JP4152026B2 - ポリイソシアネート組成物の精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は実質的にジイソシアネートモノマーを含まないポリイソシアネート組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
実質的にジイソシアネートモノマーを含まないポリイソシアネート組成物は、塗料、接着剤、シーリング材、防水材、フォーム、エラストマーなどに広く利用されている。
ポリイソシアネート組成物は、ジイソシアネートモノマーを主原料として得ることができ、その化学的構造として、カルボジイミド、ウレトジオン、オキサジアジトリオン、ビウレット、ウレタン、アロファネート、イソシアヌレートなどが挙げられる。これらの製造方法に関する提案が多い。
【0003】
ビウレット型ポリイソシアネート組成物に関しては、特開昭49−134629号公報、特開昭63−174961号公報、特公昭61−26778号公報、特公昭62−41496号公報、特公昭2−62545号公報、特公昭5−17222号公報、特開平8−225511号公報などがある。
イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物に関しては、特開昭55−38380号公報、特開昭57−150677号公報、特開昭57−47319号公報、特開昭63−57577号公報、特開平10−251366号公報などがある。
【0004】
ポリイソシアネート組成物は通常大過剰のジイソシアネートモノマー存在下で製造されるが、これらの提案は、まだ未反応ジイソシアネートモノマーの存在する、ポリイソシアネート組成物を製造するための反応工程に関している。
製品としてポリイソシアネート組成物を得るためには、蒸気圧の高い未反応のジイソシアネートモノマーを除去する精製工程が必要である。その方法としては低極性溶剤、臨界状態のガスを利用した抽出などもあるが、多くの場合は、掻き取り式薄膜蒸発缶が用いられる。掻き取り式薄膜蒸発缶は熱履歴が少ないため製品の熱変成が少なく、高粘度の物から低沸物を除くことに適している。
【0005】
ポリイソシアネート組成物とジイソシアネートモノマーを含む混合液から掻き取り式等の薄膜蒸発缶により、ジイソシアネートモノマーなどの低沸成分を蒸発分離してポリイソシアネート組成物を得る場合、前記混合液の該蒸発缶へのフィード量が多くなると、分離された低沸成分中に高沸物であるポリイソシアネート組成物が混入する現象(以下、エントレと言う)がある。
この現象は、製品収率の低下をもたらすばかりでなく、回収されたジイソシアネートを再び原料とする場合、原料中にポリイソシアネート組成物が混入する事により、ポリイソシアネート組成物の高粘度化が生じ易く、反応条件を変更せざるを得ない場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、分離された低沸成分中に高沸物であるポリイソシアネート組成物が混入すると言う前記の「エントレを防止」することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意検討した結果、掻き取り式蒸発缶にポリイソシアネート組成物混合液をフィードする前に、前記混合液を脱気する事によりエントレを防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は:
1.ジイソシアネートモノマー単独または、活性水素を含む化合物を併用して反応させた後、未反応のジイソシアネートとポリイソシアネート組成物を含む混合液からポリイソシアネート組成物を薄膜蒸発缶で分離する工程において、該混合液を10mmHg以下の脱気槽で溶存ガスを脱気後、前記蒸発缶にフィードすることを特徴とする上記混合液からポリイソシアネート組成物を分離するポリイソシアネート組成物の分離方法、
2.混合液を脱気槽内の上方気相部にフィードし、脱気槽内の下方液相部から抜き出すことにより脱気を行うことを特徴とする上記1.記載のポリイソシアネート組成物の分離方法、
3.ポリイソシアネート組成物が、有機ジイソシアネートとビュレット化剤とを攪拌混合均質下に反応させた後、得られた反応生成物をパイプリアクターに導き、該リアクター中押出し流れ下に残余の反応を進行させ、連続的に製造した後、上記1.または2.記載のいずれかを行うことを特徴とするポリイソシアネート組成物の分離方法、を提供する。
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
(1) ジイソシアネートモノマー原料:
本発明に用いるジイソシアネートモノマーとは、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香・脂肪族ジイソシアネートもあるが、多くは脂肪族、及び脂環族ジイソシアネートである。
脂肪族、及び脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネートとしては炭素数4〜30のものが、脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜30のものが好ましく、
例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることが出来る。
なかでも、工業的規模は1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと称す)、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIと称す)が好ましく、それらの単独使用及び併用して使用できる。
前記ジイソシアネートモノマー単独または、活性水素を含む化合物を併用して反応させた後、未反応のジイソシアネートとポリイソシアネート組成物を含む混合物になる。
従って、ポリイソシアネート組成物は前記の各種化学構造を含むことができる。
【0009】
(2) ポリイソシアネート組成物の製法:
各種ポリイソシアネート組成物の製法を詳しく述べる。
(i) ビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法はジイソシアネートとビウレット化剤とを反応させて得ることができる。
ビウレット化剤としては、水、1価の第3級アルコール、蟻酸、硫化水素、有機第1モノアミン、有機第1ジアミンなどを挙げることができる。
反応にはビウレット化剤1モルに対してジイソシアネートモノマー3モル以上、或いは5モル以上を用いることができ、5以上40モル以下が好ましい。
反応の際に溶剤を用いることができる。
【0010】
(ii) 溶剤:
溶剤は、ジイソシアネートモノマーと水などのビウレット化剤を溶解し、反応条件下で均一相を形成し、均一相を形成するに必要な量が添加される。これによりポリ尿素などの副製生物の生成を抑制できる。
水などのビウレット化剤の溶解度の低い溶剤はそれだけ添加量が多くなり反応終了後溶剤を分離し、回収する際に不経済となり好ましくない。この溶剤は、水などのビウレット化剤の溶解度が0.5%以上であることが好ましい。
また、溶剤の沸点は、未反応ジイソシアネートなどの回収分離を考慮すると、原料ジイソシアネートモノマーの沸点より低いこと、具体的には760mmHgでの沸点が255℃以下、好ましくは120℃以上255℃以下が望ましい。
【0011】
この溶剤の具体的な例は、例えば、エチレングリコール系であるエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、
エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、
エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、
エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、
エチレングリコールジアセテート、
エチレングリコールジメチルエーテル、
エチレングリーコルジエチルエーテル、
【0012】
エチレングレコールジ−n−プロピルエーテル、
エチレングリコールジイソプロピルエーテル、
エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、
エチレングリコールメチルエチルエーテル、
エチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、
エチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、
エチレングリコールエチル−n−プロピルエーテル、
エチレングリコールエチルイソプロピルエーテル、
エチレングリコールエチル−n−ブチルエーテル、
エチレングリコール−n−プロピル−n−ブチルエーテル、
エチレングリコールイソプロピル−n−ブチルエーテル、
ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、
【0013】
ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、
ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、
ジエチレングリコールジアセテート、
ジエチレングリコールジメチルエーテル、
ジエチレングリコールジエチルエーテル、
ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、
ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、
ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、
【0014】
ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、
ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、
ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、
ジエチレングリコールエチルイソプロピルエーテル、
ジエチレングリコールエチル−n−プロピルエーテル、
ジエチレングリコールエチル−n−ブチルエーテル、
ジエチレングリコール−n−プロピル−n−ブチルエーテル、
ジエチレングリコールイソプロピル−n−ブチルエーテルなどがある。
好ましいエチレングレコール系溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、
エチレングリコールジアセテート、
ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。
【0015】
また、リン酸系であるリン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチルなどが挙げられる。リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。
これら溶剤は単独または2種以上を混合して使用する事もできる。
好ましい溶剤の混合重量比率はエチレングリコール系溶剤/リン酸系溶剤が3/7から9/1であり、好ましい使用量は原料ジイソシアネートモノマーと溶剤に対して20〜50重量%である。
【0016】
(iii) その他の条件:
・反応温度は70℃以上300℃以下、好ましくは90℃以上200℃以下が望ましい。
・これらの反応はバッチ式でも実施できるが、連続法が生産性などから好ましい。特に、特公昭62−41496号公報で開示されている、即ち、有機ジイソシアネートとビユレット化剤とを攪拌混合均質下に反応させた後、得られた反応生成物をパイプリアクターに導き、パイプリアクター中に押出し流れ下に残余の反応を進行させ、連続的にポリイソシアネート組成物を製造した後に、本発明に係る精製方法を行う連続的製法が生産性、品質の点で好ましい。
ここで、有機ジイソシアネートとビユレット化剤とを攪拌混合均質下に反応させるとは、有機ジイソシアネートとビユレット化剤が1つの液相の状態で反応を進行させることを意味する。
【0017】
(iv) イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の製造方法
イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物の製造方法としては、前記ジイソシアネートモノマーにイソシアヌレート化触媒を添加し反応させて得られる。
・その触媒としては、例えば一般に塩基性を有するものが好ましい。
例えば、▲1▼テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩;
▲2▼トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、や酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩;
▲3▼酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛等の金属塩;
▲4▼ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート;
▲5▼ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物;
▲6▼マンニッヒ塩基類;
▲7▼第3級アミン類とエポキシ化合物との併用;
▲8▼トリブチルホスフィン等の燐系化合物等を挙げることができる。
これらは反応終了後、例えば触媒を中和する酸性物質、熱分解、化学分解により不活性化される。
【0018】
(v)活性水素含有化合物の添加
イソシアヌレート化反応中及びそれに先立ち、アルコール性の活性水素を含有する化合物を添加し、ウレタン化及びまたはアロファネート化反応を行うことができる。
・ここで用いる活性水素含有化合物としては、例えば、低分子量アルコールとして1価アルコール類である、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール及び2−エチルヘキサノール等又はその異性体;
2価アルコールである、例えば、エチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール及びその異性体;
3価アルコールである例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等がある。
【0019】
高分子量多価アルコールとしては、脂肪族炭化水素ポリオール類、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオール類、ポリカプロラクトンなどのポリエステルポリオール類、エポキシ樹脂類、フッ素ポリオール類及びアクリルポリオール類等が挙げられる。
【0020】
(3)反応生成物の後処理(精製)
(i) この様にして得られた未反応ジイソシアネートとポリイソシアネート組成物と場合により溶剤を含む混合液は、薄膜蒸発缶(例えば、掻き取り式薄膜蒸発缶)により、未反応ジイソシアネートモノマー及び場合により溶剤とポリイソシアネート組成物に分離される。
その際、ジイソシアネートモノマーが含まれる低沸成分中に高沸物のポリイソシアネート組成物が含まれる場合がある。
・これは、該蒸発缶への混合液のフィード量が多くなると顕著になる。そしてポリイソシアネート組成物の収率が低下するという不経済性を伴うだけではなく、ポリイソシアネート組成物が回収ジイソシアネートモノマーに混入するため、それを原料として得られる製品は高粘度化するという製品物性の変動原因となる。
そして、この現象はポリイソシアネート組成物を製造するための反応時、例えば水などのビウレット化剤を使用したビウレット型ポリイソシアネート組成物のような炭酸ガスなどの副製ガスを発生する場合に顕著である。その濃度は、条件により異なるが数%に達する場合がある。
【0021】
(ii)そこで、原因を究明した結果、ガスが溶存している該混合液が前記蒸発缶内でフラッシュし、混合液が蒸気を凝縮するための冷却面に飛散するためであることが明らかとなった。
・溶存ガス量は製造条件により異なるが、通常0.05〜0.4nmlガス/ml液である。
・本発明では、この現象解明に基づき、前記混合液を該蒸発缶にフィードする前に溶存ガスを脱気することにより、回収ジイソシアネートモノマー中へのポリイソシアネート組成物の混入を防止できることを発見し、本発明に到達した。
【0022】
(iii) 混合液の脱気
該混合液の脱気は、前記蒸発缶とほぼ同じに操作された真空度、具体的には10mmHg以下の脱気槽を設け、槽上部から該混合液を落下させる。該混合液は落下と同時に、脱気し始める。
槽内の液面に到達した該混合液が完全に脱気されなかった場合は、液面が泡状になり脱気される。
・該混合液のフィードを槽液相部に行った場合、脱気は完全にされない場合があり、好ましくない。
・槽に攪拌機を設けることもできるが、槽は真空系であり、構造が複雑になり、経済的負担が増加する。
・該蒸発缶へフィードする場合の前記混合液の温度は、該混合液の沸点以下、好ましくは5〜30℃程度が望ましい。沸点以上であると、エントレが生じやすくなり、好ましくない。
・ジイソシアネートモノマーなどの除去に用いる掻き取り式蒸発缶は、直列に2つ設け、2段階でポリイソシアネート組成物を除去することもできる。その場合は、脱気を各段階でそれぞれ、または同時に行うことができる。
【0023】
(iv) ポリイソシアネート組成物
この様に得られたポリイソシアネート組成物は実質的にジイソシアネートモノマーを含まない。
通常、ポリイソシアネート組成物中に含まれるジイソシアネートモノマー濃度は、5重量%以下、好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。
ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基濃度は15〜26重量%、好ましくは5〜26重量%であり、及び25℃における粘度10〜300,000mPa・sであることが好ましい。
【0024】
(4) 製造と精製工程のフローチャート
次に図1に従って、本発明の1例を示す。
図1は、原料ジイソシアネートモノマーからポリイソシアネート組成物の製造及びその精製工程を説明するフローチャートである。
図1において、原料ジイソシアネートモノマーは、原料導入パイプ2から完全混合槽型撹拌槽からなる第1反応器4に、一定流量で連続的に供給する。
一方、ビュレット化剤も導入パイプ1から同じく一定流量で第1反応器4に供給される。
第1反応器4は、攪拌機3と加熱ジャケット3Aを備えている。
反応によって発生するガスは、排気パイプ13及び凝縮器14を経て排出される。
5は第1反応器4を第2反応器7に連結するパイプである。第2反応器7も、第1反応器同様完全混合型攪拌機6と加熱ジャケット6Aを備えている。排気パイプ15及び凝縮器16を介して排気される。
【0025】
第2反応器7は、パイプ8を介して多段に構成されたパイプリアクター9,10,11に連結されている。
各パイプリアクターは、ジャケット9A,10A,11Aを備えており、少量発生するガスは排気パイプ17,凝縮器18を経て放出される。反応混合液はパイプ12を経て中間タンク19に連続的に抜き出され、脱気装置20へフィードされる。脱気装置で脱気された反応混合液は、掻き取り式蒸発缶21へフィードされ、ポリイソシアネート組成物は23から、ジイソシアネートなどは22から取り出される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
第1反応器4に対して、ヘキサメチレンジイソシアネート1000重量部、反応溶剤として酢酸メチルセロソルブと燐酸トリメチルの等重量混合溶媒500重量部よりなる原料液を1時間当たり1000重量部の速度で連続的に供給した。
一方、水を1時間当たり4.8重量部の割合で第1反応器に対して連続的に供給した。
第1反応器4、第2反応器7及び第3反応器(リアクター)9,10及び11の温度は、夫々120℃、150℃、160℃になるように調整した。
この様にして得られた反応液(溶存ガス量0.25nml/ml)を掻き取り式蒸発缶と同じ真空度(5mmHg)に設定された脱気装置の上部気相部にフィードし、下部液相部から反応液を掻き取り式蒸発缶にフィードし、ジイソシアネートモノマーを含まないビウレット型ポリイソシアネート組成物を得た。
得られたポリイソシアネート組成物の物性は粘度550mPa・s/25℃、イソシアネート基濃度は24.7重量%の微黄色の液体であり、ジイソシアネートモノマー濃度は0.5重量%であった。
そして、回収されたジイソシアネートモノマー及び溶剤中のポリイソシアネート組成物濃度は0.5%重量以下であった。
【0027】
【実施例2】
水のフィード量を1時間当たり7.1重量部とした以外は実施例1と同様に行った。得られたポリイソシアネート組成物は粘度900mPa・s/25℃、イソシアネー基濃度24.4重量%の微黄色の液体であり、ジイソシアネートモノマー濃度は0.5重量%であった。
そして、回収されたジイソシアネートモノマー及び溶剤中のポリイソシアネート組成物濃度は0.5%重量以下であった。
【0028】
【実施例3】
水のフィード量を1時間当たり10.7重量部とした以外は実施例1と同様に行った。得られたポリイソシアネート組成物は粘度1700mPa・s/25℃、イソシアネー基濃度23.7重量%の微黄色の液体であり、ジイソシアネートモノマー濃度は0.4重量%であった。
そして、回収されたジイソシアネートモノマー及び溶剤中のポリイソシアネート組成物濃度は0.5重量%以下であった。
【0029】
【実施例4】
回収されたジイソシアネート、溶剤を再使用した以外は実施例1と同様に行った。得られたポリイソシアネート組成物は粘度600mPa・s/25℃、イソシアネー基濃度24.5重量%の微黄色の液体であり、ジイソシアネートモノマー濃度は0.5重量%であった。
そして、回収されたジイソシアネートモノマー及び溶剤中のポリイソシアネート組成物濃度は0.5重量%以下であった。
【0030】
【比較例1】
脱気装置を使用しない以外は実施例1と同様に行った。得られたポリイソシアネート組成物は粘度550mPa・s/25℃、イソシアネー基濃度24.7重量%の微黄色の液体であり、ジイソシアネートモノマー濃度は0.5重量%であった。
そして、回収されたジイソシアネートモノマー及び溶剤中のポリイソシアネート組成物濃度は4重量%であった。
【0031】
【比較例2】
脱気装置を使用せず、回収ジイソシアネートモノマー、溶剤を使用した以外は実施例1と同様に行った。得られたポリイソシアネート組成物は粘度1800mPa・s/25℃、イソシアネー基濃度24.0重量%の微黄色の液体であり、ジイソシアネートモノマー濃度は0.5重量%であった。
そして、回収されたジイソシアネートモノマー及び溶剤中のポリイソシアネート組成物濃度は4重量%であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の精製方法は、回収ジイソシアネートモノマーなどにポリイソシアネート組成物が混入せず、生産性が向上するだけでなく、回収ジイソシアネートモノマーなどを再使用しても、ポリイソシアネート組成物の粘度増加がないなど優れた効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】原料ジイソシアネートモノマーからポリイソシアネート組成物の製造及びその精製工程を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 ビュレット化剤導入パイプ
2 原料モノマー導入パイプ
3 攪拌機
3A、6A,9A,10A,11A 加熱ジャケット
4 第1反応器
5 第1、2反応器間の連結パイプ
7 第2反応器
8 第2反応器とパイプリアクター間の連結パイプ
9,10,11 パイプリアクター(第3反応器)
12 パイプリアクターと中間タンク間の連結パイプ
13、15,17 ガス排気パイプ
14、16,18 凝縮器
19 中間タンク
20 脱気装置
21 掻き取り式蒸発缶
22 未反応ジイソシアネートなどの取出口
23 ポリイソシアネート組成物の取出口
Claims (3)
- ジイソシアネートモノマー単独または、活性水素を含む化合物を併用して反応させた後、未反応のジイソシアネートとポリイソシアネート組成物を含む混合液からポリイソシアネート組成物を薄膜蒸発缶で分離する工程において、該混合液を10mmHg以下の脱気槽で溶存ガスを脱気後、前記蒸発缶にフィードすることを特徴とする上記混合液からポリイソシアネート組成物を分離するポリイソシアネート組成物の分離方法。
- 混合液を脱気槽内の上方気相部にフィードし、脱気槽内の下方液相部から抜き出すことにより脱気を行うことを特徴とする請求項1記載のポリイソシアネート組成物の分離方法。
- ポリイソシアネート組成物が、有機ジイソシアネートとビュレット化剤とを攪拌混合均質下に反応させた後、得られた反応生成物をパイプリアクターに導き、該リアクター中押出し流れ下に残余の反応を進行させ、連続的に製造した後、請求項1または2記載のいずれかを行うことを特徴とするポリイソシアネート組成物の分離方法。
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