以下、発明の実施の形態を通じて本発明の一側面を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の参照番号を付して、重複する説明を省く場合がある。
図1は、人口推定システム100の一例を概略的に示す。人口推定システム100は、任意のエリアの人口又は人口動態を推定する。本実施形態において、人口推定システム100は、1以上の通信端末110の位置情報を利用して、人口又は人口動態を推定する。任意のエリアは、予め定められた地理的範囲を有する区画であればよく、行政区画(行政区分、行政区域などと称される場合がある。)、国勢調査を実施する場合に利用される区画、地域を予め定められた大きさ及び形状を有する単位領域で細分化した区画(地域メッシュなどと称される場合がある。)などを例示することができる。
本実施形態において、人口推定システム100は、通信端末110と、情報収集サーバ120と、人口推定サーバ130とを備える。通信端末110は、位置情報取得部112と、ログ情報生成部114と、通信制御部116とを有する。また、情報収集サーバ120は、ログ情報収集部122と、ログ情報格納部124と、通信制御部126とを有する。人口推定システム100及び人口推定サーバ130のそれぞれは、人口推定装置の一例であってよい。通信端末110は、1以上の無線端末の一例であってよい。情報収集サーバ120及びログ情報収集部122のそれぞれは、ログ情報取得部の一例であってよい。
通信端末110、情報収集サーバ120及び人口推定サーバ130のそれぞれは、通信ネットワーク10を介して、互いに情報を送受してよい。通信ネットワーク10は、有線通信の伝送路であってもよく、無線通信の伝送路であってもよく、無線通信の伝送路及び有線通信の伝送路の組み合わせであってもよい。通信ネットワーク10は、携帯電話回線網などの移動体通信網、無線パケット通信網、インターネッ及び専用回線又はそれらの組み合わせであってもよい。
通信端末110は、通信機能を有する。通信端末110は、無線通信機能を有してよい。通信端末110は、複数の通信方式に対応してもよい。例えば、通信端末110は、3G方式、LTE方式、4G方式などの移動体通信方式と、WiFi(登録商標)、WiMAX(登録商標)などの無線通信方式との両方の通信方式に対応する。通信端末110は、情報収集サーバ120及び人口推定サーバ130の少なくとも一方と情報を送受することができる装置であればよく、Webブラウザソフトが導入されたパーソナルコンピュータ、携帯電話又はスマートフォン、携帯端末(PDA、タブレット、ノートブック・コンピュータ又はラップトップ・コンピュータなどを例示することができる。)、無線端末などであってよい。
通信端末110は、一般的な構成の情報処理装置において、通信端末110の各部の動作を規定したソフトウエア又はプログラムを起動することにより実現されてよい。通信端末110として用いられる情報処理装置は、CPU等のプロセッサ、ROM、RAM、通信インターフェースなどを有するデータ処理装置と、キーボード、タッチパネル、マイク、GPS情報取得装置、加速度センサ、ジャイロセンサなどの入力装置と、表示装置、スピーカ、振動装置などの出力装置と、メモリ、HDDなどの記憶装置とを備えてよい。データ処理装置又は記憶装置は、上記のソフトウエア又はプログラムを記憶してよい。上記のソフトウエア又はプログラムは、プロセッサによって実行されることにより、上記の情報処理装置に、当該ソフトウエア又はプログラムによって規定された動作を実行させる。
位置情報取得部112は、通信端末110の位置を示す位置情報を取得する。位置情報は、緯度及び経度を示す情報であってよく、さらに高度を示す情報を含んでもよい。位置情報は、住所を示す情報であってもよい。位置情報取得部112は、GPS衛星から受信したGPS信号に基づいて、通信端末110の位置情報を取得してよい。通信ネットワーク10の1以上の基地局又はアクセスポイントから受信した電波の電界強度などに基づいて、通信端末110の位置情報を取得してよい。通信ネットワーク10の1以上の基地局又はアクセスポイントにおける通信端末110からの電波の電界強度などに基づいて、通信端末110の位置情報を取得してよい。
位置情報取得部112は、位置情報の精度に関する情報(測位精度情報と称する場合がある。)を取得してもよい。位置情報の精度は、例えば、CEP(Circular Error Probability)を用いて表される。CEPは、GPS受信機が特定の円内にいる確率が50%である場合に、当該円の半径として表される。GPS受信機がGPS信号を受信しやすい場所(屋外、屋内の窓際などを例示することができる。)にある場合、CEPは小さな値となる。一方、GPS受信機がGPS信号を受信しにくい場所にある場合、CEPは大きな値となる。
位置情報取得部112は、予め定められた時間に位置情報を取得してもよく、予め定められた時間間隔で位置情報を取得してもよい。位置情報取得部112は、ユーザが通信端末110を用いて予め定められた操作を実行した場合に、位置情報を取得してもよい。予め定められた操作としては、情報の入力/選択操作、電源のON/OFF操作、通話の開始/終了操作などを例示することができる。位置情報取得部112は、バックグラウンドで位置情報を取得してもよい。
ログ情報生成部114は、位置情報取得部112により取得された1以上の位置情報のそれぞれを、当該位置情報が取得された時刻を示す時刻情報と対応付けて、1以上のログ情報を生成する。ログ情報生成部114は、1以上の通信端末110のそれぞれを識別する端末識別情報と、位置情報と、時刻情報とを対応付けて、ログ情報を生成してもよい。ログ情報生成部114は、位置情報と、測位精度情報と、時刻情報とを対応付けて、ログ情報を生成してもよい。ログ情報生成部114は、端末識別情報と、位置情報と、測位精度情報と、時刻情報とを対応付けて、ログ情報を生成してもよい。本実施形態において、ログ情報生成部114は、生成されたログ情報を情報収集サーバ120に送信する。
端末識別情報は、1以上の通信端末110のそれぞれを識別することができる情報であれば特に限定されない。一実施形態において、端末識別情報として、例えば、通信端末110のMACアドレス、Bluetooth(登録商標)対応デバイスを識別するためのBDアドレス(BD_ADDRなどと称される場合がある。)、ZigBee(登録商標)対応デバイスを識別するためのアドレスなどの通信端末に固有のID、各種のSIM(Subscriber Identity Module)カードに記録された通信端末に固有のID、通信端末の契約者ごとに割り当てられた契約者に固有のID(契約者固有IDと称される場合がある。また、通信キャリアによって、端末製造番号、ユーザID、iモード(登録商標)ID、サブスクライバID、EZ番号、端末シリアル番号などと称される場合がある。)などが用いられる。
他の実施形態において、端末識別情報は、ユーザが特定されることを抑制しつつ、通信端末110を一意に識別することができる情報が用いられる。これにより、ユーザを特定することなく、ログ情報の時間的な関連性を考慮して、ログ情報を解析することができる。例えば、特定の通信端末110の端末識別情報として、ランダムに選択された符号列が付与される。符号列は、1以上の通信端末110のそれぞれに固有の符号列であってもよく、複数の通信端末110の間で再利用されてもよい。端末識別情報は、予め定められた期間ごとに更新されてもよく、予め定められた時刻に更新されてもよく、ユーザなどの指示により任意のタイミングで更新されてもよい。
通信制御部116は、通信端末110と、通信ネットワーク10と、情報収集サーバ120及び人口推定サーバ130の少なくとも一方との間の通信を制御する。通信制御部116は、通信インターフェースであってよい。通信制御部116は、複数の通信方式に対応していてもよい。
情報収集サーバ120は、ログ情報などの各種の情報を収集する。ログ情報収集部122は、ログ情報を収集する。一実施形態において、ログ情報収集部122は、1以上の通信端末110のそれぞれから、1以上のログ情報を受信する。他の実施形態において、ログ情報収集部122は、通信ネットワーク10の1以上の基地局又はアクセスポイントのそれぞれから、1以上のログ情報を受信する。
ログ情報格納部124は、ログ情報収集部122により収集されたログ情報を格納する。ログ情報格納部124は、人口推定サーバ130からの要求に応じて、ログ情報を人口推定サーバ130に送信してもよい。
通信制御部126は、情報収集サーバ120と、通信ネットワーク10と、通信端末110及び人口推定サーバ130の少なくとも一方との間の通信を制御する。通信制御部126は、通信インターフェースであってよい。通信制御部126は、複数の通信方式に対応していてもよい。
人口推定サーバ130は、任意のエリアの人口又は人口動態を推定する。本実施形態において、人口推定サーバ130は、情報収集サーバ120により収集されたログ情報を利用して、任意のエリアの人口又は人口動態を推定する。人口推定サーバ130は、任意のエリアの延べ人口を推定してもよく、平均人口を推定してもよい。
特定の期間における人口又は人口動態を推定する場合において、単一の通信端末110が、複数のエリアを移動する場合がある。この場合において、上記の複数のエリアに含まれる特定のエリアにおける延べ人口を推定する場合には、少なくとも上記の特定のエリアにおいて、上記の単一の通信端末110を1台としてカウントする。上記の複数のエリアに含まれる全てのエリアにおいてにおいて、上記の単一の通信端末110を1台としてカウントしてもよい。
一方、上記の複数のエリアに含まれる特定のエリアにおける平均人口を推定する場合には、少なくとも上記の特定のエリアにおいて、上記の単一の通信端末110のカウント値として、重み係数を考慮したカウント値を用いる。重み係数を考慮したカウント値は、上記の複数のエリアの数に基づいて決定されてよい。重み係数を考慮したカウント値は、上記の複数のエリアの数と、各エリアにおける通信端末110の滞在時間及び移動距離の少なくとも一方に基づいて決定されてよい。
例えば、特定の期間に、通信端末110が、3つのエリア(例えば、エリアA、エリアB及びエリアCとする。)に存在した場合、各エリアにおける通信端末110のカウント値を1/3台としてカウントする。他の実施形態において、例えば、エリアA、エリアB及びエリアCにおける通信端末110の滞在時間の比が1:2:1である場合、エリアA、エリアB及びエリアCにおけるカウント値を、それぞれ、1/4、1/2及び1/4台としてカウントする。
情報収集サーバ120及び人口推定サーバ130のそれぞれは、一般的な構成の情報処理装置において、情報収集サーバ120及び人口推定サーバ130のそれぞれの各部の動作を規定したソフトウエア又はプログラムを起動することにより実現されてよい。情報収集サーバ120及び人口推定サーバ130として用いられる情報処理装置は、CPU等のプロセッサ、ROM、RAM、通信インターフェースなどを有するデータ処理装置と、キーボード、タッチパネル、マイクなどの入力装置と、表示装置、スピーカなどの出力装置と、メモリ、HDDなどの記憶装置とを備えてよい。データ処理装置又は記憶装置は、上記のソフトウエア又はプログラムを記憶してよい。上記のソフトウエア又はプログラムは、プロセッサによって実行されることにより、上記の情報処理装置に、当該ソフトウエア又はプログラムによって規定された動作を実行させる。
情報収集サーバ120及び人口推定サーバ130のそれぞれは、仮想サーバ又はクラウドシステムであってもよい。情報収集サーバ120及び人口推定サーバ130のそれぞれは、単一のサーバによって実現されてもよく、複数のサーバによって実現されてもよい。また、情報収集サーバ120及び人口推定サーバ130が、同一の物理サーバ上で実現されてもよく、情報収集サーバ120及び人口推定サーバ130が、同一のサーバであってもよい。
図2は、人口推定サーバ130の一例を概略的に示す。本実施形態において、人口推定サーバ130は、(i)ログ情報の補間処理、(ii)無線端末の数と人口との関係を表す関係パラメータの導出処理、(iii)任意のエリアの人口推定処理などを実行する。
例えば、人口推定サーバ130は、(i)ログ情報の補間処理を実行して、通信端末110によるログ情報の取得頻度又は時間間隔のバラつきを抑制する。人口推定サーバ130は、補間処理が実施されたログ情報を利用して、(ii)関係パラメータの導出処理を実行する。より具体的には、予め定められた地理的範囲を有する1以上のエリアのそれぞれについて、特定の時間(基準時間と称する場合がある。)に、当該エリアに存在した無線端末の数に基づいて、無線端末の数と人口との関係を表す関係パラメータを導出する。人口推定サーバ130は、ユーザから、人口を推定する時間及びエリアに関する情報を受け付けると、上記の関係パラメータを利用して、(iii)任意のエリアの人口推定処理を実行する。これにより、任意のエリアの人口を精度よく推定することができる。
図2においては、人口推定サーバ130の各部の概要について説明し、各部の詳細及び動作については後述する。本実施形態において、人口推定サーバ130は、ログ情報管理部212と、人口情報取得部214と、抽出部216と、パラメータ導出部218と、人口推定部222と、格納部224と、通信制御部226と、入力部228とを備える。ログ情報管理部212は、ログ情報取得部、分類部及び補間情報生成部の少なくとも1つの一例であってよい。抽出部216は、第1の端末抽出部、第2の端末抽出部、ローカルエリア抽出部及び関係パラメータ抽出部の少なくとも1つの一例であってよい。パラメータ導出部218は、関係パラメータ導出部の一例であってよい。格納部224は、関係パラメータ格納部の一例であってよい。
ログ情報管理部212は、ログ情報を管理する。本実施形態において、ログ情報管理部212は、情報収集サーバ120により収集されたログ情報を取得する。ログ情報管理部212は、取得されたログ情報を格納部224に格納する。ログ情報管理部212は、少なくとも1つの通信端末110に対応付けられた複数のログ情報を解析して、ログ情報を補間してよい。ログ情報管理部212は、取得されたログ情報を解析して、少なくとも1つの通信端末110の移動履歴を生成してよい。ログ情報管理部212は、移動履歴に基づいて、特定の時刻に特定のエリアに存在した通信端末110を、当該エリアを通過した通信端末110と、当該エリアに滞在した通信端末110とに分類してよい。
ログ情報管理部212は、移動履歴に基づいて、第1の時刻において第1のエリアに存在する通信端末が、第2の時刻において第2のエリアに存在する確率を生成してよい。これにより、特定の時刻において特定のエリアに存在する通信端末が、どのエリアから移動してきた可能性が高いかを決定することができる。また、特定の時刻において特定のエリアに存在する通信端末が、今後、どのエリアに移動する可能性が高いかを決定することができる。
一実施形態において、ログ情報管理部212は、予め定められた地理的範囲を有する1以上のエリアのうちの第1エリアに存在する通信端末が、予め定められた1以上の期間のそれぞれが経過した後に、1以上のエリアのうちの第2エリアに存在する確率に関する1以上の存在確率情報のそれぞれを、1以上の移動履歴情報に基づいて生成する存在確率生成部を備えてよい。存在確率生成部は、時間に関する1以上の区分の少なくとも1つについて、1以上の存在確率情報を生成してよい。
本実施形態において、人口情報取得部214は、予め定められた地理的範囲を有するローカルエリアの人口を示すローカル人口情報を取得する。また、人口情報取得部214は、ローカルエリアを含む広域エリアの人口を示す広域人口情報を取得する。人口情報取得部214は、入力部228から、ユーザが入力したローカル人口情報及び広域人口情報を取得してもよく、通信制御部226を介して、外部の記憶装置に格納されているローカル人口情報及び広域人口情報を取得してもよい。
ローカルエリアは、予め定められた地理的範囲を有する区画であればよく、行政区画、国勢調査を実施する場合に利用される区画、地域メッシュなどを例示することができる。ローカルエリアは、特定の施設であってもよい。広域エリアは、1以上のローカルエリアを含む地理的な領域であればよく、各国の国土、行政区画、国勢調査を実施する場合に利用される区画、地域メッシュなどを例示することができる。広域エリアは、1以上の国の国土であってもよく、1以上の行政区画を含む領域であってもよい。
ローカル人口情報及び広域人口情報のそれぞれは、調査実績に基づく情報であってよい。調査実績に基づく情報としては、行政機関により発表される国勢調査、人口動態調査、人口推計、出入国管理統計、観光客入込・宿泊数推定調査、旅客地域流動調査などにより示された情報を例示することができる。
調査実績に基づく情報は、交通量調査、特定の施設の入退出記録、来場者記録、入込客記録、POSデータなどにより示された情報であってもよい。交通量調査は、歩行者の交通量、自転車などの軽車両の交通量、自動二輪車、自動車などの車両の交通量、船舶の交通量、航空機又は宇宙船の交通量、及び、これらの組み合わせに関する調査であってよい。調査は、赤外線センサなどのセンサを利用した調査であってもよく、カメラで撮影した映像と、画像認識プログラムとを利用した調査であってもよく、交通量などを計測する計測員を利用した調査であってもよい。
ローカル人口情報は、ローカルエリアに常住している人口を示す常住人口情報、ローカルエリアの外部からローカルエリアに流入した人口を示す流入人口情報、及び、ローカルエリアからローカルエリアの外部に流出した人口を示す流出人口情報の少なくとも1つを含んでよい。広域人口情報は、広域エリアに常住している人口を示す常住人口情報、広域エリアの外部から広域エリアに流入した人口を示す流入人口情報、及び、広域エリアから広域エリアの外部に流出した人口を示す流出人口情報の少なくとも1つを含んでよい。
常住人口情報は、例えば、予め定められた時間において、特定のエリアに常住している人口の調査実績値に基づく推計値又は確定値である。流入人口情報は、例えば、予め定められた時間において、特定のエリアの外部から、当該エリアに流入した人口の調査実績値に基づく推計値又は確定値である。流出人口情報は、例えば、予め定められた時間において、特定のエリアから、当該エリアの外部に流出した人口の調査実績値に基づく推計値又は確定値である。
抽出部216は、格納部224を参照して抽出条件に合致する情報を抽出する。本実施形態において、抽出部216は、パラメータ導出部218、人口推定部222などから、抽出条件が含まれた抽出要求を受信する。抽出部216は、抽出要求を受信すると、格納部224を参照して、抽出条件に合致する情報を抽出する。抽出部216は、抽出された情報を抽出要求に対する応答として出力する。
パラメータ導出部218は、通信端末110の数と人口との関係を表す関係パラメータを導出する。一実施形態において、関係パラメータは、ローカルエリアごとに定められる。例えば、パラメータ導出部218は、1以上のローカルエリアのそれぞれについて、基準時間に当該ローカルエリアに存在した通信端末110の数と、ローカル人口情報により示される当該ローカルエリアの人口とに基づいて、関係パラメータを導出する。同様にして、パラメータ導出部218は、広域エリアの関係パラメータを導出してもよい。
他の実施形態において、関係パラメータは、通信端末ごとに定められる。この場合、関係パラメータは、1台の通信端末によって代表される人口を示すパラメータであってよい。例えば、パラメータ導出部218は、1以上のローカルエリアのそれぞれについて、基準時間に当該ローカルエリアに存在した通信端末110の数と、ローカル人口情報により示される当該ローカルエリアの人口とに基づいて、関係パラメータを導出する。パラメータ導出部218は、各ローカルエリアの関係パラメータを、基準時間に当該ローカルエリアに存在した通信端末に適用される関係パラメータとして導出する。
基準時間は1日のうちの特定の時刻、又は、1日のうちの特定の期間である。上記の特定の期間は24時間未満であってもよい。上記の特定の期間は20時間以下であってもよく、12時間以下であってもよく、10時間以下であってもよく、9時間以下であってもよく、8時間以下であってもよく、6時間以下であってもよく4時間以下であってもよく、3時間以下であってもよく、2時間以下であってもよく、1時間以下であってもよく、30分以下であってもよく、15分以下であってもよい。
一実施形態において、基準時間は、午後8時から午前8時までの間のいずれかの時刻又は期間であってよい。基準時間は、午後9時から午前6時までの間のいずれかの時刻又は期間であってもよく、午後11時から午前4時までの間のいずれかの時刻又は期間であってもよく、午前0時から午前3時までの間のいずれかの時刻又は期間であってもよい。
夜間の人口動態は、昼間の人口動態と比較して、国勢調査、人口動態調査、人口推計などの行政機関により発表される人口情報とよい相関関係を示すと考えられる。そのため、午後8時から午前8時までの間のいずれかの時刻又は期間において、特定のエリア内に存在した通信端末110の数と、上記の人口情報とに基づいて、当該エリアの関係パラメータを導出し、当該関係パラメータを利用して人口を推定することで、より精度よく人口を推定することができる。
他の実施形態において、基準時間は、特定の施設の営業時間又は開場時間の間のいずれかの時刻または期間であってもよい。この場合、例えば、特定の施設の入退出記録、来場者記録、入込客記録、POSデータなどを利用して、当該特定の施設の関係パラメータを導出することで、より精度よく人口を推定することができる。
さらに他の実施形態において、基準時間は、交通量調査などの人口動態調査の実際の実施時間の間のいずれかの時刻または期間であってよい。この場合、例えば、交通量調査の結果を利用して、当該交通量調査の対象地域の関係パラメータを導出することで、より精度よく人口を推定することができる。
パラメータ導出部218は、1以上のローカルエリアのそれぞれにおける関係パラメータを、予め定められた時間区分ごとに導出してもよい。予め定められた時間区分は、1日、1週間、1か月、3か月、6ヶ月、1年、平日、休日、及び、各曜日、各時間帯からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。予め定められた時間区分は、端末IDの更新周期と同一であってもよく、異なってもよい。予め定められた時間区分は、端末IDの更新周期より短くてもよい。これにより、精度よく人口を推定することができる。また、推定結果の時間的な変動を抑制することができる。
例えば、パラメータ導出部218が、関係パラメータを1日毎に導出する場合、例えば、2014年9月1日の人口は、2014年9月1日の関係パラメータを利用して推定され、2014年9月2日の人口は、2014年9月2日の関係パラメータを利用して推定される。そのため、例えば、月間又は年間を通して同一の関係パラメータを利用して人口を推定する場合と比較して、精度よく人口を推定することができる。その結果、推定結果の時間的な変動を抑制することができる。なお、上記の例において、端末IDの更新周期は、関係パラメータの導出周期と同様に、1日であってよい。また、端末IDの更新周期と、関係パラメータの導出周期とが異なってもよい。端末IDの更新周期は、関係パラメータの導出周期よりも長くてもよく、例えば、2日〜1週間程度である。
人口推定部222は、任意のエリアの人口を推定する。人口推定部222は、任意のエリアの延べ人口を推定してもよく、平均人口を推定してもよい。本実施形態において、人口推定部222は、入力部228から、人口を推定する地理的範囲及び時間を示す入力情報を受信する。人口推定部222は、入力情報により示される地理的範囲及び時間における通信端末110の数と、入力情報により示される地理的範囲及び時間において適用される関係パラメータとに基づいて、入力情報により示される地理的範囲及び時間における人口を推定する。
人口推定部222は、任意の期間における任意のエリアの人口動態を推定してよい。例えば、人口推定部222は、特定のエリアにおける人口の推定値に基づいて、特定の期間における特定のエリアの人口の変動状態を算出することで、当該特定のエリアの人口動態を推定する。
人口推定部222は、特定のエリアにおける人口の推定値に基づいて、当該特定のエリアの流動人口を推定してよい。一実施形態において、流動人口は、滞留人口と、移動人口とに分類される。人口推定部222は、任意のエリアの滞留人口及び移動人口の少なくとも一方を推定してよい。他の実施形態において、流動人口は、滞在人口と、通過人口とに分類される。人口推定部222は、任意のエリアの滞留人口及び通過人口の少なくとも一方を推定してよい。
格納部224は、パラメータ導出部218、人口推定部222などにおける情報処理に利用される各種の情報を格納する。格納部224は、パラメータ導出部218、人口推定部222などにおける情報処理により生成された情報を格納してもよい。
本実施形態において、通信制御部226は、人口推定サーバ130と、通信ネットワーク10と、通信端末110及び情報収集サーバ120の少なくとも一方との間の通信を制御する。通信制御部226は、通信インターフェースであってよい。通信制御部226は、複数の通信方式に対応していてもよい。
入力部228は、ユーザからの入力を受け付ける。本実施形態において、入力部228は、人口を推定する地理的範囲及び時間を示す入力情報を入力する。入力部228としては、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、マイクなどを例示することができる。
図3は、ログ情報管理部212の一例を概略的に示す。本実施形態において、ログ情報管理部212は、ログ情報取得部312と、ログ情報補間部314と、端末分類部316とを備える。ログ情報補間部314は、補間情報生成部の一例であってよい。端末分類部316は、分類部の一例であってよい。
ログ情報取得部312は、情報収集サーバ120により収集されたログ情報を取得する。ログ情報取得部312は、取得されたログ情報を格納部224に格納する。なお、ログ情報取得部312は、通信端末110、通信ネットワーク10の基地局又はアクセスポイントから、ログ情報を取得してもよい。
ログ情報補間部314は、ログ情報を補間する情報を生成する。例えば、ログ情報補間部314は、まず、情報収集サーバ120から取得した複数のログ情報を、通信端末110ごとに分類する。また、ログ情報補間部314は、通信端末110ごとに分類された複数のログ情報を、当該ログ情報の時刻情報に基づいて並び替える。次に、ログ情報補間部314は、時間的に連続する2つのログ情報の組のそれぞれについて、当該2つのログ情報の時刻情報を比較する。2つのログ情報の時刻情報により示される時刻の間隔が、予め定められた値よりも大きい場合、ログ情報補間部314は、当該2つのログ情報を補間する情報を生成する。
ログ情報の補間方法は、特に限定されるものではないが、例えば、2つのログ情報の位置情報により示される位置の距離が、予め定められた値よりも小さい場合、ログ情報補間部314は、2つのログ情報のいずれかの位置情報と、予め定められた時間間隔でログ情報が得られるように定められた時刻情報とを含む1以上のログ情報を生成する。ログ情報補間部314は、2つのログ情報のいずれかの位置情報と、予め定められた時刻を示す時刻情報とを含む1以上のログ情報を生成してもよい。
一方、2つのログ情報の位置情報により示される位置の距離が、予め定められた値よりも大きい場合、ログ情報補間部314は、例えば、補間処理により生成される1以上のログ情報により示される位置が、上記の2つのログ情報により示される位置を結ぶ直線上に等間隔に配されるように、1以上のログ情報を生成する。この場合、ログ情報補間部314は、2つのログ情報に基づいて、通信端末110の移動速度を算出し、通信端末110の移動速度に基づいて、補間により生成されるログ情報の時刻情報を生成してもよい。
2つのログ情報の位置情報により示される位置の少なくとも一方が道路上、線路上又は航路上にある場合、ログ情報補間部314は、補間により生成されるログ情報により示される位置が、道路上、線路上又は航路上に配されるように、1以上のログ情報を生成してもよい。一実施形態において、ログ情報補間部314は、まず、補間処理により生成される1以上のログ情報により示される位置が、上記の2つのログ情報により示される位置を結ぶ直線上に等間隔に配されるように、1以上のログ情報を生成する。次に、生成された1以上のログ情報のそれぞれを、当該ログ情報により示される位置が最寄りの道路上、線路上又は航路上に配されるように補正する。
他の実施形態において、ログ情報補間部314は、まず、2つのログ情報により示される位置及び時間に基づいて、通信端末110の移動速度を算出する。次に、ログ情報補間部314は、補間処理により生成される1以上のログ情報により示される位置が、道路上、線路上又は航路上に配されるように、1以上のログ情報を生成する。この場合において、ログ情報補間部314は、上記の1以上のログ情報により示される位置同士の距離が等間隔となるように、ログ情報を生成してよい。ログ情報補間部314は、上記の1以上のログ情報により示される時間が等間隔となるように、ログ情報を生成してもよい。ログ情報補間部314は、上記2つのログ情報、又は、上記2つのログ情報及びその前後のログ情報に基づいて、通信端末110の移動速度及び移動方向の少なくとも一方を算出して、当該移動速度及び移動方向の少なくとも一方を利用して、ログ情報を生成してもよい。
端末分類部316は、例えば、ログ情報を解析して、特定の条件を満足する通信端末110と、当該条件を満足しない通信端末110とに分類する。端末分類部316は、ログ情報を解析して、特定の条件を満足する通信端末110と、当該条件を満足しない通信端末110とに分類してもよい。端末分類部316は、入力部228により入力された入力情報により示される時間に入力情報により示される地理的範囲に存在した通信端末110に関する情報を、抽出部216から取得してよい。
一実施形態において、端末分類部316は、入力部228により入力された入力情報により示される時間に、入力情報により示される地理的範囲に存在した通信端末110のそれぞれを、入力情報により示される地理的範囲に滞在した通信端末110と、入力情報により示される地理的範囲を通過した通信端末110とに分類する。上記の地理的範囲に滞在した通信端末110は、例えば、人口推定部222における滞在人口の推定に利用される。上記の地理的範囲を通過した通信端末110は、例えば、人口推定部222における通過人口の推定に利用される。
特定の通信端末110が、入力情報により示される地理的範囲に滞在したか否かは、例えば、(a)入力情報により示される期間に対する、特定の通信端末110が入力情報により示される地理的範囲に存在した時間の割合、(b)入力情報により示される期間において、特定の通信端末110が入力情報により示される地理的範囲に存在した時間の長さ、(c)入力情報により示される時刻を含む予め定められた期間の始期及び終期における通信端末110の位置、及び、(d)これらの組み合わせに基づいて判断される。上記の入力情報により示される期間の代わりに、入力情報により示される時刻を含む予め定められた期間が用いられてもよい。
例えば、端末分類部316は、入力情報により示される時刻おいて入力情報により示される地理的範囲に存在した通信端末110が、入力情報により示される時刻から予め定められた期間が経過した時刻において当該地理的範囲に存在した場合に、上記の通信端末110が入力情報により示される地理的範囲に滞在したと判断する。入力情報により示される時刻は、入力情報により示される時間の始期であってもよい。入力情報により示される時刻から予め定められた期間が経過した時刻は、入力情報により示される時間の終期であってもよい。
他の実施形態において、端末分類部316は、入力部228により入力された入力情報により示される時間に、入力情報により示される地理的範囲に存在した通信端末110のそれぞれを、入力情報により示される地理的範囲内で滞留していた通信端末110と、入力情報により示される地理的範囲内で移動していた通信端末110とに分類する。上記の地理的範囲内で滞留していた通信端末110は、例えば、人口推定部222における滞留人口の推定に利用される。上記の地理的範囲内で移動していた通信端末110は、例えば、人口推定部222における移動人口の推定に利用される。
特定の通信端末110が、入力情報により示される地理的範囲内で滞留していたか否かは、例えば、(a)入力情報により示される時間及び地理的範囲における通信端末110の移動速度の平均値又は最大値、(b)入力情報により示される時間及び地理的範囲における通信端末110の移動距離、(c)入力情報により示される時間における、特定の基準位置及び端末の距離の変化量、及び、(d)これらの組み合わせに基づいて判断される。上記の入力情報により示される期間の代わりに、入力情報により示される時刻を含む予め定められた期間が用いられてもよい。
図4は、ログ情報補間部314における補間方法の一例を概略的に示す。本実施形態において、補間前のログ情報410は、ログ情報412、ログ情報414、ログ情報416及びログ情報418を含む。説明を簡単にするために、時刻t0と時刻t1との間の時間、及び、時刻t2と時刻t3との間の時間がそれぞれ5分であり、時刻t1と時刻t2との間の時間が20分である場合を例として、補間方法の一例について説明する。
本実施形態において、ログ情報補間部314は、まず、ログ情報412及びログ情報414、ログ情報414及びログ情報416、ログ情報416及びログ情報418のそれぞれについて、2つのログ情報の時刻の間隔が5分よりも大きいか否かを判断する。本実施形態においては、ログ情報414及びログ情報416の時刻の間隔が5分よりも大きいので、ログ情報補間部314は、ログ情報414及びログ情報416を補間する1以上のログ情報を生成することを決定する。
本実施形態において、ログ情報補間部314は、ログ情報432、ログ情報434及びログ情報436を生成する。ログ情報432、ログ情報434及びログ情報436の時刻情報は、例えば、ログ情報432、ログ情報434及びログ情報436が時間的に等間隔に配置されるように決定される。ログ情報432、ログ情報434及びログ情報436の位置情報は、ログ情報414及びログ情報416の位置情報により示される位置に基づいて決定される。ログ情報補間部314は、ログ情報432、ログ情報434及びログ情報436を含む補間後のログ情報420を格納部224に格納する。これにより、任意の時刻における人口を容易に推計することができる。
図5は、抽出部216の一例を概略的に示す。本実施形態において、抽出部216は、端末抽出部512と、エリア抽出部514と、パラメータ抽出部516とを備える。端末抽出部512は、第1の端末抽出部及び第2の端末抽出部の少なくとも一方の一例であってよい。エリア抽出部514は、ローカルエリア抽出部の一例であってよい。パラメータ抽出部516は、関係パラメータ抽出部の一例であってよい。
端末抽出部512は、格納部224を参照して、抽出条件に合致する通信端末110を抽出する。例えば、端末抽出部512は、条件に合致する通信端末の識別情報を抽出する。一実施形態において、端末抽出部512は、パラメータ導出部218における関係パラメータの導出処理において、パラメータ導出部218から抽出要求を受信して、格納部224に格納されている1以上のログ情報に基づいて、1以上の通信端末110の中から、基準時間に特定のエリアに存在した通信端末110を抽出する。他の実施形態において、端末抽出部512は、人口推定部222における人口推定処理において、人口推定部222から抽出要求を受信して、格納部224に格納されている1以上のログ情報に基づいて、1以上の通信端末110の中から、入力情報により示される時間に、入力情報により示される地理的範囲に存在した通信端末110を抽出する。
エリア抽出部514は、格納部224を参照して、抽出条件に合致するローカルエリア又は広域エリア(ローカルエリア及び広域エリアを合わせて、単にエリアと称する場合がある。)を抽出する。例えば、エリア抽出部514は、条件に合致するエリアの識別情報を抽出する。一実施形態において、エリア抽出部514は、人口推定部222における人口推定処理において、人口推定部222から抽出要求を受信して、1以上のローカルエリアの中から、入力情報により示される地理的範囲に含まれる少なくとも1つのローカルエリアを抽出する。
パラメータ抽出部516は、格納部224を参照して、抽出条件に合致する関係パラメータを抽出する。一実施形態において、パラメータ抽出部516は、人口推定部222における人口推定処理において、人口推定部222から抽出要求を受信して、抽出要求により指定されたローカルエリアに適用される関係パラメータを抽出する。パラメータ抽出部516は、例えば、1以上の関係パラメータの中から、エリア抽出部514により抽出されたローカルエリアに適用される関係パラメータを抽出する。この場合において、格納部224が、1以上の関係パラメータのそれぞれを、当該関係パラメータが適用される時間区分と対応付けて格納しているときには、パラメータ抽出部516は、入力情報により示される時間において、エリア抽出部514により抽出されたローカルエリアに適用される関係パラメータを抽出してもよい。
他の実施形態において、パラメータ抽出部516は、人口推定部222における人口推定処理において、人口推定部222から抽出要求を受信して、抽出要求により指定された通信端末110に適用される関係パラメータを抽出する。パラメータ抽出部516は、例えば、1以上の関係パラメータの中から、端末抽出部512により抽出された1以上の通信端末110のそれぞれに適用される関係パラメータを抽出する。上記の1以上の通信端末110は、入力情報により示される時間に、入力情報により示される地理的範囲に存在した通信端末であってよい。この場合において、格納部224が、1以上の関係パラメータのそれぞれを、当該関係パラメータが適用される時間区分と対応付けて格納しているときには、パラメータ抽出部516は、入力情報により示される時間において、端末抽出部512により抽出された1以上の通信端末110のそれぞれに適用される関係パラメータを抽出してもよい。
図6は、パラメータ導出部218の一例を概略的に示す。本実施形態において、パラメータ導出部218は、比例係数導出部612と、補正部614とを備える。
比例係数導出部612は、1以上のローカルエリアのそれぞれについて、当該ローカルエリアに存在する通信端末110の数と当該ローカルエリアの常住人口との比を示す比例定数を算出する。例えば、比例係数導出部612は、端末抽出部512に対して、1以上のローカルエリアのそれぞれについて、基準時間に当該ローカルエリアに存在した通信端末110を抽出することを要求する。比例係数導出部612は、端末抽出部512から抽出結果を受信する。比例係数導出部612は、人口情報取得部214により取得されたローカル人口情報により示される1以上のローカルエリアのそれぞれの常住人口情報を、端末抽出部512により抽出された通信端末110の数で除して、1以上のローカルエリアのそれぞれにおける比例係数を導出する。
本実施形態のパラメータ導出部218においては、比例係数導出部612が導出した比例係数を、補正部614が補正することにより、目的とする関係パラメータを導出する。本実施形態において、補正部614は、例えば、広域人口情報に基づいて比例係数を補正して、関係パラメータを導出する。
比例係数導出部612により導出された比例係数も、関係パラメータの一例である。しかしながら、パラメータ導出部218が、各エリアの流入人口、又は、流入人口及び流出人口を考慮して関係パラメータを導出することで、各エリアの人口をより精度よく導出することができる。例えば、(a)広域人口情報が、調査実績に基づく情報であり、かつ、(b)基準時間が調査の実施時間に含まれていない場合、又は、基準時間と調査の実施時間との期間が、予め定められた期間よりも長い場合には、パラメータ導出部218が、流入人口及び流出人口を考慮して関係パラメータを導出することで、各エリアの人口をより精度よく導出することができる。
例えば、ローカルエリアによっては、出入国管理統計、観光客入込・宿泊数推定調査、旅客地域流動調査などの調査実績に基づいた流入人口を示す情報を取得することが困難な場合がある。このような場合、流入人口を考慮した補正処理を実施することで、各エリアの人口をより精度よく導出することができる。補正処理のいくつかの例を下記に示す。なお、下記の例においては、流入人口を考慮した補正について説明するが、流入人口及び流出人口を考慮した補正についても、同様の手順により実施することができる。
なお、他の実施形態において、補正部614は、特定のローカルエリアに存在する通信端末110の数を補正してもよい。補正部614は、特定のローカルエリアの人口を補正してもよい。上記の人口は、常住人口、流入人口、流出人口などを例示することができる。上記の人口は、人口情報取得部214が取得したローカル人口情報により示される人口であってよい。
一実施形態によれば、比例係数導出部612は、補正部614が補正した通信端末110の数又は人口の値を利用して上記の比例定数を算出することにより、目的とする関係パラメータを導出してよい。他の実施形態によれば、パラメータ導出部218が、(i)比例係数導出部612が、補正部614が補正した通信端末110の数又は人口の値を利用して上記の比例定数を算出し、(ii)補正部614が、比例係数導出部612が導出した比例係数をさらに補正することにより、目的とする関係パラメータを導出してもよい。
[補正処理の第1の実施形態]
一実施形態において、補正部614は、流入人口を示す情報を取得することができた広域エリアに含まれる全てのローカルエリアの比例係数に同一の補正係数を乗じることで、関係パラメータを導出する。上記の補正係数は、例えば、下記の式(1)により算出される。
[式(1)]
(広域エリアの常住人口+広域エリアの流入人口)/(広域エリアの定住人口)
なお、広域エリアの流入人口は、関係パラメータを導出する時間区分に合わせて調整された値が用いられる。例えば、人口情報取得部214により取得された広域エリアの流入人口が1年間当たりの流入人口であり、関係パラメータを導出する時間区分が1週間である場合、広域エリアの流入人口(人/年)を52(週/年)で除した値を用いて、補正係数を算出する。
[補正処理の第2の実施形態]
他の実施形態において、補正部614は、各ローカルエリアの比例係数に、当該ローカルエリアの比例係数の大きさに応じた補正係数を乗じることで、関係パラメータを導出する。当該補正係数は、ローカルエリアの比例係数が大きいほど、大きくなるように決定されてよい。当該補正係数は、ローカルエリアの比例係数が大きいほど、小さくなるように決定されてもよい。
[補正処理の第3の実施形態]
他の実施形態において、補正部614は、各ローカルエリアの比例係数に、当該ローカルエリアの常住人口の大きさに応じた補正係数を乗じることで、関係パラメータを導出する。当該補正係数は、ローカルエリアの常住人口が大きいほど、大きくなるように決定されてよい。
[補正処理の第4の実施形態]
他の実施形態において、補正部614は、流入人口を示す情報を取得することができたローカルエリアについては、当該ローカルエリアの比例係数に、当該ローカルエリアの(常住人口+流入人口)/(定住人口)で示される補正係数を乗じることで、関係パラメータを導出する。一方、流入人口を示す情報を取得することができたローカルエリアと同一の広域エリアに含まれる残りのローカルエリアについては、広域エリアの流入人口から、流入人口を示す情報を取得することができたローカルエリア流入人口を引いた値を、残りのローカルエリアの流入人口として、上記の第1〜第3の実施形態の場合と同様にして、関係パラメータを導出する。
補正部614は、1つのローカルエリアを複数のエリアに分割して、第4の実施形態の補正処理を実行してよい。例えば、特定のローカルエリアにおける調査実績に基づいた流入人口を示す情報を取得することが困難な場合であっても、当該特定のローカルエリアに含まれる1以上の施設における調査実績に基づいた流入人口を示す情報を取得できる場合がある。また、特定のローカルエリアにおける特定の施設の開設又は閉設による、周辺地域の人口動態への影響をシミュレーションする場合がある。このような場合には、上記の特定のローカルエリアを、上記の特定の施設に相当する領域と、それ以外の領域とに分割して、補正処理を実行してよい。
[補正処理の第4の実施形態]
他の実施形態において、補正部614は、特定のローカルエリアに存在する通信端末110の数を補正する。本実施形態によれば、比例係数導出部612は、1以上のローカルエリアのそれぞれについて、当該ローカルエリアに存在する通信端末110の数と当該ローカルエリアの常住人口との比を示す比例定数を算出する場合において、上記のローカルエリアに存在する通信端末110の数として、補正部614が補正した値を利用して、比例定数を算出する。
近年、単一のユーザが、複数の携帯端末を所持することも珍しくない。そこで、本実施形態において、補正部614は、端末抽出部512により抽出された通信端末110のうち、同一のユーザにより所持されている可能性が高い複数の通信端末110の数を考慮して、ローカルエリアに存在する通信端末110の数を補正する。例えば、補正部614は、同一のユーザにより所持されている可能性が高い複数の通信端末を1つの通信端末として取り扱うことにより、特定のローカルエリアに存在する通信端末110の個数の補正値を算出する。
本実施形態において、補正部614は、複数の通信端末の移動履歴の類似度に基づいて、当該複数の通信端末のユーザが同一であるか否かを判断する。例えば、補正部614は、複数の通信端末の移動履歴の類似度が予め定められた値より大きい場合に、当該複数の通信端末のユーザが同一であると判断する。補正部614は、複数の通信端末の移動履歴の類似度が予め定められた値より小さい場合に、当該複数の通信端末のユーザが異なると判断してもよい。
家族、友人又は知人と、旅行又は出張に出かけた場合、異なるユーザが所持する複数の通信端末の移動履歴の類似度が上記の予め定められた値よりも大きくなる可能性がある。そこで、補正部614は、複数の日のそれぞれにおいて算出された移動履歴の類似度の統計値が予め定められた値より大きい場合に、当該複数の通信端末のユーザが同一であると判断してもよい。複数の日のそれぞれにおいて算出された移動履歴の類似度の統計値としては、例えば、通信端末の端末識別情報の有効期間のうちの任意の数日について算出された各類似度の平均値などを例示することができる。
[補正処理の第5の実施形態]
上記の第4の実施形態においては、単一のユーザが複数の携帯端末を所持している可能性が高い場合において、ローカルエリアに存在する通信端末110の数を補正する実施形態について説明した。一方、本実施形態によれば、補正部614は、単一のユーザが複数の携帯端末を所持している可能性が高い場合、補正部614は、各ローカルエリアの比例係数に、同一のユーザにより所持されている可能性が高い複数の通信端末110の数を考慮した補正係数を乗じることで、関係パラメータを導出する。
例えば、後述のように、人口推定処理の第3の実施形態においては、基準時間における各通信端末の位置に基づいて、各通信端末に適用される関係パラメータが導出される。補正部614は、端末抽出部512により抽出された通信端末110のうち、同一のユーザにより所持されている可能性が高い複数の通信端末110の数を考慮して、各通信端末に適用される関係パラメータの値を補正する。例えば、通信端末A及び通信端末Bのユーザが同一である可能性が高い場合、補正部614は、比例係数導出部612が算出した、通信端末A及び通信端末Bに適用される関係パラメータの値に1/2を乗じることにより、通信端末A及び通信端末Bに適用される関係パラメータを補正する。
[補正処理の第6の実施形態]
他の実施形態において、補正部614は、特定のローカルエリアの人口情報を補正する。例えば、大学のキャンパス、大企業の事業所などが、特定のローカルエリアから他のローカルエリアに移転する場合、比較的短期間に、比較的大きな人口変動が観測される。しかしながら、国勢調査などの実際の人口調査は調査時期が決まっており、上記の人口変動が、比較的長期間にわたって調査実績値に反映されない可能性がある。
そこで、本実施形態において、補正部614は、ログ情報取得部312が取得したログ情報を監視して、急激な人口変動を検出する。例えば、補正部614は、複数のローカルエリアのそれぞれについて、予め定められた期間における通信端末数の変動量又は変動率を監視する。補正部614は、通信端末数の変動量又は変動率が予め定められた値よりも大きい場合に、急激な人口変動を検出してよい。予め定められた期間は、1ヵ月であってもよく、2か月であってもよく、3ヵ月であってもよく、6ヶ月であってもよい。
より具体的には、補正部614は、定期的なタイミング又は任意のタイミングにおいて、端末抽出部512に対して、1以上のローカルエリアのそれぞれについて、基準時間に当該ローカルエリアに存在した通信端末110を抽出することを要求する。補正部614は、端末抽出部512から抽出結果を受信する。補正部614は、上記の予め定められた期間の開始時点における通信端末110の数と、各タイミングにおける通信端末110の数とを比較して、各ローカルエリアにおける通信端末数の変動量又は変動率を算出する。
補正部614は、(i)特定のローカルエリアにおける通信端末数の増加と、他のローカルエリアにおける通信端末数の減少とが同時期に発生し、(ii)上記の通信端末数の増加及び減少の規模が同程度である場合に、特定の集団が特定のローカルエリアから他のローカルエリアに移転したと判断して、上記の特定のローカルエリア及び他のローカルエリアの人口情報を補正することを決定する。補正部614は、特定のローカルエリアにおける通信端末数の増加の開始時期又はピーク時期と、他のローカルエリアにおける通信端末数の減少の開始時期又はピーク時期とが、予め定められた期間内である場合に、特定のローカルエリアにおける通信端末数の増加と、他のローカルエリアにおける通信端末数の減少とが同時期に発生したと判断してよい。補正部614は、通信端末数の増加量及び減少量の差が、予め定められた値よりも小さい場合に、上記の通信端末数の増加及び減少の規模が同程度であると判断してよい。
一実施形態において、補正部614は、「人口情報取得部214が取得した特定のローカルエリアの人口の値」から、「上記予め定められた期間の開始時点における関係パラメータの値に、上記予め定められた期間の間に増加した通信端末数を乗じた値」を引くことにより、特定のローカルエリアの人口情報を補正してよい。同様にして、補正部614は、他のローカルエリアの人口情報を補正してよい。補正部614は、実際に補正処理を実行する前に、補正処理を実行するか否かを人口推定サーバ130の管理者又は運用者に問い合わせて、上記の管理者又は運用者の指示に基づいて、補正処理を実行してもよい。管理者又は運用者は、報道記事などに基づいて、上記の人口変動に関連する事実関係を調査して、補正処理を実行するか否かを判断してよい。なお、補正部614が、報道記事、データベースなどに基づいて、上記の人口変動に関連する事実関係を調査して、補正処理を実行するか否かを判断してもよい。
他の実施形態おいて、補正部614は、特定の集団が特定のローカルエリアから他のローカルエリアに移転したと判断した場合に、特定のローカルエリア及び他のローカルエリアの関係パラメータの値を、特定のローカルエリア及び他のローカルエリアを含む広域エリアの関係パラメータの値に置き換えてもよい。補正部614は、人口情報取得部214が特定のローカルエリア及び他のローカルエリアに関する新たな人口情報を取得するまでの間、特定のローカルエリアの人口情報を、暫定的に補正してもよい。人口推定部222は、補正された人口情報に基づいて人口を推定している場合、その旨を示す情報をユーザに提示してよい。
本実施形態においては、特定のローカルエリアと、他のローカルエリアとが1対1に対応する場合を例として、補正部614の処理について説明した。しかしながら、補正部614は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、補正部614は、特定のローカルエリアと、他のローカルエリアとが1対多又は多対1に対応する場合であっても、本実施形態と同様にして補正処理を実行してよい。
図7は、人口推定部222の一例を概略的に示す。本実施形態において、人口推定部222は、推定値導出部712と、エリア決定部714と、端末数導出部716とを備える。エリア決定部714は、ローカルエリア決定部の一例であってよい。
推定値導出部712は、パラメータ導出部218により導出された関係パラメータを用いて、通信端末110の数から人口の推定値を導出する。本実施形態において、推定値導出部712は、端末抽出部512に対して、入力情報により示される時間に、入力情報により示される地理的範囲に存在した通信端末110を抽出することを要求する。推定値導出部712は、端末抽出部512から抽出結果を受信する。
推定値導出部712は、エリア抽出部514に対して、入力情報により示される地理的範囲に含まれるローカルエリアを抽出することを要求する。推定値導出部712は、エリア抽出部514から抽出結果を受信する。
推定値導出部712は、エリア抽出部514から受信した抽出結果に基づいて、入力情報により示される時間において入力情報により示される地理的範囲に存在した通信端末110の数を決定する。推定値導出部712は、エリア抽出部514から受信した抽出結果に基づいて、エリアに応じた適切な関係パラメータを決定する。推定値導出部712は、入力情報により示される時間において入力情報により示される地理的範囲に存在した通信端末110の数に、エリアに応じた適切な関係パラメータを乗じることにより、入力情報により示される時間における、入力情報により示される地理的範囲の人口を推定する。
一実施形態において、人口推定部222が延べ人口の推定値を導出する場合、推定値導出部712は、入力情報により示される時間において入力情報により示される地理的範囲に存在した通信端末110の数として、端末抽出部512により抽出された通信端末110の数を用いる。他の実施形態において、人口推定部222が平均人口の推定値を導出する場合、推定値導出部712は、端末抽出部512により抽出された通信端末110のそれぞれの重み係数を考慮して、入力情報により示される時間において入力情報により示される地理的範囲に存在した通信端末110の数を算出してよい。
エリア決定部714は、ログ情報に基づいて、1以上のローカルエリアのうち、端末抽出部512により抽出された少なくとも1つの無線端末が、直近の基準時間に存在したローカルエリアを決定する。端末数導出部716は、エリア決定部714により決定された少なくとも1つのローカルエリアごとに、直近の基準時間に存在した通信端末110の数を導出する。
[人口推定処理の第1の実施形態]
人口推定部222における人口推定処理の一実施形態によれば、推定値導出部712は、パラメータ抽出部516に対して、エリア抽出部514により抽出されたローカルエリアに適用される関係パラメータを抽出することを要求する。推定値導出部712は、パラメータ抽出部516に対して、入力情報により示される時間において、エリア抽出部514により抽出されたローカルエリアに適用される関係パラメータを抽出することを要求してもよい。推定値導出部712は、パラメータ抽出部516から抽出結果を受信する。
本実施形態によれば、推定値導出部712は、端末抽出部512により抽出された通信端末110の数、及び、パラメータ抽出部516により抽出された関係パラメータに基づいて、入力情報により示される時間における入力情報により示される地理的範囲の人口の推定値を導出する。具体的には、まず、推定値導出部712は、入力情報により示される地理的範囲に含まれるローカルエリアのそれぞれについて、端末抽出部512により抽出された当該ローカルエリア内の通信端末110の数に、パラメータ抽出部516により抽出された当該ローカルエリアの関係パラメータを乗じることで、ローカルエリアごとの人口推定値を算出する。次に、推定値導出部712は、ローカルエリアごとの人口の推定値を集計して、入力情報により示される時間における入力情報により示される地理的範囲の人口の推定値を導出する。
入力情報により示される地理的範囲に、エリアA、エリアB及びエリアCが含まれる場合において、2014年9月1日の午後3時における人口を推定する場合を例として、第1の実施形態における処理を説明する。なお、この事例において、基準時間は午前3時であり、パラメータ導出部218は、1日毎の関係パラメータを導出する。人口推定処理及び関係パラメータの導出処理は、任意の日時に実行されてよい。人口推定処理及び関係パラメータの導出処理は、異なる日時に実行されてもよく、同時に又は連続して実行されてもよい。
まず、パラメータ導出部218が、2014年9月1日の午前3時に通信端末が存在した位置に基づいて、各エリアにおける2014年9月1日の関係パラメータを導出する。パラメータ導出部218は、導出された関係パラメータを、格納部224に格納する。次に、エリア抽出部514が、入力情報により示される地理的範囲に含まれるエリアとして、エリアA、エリアB及びエリアCを抽出する。
なお、パラメータ導出部218における関係パラメータの導出処理は、エリア抽出部514によるエリアの抽出処理の後に実行されてもよい。この場合、パラメータ導出部218は、エリアA、エリアB及びエリアC以外のエリアの関係パラメータを導出しなくてもよい。
次に、パラメータ抽出部516が、格納部224を参照して、エリアA、エリアB及びエリアCのそれぞれについて、2014年9月1日の関係パラメータを抽出する。また、端末抽出部512が、格納部224を参照して、エリアA、エリアB及びエリアCのそれぞれについて、2014年9月1日の午後3時に各エリア内に存在した通信端末110の数を抽出する。
次に、推定値導出部712が、エリアA、エリアB及びエリアCのそれぞれについて、「2014年9月1日の午後3時に各エリア内に存在した通信端末110の数」に、「2014年9月1日の各エリアの関係パラメータ」を乗じて、各エリアの人口の推定値を算出する。その後、推定値導出部712が、各エリアの人口の推定値を合計して、入力情報により示される時間における入力情報により示される地理的範囲の人口の推定値を導出する。
[人口推定処理の第2の実施形態]
人口推定部222における人口推定処理の他の実施形態によれば、「人口推定処理の対象となる時間に、人口推定処理の対象となるエリアに存在した通信端末が、基準時間に存在したローカルエリア」(基準時間におけるローカルエリアと称する場合がある。)に対応付けられた関係パラメータを用いて人口を推定する点で、第1の実施形態と異なる。本実施形態によれば、推定値導出部712は、まず、端末抽出部512に対して、エリア抽出部514により抽出されたローカルエリアに存在する1以上の通信端末110を抽出することを要求する。推定値導出部712は、端末抽出部512から抽出結果を受信する。次に、推定値導出部712は、エリア決定部714に対して、端末抽出部512により抽出された通信端末110のそれぞれについて、直近の基準時間に存在したローカルエリアを決定することを要求する。推定値導出部712は、エリア決定部714から決定結果を受信する。
次に、推定値導出部712は、パラメータ抽出部516に対して、エリア決定部714により決定されたローカルエリア(基準時間におけるローカルエリアである。)のそれぞれに適用される関係パラメータを抽出することを要求する。推定値導出部712は、パラメータ抽出部516に対して、入力情報により示される時間において、エリア決定部714により決定されたローカルエリアに適用される関係パラメータを抽出することを要求してもよい。推定値導出部712は、パラメータ抽出部516から抽出結果を受信する。
本実施形態によれば、推定値導出部712は、下記の手順により人口を推定する。推定値導出部712は、まず、エリア決定部714により決定されたローカルエリアごとに、端末数導出部716により導出された当該ローカルエリアの通信端末110の数に、パラメータ抽出部516により抽出された当該ローカルエリアの関係パラメータを乗じることで、基準時間におけるローカルエリアごとの人口推定値を算出する。次に、上記のローカルエリアごとの人口推定値を集計して、入力情報により示される時間における入力情報により示される地理的範囲の人口の推定値を導出する。
入力情報により示される地理的範囲がエリアXであり、2014年9月1日の午後3時における人口を推定する場合を例として、第2の実施形態における処理を説明する。なお、この事例において、基準時間は午前3時であり、パラメータ導出部218は、1日毎の関係パラメータを導出する。人口推定処理及び関係パラメータの導出処理は、任意の日時に実行されてよい。人口推定処理及び関係パラメータの導出処理は、異なる日時に実行されてもよく、同時に又は連続して実行されてもよい。
まず、パラメータ導出部218が、2014年9月1日の午前3時に通信端末が存在した位置に基づいて、各エリアにおける2014年9月1日の関係パラメータを導出する。パラメータ導出部218は、導出された関係パラメータを格納部224に格納する。
次に、エリア抽出部514が、入力情報により示される地理的範囲に含まれるエリアとして、エリアXを抽出する。また、端末抽出部512が、格納部224を参照して、2014年9月1日の午後3時にエリアXのエリア内に存在した通信端末110を抽出する。
次に、エリア決定部714が、端末抽出部512により抽出された通信端末110のそれぞれについて、当該通信端末が2014年9月1日の午前3時に存在したローカルエリアを決定する。例えば、エリア決定部714は、2014年9月1日の午後3時にエリアXのエリア内に50台の通信端末110が存在し、そのうち、10台の通信端末110が2014年9月1日の午前3時にエリアAに存在し、25台の通信端末110が2014年9月1日の午前3時にエリアBに存在し、15台の通信端末110が2014年9月1日の午前3時にエリアCに存在したことを決定する。
なお、パラメータ導出部218における関係パラメータの導出処理は、エリア決定部714によるエリアの決定処理の後に実行されてもよい。この場合、パラメータ導出部218は、エリアA、エリアB及びエリアC以外のエリアの関係パラメータを導出しなくてもよい。
次に、パラメータ抽出部516が、格納部224を参照して、エリアA、エリアB及びエリアCのそれぞれについて、2014年9月1日の関係パラメータを抽出する。次に、推定値導出部712が、「2014年9月1日の午後3時にエリアXのエリア内に存在した通信端末110のうち、2014年9月1日の午前3時にエリアAのエリア内に存在した通信端末110の数」に、「2014年9月1日のエリアAの関係パラメータ」を乗じて、エリアAからエリアXに移動してきた人口の推定値を算出する。
推定値導出部712は、同様の手順により、エリアBからエリアXに移動してきた人口の推定値と、エリアCからエリアXに移動してきた人口の推定値とを算出する。その後、推定値導出部712が、各エリアからエリアXに移動してきた人口の推定値を合計して、入力情報により示される時間における入力情報により示される地理的範囲の人口の推定値を導出する。
[人口推定処理の第3の実施形態]
人口推定部222における人口推定処理の他の実施形態によれば、予め、基準時間における各通信端末の位置に基づいて、各通信端末に適用される関係パラメータが導出される。関係パラメータは、各通信端末によって代表される人口を示すパラメータであってよい。例えば、特定の通信端末に対応付けられた関係パラメータが5[人/端末]である場合、当該通信端末の移動に伴い、5人の人口が移動するものとして、人口を推定する。本実施形態によれば、人口推定部222が、各通信端末に対応付けられた関係パラメータを用いて人口を推定する点で、第2の実施形態と異なる。これにより、第2の実施形態と比較して、計算量を劇的に減少させることができる。
本実施形態によれば、推定値導出部712は、まず、端末抽出部512に対して、エリア抽出部514により抽出されたローカルエリアに存在する1以上の通信端末110を抽出することを要求する。推定値導出部712は、端末抽出部512から抽出結果を受信する。次に、推定値導出部712は、パラメータ抽出部516に対して、端末抽出部512により抽出された1以上の通信端末110のそれぞれに適用される関係パラメータを抽出することを要求する。推定値導出部712は、パラメータ抽出部516に対して、入力情報により示される時間において、端末抽出部512により抽出された1以上の通信端末110のそれぞれに適用される関係パラメータを抽出することを要求してもよい。推定値導出部712は、パラメータ抽出部516から抽出結果を受信する。
本実施形態によれば、推定値導出部712は、端末抽出部512により抽出された1以上の通信端末110のそれぞれに適用される関係パラメータの値を合計することで、人口推定値を算出する。なお、通信端末ごとの関係パラメータを用いて人口推計値を算出する方法は、本実施形態に限定されるものではない。
入力情報により示される地理的範囲がエリアXであり、2014年9月1日の午後3時における人口を推定する場合を例として、第3の実施形態における処理を説明する。なお、この事例において、基準時間は午前3時であり、パラメータ導出部218は、1日毎の関係パラメータを導出する。人口推定処理及び関係パラメータの導出処理は、任意の日時に実行されてよい。人口推定処理及び関係パラメータの導出処理は、異なる日時に実行されてもよく、同時に又は連続して実行されてもよい。
まず、パラメータ導出部218が、2014年9月1日の午前3時に通信端末が存在した位置に基づいて、各エリアにおける2014年9月1日の関係パラメータを導出する。パラメータ導出部218は、各エリアにおける2014年9月1日の関係パラメータを、2014年9月1日の午前3時に当該エリアに存在した通信端末に適用される関係パラメータとして、格納部224に格納する。例えば、格納部224は、通信端末の端末識別情報と、当該通信端末が2014年9月1日の午前3時に存在したエリアにおける2014年9月1日の関係パラメータとを対応づけて格納する。格納部224は、各エリアにおける2014年9月1日の関係パラメータと、2014年9月1日の午前3時に各エリアのエリア内に存在した通信端末の端末識別情報とを対応付けて格納してもよい。
次に、エリア抽出部514が、入力情報により示される地理的範囲に含まれるエリアとして、エリアXを抽出する。また、端末抽出部512が、格納部224を参照して、2014年9月1日の午後3時にエリアXのエリア内に存在した通信端末110を抽出する。次に、パラメータ抽出部516が、格納部224を参照して、2014年9月1日の午後3時にエリアXのエリア内に存在した通信端末110のそれぞれに対応付けられた、2014年9月1日の関係パラメータを抽出する。次に、推定値導出部712が、パラメータ抽出部516が抽出した1以上の関係パラメータの値を合計することで、入力情報により示される時間における入力情報により示される地理的範囲の人口の推定値を導出する。
図8及び図9を用いて、2014年9月1日午後3時におけるX市の人口の推定値を導出する場合を例として、人口推定処理の第2の実施形態におけるエリア決定部714及び端末数導出部716における処理の一例について説明する。図8は、エリア決定部714における処理結果の一例を概略的に示す。図9は、端末数導出部716における処理結果の一例を概略的に示す。
本実施形態においては、まず、端末抽出部512が、格納部224に格納された1以上のログ情報を参照して、2014年9月1日午後3時にX市内に存在した通信端末110を抽出する。エリア決定部714は、端末抽出部512から、抽出された通信端末110の端末IDを受信して、データテーブル800の端末ID812の列に入力する。次に、エリア決定部714は、格納部224に格納された1以上のログ情報を参照して、端末抽出部512により抽出された通信端末110のそれぞれについて、当該通信端末が2014年9月1日の午前3時に存在したエリアを決定する。エリア決定部714は、決定されたエリアのエリアIDを、データテーブル800のエリアID814の列に入力する。これにより、2014年9月1日の午後3時にX市内に存在した端末の端末ID812と、2014年9月1日の午前3時に各端末が存在したエリアのエリアID814とを対応付けて格納するデータテーブル800が生成される。
一方、端末数導出部716は、エリア決定部714からデータテーブル800を受信する。端末数導出部716は、データテーブル800を集計して、2014年9月1日の午前3時に各端末が存在したエリアのエリアID912と、エリアごとの端末IDの個数914とを対応付けて格納するデータテーブル900を生成する。これにより、推定値導出部712は、端末IDの個数914に、エリアID912により示されるエリアに適用される関係パラメータを乗じることで、ローカルエリアごとの人口推定値を容易に算出することができる。
図10は、格納部224の一例を概略的に示す。本実施形態において、格納部224は、ログ情報格納部1012と、パラメータ格納部1014と、エリア情報格納部1016と、人口情報格納部1018とを備える。ログ情報格納部1012は、ログ情報管理部212が取得したログ情報を格納する。パラメータ格納部1014は、パラメータ導出部218が導出した関係パラメータを格納する。パラメータ格納部1014は、パラメータ導出部218が導出した1以上の関係パラメータのそれぞれを、当該関係パラメータが適用される、通信端末110の端末識別情報、ローカルエリアの識別情報及び時間区分の少なくとも1つと対応付けて格納してよい。エリア情報格納部1016は、ローカルエリア及び広域エリアに関するエリア情報を格納する。人口情報格納部1018は、人口情報取得部214が取得した人口情報を格納する。
図11は、データテーブル1100の一例を概略的に示す。データテーブル1100は、ログ情報格納部1012に格納されたログ情報の一例であってよい。本実施形態において、データテーブル1100は、端末ID1112と、端末ID1112で識別される通信端末110の位置を示す位置情報1114と、位置情報1114が取得された時刻を示す時刻情報1116とを対応付けて格納する。端末ID1112は、端末識別情報の一例であってよい。
図12は、データテーブル1200の一例を概略的に示す。データテーブル1200は、端末IDが、例えば予め定められた期間ごとに更新される場合において、端末IDを管理するために用いられる。データテーブル1200は、例えば、データテーブル1100とともに、ログ情報格納部1012に格納される。本実施形態において、データテーブル1200は、端末IDの有効期間1214と、当該有効期間における端末ID1216と、通算の端末ID1212とを対応付けて格納する。端末ID1212は、複数の有効期間又は全ての有効期間にわたって端末IDを一意に識別するための識別情報であってよい。これにより、端末ID1216を再利用した場合であっても、正確に人口を推定することができる。
図13は、データテーブル1300の一例を概略的に示す。データテーブル1300は、パラメータ格納部1014に格納されたパラメータ情報の一例であってよい。本実施形態において、データテーブル1300は、1以上の関係パラメータのそれぞれを、当該関係パラメータが適用される時間区分及び当該関係パラメータが適用される地理的範囲の少なくとも一方と対応付けて格納する。本実施形態において、データテーブル1300は、1以上の関係パラメータのそれぞれを識別するパラメータID1312と、パラメータID1312で識別される関係パラメータが適用されるエリアのエリアID1314と、パラメータID1312で識別される関係パラメータが適用される時間区分1316と、補正部614による補正処理前の関係パラメータ1322と、補正部614による補正処理後の関係パラメータ1324とを対応付けて格納する。
図14は、データテーブル1400の一例を概略的に示す。データテーブル1400は、エリア情報格納部1016に格納されたエリア情報の一例であってよい。本実施形態において、データテーブル1400は、1以上のローカルエリア又は広域エリアのそれぞれを識別するエリアID1412と、エリアID1412により識別されるエリアの地理的範囲1414とを対応付けて格納する。
データテーブル1400によれば、例えば、エリアID1412が「A0002」で示される「東京都全域」は、エリアID1412が「A0003」及び「A0004」で示されるローカルエリアを含む広域エリアもあり、エリアID1412が「A0001」で示される「日本全域」に含まれるローカルエリアでもあることがわかる。これにより、例えば、エリア抽出部514が、データテーブル1400を参照して、1以上のローカルエリアの中から、入力情報により示される地理的範囲に含まれるローカルエリアを抽出することができる。
図15は、データテーブル1500の一例を概略的に示す。データテーブル1500は、パラメータ格納部1014に格納されたパラメータ情報の一例であってよい。本実施形態において、データテーブル1500は、1以上の関係パラメータのそれぞれを、当該関係パラメータが適用される通信端末110の端末識別情報と対応付けて格納する。本実施形態において、データテーブル1500は、特定の期間において1以上の通信端末110のそれぞれを識別する端末ID1512と、端末ID1512の有効期間1514と、対応する関係パラメータが適用される時間区分1516と、補正部614による補正処理前の関係パラメータ1522と、補正部614による補正処理後の関係パラメータ1524とを対応付けて格納する。
これにより、パラメータ抽出部516は、例えば、2014年9月1日の午後3時において、端末IDがT0001である通信端末110に適用される関係パラメータを抽出することができる。本実施形態においては、通信端末110の端末識別情報として、端末ID1512と、端末ID1512の有効期間1514とを用いる場合について説明した。しかしながら、通信端末110の端末識別情報は本実施形態に限定されない。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。