JP6632895B2 - ビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法 - Google Patents

ビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6632895B2
JP6632895B2 JP2016014757A JP2016014757A JP6632895B2 JP 6632895 B2 JP6632895 B2 JP 6632895B2 JP 2016014757 A JP2016014757 A JP 2016014757A JP 2016014757 A JP2016014757 A JP 2016014757A JP 6632895 B2 JP6632895 B2 JP 6632895B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
biuret
diisocyanate monomer
phosphate
polyisocyanate composition
type polyisocyanate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016014757A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017132924A (ja
Inventor
貴裕 板持
貴裕 板持
片川 洋徳
洋徳 片川
孝一郎 東
孝一郎 東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2016014757A priority Critical patent/JP6632895B2/ja
Publication of JP2017132924A publication Critical patent/JP2017132924A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6632895B2 publication Critical patent/JP6632895B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Description

本発明はビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法に関する。
これまで、ビウレット型ポリイソシアネート製造時に、着色や濁りのないものを得る目的で、リン酸エステル系化合物の存在下、水をビウレット化剤として使用した方法がいくつか提示されている。特許文献1〜5には、それらに関する製造方法およびそれにより得られるビウレット型ポリイソシアネート組成物に関する技術が開示されている。
特公昭62−41496号公報 特公平7−14466号公報 特許第4152026号公報 特許第4367988号公報 特許第4514293号公報
しかし、特許文献1〜5に開示された製造方法においても、製造されたポリイソシアネート組成物の着色度と残留モノマー量を両立するという観点では、なお課題を有していた。
本発明は、着色がなく、製造直後および製品の長期保管後のいずれにおいても、製品中のジイソシアネート存在量を低く抑えることができる、ビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法の確立にある。
本発明者、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ビウレット型ポリイソシアネート製造時に、リン酸エステル系化合物を一定量使用することにより合成・製造することでその目的に適合しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
(a)リン酸エステル系化合物の存在下、脂肪族ジイソシアネートモノマーおよび脂環族ジイソシアネートモノマーからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートモノマーとビウレット化剤を反応させる工程、
(b)反応液中の未反応ジイソシアネートモノマー濃度を3〜20重量%に調整する工程、
(c)工程(b)で得られた調整液を110℃〜160℃、反応液のセル長さ5cm、波長430nmの透過率が85%以上を保持する条件で加熱する工程、
(d)残留ジイソシアネートモノマー濃度を0.3%未満にまで削減する工程を含み、
前記工程(a)において、リン酸エステル系化合物と脂肪族および/または脂環族ジイソシアネートモノマーの重量比が3:100〜18:100の範囲であり、
前記リン酸エステル系化合物が、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピルおよびリン酸トリブチルからなる群より選ばれる1種以上である、ビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
[2]
前記リン酸エステル系化合物が、リン酸トリメチルおよび/またはリン酸トリエチルである、[1]に記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
[3]
前記ジイソシアネートモノマーがヘキサメチレンジイソシアネートである、[1]または[2]に記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
[4]
前記ビウレット化剤が水である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
[5]
前記工程(a)において、下記一般式(1)で示される溶剤の存在下で前記ジイソシアネートモノマーと前記ビウレット化剤を反応させる、[1]〜[4]のいずれか一つに記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
Figure 0006632895
(式中、R1、R2は炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基で両者は同一であっても異なっても良く、R3はメチル基または水素、nは1〜2の整数である。)
[6]
前記工程(d)において、ジイソシアネートモノマーを薄膜蒸留で除く工程を含む、[1]〜[5]のいずれか一つに記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
[7]
前記ジイソシアネートモノマーを薄膜蒸留で除く工程において、前記反応液を脱気後、留器にフィードする、[6]に記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
[8]
前記工程(a)が、攪拌均質下行われた後、更に前記反応液をパイプリアクターに導き、該パイプリアクター中押出し流れ下で反応を更に進行せしめる連続反応である、[1]〜[7]のいずれか一つに記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
本発明の製造方法によれば、製造時の着色度が小さく、ビウレット型ポリイソシアネート組成物中のジイソシアネートモノマー量を、製造時から長期保管時のいずれの段階においても少なくすることの両立が可能となる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態の製造方法は、(a)リン酸エステル系化合物の存在下、脂肪族ジイソシアネートモノマーおよび脂環族ジイソシアネートモノマーからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートモノマーとビウレット化剤を反応させる工程、(b)反応液中の未反応ジイソシアネートモノマー濃度を3〜20重量%に調整する工程、(c)工程(b)で得られた調整液を110℃〜160℃、反応液のセル長さ5cm、波長430nmの透過率が85%以上を保持する条件で加熱する工程、(d)残留ジイソシアネートモノマー濃度を0.3%未満にまで削減する工程を含み、前記工程(a)において、リン酸エステル系化合物と脂肪族ジイソシアネート化合物の重量比が3:100〜18:100の範囲である、ビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法である。
本実施形態で用いるジイソシアネートモノマーとは、脂肪族、脂環族ジイソシアネートモノマーからなる群より選ばれる1種以上である。
脂肪族、脂環族ジイソシアネートモノマーとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数4〜30のものが、脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜30のものが好ましく、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることが出来る。なかでも工業的規模では、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HDI」と称す)、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」と称す)が大規模で実施でき、単独または2種以上を併用して使用することもできる。好ましいジイソシアネートモノマーはHDIである。
(a)工程において、前記ジイソシアネートモノマーとビウレット化剤とを反応させて、ビウレット型ポリイソシアネート組成物を得る。ビウレット化剤としては、水、1価の第3級アルコール、蟻酸、硫化水素、有機第1モノアミン、有機第1ジアミンなどを挙げることができ、好ましくは水である。
上記反応はビウレット化剤1モルに対して、ジイソシアネートモノマー4モル以上、好ましくは5モル以上を用いることができ、40モル以下であり、好ましくは30モル以下、更に好ましくは20モル以下である。前記モルが4未満であると、得られるポリイソシアネート組成物の粘度が高くなり、主剤ポリオールとの相溶性が低下する場合があり、塗料固形分が低下する。一方、40モルを越えると、ポリイソシアネート組成物の収率が低下し、生産の経済性が低下する。
本実施形態においては、着色を防止し、製造直後および製品の長期保管後のいずれにおいても、製品中のジイソシアネート存在量を少なくする観点から、(a)工程は、リン酸エステル系化合物の存在下で行われる。リン酸エステル系化合物とは、リン酸トリエステル化合物及び酸性リン酸エステルを指し、リン酸トリエステル化合物としては例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチルなどが挙げられ、酸性リン酸エステルとしては例えば、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リン酸イソプロピル、リン酸ジイソプロピル、リン酸ブチル、リン酸ジブチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸ジ(2−エチルヘキシル)などが挙げられる。本実施形態においては、リン酸エステル系化合物は1種類でも2種類以上の併用でもよく、リン酸トリエステル化合物と酸性リン酸エステルを併用してもよい。リン酸エステル系化合物としてはリン酸トリエステル化合物を用いることが好ましく、その中でもリン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。
また、リン酸エステル系化合物の使用量は、原料ジイソシアネートモノマー100重量部に対して3〜18重量部であり、好ましくは5〜15重量部、より好ましくは、5〜10重量部である。
反応の際に溶剤を用いることができる。溶剤は、ジイソシアネートモノマーと水などのビウレット化剤を溶解し、反応条件下で均一相を形成する。即ち、均一相を形成するに必要な量が添加される。これによりポリ尿素などの副生成物の生成を抑制できる。水などのビウレット化剤の溶解度の低い溶剤は、それだけ添加量が多くなり反応終了後溶剤を分離し、回収する際に不経済となり好ましくない。この溶剤は、水などのビウレット化剤の溶解度が0.5%重量以上であることが好ましい。また、溶剤の沸点は、未反応ジイソシアネートなどの回収分離を考慮すると、原料ジイソシアネートモノマーの沸点より低いことが好ましい。下記一般式(1)で示される溶剤が、イソシアネート基と反応せず、親水性があり好ましい。
Figure 0006632895
(式中、R1、R2は炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基で両者は同一であっても異なっても良く、R3はメチル基または水素、nは1〜2の整数である。)
この溶剤の具体的な例は、例えば、エチレングリコール系であるエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリーコルジエチルエーテル、エチレングレコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、エチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、エチレングリコールエチル−n−プロピルエーテル、エチレングリコールエチルイソプロピルエーテル、エチレングリコールエチル−n−ブチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピル−n−ブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールエチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピル−n−ブチルエーテル、などがあり、例えば、プロピレングリコール系であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリーコルジエチルエーテル、プロピレングレコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルイソプロピルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールエチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールエチルイソプロピルエーテル、プロピレングリコールエチル−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピル−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールエチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールエチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピル−n−ブチルエーテル、などが挙げられ、好ましいエチレングレコール系溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられ、好ましいプロピレングレコール系溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。
これらの溶剤は単独または2種以上を混合して使用する事もできる。
上記一般式(1)で示される溶剤と、リン酸エステル系化合物の混合重量比率は、一般式(1)で示される溶剤/リン酸エステル系化合物が3/7から9/1であることが好ましく、上記一般式(1)で示される溶剤およびリン酸エステル系化合物の好ましい使用量は、原料ジイソシアネートモノマーと溶剤の合計重量に対して、上記一般式(1)で示される溶剤と、リン酸エステル系化合物の合計量が15〜50重量%の範囲である。
反応温度は70℃以上200℃以下が好ましく、更に90℃以上180℃以下が更に好ましい。これらの反応はバッチ式でも実施できるが、連続法が生産性などから好ましい。特に、特公昭62−41496号公報で開示されているジイソシアネートモノマーとビウレット化剤の反応を攪拌均質下に反応を行った後、更に前記反応生成物をパイプリアクターに導き、該パイプリアクター中押出し流れ下で反応を進行せしめる連続的製造が好ましい。
この様にして得られた反応液からジイソシアネートモノマー、場合により溶剤を除去し、特定のジイソシアネートモノマー濃度にする。その濃度はジイソシアネートモノマーとポリイソシアネート組成物の合計に対して該ジイソシアネートモノマー濃度が3〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、更に好ましくは3〜10重量%である。この濃度が20重量%を越えるかまたは3重量%未満になると、尿素2量体の減少速度が低下し、好ましくない。
本実施形態の工程(c)の温度は110〜160℃であり、好ましくは110〜140℃である。処理温度が110℃未満であると、尿素2量体の減少速度が低下し、好ましくない。160℃を越えると、着色したポリイソシアネート組成物得られる場合があり、好ましくない。
本実施形態の工程(c)では濃縮液透過率が85%以上である状態を保持する。本実施形態における透過率とは、セル長さ5cm、波長430nmでの透過率である。前記値が85%未満であると、得られるポリイソシアネート組成物が着色している。そのための処理時間は5〜90分であり、好ましくは5〜60分であり、より好ましくは5〜30分である。処理の終了した濃縮液中の尿素2量体の濃度(ジイソシアネートモノマー及び溶剤を除いた組成に対する濃度、すなわち、ビウレット型ポリイソシアネート組成物と尿素2量体および尿素結合を含む多量体の合計量に対する尿素2量体の含有量)は0.5重量%以下であり、好ましくは0.3重量%以下である。前記濃度が0.5重量%を越えると、ポリイソシアネート組成物を5℃以下の低温時に貯蔵した場合に濁りが発生する場合がある。上記処理はバッチ式、連続式のいずれでも可能である。その場合の液滞留時間は、尿素2量体の減少速度がゼロ次反応的であるので、ほぼ同じ滞留時間で行うことが可能である。なお、本実施形態においては、特定のジイソアネートモノマー濃度下で上記工程(c)の処理を行う必要があるが、その後、必要に応じ、ジイソシアネートモノマーを除去する。
特定のジイソシアネートモノマー濃度を達成するためには、貧溶剤、臨界流体などによる抽出などでも行えるが、好ましくは掻き取り式薄膜蒸留器である。掻き取り式薄膜蒸留器は、薄膜を強制的に形成し、低沸であるジイソシアネートモノマーを効率的に蒸発させ、ポリイソシアネート組成物と分離する。掻き取り式薄膜蒸留器に反応液をフィードする場合、反応液は予め脱気することが好ましい。水をビウレット化剤として、ビウレット型ポリイソシアネート組成物を製造する場合、副生ガスとして炭酸ガスが生成するが、この炭酸ガスの1部は反応液に溶存している。
溶存ガスのある反応液が、真空系である前記薄膜蒸留器にフィードされた場合、溶存ガスが気化、発泡する。その気化、発泡時、反応液の1部はミストとしてジイソシアネートモノマー蒸気を凝縮するための冷却器へ飛散、付着する。その結果、分離回収したジイソシアネートモノマーへ反応液が混入する。この現象は、該蒸留器への液のフィード量が多くなると顕著になる。そしてポリイソシアネート組成物の収率が低下するという不経済性を伴うだけではなく、ポリイソシアネート組成物が回収ジイソシアネートモノマーに混入するため、それを原料として得られる製品は高粘度化するというポリイソシアネート物性の変動原因となる。そして、この現象はポリイソシアネート組成物を製造するための反応時、例えば水などのビウレット化剤を使用したビウレット型ポリイソシアネート組成物のような炭酸ガスなどの副生ガスを発生する場合に顕著である。その混入濃度は、条件により異なるが数%に達する場合がある。
該反応液の脱気は、前記蒸留器とほぼ同じに操作された真空度の槽を設け、槽上部から該反応液を落下させる。該反応液は落下と同時に、脱気し始める。槽内の液面に到達した該反応液が完全に脱気されなかった場合は、液面が泡状になり脱気される。該反応液のフィードを、槽液相部に行った場合、脱気は完全にされない場合があり、好ましくない。槽に攪拌機を設けることもできるが、槽は真空系であり、構造が複雑になり、経済的負担が増加する。該蒸留器へフィードする場合の前記反応液の温度は、該反応液の沸点以下が好ましい。沸点以上であると、エントレが生じやすくなり、好ましくない。
ジイソシアネートモノマーなどの除去に用いる掻き取り式薄膜蒸留器は、直列に2つ設け、2段階でジイソシアネートモノマーを除去することもできる。その場合は、脱気を各段階でそれぞれ、行うことができる。この様に得られたポリイソシアネート組成物は実質的にジイソシアネートモノマーを含まない。通常ジイソシアネートモノマー濃度は、1.5重量%未満、好ましくは1.0重量%未満、より好ましくは0.7重量%未満、さらに好ましくは0.3重量%未満である。ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基濃度は3〜25重量%、25℃における粘度500〜50,000mPa・s、数平均分子量は550から1000程度である。尿素2量体濃度は、0.5重量%以下、好ましくは0.3重量%以下である。0.5重量%を越えると、低温時濁りを生ずる場合がある。また、得られたポリイソシアネート組成物の透過率は85%以上である。
以下に、実施例に基づいて本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
(1)尿素2量体の濃度測定
尿素2量体は一般式OCNR−NHC(=O)NH−RNCOで表される。Rは各々独立にジイソシアネートに由来する脂肪族基又は脂環族基である。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの場合は、下記のゲルパミュエーションクロマトグラフ(以下「GPC」)解析による、分子量310付近にピークトップを持つピークの面積%を尿素2量体の重量%とした。
・キャリアー:テトラハイドロフラン(以下「THF」)(流速:0.6ml/min)
・カラム:「TSKgel SuperH1000」、「TSKgel SuperH2000」、「TSKgel SuperH3000」(いずれも東ソー社製)のカラムをシリーズに連結した。
・検出器:屈折計
・GPC装置:「HLC−8120GPC」(東ソー社製)
(2)イソシアネート基濃度の測定
ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度は、ポリイソシアネートが含有するイソシアネート基の含有量(重量%)と定義され、以下の方法により測定した。ポリイソアシネート5〜10gを精秤してトルエン20mlに溶解し、得られた溶液に2規定のn−ジブチルアミンのトルエン溶液を20ml加え、室温で15分間放置して反応を行った。反応終了後、京都電子社製APB−410型自動滴定装置を用いて、得られた反応混合液の全量を1規定塩酸で逆滴定し、反応混合物中の未反応n−ジブチルアミンの中和に要する1規定塩酸の体積(試料滴定量)を求めた。一方、ポリイソシアネートを用いないこと以外は上記と同じ操作を行い、同様に未反応n−ジブチルアミンの中和に要する1規定塩酸の体積(ブランク滴定量)を求めた。
イソシアネート基濃度(重量%)=[{ブランク滴定量(ml)−試料滴定量(ml)}×42/{試料重量(g)×1000}]×100
(3)ジイソシアネートモノマー濃度の測定
上記(1)と同じ条件のGPCにより、ジシイソシアネートモノマーの分子量に対応する保持時間を有するピークの根面積を求めた。このピーク面積のクロマトグラム中の全ピークの総面積に対するパーセンテージを求め、その値をジイソシアネートモノマー濃度(重量%)とした。
なお、製造直後と、窒素雰囲気下ガラス瓶に密閉して、50℃/8週間保管後(表中「貯安性後」として記載)の2種について測定を行った。
判定 : ◎ 0.3%未満
〇 0.3%以上0.7%未満
△ 0.7%以上1.0%未満
▲ 1.0%以上1.5%未満
× 1.5%以上
(4)数平均分子量の測定
ポリシイソシアネートをTHFに溶解した溶液(濃度:約0.25重量%)を、上記(1)と同じ条件でGPCに付し、ポリスチレン換算の数平均分子量として測定した。
(5)粘度の測定
トキメック社製VISCONIC・ED型、E型粘度計を用い、25℃にて測定した。測定に際しては、標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下の通りで設定した。
100r.p.m.( 128mPa.s未満の場合)
50r.p.m.( 128mPa.s以上 256mPa.s未満の場合)
20r.p.m.( 256mPa.s以上 640mPa.s未満の場合)
10r.p.m.( 640mPa.s以上 1280mPa.s未満の場合)
5r.p.m.( 1280mPa.s以上 2560mPa.s未満の場合)
2.5r.p.m.( 2560mPa.s以上 5120mPa.s未満の場合)
1.0r.p.m.( 5120mPa.s以上10240mPa.s未満の場合)
0.5r.p.m.(10240mPa.s以上20480mPa.s未満の場合)
(6)透過率(着色度)
セル長さ5cm、波長430nmでの透過率を紫外可視分光光度計(島津製作所製UV−160)で測定した。
判定 : ◎ 95%以上
〇 90%以上95%未満
△ 85%以上90%未満
▲ 80%以上85%未満
× 80%未満
[実施例1]
攪拌機、温度計、環流冷却管、窒素吹き込み管を備えたフラスコ内を窒素雰囲気にした後、HDI:700重量部、リン酸トリメチル(表1中、「SP」と記載):126重量部、メチルセロソルブアセテート(表1中、「SA」と記載):175重量部、水:9.4重量部(HDI/水モル比=8)を仕込み、液温度を160℃で1時間保持した。得られた反応液(未反応ジイソシアネートモノマー濃度:70重量%)を真空度8Torr、温度160℃の掻き取り式薄膜蒸留器に500g/Hrでフィードした。得られた、ジイソシアネートモノマー濃度5重量%のビウレット型ポリイソシアネート組成物を窒素雰囲気下、液温度140℃で30分保持した。このポリイソシアネート組成物を再度掻き取り式薄膜蒸留器(真空度0.4Torr、温度160℃)にフィードし、ジイソシアネートモノマー濃度0.1重量%(◎判定)、透過率88%(△判定)、尿素2量体濃度0.2重量%以下、イソシアネート基濃度23.8重量%のビウレット型ポリイソシアネート組成物を得た。
得られたビウレット型ポリイソシアネート組成物を、窒素雰囲気下ガラス瓶に密閉して、50℃/8週間保管後、ジイソシアネートモノマー濃度を測定したところ、1.1%(▲判定)であった。
[実施例2〜実施例10]
リン酸トリメチル(表1中、「SP」と記載)、メチルセロソルブアセテート(表1中、「SA」と記載)を表1に記載の量とした以外は、実施例1と同様の製造方法でビウレット型ポリイソシアネート組成物を得た。結果を表1に示す。なお、いずれのビウレット型ポリイソシアネート組成物も尿素2量体濃度0.2重量%以下であった。
[比較例1〜8]
リン酸トリメチル(表1中、「SP」と記載)、メチルセロソルブアセテート(表1中、「SA」と記載)を表1に記載の量とした以外は、実施例1と同様の製造方法でビウレット型ポリイソシアネート組成物を得た。結果を表1に示す。なお、いずれのビウレット型ポリイソシアネート組成物も尿素2量体濃度0.2重量%以下であった。
Figure 0006632895
本発明によるポリイソシアネート組成物は、塗料、粘接着剤、シーリング材、防水材、フォーム、エラストマー、繊維処理剤などに有用である。

Claims (8)

  1. (a)リン酸エステル系化合物の存在下、脂肪族ジイソシアネートモノマーおよび脂環族ジイソシアネートモノマーからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートモノマーとビウレット化剤を反応させる工程、
    (b)反応液中の未反応ジイソシアネートモノマー濃度を3〜20重量%に調整する工程、
    (c)工程(b)で得られた調整液を110℃〜160℃、反応液のセル長さ5cm、波長430nmの透過率が85%以上を保持する条件で加熱する工程、および
    (d)残留ジイソシアネートモノマー濃度を0.3%未満にまで削減する工程を含み、
    前記工程(a)において、リン酸エステル系化合物と脂肪族および/または脂環族ジイソシアネートモノマーの重量比が3:100〜18:100の範囲であり、
    前記リン酸エステル系化合物が、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピルおよびリン酸トリブチルからなる群より選ばれる1種以上である、ビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
  2. 前記リン酸エステル系化合物が、リン酸トリメチルおよび/またはリン酸トリエチルである、請求項1に記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
  3. 前記ジイソシアネートモノマーがヘキサメチレンジイソシアネートである、請求項1または2に記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
  4. 前記ビウレット化剤が水である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
  5. 前記工程(a)において、下記一般式(1)で示される溶剤の存在下で前記ジイソシアネートモノマーと前記ビウレット化剤を反応させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
    Figure 0006632895
    (式中、R1、R2は炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基で両者は同一であっても異なっても良く、R3はメチル基または水素、nは1〜2の整数である。)
  6. 前記工程(d)において、ジイソシアネートモノマーを薄膜蒸留で除く工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
  7. 前記ジイソシアネートモノマーを薄膜蒸留で除く工程において、前記反応液を脱気後、留器にフィードする、請求項6に記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
  8. 前記工程(a)が、攪拌均質下行われた後、更に前記反応液をパイプリアクターに導き、該パイプリアクター中押出し流れ下で反応を更に進行せしめる連続反応である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
JP2016014757A 2016-01-28 2016-01-28 ビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法 Active JP6632895B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016014757A JP6632895B2 (ja) 2016-01-28 2016-01-28 ビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016014757A JP6632895B2 (ja) 2016-01-28 2016-01-28 ビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017132924A JP2017132924A (ja) 2017-08-03
JP6632895B2 true JP6632895B2 (ja) 2020-01-22

Family

ID=59502174

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016014757A Active JP6632895B2 (ja) 2016-01-28 2016-01-28 ビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6632895B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017132924A (ja) 2017-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI655178B (zh) 二甲苯二異氰酸酯組成物、二甲苯二異氰酸酯改質體組成物、二液型樹脂原料及樹脂
CN106062023B (zh) 多异氰脲酸酯组合物及其制造方法
JP6869290B2 (ja) ポリイソシアネート組成物及びイソシアネート重合体組成物
KR20010040725A (ko) 메틸렌디(페닐아민) 및 메틸렌디(페닐 이소시아네이트)의제조 방법
JP4096080B2 (ja) イソシアナート基とウレタン基とを含むプレポリマーの製造方法
JP4514293B2 (ja) ビウレット型ポリイソシアネート組成物及びその製造方法
EA033967B1 (ru) Однокомпонентная смесь изоцианатных преполимеров для приготовления полиуретанового вспененного продукта одноступенчатым способом и способ приготовления однокомпонентной полиуретановой пены
JP6632895B2 (ja) ビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法
CN110621712A (zh) 多异氰酸酯组合物
CN1064074A (zh) 降低甲苯二异氰酸酯中可水解氯化物含量的方法
CN109824865B (zh) 具有储存稳定性的多异氰酸酯固化剂制备方法及固化剂
KR20200026266A (ko) 폴리이소시아네이트의 연속적 희석
JP2553172B2 (ja) モノブロックド−環状−脂肪族ジイソシアネートの製法
KR20070094699A (ko) Nco-관능성 카르보닐 및 카르바모일 할라이드를사용하는 저장 안정성 이소시아네이트-관능성 예비중합체의제조
JP5183025B2 (ja) ポリイソシアネート組成物の製造方法
JP2006022330A (ja) 透明イソシアネートプレポリマーの製造方法
KR100315962B1 (ko) 폴리테트라메틸렌에테르글리콜의제조방법
JP4152026B2 (ja) ポリイソシアネート組成物の精製方法
JPS6142523A (ja) ヘキサメチレンイソシアヌラ−ト化合物の製造方法
US20240043604A1 (en) Upgraded stabilized polyol composition
JP2000229935A (ja) ポリイソシアネート組成物の製造方法
CA3000479C (fr) Composition polyisocyanate biuret
CN116529279A (zh) 生产异氰酸酯封端的含氨基甲酸酯基团的预聚物
JP3897410B2 (ja) 塗料用無溶剤一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物
JPH0834774A (ja) ポリイソシアネート、その製造用のジイソシアネートおよびそれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160401

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160512

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181011

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190724

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190806

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20190926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191001

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191107

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191211

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6632895

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150