JPH0834774A - ポリイソシアネート、その製造用のジイソシアネートおよびそれらの製造方法 - Google Patents

ポリイソシアネート、その製造用のジイソシアネートおよびそれらの製造方法

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JPH0834774A
JPH0834774A JP6173025A JP17302594A JPH0834774A JP H0834774 A JPH0834774 A JP H0834774A JP 6173025 A JP6173025 A JP 6173025A JP 17302594 A JP17302594 A JP 17302594A JP H0834774 A JPH0834774 A JP H0834774A
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diisocyanate
methyl
polyisocyanate
reaction
methyloctane
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JP6173025A
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Shigeaki Suzuki
繁昭 鈴木
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低極性溶剤への溶解性が高く、優れた物性の
塗膜を与える二液型ウレタン塗料用の硬化剤として好適
である新規なポリイソシアネ−ト、およびその製造用の
原料となる新規な1,8−ジイソシアネート−2−メチ
ルオクタンを提供する。 【構成】 1,8−ジイソシアネート−2−メチルオク
タンの環状三量化により得られる一般式(I) 【化1】 (式中、Rは2−メチル−1,8−オクチレン基または
7−メチル−1,8−オクチレン基を表す。)で示され
るイソシアヌレ−ト環を有するポリイソシアネ−ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なイソシアヌレー
ト環を有するポリイソシアネート、その製造用の原料と
なる新規なジイソシアネート、およびそれらの製造方法
に関する。本発明により提供されるイソシアヌレート環
を有するポリイソシアネートは、塗料、樹脂、フォー
ム、フィルムまたは接着剤などの原料として広範に使用
できるが、低極性溶剤への溶解性に優れることから、特
に二液型ウレタン塗料の硬化剤として有用である。ま
た、本発明により提供されるジイソシアネートは、本発
明のポリイソシアネートの原料として有用であるのみな
らず、ポリウレタン化合物あるいはポリウレア化合物の
イソシアネート成分として塗料、樹脂、フォーム、また
は接着剤などの原料として広く用いることができる。
【0002】
【従来の技術】ジイソシアネートを部分的に環状三量化
させて得られるイソシアヌレート環を有するポリイソシ
アネート化合物およびそれらの製造法は、例えば『ポリ
ウレタン樹脂ハンドブック、岩田敬治編(日刊工業新聞
社)、1987年発行』などの多くの刊行物から公知で
ある。なかでも脂肪族ジイソシアネートから誘導される
各種ポリイソシアネートを用いたウレタン塗料は、無黄
変塗膜を形成する特長があり、例えば、ヘキサメチレン
ジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート環を有
するポリイソシアネートは、これを用いた塗膜の優れた
耐候性、耐熱性により、需要が増加している(『ポリウ
レタン原料の新展開(中日社)、1992年発行』参
照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のヘキサメチレン
ジイソシアネートからのイソシアヌレート環を有するポ
リイソシアネートには、二液型ウレタン塗料用の硬化剤
として用いる際に、塗料の主剤成分であるポリオールに
対する相溶性が悪く、塗料の透明性、光沢、鮮映性、レ
ベリング性の低下を引き起こすという問題点があった。
相溶性を改善するため溶剤による希釈が試みられている
が、ヘキサン、シクロヘキサン、ミネラルスピリットな
どの低極性溶剤に対する溶解性が低いため、やむなく酢
酸エステルなどの極性の高い溶剤を併用しなければなら
ず、塗料を重ね塗りする場合に、下地塗膜の浮きや縮み
が発生したり、さらにプラスチック基材の塗装の場合に
は溶剤により基材表面がおかされるなどの問題点があっ
た。
【0004】これらの問題点を解決するために、例え
ば、特開昭57−47321号公報には、ヘキサメチレ
ンジイソシアネートを環状三量化するに当たって、エチ
レングリコール、1,3−ブタンジオールなどのポリオ
ールを併用して相溶性を改良する方法が提案されている
が、本方法によるウレタン結合の導入はイソシアヌレー
ト環を有するポリイソシアネートが本来持っているポリ
ウレタン塗料用硬化剤としての優れた性能を著しく損な
うものである。また、特公平1−33103号公報に
は、多量(20〜80モル%)のイソホロンジイソシア
ネート成分を含むヘキサメチレンジイソシアネートとの
イソシアヌレート環を有する共ポリイソシアネートが提
案されているが、本ポリイソシアネート化合物をウレタ
ン塗料の硬化剤として用いた場合には、塗膜の耐衝撃
性、密着性などの物性が著しく低下してしまうという欠
点がある。よって、上記問題点を解決した、低極性溶剤
への溶解性に優れたウレタン塗料硬化剤用化合物の提供
が、強く期待されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、新規なジイソシアネート化合物である1,8−ジ
イソシアネート−2−メチルオクタンの環状三量化によ
り得られるイソシアヌレート環を有するポリイソシアネ
ートが、低極性溶剤への溶解性が良く、優れた物性の塗
膜を与えることから、特に二液型ウレタン塗料の硬化剤
として有用であることを見出すことにより、またこれら
の製造法を確立することにより上記目的を達成した。本
発明のポリイソシアネートの主成分は一般式(I)で表
されるイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート
である。
【化3】 (式中、Rは2−メチル−1,8−オクチレン基または
7−メチル−1,8−オクチレン基を表す。)
【0006】本発明により提供される1,8−ジイソシ
アネート−2−メチルオクタン、およびこれから誘導さ
れるイソシアヌレート環を有するポリイソシアネートは
文献に記載のない新規化合物であり、本発明のポリイソ
シアネートが低極性溶剤への溶解性が良く、ポリウレタ
ン塗料用硬化剤として優れた性能を有することは全く予
想外のことであった。
【0007】1,8−ジイソシアネート−2−メチルオ
クタンは、2−メチル−1,8−オクタンジアミンをイ
ソシアネート化することにより製造される。このジアミ
ンは、例えば、特開昭58−118535号公報に記載
された方法で7−オクテナールのヒドロホルミル化反応
で生じるノナンジアールと2−メチルオクタンジアール
との混合物を、従来公知の方法に従い還元アミノ化した
後、精製することにより得られる。
【0008】2−メチル−1,8−オクタンジアミンか
ら本発明のジイソシアネートである1,8−ジイソシア
ネート−2−メチルオクタンの製造は、2−メチル−
1,8−オクタンジアミンの塩酸塩もしくは炭酸塩を不
活性溶媒中においてホスゲンと反応させる、または2
−メチル−1,8−オクタンジアミンのカルバミン酸低
級アルキルエステルもしくはフェニルエステルを熱分解
することにより実施できることが見いだされた。
【0009】2−メチル−1,8−オクタンジアミンと
ホスゲンとを直接反応させることは、1,8−ジイソシ
アネート−2−メチルオクタンを収率良く製造するため
には好ましくなく、ホスゲンとの反応に先立ち、該ジア
ミンを塩酸塩あるいは炭酸塩に変換することが望ましい
結果を与える。
【0010】塩酸塩への変換は、該ジアミンを塩化水素
と溶媒中で反応させることにより行われる。塩化水素は
ガス状のものでも、水あるいは有機溶媒へ溶解したもの
でも使用可能であるが、水溶液の使用が簡便である。有
機溶媒としては、塩化水素および該ジアミンに対して不
活性であり塩化水素を溶解するものであれば、特に制限
はなく、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノ
ールなどの低級アルコール類;酢酸ブチル、酢酸オクチ
ルなどのエステル類;ジクロロメタン、クロロベンゼ
ン、o−ジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素類を挙
げることができ、これらは単独あるいは混合物として用
いられる。塩化水素の溶解度を考慮すると、本反応を
水、または低級アルコール類中で行うことが適当であ
る。溶媒の使用量は、溶媒の種類によっても異なるが、
例えば、該ジアミンに対して0.1〜100重量倍、好
ましくは1〜20重量倍である。本反応の一形態とし
て、該ジアミンの溶液に塩化水素ガスあるいは塩化水素
の溶液を加える方法を例示できる。反応温度は約0〜1
00℃、特に約20〜70℃の範囲が好ましい。水また
は低級アルコール類などのホスゲンとの反応性を有する
溶媒中で該ジアミンの塩酸塩とホスゲンとの反応を実施
する場合には、反応に先立ち、これらの溶媒を除去する
ことが望ましい。本操作は常圧あるいは減圧での溶媒留
去、あるいは後述のホスゲンと反応溶媒との置換により
行うことができる。本反応は連続式またはバッチ式のい
ずれの方式によっても実施することができる。
【0011】炭酸塩への変換は、該ジアミンを二酸化炭
素と溶媒中で反応させることにより行われる。本反応の
溶媒としては、該ジアミンおよび二酸化炭素に対して不
活性であり該ジアミンを溶解するものであれば特に制限
はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリ
ン、ジイソプロピルベンゼンなどの炭化水素類;ジクロ
ロメタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなど
の塩素化炭化水素類;酢酸ブチル、酢酸オクチルなどの
エステル類;メタノール、エタノール、n−ブタノール
などの低級アルコール類;水などが例示でき、これらは
単独で、または混合物として使用できる。溶媒の使用量
は、溶媒の種類によっても異なるが、例えば、該ジアミ
ンに対して0.1〜100重量倍、好ましくは1〜20
重量倍である。本反応は、該ジアミンの溶液に二酸化炭
素を加える方法、または二酸化炭素を飽和させた溶液に
該ジアミンあるいはその溶液を添加する方法のいずれに
よっても行い得る。反応温度は約0〜200℃、好まし
くは約50〜150℃である。水または低級アルコール
類などのホスゲンとの反応性を有する溶媒中で該ジアミ
ンの炭酸塩とホスゲンとの反応を実施した場合には、反
応に先立ち、これらの溶媒を除去することが望ましい。
本操作は常圧あるいは減圧での溶媒留去、あるいは後述
のホスゲンと反応溶媒との置換により行うことができ
る。一方、炭化水素類または塩素化炭化水素類を本反応
に用いた場合は、これらの溶媒の除去は不要である。本
反応は連続式またはバッチ式のいずれの方式でも実施す
ることができる。
【0012】かくして得られた2−メチル−1,8−オ
クタンジアミンの塩酸塩あるいは炭酸塩をホスゲンと不
活性溶媒中で反応させることにより、1,8−ジイソシ
アネート−2−メチルオクタンを製造することができ
る。不活性溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、テトラリン、ジイソプロピルベンゼンなどの炭化水
素類;酢酸ブチル、酢酸オクチルなどのエステル類;ジ
クロロメタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン
などの塩素化炭化水素類が例示でき、これらは単独ある
いは混合物として使用できる。溶媒の使用量は、溶媒の
種類によっても異なるが、例えば、該ジアミンに対して
0.1〜100重量倍、好ましくは1〜20重量倍であ
る。本反応は、該ジアミンの塩酸塩あるいは炭酸塩の溶
液または懸濁液にガス状ホスゲンまたはホスゲンの溶液
を加える方法、またはホスゲンを飽和させた溶液に該ジ
アミンの塩酸塩あるいは炭酸塩の溶液または懸濁液を添
加する方法のいずれによっても行い得る。反応温度は原
料によって異なり、塩酸塩の場合は約50〜250℃、
好ましくは約100〜200℃、炭酸塩の場合は約−5
0〜100℃、好ましくは約0〜50℃で炭酸塩とホス
ゲンとを反応させて中間体であるカルバミン酸クロリド
を生成させた後、これを約0〜250℃、好ましくは約
50〜150℃でイソシアネートに変換することが適当
である。
【0013】反応終了後に過剰のホスゲンをストリッピ
ングあるいは蒸留により取り除き、反応溶媒を常圧ある
いは減圧下に留去することにより、粗1,8−ジイソシ
アネート−2−メチルオクタンを得ることができる。該
ジイソシアネートの精製は減圧蒸留、または抽出などの
有機化合物の精製に通常用いられる方法により行われ
る。
【0014】また、1,8−ジイソシアネート−2−メ
チルオクタンは、2−メチル−1,8−オクタンジアミ
ンのカルバミン酸低級アルキルエステルまたはフェニル
エステルを触媒の存在下もしくは非存在下に熱分解する
ことによっても製造できる。該カルバミン酸エステル類
は、アミンをカルバミン酸低級アルキルエステルまたは
フェニルエステルに変換する方法として公知の手法、例
えば、特開昭63−162662号公報あるいは特開平
5−65263号公報に記載されているジアミンを炭酸
の低級アルキルエステルと反応させる方法により実施す
ることができる。
【0015】2−メチル−1,8−オクタンジアミンの
カルバミン酸低級アルキルエステルまたはフェニルエス
テルの熱分解は、気相または液相において行うことがで
きる。気相での反応は、該カルバミン酸エステルを減圧
下で蒸気とし、これを約200〜500℃、好ましくは
約300〜400℃に加熱することにより実施される。
減圧度は、反応温度によっても異なるが、約0.1〜1
00torr、好ましくは1〜50torrである。該
カルバミン酸エステルの蒸気は、必要に応じて窒素など
の不活性ガス、および/またはデカリン、クロロベンゼ
ンなどの不活性溶媒のガスで希釈して用いても良い。本
反応は連続式で行うことが適当であり、例えば該カルバ
ミン酸エステルの蒸気またはこれと不活性ガスとの混合
ガスを、加熱反応器に通した後、冷却する方法で行われ
る。加熱反応器には、銅などの金属で作られた種々の形
状の充填物を詰めても良い。反応で生じた1,8−ジイ
ソシアネート−2−メチルオクタンと低級アルコールあ
るいはフェノールとの再結合を防ぐために、これらを別
々に凝縮させるべく、反応ガスを二段階に冷却する方法
を採用することが好ましい。
【0016】本熱分解反応を液相で実施する場合には、
溶媒を用いることが適当である。溶媒としては、反応条
件下で安定であり、該カルバミン酸エステルを溶解し、
本反応原料および生成物に対して不活性なものであれば
使用可能であるが、例えばジベンジルトルエン、水素化
ジベンジルトルエンなどの炭化水素類;フタル酸ジブチ
ル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリオクチルなどのエ
ステル類を挙げることができ、これらは単独で、または
混合物として使用できる。溶媒の使用量は、溶媒の種類
によっても異なるが、例えば、該ジアミンに対して0.
1〜100重量倍、好ましくは1〜20重量倍である。
【0017】本反応は、触媒の存在下または非存在下の
いずれでも実施できる。触媒としては、カルバミン酸エ
ステルをイソシアネートに変換する触媒作用を有する公
知のものが使用できる。例えば酢酸マンガン、ジラウリ
ン酸ジブチルスズ、ジフェニルスズジクロリドなどの金
属塩;酸化銅、酸化スズなどの金属酸化物が例示され
る。これらの触媒の使用量は、触媒の種類や反応温度に
より異なるが、該カルバミン酸エステルに対して約1p
pm〜50重量%、好ましくは約100ppm〜5重量
%である。反応温度は、触媒の有無あるいはカルバミン
酸エステルの種類によって異なるが、例えば、約100
〜300℃、好ましくは約150〜250℃である。ま
た、本反応にはイソシアネート化合物の安定化剤を添加
することもできる。安定化剤としては、亜リン酸トリフ
ェニル、p−トルエンスルホン酸メチルなどが例示でき
る。安定化剤の使用量は、触媒の種類や反応温度により
異なるが、該カルバミン酸エステルに対して約0.1〜
50重量%、好ましくは約1〜10重量%である。
【0018】本反応は、バッチ式または連続式のどちら
の方法によっても実施することができる。例えば、該カ
ルバミン酸エステルの溶液に触媒を溶解し、これを所定
の温度に加熱した反応装置に導き、生成した低級アルコ
ールまたはフェノールと1,8−ジイソシアネート−2
−メチルオクタンとを反応液から蒸発除去し、これらを
冷却凝縮する方法が示される。1,8−ジイソシアネー
ト−2−メチルオクタンと低級アルコールあるいはフェ
ノールとの再結合を防ぐために、これらを別々に凝縮さ
せるべく、反応ガスを二段階に冷却する方法を採用する
ことが好ましい。該ジイソシアネートの精製は前述した
ように減圧蒸留、抽出などの方法により行われる。
【0019】1,8−ジイソシアネート−2−メチルオ
クタンは新規な化合物であり、これ自体ポリウレタンや
ポリウレアのイソシアネート成分として、また、塗料、
樹脂、フォーム、および接着剤などの原料としても広く
用いることができる。さらに、1,8−ジイソシアネー
ト−2−メチルオクタンは、水、アルコール類、ポリオ
ール類、フェノール類、オキシム類あるいはラクタム類
との反応物の形でも上記分野で使用可能である。
【0020】1,8−ジイソシアネート−2−メチルオ
クタンから本発明のポリイソシアネートを製造する環状
三量化反応においては、一般的に、一般式(I)
【化4】 (式中、Rは前記定義のとおりである。)
【0021】で示されるイソシアヌレート環を有するポ
リイソシアネートで表される一核体の他に、さらに反応
が進行した多核体が生成する。該多核体の含有量が多す
ぎると、本発明のポリイソシアネートの低極性溶剤ある
いは低極性ポリオールとの相溶性が損なわれる。したが
って、本発明のポリイソシアネート中の一般式(I)で
示される一核体の含有量は、好ましくは約50〜95重
量%であり、特に好適には約70〜90重量%である。
【0022】上記の好ましい範囲の一核体含有量を有す
る本発明のポリイソシアネートは、環状三量化反応後に
多核体を溶媒抽出などの方法により除去することによっ
ても得られるが、より経済的には、1,8−ジイソシア
ネート−2−メチルオクタンを環状三量化触媒の存在下
でイソシアネート基の一部を環状三量化し、最初に存在
していたイソシアネート基の5〜30%が環状三量化さ
れた時点で、反応停止剤の添加により触媒を不活性化し
て環状三量化反応を停止後、未反応の1,8−ジイソシ
アネート−2−メチルオクタンを除去することにより製
造することができる。転化率が高すぎると多核体の含有
量が高くなって本発明のポリイソシアネートの物性に悪
影響を及ぼし、転化率が低すぎることは経済的観点から
好ましくない。
【0023】本環状三量化反応に好適な触媒としては、
例えば酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、2−エチル
ヘキサン酸、カプリン酸、ミリスチン酸などのカルボン
酸のアルカリ金属塩;前記のようなカルボン酸の錫、
亜鉛、鉛などの金属塩;テトラメチルアンモニウム、
テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム
などの第四級アルキルアンモニウム塩の水酸化物、アル
コキシドおよびカルボン酸塩;トリメチルヒドロキシ
プロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルア
ンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウ
ム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウムなどのヒ
ドロキシアルキル基を有する第四級アルキルアンモニウ
ム塩の水酸化物、アルコキシドおよびカルボン酸塩;
ヘキサメチルジシラザンなどのアミノシリル基含有化合
物などが挙げられる。
【0024】触媒濃度は用いる触媒および反応温度によ
り異なるが、通常、1,8−ジイソシアネート−2−メ
チルオクタンに対して10ppm〜1.0%の範囲から
選ばれる。触媒は初期に所定量を一度に加えてもよい
が、反応転化率を屈折率、イソシアネート滴定またはゲ
ル濾過分析法(以下、これをGPCと略称することがあ
る。)などの分析手段により追跡しつつ、必要に応じて
分割して添加することもできる。
【0025】本環状三量化反応に際しては、助触媒とし
てメタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコー
ル類、あるいはフェノールなどのフェノール類を使用し
てもよい。これらのアルコールあるいはフェノール類
は、環状三量化触媒と同時に添加することもでき、あら
かじめ1,8−ジイソシアネート−2−メチルオクタン
と反応させた後に環状三量化反応を行うことも可能であ
る。これらのアルコールあるいはフェノール類はあまり
多量に用いるとイソシアネート基含有量を低下させるの
で好ましくなく、全イソシアネート量の約0.01〜5
モル%が望ましい。
【0026】本環状三量化反応に際しては、本発明のポ
リイソシアネートの特性を失わない範囲で、他のイソシ
アネート化合物を併用することは差し支えない。併用す
ることができるイソシアネート化合物としては、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイ
ソシアネート、水添メチレンジフェニルジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレン
ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシ
アネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,
6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジ
イソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、
1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシ
クロヘプタントリイソシアネートなどを挙げることがで
きる。これらのイソシアネート化合物の添加量はあまり
多いと、生成物の粘度上昇や塗膜の物性低下あるいは経
済性の低下をもたらすため、全イソシアネート量の10
モル%以下が好ましい。
【0027】さらに、本発明のポリイソシアネートの特
性を失わない範囲でエチレングリコール、1,3−ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−
1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−
1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、
ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)ブタ
ン、1,4−ヒドロキシメチルシクロヘキサンなどの多
価アルコールを用いてポリイソシアネートを変性するこ
とも可能である。これらの多価アルコールは環状三量化
触媒と同時に添加してもよいが、先に1,8−ジイソシ
アネート−2−メチルオクタンと反応させた後に環状三
量化反応を行うことも可能である。これらの多価アルコ
ールはあまり多量に用いると生成物の粘度上昇やイソシ
アネート基含有量を低下させるので好ましくなく、全イ
ソシアネート量の約0.01〜5モル%が望ましい。
【0028】本環状三量化反応を実施するには、溶媒を
用いてもよく、溶媒を用いなくともよい。溶媒を用いる
場合には、イソシアネート化合物に対して不活性な溶媒
であればよく、適当なものとして、例えばシクロヘキサ
ン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;塩化メチレ
ン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;酢酸
メチル、酢酸エチルなどのエステル類;ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフランなどのエーテル類などを挙げる
ことができる。
【0029】反応温度は通常20〜160℃、好ましく
は40〜120℃の範囲で選択される。反応温度が低す
ぎると反応速度が低下し、高すぎると反応の制御が難し
くなる。
【0030】反応の進行は、屈折率、イソシアネート滴
定あるいはGPCなどの分析手段により追跡することが
でき、目標の転化率に到達したところで、反応停止剤を
添加して触媒を不活性化させる。反応停止剤としては、
従来公知のものを用いることができ、硫酸、リン酸、塩
化アセチル、塩化ベンゾイル、モノクロル酢酸、p−ト
ルエンスルホン酸などを例示できる。反応停止剤の添加
量は触媒に対して1〜2当量が好ましい。反応停止剤の
量が少なすぎると停止を行うことができず、多すぎると
イソシアネート基の損失あるいはポリイソシアネートの
物性低下を引き起こす。
【0031】反応を停止したのち、必要に応じて濾過な
どの手段により不活性化触媒を除去し、さらに溶剤およ
び過剰の1,8−ジイソシアネート−2−メチルオクタ
ンを除いて、製品である本発明のポリイソシアネートを
得る。過剰の1,8−ジイソシアネート−2−メチルオ
クタンの除去は、例えば薄膜蒸発法や溶剤抽出法などに
より行うことができる。本発明のポリイソシアネート中
の1,8−ジイソシアネート−2−メチルオクタンの含
有量が約1重量%以下となるように除去することが好ま
しい。
【0032】また、必要に応じて溶媒抽出法などにより
多核体を除去し、一般式(I)で表される一核体の含有
量を高めることができる。この溶媒抽出法は、例えば、
前記の方法により製造したポリイソシアネートに、多核
体に対する貧溶媒と良溶媒を加えて、よく混合後静置す
ることにより、一核体を多く含む層と多核体を多く含む
層とに分離させ、前者から一核体含有量を高めた本発明
のポリイソシアネートを得る、などの方法により実施す
ることができる。このような操作はバッチ式あるいは連
続式のいずれの方法でも行い得る。
【0033】多核体に対する貧溶媒としては、例えば、
ブタン、イソブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキ
サン、シクロヘキサン、オクタン、デカン、イソブテ
ン、ジイソブテンなどの脂肪族炭化水素が使用できる。
また、多核体に対する良溶媒としては、アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン
類;エチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなど
のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸2−エチ
ルヘキシル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、リン酸トリ
メチル、リン酸トリエチルなどのエステル類;アセトニ
トリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;ジクロロメ
タン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ベ
ンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類を
挙げることができる。これらの溶媒は単独で、または二
種以上の混合物として用いることもできる。
【0034】本発明のポリイソシアネートは、有機イソ
シアネートを使用する塗料、フォーム、接着剤、エラス
トマーなどの各種ポリウレタン用途や高分子改質剤、繊
維処理剤などの分野において、イソシアネート源として
用いることができる。特に、自動車補修用塗料、新車ラ
イン用上塗り塗料、プラスチックコーティング塗料、外
壁弾性吹き付け剤、厚型スレート塗料、構築物の重防食
上塗り塗料、航空機・車両・機械器具などの金属塗料、
家具・木工品および皮革・ゴム用塗料などの各種塗料分
野ならびに高温用断熱材(サンドイッチパネル、ラミネ
ートボード)などに用いられるイソシアヌレートフォー
ム(硬質難燃フォーム)分野において、無黄変性、耐候
性、耐熱性、耐水性、柔軟性、難燃性などの種々の特徴
を活かして有利に用いることができる。
【0035】これらの用途においては、ポリイソシアネ
ートとポリオールとの二液硬化型が主流をなしており、
本発明のポリイソシアネートと共に用いられる各種ポリ
オールとしては、例えばアクリル系ポリオール、ポリエ
ステル系ポリオール、フッ素含有ポリオール、ポリオレ
フィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ポ
リカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオー
ル、芳香族ポリオール、ポリマーポリオール、ひまし油
系ポリオール、シリコーン系ポリオール、難燃ポリオー
ル(これはリン化合物またはハロゲン化合物などを含有
する。)などポリウレタン業界で公知のポリオールを挙
げることができる。なお、これらのポリオールは各種要
求性能に応じて、2種類以上を混合して用いてもよいこ
とは言うまでもない。
【0036】特に、本発明のポリイソシアネートは、二
液型ウレタン塗料の硬化剤として使用するに際し、ヘキ
サメチレンジイソシアネートの環状三量化により得られ
るイソシアヌレート環を有するポリイソシアネートに比
較して、各種ポリオール(特にアクリルポリオールやポ
リエステルポリオールなど)との相溶性に優れており、
極性の高い溶剤の使用量を大きく低減することができる
ために塗膜の脆さを改良することができるうえに、適用
用途範囲が広く、反応性にも優れているという特長を有
している。さらに、必要に応じて既存の各種ポリイソシ
アネートと混合して用いることにより、塗料、接着剤な
どの用途において、速乾性、硬さ、耐衝撃性、反応性な
どの制御が可能となる。
【0037】また、所望であれば、本発明のポリイソシ
アネートにトリエチルアミン、テトラ(2−エチルヘキ
シル)チタネート、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫など
の硬化反応用触媒を加えることもできる。なお、本発明
のポリイソシアネートは、必要に応じて公知のブロック
化剤、例えばフェノール類、オキシム類、ラクタム類な
どでブロックした形で用いることもできる。
【0038】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0039】参考例1 2−メチル−1,8−オクタンジアミンの合成 1lの電磁撹拌型オートクレーブに、ケイソウ土に担持
されたニッケル触媒(ニッケル含有率52%)3.45
gおよび1−ブタノール180.0gを入れ、水素60
気圧を導入した後、160℃に昇温し、この温度で20
分間触媒還元処理を行った。オートクレーブを室温まで
冷却してから水素を放圧した。次に、アンモニア90.
0gを仕込み、水素30気圧をかけて140℃まで温度
を上げた。水素ガスを20l/時で流しながら、1,9
−ノナンジアールおよび2−メチル−1,8−オクタン
ジアールの混合物57.00g(これらのジアルデヒド
の比率は62:38)の1−ブタノール220.0g溶
液を40分間かけて高圧定量ポンプにてオートクレーブ
内へ供給した。該溶液の供給終了後、さらに2時間14
0℃で撹拌下に水素ガスを通じた。水素流通を停止し、
冷却後にオートクレーブを常圧に戻した。反応液から触
媒を濾過で除き、濾液を濃縮することにより粗生成物5
6.85gを得た。ガスクロマトグラフ分析により、こ
れは1,9−ノナンジアミン32.6gおよび2−メチ
ル−1,8−オクタンジアミン19.9gを含んでお
り、これらを合わせた収率は91%であった。同様の反
応操作を5回繰り返し、生成物を合わせて減圧下に蒸留
精製を行った。沸点86℃/1torrの留分として、
2−メチル−1,8−オクタンジアミン77.2gを得
た。機器分析結果を以下に示す。 NMR分析(CDCl3 溶媒)δ 0.90(d,J=
8.4,3H);1.04〜1.55(m,11H);
2.32〜2.60(m,4H) IR分析 ν 3400〜3300,2950,161
0,1480 cm-1 質量分析 m/z(相対強度) 129(100),1
42(20),159(3)
【0040】実施例1 2−メチル−1,8−オクタンジアミンの塩酸塩とホス
ゲンから1,8−ジイソシアネート−2−メチルオクタ
ンの合成 2−メチル−1,8−オクタンジアミン4.74g
(0.03mol)をメタノール50mlに溶かし、こ
れに濃塩酸7.0gを反応温度を30℃以下に保ってゆ
っくりと滴下した。滴下終了後、撹拌を30分間続けた
後、減圧下で溶媒を除いた。残った固形物を真空ポンプ
減圧下で一日乾燥し、2−メチル−1,8−オクタンジ
アミンの塩酸塩の粗生成物7.05gを得た。このジア
ミン塩酸塩を細かく砕き、テトラリン50mlに懸濁さ
せた。この懸濁液を激しく撹拌しながら180℃に加熱
した。180〜185℃に温度を保つようにして、この
懸濁液にホスゲンを約3時間吹き込んだ。窒素の吹き込
みにより溶解ホスゲンを除去した後、沈澱物を濾過で除
き、濾液を蒸留して120〜122℃/0.5torr
の留分として1,8−ジイソシアネート−2−メチルオ
クタン3.90gを得た。収率は62%であった。 NMR分析(CDCl3 溶媒)δ 0.96(d,J=
6.72Hz,3H);1.34〜1.61(m,11
H);3.12〜3.32(m,4H) IR分析 ν 2910,2250(NCO)cm-1 質量分析 m/z(相対強度) 69(100),11
3(70),126(20),154(10)
【0041】実施例2 2−メチル−1,8−オクタンジアミンの炭酸塩とホス
ゲンから1,8−ジイソシアネート−2−メチルオクタ
ンの合成 2−メチル−1,8−オクタンジアミン4.74g
(0.03mol)をクロロベンゼン50mlに溶か
し、これに80〜90℃にて二酸化炭素を飽和させた。
反応混合物を90℃にて30分間、二酸化炭素流通下で
撹拌した後、室温まで冷却した。この混合物を、ホスゲ
ン7.4gのクロロベンゼン14ml溶液に、20〜3
0℃にて加えた。得られた混合物にホスゲンを吹き込み
ながら、これを80℃で1時間、130℃で2時間加熱
した。窒素の吹き込みにより溶解ホスゲンを除去した
後、減圧下で溶媒を除き、蒸留精製により1,8−ジイ
ソシアネート−2−メチルオクタン4.10gを得た。
収率は65%であった。
【0042】実施例3 2−メチル−1,8−オクタンジアミンのカルバミン酸
メチルエステルから1,8−ジイソシアネート−2−メ
チルオクタンの合成 (1)2−メチル−1,8−オクタンジアミンのカルバ
ミン酸メチルエステルの合成 70℃に加温した炭酸ジメチル144.0g(1.60
mol)へ、2−メチル−1,8−オクタンジアミン3
1.60g(0.20mol)およびナトリウムメチラ
ートのメタノール溶液(28%,4ml)をそれぞれ4
分割して30分毎に加えた。さらに、70℃にて3時間
反応を続けた後、メタノール40mlおよびリン酸1.
4mlを加えて中和した。これを濃縮して析出した白色
固形物をメタノールから再結晶することにより51.0
gの2−メチル−1,8−オクタンジアミンのカルバミ
ン酸メチルエステルを融点79〜80℃の白色粉末とし
て得た。収率は93%であった。 NMR分析(CDCl3 溶媒)δ 0.88(d,J=
6.70Hz,3H);1.10〜1.46(m,11
H);2.96〜3.12(m,4H),3.63
(s,6H);4.80(br,2H) IR分析 ν 3350,2930,2860,169
0(CO)cm-1 質量分析 m/z(相対強度) 88(100),11
3(25),126(20),154(20),168
(8)
【0043】(2)1,8−ジイソシアネート−2−メ
チルオクタンの合成 ジベンジルトルエン20gに酢酸マンガン4水和物0.
19gおよび亜リン酸トリフェニル0.73mlを加
え、この混合物を225℃に加熱した。系内を10to
rrの減圧とし、上記混合物に2−メチル−1,8−オ
クタンジアミンのカルバミン酸メチルエステル20.0
g(0.073mol)とジベンジルトルエン20gを
130℃に加熱して得た溶液を4時間かけて滴下した。
この間、生成物は一部の溶媒と共に蒸留塔を通して系外
へ留出させ、粗生成物として無色透明の溶液17.5g
を得た。ガスクロマトグラフィー分析の結果、この溶液
には1,8−ジイソシアネート−2−メチルオクタン
9.99gが含まれていることが判明した。収率は65
%であった。減圧蒸留により、1,8−ジイソシアネー
ト−2−メチルオクタン8.12gを得た。
【0044】実施例4 1,8−ジイソシアネート−2−メチルオクタンからイ
ソシアヌレート環を有するポリイソシアネートの合成 60℃に加熱した1,8−ジイソシアネート−2−メチ
ルオクタン40.0gとトルエン40.0gの混合液
に、カプリン酸テトラメチルアンモニウムを2mgずつ
2時間毎に3回加えた。さらに、同温度にて7時間撹拌
することにより、転化率は17%となった。そこで、リ
ン酸13mgを加えてから1時間撹拌を続けた。トルエ
ン、次いで、未反応の1,8−ジイソシアネート−2−
メチルオクタンを減圧下に除くことにより、無色透明な
液体6.21gを得た。これのNCO含有量は19.0
%であった。下記の機器分析結果よりこの液体は一般式
(I)で示されるイソシアヌレート環を有するポリイソ
シアネートを主成分とするポリイソシアネートであるこ
とが判明した。一般式(I)で示される一核体と多核体
との比率は、GPC分析により73:27であることが
認められた。またガスクロマトグラフィー分析より求め
た1,8−ジイソシアネート−2−メチルオクタンの含
有量は0.5%であった。 NMR分析(CDCl3 溶媒)δ 0.85〜0.95
(m,3H);1.32〜1.62(m,11H);
3.15〜3.30(m,2H);3.75〜3.85
(m,2H) IR分析 ν 2940,2860,2270(NC
O),1690(イソシアヌレート環CO)cm-1 質量分析 m/z 631(一核体,M+ +1);10
53(二核体,M+ +3)
【0045】比較例1 ヘキサメチレンジイソシアネートからイソシアヌレート
環を有するポリイソシアネートの合成 実施例4と同様の操作を1,8−ジイソシアネート−2
−メチルオクタンに代えてヘキサメチレンジイソシアネ
ート33.3gを用いて行うことにより、対応するイソ
シアヌレート環を有するポリイソシアネート5.13g
を得た。これの機器分析結果は市販品と同様であり、N
CO含有量は23.5%であった。また、GPC分析よ
り一核体と多核体との比率は70:30であることが認
められた。
【0046】試験例1 低極性溶剤への溶解性試験によるポリイソシアネートの
比較 実施例4および比較例1で合成したイソシアヌレート環
を有するポリイソシアネート1.00gを酢酸エチル
1.00gに溶かし、この溶液に15℃にてヘキサンを
徐々に加え、溶液が白濁した時点でヘキサンの添加を止
めた。ヘキサン添加量はそれぞれ4.2mlおよび1.
9mlであり、実施例4で得られた本発明のポリイソシ
アネートは低極性溶剤への溶解性に優れることが認めら
れた。
【0047】
【発明の効果】本発明のポリイソシアネートは、二液型
ウレタン塗料の硬化剤として使用するに際し、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、ミネラルスピリットなどの低極性
溶剤への溶解性に優れることから、酢酸エステルなどの
極性の高い溶剤の使用量を低減でき、塗料を重ね塗りす
る場合の下地塗膜の浮きや縮みなどの欠陥の発生を防止
でき、さらにプラスチック基材の表面がおかされる心配
がないなどの利点を有する。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,8−ジイソシアネート−2−メチル
    オクタンの環状三量化により得られるイソシアヌレート
    環を有するポリイソシアネート。
  2. 【請求項2】 1,8−ジイソシアネート−2−メチル
    オクタン。
  3. 【請求項3】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rは2−メチル−1,8−オクチレン基または
    7−メチル−1,8−オクチレン基を表す。)で示され
    るイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート。
  4. 【請求項4】 一般式(I) 【化2】 (式中、Rは2−メチル−1,8−オクチレン基または
    7−メチル−1,8−オクチレン基を表す。)で示され
    るポリイソシアネートを50〜95重量%含む請求項1
    記載のイソシアヌレート環を有するポリイソシアネー
    ト。
  5. 【請求項5】 1,8−ジイソシアネート−2−メチル
    オクタンを環状三量化触媒の存在下でイソシアネート基
    の一部を環状三量化し、最初に存在していたイソシアネ
    ート基の5〜30%が環状三量化された時点で、反応停
    止剤の添加により触媒を不活性化して環状三量化反応を
    停止後、未反応の1,8−ジイソシアネート−2−メチ
    ルオクタンを除去することを特徴とする、請求項1記載
    のイソシアヌレート環を有するポリイソシアネートの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 2−メチル−1,8−オクタンジアミン
    の塩酸塩または炭酸塩をホスゲンと反応させることを特
    徴とする請求項2記載のジイソシアネートの製造方法。
  7. 【請求項7】 2−メチル−1,8−オクタンジアミン
    のカルバミン酸低級アルキルエステルまたはフェニルエ
    ステルを熱分解することを特徴とする請求項2記載のジ
    イソシアネートの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021091893A (ja) * 2019-12-06 2021-06-17 エスケイシー・カンパニー・リミテッドSkc Co., Ltd. 光学レンズ用ジイソシアネート組成物およびその調製方法
JP2021091672A (ja) * 2019-12-06 2021-06-17 エスケイシー・カンパニー・リミテッドSkc Co., Ltd. ジアミン組成物、およびジイソシアネート組成物の調製方法
JP2021092776A (ja) * 2019-12-06 2021-06-17 エスケイシー・カンパニー・リミテッドSkc Co., Ltd. ジイソシアネート組成物および光学レンズの製造方法

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