[構造]
本発明の実施の一形態を図1ないし図8に基づいて説明する。本実施の形態は、商品の売り上げ処理を実行する商品販売データ処理装置である図示しないPOS端末に接続して使用される硬貨入出金装置について紹介する。
図1は、本実施の形態の硬貨入出金装置1の全体の外観斜視図である。図2は、入出金機構ユニット2aがユニット保持ケース2bから引き出された状態で設置台200の上に設置される硬貨入出金装置1を示す右側側面図である。硬貨入出金装置1の概略構造について、図1および図2に基づいて説明する。
硬貨入出金装置1は、上面が平面で構成されている設置台200に載置されて使用される。硬貨入出金装置1は、図1に示すように、硬貨C(図4参照)の入金及び払い出し処理を行なう入出金機構ユニット2aと、その入出金機構ユニット2aを引き出し及び収納自在に保持するユニット保持ケース2bとから構成されている。
入出金機構ユニット2aの外観を構成するハウジング2dの右側手前には、硬貨Cを投入するために上面が開口された硬貨投入口3が設けられている。ハウジング2dの左側手前には、硬貨Cを払い出すための硬貨払出口4から払い出される硬貨Cを受け止める硬貨受け部4aが設けられている。硬貨投入口3には、光電的に硬貨Cの有無を検出する複数組の投入センサ6(図3参照)が設けられている。硬貨投入口3の底には、硬貨投入口3から投入された硬貨Cを装置内部に搬送させる硬貨搬送路13が形成されている。
入出金機構ユニット2aは、図2に示すように、スライドレール機構2cによってユニット保持ケース2bに対して引き出し及び収納自在に保持されている。その引き出し方向は装置手前側である。
図3は、入出金機構ユニット2aの内部構造を示す平面図である。図4は、収納サブユニット8aの内部構造を示す縦断側面図である。図5は、収納サブユニット8b〜8fの内部構造を示す縦断側面図である。入出金機構ユニット2aの内部構造について、図3ないし図5に基づいて説明する。
入出金機構ユニット2aは、以下に説明する各部がハウジング2dによって硬貨入出金機構Aとしてユニット化されて構成されている。
硬貨入出金機構Aは、硬貨投入口3から投入された硬貨Cを選別収納し、硬貨入出金装置1と接続するPOS端末からの払出指令に応じて硬貨Cを硬貨払出口4に払い出す機構である。この硬貨入出金機構Aは、硬貨選別部7、収納ユニット8、硬貨払出機構10などから構成されている。硬貨選別部7は、硬貨投入口3よりも硬貨入出金装置1の奥側で硬貨搬送路13の終端領域に配置される。硬貨選別部7には、硬貨搬送路13に沿って順に配置される複数個の硬貨落下穴16が設けられている。これらの硬貨落下穴16は、硬貨搬送路13の上流側から順に、硬貨落下穴16a、16b、16c、16d、16e、16fである。硬貨選別部7の下方には収納ユニット8が配置される。収納ユニット8の内部には、仕切板32に仕切られて等間隔の複数列構造に6つの収納サブユニット8a、8b、8c、8d、8e、8fが設けられている。収納サブユニット8a〜8fはそれぞれ、硬貨落下穴16a〜16fに対応して並列に配置されている。
硬貨落下穴16(16a〜16f)のうちの一つである第2の硬貨落下穴である硬貨落下穴16aに対応して、硬貨落下穴16aの下方には収納サブユニット8aが設けられている。収納サブユニット8aは、図4に示すように、上下二層構造をなして配置されている硬貨収納部8x、8yをそれぞれ備える。硬貨収納部8x、8yは、硬貨Cを収納可能な収納空間9x、9yを備える。収納空間9x、9yのそれぞれの底面には硬貨払出機構10が設けられている。硬貨払出機構10は硬貨入出金装置1と接続するPOS端末からの払出指令に応じて駆動し、収納空間9x、9yの底面に貯留されている硬貨Cを硬貨払出口4に向けて搬送して払い出す。
収納サブユニット8b〜8fは、図5に示すように、収納サブユニット8aの下層側の硬貨収納部8yに相当する一層構成の硬貨収納部8zを備える。硬貨収納部8zの底面にも、硬貨収納部8x、8yと同様に、収納空間9zと硬貨払出機構10が設けられている。
つまり、下層側の硬貨収納部8yおよび一層構成の硬貨収納部8zは硬貨落下穴16(16a〜16f)に対応して設けられ、また、上層側の硬貨収納部8xは硬貨収納部8yの上層側に位置づけられて第2の硬貨落下穴である硬貨落下穴16aに対応して設けられている。硬貨収納部8x、8y、8zのいずれにも、個々の硬貨落下穴16から自重で落下する硬貨Cが収納される。
図3に基づいて、硬貨搬送路13について説明する。
硬貨搬送路13は、硬貨投入口3の底から収納ユニット8よりも高い位置まで硬貨Cを搬送する第一の硬貨搬送部11と、第一の硬貨搬送部11によって搬送された硬貨Cを硬貨選別部7へ搬送する第二の硬貨搬送部12とを備えて構成されている。硬貨搬送路13上の硬貨Cは、搬送モータM(図7参照)を駆動源として駆動する搬送ベルト14a、14bにより構成され、硬貨Cを硬貨搬送路13に沿って搬送する硬貨搬送機構14によって、硬貨搬送路13に沿って搬送される。
第一の硬貨搬送部11は、硬貨入出金装置1の奥行き方向に略平行に設けられ、硬貨投入口3に投入された硬貨Cを硬貨入出金装置1の奥側へ搬送する搬送ベルト14aを備える。搬送ベルト14aは、搬送モータMに連結された図示しない駆動ローラに掛け回され、この図示しない駆動ローラにより駆動されるエンドレスベルトである。硬貨投入口3近傍の搬送ベルト14aの途中には、硬貨投入口3に投入された硬貨Cを一枚ずつ分離して送り出すための投入口ローラ21が設けられている。搬送ベルト14aの終端部分には、硬貨Cの搬送方向を略直角に屈曲させるための硬貨案内部22が設けられている。この搬送ベルト14aは、その終端部分が第二の硬貨搬送部12と接続するように配置されている。
第一の硬貨搬送部11の途中で、投入口ローラ21よりも下流側には、金種識別部15が設けられている。金種識別部15は、金種識別センサS(図7参照)と図示しないプロセッサとを備える。金種識別センサSは、励磁コイルおよび検出コイルにより構成される材質センサであり、図示しないプロセッサとデータ通信自在に接続されて構成される。励磁コイルおよび検出コイルは、搬送ベルト14aを挟みこむ位置に位置づけられている。検出コイルは、励磁コイルからは出力される磁力線を検出する。励磁コイルと検出コイルとの間を硬貨Cが通過すると、励磁コイルから検出コイルに向かう磁力線が通過した硬貨Cの材質に影響を受けて変化する。その変化を受けて、検出コイルでは誘起電圧の振幅変化や位相変化が発生する。金種識別センサSは、検出コイルに生じた誘起電圧の振幅変化や位相変化のパターンを図示しないプロセッサに出力する。
金種識別センサSが出力する誘起電圧の振幅変化や位相変化のパターンは、金種識別センサSがセンシングする材質に応じて一定である。硬貨Cの材質は金種ごとに規定されているため、硬貨Cが金種識別センサSにセンシングされると、金種識別センサSは硬貨Cの金種に対応した特定の誘起電圧の振幅変化や位相変化のパターンを出力する。図示しないプロセッサには、硬貨Cの金種ごとの誘起電圧の振幅変化や位相変化のパターンが予め記憶されている。金種識別センサSから図示しないプロセッサに誘起電圧の振幅変化および位相変化のパターンが入力されると、図示しないプロセッサは、入力されたパターンと予め記憶している金種ごとのパターンとを比較し、金種識別センサSにセンシングされた硬貨Cの金種を特定する。入力されたパターンと予め記憶している金種ごとのパターンとを比較した結果図示しないプロセッサが硬貨Cの金種を特定できない場合、図示しないプロセッサは硬貨Cが偽貨であると判定する。
金種識別部15は、上記のような構成で、搬送ベルト14aによって搬送される硬貨搬送路13上の硬貨Cの正偽および金種を判別し、その判別結果に応じた電気信号を制御部64(図7参照)に出力する。
第二の硬貨搬送部12は、硬貨入出金装置1の幅方向に略平行に設けられ、硬貨案内部22によって搬送方向を略直角に屈曲された硬貨Cを硬貨選別部7に搬送する搬送ベルト14bを備える。搬送ベルト14bは、硬貨入出金装置1が水平に設置された状態で、図示しない付勢部材により下方に向けて付勢されており、硬貨Cの平面部を底板23の水平な搬送面23aに圧接させて硬貨Cを硬貨選別部7へ搬送する。この搬送ベルト14bは、駆動ローラ26と従動ローラ27とに掛け渡されて設けられているエンドレスベルトであり、駆動ローラ26に連結された搬送モータM(図7参照)の制御によって回動する駆動ローラ26によって、搬送ベルト14bは駆動される。
底板23には、基準面28が設けられている。この基準面28は、搬送面23aを搬送される硬貨Cの側面を支持する。
次いで、図3に基づいて、硬貨選別部7について説明する。
硬貨選別部7は、硬貨搬送路13の終端領域で、前述した金種識別部15よりも下流側に設けられる。硬貨選別部7を構成する底板23には、硬貨搬送機構14によって硬貨Cが搬送される硬貨搬送路13に沿って6箇所の硬貨落下穴16(16a〜16f)が設けられている。硬貨落下穴16はいずれも同じ形状であり、硬貨入出金装置1で選別される硬貨Cのうち最も大きな直径を備える金種の形状よりも大きく、硬貨Cが自重で落下可能に開口した矩形形状である。
個々の硬貨落下穴16には、矩形平板形状のシャッタ29が設けられている。これらは硬貨Cの搬送方向の上流側から順にシャッタ29a、29b、29c、29d、29e、29fである。シャッタ29(29a〜29f)は、硬貨Cの搬送方向に対し右側の辺が底板23に接続し、下方向に回動自在となっている。シャッタ29は、双方向に回動可能なステッピングモータである開閉モータN(図7参照)と接続されており、初期状態では硬貨落下穴16を閉じて搬送面23aとともに平面をなし、硬貨Cが自重で落下することを防ぐ初期位置に位置づけられ、開閉モータNの駆動に伴って下方向に回動変動する。開閉モータNは、制御部64(図7参照)からの制御によって駆動する。制御部64は電気信号を受信すると、定義ファイル101(図8参照)の定義に基づいて開閉モータNを駆動してシャッタ29を回動させることで、硬貨落下穴16を選択的に開閉させる。また、制御部64は電気信号を受信すると、定義ファイル101の定義に基づいて第2の硬貨落下穴である硬貨落下穴16aから自重で落下する硬貨Cの落下方向に干渉すべく、硬貨落下穴16aに対応するシャッタ29aの停止位置を決定する。より詳細には、シャッタ29を搬送面23aよりも下方で搬送面23aに対して所定の角度をなす第2の位置に停止させて硬貨Cが自重で落下可能なように硬貨落下穴16を開口させたり、第2の位置に位置づけられているシャッタ29を上方向に回動変動させてシャッタ29を初期位置に復帰させたりすることも可能である。
また、第2の硬貨落下穴である16aに対応して設けられているシャッタ29aは、図4に示すように、開閉モータNの駆動によって硬貨落下穴16aから硬貨が落下するのを防ぐ位置Wと、硬貨落下穴16aから自重で落下する硬貨Cに干渉して硬貨Cの落下方向を変更させる位置Xおよび位置Yとの間で回動変位する。シャッタ29aが硬貨落下穴16aからの硬貨Cの自重での落下を可能にする第2の位置でもある位置Xに位置づけられると、硬貨Cは案内経路RX(図6(b)参照)に沿って自重で落下し、上層側の硬貨収納部8xに収納される。また、シャッタ29aが硬貨落下穴16aからの硬貨Cの自重での落下を可能にする第2の位置でもある位置Yに位置づけられると、硬貨Cは案内経路RY(図6(c)参照)に沿って自重で落下し、下層側の硬貨収納部8yに収納される。つまり、第2の硬貨落下穴である16aに対応して設けられているシャッタ29aは、開閉モータNの駆動制御によって位置Xまたは位置Yに位置づけられることによって、硬貨落下穴16aから自重で落下する硬貨Cに対する干渉状態を変動させ、硬貨Cの落下方向を上層側の硬貨収納部8xと下層側の硬貨収納部8yとに選択的に切り替える干渉体を兼ねている。
一方、シャッタ29b〜29fは、開閉モータNの駆動によって、図5に示すように、シャッタ29b〜29fに対応する硬貨落下穴16b〜16fから硬貨が落下するのを防ぐ初期位置である位置W(図5参照)と、硬貨落下穴16aから硬貨Cが自重で落下することを可能にする第2の位置である位置Z(図5参照)との間で回動変位する。シャッタ29b〜29fが位置Zに位置づけられている場合に硬貨Cがシャッタ29b〜29fに対応する硬貨落下穴16b〜16fの上方を通過すると、硬貨Cはその自重で硬貨落下穴16b〜16fから落下し、傾斜ガイド30zに沿って滑り落ち、一層構成の硬貨収納部8zに収納される。
次いで、図4および図5に基づいて、収納ユニット8を構成する硬貨収納部8x、8y、8zについて説明する。
収納サブユニット8aには、硬貨落下穴16aから自重で落下する硬貨Cを金種別に収納する硬貨収納部8x、8yが、上下二層構造に設けられている。硬貨収納部8x、8yは、硬貨Cを収納可能な収納空間9x、9yを備え、個々の硬貨落下穴16から自重で落下する硬貨を上層側の第2の硬貨収納部としての硬貨収納部8xと下層側の第1の硬貨収納部としての硬貨収納部8yとに選択的に別個独立して硬貨Cを受け入れて収納する。収納空間9x、9yの底面には、硬貨払出機構10が設けられている。
上層側の硬貨収納部8xはその奥側に、図4に示す位置Xに位置づけられて停止している状態のシャッタ29aから自重で落下する硬貨Cを収納空間9xの奥側に案内する傾斜ガイド30xが設けられている。傾斜ガイド30xの収納空間9xとは反対側の面には、図4に示す位置Yに位置づけられて停止しているシャッタ29aから自重で落下する硬貨Cを収納空間9yの奥側に案内する傾斜ガイド30yが接続されている。傾斜ガイド30x、30yの両側端は、収納サブユニット8aの側面を形成している仕切板32に接続して支持されている。
収納サブユニット8b〜8fには、硬貨落下穴16b〜16fから自重で落下する硬貨Cを金種別に収納する第1の硬貨収納部としての硬貨収納部8zが、一層構造で設けられている。硬貨収納部8zは、硬貨Cを収納可能な収納空間9zを備え、個々の硬貨落下穴16から自重で落下する硬貨Cを受け入れて収納する。収納空間9zの底面には、硬貨払出機構10が設けられている。
硬貨落下穴16b〜16fの下方には、図5に示す位置Zに位置づけられた状態のシャッタ29b〜29fから自重で落下する硬貨Cを収納空間9zの奥側に案内する傾斜ガイド30zが設けられている。傾斜ガイド30zの両側端は、収納サブユニット8b〜8fの側面を形成している仕切板32に接続して支持されている。
硬貨収納部8x、8y、8zの収納空間9x、9y、9zに硬貨を導入するための硬貨導入口20x、20y、20zの近傍には、計数センサ31x、31y、31zが設けられている。計数センサ31x、31y、31zは、硬貨収納部8x、8y、8zに収納される硬貨Cを検知する。計数センサ31x、31y、31zは、硬貨Cを検知すると制御部64(図7参照)に検知信号を送信する。制御部64は、計数センサ31(31x、31y、31z)から送信される検知信号を受信して硬貨Cの枚数を金種別にカウントする。
次いで、図4および図5に基づいて、硬貨払出機構10について説明する。
硬貨払出機構10は、硬貨収納部8x、8y、8zのそれぞれの底部に設けられている払出ベルト35を備える。払出ベルト35は、図4に示すように、駆動ローラ33と従動ローラ34とに掛け渡されたエンドレスベルトであり、搬送モータM(図7参照)に連結された駆動ローラ33によって駆動され、搬送面35a上の硬貨Cを硬貨払出口4へ向けて搬送する。
硬貨収納部8x、8y、8zの出口部には、硬貨Cを一枚ごとに分離させて通過させる分離ローラ36が、払出ベルト35に対して硬貨C一枚が通過し得る間隔を隔てて配設されている。分離ローラ36は、全ての硬貨収納部8x、8y、8zの出口部に横断するように配設されている。分離ローラ36は搬送モータMにより払出ベルト35とは逆回転駆動して、この分離ローラ36に接触した硬貨Cを回転方向に払いのける。分離ローラ36の下流側には、分離ローラ36を通過した所定枚数の硬貨Cを一列に整列させて待機させる硬貨待機部37が金種ごとに設けられている。各硬貨待機部37には、シャッタソレノイド38が設けられている。シャッタソレノイド38には、硬貨シャッタ39が接続されている。シャッタソレノイド38は、制御部64の制御を受けて、払出ベルト35上を搬送される硬貨Cを一時的に停止させたり必要枚数の硬貨Cを送り出したりするために、硬貨シャッタ39を搬送面35aに対し垂直に進退させる。硬貨シャッタ39の直後には、金種ごとに払い出された硬貨Cの枚数を計数する光センサである払出センサ40や、硬貨Cの材質を検出するための発振コイルである材質センサ41がそれぞれ設けられている。
以上のような構成の収納ユニット8を下方に備える硬貨選別部7では、開閉モータNの駆動によってシャッタ29a〜29fが開閉する。シャッタ29a〜29fが開くと、シャッタ29a〜29fに対応する硬貨落下穴16a〜16fは開口された状態になる。開口された状態の硬貨落下穴16a〜16fの上方を硬貨Cが通過すると、硬貨Cはその開口された状態の硬貨落下穴16a〜16fから自重で落下する。硬貨Cが硬貨落下穴16aから自重で落下した場合、開閉モータNの駆動によって位置Xまたは位置Yに位置づけられて停止しているシャッタ29aによって硬貨Cの落下方向が切り替えられて、上層側の硬貨収納部8xと下層側の硬貨収納部8yとのいずれか一方に選択的に収納される。また、硬貨落下穴16b〜16fから自重で落下する硬貨Cは、一層構成の硬貨収納部8zに収納される。
図6は、開閉モータNの駆動によってシャッタ29aが硬貨Cの落下方向を切り替える様子を示す、収納サブユニット8aの縦断側面図である。以下、開閉モータNの駆動によってシャッタ29aが硬貨Cの落下方向を切り替える動作について、図6に基づいて説明する。
初期状態ではシャッタ29aは、初期位置である位置W(図4参照)に位置づけられて硬貨落下穴16aを閉じ、硬貨落下穴16aから硬貨Cが自重で落下することを防いでいる(図6(a))。
制御部64による開閉モータNの駆動制御によって、シャッタ29aが第2の位置である位置X(図4参照)に位置づけられると、シャッタ29aは上層側の硬貨収納部8xに硬貨Cを導入する硬貨導入口20xと接続して傾斜ガイド30xとともに一連の斜面をなす。シャッタ29aが位置Xに位置づけられた状態で搬送面23a上を搬送されている硬貨Cがシャッタ29aの上方を通過すると、硬貨Cは硬貨落下穴16aから自重で落下し、シャッタ29aおよび傾斜ガイド30xに沿って滑り落ち、ついには上層側の硬貨収納部8xの収納空間9xに収納される(図6(b))。
また、制御部64による開閉モータNの駆動制御によって、シャッタ29aが第2の位置である位置Y(図4参照)に位置づけられた状態で、搬送面23a上を搬送されている硬貨Cがシャッタ29aの上方を通過すると、硬貨Cは硬貨落下穴16から自重落下し、シャッタ29aに沿って滑り落ちた後に傾斜ガイド30yに接触し、傾斜ガイド30yの傾斜している表面に沿ってさらに滑り落ち、ついには下層側の硬貨収納部8yの収納空間9yに収納される(図6(c))。
つまり、本実施の形態の硬貨入出金装置1では、開閉モータNによってシャッタ29a〜29fを駆動させることによって、硬貨落下穴16aを開閉するシャッタ29aの開閉駆動させる駆動部と、自重で落下する硬貨Cの落下運動に干渉する干渉体の変位動作駆動させる駆動部とが共通になっている。
[各部の電気的接続]
図7は、硬貨入出金装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。硬貨入出金装置1に内蔵される各部の電気的接続について、図7に基づいて説明する。
硬貨入出金装置1は、情報処理を実行して各部を制御する制御部64を備える。この制御部64は、各部を集中的に制御するCPU64a、制御プログラム等の固定的データを予め格納するROM64b、金種別の硬貨Cの枚数等の可変的なデータを書換え自在に格納するRAM64c等により構成されている。
制御部64には、表示器62や操作キー63も接続されている。さらに、制御部64には、投入センサ6、計数センサ31、払出センサ40、材質センサ41、金種識別センサS等のセンサ類66、シャッタソレノイド38、搬送モータM、開閉モータN等が接続されている。また、制御部64は、接続インターフェース65を介して、POS端末と接続する。センサ類66は、例えば硬貨Cを光学的に検出した信号やコイルの電圧の変動等を制御部64に入力するものである。
制御部64は、投入センサ6、計数センサ31、払出センサ40、材質センサ41から入力される検出信号に基づいて搬送モータMを駆動制御したり、入力された検出信号に基づいて硬貨Cの枚数を金種別に数える情報処理を実行したりする。搬送モータMが駆動することによって硬貨入出金装置1に設けられている各駆動ローラが回転し、搬送ベルト14a、搬送ベルト14b、払出ベルト35上にある硬貨Cが搬送される。
金種識別センサSは金種識別部15の一部を構成し、硬貨Cの材質をセンシングする。金種識別センサSを備える金種識別部15は、搬送ベルト14aによって搬送される硬貨Cの金種の材質を検出して硬貨Cの金種を判別し、その正偽および金種に応じた電気信号を出力する。制御部64に金種識別部15から出力された電気信号が入力されると、制御部64は、電気信号に基づいて開閉モータNを駆動制御する。なお、開閉モータNは、ここでは1つしか図示しないが、実際にはシャッタ29(29a〜29f)ごとに設けられて、個々に制御部64によって制御される。そのため、複数のシャッタ29(29a〜29f)は、開閉モータNによる駆動制御によってそれぞれ独立に変位する。
シャッタソレノイド38は、制御部64から出力される払出命令に基づき駆動制御され、通電(ON)されることで硬貨シャッタ39を払出ベルト35から離反する方向に変位させ、払出命令で指定された枚数だけ硬貨Cを払い出す。なお、シャッタソレノイド38は、ここでは1つしか図示しないが、実際には金種ごとに設けられて、制御部64によって個別に制御される。
図8は、金種識別部15が識別した金種とシャッタ29(29a〜29f)の停止位置との対応関係を規定する定義ファイルの内容を示す模式図である。定義ファイル101は、金種識別部15が識別した硬貨Cの金種101aと、開閉モータNの駆動によってシャッタ29を変位動作させた後にシャッタ29を停止させる停止位置101bとの対応関係を定義する。なお、図8において、「−」はシャッタ29a〜29fが初期状態である位置W(図4および図5参照)に位置づけられることを示し、「X」はシャッタ29aが開閉モータNの駆動制御によって位置X(図4参照)に位置づけられることを示し、「Y」はシャッタ29aが開閉モータNの駆動制御によって位置Y(図4参照)に位置づけられることを示し、「Z」はシャッタ29b〜29fが開閉モータNの駆動制御によって位置Z(図5参照)に位置づけられることを示している。
一例として、金種識別部15が識別した硬貨Cの金種が「50円玉硬貨」である場合、制御部64は、定義ファイル101を参照して金種101aが「50円玉硬貨」である場合のシャッタ29ごとの停止位置101bを参照し、シャッタ29bを位置Zに位置づけ、シャッタ29a、29c〜29fを位置Wに位置づけるように開閉モータNを駆動制御する。制御部64は、このように開閉モータNが駆動制御した結果、金種が「50円玉硬貨」である硬貨Cは、硬貨落下穴16aを塞いでいるシャッタ29aの上を通過し、シャッタ29bが変位して開口した硬貨落下穴16bから落下し、収納サブユニット8bの硬貨収納部8zの収納空間9zまで到達する。
また、別の一例として、金種識別部15が識別した硬貨Cの金種が偽貨である場合、制御部64は、定義ファイル101を参照して金種101aが「偽貨」である場合のシャッタ29ごとの停止位置101bを参照し、シャッタ29aを位置Xに位置づけ、シャッタ29b〜29fを位置Wに位置づけるように開閉モータNを駆動制御する。制御部64はこのように開閉モータNを駆動制御した結果、偽貨である硬貨Cは、シャッタ29aが変位して開口した硬貨落下穴16aから落下し、収納サブユニット8aの上層側の硬貨収納部8xの収納空間9xまで到達する。
このように定義ファイル101は、金種識別部15が識別した硬貨Cの正偽および金種に応じたシャッタ29a〜29fの開き方を定義する。制御部64は、金種識別部15から入力される電気信号に基づいて、硬貨Cの正偽および金種を判別し、硬貨Cの収納場所として定められている複数の第1の硬貨収納部および第2の硬貨収納部のいずれか一に硬貨Cが収納されるように開閉モータNを選択的に駆動する。より詳細には、制御部64は、金種識別部15から入力される電気信号に基づいて定義ファイル101を参照し、その硬貨Cが収納されるべき硬貨収納部8x、8y、8zの列に対応するシャッタ29を開くように第1の駆動部としての開閉モータNを駆動する。そして、制御部64は、シャッタ29aを開く場合には、開いたシャッタ29aが硬貨Cの落下方向が収納されるべき上層側の硬貨収納部8xまたは下層側の硬貨収納部8yのいずれかの層に向ける位置に位置づけられるように第2の駆動部としての開閉モータNを駆動制御する。つまり、金種識別部15で正偽および金種を識別された硬貨Cは、定義ファイル101での定義に従ってその収納場所が定められることになる。そして制御部64は、この収納場所に硬貨Cを導くために、収納場所の列に対応するシャッタ29を開くように開閉モータNを駆動し、また、第2の硬貨落下穴である硬貨落下穴16aから自重で落下する硬貨Cをその収納場所に導くために、硬貨Cの落下方向が硬貨収納部8x、8yのいずれかの層となる位置にシャッタ29aを位置づけるように開閉モータNを駆動する。
上記のようなデータ構造を有する定義ファイル101は、制御プログラムの一部としての制御部64が備えるROM64bに記憶保持されている。
[作用]
このような構成の硬貨入出金装置1において、硬貨Cが硬貨投入口3に投入されると、投入センサ6がその硬貨Cを検出し、この検出信号により搬送ベルト14a、投入口ローラ21、搬送ベルト14bが駆動される。硬貨投入口3に投入された硬貨Cは、搬送ベルト14aと投入口ローラ21との間で1枚ずつ分離された後に、硬貨搬送機構14により搬送され、金種識別部15を通過する。金種識別部15は、硬貨搬送路13上を一枚ずつ搬送される硬貨Cの正偽および金種を識別して、金種情報を制御部64に入力する。制御部64は、金種識別部15から入力された金種情報を受けて、定義ファイル101を参照し、金種情報に対応する位置に各シャッタ29a〜29fを金種情報に応じた位置に位置づけて落下方向を切り替え、硬貨Cが自重で落下して硬貨Cの金種に対応した硬貨収納部8x、8y、8zに到達するように開閉モータNを駆動制御する。より詳細には、本実施の形態において、偽貨は収納サブユニット8aの上層側の硬貨収納部8xに、1円玉硬貨は収納サブユニット8aの下層側の硬貨収納部8yに、50円玉硬貨は収納サブユニット8bの一層構造の硬貨収納部8zに、5円玉硬貨は収納サブユニット8cの一層構造の硬貨収納部8zに、100円玉硬貨は収納サブユニット8dの一層構造の硬貨収納部8zに、10円玉硬貨は収納サブユニット8eの一層構造の硬貨収納部8zに、500円玉硬貨は収納サブユニット8fの一層構造の硬貨収納部8zにそれぞれ到達するように、制御部64は開閉モータNを駆動制御する。
硬貨搬送路13に沿って硬貨入出金装置1の内部に搬送される硬貨Cは、金種識別部15を通過した後に硬貨案内部22によって略直角に屈曲され、搬送ベルト14aから搬送ベルト14bに受け渡される。硬貨Cは、搬送ベルト14bによって搬送面23aに圧接され、側面を基準面28に沿わせた状態で、搬送ベルト14bの搬送方向に沿って搬送される。
初期位置である位置Wにシャッタ29が位置づけられて閉じられた硬貨落下穴16の上方を硬貨搬送機構14によって搬送される硬貨Cが通過する場合、硬貨Cは硬貨落下穴16から落下することなく次の硬貨落下穴16の位置まで搬送される。
これに対し、シャッタ29が第2の位置に位置づけられて開口している状態の硬貨落下穴16の上方を硬貨搬送機構14によって搬送される硬貨Cが通過する場合、硬貨Cはその開口された状態にある硬貨落下穴16から自重で落下する。
硬貨落下穴16aから硬貨Cが落下した場合、硬貨Cの落下方向は、位置Xもしくは位置Yに位置づけられたシャッタ29aによって落下する硬貨Cが干渉され、上層側の硬貨収納部8xもしくは下層側の硬貨収納部8yのいずれかの層に向けられる。より詳細には、シャッタ29aが位置Xに位置づけられている場合、硬貨落下穴16aから落下した硬貨Cは、シャッタ29aが位置Xに位置づけられたことによって設定された案内経路RX(図6参照)に沿って滑り落ち、上層側の硬貨収納部8xに収納される。一方、シャッタ29aが位置Yに位置づけられている場合、硬貨落下穴16aから落下した硬貨Cは、シャッタ29aが位置Yに位置づけられたことによって設定された案内経路RY(図6参照)に沿って滑り落ち、下層側の硬貨収納部8yに収納される。
硬貨落下穴16b〜16fのいずれか一の硬貨落下穴16から硬貨Cが落下した場合、硬貨Cは位置Zに位置づけられたシャッタ29および傾斜ガイド30zに沿って滑り落ち、硬貨収納部8zに収納される。
定義ファイル101での定義に基づいて制御部64が制御する開閉モータNによって、搬送面23aに設けられている6箇所のシャッタ29のうち1箇所だけ下方向に変位される。ここで、シャッタ29aが下方向に変位される場合には、制御部64は定義ファイル101での定義に基づいて開閉モータNを駆動制御して、シャッタ29aを位置Xもしくは位置Yのいずれかの位置に停止させる。下方向に変位されない残りの5箇所のシャッタ29は、定義ファイル101の定義に基づいて制御部64が制御する開閉モータNによって、搬送面23aとともに平面をなす位置Wに位置づけられる。このように定義ファイル101の定義に基づいてシャッタ29が変位された結果、搬送面23aには硬貨落下穴16が一箇所だけ開口された状態になる。硬貨搬送機構14によって搬送面23a上を搬送される硬貨Cは、一箇所だけ開口された硬貨落下穴16から自重で落下する。
偽貨もしくは1円玉硬貨のいずれかの硬貨Cが硬貨投入口3に投入された場合、硬貨Cは硬貨落下穴16aから自重で落下し、位置Xもしくは位置Yのいずれかの位置に位置づけられたシャッタ29aに落下方向を干渉され、硬貨Cの正偽および金種に対応する硬貨収納部に収納される。より詳細には、偽貨である硬貨Cが硬貨投入口3に投入された場合、硬貨Cは開口された硬貨落下穴16aから自重で落下し、位置Xに位置づけられたシャッタ29aによって落下方向を干渉されて収納サブユニット8aの上層側の硬貨収納部8xに収納される。また、1円玉硬貨である硬貨Cが硬貨投入口3に投入された場合、硬貨Cは開口された硬貨落下穴16aから自重で落下し、位置Yに位置づけられたシャッタ29aによって落下方向を干渉されて収納サブユニット8aの下層側の硬貨収納部8yに収納される。
また、50円玉硬貨、5円玉硬貨、100円玉硬貨、10円玉硬貨および500円玉硬貨のいずれか一の金種の硬貨Cが硬貨投入口3に投入された場合、硬貨Cはその硬貨Cの金種に対応する硬貨収納部8zに対応する硬貨落下穴16b〜16fから自重で落下して、硬貨収納部8zに収納される。
このように本実施の形態の硬貨入出金装置1によれば、硬貨入出金装置1に設けられている硬貨収納部8x、8yは上下二層構造をなし、金種識別部15によって正偽および金種を判別された硬貨Cは、硬貨搬送路13に順に配置された複数個の硬貨落下穴から自然落下した後に干渉体であるシャッタ29によって上下に振り分けられて選択的に収納されるため、硬貨入出金装置1の外形を大きくしないで偽貨収納部を設けることができる。
さらに、本実施の形態の硬貨入出金装置1では、硬貨落下穴16を開閉するシャッタ29を開閉駆動する駆動部と、自重で落下する硬貨Cの落下運動に干渉する干渉体の変位動作駆動させる駆動部とは共通であり、ともに開閉モータNから伝達されるため、硬貨入出金装置1の外形をさらにコンパクトにすることができる。
さらに、本実施の形態の硬貨入出金装置1では、シャッタ29aは開閉モータNの駆動制御によって位置Xまたは位置Yに位置づけられて硬貨落下穴16から自重で落下する硬貨Cに対する干渉状態を変動させ、硬貨Cの落下方向を上層側の硬貨収納部8xと下層側の硬貨収納部8yとに選択的に切り替える干渉体を兼ねることによって、硬貨Cを硬貨収納部8x、8yの層ごとに振り分ける新たな機構を設ける必要がないため、硬貨入出金装置1の外形をさらにコンパクトにすることができる。
なお、本実施の形態では、自重で落下する硬貨Cを上下二層構造の硬貨収納部8x、8yに選択的に振り分けるためにシャッタ29をステッピングモータによって開閉させているが、硬貨シャッタ39と同様の機構でプル型ソレノイドを用いてシャッタ29を引くことでシャッタ29を開閉させても良い。
[別の実施の形態]
次いで、別の実施の形態を図9ないし図11に基づいて説明する。この場合、図1ないし図8に基づいて説明した実施の一形態と同一の部分は同一符号で示し、説明も省略する。
本発明の別の実施の一形態の硬貨入出金装置1は、50円玉硬貨、5円玉硬貨、100円玉硬貨、10円玉硬貨および500円玉硬貨は硬貨選別部7において、それぞれの金種の硬貨の外形と同じ大きさを備える選別穴によって選別される点が、前述した実施の形態と相違する。
図9は、入出金機構ユニット2aの内部構造を示す平面図である。
本実施の形態の硬貨落下穴16b〜16fは、順に50円玉硬貨、5円玉硬貨、100円玉硬貨、10円玉硬貨、500円玉硬貨に対応しており、これらの硬貨落下穴16b〜16fは、一辺の長さが対応する金種の硬貨の直径と同じ正方形形状に開口して設けられている。硬貨落下穴16b〜16fにはシャッタ29b〜29fは設けられておらず、開口された状態になっている。
図10は、収納サブユニット8b〜8fの内部構造を示す縦断側面図である。
本実施の形態の傾斜ガイド30zは、硬貨落下穴16b〜16f直下で、硬貨入出金装置1の奥側に向けて僅かに下り勾配をなすように配置される。
図11は、金種識別部15が識別した金種とシャッタ29(29a)の停止位置との対応関係を規定する定義ファイルの内容を示す模式図である。
本実施の形態の定義ファイル101は、シャッタ29aについてのみ、金種識別部15が識別した硬貨Cの金種101aに対応したシャッタ29を停止させる停止位置101bを定義している。そして、金種識別部15が識別した硬貨Cが「偽貨」である場合、制御部64は定義ファイル101を参照してシャッタ29aを位置Xに位置づける。また、金種識別部15が識別した硬貨Cが「一円玉硬貨」である場合、制御部64は定義ファイル101を参照してシャッタ29aを位置Yに位置づける。また、金種識別部15が識別した硬貨Cが「偽貨」および「一円玉硬貨」のいずれでもない場合、制御部64は定義ファイル101を参照してシャッタ29aを位置Wに位置づける。
本実施の形態の硬貨入出金装置1によっても、前述した実施の形態の硬貨入出金装置1と同様に、硬貨入出金装置1の外形を大きくしないで偽貨収納部を設けることができる。さらに、本実施の形態の硬貨入出金装置1では、金種識別部15によって識別する硬貨Cの種類が少なくなるために硬貨Cの金種の誤認識が発生する確率が減少し、さらに、変位動作を行わせて硬貨Cの落下方向を切り替えるシャッタ29の数が少なくなるために、硬貨入出金機構Aの構造が複雑にならない。
[別の実施の形態]
次いで、別の実施の形態を図12および図13に基づいて説明する。この場合、図1ないし図8に基づいて説明した実施の一形態、および、図9ないし図11に基づいて説明した実施の一形態と同一の部分は同一符号で示し、説明も省略する。
本発明の別の実施の一形態の硬貨入出金装置1は、偽貨が一層構造の硬貨収納部に収納され、上下二層構造に設けられている二つの硬貨収納部のいずれにも正貨が収納される点が、図9ないし図11に基づいて前述した実施の形態と相違する。
本実施の形態の硬貨入出金装置1では、収納サブユニット8cに上層側の第2の硬貨収納部と下層側の第1の硬貨収納部とが上下二層構造に設けられており、収納サブユニット8a、8b、8d〜8fには第1の硬貨収納部のみが一層構造に設けられている。つまり、収納サブユニット8cに対応する硬貨落下穴16cが第2の硬貨落下穴に相当する。
図12は、入出金機構ユニット2aの内部構造を示す平面図である。
本実施の形態の硬貨落下穴16bは1円玉硬貨に、硬貨落下穴16dは100円玉硬貨に、硬貨落下穴16eは10円玉硬貨に、硬貨落下穴fは500円玉硬貨にそれぞれ対応しており、これらの硬貨落下穴16b、16d〜16fは、一辺の長さが対応する金種の硬貨の直径と同じ正方形形状に開口して設けられている。硬貨落下穴16b、16d〜16fにはシャッタ29b、29d〜29fは設けられておらず、開口された状態になっている。
本実施の形態の硬貨落下穴16aは偽貨に対応しており、500円玉硬貨よりも大きい形状に開口して設けられている。硬貨落下穴16aにはシャッタ29aが設けられている。硬貨落下穴16aの下方の収納サブユニット8aには、一層構造の硬貨収納部8zが設けられている。
本実施の形態の硬貨落下穴16cは50円玉硬貨および5円玉硬貨の両方に対応しており、両方の金種の硬貨が自重で落下可能な形状に開口されて設けられている。硬貨落下穴16cにはシャッタ29cが設けられている。硬貨落下穴16cの下方の収納サブユニット8cには、上下二層構造の硬貨収納部8x、8yが設けられている。
図13は、金種識別部15が識別した金種とシャッタ29(29a)の停止位置との対応関係を規定する定義ファイルの内容を示す模式図である。
本実施の形態の定義ファイル101は、シャッタ29a、29cについて、金種識別部15が識別した硬貨Cの金種101aに対応したシャッタ29を停止させる停止位置101bを定義している。金種識別部15が識別した硬貨Cが「偽貨」である場合、制御部64は定義ファイル101を参照してシャッタ29aを位置Zに位置づけ、シャッタ29cを位置Wに位置づける。また、金種識別部15が識別した硬貨Cが「50円玉硬貨」である場合、制御部64は定義ファイル101を参照してシャッタ29aを位置Wに位置づけ、シャッタ29cを位置Xに位置づける。また、金種識別部15が識別した硬貨Cが「5円玉硬貨」である場合、制御部64は定義ファイル101を参照してシャッタ29aを位置Wに位置づけ、シャッタ29cを位置Yに位置づける。金種識別部15が識別した硬貨Cが「1円玉硬貨」、「100円玉硬貨」、「10円玉硬貨」および「500円玉硬貨」のいずれか一の金種である場合、制御部64は定義ファイル101を参照してシャッタ29a、29cを位置Wに位置づける。
本実施の形態の硬貨入出金装置1によっても、前述した実施の形態の硬貨入出金装置1と同様に、硬貨入出金装置1の外形を大きくしないで偽貨収納部を設けることができる。さらに、本実施の形態の硬貨入出金装置1では、使用頻度が少なく収納量が少ないと思われる50円玉硬貨および5円玉硬貨を上下二層構造に設けられた硬貨収納部8x、8yのそれぞれに選択的に収納させることにより、硬貨収納部8x、8yに収納される硬貨がオーバーフローすることを抑えることができる。
なお、本発明においては、上下二層構造に配置される硬貨収納部8x、8yはいずれの収納サブユニット8a〜8fに設けてもよく、また、偽貨収納部として用いる硬貨収納部は、一層構成の硬貨収納部8zと、上下二層構造に配置される硬貨収納部8x、8yとのいずれを用いることも可能である。しかし、偽貨収納部を硬貨投入口3から投入されうる偽貨の大きさは様々であるため、偽貨収納部として用いる硬貨収納部8x、8y、8zに対応する硬貨落下穴16まで偽貨を到達させるためには、偽貨収納部に対応する硬貨落下穴16も含めこれよりも硬貨搬送路13の上流側に設けられている全ての硬貨落下穴16にシャッタ29を設ける必要がある。
また、上下二層構造の硬貨収納部に対応させる第2の硬貨落下穴には異なる2金種の硬貨が通過する。つまり、第2の硬貨落下穴では硬貨Cの外形によって1金種を特定することができない。そのため、第2の硬貨落下穴にもシャッタ29を設ける必要がある。
1…硬貨入出金装置、3…硬貨投入口、4…硬貨払出口、7…硬貨選別部、8a〜8f…収納サブユニット(列)、8x…第2の硬貨収納部、8y、8z…第1の硬貨収納部、10…硬貨払出機構、13…硬貨搬送路、14…硬貨搬送機構、15…金種識別部、16…硬貨落下穴、16a…第2の硬貨落下穴、29…シャッタ(干渉体)、C…硬貨、N…開閉モータ(第1の動力部、第2の動力部)、W…初期位置、X、Y…第2の位置