JP5892341B2 - 焼入深さ測定方法及び焼入深さ測定装置 - Google Patents

焼入深さ測定方法及び焼入深さ測定装置 Download PDF

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Description

本件発明は、焼入加工を施したワークにおける焼入深さを非破壊で検査する方法及び焼入深さ測定装置に関する。
金属の強度を高めるために鋼材等のワークに対して高周波焼入を施して硬化させる場合がある。焼入硬化層の深さに応じて機械的特性が変化するため、予め設定した処理条件で焼入を行い、さらに、製造後の品質検査を行っている。従来、ワークに対し適正な焼入加工が施されたかを検査する方法として、任意に抽出したワークを切断して検査する方法がある。この方法の場合、検査に時間を要する上に検査対象のワークは製品として使用できなくなり、また全量検査ができないといった問題がある。そのため、ワークの焼入状態の検査を非破壊で行う方法が検討されてきた。
特許文献1は、軸対称形状を有する炭素鋼からなるワークを貫通コイルに通過させて透磁率を測定し、ワークの各断面における焼入深さを算出するとともに、表面硬度計を用いて表面硬度を測定し、表面硬度が極端に増加した位置を検出することにより焼入範囲の端点を特定し、ワークの焼入パターンを検査する方法を採用している。
特許文献2は、鋼材の焼入硬化層の深さを非破壊で測定する方法に関し、励磁コイルで発生させた低周波交流磁場によって鋼材を表面に沿った方向に磁化して渦電流を発生させ、当該渦電流で誘起される誘導磁場を検出コイルで検出し、検出コイルの出力電圧を既知のデータと比較することによって、対称鋼材の焼入硬化層の深さを算出する方法を採用している。
特開2009−109358号公報 特開2002−14081号公報
特許文献1に開示の焼入パターンの測定方法は、測定対象となるワークが軸対称形状のものに限られる。また、誘導コイルの内側にワークを通過させる構成であるため、測定可能なワークの大きさに制約がある。あるいは、誘導コイルの大きさとワークの大きさとの調整が必要となり非効率である。さらに、予め、複数の測定位置ごとに実験等により検量線を求めておく必要がある上に、表面硬度計を用いて焼入範囲を特定して、渦流測定を補完して実焼入パターンの全体像を測定する方法であり、非破壊検査のための工数が多い。
特許文献2に開示の測定方法は、プローブ内に円柱形高周波焼入材を挿入したときの検出コイルに得られる出力電圧の評価を等価正弦波交流非線形解析法を用いて行っている。そのため、解析により得られる焼入深さは軸対称の値となり、測定対象物が軸対称形状のものに限って適用可能な技術であるうえに測定精度が劣る。また、特許文献2に開示の解析手法では、透磁率と印加磁束密度との相関を適切に捉えられず、実測値との乖離が生じ、非破壊検査として適さない。さらに、特許文献2に開示の測定方法は、鋼材の表面から深さ順に4段階の硬度であると仮定して、各硬度の初磁化曲線及び導電率を既知データとして単純化した技術であり、高精度な測定には適さない。
そこで、本件発明は、焼入加工材の焼入深さを迅速且つ精度良く測定可能な非破壊検査方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明者等は、鋭意研究を行った結果、以下の焼入深さ測定方法及び焼入深さ測定装置を採用することで上記目的を達成するに到った。
本件発明に係る焼入深さ測定方法は、ワークの焼入深さを測定する方法であって、励磁コイルを備える磁化器をワーク近傍に配置してワークを磁化し、磁化により発生させた誘導磁場を検出コイルで検出し、当該検出コイルの出力電圧として測定し、ワーク構成材料と同等材料からなる焼入加工を施さない非焼入材及び焼入加工を施した完全焼入材に固有の標準物性値である初期磁化曲線及び導電率を用いて得られる検出コイルの推定出力電圧値を含む既知の電磁気特性情報と、検出コイルにより測定された出力電圧値に基づき、ワークの焼入硬化層の厚さを特定することを特徴とする。
本件発明に係る焼入深さ測定方法は、前記既知の電磁気特性情報は、前記ワーク構成材料と同等材料における非焼入材及び完全焼入材に固有の標準物性値である初期磁化曲線及び導電率を用いて、有限要素法による解析で得られる検出コイルの推定出力電圧値を含むものであることがより好ましい。
本件発明に係る焼入深さ測定装置は、ワークを磁化する磁化器と、磁化により発生させた誘導磁場を検出コイルで検出し、当該検出コイルの出力電圧として測定する手段と、測定された検出コイルの出力電圧値と、ワークと同等材料に関する既知の磁気特性情報とからワークの焼入深さを導出する焼入深さ特定手段とを備え、当該焼入深さ特定手段は、焼入加工を施さない非焼入材と、焼入加工を施した完全焼入材に固有の標準物性値である初期磁化曲線及び導電率を用いて、有限要素法による解析で得られる検出コイルの推定出力電圧値を含む既知の電磁気特性情報と、検出コイルの出力電圧値とからワークの焼入深さを特定することを特徴とする。
本件発明に係る焼入深さ測定方法及び焼入深さ測定装置は、既知の電磁気特性情報と、検出コイルの出力電圧値に基づいて焼入硬化層の厚さを特定可能であり、従来の非破壊検査では必要とされた検量線ワークが不要となり、ワークの焼入厚さを非破壊で簡便且つ高精度に検査できる。
また、本件発明に係る焼入深さ測定方法及び焼入深さ測定装置を用いて得られる焼き入れ深さデータを用いて検量線(以下、「FEM検量線」と称する。)を作成することができる。このFEM検量線は、その他の測定方法である自己誘導法、比較法を用いた焼き入れ深さ測定方法の検量線として使用可能なものになり、他の測定方法で必須の検量線作成作業の省略を可能とする。
本件発明に係る焼入深さ測定方法を説明するための模式図である。 本件発明に係る焼入深さ測定方法により得られた解析値と、検証のために試験材料を実測した実験値とを対比するグラフである。 本件発明の実施形態による焼入深さ測定手段を示すフローチャートである。 本件発明に係る焼入深さ測定方法を説明するための模式図である。
以下、本発明に係る焼入深さ測定方法の好ましい実施の形態を説明する。本件発明に係る焼入深さ測定方法は、磁性材料からなるワークの焼入深さを非破壊で測定する方法であり、ワークを磁化して渦電流を発生させ、ワークの磁場を検出コイルで測定し、測定結果に基づいてワークの焼入深さを算出する。そして、本件発明に係る焼入深さ測定方法は、励磁コイルを備える磁化器をワーク近傍に配置してワークを磁化し、磁化されたワークの出力電圧を検出コイルで測定し、ワーク構成材料と同等材料からなる焼入加工を施さない非焼入材及び焼入加工を施した完全焼入材に固有の標準物性値である初期磁化曲線及び導電率を用いて得られる検出コイルの推定出力電圧値を含む既知の電磁気特性情報と、検出コイルにより測定された出力電圧値に基づき、ワークの焼入硬化層の厚さを特定することを特徴とする。
図1は、本件発明に係る焼入深さ測定方法の一例を示す模式図である。ワーク10は、焼入加工を施した鋼材である。磁化器4は、ワーク10を磁化する励磁コイル3を備え、当該励磁コイル3に電流を流し、ワーク10を磁化するものである。図1に示す例では、ヨーク2に巻回した励磁コイル3に電流を流してワーク10を磁化する。ヨーク2は、フェライト材からなり、ワーク10の表面と略平行となる励磁コイル巻回部21と、この励磁コイル巻回部21に対して直角に曲折した開口部22とを有する。図1に示す例では、ヨーク2は、励磁コイル巻回部21の両側が直角に曲折した側面視略コ字型である。この励磁コイル巻回部21の厚さa1と、開口部22の厚さa2とは等しく、両者の断面積も等しい。ヨーク2の励磁コイル巻回部21には、励磁コイル3の巻線方向をワーク10の表面に対して垂直に巻回する。
ヨーク2は、ワーク10の表面近傍において所定の距離Lで離間させて配置する。この状態で励磁コイルに一定量の電流を流すと、ワーク10が磁化されて、その表面に渦電流が発生する。そして、磁化器4によりワーク1 0が磁化されることにより発生させた誘導磁場を検出する手段として、検出コイル5を用いる。図1に示す例では、検出コイル5は、ヨーク2の開口部22に巻回されている。検出コイル5は、磁化器4でワーク10を磁化することにより生じる渦電流で誘起される誘導磁場を検出し、電圧計6で検出コイル4の出力電圧を測定する。
次に、電磁気特性情報について説明する。本件発明に係る焼入深さ測定方法では、測定対象であるワークを構成する材料と同等材料について、その焼入加工を施さない非焼入材及び焼入加工を施した完全焼入材の既知の電磁気特性値から、当該材料における焼入深さと電磁気特性値との相関を解析し、これを電磁気特性情報とする。ここでいう「既知の電磁気特性値」とは、ワークと同等の材料に固有の物性値として、例えば、日本金属学会編「金属便覧」等の文献に開示された値を用いることができる。すなわち、測定対象物であるワークを構成する材料と同等の材料における非焼入材(生材)及び完全焼入材の標準物性値(導電率σ、透磁率μ、初期磁化曲線等)に基づいて、後述する解析法により、焼入深さに応じて、検出コイルで検出されると予想される出力電圧の推定値を得る。なお、電磁気特性情報は、測定対象であるワークと同一材料であれば、形状の異なる別のワークにも用いることができる。
つまり、従来の非破壊検査では、測定対象物を予め破壊調査して、測定の基礎となる検量線を得る必要があった。これに対し、本件発明に係る焼入深さ測定方法では、既存の規格品の物性値から得られた電磁気特性情報を用いて焼入深さを非破壊検査により特定可能であり、非破壊検査の工数を減らすことができる。
焼入深さの導出には、以下に示す式(1)〜(3)を用いる。まず、磁束密度B(T)は以下の式1で表すことができる。焼入材と非焼入材(生材)とでは、透磁率μ及び導電率σの値が異なる。そのため、ワークに同じ印加磁界Hを加えた場合、完全焼入材及び非焼入材(生材)の違いにより、式(1)に示す磁束密度Bの大きさが異なる。
B=μH ・・・(1)
式(1)において、μは透磁率、Hは印加磁界(A/m)である。
また、渦電流Je(A/m)は、以下の式(2)で表すことができる。交流磁界では渦電流が発生するが、完全焼入材と非焼入材(生材)とで導電率σが異なるので、式(2)に示す渦電流Jeの値が両者において異なる。そして、渦電流Jeの値が異なると磁束密度Bも変化する。
Je=−jσωφ ・・・(2)
式(2)において、jは電流密度(A/m)、σは導電率(S/m)、ωは角周波数(ω=2πf)、φは磁束(Wb)である。
次に、出力電圧V(V)は以下の式(3)で表すことができる。
V=−N・dφ/dt ・・・(3)
式(3)において、Nはコイル巻数、tは時間(s)である。ワーク10の磁束密度Bは、式(1)と式(2)とから求めることができる。式(1)及び式(2)から求めた磁束密度B、式(3)を用いて、出力電圧Vが求められる。
鋼材に焼入れ加工を施すと透磁率μが低下する。また、ワーク10に対する焼入深さが深くなると、ワーク10の全体の透磁率μが低下する。焼入れ深さの変化量に対する透磁率μの変化量が線形であれば等価磁化回路で計算することができるが、非線形的である。そこで、完全焼入材及び非焼入材(生材)の透磁率、導電率及び初期磁化曲線を用い、これをもとに、有限要素法を用いて、ワーク10の焼入れ深さごとに算出された出力電圧Vを求め、これを検出コイルで検出されると予想される推定電圧値とした。本件発明に係る焼入れ深さ測定方法では、既知の電磁気特性情報として、この有限要素法により得られたワークの焼入れ深さに応じた推定電圧値を含むものとする。そして、実際に検出コイル5で測定されるワーク10の出力電圧値と、既知の電磁気特性情報に含まれるワーク10の焼入深さとを対比することにより、ワーク10の焼入れ深さを特定可能とした。したがって、本件発明に係る焼入深さ測定方法によれば、有限要素法を用いることで、事前にコイルやヨークの形状や測定電気条件(周波数や電流値等)の最適化の検討が可能となり、可否判断を含めた当該条件を定めるまでの工数を減らすことができる。
ここで、本件発明に係る焼入深さの測定方法における解析法を検証するため、試験材料を用いて、焼入深さに応じた電磁気特性値を測定し、解析値と対比した。まず、試験材料の電磁気特性値の測定方法を説明する。同じ材質の非焼入材(生材)及び完全焼入材について電磁気特性を予め調査し、完全焼入材及び非焼入材(生材)の磁化曲線を得て、電磁気特性値の差を評価する。既知の電磁気特性情報の取得方法の具体例を挙げる。まず、検査対象であるワークと同じ素材からなる長尺な試験材を2つ用意し、一方は焼入加工を行わない非焼入材(生材)とし、他方は焼入処理して完全焼入材とする。これらの試験材の電磁気特性を測定する。例えば、導電率σは、各試験材をそれぞれケルビンブリッジ回路と接続し、磁化した試験材の導電率σを測定する。透磁率μは、長尺な試験材の両端部に電磁石を配置し、この電磁石により磁化された試験材の磁束密度Bと印加磁界Hを測定する。磁束密度Bの測定は、試験材の中間部に巻回したコイルで測定する。また、印加磁界Hは、磁束密度測定用のコイルの近傍に印加磁界測定用のホール素子を配置して測定した。透磁率μの測定結果から完全焼入れ材及び非焼入材(生材)の初期磁化曲線を得た。また、焼入れ深さの異なる鋼材を複数用意し、上記と同様の方法により、電磁気特性値としての出力電圧の減衰率及び初期磁化曲線を得た。
上記方法により得られた試験材料の出力電圧の減衰率と焼入れ深さとの関係を図2のグラフに示す。また、図2には、本件発明に係る焼入深さ測定方法で採用した有限要素法により得られた解析上の電磁気特性値としての出力電圧の減衰率と焼入れ深さとの関係を併せて示す。図2のグラフに示すように、試験材料を実測して得られた実験値と、本件発明に係る焼入深さ測定方法で得られた解析値とは近似した結果となった。したがって、本件発明に係る焼入深さ測定方法で用いる解析手法は、信頼性の高い結果が得られると言える。なお、測定対象物であるワークが特殊材料からなる場合等、既知の電磁気特性情報が既存の情報として取得できない場合は、上記方法により、予め電磁気特性情報を取得すれば良い。出力電圧の減衰率は、検出コイルの出力電圧の変化量を、非焼入材(生材)を基準として求めた。
次に、本件発明に係る焼入深さ測定装置1を用いて、ワーク10の焼入深さを測定する方法を説明する。磁化器4は、例えば、図1に示すように、ヨーク2を備え、当該ヨーク2に励磁コイル3が巻回されたものが考えられる。このような、磁化器4をワーク10の表面近傍に配置する。図1に示す例では、ヨーク2の開口部22が、ワーク10の焼入加工を施した表面から所定の距離Lで離間させた位置となるように磁化器4を配置した。ここで、ヨーク2とワーク10の表面との離間距離Lは、磁化器4によりワーク10を十分に磁化可能な程度の距離であって、一定の距離を保つことが可能であればよい。励磁コイル3に一定の電流を流して磁界を発生させ、ワーク10を磁化する。ワーク10の表面には、磁化器4からの磁化により渦電流Jeが発生して、この渦電流Jeにより誘導起電力が生じる。この誘導起電力が検出コイル5に作用する。
本件発明に係る焼入深さ測定装置は、磁化器4によりワーク10が磁化されることにより発生させた誘導磁場を検出コイル5で検出し、当該検出コイル5の出力電圧として測定する手段を有する。図1に示す例では、ヨーク2に巻回された検出コイル5に電圧計6を接続し、検出コイル5の出力電圧を測定する。
図3は、本件発明の実施形態による焼入深さ測定手段を示すフローチャートである。以下に、図3を用いて本件発明の焼入深さ特定手段について説明する。本件発明の焼入深さ特定手段は、熱処理を行うワークを準備し(ステップS1)、当該ワークを焼入れ機を用いて焼入れし(ステップS2)、測定装置を用いて当該ワークの焼入硬化層の深さを測定し(ステップS3)、当該測定により得られた数値より合否の判定を行う(ステップS4)。このときに、当該ワークの材料情報(電磁気特性情報)を取得し(ステップS11)、また、当該ワークの形状情報を取得し(ステップS12)、これら取得された情報を基にコンピュータ(PC)を用いて有限要素法(FEM:Finite Element Method)による数値解析が行われる(ステップS13)。そして、コンピュータ(PC)から測定条件(電流値等)、コイル形状、検量線に関するデータが導出され(ステップS14)、測定装置本体に読み込まれる。すなわち、焼入深さ特定手段において、検出コイル5における出力電圧の測定結果及び既知の電磁気特性情報に含まれる推定出力電圧値に基づき、焼入硬化層10aの厚さを特定する。焼入深さ特定手段は、コンピュータを用いた演算処理装置等が考えられ、既述の方法により、焼入加工を施さない非焼入材と、焼入加工を施した完全焼入材の初期磁化曲線を含む既知の電磁気特性情報と、検出コイルの出力電圧値とからワークの焼入深さ(焼入硬化層の厚さ)を特定する。
ところで、本件発明に係る焼入深さ測定装置1において、ワーク10の所望の位置において磁化させるためには、磁化器4を図1のX軸方向(または図示しないワーク10のY軸方向)に走査させる構成としても良いし、磁化器4の位置は固定しながら、ワーク10を移動させる構成としても良い。
焼入深さを測定した箇所は、図1に示すように、ワーク10を側方から視た場合に、ヨーク2を線対称に分割する位置をZ軸とし、ワーク10の表面の位置をX軸として、特定することができる。通常、硬化層深さ測定は、指示された測定点で測定されるものであるが、磁気特性を利用する場合には目視での確認が困難なため、測定箇所が不正確になっていた。しかし、本件発明に係る焼き入れ深さ測定方法では、有限要素法を用いることで電流の発生分布から測定位置をユーザが正確に把握することが可能となる。よって、複数箇所において焼入硬化層10aの厚さを特定した場合、図4に示すワーク10の焼入深さを正確にグラフ化することができる。
本件発明に係る焼入れ深さ測定方法及び焼入れ深さ測定装置における磁化器及び検出コイルは、図1に示す構成に限定されるものではなく、励磁コイルを備えてワーク10を磁化可能な構成であれば良い。図1に例示した磁化器4の構成とすれば、磁化器4を焼入処理したワーク10の表面近傍に配置すれば焼入れ深さを測定可能な構成であるので、ワーク10の大きさや形状にかかわらずワークの焼入硬化深さを測定可能である。
本件発明に係る焼入深さ測定方法は、非破壊検査でありながら検量線ワークが不要であるため、簡便な装置を用いて、ワークの焼入深さを高精度に捉えることができ、焼入深さを高精度に特定することが望まれる部品の品質向上に寄与できる。
また、本件発明に係る焼入深さ測定方法は、例えば、丸棒形状、パイプ形状、平面形状等のワークにも好適に用いることができるものであり、測定対象物の形状には限定されず使用可能であるため、広範な用途が考えられる。加えて、本件発明に係る焼入深さ測定装置は、ワークの製造ライン上に配置して、焼入深さについて全数調査を行うのに好適である。
更に、本件発明に係る焼き入れ深さ測定方法の技術概念は、材料の種類に応じた電磁気データを拡充し、本件発明に係る焼入深さ測定方法の測定原理に応用することで、種々の硬化層の深さ測定への応用が可能と考えられる。
1・・・焼入深さ測定装置
3・・・励磁コイル
4・・・磁化器
5・・・検出コイル
10・・ワーク

Claims (3)

  1. ワークの焼入深さを測定する方法であって、
    励磁コイルを備える磁化器をワーク近傍に配置してワークを磁化し、
    磁化により発生させた誘導磁場を検出コイルで検出し、当該検出コイルの出力電圧として測定し、
    ワーク構成材料と同等材料からなる焼入加工を施さない非焼入材及び焼入加工を施した完全焼入材に固有の標準物性値である初期磁化曲線及び導電率を用いて得られる検出コイルの推定出力電圧値を含む既知の電磁気特性情報と、検出コイルにより測定された出力電圧値に基づき、ワークの焼入硬化層の厚さを特定することを特徴とする焼入深さ測定方法。
  2. 前記既知の電磁気特性情報は、前記ワーク構成材料と同等材料における非焼入材及び完全焼入材に固有の標準物性値である初期磁化曲線及び導電率を用いて、有限要素法による解析で得られる検出コイルの推定出力電圧値を含む請求項1に記載の焼入れ硬化深さ測定方法。
  3. ワークを磁化する磁化器と、
    磁化により発生させた誘導磁場を検出コイルで検出し、当該検出コイルの出力電圧として測定する手段と、
    測定された検出コイルの出力電圧値と、ワークと同等材料に関する既知の磁気特性情報とからワークの焼入深さを導出する焼入深さ特定手段とを備え、
    当該焼入深さ特定手段は、焼入加工を施さない非焼入材と、焼入加工を施した完全焼入材に固有の標準物性値である初期磁化曲線及び導電率を用いて、有限要素法による解析で得られる検出コイルの推定出力電圧値を含む既知の電磁気特性情報と、検出コイルの出力電圧値とからワークの焼入深さを特定することを特徴とする焼入深さ測定装置。
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