JP3897410B2 - 塗料用無溶剤一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物 - Google Patents

塗料用無溶剤一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物 Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の水分(水蒸気)と反応することによって硬化する一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物で、塗料として有用な無溶剤の一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、芳香族ジイソシアネートを原料とした一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物は、耐水性、耐薬品性等に優れていることは広く知られている。しかし、芳香族ジイソシアネートを原料とした一液湿気硬化ポリイソシアネートは光により黄変する特徴があるため、耐候性を要求される用途への使用は制限されてきた。さらに、芳香族ジイソシアネートを原料とした一液湿気硬化ポリイソシアネートは高粘度である。ハンドリングを良くし、イソシアネート基と水が反応する際に発生する二酸化炭素を塗膜から逃がすためには、低粘度化をはかる必要があり、そのために大量の揮発性有機溶剤で希釈せざるを得なかった。
【0003】
しかし、近年、揮発性有機溶剤に関する指針が厳しくなり、アメリカ、ドイツ等ではすでに規制が行われている。したがって、一液湿気硬化ポリイソシアネート組成物も揮発性有機溶剤を削減することが求められている。一方、脂肪族ジイソシアネートを原料としたポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートと比較して水との反応が遅いため、一液湿気硬化型ポリイソシアネートとして使用した場合、塗膜の硬化までに長時間必要であり、実用性が極めて低かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた耐候性と硬化速度を有する、揮発性有機溶剤を含まない一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するヘキサメチレンジイソシアネートを基本骨格に有するポリイソシアネートプレポリマーに、湿気硬化促進触媒を混合することによって前記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0007】
)(A)数平均分子量300〜8000のポリエーテルポリオールと(C)数平均分子量60〜600のモノアルコールと(B)過剰量のヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはそれを基本骨格として有するポリイソシアネートとを反応させた、イソシアネート基含有率が13.5〜20.0重量%であるポリイソシアネートプレポリマーと、該ポリイソシアネートプレポリマーに対して0.005〜2重量%の湿気硬化促進触媒を混合してなり、不揮発成分が98重量%以上である塗料用一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物。
【0008】
以下、本発明につき詳述する。本発明では、ポリエーテルポリオールを使用することによって、塗膜内部への水蒸気の浸透を容易し、またイソシアネート基と水が反応する際に発生する二酸化炭素を塗膜から逃がし易くしている。これはポリエーテルポリオールの水蒸気や二酸化炭素を透過しやすい構造による効果と、ポリエーテルポリオールを反応させたポリイソシアネートプレポリマーの粘度が低く抑えられる効果のためである。
【0009】
本発明に用いるポリエーテルポリオール(A)は、例えば、エチレングリコールやプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールやテトラヒドロフランを開環重合したポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0010】
このようなポリオールとして市販されているものには、ポリエチレングリコール類として、PEG400、PEG1000、PEG2000(いずれも保土ヶ谷化学株式会社製)、ポリプロピレングリコール類として、PPG1000、PPG4000(いずれも保土ヶ谷化学株式会社製)、エクセノール820、エクセノール840(いずれも旭硝子工業株式会社製、3官能のポリプロピレングリコール)、ポリテトラメチレングリコール類として、PTG1000、PTG2000(いずれも保土ヶ谷化学株式会社製)等が挙げられる。
【0011】
本発明で用いるポリエーテルポリオールの数平均分子量は300〜8000であり、好ましくは400〜8000、より好ましくは400〜7000である。数平均分子量が300未満では、架橋密度が大きくなりすぎ、塗膜内部への水蒸気の浸透及び二酸化炭素の膜外への逸散を阻害するため、塗膜内部の硬化反応が遅くなり、また塗膜内部に二酸化炭素の気泡を発生しやすくなるため適当ではない。また、8000を超えると、架橋密度が低くなりすぎるため塗膜が脆弱になるために適当ではない。
【0012】
ポリオールの種類と分子量を規定することによって、塗膜の架橋密度が適切となり、速い硬化反応とクリアーで強靭な塗膜を達成することができる。つまり、塗膜内部への水蒸気の浸透が容易となり、硬化反応が速やかに進行し、さらに架橋反応の際に発生する二酸化炭素が膜外へ逃げやすくなる。また、ポリオールの分子量を適切に選択することによって塗膜の強度を調節することが出来る。即ち、分子量1000以下の低分子量のポリオールを用いた場合には、硬く、強靭な塗膜を得ることができ、分子量4000以上の高分子のポリオールを用いた場合には柔らかく、柔軟な塗膜を得ることができる。従って、これらポリオール類を適宜選択、ブレンドすることにより塗膜の機械的物性を制御することができる。
【0013】
本発明では、モノアルコール(C)を前記(A)と併用することができる。モノアルコールは、ポリイソシアネートプレポリマーの粘度を低下させ、塗膜内部への水蒸気の浸透が容易にし、硬化反応が速やかに進行させる効果とイソシアネート基と水が反応する際に発生する二酸化炭素が塗膜から逃げやすくなる効果を有している。
【0014】
モノアルコールの数平均分子量は60〜600であり、好ましくは60〜500、より好ましくは60〜400である。分子量が60未満では、モノアルコールを用いる効果、即ち、粘度の低下や塗膜内部への水蒸気の浸透、あるいは塗膜から二酸化炭素が逃げやすくなる効果が発現できないため好ましくない。また、600を越えると、ポリイソシアネートプレポリマーの粘度がむしろ上昇してしまうため好ましくない。
【0015】
このようなモノアルコールとしては、例えば、1−ブタノール、1−オクタノール、1−トリデカノール、セリルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、5−エチル−2−ノナノール等が挙げられる。本発明では、(B)過剰量のヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはそれを基本骨格として有するポリイソシアネートを使用する。
【0016】
ヘキサメチレンジイソシアネートは、工業的に入手がし易く、耐候性に優れ、硬化反応速度が比較的早く、ポリイソシアネートプレポリマーの粘度が低くなるという特徴を有している。また、ヘキサメチレンジイソシアネートを基本骨格として有するポリイソシアネートとは、分子内にビュレット、イソシアヌレート、ウレタン、ウレトジオン、アロファネート等の構造を有するものである。
【0017】
本発明でいう「過剰量の」ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはそれを基本骨格として有するポリイソシアネートとは、イソシアネート基と上記のポリオール等の水酸基の当量比が1以上であることを表している。従って、ポリオール等とヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはそれを基本骨格として有するポリイソシアネートを反応させた場合、分子末端にイソシアネート基が残存することになる。
【0018】
本発明でいう反応とは、上記のポリエーテルポリオール(A)、さらに(A)と併用するモノアルコール(C)と、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはそれを基本骨格として有するポリイソシアネート(B)をウレタン化反応またはアロファネート化反応することをいう。本発明で用いる湿気硬化促進触媒とは、2つのイソシアネート基と1つの水分子から、尿素基を生成する反応を促進する触媒である。このような触媒として、例えば、ジメチルスズジクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジオクチルスズジクロライド、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド等のスズ化合物や、トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、メチルモルフォリン、ジメチルピペラジン、トリメチルアミノメチルエタノールアミン等の3級アミン等が挙げられる。
【0019】
本発明で使用する湿気硬化促進触媒の混合量は、ポリイソシアネートプレポリマーに対して0.005〜2重量%であり、好ましくは0.02〜2重量%、より好ましくは0.04〜1.5重量%である。0.005重量%未満では湿気硬化を促進する効果が十分ではないので適当ではない。2重量%を超えるとポットライフが短くなり、また、貯蔵安定性が低下するために適当ではない。ここでいうポットライフとは、空気中に放置した場合の、塗料の可使時間のことである。
【0020】
本発明において、一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物の不揮発成分は、98重量%以上である。98重量%以上とは、実質的に揮発成分を含んでいないということである。98重量%未満では、一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物中に揮発成分を含んでしまい、塗膜形成時に揮発成分が空気中に放出してしまうため好ましくない。
【0021】
本発明の一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物の粘度は、400〜10000mPa.s(25℃)が適当である。400mPs.s未満では、架橋に関与しない成分が増えて、塗膜が脆弱になる傾向がある。10000mPa.sを超えると、イソシアネート基と水が反応する際に発生する二酸化炭素が塗膜中に残存する場合がある。
【0022】
本発明の一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率は、2〜20重量%が適当である。2重量%未満では、架橋密度が低くなり脆弱な塗膜となる傾向があり、20重量%を超えると架橋密度が大きくなり、塗膜内部への水蒸気の浸透及び二酸化炭素の膜外への逸散が不十分となって、塗膜内部の硬化反応が遅くなり、また塗膜内部に二酸化炭素の気泡を発生しやすくなる。所望のイソシアネート基含有率にするには、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはそれを基本骨格として有するポリイソシアネートとポリエーテルポリオールあるいはモノアルコールの量を調整することにより可能である。
【0023】
なお、本発明のポリイソシアネート組成物中に、目的及び用途に応じて、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、表面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を混合することもできる。本発明のポリイソシアネート組成物は、上記の如くヘキサメチレンジイソシアネートを原料としているため、芳香族ジイソシアネートを原料としたポリイソシアネート組成物と比較して、耐候性、塗膜の黄変性に著しく優れている。
【0024】
また、芳香族ジイソシアネートを原料としたポリイソシアネート組成物と比較して、ポットライフが長いという特徴も有している。さらに、本発明のポリイソシアネート組成物は、塗膜内部まで硬化反応が速やかに進行するという特徴も有している。これは、ポリイソシアネート組成物が水蒸気の浸透しやすい構造を有しており、さらに湿気硬化促進触媒を混合しているために達成されたものである。
【0025】
さらに、本発明のポリイソシアネート組成物は、実質的に揮発成分を含んでいないため、塗膜形成時に揮発成分を空気中に放出しない特徴も有している。本発明の一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物は、耐候性に優れている、ポットライフが長い、硬化反応が速やかに進行するという特徴を有している。また、金属、特にアルミや鋼板、ガラス、プラスチック、繊維、木材等の基材への密着性にも優れているため、塗料分野に使用することが出来る。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により、さらに本発明を説明する。なお、本発明で用いた測定方法を下記に示す。
〔イソシアネート基含有率(以下、NCO含有率という)〕ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基を過剰のアミンで中和した後、塩酸による逆滴定によって求めた。
【0027】
〔粘度〕デジタル粘度計(東京計器株式会社;DVM−B型)により25℃、60rpmで測定した。
〔不揮発分〕直径5.5cmのアルミ皿に、約0.1gのポリイソシアネート組成物を精秤し、105℃で3時間加熱した後、加熱後のポリイソシアネート組成物を精秤し以下の式から求めた。
【0028】
不揮発分=(加熱後のポリイソシアネート組成物重量)/(加熱前のポリイソシアネート重量)×100%〔数平均分子量〕ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記に従って測定した。
【0029】
数平均分子量2000未満の場合は、カラム:東ソー(株)G1000HXL、G2000HXL、G3000HXL、キャリアー:THF、検出方法:視差屈折計、データ処理器:東ソー(株)CP−8000にて測定した。数平均分子量2000以上の場合は、カラム:東ソー(株)G2000HXL、G4000HXL、G5000HXL、キャリアー:THF、検測方法:視差屈折計、データ処理器:東ソー(株)Chromatocoder21にて測定した。
【0030】
〔塗膜のタックフリー〕塗膜表面を軽く指で触れ、ベト付き感がなくなる時間で求めた。
〔塗膜のイソシアネート基の反応率〕FT−IR(日本分光株式会社;FT/IR−700)を用いて、イソシアネート基の減少率を測定することで求めた。
【0031】
〔塗膜の黄色値〕色差光沢型(スガ試験機株式会社;SMカラーコンピューターモデルSM−5)で、塗膜のY値を測定し求めた。
【0032】
実施例1
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ッ口フラスコにヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIという)を500gと2−エチルヘキサノール50gとエクセノール840(旭硝子株式会社製、ポリプロピレングリコール、数平均分子量6500)47gを仕込み、撹拌下90℃で2時間ウレタン化反応を行った。90℃で、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを0.02g加えた。4時間後、反応液の屈折率上昇が0.015となった時点で、リン酸0.1gを加え反応を停止した。
【0033】
流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目0.3Tor.(150℃)、2回目0.2Tor.で未反応のHDIを除去した。得られたポリイソシアネートプレポリマーは283gで、粘度1000mPa・s、NCO含有率14.6%、不揮発分は99.2重量%であった。得られたポリイソシアネートプレポリマーに、ジブチルスズジラウレートをポリイソシアネートプレポリマーに対して0.1重量%混合し、ポリイソシアネート組成物を得た。
【0034】
上記で得られたポリイソシアネート組成物を、ガラス板上に厚さ100μm、及び500μmの厚さで塗布し、20℃65%RHで放置した。厚さ500μmの塗膜には気泡等は全く観察されなかった。厚さ100μmの塗膜のタックフリーは12時間であった。厚さ100μmの塗膜のイソシアネート基反応率を測定すると、1日目80%、7日目では100%であった。
【0035】
また、白板上に塗布した100μmの厚さのポリイソシアネート組成物を20℃65%RHで1週間放置した後、サンシャインウェザーメーターで促進耐候性試験を行ったところ、黄色値の上昇は1000時間で1.5であった。
【0036】
参考例
実施例1と同様の装置を用い、HDIを500gとPPG1000(保土ヶ谷化学製、数平均分子量1000)を20gと水を1.9g加え、撹拌下160℃で1時間ビウレット反応を行った。ついで、実施例1と同様にして未反応のHDIを除去した。
【0037】
ポリイソシアネートプレポリマーは、粘度2400mPa.s、NCO含有率19.0%、不揮発分は98.8重量%であった。得られたポリイソシアネートプレポリマーに、ジブチルスズジラウレートをポリイソシアネートプレポリマーに対して0.3重量%混合し、ポリイソシアネート組成物を得た。
【0038】
上記で得られたポリイソシアネート組成物を、ガラス板上に厚さ100μm、及び500μmの厚さで塗布し、20℃65%RHで放置した。厚さ500μmの塗膜には僅かの気泡しか観察されなかった。厚さ100μmの塗膜のタックフリーは8時間であった。塗膜のイソシアネート基反応率を測定すると、1日目65%、7日目では100%であった。
【0039】
また、白板上に塗布した100μmの厚さのポリイソシアネート組成物を20℃65%RHで1週間放置した後、サンシャインウェザーメーターで促進耐候性試験を行ったところ、黄色値の上昇は1000時間で1.8であった。
【0040】
実施例
実施例1と同様の装置を用い、HDIを500gと2−エチルヘキサノール41.3gを仕込み、撹拌下90℃で2時間ウレタン化反応を行った。90℃で、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを0.02g加えた。4時間後、反応液の屈折率上昇が0.014となった時点で、リン酸0.1gを加え反応を停止した。
【0041】
ついで、実施例1と同様にして未反応のHDIを除去した。得られたポリイソシアネートプレポリマー216.5gとエクセノール840を64.7gを用いて、120℃5時間反応させ、ポリイソシアネートプレポリマーを得た。このポリイソシアネートプレポリマーは、粘度1500mPa・s、NCO含有率13.5%、不揮発分は99.1重量%であった。
【0042】
得られたポリイソシアネートプレポリマーに、ジブチルスズジラウレートをポリイソシアネートプレポリマーに対して0.6重量%混合し、ポリイソシアネート組成物を得た。上記で得られたポリイソシアネート組成物を、ガラス板上に厚さ100μm、及び500μmの厚さで塗布し、20℃65%RHで放置した。厚さ500μmの塗膜には気泡等は全く観察されなかった。厚さ100μmの塗膜のタックフリーは7時間であった。塗膜のイソシアネート基反応率を測定すると、1日目70%、7日目では100%であった。
【0043】
また、白板上に塗布した100μmの厚さのポリイソシアネート組成物を20℃65%RHで1週間放置した後、サンシャインウェザーメーターで促進耐候性試験を行ったところ、黄色値の上昇は1000時間で1.4であった。
【0044】
比較例1
実施例1と同様の装置を用い、HDIを500g仕込み、60℃で、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを0.02g加えた。4時間後、反応液の屈折率上昇が0.010となった時点で、リン酸0.1gを加え反応を停止した。
【0045】
ついで、実施例1と同様にして精製を行った。得られたポリイソシアネートプレポリマーは205gであり、透明の液体で、粘度1500mPa・s、NCO含有率23.0%、不揮発分99.3%であった。得られたポリイソシアネートプレポリマーに、ジブチルスズジラウレートをポリイソシアネートプレポリマーに対して0.3重量%混合し、ポリイソシアネート組成物を得た。
【0046】
上記で得られたポリイソシアネート組成物を、ガラス板上に厚さ100μm、及び500μmの厚さで塗布し、20℃65%RHで放置した。厚さ500μmの塗膜には多数の気泡が観察された。厚さ100μmの塗膜のタックフリーは7時間であった。塗膜のイソシアネート基反応率を測定すると、1日目50%、7日目では100%であった。
【0047】
また、白板上に100μmの厚さに塗布したポリイソシアネート組成物を20℃65%RHで1週間放置した後、サンシャインウェザーメーターで促進耐候性試験を行ったところ、黄色値の上昇は1000時間で1.2であった。
【0048】
比較例2
実施例1と同様の装置を用い、トリレンジイソシアネート500gと2−エチルヘキサノール50gとエクセノール840(旭硝子株式会社製、ポリプロピレングリコール、数平均分子量6500)47gを仕込み、撹拌下90℃で2時間ウレタン化反応を行った。90℃で、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを0.02g加えた。4時間後、反応液の屈折率上昇が0.015となった時点で、リン酸0.1gを加え反応を停止した。
【0049】
得られたポリイソシアネートプレポリマーは303gであり、透明の液体で、粘度3800mPa・s、NCO含有率12.2%であった。得られたポリイソシアネートプレポリマーに、ジブチルスズジラウレートをポリイソシアネートプレポリマーに対して0.3重量%混合し、ポリイソシアネート組成物を得た。
【0050】
上記で得られたポリイソシアネート組成物をガラス板上に厚さ100μm、及び500μmの厚さで塗布し、20℃65%RHで放置した。厚さ500μmの塗膜には多数の気泡が観察された。塗膜のタックフリーは8時間であった。塗膜のイソシアネート基反応率を測定すると、1日目70%、7日目では100%であった。
【0051】
また、厚さ100μmの白板上に塗布したポリイソシアネート組成物を20℃65%RHで1週間放置した後、サンシャインウェザーメーターで促進耐候性試験を行ったところ、黄色値の上昇は1000時間で24であった。
【0052】
【発明の効果】
本発明の一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物は、耐候性に優れている、ポットライフが長い、硬化反応が速やかに進行する、基材への密着性に優れている、揮発性有機溶剤を含んでいないという優れた特徴を有している。従って、塗料分野にきわめて有用である。

Claims (1)

  1. (A)数平均分子量300〜8000のポリエーテルポリオールと(C)数平均分子量60〜600のモノアルコールと(B)過剰量のヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはそれを基本骨格として有するポリイソシアネートとを反応させた、イソシアネート基含有率が13.5〜20.0重量%であるポリイソシアネートプレポリマーと、該ポリイソシアネートプレポリマーに対して0.005〜2重量%の湿気硬化促進触媒を混合してなり、不揮発成分が98重量%以上である塗料用一液湿気硬化型ポリイソシアネート組成物。
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