動することを特徴とする渦流探傷装置。
  3. 検査対象面が曲面である長尺の被検査材を探傷する渦流探傷装置であって、
    前記被検査材の検査対象面に対向し、前記被検査材の長手方向から見て、前記被検査材の長手方向に直交する短手方向に沿って配置された複数の渦流探傷プローブと、
    前記複数の渦流探傷プローブを前記被検査材の検査対象面に対して位置決めする位置決め手段と、
    前記複数の渦流探傷プローブを前記被検査材の短手方向に沿って揺動させる揺動手段とを備え、
    前記複数の渦流探傷プローブは、それぞれ複数の渦流探傷センサを具備し、
    前記複数の各渦流探傷センサは、
    前記被検査材の短手方向に沿って並設され、前記被検査材の検査対象面に対して互いに逆位相の交流磁界を作用させて前記被検査材の検査対象面に渦電流を誘起する一対の励磁コイルと、
    前記一対の励磁コイルの間に設けられ、前記一対の励磁コイルによって誘起された渦電流によって生じる磁界を検出する検出コイルとを有し、
    前記複数の渦流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向から見て、探傷範囲が前記被検査材の検査対象面の短手方向全体に亘ると共に、前記被検査材の検査対象面からのリフトオフが互いに同等となるように、前記位置決め手段によって位置決めされており、
    渦流探傷を実行する際、前記複数の渦流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向に沿って相対的に移動すると共に、前記揺動手段によって前記被検査材の短手方向に沿って揺動することを特徴とす渦流探傷装置。
  4. 前記複数の各渦電流探傷プローブは、前記被検査材の長手方向に沿って並設された少なくとも一対の前記渦流探傷センサを具備し、
    前記一対の渦流探傷センサのうち、一方の渦流探傷センサにおける前記被検査材の短手方向に沿ったきず検出信号の強度分布のピークの中間に、他方の渦流探傷センサにおける前記被検査材の短手方向に沿ったきず検出信号の強度分布のピークが位置するように、前記一対の渦流探傷センサが前記被検査材の短手方向に沿ってずれて配置されていることを特徴とする請求項に記載の渦流探傷装置。
JP2015132763A 2015-07-01 2015-07-01 渦流探傷装置 Active JP6634629B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015132763A JP6634629B2 (ja) 2015-07-01 2015-07-01 渦流探傷装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015132763A JP6634629B2 (ja) 2015-07-01 2015-07-01 渦流探傷装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017015569A JP2017015569A (ja) 2017-01-19
JP6634629B2 true JP6634629B2 (ja) 2020-01-22

Family

ID=57827837

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015132763A Active JP6634629B2 (ja) 2015-07-01 2015-07-01 渦流探傷装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6634629B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101937563B1 (ko) * 2017-05-17 2019-01-10 두산중공업 주식회사 Ect 센서 어레이 고정기 및 이를 이용한 검사대상물의 표면 결함 검사장치
CN110261470A (zh) * 2019-04-30 2019-09-20 中国铁道科学研究院集团有限公司金属及化学研究所 多工位钢轨涡流检测设备
CN112946066A (zh) * 2021-02-05 2021-06-11 内蒙古科技大学 回转体表面检测装置
KR102611546B1 (ko) * 2023-05-15 2023-12-08 고려공업검사 주식회사 와전류탐상법을 이용한 터빈 블레이드 비파괴검사장치

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6015020B2 (ja) * 1977-08-11 1985-04-17 原電子測器株式会社 直交交差磁界による電磁誘導検知装置
US4641092A (en) * 1982-07-08 1987-02-03 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Rotary probe apparatus for detecting flaws in a test object
DE3230368A1 (de) * 1982-08-14 1984-02-16 Institut Dr. Friedrich Förster Prüfgerätebau GmbH & Co KG, 7410 Reutlingen Verfahren und vorrichtung zum abtasten der oberflaeche eines teiles
JPS6227658A (ja) * 1985-07-29 1987-02-05 Kubota Ltd 管内面検査装置
JPH07229873A (ja) * 1994-02-16 1995-08-29 Nippon Steel Corp 溶接管渦流探傷装置
JP2002221514A (ja) * 1998-08-06 2002-08-09 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 渦電流探傷プローブ
JP3796570B2 (ja) * 2002-03-15 2006-07-12 ▲高▼木 敏行 渦電流探傷法及び探傷プローブ
JP5153274B2 (ja) * 2007-09-18 2013-02-27 北斗電子工業株式会社 検査対象物の探傷装置
CN104458901A (zh) * 2013-10-10 2015-03-25 上海宝信软件股份有限公司 旋转前进涡流检测用探头定位机械接触式表面形态跟踪架

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017015569A (ja) 2017-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6634629B2 (ja) 渦流探傷装置
JP5201495B2 (ja) 磁気探傷方法及び磁気探傷装置
JP4842784B2 (ja) 管の探傷用追従装置及びこれを用いた管の自動探傷装置
US8274280B2 (en) Device and process for nondestructive and noncontact detection of faults in a test piece
JP2010164306A (ja) 焼入れ深さ測定方法および焼入れ深さ測定装置
JP5149562B2 (ja) 非破壊測定方法及び非破壊測定装置
JP2006177952A (ja) 渦電流プローブ、検査システム及び検査方法
JP2008241285A (ja) 渦流探傷方法及び渦流探傷装置
JP2020034431A (ja) 導体劣化検出装置
CN109952506A (zh) 检查装置、检查方法以及非接触式传感器
US10101301B2 (en) Rotating field transceiver nondestructive inspection probe
JP4586574B2 (ja) 渦流探傷装置の感度校正方法および装置
JP2012145486A (ja) 渦流探傷プローブ、渦流探傷装置、及び渦流探傷方法
JP5692475B2 (ja) 欠陥位置補正方法
JP6451678B2 (ja) 丸棒の表面疵検査方法及び表面疵検査装置
JP5557645B2 (ja) バルクハウゼンノイズ検査装置
JP2016136098A (ja) 渦電流測定プローブ
JP2016065813A (ja) 磁気センサアレイ校正方法および磁気センサアレイ校正装置
JP2004028897A (ja) 渦流探傷装置
US3466536A (en) Magnetic testing apparatus for helical welds which follows the weld with a reciprocating movement
JP2017125709A (ja) 漏洩磁束探傷装置
JP5579471B2 (ja) バルクハウゼンノイズ検査装置
JPH10170481A (ja) 渦流探傷装置
JP5978661B2 (ja) 電磁気探傷用プローブ
JPS6011493Y2 (ja) 電磁誘導検知装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190402

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190329

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191029

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6634629

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250