JP5557645B2 - バルクハウゼンノイズ検査装置 - Google Patents
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Description
本件出願人は、試料とセンサヘッドの間のギャップをギャップセンサで検出し、その出力をフィードバックしてセンサヘッドを定置制御する方法を提案している。
小形の試料を測定するには、小形のセンサヘッドが要求されるが、前記のようにギャップセンサを新たに配置した場合、センサヘッドが大形化し、小形の試料の測定が困難になるという問題があった。また、ギャップセンサとして電磁誘導式のセンサを用いる場合、使用する周波数帯が、測定対象のバルクハウゼンノイズの周波数帯と重なると、バルクハウゼンノイズのみをフィルタリングで抽出できず、測定結果に影響を及ぼす問題点がある。
バルクハウゼンノイズの検出のための励磁周波数は、バルクハウゼンノイズの検出周波数帯域より一桁ほど小さい方がよく、例えば5kHz以下であることが望ましい。このように励磁周波数を5kHz以下にすることで、ギャップ検出センサに印加する交流磁界の周波数となる出力の搬送波と、ノイズ検出用の磁気変化の周波数とを区別することが可能となる。
前述のようにノイズ検出センサとギャップ検出センサの各出力を周波数の違いにより区別できることで、ノイズ検出センサとギャップ検出センサとを近接して配置することができる。このため、励磁コイルおよびノイズ検出センサを含むセンサヘッドに、ギャップ検出センサを設けた場合であっても、センサヘッドの小形化を図れる。このセンサヘッドを用いて小形の検査対象物を測定することができる。したがって、ギャップの変動に影響されることなく、高精度の検査を行うことができると共に、センサヘッドの小形化を図ることができる。
前記ギャップ検出センサに発生させる前記ギャップ検査用の交流磁界の周波数を、前記励磁コイルに発生させる交流磁界の周波数よりも高くしても良い。このように交流磁界の周波数に差を設けることで、バルクハウゼンノイズの検出のための周波数と、ギャップ検出のための周波数とを峻別することが可能となる。
前記記憶手段には、例えば、ギャップ検出センサの検出するギャップが所定値より大きい値のとき、これに対応して所定値より小さい値のバルクハウゼンノイズが記憶され、この場合の補正係数として実際のバルクハウゼンノイズ測定値を増加側に補正する値が記憶される。逆に、ギャップ検出センサの検出するギャップが所定値より小さい値のとき、これに対応して所定値より大きい値のバルクハウゼンノイズが記憶され、この場合の補正係数として実際のバルクハウゼンノイズ測定値を減少側に補正する値が記憶される。
センサ出力補正手段は、ギャップ検出センサの検出するギャップに対応する補正係数を記憶手段から読み出して、ギャップ検出センサの出力がギャップが一定の状態での値に補正することができる。なお、前記「所定値」は、任意に定められた値である。
前記ノイズ検出センサは、鉄心とこの鉄心に巻かれたノイズ検出用コイルとを有し、前記ギャップ検出用コイルを、前記ノイズ検出用コイルと同軸に配置しても良い。
これらの場合、センサヘッドをさらに小形化することが可能となる。
前述したようにバルクハウゼンノイズを測定することで、被検査面の研削焼けの有無を検出できる。したがって、検査対象物となる部品を破壊等する必要がなく研削焼けの全数検査または抜取り検査を実施することができる。このように被検査面の研削焼けの有無を検出することで、品質検査精度の向上を図ることができる。
前記検査対象物が、転動装置または転動装置部品であっても良い。転動装置は、ボールやころ等の転動体とこの転動体が接触する部品を有する機械部品であり、転がり軸受、ボールねじ、ボールジョイント等が該当する。転動装置部品は、前記転動装置を構成する部品であり、転動体が接する軌道面を有する部品や転動体等である。
前記ギャップセンサ回路5は、発振回路から成るギャップ検出電流印加手段5aを含む。このギャップ検出電流印加手段5aは、ギャップ検出センサ専用の発振回路であり、ギャップ検出センサ3に、ギャップ検査用の交流磁界として、ノイズ検出センサによるバルクハウゼンノイズの検出用周波数帯域よりも低い周波数の交流磁界を発生させる交流電流を印加する。
検査対象物Wの励磁コイル9による励磁周波数は、バルクハウゼンノイズの検出周波数帯域より一桁ほど小さい方がよく、例えば1Hz以上5kHz以下であることが望ましい。検査対象物Wの励磁コイル9による励磁周波数を1Hz以上5kHz以下にすることで、ギャップ検出センサ3の搬送波(ギャップ検出用に印加された交流信号)と区別することが可能となる。
ギャップセンサ回路5は、前記ギャップ検出電流印加手段5aと、共振回路5bと、振幅検出回路5cと、ギャップ検出手段5dとを有する。共振回路5bは、センサコイルとコンデンサとで成り、ギャップ検出用コイル13から出力される周波数のうち、ギャップ検出用の交流磁界の周波数である特定周波数のみ共振させる。振幅検出回路5cは、共振回路5bで共振させた特定周波数の振幅を検出する。ギャップ検出手段5dは、検出された振幅に応じた、ノイズ検出センサと検査対象物Wとの間のギャップを検出する。
研削焼けにより再焼入れが起こって、検査対象物Wに硬くて脆いいわゆる白層が発生した場合でも、この白層の下部には焼戻しによる軟化した層が存在する。このため、バルクハウゼンノイズは大きくなる。したがって、バルクハウゼンノイズを測定することで、検査対象物Wの研削焼けを検出することが可能である。
これにより、補正されたバルクハウゼンノイズの値は、ノイズ検出用コイル11と検査対象物Wとの間のギャップが一定の状態にあるときの値となる。つまり、ギャップがどのように変動しても、常にギャップが一定の状態でのバルクハウゼンノイズが得られる。センサ出力補正手段7で補正されたバルクハウゼンノイズから、検査対象物Wにおける研削焼けと残留応力とを検出し得る。
ギャップ検出用コイル13をノイズ検出用コイル11の外径側に配置し、これらギャップ検出用コイル13、ノイズ検出用コイル11を同軸に配置したため、センサヘッドSHの外装体Hsの径方向寸法および軸方向寸法の小形化を図れる。よって、センサヘッドSHの小形化を図れる。
そのため、図3に示すバルクハウゼンノイズ検査装置は、図1および図2の実施形態において、ギャップ検出センサ3を構成するギャップ検出用コイル13が、ノイズ検出用コイル11よりも検査対象物Wから離れた位置でノイズ検出用コイル11と軸方向に並べて配置されて鉄心12に同軸に巻かれている。このため、バルクハウゼンノイズ信号を減衰させることなく、ギャップを検出することが可能となる。よってセンサヘッドSHのさらなる小形化を図ることが可能となる。この実施形態において、ノイズ検出用コイル11とギャップ検出用コイル13とを直列に接続しても良い。
5a…ギャップ検出電流印加手段
6…記憶手段
7…センサ出力補正手段
9…励磁コイル
10…鉄心
11…ノイズ検出用コイル
12…鉄心
13…ギャップ検出用コイル
14…電源
18…センサ回路
19…バルクハウゼンノイズ抽出用フィルタ
20…研削焼け検出手段
21…残留応力検出手段
W…検査対象物
Claims (13)
- 検査対象物を磁化する励磁コイルと、この励磁コイルにより磁化された前記検査対象物が発するバルクハウゼンノイズを検出するノイズ検出センサと、前記励磁コイルに磁化のための交流磁界を発生させる交流電流を供給する電源とを備え、
前記ノイズ検出センサと前記検査対象物との間のギャップを、検査対象物へギャップ検査用の交流磁界を印加して非接触で検出する磁気式のギャップ検出センサを設け、
このギャップ検出センサに、前記ギャップ検査用の交流磁界として、前記ノイズ検出センサによるバルクハウゼンノイズの検出周波数帯域よりも低い周波数の交流磁界を発生させる交流電流を印加して、前記ノイズ検出センサと前記ギャップ検出センサの各出力を周波数の違いにより区別するギャップ検出電流印加手段を設け、
前記ギャップ検出センサの出力に基づき、前記ノイズ検出センサの出力を補正するセンサ出力補正手段を設けたことを特徴とするバルクハウゼンノイズ検査装置。 - 請求項1において、前記ギャップ検出センサに発生させる前記ギャップ検査用の交流磁界の周波数を、前記励磁コイルに発生させる交流磁界の周波数よりも高くしたバルクハウゼンノイズ検査装置。
- 請求項1または請求項2において、前記ギャップ検出センサの出力と前記ノイズ検出センサの出力との関係を記憶する記憶手段を設け、前記センサ出力補正手段は、前記ギャップ検出センサの出力と前記記憶手段の記憶するデータとから前記ノイズ検出センサの出力を補正するものとしたバルクハウゼンノイズ検査装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記ギャップ検出センサは、鉄心とこの鉄心に巻かれたギャップ検出用コイルとを有し、このギャップ検出用コイルのインダクタンスの変化から前記ギャップを検出するものとしたバルクハウゼンノイズ検査装置。
- 請求項4において、前記ノイズ検出センサは、鉄心とこの鉄心に巻かれたノイズ検出用コイルとを有し、前記ギャップ検出用コイルを、前記ノイズ検出用コイルの外周に配置したバルクハウゼンノイズ検査装置。
- 請求項4または請求項5において、前記ノイズ検出センサは、鉄心とこの鉄心に巻かれたノイズ検出用コイルとを有し、前記ギャップ検出用コイルを、前記ノイズ検出用コイルと同軸に配置したバルクハウゼンノイズ検査装置。
- 請求項4において、前記ノイズ検出センサは、鉄心とこの鉄心に巻かれたノイズ検出用コイルとを有し、前記ギャップ検出用コイルと前記ノイズ検出用コイルとを直列に接続したバルクハウゼンノイズ検査装置。
- 請求項4において、前記ノイズ検出センサは、鉄心とこの鉄心に巻かれたノイズ検出用コイルとを有し、同一のコイルを前記ノイズ検出用コイルと前記ギャップ検出用コイルに兼用したバルクハウゼンノイズ検査装置。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記検査対象物を磁化する前記励磁コイルに発生させる交流磁界の周波数を1kHz以上5kHz以下で且つ、ギャップ検出センサに発生させる交流磁界を10kHz以上20kHz以下としたバルクハウゼンノイズ検査装置。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、前記ノイズ検出センサが検出した信号を処理するセンサ回路と、このセンサ回路により処理した信号からバルクハウゼンノイズを抽出するバルクハウゼンノイズ抽出用フィルタとを有するバルクハウゼンノイズ検査装置。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、前記ノイズ検出センサで検出されたバルクハウゼンノイズから前記検査対象物の研削焼けの検出を行う研削焼け検出手段を設けたバルクハウゼンノイズ検査装置。
- 請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、前記ノイズ検出センサで検出されたバルクハウゼンノイズから前記検査対象物の被検査面の残留応力を検出する残留応力検出手段を設けたバルクハウゼンノイズ検査装置。
- 請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、前記検査対象物が、転動装置または転動装置部品であるバルクハウゼンノイズ検査装置。
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