JP4514293B2 - ビウレット型ポリイソシアネート組成物及びその製造方法 - Google Patents

ビウレット型ポリイソシアネート組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は脂肪族、脂環族ジイソシアネートモノマーから得られる、実質的に尿素2量体およびジイソシアネートモノマーを含まないビウレット型ポリイソシアネート組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
実質的にジイソシアネートモノマーを含まないポリイソシアネート組成物は、塗料、粘接着剤、シーリング材、防水材、フォーム、エラストマー、繊維処理剤などに広く利用されている。
分子内にビウレット基を有するビウレット型ポリイソシアネート組成物は、ジイソシアネートモノマーを主原料として、ビウレット化剤に水、1価の3級アルコール、蟻酸、硫化水素、有機第1アミン、有機第2アミンなどを用いて得ることができる。これらの製造方法に関する提案が多い。
例えば、特開昭49−134629号公報、特開昭63−174961号公報、特公昭61−60093号公報、特公昭61−26778号公報、特公昭62−41496号公報、特公平2−62545号公報、特公平5−17222号公報、特開平8−225511号公報などが提案されている。
【0003】
ビウレット結合の前駆体は尿素結合であり、尿素結合にイソシアネート基が反応し、ビウレット結合になる。そして、前記ポリイソシアネート組成物中に尿素結合含有化合物が混入すると、濁りを生ずる場合があり、それを使用した例えば塗膜などは物性が劣る場合がある。
そのため、例えば連続製法である特公昭62−41496号公報、特公昭63−6544号公報、バッチ製法である特公平5−17222号公報、特公平2−62545号公報、特開平8−225511号公報などでは、ジイソシアネートモノマーにビウレット化剤を添加し終えた後、高温で反応液を保持している。この様に、ポリイソシアネート組成物を高温に保持すると、着色が生じる場合があり、またポリイソシアネート組成物の生産性、設備投資など経済的負担を増加させていた。
【0004】
特公昭62−41496号公報では、尿素2量体や尿素結合を含む多量体とジイソシアネートを効率よく反応させ、尿素2量体や尿素結合を含む多量体をポリイソシアネート組成物に混入させないために、反応液をパイプリアクターで処理している。しかし、この方法では約77〜89重量%という高いジイソシアネート濃度において反応を行っており、尿素2量体濃度の低減効率がまだ低く、そのため、ポリイソシアネートが低温で濁りを発生していた。
また、上記特公昭61−60093号公報においては、長期貯蔵中のジイソシアネートモノマーの増加を抑制するために、ビウレット型ポリイソシアネート組成物を加熱し、予めジイソシアネートモノマーを増加させることによって、ジイソシアネートモノマーを発生させる原因物質を消失させることが記載されている。しかし、尿素2量体の記載はなく、尿素2量体が混入したポリイソシアネート組成物の低温濁りに関する記載も示唆もなく、当然のことながら尿素2量体減少及びポリイソシアネート組成物の着色を同時に満足する条件の記載も示唆もない。
【0005】
一方、ポリイソシアネート組成物は通常大過剰のジイソシアネートモノマー存在下で製造される。製品として、ポリイソシアネート組成物を得るためには、蒸気圧の高い未反応のジイソシアネートモノマーを除去する精製工程が必要である。その方法としては低極性溶剤、臨界状態のガスを利用した抽出などもあるが、多くの場合は、掻き取り式薄膜蒸留器が用いられる。掻き取り式薄膜蒸留器は熱履歴が少ないため製品の熱変成が少なく、高粘度の物から低沸物を除くことに適している。
【0006】
ポリイソシアネート組成物とジイソシアネートモノマーを含む混合液から掻き取り式薄膜蒸留器により、ジイソシアネートモノマーなどの低沸成分を蒸発分離し、ポリイソシアネート組成物を得る場合、前記混合液の該蒸留器へのフィード量が多くなると、分離された低沸成分中に高沸物であるポリイソシアネート組成物が混入する現象(以下「エントレ」と言う)が生ずる場合がある。この現象は、製品収率の低下をもたらすばかりでなく、回収されたジイソシアネートモノマーを再び原料とする場合、原料中にポリイソシアネート組成物が混入する事により、ポリイソシアネート組成物の高粘度化が生じ易く、反応条件を変更せざるを得ない場合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、着色のない、製品の濁り、特に低温での製品の濁りのないビウレット型ポリイソシアネート組成物及び効率的な精製方法を含めた製造方法の確立にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述の通り、ビウレット化の過程においては、種々の副反応が起こり、いわゆるポリ尿素とよばれる種々の尿素結合含有化合物が生成する。本発明者らが、鋭意検討した結果、製品の濁り、特に低温での製品濁りの原因がそれらの副生成物のうち、尿素2量体であることを究明し、かつ濁りの発生する尿素2量体濃度を特定し、そして、反応液の溶存ガスがエントレの原因であることを突き止め、本発明に到達した。
なお、本発明でいう尿素2量体とは、ジイソシアネートモノマー2分子から得られる、1つの尿素結合を有する化合物である。
【0009】
即ち、本発明は、以下のものである。
(1)(a)脂肪族ジイソシアネートモノマーより選ばれる少なくとも1種以上のジイソシアネートモノマーとビウレット化剤のモル比を4〜40:1で反応させる工程、(b)反応液中の未反応ジイソシアネートモノマー濃度を3〜20重量%に調整する工程、(c)(b)工程で得られた調整液を110℃〜160℃、反応液のセル長さ2cm、波長430nmの透過率が90%以上を保持する条件で加熱し、尿素2量体濃度を0.5重量%以下にする工程、を含むことを特徴とするビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
(2)ジイソシアネートモノマーがヘキサメチレンジイソシアネートである(1)のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
(3)ビウレット化剤が水である(1)又は(2)記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
【0010】
(4)下記で示される溶剤(1)及び/又は(2)の存在下で反応させる(3)のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
(1)
【化2】
(式中、R1 、R2 は炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基で両者は同一であっても異なっても良く、R3 はメチル基または水素、nは1〜2の整数である。)
(2)アルキルリン酸
(5)ジイソシアネートモノマーを薄膜蒸留で除く(1)乃至(4)のいずれかのビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
(6)ジイソシアネートモノマーを薄膜蒸留で除く工程において、該反応液を脱気後、前記蒸留器にフィードする(5)のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
(7)ジイソシアネートモノマーとビウレット化剤を反応させる(1)記載の工程(a)が、攪拌均質下行われた後、更に前記反応液をパイプリアクターに導き、該パイプリアクター中押出し流れ下で反応を更に進行せしめる連続反応である(1)乃至(6)のいずれかのビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
【0011】
▲6▼、ジイソシアネートモノマーを薄膜蒸留で除く、▲2▼乃至▲5▼のいずれかのビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
▲7▼、ジイソシアネートモノマーを薄膜蒸留で除く工程において、該反応液を脱気後、前記蒸留器にフィードする▲6▼のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
▲8▼、ジイソシアネートモノマーとビウレット化剤を反応させる▲2▼の工程(a)が攪拌均質下行われた後、更に前記反応液をパイプリアクターに導き、該パイプリアクター中押出し流れ下で反応を更に進行せしめる連続反応である▲2▼乃至▲7▼のいずれかのビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるジイソシアネートモノマーとは、脂肪族、脂環族ジイソシアネートモノマーである。
脂肪族、脂環族ジイソシアネートモノマーとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数4〜30のものが、脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜30のものが好ましく、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることが出来る。なかでも工業的規模では、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HDI」と称す)、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」と称す)が大規模で実施でき、単独または2種以上を併用して使用することもできる。好ましいジイソシアネートモノマーはHDIである。
【0013】
ビウレット型ポリイソシアネート組成物は前記ジイソシアネートモノマーとビウレット化剤とを反応させて得ることがてきる。ビウレット化剤としては、水、1価の第3級アルコール、蟻酸、硫化水素、有機第1モノアミン、有機第1ジアミンなどを挙げることができ、好ましくは水である。
反応はビウレット化剤1モルに対して、ジイソシアネートモノマー4モル以上、好ましくは5モル以上を用いることができ、40モル以下であり、好ましくは30モル以下、更に好ましくは20モル以下である。前記モルが4未満であると、得られるポリイソシアネート組成物の粘度が高くなり、主剤ポリオールとの相溶性が低下する場合があり、塗料固形分が低下する。一方、40モルを越えると、ポリイソシアネート組成物の収率が低下し、生産性の経済性が低下する。
【0014】
反応の際に溶剤を用いることができる。溶剤は、ジイソシアネートモノマーと水などのビウレット化剤を溶解し、反応条件下で均一相を形成する。即ち、均一相を形成するに必要な量が添加される。これによりポリ尿素などの副生成物の生成を抑制できる。水などのビウレット化剤の溶解度の低い溶剤は、それだけ添加量が多くなり反応終了後溶剤を分離し、回収する際に不経済となり好ましくない。この溶剤は、水などのビウレット化剤の溶解度が0.5%重量以上であることが好ましい。また、溶剤の沸点は、未反応ジイソシアネートなどの回収分離を考慮すると、原料ジイソシアネートモノマーの沸点より低いことが好ましい。下記で示される溶剤が、イソシアネート基と反応せず、親水性があり好ましい。
【0015】
【化3】
(式中、R1 、R2 は炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基で両者は同一であっても異なっても良く、R3 はメチル基または水素、nは1〜2の整数である。)
【0016】
この溶剤の具体的な例は、例えば、エチレングリコール系であるエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリーコルジエチルエーテル、エチレングレコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、
【0017】
エチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、エチレングリコールエチル−n−プロピルエーテル、エチレングリコールエチルイソプロピルエーテル、エチレングリコールエチル−n−ブチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピル−n−ブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、
【0018】
ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールエチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピル−n−ブチルエーテル、などがあり、
【0019】
例えば、プロピレングリコール系であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリーコルジエチルエーテル、プロピレングレコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルイソプロピルエーテル、
【0020】
プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールエチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールエチルイソプロピルエーテル、プロピレングリコールエチル−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピル−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、
【0021】
ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールエチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールエチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピル−n−ブチルエーテル、などが挙げられ、
【0022】
好ましいエチレングレコール系溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどがあげられ、好ましいプロピレングレコール系溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどがあげられる。
【0023】
イソシアネート基と反応せず、親水性を有する点から、アルキルリン酸系溶剤が好ましい。アルキルリン酸系溶剤としては、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチルなどが挙げられ、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。
これらは単独または2種以上を混合して使用する事もできる。好ましい溶剤の混合重量比率はエチレングリコール系溶剤/リン酸系溶剤が3/7から9/1であり、好ましい使用量は原料ジイソシアネートモノマーと溶剤の合計重量に対して20〜50重量%である。
場合により、特開平8−225511号公報で例示されるリン酸ジ(2−エチルヘキシル)などのOH酸性化合物を添加することもできる。
【0024】
反応温度は70℃以上200℃以下が好ましく、更に90℃以上180℃以下が更に好ましい。
これらの反応はバッチ式でも実施できるが、連続法が生産性などから好ましい。特に、特公昭62−41496号公報で開示されているジイソシアネートモノマーとビウレット化剤の反応を攪拌均質下に反応を行った後、更に前記反応生成物をパイプリアクターに導き、該パイプリアクター中押出し流れ下で反応を進行せしめる連続的製造が好ましい。
【0025】
この様にして得られた反応液からジイソシアネートモノマー、場合により溶剤を除去し、特定のジイソシアネートモノマー濃度にする。その濃度はジイソシアネートモノマーとポリイソシアネート組成物の合計に対して該ジイソシアネートモノマー濃度が3〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、更に好ましくは3〜10重量%である。この濃度が20重量%を越えるかまたは3重量%未満になると、尿素2量体の減少速度が低下し、好ましくない。この様に特定低ジイソシアネートモノマー濃度がより尿素2量体の減少速度を高めることは意外なことであった。なぜなら、尿素2量体の尿素結合は、イソシアネート基と反応し、ビウレット結合に転換され、消失する。その場合、イソシアネート基濃度の高いことが尿素2量体のより速い減少に繋がると一般的には考られている。
【0026】
即ち、尿素2量体の速い減少は高いジイソシアネートモノマー濃度が好ましいと考えらたが、ジイソシアネートモノマー濃度が20重量%以下のイソシアネート基濃度の低い状態でより尿素2量体の減少速度が速いことは驚くべきことであった。本発明はこの発見に基づいている。
本発明の工程(c)の温度は110〜160℃であり、好ましくは110〜140℃である。処理温度が110℃未満であると、尿素2量体の減少速度が低下し、好ましくない。160℃を越えると、着色したポリイソシアネート組成物得られる場合があり、好ましくない。
【0027】
本発明の工程(c)では濃縮液透過率を90%以上を保持する。本発明での透過率の測定は、セル長さ2cm、波長430nmでの透過率である。前記値が90%未満であると、得られるポリイソシアネート組成物が着色している。そのための処理時間は5〜90分であり、好ましくは5〜60分であり、より好ましくは5〜30分である。処理の終了した濃縮液中の尿素2量体の濃度(ジイソシアネートモノマー及び溶剤を除いた組成に対する濃度、すなわち、ビウレット型ポリイソシアネート組成物と尿素2量体および尿素結合を含む多量体の合計量に対する尿素2量体の含有量)は0.5重量%以下であり、好ましくは0.3重量%以下である。前記濃度が0.5重量%を越えると、ポリイソシアネート組成物を5℃以下の低温時に貯蔵した場合に濁りが発生する場合がある。
上記処理はバッチ式、連続式のいずれでも可能である。その場合の液滞留時間は、尿素2量体の減少速度がゼロ次反応的であるので、ほぼ同じ滞留時間で行うことが可能である。
なお、本件発明においては、特定のジイソアネートモノマー濃度下で上記工程(c)の処理を行う必要があるが、その後、必要に応じ、ジイソシアネートモノマーを除去する。
【0028】
特定のジイソシアネートモノマー濃度を達成するためには、貧溶剤、臨界流体などによる抽出などでも行えるが、好ましくは掻き取り式薄膜蒸留器である。掻き取り式薄膜蒸留器は、薄膜を強制的に形成し、低沸であるジイソシアネートモノマーを効率的に蒸発させ、ポリイソシアネート組成物と分離する。掻き取り式薄膜蒸留器に反応液をフィードする場合、反応液は予め脱気することが好ましい。水をビウレット化剤として、ビウレット型ポリイソシアネート組成物を製造する場合、副生ガスとして炭酸ガスが生成するが、この炭酸ガスの1部は反応液に溶存していることが明かとなった。溶存ガス量は、製造条件により異なるが0.05〜0.4Nmlガス/ml液であった。
【0029】
溶存ガスのある反応液が、真空系である前記薄膜蒸留器にフィードされた場合、溶存ガスが気化、発泡する。その気化、発泡時、反応液の1部はミストとしてジソシアネートモノマー蒸気を凝縮するための冷却器へ飛散、付着する。その結果、分離回収したジイソシアネートモノマーへ反応液が混入する。この現象は、該蒸留器への液のフィード量が多くなると顕著になる。そしてポリイソシアネート組成物の収率が低下するという不経済性を伴うだけではなく、ポリイソシアネート組成物が回収ジイソシアネートモノマーに混入するため、それを原料として得られる製品は高粘度化するというポリイソシアネート物性の変動原因となる。そして、この現象はポリイソシアネート組成物を製造するための反応時、例えば水などのビウレット化剤を使用したビウレット型ポリイソシアネート組成物のような炭酸ガスなどの副生ガスを発生する場合に顕著である。その混入濃度は、条件により異なるが数%に達する場合がある。
【0030】
▲7▼に係る発明は、この現象解明に基づき、反応液を該薄膜蒸留器にフィードする前に溶存ガスを脱気することにより、回収ジイソシアネートモノマー中へのポリイソシアネート組成物の混入を防止できることを見出したことに基づく。該反応液の脱気は、前記蒸留器とほぼ同じに操作された真空度の槽を設け、槽上部から該反応液を落下させる。該反応液は落下と同時に、脱気し始める。槽内の液面に到達した該反応液が完全に脱気されなかった場合は、液面が泡状になり脱気される。該反応液のフィードを、槽液相部に行った場合、脱気は完全にされない場合があり、好ましくない。槽に攪拌機を設けることもできるが、槽は真空系であり、構造が複雑になり、経済的負担が増加する。
該蒸留器へフィードする場合の前記反応液の温度は、該反応液の沸点以下が好ましい。沸点以上であると、エントレが生じやすくなり、好ましくない。
【0031】
ジイソシアネートモノマーなどの除去に用いる掻き取り式薄膜蒸留器は、直列に2つ設け、2段階でジイソシアネートモノマーを除去することもできる。その場合は、脱気を各段階でそれぞれ、行うことができる。
この様に得られたポリイソシアネート組成物は実質的にジイソシアネートモノマーを含まない。通常ジイソシアネートモノマー濃度は、5重量%以下、好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基濃度は3〜25重量%、25℃における粘度500〜50,000mPa・s、数平均分子量は550から1000程度である。尿素2量体濃度は、0.5重量%以下、好ましくは0.3重量%以下である。0.5重量%を越えると、低温時濁りを生ずる場合がある。また、得られたポリイソシアネート組成物の透過率は90%以上である。
【0032】
次に図面に従って、本発明の1例を示す。
図1において、原料ジイソシアネートモノマーは、原料導入パイプ2から完全混合槽型撹拌槽からなる第1反応器4に、一定流量で連続的に供給する。一方、ビウレット化剤も導入パイプ1から同じく一定流量で第1反応器4に供給される。第1反応器4は、攪拌機3と加熱ジャケット3Aを備えている。反応によって発生するガスは、排気パイプ13及び凝縮器14を経て排出される。5は、第1反応器4を第2反応器7に連結するパイプである。第2反応器7も、第1反応器同様完全混合型攪拌機6と加熱ジャケット6Aを備えている。排気パイプ15及び凝縮器16を介して排気される。第2反応器7は、パイプ8を介して多段に構成されたパイプリアクター9、10、11に連結されている。パイプリアクターの条件は次の通りである。
【0033】
温度:80〜180℃、好ましくは90〜160℃、圧力:常圧、反応時間(滞留時間):30〜240分、好ましくは30〜120分、流速:0.5〜5m/Hr、好ましくは0.5〜2m/Hr。
各パイプリアクターは、ジャケット9A、10A、11Aを備えており、少量発生するガスは排気パイプ17、凝縮器18を経て放出される。反応液はパイプ12を経て中間タンク19に連続的に抜き出され、脱気装置20へフィードされる。脱気装置で脱気された反応液は、掻き取り式薄膜蒸留器21へフィードされ、調整液は調整タンク23へ移液され、ジイソシアネートモノマーなどは22から取り出される。掻き取り式薄膜蒸留器24で更にジイソシアネートモノマーなどを除去し、26からポリイソシアネート組成物を取り出す。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(1)尿素2量体の濃度測定
尿素2量体は一般式OCNR−NHC(=O)NH−RNCOで表される。Rは各々独立にジイソシアネートに由来する脂肪族基又は脂環族基である。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの場合は、下記のゲルパミュエーションクロマトグラフ(以下「GPC」)解析による、分子量310付近にピークトップを持つピークの面積%を尿素2量体の重量%とした。
・キャリアー:テトラハイドロフラン(以下「THF」)(流速:0.6ml/min)
・カラム:「TSKgel SuperH1000」、「TSKgel SuperH2000」、「TSKgel SuperH3000」(いずれも東ソー社製)のカラムをシリーズに連結した。
・検出器:屈折計
・GPC装置:「HLC−8120GPC」(東ソー社製)
【0035】
(2)イソシアネート基濃度の測定
ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度は、ポリイソシアネートが含有するイソシアネート基の含有量(重量%)と定義され、以下の方法により測定した。
ポリイソアシネート5〜10gを精秤してトルエン20mlに溶解し、得られた溶液に2規定のn−ジブチルアミンのトルエン溶液を20ml加え、室温で15分間放置して反応を行った。反応終了後、京都電子社製APB−410型自動滴定装置を用いて、得られた反応混合液の全量を1規定塩酸で逆滴定し、反応混合物中の未反応n−ジブチルアミンの中和に要する1規定塩酸の体積(試料滴定量)を求めた。一方、ポリイソシアネートを用いないこと以外は上記と同じ操作を行い、同様に未反応n−ジブチルアミンの中和に要する1規定塩酸の体積(ブランク滴定量)を求めた。
イソシアネート基濃度(重量%)=[{ブランク滴定量(ml)−試料滴定量(ml)}×42/{試料重量(g)×1000}]×100
【0036】
(3)ジイソシアネートモノマー濃度の測定
上記(1)と同じ条件のGPCにより、ジシイソシアネートモノマーの分子量に対応する保持時間を有するピークの根面積を求めた。このピーク面積のクロマトグラム中の全ピークの総面積に対するパーセンテージを求め、その値をジイソシアネートモノマー濃度(重量%)とした。
(4)数平均分子量の測定
ポリシイソシアネートをTHFに溶解した溶液(濃度:約0.25重量%)を、上記(1)と同じ条件でGPCに付し、ポリスチレン換算の数平均分子量として測定した。
【0037】
(5)粘度の測定
トキメック社製VISCONIC・ED型、E型粘度計を用い、25℃にて測定した。
(6)透過率
セル長さ2cm、波長430nmでの透過率を紫外可視分光光度計(島津製作所製UV−160)で測定した。
(7)5℃貯蔵安定性
窒素シールされた無色透明のガラス製容器にあるポリイソシアネート組成物を5℃で1日放置後、肉眼で濁りの有無を観察した。
【0038】
【実施例1】
攪拌機、温度計、環流冷却管、窒素吹き込み管を備えたフラスコ内を窒素雰囲気にした後、HDI:700重量部、トリメチル燐酸:150重量部、メチルセロソルブアセテート:150重量部、水:15重量部(HDI/水モル比=5)を仕込み、液温度を160℃で1時間保持した。得られた反応液(未反応ジイソシアネートモノマー濃度:65重量%)を真空度655Pa、温度160℃の掻き取り式薄膜蒸留器に500g/Hrでフィードした。得られた、ジイソシアネートモノマー濃度5重量%、尿素2量体濃度1.5重量%、透過率94%のビウレット型ポリイソシアネート組成物を窒素雰囲気下で液温度140℃で30分保持後の尿素2量体濃度は0.2重量%以下、透過率93%であった。
このポリイソシアネート組成物を再度掻き取り式薄膜蒸留器(真空度67Pa、温度160℃)にフィードし、ジイソシアネートモノマー濃度0.3重量%、尿素2量体濃度0.2重量%以下、透過率93%、イソシアネート基濃度22.9重量%、粘度3700mPa・s/25℃、数平均分子量690のビウレット型ポリイソシアネート組成物を得た。5℃貯蔵安定性評価後の濁りの発生はなかった。
【0039】
【実施例2】
実施例1において水仕込量を9.4重量部(HDI/水モル比=8)とした以外は実施例1と同様に行って得られた反応液(未反応ジイソシアネートモノマー濃度:70重量%)を、実施例1と同様にして掻き取り式蒸留器へフィードして得られたビウレット型ポリイソシアネート組成物の未反応ジイソシアネートモノマー濃度は4重量%、尿素2量体濃度は1.1重量%、透過率95%であった。この組成物の窒素雰囲気下110℃で60分保持後の尿素2量体の濃度は0.2重量%以下、透過率95%であった。この組成物を再度掻き取り式薄膜蒸留器にフィードし、ジイソシアネートモノマー濃度0.3重量%、尿素2量体濃度0.2重量%以下、透過率94%、イソシアネート基濃度23.8重量%、粘度1600mPa・s/25℃、数平均分子量635のビウレット型ポリイソシアネート組成物を得た。5℃貯蔵安定性評価での濁りの発生はなかった。
【0040】
【実施例3】
実施例2で得られた第1回目の掻き取り式薄膜蒸留後の濃縮液にHDIを添加し、HDI濃度10重量%に調整した。この組成物の窒素雰囲気下125℃で30分保持後の尿素2量体の濃度は0.2重量%以下、透過率95%であった。このポリイソシアネート組成物を再度掻き取り式薄膜蒸留器にフィードし、ジイソシアネートモノマー濃度0.3重量%、尿素2量体濃度0.2重量%以下、透過率94%、イソシアネート基濃度23.7重量%、粘度1600mPa・s/25℃、数平均分子量635のビウレット型ポリイソシアネート組成物を得た。5℃貯蔵安定性評価で濁りの発生はなかった。
【0041】
【比較例1】
実施例2で得られた第1回目の掻き取り式薄膜蒸留後の濃縮液ににHDIを添加し、HDI濃度50重量%に調整した。この組成の窒素雰囲気下125℃で30分保持後の尿素2量体の濃度は0.5重量%、透過率95%であった。このポリイソシアネート組成物を再度掻き取り式薄膜蒸留器にフィードし、ジイソシアネートモノマー濃度0.3重量%、尿素2量体濃度1.0重量%、透過率92%、イソシアネート基濃度23.8重量%、粘度1600mPa・s/25℃、数平均分子量635のビウレット型ポリイソシアネート組成物を得た。5℃貯蔵安定性評価で濁りが発生した。
【0042】
【比較例2】
実施例2で得られた第1回目の掻き取り式薄膜蒸留後の濃縮液の窒素雰囲気下100℃で15分保持後の尿素2量体の濃度は0.8重量%、液透過率95%であった。このポリイソシアネート組成物を再度掻き取り式薄膜蒸発缶にフィードし、未反応ジイソシアネートモノマー濃度0.3重量%、尿素2量体濃度0.8重量%、透過率95%、イソシアネート基濃度23.8重量%、粘度1600mPa・s/25℃、数平均分子量635のビウレット型ポリイソシアネート組成物を得た。5℃貯蔵後濁りが発生した。
【0043】
【比較例3】
実施例2で得られた第1回目の掻き取り式薄膜蒸発後の濃縮液の窒素雰囲気下150℃で120分保持後の尿素2量体の濃度は0.2重量%以下、液透過率88%であった。このポリイソシアネート組成物を再度掻き取り式薄膜蒸留器にフィードし、未反応ジイソシアネートモノマー濃度0.3重量%、尿素2量体濃度0.2重量%以下、透過率87%、イソシアネート基濃度23.8重量%、粘度1600mPa・s/25℃、数平均分子量635のビウレット型ポリイソシアネート組成物を得た。5℃貯蔵安定性評価で濁りの発生はなかったものの、得られたポリイソシアネート組成物は着色していた。
【0044】
【比較例4】
攪拌機、温度計、環流冷却管、窒素吹き込み管を備えたフラスコ内を窒素雰囲気にした後、HDI:700重量部、トリメチル燐酸:150重量部、メチルセロソルブアセテート:150重量部、水:15重量部(HDI/水モル比=5)を仕込み、液温度を160℃で1時間保持した。得られた反応液(未反応ジイソシアネートモノマー濃度:65重量%)を真空度655Pa、温度160℃の掻き取り式薄膜蒸留器に500g/Hrでフィードした。得られた液を更に真空度67Pa,温度160℃の掻き取り式蒸留器にフィードし、ジイソシアネートモノマー濃度0.5重量%、尿素2量体濃度1.5重量%、透過率94%のビウレット型ポリイソシアネート組成物を得た。前記ポリイソシアネート組成物を110℃で30分間加熱した結果、イソシアネートモノマー濃度0.5重量%、尿素2量体濃度1.2重量%、イソシアネート基濃度22.9重量%、透過率94%、粘度3700mPa・s/25℃、数平均分子量690であった。5℃貯蔵安定性評価で濁りが発生した。
【0045】
【実施例4】
図1に示す連続反応装置を用い、第1反応器4に対して、1時間当たりヘキサメチレンジイソシアネート1000重量部、メチルセロソルブアセテートとリン酸トリメチルの等重量混合液500重量部を連続的に供給を行った。一方、水を1時間当たり7.1重量部の割合で第1反応器に対して連続的に供給した(HDI/水モル比=15)。第1反応器4、第2反応器7及び第3反応器(パイプリアクター)9,10及び11の温度は120℃、150℃、160℃、滞留時間90分、60分、60分になるように調整した。この様にして得られた反応液(未反応ジイソシアネートモノマー濃度:83重量%、溶存ガス量0.25nml/ml)を真空度655Pa、温度30℃に設定された脱気装置20の上部気相部にフィードし、下部液相部から反応液を掻き取り式蒸留器21(真空度655Pa、温度160℃)にフィードした。回収されたジイソシアネートモノマー及び溶剤中のポリイソシアネート組成物濃度は0.5%重量以下であった。
【0046】
得られた濃縮液のジイソシアネートモノマー濃度5重量%、尿素2量体濃度1.0重量%、透過率93%であった。濃縮液を130℃、30分加熱後、尿素2量体濃度0.2重量%以下、透過率91%となった。この液を再び掻き取り式薄膜蒸留器(真空度67Pa,温度160℃)にフィードし、ビウレット型ポリイソシアネート組成物を得た。得られたポリイソシアネート組成物の物性は粘度900mPa・s/25℃、イソシアネート基濃度は24.7重量%、尿素2量体濃度0.2重量%以下、透過率91%、イソシアネート基濃度24.7重量%、ジイソシアネートモノマー濃度は0.5重量%、粘度900mPa・s/25℃、数平均分子量600であった。5℃貯蔵安定性評価で濁りの発生はなかった。
【0047】
【実施例5】
水のフィード量を1時間当たり10.7重量部とした以外(未反応ジイソシアネートモノマー濃度:73重量%、HDI/水モル比=10)は実施例4と同様に行った。第1回目の掻き取り式薄膜蒸留器出の濃縮液加熱後の尿素2量体濃度は0.2重量%以下、透過率94%であり、最終的に得られたポリイソシアネート組成物は尿素2量体濃度0.2重量%以下、透過率94%、粘度1700mPa・s/25℃、数平均分子量615、イソシアネー基濃度24.4重量%、ジイソシアネートモノマー濃度は0.4重量%であった。
そして、回収されたジイソシアネートモノマー及び溶剤中のポリイソシアネート組成物濃度は0.5重量%以下であった。5℃貯蔵安定性評価で濁りの発生はなかった。
【0048】
【参考例1】
脱気装置を使用しない以外は実施例5と同様に行った。得られたポリイソシアネート組成物は粘度1700mPa・s/25℃、数平均分子量615、イソシアネー基濃度24.4重量%、ジイソシアネートモノマー濃度は0.5重量%であった。
そして、第1回目の掻き取り式薄膜蒸留器で回収されたジイソシアネートモノマー及び溶剤中のポリイソシアネート組成物濃度は4重量%であった。
【0049】
【参考例2】
脱気装置を使用せず、第1回目の掻き取り式薄膜蒸留器で回収されたジイソシアネートモノマー、溶剤を使用した以外は参考例1と同様に行った。得られたポリイソシアネート組成物は粘度2010mPa・s/25℃、数平均分子量665、イソシアネー基濃度23.6重量%、ジイソシアネートモノマー濃度は0.5重量%であった。
そして、第1回目の掻き取り式薄膜蒸留器で回収されたジイソシアネートモノマー及び溶剤中のポリイソシアネート組成物濃度は4重量%であった。
【0050】
【発明の効果】
本発明のビウレット型ポリイソシアネート組成物は着色もなく、尿素2量体濃度が低い。また、効率的に尿素2量体を低減でき、回収ジイソシアネートモノマーにポリイソシアネート組成物が混入せず、生産性が向上するだけでなく、回収ジイソシアネートモノマーなどを再使用しても、ポリイソシアネート組成物の粘度増加がなく、収率も高く、経済的に優れた製造方法を提供できる。
それにより得られたビウレット型ポリイソシアネート組成物は特に低温時の安定性に優れるなどの特性を有し、塗料、接着剤、繊維処理剤、シーリング材、防水材、フォーム、エラストマーなどウレタン、イソシアネート分野で有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例で使用する連続的反応装置のフローチャートを示す。
【符号の説明】
4 第1反応器
7 第2反応器
9、10、11 パイプリアクター
19 中間タンク
20 脱気装置
21、24 掻き取り式薄膜蒸留器
23 調整タンク

Claims (7)

  1. (a)脂肪族ジイソシアネートモノマーより選ばれる少なくとも1種以上のジイソシアネートモノマーとビウレット化剤のモル比を4〜40:1で反応させる工程、(b)反応液中の未反応ジイソシアネートモノマー濃度を3〜20重量%に調整する工程、(c)(b)工程で得られた調整液を110℃〜160℃、反応液のセル長さ2cm、波長430nmの透過率が90%以上を保持する条件で加熱し、尿素2量体濃度を0.5重量%以下にする工程、を含むことを特徴とするビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
  2. ジイソシアネートモノマーがヘキサメチレンジイソシアネートである請求項記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
  3. ビウレット化剤が水である請求項又は記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
  4. 下記で示される溶剤(1)及び/又は(2)の存在下で反応させる請求項記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
    (1)
    (式中、R1 、R2 は炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基で両者は同一であっても異なっても良く、R3 はメチル基または水素、nは1〜2の整数である。)
    (2)アルキルリン酸
  5. ジイソシアネートモノマーを薄膜蒸留で除く請求項のいずれかに記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
  6. ジイソシアネートモノマーを薄膜蒸留で除く工程において、該反応液を脱気後、前記蒸留器にフィードする請求項記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
  7. ジイソシアネートモノマーとビウレット化剤を反応させる請求項2記載の工程(a)が、攪拌均質下行われた後、更に前記反応液をパイプリアクターに導き、該パイプリアクター中押出し流れ下で反応を更に進行せしめる連続反応である請求項のいずれかに記載のビウレット型ポリイソシアネート組成物の製造方法。
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