以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図15は、本実施の形態に係る硬貨処理装置を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による硬貨処理装置の内部を上方から鉛直方向下方に向かって見たときの構成を示す構成図であり、図2は、図1に示す硬貨処理装置におけるリジェクト部および硬貨収納部の構成を示す側面図である。また、図3は、図2に示す硬貨処理装置におけるリジェクトシュートの入口の構成を拡大して示す側面図である。また、図4および図5は、それぞれ、図1に示す硬貨処理装置におけるゲート部材およびリジェクトシュートの入口の構成の一例を示す上面図や斜視図であり、図6乃至図9は、図4や図5に示すゲート部材を様々な角度から見たときの図である。また、図10および図11は、それぞれ、図1に示す硬貨処理装置におけるゲート部材およびリジェクトシュートの入口の構成の他の例を示す上面図や斜視図であり、図12乃至図15は、図10や図11に示すゲート部材を様々な角度から見たときの図である。
本実施の形態による硬貨処理装置1は、例えば、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の商業施設の店舗における顧客が商品の精算処理を行う精算所(具体的には、レジカウンター)に設置される釣銭機の硬貨処理ユニットとして用いられるものである。このような硬貨処理装置1は、略直方体形状の筐体10と、筐体10の前面側に設けられ、硬貨の入金処理を行う際に操作者によって硬貨が投入される硬貨受入部12と、筐体10の前面側に設けられ、硬貨の出金処理を行う際に硬貨が払い出される硬貨払出部32と、筐体10の内部で硬貨を金種毎に収納する複数の硬貨収納部30a〜30fとを備えている。ここで、複数の硬貨収納部30a〜30fは筐体10の幅方向(すなわち、図1の左右方向)に沿って並列に並ぶよう配置されており、各硬貨収納部30a〜30fにはそれぞれ50円硬貨、5円硬貨、500円硬貨、100円硬貨、10円硬貨および1円硬貨がこの順でそれぞれ収納されるようになっている。
硬貨受入部12は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体10内に取り込むようになっている。より詳細には、硬貨受入部12には、図1における右方向に移動する繰出ベルト14a等からなる繰出部14が設けられており、硬貨受入部12に受け入れられた硬貨を検知するとこの繰出部14が駆動されることにより当該繰出部14によって硬貨が筐体10の内部に1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、図1に示すように、硬貨受入部12には、繰出部14により筐体10の内部に繰り出された硬貨を1層1列状態で搬送する入金搬送部16が接続されている。
入金搬送部16は、略水平方向に延びる搬送面16c(図4や図5等参照)を有しており、この搬送面16c上で硬貨は略水平方向の姿勢で搬送されるようになっている。また、入金搬送部16は、複数のプーリ16bにより張架された循環ベルト16aを有しており、繰出部14により筐体10の内部に繰り出された硬貨は循環ベルト16aとの間で働く摩擦力により筐体10の内部で搬送されるようになっている。具体的には、循環ベルト16aは搬送面16cからわずかな大きさの隙間(具体的には、概ね硬貨1枚分の厚さと略同一の大きさの隙間)を隔てて搬送面16cの上方に配置されている。また、複数のプーリ16bのうちある一つのプーリ16bには駆動モータが接続されており、当該駆動モータによりプーリ16bが回転させられることにより循環ベルト16aは図1における時計回りの方向に循環移動するようになっている。また、循環ベルト16aの下端部には搬送面16c上の硬貨を押動するためのピンが等間隔で複数設けられており、循環ベルト16aが図1における時計回りの方向に循環移動すると、搬送面16c上の硬貨がピンにより筐体10の奥行き方向に押動されるようになる。このようにして、繰出部14により筐体10の内部に繰り出された硬貨は筐体10の内部における左側の領域において搬送面16c上で略水平方向の姿勢で当該筐体10の奥行き方向に搬送されるようになる。
図1に示すように、入金搬送部16の途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、新旧、搬送状態等の識別を行う識別部18が設けられている。また、識別部18により正常な硬貨ではないと識別された硬貨や識別部18により識別することができなかった硬貨を入金搬送部16の搬送面16cから分岐させて後述するリジェクト口26により筐体10の外部に排出するリジェクト部24が設けられている。図2および図3に示すように、リジェクト部24は、硬貨を立位状態で自重により送るリジェクトシュート24aを有している。ここで、リジェクトシュート24aは水平方向に対して斜め下方に傾斜しており、このリジェクトシュート24aの下流側の端部には、筐体10の前面側に設けられたリジェクト口26が設けられている。リジェクト口26は筐体10の前面側からアクセス可能となっており、リジェクトシュート24aからリジェクト口26に送られた硬貨を操作者は筐体10の前面側から当該筐体10の外部に取り出して硬貨受入部12に再投入等することができるようになる。また、リジェクトシュート24aの上流側端部には、入金搬送部16からリジェクトシュート24aへの硬貨の入口24bが設けられている。このようなリジェクトシュート24aの入口24bは、図4および図5に示すように入金搬送部16における搬送面16cに配置されていてもよく、あるいは図10および図11に示すように入金搬送部16における搬送面16cの側方に配置されていてもよい。また、リジェクト部24は、識別部18により正常な硬貨ではないと識別された硬貨や識別部18により識別することができなかった硬貨を入金搬送部16の搬送面16cから分岐させるためのゲート部材50を有している。このようなゲート部材50の構成の詳細については後述する。
入金搬送部16による硬貨の搬送方向におけるゲート部材50の更に下流側には複数の金種別分岐部22が各硬貨収納部30a〜30eに対応して直列に並ぶよう設けられている。具体的には、識別部18により識別された硬貨の金種が50円である場合には、図1における最も左側に位置する金種別分岐部22により入金搬送部16から当該50円硬貨が分岐させられて硬貨収納部30aに送られるようになる。同様に、識別部18により識別された硬貨の金種が5円である場合には、図1における左側から2番目に位置する金種別分岐部22により入金搬送部16から当該5円硬貨が分岐させられて硬貨収納部30bに送られるようになる。また、識別部18により識別された硬貨の金種が500円である場合には、図1における左側から3番目に位置する金種別分岐部22により入金搬送部16から当該500円硬貨が分岐させられて硬貨収納部30cに送られるようになる。また、識別部18により識別された硬貨の金種が100円である場合には、図1における左側から4番目に位置する金種別分岐部22により入金搬送部16から当該100円硬貨が分岐させられて硬貨収納部30dに送られるようになる。また、識別部18により識別された硬貨の金種が10円である場合には、図1における左側から5番目に位置する金種別分岐部22により入金搬送部16から当該10円硬貨が分岐させられて硬貨収納部30eに送られるようになる。また、識別部18により識別された硬貨の金種が1円である場合には、当該硬貨は各金種別分岐部22により入金搬送部16から分岐させられることなく当該入金搬送部16から直接硬貨収納部30fに送られるようになる。このようにして識別部18により識別された硬貨が各硬貨収納部30a〜30fに金種別に振り分けられてこれらの硬貨収納部30a〜30fに収納されるようになる。
図2に示すように、各硬貨収納部30a〜30fは、複数の硬貨が収容される硬貨収容空間31を有している。また、各硬貨収納部30a〜30fには、硬貨収容空間31に収容されている硬貨を当該硬貨収容空間31から1枚ずつ繰り出す繰出部40が設けられている。これらの各硬貨収納部30a〜30fや繰出部40の構成の詳細については後述する。繰出部40により各硬貨収納部30a〜30fの硬貨収容空間31から繰り出された硬貨は硬貨払出部32に送られ、この硬貨払出部32に集積されるようになっている。より詳細には、図1に示すように、6つの硬貨収納部30a〜30fのうち左から3つの硬貨収納部30a〜30cの手前側には、硬貨払出部32に向かって斜め下方にわずかに傾斜している硬貨案内溝34が形成されており、繰出部40により硬貨収納部30a〜30cの硬貨収容空間31から繰り出された硬貨はこの硬貨案内溝34に立位状態で入り、硬貨案内溝34において図1における右方向に硬貨が立位状態で転がりながら移動することにより硬貨払出部32に送られるようになる。一方、6つの硬貨収納部30a〜30fのうち右から3つの硬貨収納部30d〜30fの硬貨収容空間31から繰出部40により繰り出された硬貨は硬貨払出部32に直接送られるようになる。また、硬貨払出部32は筐体10の外部に露出しており、操作者はこの硬貨払出部32に集積されている硬貨を手で掴んで筐体10の外部に取り出すことができるようになっている。
繰出部40は、硬貨収容空間31の底部に配置され、複数のプーリ44(図2では1つのプーリ44しか図示していないが、実際にはプーリ44は複数設けられている)により張架された繰出ベルト42と、複数のプーリ44のうちある一つのプーリ44に接続され、当該プーリ44を回転させる駆動モータ(図示せず)と、繰出ベルト42との間でわずかな隙間(具体的には、硬貨収納部30a〜30fに収納されるべき金種の硬貨の厚さよりもわずかに大きな隙間)を隔てて当該繰出ベルト42の上方に配置される逆転ローラ46とを有している。ここで、硬貨収容空間31に収容される硬貨は繰出ベルト42上に載置されるようになっている。また、繰出ベルト42は無端状の(言い換えると、環状の)平ベルトからなり、当該繰出ベルト42の幅の大きさは硬貨収容空間31の幅の大きさと略同一となっている。そして、駆動モータによりこの駆動モータに接続されるプーリ44が回転させられると繰出ベルト42は図2における時計回りの方向に循環移動し、この繰出ベルト42上に載置されている硬貨は略水平姿勢で図2における右方向に搬送され、逆転ローラ46と繰出ベルト42との間に形成される隙間を通って硬貨案内溝34または硬貨払出部32に送られるようになる。ここで、逆転ローラ46は繰出ベルト42による硬貨の繰出方向と逆方向(すなわち、図2における時計回りの方向)に回転するようになっている。このことにより、繰出ベルト42により繰り出される硬貨が逆転ローラ46と繰出ベルト42との間に形成される隙間を通る際に当該硬貨は1層1列状態に整列されるようになり、整列された硬貨が繰出ベルト42により硬貨案内溝34または硬貨払出部32に送られるようになる。
次に、入金搬送部16からリジェクト硬貨を分岐させてリジェクト部24のリジェクトシュート24aに送るようなゲート部材50の構成や、リジェクトシュート24aの入口24bの構成の詳細について図4乃至図9を用いて説明する。本実施の形態では、入金搬送部16において搬送面16c上で略水平方向の姿勢で搬送される硬貨を、リジェクトシュート24aの入口24bにおいて立位状態に傾け、この立位状態に傾けられた硬貨がリジェクトシュート24aに送られて当該リジェクトシュート24aにおいて立位状態で自重によりリジェクト口26に送られるようになっている。なお、硬貨の「立位状態」とは、硬貨が鉛直方向に延びる向きとなるような状態に限定されることはなく、硬貨が鉛直方向からやや傾いた向きとなるような状態も含むものとする。また、図4乃至図9に示すような構成のゲート部材50が用いられる場合には、リジェクトシュート24aの入口24bは入金搬送部16における搬送面16cに配置されるようになる。具体的には、後述するように、リジェクトシュート24aの入口24bは、入金搬送部16における搬送面16cの幅方向の中心(図4において参照符合Pで表示)に対して片側に配置されるようになる。
本実施の形態では、図4および図5に示すように、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨を立位状態に傾ける硬貨向き変更手段として、水平方向および鉛直方向に対してそれぞれ傾斜している傾斜面17が設けられている。ここで、傾斜面17は入金搬送部16における搬送面16cとリジェクト部24におけるリジェクトシュート24aの入口24bとの間に設けられている。また、傾斜面17は水平方向に対して例えば45°傾斜しており、このような傾斜面17は入金搬送部16における搬送面16cからつながったものとなっている。また、図4に示すように、リジェクトシュート24aの入口24bは、入金搬送部16における搬送面16cの幅方向の中心(図4において参照符合Pで表示)に対して片側に配置されており、傾斜面17は、搬送面16cの幅方向の中心の近傍に設けられている。より詳細には、リジェクトシュート24aの入口24bは、入金搬送部16において搬送面16c上で搬送される500円硬貨の中心に対して片側に配置されている。このような傾斜面17が入金搬送部16における搬送面16cとリジェクト部24におけるリジェクトシュート24aの入口24bとの間に設けられていることにより、入金搬送部16において搬送面16cに沿って略水平方向の姿勢で搬送される硬貨がゲート部材50によりリジェクトシュート24aに分岐させられる際に当該硬貨は傾斜面17によりまず水平方向に対して45°の傾いた姿勢とされ、その後、傾斜面17からリジェクトシュート24aの入口24bに送られる際に立位状態となるよう更に45°傾けられるようになる。
次に、入金搬送部16からリジェクト硬貨を分岐させてリジェクト部24のリジェクトシュート24aに送るようなゲート部材50の構成の詳細について図6乃至図9を用いて説明する。なお、図6は、ゲート部材50を上方から鉛直方向下方に向かって見たときの構成を示す上面図であり、図7は、ゲート部材50を斜め下方から上方に向かって見たときの構成を示す斜視図であり、図8は、ゲート部材50を別の角度で斜め下方から上方に向かって見たときの構成を示す斜視図であり、図9は、ゲート部材50を下方から鉛直方向上方に向かって見たときの構成を示す下面図である。また、本実施の形態では、このようなゲート部材50はリジェクト部24の一部として構成されるようになっている。
ゲート部材50は略水平方向に延びる軸50cを有しており、この軸50cを中心として揺動するようになっている。このような軸50cは、入金搬送部16による硬貨の搬送方向の下流側の端部に配置されている。また、ゲート部材50は、図2において実線で示すような、略水平方向の姿勢となる閉止位置と、図2において二点鎖線で示すような、このような閉止位置から上方に突出する分岐位置との間で軸50cを中心として揺動するようになっており、ゲート部材50が閉止位置に位置しているときには、このゲート部材50の上面50eは入金搬送部16の搬送面16cと略同一平面上に位置するようになる。このことにより、ゲート部材50が閉止位置に位置しているときには、入金搬送部16における搬送面16c上で搬送される硬貨は当該ゲート部材50によりリジェクト部24のリジェクトシュート24aに分岐されずにゲート部材50の上面50eを通って各金種別分岐部22に送られるようになる。
一方、ゲート部材50が分岐位置に位置しているときには、入金搬送部16における搬送面16c上で搬送される硬貨はこのゲート部材50の裏面側に設けられた第1傾斜面50a(後述)および第2傾斜面50b(後述)に接触することによりリジェクト部24におけるリジェクトシュート24aの入口24bに送られるようになる。この際に、上述したように、入金搬送部16により搬送面16cに沿って略水平方向の姿勢で搬送される硬貨は傾斜面17によりまず水平方向に対して45°の傾いた姿勢とされ、その後、傾斜面17からリジェクトシュート24aの入口24bに送られる際に立位状態となるよう更に45°傾けられるようになる。また、ゲート部材50には、当該ゲート部材50が分岐位置に位置しているときに循環ベルト16aが当該ゲート部材50に衝突しないようにするための切り欠き部分50dがゲート部材50の幅方向における中央位置に設けられており、ゲート部材50が分岐位置に位置しているときには循環ベルト16aはこの切り欠き部分50dに入るようになっている。
図7乃至図9に示すように、ゲート部材50の裏面側において、切り欠き部分50dを挟むよう第1傾斜面50aおよび第2傾斜面50bがそれぞれ設けられている。ここで、第1傾斜面50aはリジェクトシュート24aの入口24bに近い側の面であり、第2傾斜面50bはリジェクトシュート24aの入口24bから遠い側の面である。第1傾斜面50aは、水平方向および鉛直方向に対してそれぞれ傾斜しており、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨を略水平方向に延びる姿勢から立位状態に傾ける傾斜部分として機能するようになっている。一方、第2傾斜面50bは、水平方向に対して直交する方向に延びるとともに入金搬送部16による硬貨の搬送方向に対して傾斜する方向に延びており、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨を第1傾斜面50aに向かって(すなわち、図4や図5における左方向に)押す押動部分として機能するようになっている。より詳細に説明すると、ゲート部材50の裏面に設けられた第1傾斜面50aおよび第2傾斜面50bは、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨が第2傾斜面50bに接触する前に第1傾斜面50aにより向きが変えられるような位置に配置されており、第1傾斜面50aにより略水平方向に延びる状態がやや向きが変えられた硬貨が第2傾斜面50bにより第1傾斜面50aに向かって押されることにより、この硬貨は第1傾斜面50a側に設けられたリジェクトシュート24aの入口24bに入るようになっている。
このような構成の傾斜面17およびゲート部材50が設けられていることにより、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨が当該ゲート部材50により入金搬送部16からリジェクト部24のリジェクトシュート24aに分岐させられる際に、搬送面16c上で略水平方向の姿勢となるよう搬送される硬貨が第1傾斜面50aおよび傾斜面17により向きが立位状態に変えられてリジェクトシュート24aの入口24bに立位状態で送られるようになる。
なお、入金搬送部16からリジェクト硬貨を分岐させてリジェクト部24のリジェクトシュート24aに送るようなゲート部材は、図4乃至図9に示すような構成のものに限定されることはない。図10および図11に示すように、リジェクトシュート24aの入口24bが入金搬送部16における搬送面16cの側方に配置される場合には、図12乃至図15に示す構成のゲート部材60が用いられるようになる。なお、図12乃至図15に示す構成のゲート部材60が用いられるような態様を説明するにあたり、上述した図1乃至図9に示す硬貨処理装置1の各構成部材と同じ構成部材には同じ参照符合を付けてその説明を省略する。
図10及び図11に示すように、入金搬送部16における搬送面16cの左側方にはシュートカバー24cが設けられており、このシュートカバー24cの下方にリジェクトシュート24aの入口24bが設けられている。また、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨を立位状態に傾ける硬貨向き変更手段として、水平方向および鉛直方向に対してそれぞれ傾斜している傾斜面19が設けられている。このような傾斜面19は、入金搬送部16における搬送面16cの左側方においてシュートカバー24cの下方に設けられている。また、傾斜面19は水平方向に対して例えば45°傾斜しており、このような傾斜面19は入金搬送部16における搬送面16cからつながったものとなっている。このような傾斜面19が入金搬送部16における搬送面16cとリジェクト部24におけるリジェクトシュート24aの入口24bとの間に設けられていることにより、入金搬送部16において搬送面16cに沿って略水平方向の姿勢で搬送される硬貨がゲート部材60によりリジェクトシュート24aに分岐させられる際に当該硬貨は傾斜面19によりまず水平方向に対して45°の傾いた姿勢とされ、その後、傾斜面19からリジェクトシュート24aの入口24bに送られる際に立位状態となるよう更に45°傾けられるようになる。
次に、入金搬送部16からリジェクト硬貨を分岐させてリジェクト部24のリジェクトシュート24aに送るようなゲート部材60の構成の詳細について図12乃至図15を用いて説明する。なお、図12は、ゲート部材60を上方から鉛直方向下方に向かって見たときの構成を示す上面図であり、図13は、ゲート部材60を斜め下方から上方に向かって見たときの構成を示す斜視図であり、図14は、ゲート部材60を別の角度で斜め下方から上方に向かって見たときの構成を示す斜視図であり、図15は、ゲート部材60を下方から鉛直方向上方に向かって見たときの構成を示す下面図である。また、本実施の形態では、このようなゲート部材60はリジェクト部24の一部として構成されるようになっている。
ゲート部材60は略水平方向に延びる軸60cを有しており、この軸60cを中心として揺動するようになっている。このような軸60cは、入金搬送部16による硬貨の搬送方向の下流側の端部に配置されている。また、ゲート部材60は、略水平方向の姿勢となるような閉止位置と、このような閉止位置から上方に突出するような分岐位置との間で軸60cを中心として揺動するようになっており、ゲート部材60が閉止位置に位置しているときには、このゲート部材60の上面60eは入金搬送部16の搬送面16cと略同一平面上に位置するようになる。このことにより、ゲート部材60が閉止位置に位置しているときには、入金搬送部16における搬送面16c上で搬送される硬貨は当該ゲート部材60によりリジェクト部24のリジェクトシュート24aに分岐されずにゲート部材60の上面60eを通って各金種別分岐部22に送られるようになる。
一方、ゲート部材60が分岐位置に位置しているときには、入金搬送部16における搬送面16c上で搬送される硬貨はこのゲート部材60の裏面側に設けられた第1湾曲面60a(後述)および第2湾曲面60b(後述)に接触することによりリジェクト部24におけるリジェクトシュート24aの入口24b側に送られるようになる。この際に、上述したように、入金搬送部16において搬送面16cに沿って略水平方向の姿勢で搬送される硬貨は傾斜面19によりまず水平方向に対して45°の傾いた姿勢とされ、その後、傾斜面19からリジェクトシュート24aの入口24bに送られる際に立位状態となるよう更に45°傾けられるようになる。また、ゲート部材60には、当該ゲート部材60が分岐位置に位置しているときに循環ベルト16aが当該ゲート部材60に衝突しないようにするための切り欠き部分60dがゲート部材60の幅方向における中央位置に設けられており、ゲート部材60が分岐位置に位置しているときには循環ベルト16aはこの切り欠き部分60dに入るようになっている。
図13乃至図15に示すように、ゲート部材60の裏面側において、切り欠き部分60dを挟むよう第1湾曲面60aおよび第2湾曲面60bがそれぞれ設けられている。ここで、第1湾曲面60aはリジェクトシュート24aの入口24bに近い側の面であり、第2湾曲面60bはリジェクトシュート24aの入口24bから遠い側の面である。第1湾曲面60aおよび第2湾曲面60bはそれぞれ水平方向に対して直交する方向に延びるとともに入金搬送部16による硬貨の搬送方向に対して角度を有するよう湾曲しており、これらの第1湾曲面60aおよび第2湾曲面60bは、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨を搬送面16cの左側方に移動させてリジェクトシュート24aの入口24bに入れるような構成となっている。より詳細に説明すると、ゲート部材60の裏面に設けられた第1湾曲面60aおよび第2湾曲面60bは、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨がまず第2湾曲面60bに接触するような位置に配置されており、搬送面16c上の硬貨が第2湾曲面60bによりリジェクトシュート24aの入口24b側にやや押されると、当該硬貨は第1湾曲面60aに接触することによりこの第1湾曲面60aによってリジェクトシュート24aの入口24b側に更に押され、このことにより硬貨がリジェクトシュート24aの入口24bに入るようになっている。
このような構成の傾斜面19およびゲート部材60が設けられていることにより、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨が当該ゲート部材60により入金搬送部16からリジェクト部24のリジェクトシュート24aに分岐させられる際に、搬送面16c上で略水平方向の姿勢となるよう搬送される硬貨が傾斜面19により向きが立位状態に変えられてリジェクトシュート24aの入口24bに立位状態で送られるようになる。
なお、図4乃至図9に示すような構成の傾斜面17およびゲート部材50を用いた場合には、図10乃至図15に示すような構成の傾斜面19およびゲート部材60を用いた場合と比較して、リジェクトシュート24aの入口24bが入金搬送部16の搬送面16cに設けられるようになるため硬貨処理装置1の幅の大きさをより小さくすることができるようになる。
以上のような構成からなる本実施の形態の硬貨処理装置1によれば、入金搬送部16により搬送される硬貨を搬送面16cから分岐させてリジェクト口26により筐体10の外部に排出するリジェクト部24は、硬貨を立位状態で自重によりリジェクト口26に送るリジェクトシュート24aを有している。なお、上述したように、硬貨の「立位状態」とは、硬貨が鉛直方向に延びる向きとなるような状態に限定されることはなく、硬貨が鉛直方向からやや傾いた向きとなるような状態も含むものとする。このように、入金搬送部16における搬送面16cから分岐させられた硬貨を自重によりリジェクト口26に送るリジェクトシュート24aが設けられているため、異常硬貨専用の搬送ベルトや異常硬貨専用の搬送ベルトを駆動させるための駆動源や機構を設ける必要がなくなり、よってコストを低減することができる。また、リジェクトシュート24aは硬貨を立位状態でリジェクト口26に送るため当該リジェクトシュート24aの幅を小さくすることができ、よって装置全体をよりコンパクトなものとすることができる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置1においては、上述したように、リジェクト部24におけるリジェクトシュート24aの入口24bが、搬送面16cの側方に配置されていてもよい(図10および図11参照)。あるいは、リジェクト部24におけるリジェクトシュート24aの入口24bが、搬送面16cに配置されていてもよい(図4および図5参照)。なお、リジェクト部24におけるリジェクトシュート24aの入口24bが搬送面16cに配置される場合には、リジェクト部24におけるリジェクトシュート24aの入口24bが搬送面16cの側方に配置される場合よりも硬貨処理装置1の幅の大きさをより小さくすることができるようになる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置1においては、上述したように、入金搬送部16における搬送面16cは略水平方向に延びている。なお、本実施の形態による硬貨処理装置1は、入金搬送部16における搬送面16cが略水平方向に延びているような態様のものに限定されることはない。硬貨処理装置1の他の例として、入金搬送部16における搬送面16cが略水平方向に対して傾斜するよう構成されていてもよい。
また、本実施の形態の硬貨処理装置1においては、上述したように、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨を立位状態に傾ける硬貨向き変更手段が設けられている。具体的には、硬貨向き変更手段は、入金搬送部16における搬送面16cとリジェクト部24におけるリジェクトシュート24aの入口24bとの間に設けられ、水平方向および鉛直方向に対してそれぞれ傾斜している傾斜面17、19を含むようになっている。また、このような傾斜面17、19は入金搬送部16における搬送面16cからつながっているものである。なお、本実施の形態では、傾斜面17、19は入金搬送部16における搬送面16cから必ずしもつながっていることに限定されることはなく、傾斜面17、19が搬送面16cから隙間を隔てて設けられていてもよい。
また、本実施の形態の硬貨処理装置1においては、上述したように、リジェクト部24は、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨を当該入金搬送部16からリジェクトシュート24aに分岐させるためのゲート部材50を有しており、上記の硬貨向き変更手段は、ゲート部材50の裏面に設けられ、水平方向および鉛直方向に対してそれぞれ傾斜している傾斜部分(具体的には、第1傾斜面50a)を含んでいてもよい。この場合、ゲート部材50の裏面には、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨を傾斜部分に向かって押す押動部分(具体的には、第2傾斜面50b)が設けられていてもよい。また、ゲート部材50の裏面に設けられた傾斜部分および押動部分(具体的には、第1傾斜面50aおよび第2傾斜面50b)は、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨が押動部分(すなわち、第2傾斜面50b)に接触する前に傾斜部分(すなわち、第1傾斜面50a)により向きが変えられるような位置に配置されていてもよい。
また、本実施の形態の硬貨処理装置1においては、上述したように、リジェクトシュート24aの入口24bは、入金搬送部16における搬送面16cの幅方向における中心に対して片側に配置されている。
なお、本実施の形態による硬貨処理装置1は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、入金搬送部16として、硬貨を押動するためのピンが下端部に等間隔で複数設けられた循環ベルト16aを用いた態様について述べたが、入金搬送部16はこのような態様に限定されることはない。入金搬送部16として、硬貨との間に働く摩擦力により当該硬貨を搬送面16c上で搬送するような例えばゴムから形成される丸ベルトが用いられてもよい。
また、上記の説明ではリジェクト部24におけるリジェクトシュート24aの入口24bの近傍に傾斜面17、19が設けられるような態様について述べたが、変形例に係る硬貨処理装置1においてこのような傾斜面17、19の設置が省略されるようになっていてもよい。
また、図6乃至図9に示すようなゲート部材50や、図12乃至図15に示すようなゲート部材60と同様の構成のゲート部材が、入金搬送部16から各金種の硬貨を各硬貨収納部30a〜30eに分岐させるような各金種別分岐部22に用いられるようになっていてもよい。この場合、入金搬送部16から各金種別分岐部22により分岐させられた硬貨を各硬貨収納部30a〜30eに送るような収納シュートが、硬貨を立位状態で自重により各硬貨収納部30a〜30eに送るような構成のものとなっていてもよい。より詳細には、上記の収納シュートの入口が、入金搬送部16における搬送面16cの側方に配置されるか、搬送面16cに配置されており、入金搬送部16において搬送面16cに沿って搬送される硬貨を立位状態に傾ける硬貨傾き変更手段が収納シュートの入口の近傍に設けられている。なお、このような硬貨傾き変更手段は、上述したリジェクト部24に設けられる硬貨傾き変更手段と同様の構成となっている。