第1の発明は、炊飯器本体と、炊飯器本体に収容されるとともに、水と米とを含む被炊飯物を収容する鍋と、炊飯器本体内に配置されており、鍋を加熱する加熱部と、鍋内の圧力を調整する圧力調整部と、加熱部及び圧力調整部を制御する制御部と、を備え、制御部は、加熱部を制御して鍋を加熱し、鍋内に収容された被炊飯物を沸騰させる昇温工程
と、加熱部を制御して鍋を加熱し、鍋内に収容された被炊飯物が沸騰した状態を維持する沸騰維持工程と、を含む炊飯工程を実行しており、制御部は、沸騰維持工程において、圧力調整部を制御して、鍋内の圧力を第1の圧力から第1の圧力よりも高い第2の圧力へと昇圧し、その後、第2の圧力から第1の圧力へと減圧する第1の圧力調整工程と、鍋内の圧力を第1の圧力から第1の圧力よりも高く、かつ、第2の圧力よりも低い第3の圧力へと昇圧し、その後、第3の圧力から第1の圧力へと減圧する第2の圧力調整工程と、鍋内の圧力を第1の圧力から第3の圧力よりも高く、かつ、第2の圧力以下である第4の圧力へと昇圧し、その後、第4の圧力から第1の圧力へと減圧する第3の圧力調整工程と、を実行しており、制御部は、沸騰維持工程において、第1の圧力調整工程の実行後に第2の圧力調整工程を実行するとともに、第2の圧力調整工程の実行後に第3の圧力調整工程を実行する、炊飯器としたものである。
これにより、沸騰維持工程において、鍋内の被炊飯物を十分に撹拌することができるため、米の旨みの素であるおねばの発生を増加させることができ、炊き上がった米の食味を向上させることができる。
第2の発明は、特に第1の発明において、制御部は、沸騰維持工程において、第3の圧力調整工程における第4の圧力から第1の圧力への減圧速度が第1の圧力調整工程における第2の圧力から第1の圧力への減圧速度よりも遅くなるように、圧力調整部を制御する構成としたものである。
これにより、第3の圧力調整工程における鍋内の圧力の変化によって、米の表面が崩れてしまうことを十分に抑制することができる。また、米全体を均一に加熱することができ、炊き上がった米に加熱ムラが生じてしまうことを十分に抑制することができるため、炊き上がった米の食味をさらに向上させることができる。
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、制御部は、沸騰維持工程の開始から所定時間後の鍋内の水が少なくなった時期に、圧力調整部を制御して、第3の圧力調整工程における第4の圧力から第1の圧力への減圧を実行しており、制御部は、所定時間をtsとした場合に、所定時間tsが90秒以上、かつ、270秒以下となるように、圧力調整部を制御する構成としたものである。
これにより、鍋内の水が少なくなった時期に、米の旨みの素であるおねばの発生を増加させることができるため、粘度の高いおねばを発生させることができるとともに、米粒同士の間に形成された隙間におねばを入り込ませることができる。また、第3の圧力調整工程における第4の圧力から第1の圧力への減圧によって米の表面が崩れてしまい、米粒のバランスが崩れてしまうことを十分に抑制することができる。そのため、米粒同士の間の隙間に入り込んだ粘度の高いおねばによって、米粒同士の間の隙間を維持し、炊き上がった米をふんわりと立ち上がらせることができるとともに、米の表面が崩れてしまうことで米粒のバランスが崩れてしまい、炊き上がった米の食味が低下してしまうことを十分に抑制することができ、炊き上がった米の食味をさらに向上させることができる。
第4の発明は、特に第1〜第3の発明の何れかの発明において、制御部は、第1の圧力から第2の圧力へ昇圧された場合の水の沸点上昇値をT1、第1の圧力から第3の圧力へ昇圧された場合の水の沸点上昇値をT2、第1の圧力から第4の圧力へ昇圧された場合の水の沸点上昇値をT3、水の比熱をK、鍋内の水の量をL、第2の圧力から第1の圧力に至るまでの時間をt1、第3の圧力から第1の圧力に至るまでの時間をt2、第4の圧力から第1の圧力に至るまでの時間をt3、下式1で求められる第1の圧力調整工程において鍋内に蓄えられるエネルギーをQ1、下式2で求められる第2の圧力調整工程において鍋内に蓄えられるエネルギーをQ2、下式3で求められる第3の圧力調整工程において鍋
内に蓄えられるエネルギーをQ3とした場合、第1の圧力調整工程において鍋内に蓄えられるエネルギーQ1、第2の圧力調整工程において鍋内に蓄えられるエネルギーQ2、及び第3の圧力調整工程において鍋内に蓄えられるエネルギーQ3の合計が以下の条件を満たすように、圧力調整部を制御する構成としたものである。
(式1) Q1 = (T1 × K × L) ÷ t1
(式2) Q2 = (T2 × K × L) ÷ t2
(式3) Q3 = (T3 × K × L) ÷ t3
(条件) 10.58kW <= Q1+Q2+Q3 <= 13.43kW
これにより、沸騰維持工程において、鍋内の被炊飯物を十分に撹拌することができ、米の旨みの素であるおねばの発生をさらに増加させることができるとともに、鍋内の被炊飯物に炊きムラが生じてしまうことを十分に抑制することができ、炊き上がった米の食味をさらに向上させることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の炊飯器の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(実施の形態1)
本発明の炊飯器の実施の形態1について、以下、図1〜図6を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における炊飯器を示す全体斜視図である。また、図2は、本発明に実施の形態1における炊飯器を示す分解斜視図である。さらに、図3は、本発明の実施の形態1における炊飯器を示す全体断面図である。また、図4(a)は、本発明の実施の形態1における炊飯器の内蓋を鍋側からみた様子を示す下面斜視図であり、図4(b)は、本発明の実施の形態1における炊飯器の内蓋を蓋体側からみた様子を示す上面斜視図である。さらに、図5は、本発明の実施の形態1における炊飯器の圧力調整部を示す分解斜視図である。また、図6は、本発明の実施の形態1における炊飯器の炊飯工程における鍋内の温度と圧力の変化を示す図である。
図1〜図3に示すように、本実施の形態における炊飯器100は、炊飯器本体1と、炊飯器本体1に収容されるとともに、水と米とを含む被炊飯物を収容する鍋2と、炊飯器本体1に取り付けられた蓋体3と、炊飯器本体1内に配置されており、鍋2を加熱する加熱部4と、後述する圧力調整弁部15と圧力調整弁駆動部19とから形成されており、鍋2内の圧力を調整する圧力調整部5と、加熱部4及び圧力調整部5を制御する制御部6と、を有している。
炊飯器本体1には、鍋2が収容される鍋収容部1aが形成されている。鍋収容部1aの外周の底面部及び側面部には、鍋2を加熱する加熱部4を形成する加熱コイルが配置されている。また、鍋収容部1aの底面部には、鍋収容部1a内に鍋2が収容された状態において、鍋2の底面部と接触し、鍋2の温度を検知する温度センサ1bが配置されており、温度センサ1bで検知された鍋2の温度に基づいて、鍋2内の被炊飯物の温度を検知している。
なお、本実施の形態においては、加熱部4が鍋2を誘導加熱する加熱コイルで形成された構成について説明するが、加熱部4は鍋収容部1aに収容された鍋2を加熱できる構成であればよく、例えば、加熱部4が電気抵抗式のヒータ等によって形成された構成であってもよい。
鍋2は、上方に開口部2aを有する有底形状に形成されている。また、鍋2は、炊飯器
本体1に形成された鍋収容部1aに着脱自在に収容される。
蓋体3は、炊飯器本体1の後部に形成された蓋体取付部1cに回動自在に取り付けられている。蓋体3の上面の前部には、使用者が鍋2内に投入した被炊飯物の炊飯コースなどの調理条件を設定する操作部7(図1及び図2中の破線で囲われた部分)と、操作部7で設定された調理条件を表示する表示部8と、が配置されている。また、蓋体3の上面の後部には、鍋2内で発生した蒸気を炊飯器100の外部へと排出する蒸気筒9が着脱自在に収容される蒸気筒収容部3aが形成されている。
蒸気筒9は、上方に開口部(図示せず)を有する蒸気筒本体部9aと、蒸気筒本体部9aの開口部(図示せず)を開閉自在に覆う蒸気筒蓋部9bと、から構成されている。蒸気筒本体部9aには、鍋2内で発生した蒸気が蒸気筒9内に流入する蒸気流入口9cが形成されている。蒸気筒蓋部9bには、蒸気流入口9cから蒸気筒9内に流入した蒸気を蒸気筒9の外部へと排出する蒸気流出口9dが形成されている。
蓋体3の内側には、蓋体3が炊飯器本体1に対して閉状態とされた際に、炊飯器本体1に収容された鍋2の開口部2aを閉塞する内蓋10が着脱自在に取り付けられている。
図4(a)及び図4(b)に示すように、内蓋10は、金属製の加熱板11と、蓋体3に内蓋10が取り付けられた状態で蓋体3が炊飯器本体1に対して閉状態とされた状態において、鍋2に当接し、鍋2と内蓋10との間の気密性を保持する環状の第1のシール部材12と、加熱板11の鍋2側に取り付けられた加熱板支持部材13と、を有している。第1のシール部材12は、加熱板11と加熱板支持部材13とによって挟持されることで保持されている。
加熱板11には、鍋2内で発生した蒸気を鍋2の外部へと排出するとともに、後述する圧力調整弁15bによって開閉される第1の蒸気排出口11aと、鍋2内で発生した蒸気を鍋2の外部へと排出するとともに、後述する圧力抑制弁16bによって開閉される第2の蒸気排出口11bと、鍋2内で発生した蒸気を鍋2の外部へと排出するとともに、後述する安全弁17bによって開閉される第3の蒸気排出口11cと、鍋2内で発生した蒸気とともに第1の蒸気排出口11a、第2の蒸気排出口11b、及び第3の蒸気排出口11cから鍋2の外部へと排出されたおねばを鍋2の内部へと還流するおねば還流口11dと、が形成されている。ここで、おねばとは、米に含まれるデンプンなどの粘り成分が水に溶け出したものであり、粘性のある米の煮汁のことである。
加熱板11の蓋体3側には、第1の蒸気排出口11aを開閉する圧力調整弁15bが収容される圧力調整弁収容部15a、第2の蒸気排出口11bを開閉する圧力抑制弁16bが収容される圧力抑制弁収容部16a、第3の蒸気排出口11cを開閉する安全弁17bが収容される安全弁収容部17a、及び、おねば還流口11dを開閉するおねば還流弁18bが取り付けられるおねば還流弁取付部18aを有する弁収容部14が配置されている。
弁収容部14の外周には、弁収容部14が加熱板11の蓋体3側に取り付けられた状態において、加熱板11と弁収容部14との間の気密性を保持する第2のシール部材14aが配置されている。また、第2のシール部材14aは、内蓋10が蓋体3に取り付けられた状態において、蓋体3に当接し、弁収容部14と蓋体3との間の気密性を保持するように構成されている。この構成により、第1の蒸気排出口11a、第2の蒸気排出口11b、及び、第3の蒸気排出口11cから鍋2の外部へと排出された蒸気が蒸気筒9の蒸気流入口9cから蒸気筒9の内部へと導かれ、蒸気筒9の蒸気流出口9dから蒸気筒9の外部へと排出される際に、鍋2内で発生した蒸気が鍋2から蒸気筒9に至るまでの蒸気経路(
図示せず)から漏れることを防止することができる。また、鍋2で発生した蒸気とともに鍋2の外部へと排出され、蒸気筒9内に貯留されたおねばが蒸気筒9に形成されたおねば流出口(図示せず)からおねば還流口11dを介して鍋2内へと還流される際に、蒸気筒9から鍋2内に至るまでのおねば還流経路(図示せず)から漏れることを防止することができる。
圧力調整弁収容部15aには、第1の蒸気排出口11aを開閉する圧力調整弁15bが配置されている。圧力調整弁15bは、鍋2内で発生された蒸気が第1の蒸気排出口11aから鍋2の外部へと排出されるように、第1の蒸気排出口11aを開放状態とする開放位置と、鍋2内で発生された蒸気が第1の蒸気排出口11aから鍋2の外部へと排出されないように、第1の蒸気排出口11aを閉塞状態とする閉塞位置と、を取り得るように、圧力調整弁収容部15aの内に配置されている。また、圧力調整弁収容部15a内には、圧力調整弁15bを閉塞位置に付勢する第1のバネ15cが配置されている。圧力調整弁15bは、第1のバネ15cの付勢力によって閉塞位置で保持されるとともに、第1のバネ15cの付勢力に反して、後述する圧力調整弁駆動部19によって圧力調整弁15bが押圧されることで、閉塞位置から開放位置へと移動するとともに、圧力調整弁駆動部19の押圧力によって開放位置で保持されるように構成されている。すなわち、圧力調整弁15bは、圧力調整弁駆動部19で押圧されていない場合は閉塞位置に位置することで、第1の蒸気排出口11aを閉塞状態とするとともに、圧力調整弁駆動部19で押圧された場合は閉塞位置から開放位置へと移動し、開放位置に位置することで、第1の蒸気排出口11aを開放状態とする。このように、本実施の形態においては、第1の蒸気排出口11aを開閉する圧力調整弁15b、圧力調整弁15bを閉塞位置に付勢する第1のバネ15c、圧力調整弁15b及び第1のバネ15cを収容する圧力調整弁収容部15aによって、圧力調整弁部15が形成されている。
圧力抑制弁部16には、第2の蒸気排出口11bを開閉する圧力抑制弁16bが配置されている。圧力抑制弁16bは、鍋2内で発生された蒸気が第2の蒸気排出口11bから鍋2の外部へと排出されるように、第2の蒸気排出口11bを開放状態とする開放位置と、鍋2内で発生された蒸気が第2の蒸気排出口11bから鍋2の外部へと排出されないように、第2の蒸気排出口11bを閉塞状態とする閉塞位置と、を取り得るように、圧力抑制弁収容部16aの内に配置されている。圧力抑制弁16bは、圧力抑制弁収容部16a内に配置されたバネ(図示せず)の付勢力によって閉塞位置に付勢されるとともに、閉塞位置で保持されており、圧力抑制弁16bは、鍋2内の圧力が第1の閾値以上の圧力となった際に、鍋2内の圧力によって、閉塞位置から開放位置へと移動され、開放位置で保持されるように構成されている。すなわち、圧力抑制弁16bは、鍋2内の圧力が第1の閾値よりも低い場合は閉塞位置に位置することで、第2の蒸気排出口11bを閉塞状態とするとともに、鍋2内の圧力が第1の閾値以上の圧力となった際に、鍋2内の圧力によって、閉塞位置から開放位置へと移動し、開放位置で維持されることで、第2の蒸気排出口11bを開放状態とし、鍋2内の圧力が第1の閾値以上の圧力とならないように構成されている。なお、圧力抑制弁16bが閉塞位置から開放位置へと移動する圧力の閾値である第1の閾値は、圧力調整弁部15によって調整される圧力の範囲の上限値以上とされていればよく、第1の閾値に応じて、第2の蒸気排出口11bの径や圧力抑制弁16bを付勢するバネ(図示せず)のバネ定数などが設定されていればよい。このように、本実施の形態においては、第2の蒸気排出口11bを開閉する圧力抑制弁16b、圧力抑制弁16bを閉塞位置に付勢するバネ(図示せず)、圧力抑制弁16b及びバネ(図示せず)を収容する圧力抑制弁収容部16aによって、圧力調整弁部15が形成されている。
安全弁部17には、第3の蒸気排出口11cを開閉する安全弁17bが配置されている。安全弁17bは、鍋2内で発生された蒸気が第3の蒸気排出口11cから鍋2の外部へと排出されるように、第3の蒸気排出口11cを開放状態とする開放位置と、鍋2内で発
生された蒸気が第3の蒸気排出口11cから鍋2の外部へと排出されないように、第3の蒸気排出口11cを閉塞状態とする閉塞位置と、を取り得るように、安全弁収容部17aの内に配置されている。安全弁17bは、安全弁収容部17a内に配置されたバネ(図示せず)の付勢力によって閉塞位置に付勢されるとともに、閉塞位置で保持されており、安全弁17bは、鍋2内の圧力が第1の閾値よりも高い第2の閾値以上の圧力となった際に、鍋2内の圧力によって、閉塞位置から開放位置へと移動され、開放位置で保持されるように構成されている。すなわち、安全弁17bは、鍋2内の圧力が第2の閾値よりも低い場合は閉塞位置に位置することで、第3の蒸気排出口11cを閉塞状態とするとともに、鍋2内の圧力が圧力抑制弁部16の動作する第1の閾値よりも高い第2の閾値以上の圧力となった際に、鍋2内の圧力によって、閉塞位置から開放位置へと移動し、開放位置で維持されることで、第3の蒸気排出口11cを開放状態とし、鍋2内の圧力が第2の閾値以上の圧力とならないように構成されている。なお、安全弁17bが閉塞位置から開放位置へと移動する圧力の閾値である第2の閾値は、圧力抑制弁部16が動作する第1の閾値よりも高くされていればよく、第2の閾値に応じて、第3の蒸気排出口11cの径や安全弁17bを付勢するバネ(図示せず)のバネ定数などが設定されていればよい。このように、本実施の形態においては、第3の蒸気排出口11cを開閉する安全弁17b、安全弁17bを閉塞位置に付勢するバネ(図示せず)、安全弁17b及びバネ(図示せず)を収容する安全弁収容部17aによって、圧力調整弁部15が形成されている。
おねば還流弁取付部18aには、おねば還流口11dを開閉するおねば還流弁18bが配置されている。おねば還流弁18bは、加熱板11の鍋2側からおねば還流弁取付部18aに取り付けられている。おねば還流弁18bは、弁収容部14のおねば還流弁取付部18aに溜まったおねばの重さ及び鍋2内の圧力に応じて、おねば還流口11dを開閉するように構成されている。すなわち、おねば還流弁18bは、鍋2内の圧力が高い場合は、鍋2内の圧力によっておねば還流口11d側へと押圧され、おねば還流口11dを閉塞する閉塞状態となるとともに、鍋2内の圧力が低い場合は、弁収容部14のおねば還流弁取付部18aに溜まったおねばの自重によって、おねば還流口11dを開放する開放状態となり、弁収容部14のおねば還流弁取付部18aに溜まったおねばをおねば還流口11dから鍋2内へと還流する。このように、本実施の形態においては、おねば還流弁18b及びおねば還流弁18bが取り付けられるおねば還流弁取付部18aによって、おねば還流弁部18が形成されている。
図3及び図5に示すように、蓋体3の内部には、第1の蒸気排出口11aを閉塞状態とする閉塞位置と第1の蒸気排出口11aを開放状態とする開放位置とに圧力調整弁15bを移動させる圧力調整弁駆動部19が配置されている。
圧力調整弁駆動部19は、蓋体3に形成された開口(図示せず)から圧力調整弁部15側へと移動し、圧力調整弁15bを閉塞位置から開放位置へと移動させる移動部20と、移動部20を駆動する駆動部21と、駆動部21の駆動力を移動部20に伝達する伝達部22と、駆動部21及び伝達部22を保持するカバー部23と、移動部20及びカバー部23を収容するケース部24と、から構成されている。
移動部20は、一端にパッキン(図示せず)を介して圧力調整弁15bを押圧する押圧部20bが形成されており、他端に挿入口20cが形成されている移動部本体20aと、移動部本体20aの外周に配置された第2のバネ20dと、移動部本体20aの挿入口20cに挿入されたピン20eと、から構成されている。
移動部本体20aは、圧力調整弁15b側の端部に形成された押圧部20bの径が第2のバネ20dの径よりも大きくなるように形成されている。第2のバネ20dは、一端が押圧部20bに当接するとともに、他端が移動部本体20aの挿入口20cに取り付けら
れたピン20eに当接することで、移動部本体20aの外周に保持されている。また、移動部20は、移動部本体20aの他端に取り付けられたピン20eがケース部24に保持されることで、ケース部24に保持されている。
駆動部21は、駆動モータ21aと、駆動モータ21aの回転軸21bに取り付けられた駆動ギア21cと、で構成されている。また、駆動部21は、駆動モータ21aがネジ等によりカバー部23の外側に取り付けられることで、カバー部23に保持されている。
伝達部22は、一端に駆動部21の駆動ギア21cに係合する係合ギア22aが形成されており、他端に伝達部22の移動方向に向かって傾斜する傾斜部22bが形成されている。また、伝達部22は、駆動部21及び伝達部22がカバー部23に保持された状態において、伝達部22の移動方向に対して摺動自在に保持されている。
係合ギア22aは、伝達部22の駆動部21側の端部の下面に形成されており、駆動部21及び伝達部22がカバー部23に保持された状態において、駆動部21の駆動ギア21cの上方に位置するように構成されている。
傾斜部22bは、伝達部22の移動部20側の端部から駆動部21側に行くに連れて、伝達部22の厚さが大きくなるように傾斜されている。また、傾斜部22bの中央部には、移動部本体20aの端部が挿入されるガイド溝22eが形成されており、駆動部21及び伝達部22が保持されたカバー部23、及び、移動部20がケース部24に保持された状態において、移動部本体20aの端部がガイド溝22e内に挿入されるとともに、移動部本体20aの端部に取り付けられたピン20eが傾斜部22bに当接するように構成されている。
伝達部22の駆動部21側の端部には、鍋2内の圧力状態に応じて蓋体3の開閉を規制する規制部材22cが取付けられており、規制部材22cは、圧力調整弁15bが閉塞位置にある場合は、蓋体3が閉状態とされた状態で蓋体3を炊飯器本体1に保持させる保持部材(図示せず)と、蓋体3を閉状態から開状態にする開閉部(図示せず)との間に位置し、蓋体3が閉状態から開状態となることを規制するとともに、圧力調整弁15bが開放位置にある場合は、保持部材(図示せず)と開閉部(図示せず)との間から移動され、蓋体3を閉状態から開状態にできるように構成されている。また、伝達部22には、伝達部22の位置を検知する検知部材22dが配置されている。
図3に示すように、炊飯器本体1の内部には、加熱部4及び圧力調整部5を制御する制御部6が配置されている。制御部6は、鍋2内に投入された被炊飯物を調理するための複数の炊飯コースに対応した複数の炊飯工程を記憶する記憶部(図示せず)を有している。ここで、炊飯工程とは、鍋2内の被炊飯物の予熱を行う予熱工程と、鍋2内の被炊飯物を沸騰させる昇温工程と、鍋2内の被炊飯物が沸騰した状態を維持する沸騰維持工程と、鍋2内の被炊飯物の蒸らしを行う蒸らし工程と、を有し、予熱工程、昇温工程、沸騰維持工程、及び蒸らし工程を順に実行することで、被炊飯物を調理する工程である。また、炊飯工程の各工程は、複数の炊飯コースごとに通電時間、加熱温度、加熱時間、加熱出力などが予め設定されている。
制御部6は、複数の炊飯コースのなかから使用者が操作部7を操作して選択した炊飯コースに対応した炊飯工程、及び、温度センサ1bによって検出された鍋の温度に応じて、加熱部4及び圧力調整部5を制御し、鍋2内の被炊飯物を調理する。
以上のように構成された炊飯器100について、以下、その動作、作用を説明する。
米と水とを含む被炊飯物を炊飯する場合、使用者は、被炊飯物を鍋2内に投入するとともに、被炊飯物を投入した鍋2を炊飯器本体1の鍋収容部1aに収容する。そして、使用者は、蓋体3を開状態、すなわち、蓋体3に取り付けられた内蓋10が鍋2の開口部2aを開放した状態から蓋体3を閉状態、すなわち、蓋体3に取り付けられた内蓋10が鍋2の開口部2aを閉塞した状態へと移動させ、蓋体3を炊飯器本体1に対して閉状態とする。
蓋体3が炊飯器本体1に対して閉状態とされた状態で、使用者は、表示部8に表示されている炊飯コースなどの調理条件を確認しながら、操作部7を操作し、鍋2内に投入した被炊飯物を炊飯する炊飯コースや炊飯完了時間などの調理条件を設定する。そして、使用者は、操作部7を操作して被炊飯物の調理条件を設定したあと、操作部7に設けられた炊飯開始ボタン(図示せず)を操作し、被炊飯物の調理を開始する。
制御部6は、使用者によって設定された炊飯コースなどの調理条件に応じて、加熱部4及び圧力調整部5を制御し、被炊飯物を調理する。ここで、以下においては、3合の米と3合の米を炊飯するために必要な水とが被炊飯物として鍋2内に投入され、使用者がこの被炊飯物を炊飯するための炊飯コースを操作部7で選択し、炊飯を開始した場合について説明する。
使用者により被炊飯物の炊飯が開始されると、制御部6は、使用者によって選択された炊飯コースに対応した炊飯工程に応じて、加熱部4及び圧力調整部5を制御し、予熱工程、昇温工程、沸騰維持工程、及び蒸らし工程を順に実行する。
図6に示すように、制御部6は、予熱工程において、加熱部4を制御して鍋2を加熱することで、鍋2内に収容された被炊飯物の予熱を行っている。ここで、予熱工程とは、予熱工程以降に実行される工程において、米の中心部まで十分に糊化できるように、糊化が開始する温度(以下、「糊化開始温度」という。)以下の温度の水に米を浸して、予め米に吸水させる工程である。
予熱工程において、制御部6は、加熱部4を制御して鍋2を加熱し、鍋2内に収容された被炊飯物の温度を糊化開始温度(約60℃)以下の温度まで昇温させる。そして、制御部6は、温度センサ1bで検知された鍋2の温度に基づき、鍋2内の被炊飯物の温度が糊化開始温度以下の温度まで昇温されたことを検知すると、鍋2内の被炊飯物の温度が糊化開始温度以下の温度で維持されるように、加熱部4を制御して鍋2を加熱し、鍋2内の被炊飯物の予熱を行う。
また、予熱工程において、制御部6は、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御し、圧力調整弁部15が第1の蒸気排出口11aを閉塞状態とする状態を維持する。すなわち、本実施の形態において、圧力調整弁15bは、予熱工程の開始時は、圧力調整弁駆動部19で押圧されていないため、閉塞位置に位置している。そのため、制御部6は、予熱工程において、圧力調整弁駆動部19を動作させないように制御し、圧力調整弁15bが閉塞位置にある状態を維持することで、第1の蒸気排出口11aの閉塞状態を維持する。
図6に示すように、制御部6は、予熱工程の開始から使用者によって選択された炊飯コースに応じて予め設定された予熱工程の時間が経過すると、予熱工程を終了し、昇温工程を実行する。ここで、昇温工程とは、鍋2を一気に加熱し、鍋2内に収容された被加熱物の温度を被加熱物が沸騰する温度(以下、「沸騰温度」という。)まで急激に上昇させる工程である。
昇温工程において、制御部6は、加熱部4を制御して鍋2を急速に加熱し、鍋2内に収容された被加熱物の温度を沸騰温度(約105℃)まで昇温させ、鍋2内の被炊飯物を沸騰させる。
また、昇温工程において、制御部6は、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御し、第1の蒸気排出口11aを閉塞状態から開放状態にするとともに、第1の蒸気排出口11aを開放状態で維持する。
具体的には、制御部6は、予熱工程から昇温工程へと移行する際に、駆動部21を制御して伝達部22を移動部20側へと移動させる。すなわち、制御部6は、予熱工程から昇温工程へと移行する際に、駆動モータ21aを駆動し、駆動モータ21aの回転軸21bに取り付けられた駆動ギア21cを正転方向(駆動モータ21aの回転軸21bを正面からみて時計回りの方向)に回転させる。駆動モータ21aの回転軸21bに取り付けられた駆動ギア21cが正転方向に回転されると、駆動モータ21aの回転力が駆動ギア21cを介して係合ギア22aへと伝達され、伝達部22が移動部20側へと移動される。このように、本実施の形態においては、伝達部22の駆動部21側の端部の下面に形成された係合ギア22aが駆動モータ21aの回転軸21bに取り付けられた駆動ギア21cの上方に位置するとともに、駆動ギア21cと係合ギア22aとが係合しているため、駆動モータ21aの回転力が伝達部22の移動方向の力へと変換され、伝達部22が移動部20側へと移動される。ここで、本実施の形態において、伝達部22の移動方向は、炊飯器100が台所やテーブルなどの載置面Fに載置された状態において、載置面Fに平行な方向であり、図3に示す矢印Xの方向である。
駆動部21によって伝達部22が移動部20側へと移動されると、伝達部22によって移動部20が圧力調整弁15b側へと移動されるとともに、移動部20によって圧力調整弁15bが鍋2側へと移動され、圧力調整弁15bが閉塞位置から開放位置へと移動される。すなわち、駆動モータ21aの回転軸21bに取り付けられた駆動ギア21cが正転方向に回転され、伝達部22が移動部20側へと移動されると、移動部本体20aに取り付けられたピン20eが伝達部22の傾斜部22bに沿って摺動するとともに、移動部本体20aの伝達部22側の端部が傾斜部22bの中央部に形成されたガイド溝22eに沿って移動することで、移動部本体20aが下方(圧力調整弁15b側)へと移動する。移動部本体20aが圧力調整弁15b側へと移動すると、移動部本体20aの移動に伴って移動部本体20aの圧力調整弁15b側の端部に形成された押圧部20bが蓋体3に形成された開口(図示せず)から圧力調整弁15b側へと移動し、パッキン(図示せず)を介して圧力調整弁15bを鍋2側へと押圧する。押圧部20bによって圧力調整弁15bが鍋2側へと押圧されると、圧力調整弁15bが閉塞位置から開放位置へと移動する。このように、本実施の形態においては、伝達部22の移動部20側の端部に傾斜部22bが形成されており、移動部20が傾斜部22bに沿って移動するように構成されているため、伝達部22の移動方向の力を移動部20の押圧方向の力へと変換することができ、圧力調整弁15bを閉塞位置から開放位置へと移動させることができる。ここで、移動部20及び圧力調整弁15bの移動方向は、伝達部22の移動方向(図3に示す矢印Xの方向)に直交する方向であり、図3に示す矢印Yの方向である。
圧力調整弁15bが閉塞位置から開放位置へと移動されると、制御部6は、駆動部21の駆動を停止し、伝達部22及び移動部20の移動を停止させ、圧力調整弁15bを開放位置で保持する。すなわち、制御部6は、圧力調整弁15bが閉塞位置から開放位置へと移動されると、駆動モータ21aの駆動を停止し、駆動ギア21cの正転方向への回転を停止する。駆動ギア21cの正転方向への回転が停止されると、伝達部22の移動部20側への移動が停止される。伝達部22の移動部20側への移動が停止されると、移動部本体20aの圧力調整弁15b側への移動が停止される。このとき、移動部本体20aに取
り付けられたピン20eが傾斜部22bに接触しているとともに、圧力調整弁15bが移動部本体20aの押圧部20bによって鍋2側へと押圧され、開放位置に位置しているため、制御部6が駆動部21の駆動を停止することで、圧力調整弁15bが開放位置で保持される。
図6に示すように、制御部6は、温度センサ1bで検知された鍋2の温度に基づき、鍋2内に収容された被加熱物の温度が沸騰温度に昇温され、鍋2内の被加熱物が沸騰したことを検知すると、昇温工程を終了し、沸騰維持工程を実行する。ここで、沸騰維持工程とは、鍋2内の被炊飯物が沸騰している状態を維持し、米に含まれるデンプンを糊化させ、糊化度を50%〜80%程度まで引き上げる工程である。
沸騰維持工程において、制御部6は、温度センサ1bで検知された鍋2の温度に基づき、鍋2内の被炊飯物の温度が沸騰温度近傍で維持されるように、加熱部4を制御して鍋2を加熱し、鍋2内の被炊飯物が沸騰した状態を維持する。
また、沸騰維持工程において、制御部6は、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御し、圧力調整弁部15を閉塞状態から開放状態へと複数回移動させ、鍋2内の圧力を調整している。
具体的には、制御部6は、昇温工程から沸騰維持工程へと移行し、沸騰維持工程を開始してから所定時間後に、駆動部21を制御して伝達部22を駆動部21側へと移動させる。すなわち、制御部6は、昇温工程から沸騰維持工程へと移行し、沸騰維持工程を開始してから所定時間後に、駆動モータ21aを駆動し、駆動モータ21aの回転軸21bに取り付けられた駆動ギア21cを逆転方向(駆動モータ21aの回転軸21bを正面からみて反時計回りの方向)に回転させる。駆動モータ21aの回転軸21bに取り付けられた駆動ギア21cが逆転方向に回転されると、駆動モータ21aの回転力が駆動ギア21cを介して係合ギア22aへと伝達され、伝達部22が駆動部21側へと移動する。このように、本実施の形態においては、伝達部22の駆動部21側の端部の下面に形成された係合ギア22aが駆動モータ21aの回転軸21bに取り付けられた駆動ギア21cの上方に位置するとともに、駆動ギア21cと係合ギア22aとが係合しているため、駆動モータ21aの回転力が伝達部22の移動方向の力へと変換され、伝達部22が駆動部21側へと移動される。
駆動部21によって伝達部22が駆動部21側へと移動されると、伝達部22に沿って移動部20が伝達部22側へと移動するとともに、移動部20による圧力調整弁15bの押圧が解除され、圧力調整弁15bが開放位置から閉塞位置へと移動する。すなわち、駆動モータ21aの回転軸21bに取り付けられた駆動ギア21cが逆転方向に回転され、伝達部22が駆動部21側へと移動されると、移動部本体20aに取り付けられたピン20eが伝達部22の傾斜部22bに沿って摺動するとともに、移動部本体20aの伝達部22側の端部が傾斜部22bの中央部に形成されたガイド溝22eに沿って移動することで、移動部本体20aが上方(伝達部22側)へと移動する。移動部本体20aが伝達部22側へと移動すると、移動部本体20aの移動に伴って移動部本体20aの圧力調整弁15b側の端部に形成された押圧部20bが圧力調整弁15b側から蓋体3に形成された開口(図示せず)側へと移動する。押圧部20bが蓋体3側へと移動すると、押圧部20bによる圧力調整弁15bの押圧が解除され、第1のバネ15cの復元力によって圧力調整弁15bが開放位置から閉塞位置へと移動される。このように、本実施の形態においては、伝達部22の移動部20側の端部に傾斜部22bが形成されており、移動部20が傾斜部22bに沿って移動するように構成されているとともに、圧力調整弁部15に圧力調整弁15bを蓋体3側に向かって付勢する第1のバネ15cが配置されているため、制御部6が駆動部21を制御し、伝達部22を駆動部21側へと移動させることで、移動部2
0が圧力調整弁部15を押圧した状態を解除することができ、圧力調整弁15bを開放位置から閉塞位置へと移動させることができる。
圧力調整弁15bが開放位置から閉塞位置へと移動されると、制御部6は、駆動部21の駆動を停止し、伝達部22及び移動部20の移動を停止させ、圧力調整弁15bを閉塞位置で保持する。すなわち、制御部6は、圧力調整弁15bが開放位置から閉塞位置へと移動されると、駆動モータ21aの駆動を停止し、駆動ギア21cの逆転方向への回転を停止する。駆動ギア21cの逆転方向への回転が停止されると、伝達部22の駆動部21側への移動が停止される。伝達部22の駆動部21側への移動が停止されると、移動部本体20aの伝達部22側への移動が停止され、圧力調整弁15bが閉塞位置で保持される。このとき、圧力調整弁15bは、移動部本体20aによる押圧が解除されているとともに、第1のバネ15cの付勢力によって閉塞位置で保持されるため、圧力調整弁15bによって第1の蒸気排出口11aが閉塞された状態で保持される。
炊飯工程において、鍋2の開口部2aは内蓋10によって密閉されており、鍋2の内部と鍋2の外部とは、圧力調整弁部15、圧力調整弁部15で調整される圧力の範囲の上限値以上の圧力で動作する圧力抑制弁部16、及び、圧力抑制弁部16が動作する圧力よりも高い圧力で動作する安全弁部17によってのみ連通されている。
そのため、沸騰維持工程において圧力調整弁15bが閉塞位置にある場合、鍋2の内部と鍋2の外部との連通が遮断されるため、鍋2内の被炊飯物の沸騰によって発生した蒸気は鍋2内に滞留することになり、鍋2内の被炊飯物の沸騰によって発生した蒸気によって鍋2内が加圧され、鍋2内の圧力は、圧力抑制弁16bが動作する圧力まで上昇することになる。なお、鍋2の外部へと排出された蒸気は、蒸気筒9の蒸気流入口9cから蒸気筒9の内部へと流入し、蒸気筒9の蒸気流出口9dから炊飯器100の外部へと排出される。
一方、沸騰維持工程において圧力調整弁15bが開放位置にある場合、鍋2の内部と鍋2の外部とは圧力調整弁部15を介して連通されるため、鍋2内の被炊飯物が沸騰することによって発生した蒸気は圧力調整弁部15から鍋2の外部へと排出される。そのため、鍋2内の被炊飯物が沸騰することによって発生した蒸気によって鍋2内が加圧されることはなく、鍋2内の圧力を大気圧近傍に維持することができる。
このように、沸騰維持工程において、圧力調整弁15bを閉塞位置とすることで鍋2内の圧力を昇圧することができるとともに、圧力調整弁15bを開放位置とすることで鍋2内の圧力を減圧することができる。そのため、制御部6は、沸騰維持工程において、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御し、圧力調整弁15bを閉塞位置から開放位置、または、開放位置から閉塞位置へと移動させることで、鍋2内の圧力を制御している。
そして、図6に示すように、本実施の形態において、制御部6は、沸騰維持工程において、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御し、鍋2内の圧力を第1の圧力P1から第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2へと昇圧するとともに、第2の圧力P2から第1の圧力P1へと減圧する第1の圧力調整工程と、鍋2内の圧力を第1の圧力P1から第1の圧力P1よりも高く、かつ、第2の圧力P2よりも低い第3の圧力P3へと昇圧し、その後、第3の圧力P2から第1の圧力P1へと減圧する第2の圧力調整工程と、鍋2内の圧力を第1の圧力P1から第3の圧力P3よりも高く、かつ、第2の圧力P2以下である第4の圧力P4へと昇圧し、その後、第4の圧力P4から第1の圧力P1へと減圧する第3の圧力調整工程と、を順に実行している。なお、本実施の形態においては、第1の圧力P1を大気圧(1.0気圧)または大気圧近傍の圧力とし、第2の
圧力P2を第1の圧力P1より高い圧力である1.2気圧とし、第3の圧力P3を第1の圧力P1よりも高く、かつ、第2の圧力P2よりも低い圧力である1.1気圧とし、第4の圧力P4を第2の圧力P2と同一の圧力とした場合について説明する。また、本実施の形態においては、鍋2内の圧力が圧力調整弁部15で調整される圧力の範囲の上限値、すなわち、第2の圧力P2以上の圧力となった際に、圧力抑制弁16bが第2の蒸気排出口11bを閉塞状態とする閉塞位置から第2の蒸気排出口11bを開放状態とする開放位置に移動し、鍋2内の圧力が所定の圧力以上の圧力とならないように構成された構成について説明する。さらに、本実施の形態においては、鍋2内の圧力が圧力抑制弁16bの動作する圧力、すなわち、圧力抑制弁16bが閉塞位置から開放位置へと移動する圧力よりも高い圧力となった際に、安全弁17bが第3の蒸気排出口11cを閉塞状態とする閉塞位置から第3の蒸気排出口11cを開放状態とする開放位置に移動するように構成された構成について説明する。
沸騰維持工程において、制御部6は、沸騰維持工程の開始から所定時間後に、第1の圧力調整工程を実行する。すなわち、制御部6は、沸騰維持工程の開始から所定時間後に、圧力調整弁駆動部19を制御して圧力調整弁15bを開放位置から閉塞位置へと移動させるとともに、圧力調整弁15bを閉塞位置で所定時間維持し、鍋2内の圧力を第1の圧力P1から第2の圧力P2へと昇圧する。そして、制御部6は、圧力調整弁15bを閉塞位置で所定時間維持し、鍋2内の圧力が第1の圧力P1から第2の圧力P2まで昇圧されると、圧力調整弁駆動部19を制御して、圧力調整弁15bを閉塞位置から開放位置へと移動させ、鍋2内の圧力を第2の圧力P2から第1の圧力P1へと減圧する。
制御部6は、第1の圧力調整工程の終了後に、第2の圧力調整工程を実行する。すなわち、制御部6は、鍋2内の圧力が第2の圧力P2から第1の圧力P1へと減圧されると、圧力調整弁駆動部19を制御して、圧力調整弁15bを開放位置から閉塞位置へと移動させるとともに、圧力調整弁15bを閉塞位置で所定時間維持し、鍋2内の圧力を第1の圧力P1から第3の圧力P3へと昇圧する。そして、制御部6は、圧力調整弁15bを閉塞位置で所定時間維持し、鍋2内の圧力が第1の圧力P1から第3の圧力P3まで昇圧されると、圧力調整弁駆動部19を制御して、圧力調整弁15bを閉塞位置から開放位置へと移動させ、鍋2内の圧力を第3の圧力P3から第1の圧力P1へと減圧する。ここで、制御部6は、第2の圧力調整工程において圧力調整弁15bを閉塞位置で維持する時間を第1の圧力調整工程において圧力調整弁15bを閉塞位置で維持する時間よりも短くすることで、第2の圧力調整工程における圧力の上限値である第3の圧力P3が第1の圧力調整工程における圧力の上限値である第1の圧力P1よりも低くなるように制御している。
制御部6は、第2の圧力調整工程の終了後に、第3の圧力調整工程を実行する。すなわち、制御部6は、鍋2内の圧力が第3の圧力P3から第1の圧力P1へと減圧されると、圧力調整弁駆動部19を制御して、圧力調整弁15bを開放位置から閉塞位置へと移動させるとともに、圧力調整弁15bを閉塞位置で所定時間維持し、鍋2内の圧力を第1の圧力P1から第4の圧力P4へと昇圧する。そして、制御部6は、圧力調整弁15bを閉塞位置で所定時間維持し、鍋2内の圧力が第1の圧力P1から第4の圧力P4まで昇圧されると、圧力調整弁駆動部19を制御して、圧力調整弁15bを閉塞位置から開放位置へと移動させ、鍋2内の圧力を第4の圧力P4から第1の圧力P1へと減圧する。
制御部6は、第3の圧力調整工程の終了後に、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御し、圧力調整弁15bを開放位置から閉塞位置に移動させるとともに、沸騰維持工程が終了するまでの間、圧力調整弁15bを閉塞位置に維持し、鍋2内の圧力が第1の圧力P1から第2圧力P2へと昇圧された状態を維持する。
沸騰維持工程の開始から所定時間が経過すると、鍋2内のほとんどの水がなくなり、鍋
2の底面部の温度が水の沸点以上の温度に上昇する。制御部6は、温度センサ1bによって、鍋2の温度が水の沸点以上の温度(例えば、130℃)に到達したことが検知されると、沸騰維持工程を終了し、蒸らし工程を実行する。ここで、蒸らし工程とは、鍋2内の被炊飯物に含まれる余分な水分を蒸発させ、米の糊化度を100%近くまで引き上げる工程である。
蒸らし工程において、制御部6は、温度センサ1bで検知された鍋2の温度に基づいて加熱部4を制御し、鍋2の温度が所定温度(例えば、100℃)となるように制御しており、鍋2の温度が所定温度よりも低下すると、加熱部4を制御して鍋2を加熱するとともに、鍋2の温度が所定温度以上となると、加熱部4を制御して鍋2の加熱を停止する。
また、蒸らし工程において、制御部6は、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御し、圧力調整弁15bが第1の蒸気排出口11aを閉塞状態とする閉塞位置から圧力調整弁15bが第1の蒸気排出口11aを開放状態とする開放位置にするとともに、圧力調整弁15bを開放位置に維持する。
具体的には、制御部6は、沸騰維持工程から蒸らし工程へと移行する際に、駆動部21を制御して伝達部22を駆動部21側へと移動させ、圧力調整弁15bを閉塞位置から開放位置へと移動させることで、鍋2内の圧力を第2の圧力P2から第1の圧力P1へと減圧する。そして、制御部6は、圧力調整弁15bが開放位置から閉塞位置へと移動されると、駆動部21の駆動を停止し、伝達部22及び移動部20の移動を停止させ、圧力調整弁15bを開放位置で保持する。
以上のように、本実施の形態において、制御部6は、沸騰維持工程において、第1の圧力調整工程、第2の圧力調整工程、及び第3の圧力調整工程を実行することで、鍋2内の圧力を急激に変化させ、鍋2内に突沸現象を発生させている。
そのため、鍋2内に発生させた突沸現象により鍋2内の被炊飯物を激しく撹拌してかき混ぜることができ、被炊飯物である米に対する加熱を平均化することができ、炊飯後の米に炊きむらが生じることを抑制することができる。
また、本実施の形態において、制御部6は、第1の圧力調整工程において、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御し、鍋2内の圧力を第1の圧力P1から第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2へと昇圧するとともに、第2の圧力P2から第1の圧力P1へと減圧している。また、本実施の形態において、制御部6は、第2の圧力調整工程において、鍋2内の圧力を第1の圧力P1から第1の圧力P1よりも高く、かつ、第2の圧力P2よりも低い第3の圧力P3へと昇圧し、その後、第3の圧力P2から第1の圧力P1へと減圧している。さらに、制御部6は、第3の圧力調整工程において、鍋2内の圧力を第1の圧力P1から第3の圧力P3よりも高く、かつ、第2の圧力P2以下である第4の圧力P4へと昇圧し、その後、第4の圧力P4から第1の圧力P1へと減圧している。すなわち、制御部6は、沸騰維持工程において、沸騰維持工程において、第1の圧力調整工程、第2の圧力調整工程、及び第3の圧力調整工程を順に実行するともに、第1の圧力調整工程及び第3の圧力調整工程における圧力の上限値が、第2の圧力調整工程における圧力の上限値よりも低くなるように制御している。
すなわち、本実施の形態においては、制御部は、第1の圧力調整工程、第2の圧力調整工程、及び第3の圧力調整工程を順に実行するとともに、第1の圧力調整工程における第2の圧力から第1の圧力への圧力変化が第2の圧力調整工程における第3の圧力から第1の圧力への圧力変化よりも大きくなるとともに、第3の圧力調整工程における第4の圧力から第1の圧力への圧力変化が第2の圧力調整工程における第3の圧力から第1の圧力へ
の圧力変化よりも大きくなるように、圧力調整部5を制御している。
これにより、第1の圧力調整工程、第2の圧力調整工程、及び第3の圧力調整工程を順に実行した際の鍋2内の圧力変化を変化させることができるため、沸騰維持工程において、鍋内の被炊飯物を十分に撹拌することができ、米の旨みの素であるおねばの発生を増加させることができるとともに、炊き上がった米の食味を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、第1の圧力P1を大気圧(1.0気圧)または大気圧近傍の圧力とし、第2の圧力P2を第1の圧力P1より高い圧力である1.2気圧とし、第3の圧力P3を第1の圧力P1よりも高く、かつ、第2の圧力P2よりも低い圧力である1.1気圧とし、第4の圧力P4を第2の圧力P2と同一の圧力とした構成について説明したが、第1の圧力P1、第2の圧力P2、第3の圧力P3、及び第4の圧力P4は、第2の圧力P2が第1の圧力よりも高く設定されており、第3の圧力P3が第1の圧力P1よりも高く、かつ、第2の圧力P2によりも低く設定されており、第4の圧力P4が第3の圧力P3よりも高く、かつ、第2の圧力P2以下に設定されていればよく、鍋2内に投入される被炊飯物の種類や量、炊飯後の被炊飯物の状態などに応じて、適宜設定されていればよい。
また、本実施の形態においては、圧力抑制弁部16を構成する圧力抑制弁16bがバネ(図示せず)によって第2の蒸気排出口11bを閉塞状態とする方向に付勢されており、鍋2内の圧力が圧力調整弁部15で調整される圧力の範囲の上限値以上の圧力となった際に、バネ(図示せず)の付勢力に反して、圧力抑制弁16bが第2の蒸気排出口11bを閉塞状態とする閉塞位置から第2の蒸気排出口11bを開放状態とする開放位置に移動するように構成された構成について説明したが、圧力抑制弁16bは、鍋2内の圧力が圧力調整弁部15で調整される圧力の範囲の上限値よりも低い圧力である場合は、自重により第2の蒸気排出口11bを閉塞状態とするとともに、鍋2内の圧力が圧力調整弁部15で調整される圧力の範囲の上限値以上となった場合は、鍋2内の圧力により第2の蒸気排出口11bを開放状態とするように重さが設定されたボール弁で構成されていてもよい。また、圧力抑制弁16bと同様に、圧力調整弁15b及び安全弁17bについても、各弁が動作する圧力に対応して重さが調整されたボール弁で構成されていてもよい。
(実施の形態2)
本発明の炊飯器の実施の形態2について、以下、図7を用いて説明する。なお、上述した実施の形態1と同一構成部品については同一符号を付して、その説明を省略する。
図7は、本発明の実施の形態2における炊飯器の炊飯工程における鍋内の温度と圧力の変化を示す図である。
本実施の形態において、制御部6は、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御し、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧速度が第1の圧力調整工程における第2の圧力P2から第1の圧力P1への減圧速度よりも遅くなるように制御している。
具体的には、制御部6は、圧力調整弁駆動部19を制御して、第3の圧力調整工程において圧力調整弁駆動部が動作する速度が、第1の圧力調整工程において圧力調整弁駆動部が動作する速度よりも遅くなるように制御することで、第3の圧力調整工程において、鍋2内の圧力が第4の圧力P4から第1の圧力P1に減圧される時間が、第1の圧力調整工程において、鍋2内の圧力が第2の圧力P2から第1の圧力P1に減圧される時間よりも長くなるように制御している。すなわち、第3の圧力調整工程において、制御部6は、第3の圧力調整工程において駆動部21に供給される電力が第1の圧力調整工程において駆動部21に供給される電力よりも小さくなるように制御している。第3の圧力調整工程に
おいて、第3の圧力調整工程において駆動部21に供給される電力が第1の圧力調整工程において駆動部21に供給される電力よりも小さくなることで、第3の圧力調整工程において駆動ギア21cが逆転方向に回転する速度が第1の圧力調整工程において駆動ギア21cが逆転方向に回転する速度よりも遅くなる。第3の圧力調整工程において駆動ギア21cが逆転方向に回転する速度が第1の圧力調整工程において駆動ギア21cが逆転方向に回転する速度よりも遅くなると、第3の圧力調整工程において伝達部22が駆動部21側に移動する速度が第1の圧力調整工程において伝達部22が駆動部21側に移動する速度よりも遅くなる。第3の圧力調整工程において伝達部22が駆動部21側に移動する速度が第1の圧力調整工程において伝達部22が駆動部21側に移動する速度よりも遅くなると、第3の圧力調整工程において移動部20が伝達部22側に移動する速度が第1の圧力調整工程において移動部20が伝達部22側に移動する速度よりも遅くなる。第3の圧力調整工程において移動部20が伝達部22側に移動する速度が第1の圧力調整工程において移動部20が伝達部22側に移動する速度よりも遅くなると、第3の圧力調整工程において圧力調整弁15bが第1の蒸気排出口11aを開放状態とする速度が第1の圧力調整工程において圧力調整弁15bが第1の蒸気排出口11aを開放状態とする速度よりも遅くなるとともに、第3の圧力調整工程において、圧力調整弁15bが閉塞位置から開放位置に至るまでの時間が第1の圧力調整工程において圧力調整弁15bが閉塞位置から開放位置に至るまでの時間よりも長くなる。
この構成により、制御部6は、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧速度が第1の圧力調整工程における第2の圧力P2から第1の圧力P1への減圧速度よりも遅くなるように制御している。
以上のように、本実施の形態において、制御部6は、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御し、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧速度が第1の圧力調整工程における第2の圧力P2から第1の圧力P1への減圧速度よりも遅くなるように制御しているため、第3の圧力調整工程における鍋内の圧力の変化によって、米の表面が崩れてしまうことを十分に抑制することができる。また、米全体を均一に加熱することができ、炊き上がった米に加熱ムラが生じてしまうことを十分に抑制することができるため、炊き上がった米の食味をさらに向上させることができる。
(実施の形態3)
本発明の炊飯器の実施の形態3について、以下、説明する。なお、上述した実施の形態1及び実施の形態2と同一構成部品については同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施の形態において、制御部6は、沸騰維持工程の開始から所定時間後の鍋2内の水が少なくなった時期に、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御して、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧を実行しており、制御部6は、沸騰維持工程の開始から第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧が実行されるまでの時間を所定時間tsとした場合に、所定時間tsが90秒以上270秒以下となるように制御している。
所定の合数の米と所定の合数の米を炊飯するために必要な水とが被炊飯物として鍋2内に投入され、使用者によって、所定の合数の米を炊飯するための炊飯コースが選択され、炊飯が開始された場合、制御部6は、使用者が設定した炊飯コースと鍋2内に投入された米の量(合数)に応じた炊飯工程を実行する。ここで、本実施の形態においては、鍋2内に投入された米が1合以上、かつ、5合以下である場合について説明する。
使用者により被炊飯物の炊飯が開始されると、制御部6は、使用者によって選択された炊飯コース及び鍋2内に投入された米の量に対応して予め設定された炊飯工程に基づいて
加熱部4及び圧力調整部5を制御することで、炊飯工程の各工程における加熱温度、加熱時間、加熱出力などを制御し、炊飯工程の各工程を実行している。なお、上述した実施の形態1及び実施の形態2と同様に、炊飯工程においては、予熱工程、昇温工程、沸騰維持工程、及び蒸らし工程が順に実行されるものとする。
沸騰維持工程において、制御部6は、温度センサ1bで検知された鍋2の温度に基づき、鍋2内の被炊飯物の温度が沸騰温度近傍で維持されるように、加熱部4を制御して鍋2を加熱し、鍋2内の被炊飯物が沸騰した状態を維持している。
そのため、沸騰維持工程が進むについて、鍋2内に投入された水が徐々に少なくなることになるが、鍋2内の水の量が所定量まで減少した際に、鍋2内の圧力を急激に変化させて鍋2内に突沸現象を発生させ、鍋2内の米を撹拌することで、粘度の高いおねばを発生させることができるとともに、米粒同士の間に形成された隙間におねばを入り込ませることができることを本発明者らは見出した。また、沸騰維持工程において、鍋2内の水が少なくなった時期に、粘度の高いおねばを発生させるとともに、米粒同士の間の隙間に粘度の高いおねばを入り込ませることで、粘度の高いおねばによって米粒同士の間の隙間を維持することができるため、炊き上がった米をふんわりと立ち上がらせることができ、炊き上がった米の食味をさらに向上させることができることを本発明者らは見出した。
そこで、本実施の形態において、制御部6は、鍋2内の水が所定量となる時間、すなわち、沸騰維持工程の開始から所定時間ts後の鍋2内の水が少なくなった時期に、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御して、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧を実行し、鍋2内の圧力を急激に変化させている。
この構成により、鍋2内の水が少なくなった時期に、米の旨みの素であるおねばの発生を増加させることができるため、粘度の高いおねばを発生させることができるとともに、米粒同士の間に形成された隙間におねばを入り込ませることができる。そのため、米粒同士の間の隙間に入り込んだ粘度の高いおねばによって、米粒同士の間の隙間を維持することができるとともに、炊き上がった米をふんわりと立ち上がらせることができ、炊き上がった米の食味をさらに向上させることができる。
また、沸騰維持工程において、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧を実行する所定時間tsとしては、90秒以上、かつ、270秒以下であることが好ましく、さらに好ましくは、120秒以上、かつ、240秒以下となることが好ましい。また、所定時間tsは、鍋2内の投入された米の量(合数)が多いほど長く、米の量(合数)が少ないほど短く設定されることが好ましい。
沸騰維持工程において、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧を実行する所定時間tsが90秒未満である場合、鍋2内の水が十分に減少していないため、第4の圧力P4から第1の圧力P1への圧力変化によって、粘度の高いおねばを十分に生成することができない場合がある。そのため、米粒同士の間の隙間をおねばによって維持することができるとともに、炊き上がった米をふんわりと立ち上がらせることができない場合ある。一方、沸騰維持工程において、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧を実行する所定時間tsが270秒よりも大きい場合、鍋2内の水が減少しすぎてしまい、鍋2内におねばを発生させるために十分な量の水が残存していないことになる。そのため、第4の圧力P4から第1の圧力P1への圧力変化によって、米粒の表面が崩れてしまうため、鍋2内の米に加熱ムラが生じてしまい、炊き上がった米に炊きムラが生じてしまう場合がある。
そのため、炊き上がった米の旨みを向上させるとともに、炊きあがった米をふんわりと立ち上がらせるためには、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧を実行する所定時間tsとしては、90秒以上、かつ、270秒以下であることが好ましく、さらに好ましくは、120秒以上、かつ、240秒以下となることが好ましい。また、所定時間tsは、鍋2内の投入された米の量(合数)が多いほど長く、米の量(合数)が少ないほど短く設定されることが好ましい。
この構成により、鍋2内の水が少なくなった時期に、米の旨みの素であるおねばの発生を増加させることができるため、粘度の高いおねばを発生させることができるとともに、米粒同士の間に形成された隙間におねばを入り込ませることができる。また、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧によって米の表面が崩れてしまい、米に加熱ムラが生じてしまうことを十分に抑制することができる。そのため、米粒同士の間の隙間に入り込んだ粘度の高いおねばによって、米粒同士の間の隙間を維持し、炊き上がった米をふんわりと立ち上がらせることができるとともに、米の表面が崩れてしまうことで炊き上がった米に炊きムラが生じてしまうことを十分に抑制することができるため、炊き上がった米の食味をさらに向上させることができる。
また、沸騰維持工程において、制御部6は、沸騰維持工程の開始から所定時間ts後に、圧力調整弁駆動部19を制御することで圧力調整弁部15を制御して、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧を実行する場合、上述した実施の形態2と同様に、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧速度が第1の圧力調整工程における第2の圧力P2から第1の圧力P1への減圧速度よりも遅くなるように制御することが好ましい。
この構成により、第3の圧力調整工程における第4の圧力P4から第1の圧力P1への減圧によって米の表面が崩れてしまうことをさらに十分に抑制することができる。また、米粒同士の間の隙間に入り込んだ粘度の高いおねばによって、米粒同士の間の隙間を維持し、炊き上がった米をふんわりと立ち上がらせることができるとともに、米の表面が崩れてしまうことで米粒のバランスが崩れてしまい、炊き上がった米の食味が低下してしまうことをより確実に抑制することができるため、炊き上がった米の食味をさらに向上させることができる。
(実施の形態4)
本発明の炊飯器の実施の形態2について、以下、説明する。なお、上述した実施の形態1〜実施の形態3と同一構成部品については同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施の形態において、制御部6は、第1の圧力P1から第2の圧力P2へ昇圧された場合の水の沸点上昇値をT1、第1の圧力P1から第3の圧力P3へ昇圧された場合の水の沸点上昇値をT2、第1の圧力P1から第4の圧力P4へ昇圧された場合の水の沸点上昇値をT3、水の比熱をK、鍋2内の水の量をL、第2の圧力P2から第1の圧力P1に至るまでの時間をt1、第3の圧力P3から第1の圧力P1に至るまでの時間をt2、第4の圧力P4から第1の圧力P1に至るまでの時間をt3、第1の圧力調整工程において鍋2内に蓄えられるエネルギーをQ1、第2の圧力調整工程において鍋2内に蓄えられるエネルギーをQ2、第3の圧力調整工程において鍋2内に蓄えられるエネルギーをQ3とした場合、下式で求められる各圧力調整工程において鍋2内に蓄えられるエネルギーの合計が10.58kW以上、かつ、13.43kw以下となるように、各圧力調整工程において加熱部4及び圧力調整部5を制御している。
式1 Q1 = (T1 × K × L) ÷ t1
式2 Q2 = (T2 × K × L) ÷ t2
式3 Q3 = (T3 × K × L) ÷ t3
沸騰維持工程において、鍋2内の圧力を急激に変化させ、鍋2内に突沸現象を発生させた場合、鍋2内の圧力が急激に変化することで、鍋2内の圧力変化によって発生したエネルギーが被炊飯物に加えられることになるが、鍋2内の圧力変化によって発生したエネルギーが小さすぎた場合、鍋2内の被炊飯物を十分に撹拌することができず、米の旨みの素であるおねばを十分に発生させることができず、被炊飯物の食味を向上させることができない場合があることを本発明者らは見出した。一方、鍋2内の圧力変化によって発生したエネルギーが大きすぎた場合、鍋2内の圧力変化によって発生したエネルギーによって鍋2内の被炊飯物の表面が崩れてしまう場合があることを本発明者らは見出した。
そこで、本実施の形態においては、米の旨みの素であるおねばの発生を増加させるとともに、米の表面が崩れ、炊き上がった米の食味が低下してしまうことを十分に抑制すべく、上述した式1で求められる、第1の圧力調整工程において鍋2内に蓄えられるエネルギーQ1、第2の圧力調整工程において鍋2内に蓄えられるエネルギーQ2、及び第3の圧力調整工程において鍋2内に蓄えられるエネルギーQ3の合計が10.58kW以上、かつ、13.43kw以下となるように、各炊飯コースに対応して、炊飯工程の沸騰維持工程で実行される各圧力調整工程の圧力上限値、圧力上限値から圧力下限値に減圧されるまでの時間を予め設定しており、制御部6は、予め設定された条件に基づいて、沸騰維持工程において、第1の圧力調整工程、第2の圧力調整工程、及び第3の圧力調整工程を実行している。
この構成により、沸騰維持工程において、鍋2内の被炊飯物を十分に撹拌することができ、米の旨みの素であるおねばの発生をさらに増加させることができるとともに、鍋2内の米の表面が崩れてしまい、米粒のバランスが崩れてしまうこと、及び、鍋2内の被炊飯物に炊きムラが生じてしまうことを十分に抑制することができ、炊き上がった米の食味をさらに向上させることができる。