JP6629283B2 - カナル型イヤホン及びカナル型イヤホンのアダプタ - Google Patents

カナル型イヤホン及びカナル型イヤホンのアダプタ Download PDF

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本発明は、クロスフィールド(crossfeed)機能によって頭内定位を改善したカナル型イヤホン及びカナル型イヤホンのアダプタに関するものである。
特許文献1には、放音部を外耳道入口に挿入して用いるカナル型イヤホンが記載されている。このカナル型イヤホンでは、電気音響変換器であるドライバユニットから発生する音波を、外耳道入口に伝達する導音部として、経路長の異なる独立した2つの導音管を有している。そして、ドライバユニットから発生し、2つの導音管を通過した2つの音波が、聴取者の外耳道入口で合成され、その2つの導音管の経路差を1/2波長とする周波数の音圧を抑制するようになっている。このような構成により、両端閉管共振による望ましくない周波数における音圧ピークを抑制しながら、音域全体の音量の低下を防止でき、イヤホンを装着しない場合と遜色の無い音質を実現できるという効果がある。
しかし、特許文献1のカナル型イヤホンでは、経路長の異なる2つの導音管を、外耳道入口に挿入できる太さの中に収めないといけないので、1つの導音管の断面積が小さくなり、その結果、空気の粘性抵抗で高域が減衰するという問題があった。
そこで、その問題を解決するために、特許文献2に記載されたカナル型イヤホンでは、2つ以上の電気音響変換器であるドライバユニットと、このドライバユニットのそれぞれに付随し、各々の経路長の異なる導音管と、を備えている。そして、2つ以上のドライバユニットから同じ位相で発生し、それぞれの導音管を通過した音波が外耳道入口で合成され、その2つ以上の導音管の間の経路差を1/2波長とする周波数の音圧を抑制するようになっている。このような構成により、両端閉管共振による望ましくない周波数における音圧ピークを抑制しながら、音域全体の音量の低下を防止し、イヤホンを装着しない場合と遜色の無い音圧−周波数特性等を実現できるという効果がある。
特許第4681698号公報 特許第4953490号公報
しかしながら、特許文献1、2のカナル型イヤホンを含めたイヤホン及びヘッドホンの音声再生全般の課題として、スピーカの音声再生と比較して、音場が頭の中にできる頭内定位のため、自然環境と比較して不自然であり、臨場感のある再生音を得ることが困難であった。以下、この課題について詳細に説明する。
図15は、聴取者の耳による音源の知覚を説明する図である。
自然界の音(つまり音源)1は、1点から発生して聴取者2の左耳2L及び右耳2Rの両耳2L,2Rに届く。この時、両耳2L,2Rには、耳介や頭部・身体等の影響を受け、左耳2Lと右耳2Rとに異なる周波数特性(音色)の音が届く。又、音源1の方向により、到達時間差τが生じる。聴取者2は、それらの情報を基に、音源1の方向・距離等を判断しているものと思われる。
聴取者2の周りに音源1を移動させたときの両耳2L,2Rの音圧差Δpと位相差Δφを考える。
例えば、公知文献(富士通テン技報、Vol.2,No.2(1984年)、藤田・若松・加藤・本島・長野著「側方スピーカを付加したステレオ音場の解析」p.47、図6「実音源によるΔp−Δφ」)に記載されているように、500Hzの音源1を、聴取者2を中心とする半円上に移動させた場合、聴取者2の左耳2L及び右耳2Rの音圧差Δpと位相差Δφは、次のようになる。即ち、音圧差Δpがプラスの領域は、右耳2Rの音圧が高く、位相差Δφがプラスの領域は、右耳2Rの位相が進んでいる。例えば、聴取者2から見て、正面から右30°の音源位置では、右耳2Rの音圧が4dB高く、位相が0.4π進んでいる。
図16は、スピーカを使ったステレオ音源の再生を示す図である。
ステレオ音源の再生では、前方の左側スピーカ3L及び右側スピーカ3Rから、音が両耳2L,2Rで再生されるよう音圧差・位相差をつけた音を送り出し、図16に近似するような、所望の音場を形成している。この時、左耳2Lには、左側スピーカ3Lからの直接音である第1音波Lと、右側スピーカ3Rからの第2遅延音波Raとが届き、右耳2Rには、右側スピーカ3Rからの直接音である第2音波Rと、左側スピーカ3Lからの第1遅延音波Laとが届いている。
図17は、ヘッドホンによるステレオ音源の再生を示す図である。
ヘッドホン再生の音源としては、通常、図16の再生を前提とした音源が流用されている。そして、ヘッドホン再生では、図17のように、両耳2L,2Rの近くに左側スピーカ3L及び右側スピーカ3Rが置かれる。この時、左耳2Lには左側スピーカ3Lからの直接音である第1音波L、右耳2Rには右側スピーカ3Rからの直接音である第2音波Rが届いている。
この聴取条件では、第1、第2遅延音波La,Raの再生が望めないため、図16のような音場は形成されない。同じく、図15のような自然界の音の聴取条件とも異なるため、聴取者2の脳が混乱し、頭の中に音源がある、いわゆる頭内定位現象を生じる。この頭内定位現象が、ヘッドホン・イヤホン聴取時の音質悪化の一因となっている。
例えば、従来の特許文献1、2のカナル型イヤホンでは、スピーカ再生を前提とした音源を使いながら、第1、第2音波L,Rだけを再生していて、第1、第2遅延音波La,Raの再生を考慮していないので、頭内定位現象による品質悪化の課題がある。
これらを解決するために、従来、例えば、デジタル・シグナル・プロセッサ(以下「DSP」という。)を使って頭内定位を改善する提案がされているが、信頼性の高いものが実現されていない。又、DSPを使ったものは、電子回路を使用するため、構造が複雑で、高価であり、普及の妨げにもなっている。
本発明の目的は、音響回路で遅延回路を作り、第1、第2遅延音波La,Raを再生することで、従来のカナル型イヤホンの音質を改善しようとするものである。
本発明のカナル型イヤホンは、左耳用の第1イヤホンと、右耳用の第2イヤホンと、遅延チューブと、ヘルムホルツ吸収回路と、を備えている。
前記左耳用の第1イヤホンは、聴取者の左外耳道へ挿入される第1導音部が突設された第1ハウジングと、前記第1ハウジング内に収容され、左右一対の第1音声信号及び第2音声信号を含むステレオ信号のうちの前記第1音声信号を入力して第1音波に変換する第1ドライバユニットと、を有している。前記右耳用の第2イヤホンは、前記聴取者の右外耳道へ挿入される第2導音部が突設された第2ハウジングと、前記第2ハウジング内に収容され、前記第2音声信号を入力して第2音波に変換する第2ドライバユニットと、を有している。
前記遅延チューブは、音源から前記聴取者の左耳と右耳とに到来する音波の到達距離差に基づいて設定されたチューブ長を有し、前記第2ハウジング内の前記第2音波の位相を所定時間遅れさせた第2遅延音波を、前記第1ハウジングへ導入し、前記第1ハウジング内の前記第1音波の位相を前記所定時間遅れさせた第1遅延音波を、前記第2ハウジングへ導入するものである。更に、前記ヘルムホルツ吸収回路は、前記遅延チューブに設けられ、前記第1遅延音波及び前記第2遅延音波の特定周波数を除去して位相干渉を防止する回路である。
そして、前記第1ハウジングは、前記第1音波と前記第2遅延音波とを合成して第1合成音を再生し、前記第1合成音を前記第1導音部から前記左外耳道へ放出し、前記第2ハウジングは、前記第2音波と前記第1遅延音波とを合成して第2合成音を再生し、前記第2合成音を前記第2導音部から前記右外耳道へ放出する、ことを特徴とする。
本発明のカナル型イヤホンのアダプタは、第1補助ハウジングと、第2補助ハウジングと、遅延チューブと、ヘルムホルツ吸収回路と、を備えている。
第1補助ハウジングは、左右一対の第1音声信号及び第2音声信号を含むステレオ信号のうちの前記第1音声信号を入力して第1音波に変換するカナル型の第1イヤホンに対して、着脱自在に取り付けられ、前記第1音波を聴取者の左外耳道へ放出するものである。前記第2補助ハウジングは、前記第2音声信号を入力して第2音波に変換するカナル型の第2イヤホンに対して、着脱自在に取り付けられ、前記第2音波を前記聴取者の右外耳道へ放出するものである。
前記遅延チューブは、音源から前記聴取者の左耳と右耳とに到来する音波の到達距離差に基づいて設定されたチューブ長を有し、前記第2補助ハウジング内の前記第2音波の位相を所定時間遅れさせた第2遅延音波を、前記第1補助ハウジングへ導入し、前記第1補助ハウジング内の前記第1音波の位相を前記所定時間遅れさせた第1遅延音波を、前記第2補助ハウジングへ導入するものである。更に、前記ヘルムホルツ吸収回路は、前記遅延チューブに設けられ、前記第1遅延音波及び前記第2遅延音波の特定周波数を除去して位相干渉を防止する回路である。
そして、前記第1補助ハウジングは、前記第1音波と前記第2遅延音波とを合成して第1合成音を再生し、前記第1合成音を前記左外耳道へ放出し、前記第2補助ハウジングは、前記第2音波と前記第1遅延音波とを合成して第2合成音を再生し、前記第2合成音を前記右外耳道へ放出する、ことを特徴とする。
本発明のカナル型イヤホンによれば、第1音声信号及び第2音声信号を含むステレオ音声信号のうちの、第1音声信号を第1ドライユニットに加え、第2音声信号を第2ドライバユニットに加え、遅延チューブによって遅延音波を作り、第1、第2ドライバユニットからそれぞれ放出される第1、第2音波と、その第1、第2遅延音波と、をそれぞれ合成して第1、第2合成音を再生するようにしている。更に、遅延チューブに設けられたヘルムホルツ吸収回路により、第1、第2遅延音波の特定周波数を除去して位相干渉を防止している。特に、従来のカナル型イヤホンでは再生されていない遅延音波を加えることで、頭内定位感の軽減、広い音場感、及び立体感を得ることができる。これにより、音源定位感の向上と臨場感の向上が図れる。更に、構造が簡単であるため、信頼性の高い再生機能と低コスト化が可能になる。
本発明のカナル型イヤホンのアダプタによれば、従来のカナル型イヤホンに第1、第2補助ハウジングを着脱自在に取り付け、遅延チューブによって遅延音波を作り、第1、第2補助ハウジング内において、第1、第2音波とその第1、第2遅延音波とをそれぞれ合成して第1、第2合成音を再生するようにしている。更に、遅延チューブに設けられたヘルムホルツ吸収回路により、第1、第2遅延音波の特定周波数を除去して位相干渉を防止している。これにより、音の広がりと、音質が改善され、従来のカナル型イヤホンを使って、手軽に広音場を楽しむことができる。
本発明の参考例におけるカナル型イヤホンの原理を示す概略の構成図 図1(a)の模式的な断面図 図1(b)の動作波形図 図3のベクトル表示を示す図 チューブ長Hのシミュレーション条件を示す図 チューブ長Hのシミュレーション波形 計算例を示す図 チューブ長Hが400mmの実験結果を示す波形図 図1の第1音波L、第2遅延音波Ra、及び第1合成音(L+Ra)の波形図 位相干渉を示す波形図 本発明の実施例1におけるカナル型イヤホンの原理を示す概略の構成図 図9の模式的な断面図 図10のヘルムホルツ吸収回路50の原理を説明するための模式図 図9の第1音波L、第2遅延音波Ra、及び第1合成音(L+Ra)の波形図 位相干渉を示す波形図 本発明の実施例2におけるカナル型イヤホンのアダプタを示す概略の構成図 聴取者の耳による音源の知覚を説明する図 スピーカを使ったステレオ音源の再生を示す図 ヘッドホンによるステレオ音源の再生を示す図
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい参考例及び実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
[参考例]
参考例の構成)
図1(a)、(b)は、本発明の参考例におけるカナル型イヤホンの原理を示す概略の構成図であり、同図(a)は全体の構成図、及び同図(b)は左耳用の第1イヤホンの等価回路図である。更に、図2(a)、(b)は、図1(a)の模式的な断面図であり、同図(a)は全体の断面図、及び同図(b)は左耳用の第1イヤホンの拡大断面図である。
図1(a)及び図2(a)、(b)に示すように、本参考例のカナル型イヤホン10は、左右一対の左耳用の第1イヤホン10L及び右耳用の第2イヤホン10Rを備えている。第1イヤホン10L及び第2イヤホン10Rには、ステレオ音声信号である一対の左耳用の第1音声信号SL及び右耳用の第2音声信号SRを入力するコード11が接続されている。第1イヤホン10Lと第2イヤホン10Rとは、同一の構成である。
第1イヤホン10Lは、音響部品を収容するための筐体である第1ハウジング20Lを有している。第1ハウジング20L内には、電気音響変換器である第1ドライバユニット30Lが収容されている。第1ドライバユニット30Lは、左耳用の第1音声信号SLを入力して第1音波Lに変換するものである。第1ハウジング20Lは、耳側前方の第1前方ハウジング(以下「第1フロントハウジング」という。)21Lと、この背面側の第1後方ハウジング(以下「第1リヤハウジング」という。)22Lと、が接合される構造なっており、その接合箇所付近に、第1ドライバユニット30Lが配設されている。
第1ドライバユニット30Lは、マグネット31、ボイスコイル32、及び振動板であるダイヤフラム33等によって構成されている。この第1ドライバユニット30Lでは、マグネット31により構成された磁気回路中に、ボイスコイル32を有するダイヤフラム33が配置され、そのボイスコイル32に、コード11を介して入力された第1音声信号SLに従い、ダイヤフラム33を駆動し、このダイヤフラム33の前の空気に対して粗密状態を変化させることにより、入力された第1音声信号SLに応じた第1音波Lを放出するような構成になっている。第1ハウジング20L内の他のレジスタ等の音響部品は、説明を簡単にするために、図示されていない。
第1フロントハウジング21Lの前方には、聴取者2の左耳2Lの左外耳道(左耳孔)へ挿入される第1導音部が突設されている。第1導音部は、第1フロントハウジング21Lの前方へ突設された円筒状の第1導音管21aLと、この第1導音部21aLへ着脱自在に装着される楕円体傘形の第1イヤピース23Lと、により構成されている。第1イヤピース23Lは、左耳孔へ挿入されるため、シリコーンゴム等の弾性部材により形成されている。更に、第1フロントハウジング21Lには、軟質樹脂等で形成された遅延チューブ40の一端開口部が取り付けられている。
右耳用の第2イヤホン10Rは、左耳用の第1イヤホン10Lと同様に、第2ハウジング20Rを有し、この第2ハウジング20R内に、第2ドライバユニット30Rが収容されている。第2ドライバユニット30Rは、右耳用の第2音声信号SRを入力して第2音波Rに変換するものである。第2ハウジング20Rは、耳側前方の第2前方ハウジング(以下「第2フロントハウジング」という。)21Rと、この背面側の第2後方ハウジング(以下「第2リヤハウジング」という。)22Rと、が接合される構造なっており、その接合箇所付近に、第2ドライバユニット30Rが配設されている。第2ドライバユニット30Rは、コード11から入力された第2音声信号SRを第2音波Rに変換する機器である。
第2フロントハウジング21Rの前方には、聴取者2の右耳2Rの右外耳道(右耳孔)へ挿入される第2導音部が突設されている。第2導音部は、第2フロントハウジング21Rの前方へ突設された円筒状の第2導音管21aRと、この第2導音部21aRへ着脱自在に装着される楕円体傘形の第2イヤピース23Rと、により構成されている。第2イヤピース23Rは、弾性部材により形成されている。更に、第2フロントハウジング21Rには、遅延チューブ40の他端開口部が取り付けられている。
図1(a)で示すように、遅延チューブ40は、図15の音源1から聴取者2の左耳2Lと右耳2Rとに到来する音波の到達距離差(即ち、到達時間差)τに基づいて設定された所定のチューブ長Hを有している。そして、遅延チューブ40は、第2フロントハウジング21R内の第2音波Rの位相を所定時間遅れさせた第2遅延音波Raを、第1フロントハウジング21Lへ導入すると共に、第1フロントハウジング21L内の第1音波Lの位相を所定時間遅れさせた第1遅延音波Laを、第2フロントハウジング21Rへ導入する機能を有している。
第1フロントハウジング21Lは、第1ドライバユニット30Lから出力された第1音波Lと、遅延チューブ40から入力された第2遅延音波Raと、を合成して第1合成音(L+Ra)を再生し、この第1合成音(L+Ra)を第1導音管21aL及び第1イヤピース23Lを介して左耳孔へ放出する機能を有している。同様に、第2フロントハウジング21Rは、第2ドライバユニット30Rから出力された第2音波Rと、遅延チューブ40から入力された第1遅延音波Laと、を合成して第2合成音(R+La)を再生し、この第2合成音(R+La)を第2導音管21aR及び第2イヤピース23Rを介して右耳孔へ放出する機能を有している。
参考例の動作)
左耳用の第1イヤホン10Lは、コード11から送られてくる左耳用の第1音声信号SLを入力する。入力された第1音声信号SLは、第1ドライバユニット30Lによって左耳用の第1音波Lに変換される。同様に、右耳用の第2イヤホン10Rは、コード11から送られてくる右耳用の第2音声信号SRを入力する。入力された第2音声信号SRは、第2ライバユニット30Rよって右耳用の第2音波Rに変換される。
左耳用の第1イヤホン10Lで変換された第1音波Lは、遅延チューブ40によって遅延されて位相が遅れた第1遅延音波Laが生成され、右耳用の第2イヤホン10Rの第2フロントハウジング21Rへ送られる。同様に、右耳用の第2イヤホン10Rで変換された第2音波Rは、遅延チューブ40によって遅延されて位相が遅れた第2遅延音波Raが生成され、左耳用の第1イヤホン10Lの第1フロントハウジング21Lへ送られる。
第1フロントハウジング21L内において、変換された第1音波Lと第2遅延音波Raとが合成され、左耳用の第1合成音(L+Ra)が再生される。再生された第1合成音(L+Ra)は、第1導音管21aLを経由して、第1イヤピース23Lから聴取者2の左耳孔へ導かれる。第2フロントハウジング21R内において、変換された第2音波Rと第1遅延音波Laとが合成され、右耳用の第2合成音(R+La)が再生される。再生された第2合成音(R+La)は、第2導音管21aRを経由して、第2イヤピース23Rから聴取者2の右耳孔へ導かれる。
参考例のカナル型イヤホン10では、従来のカナル型イヤホンでは再生されていない第1、第2遅延音波La,Raを第2、第1音波R,Lにそれぞれ加えることで、頭内定位感が軽減されて広い音場感と立体感が得られる。これにより、音源定位感の向上と臨場感の向上が図れる。
参考例の実験結果)
先ず、図1(b)を参照して、音波合成による位相干渉について考察する。
図3は、図1(b)の動作波形図であり、横軸は時間(s)、縦軸は音圧(dB)である。
この図3には、左耳用の第1ドライバユニット30Lから出力される第1音波Lと、遅延チューブ40による位相遅れ角度xだけ遅れている第2遅延音波Raと、が示されている。
波長をλ、チューブ長をH、位相遅れ角度をxとすると、次式(1)の関係がある。
λ:H=2π:x (1)
位相遅れ角度xは、式(1)に基づいて、次式(2)から算出できる。
x=(2π/λ)H=kH (2)
但し、k=2π/λ=ω/c
k;波数(波長定数)
ω=2πf;角周波数
f;周波数
c;音速
図4は、図3のベクトル表示を示す図である。
第1音波Lと第2遅延音波Raとが合成されて、第1合成音(L+Ra)となる。
図4は、式(3)で表せる。
(L+Ra・cosx)+(Ra・sinx)=(L+Ra) (3)
式(3)を展開すると、式(4)になる。
+2L・Ra・cosx+(Ra・cosx)
+(Ra・sinx)
=L+Ra+2L・Ra・cosx=(L+Ra) (4)
従って、第1合成音(L+Ra)は、式(5)のようになる。
(L+Ra)=√(L+Ra+2L・Ra・cosx) (5)
第1ドライバユニット30L及び第2ドライバユニット30Rに同位相・同レベルで入力される音声信号の合成音が(L+Ra)となる。第1ドライバユニット30L及び第2ドライバユニット30Rに同位相・同レベルで入力される音声信号とは、図16において正面・中央に定位する音である。多くの音楽では、ボーカルとベースを正面・中央に定位させているので、それらが位相干渉の影響を受ける。
正面・中央以外に定位するように意図された音は、左チャンネル及び右チャンネルにレベル差及び位相差をつけて録音されている。この場合の位相干渉は、正面・中央に定位する音よりも小さいと推定される。
最適なチューブ長Hの算出例を説明する。
図5A、図5B及び図5Cは、チューブ長Hのシミュレーションを示す図であり、図5Aはチューブ長Hのシミュレーション条件、図5Bはチューブ長Hのシミュレーション波形、及び図5Cは計算例を示す図である。図5Bの波形図の横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
図5に示すように、第1ドライバユニット30Lから出力される第1音波L、遅延チューブ40による位相遅れ角度xだけ遅れている第2遅延音波Ra、及びチューブ長Hの条件を指定する。例えば、音速は340m/s、チューブ長Hは400mm、第1音波L及び第2遅延音波Raは1、第1低下(dip)周波数は0.425kHzに指定する。そして、左側チャンネル及び右チャンネルに同相及び同振幅で入力される音声信号の出力特性をシミュレートした。
左チャンネル及び右チャンネルに同相及び同振幅で入力される音声信号とは、正面・中央に定位する音源1を想定している。ここには主に、ボーカル及びベースが定位するので、音源再生上、重要な特性になる。このシミュレート結果の波形図が図5に示されている。更に、図4の式(5)を計算する。この計算結果が図5に示されている。なお、音速c、チューブ長H、第1音波L及び第2遅延音波Raは変更できる。
(I) 実験結果
図6は、チューブ長Hが400mmの実験結果を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
横方向への音の広がり感を期待して、つまり音の広がり感最大(真横からの音)を想定して、チューブ長Hを400mmにして実験した。矢印1,3,5の周波数では音圧が高く、矢印2,4,6の周波数では音圧が低下している。
図7は、図1の第1音波L、第2遅延音波Ra、及び第1合成音(L+Ra)の波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
左チャンネルだけに第1音声信号SLを加えた時の第1ドライバユニット30Lから出力された第1音波Lは、図7の実線のようになった。同じく、第2音声信号SKを加えた時の遅延チューブ40から出力された第2遅延音波Raは、図7の点線のようになった。又、第1音声信号SL及び第2音声信号SRを同時に加えた時の第1合成音(L+Ra)は破線のようになった。
なお、図7では、第1イヤピース23Lを測定カプラに挿入し、第2イヤピース23R側は粘土で密閉して測定している。これは、第1、第2イヤピース23L,23Rが耳孔に挿入された状態を想定した測定である。
図8は、位相干渉を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
図7の破線の第1合成音(L+Ra)と実線の第1音波Lの差を計算したところ、図8のようになった。図8の波形において、矢印1,3,5の周波数では音圧が高く、矢印2,4,6の周波数では音圧が低下している。
この図8を図6と比較すると、矢印1〜6の箇所で、位相干渉による増加・減衰が極めて良く一致していることが分かる。なお、図8の広域側の干渉が減少しているのは、図7の点線の第2遅延音波Raで示すように、遅延チューブ40による第2音波Rの広域の減衰によるものである。
これらの実験結果から、図1の構造は、期待通りの動作をしていると判断される。
(II) 試聴と評価
図1のカナル型イヤホン10を作成して試聴したところ、音の広がりは感じるが、前面中央に定位する、主にボーカルの音質が不満だった。図7の破線で示される第1合成音(L+Ra)における400Hzの位相干渉の影響が大きいことが分かる。
参考例の効果)
参考例のカナル型イヤホン10によれば、次の(1)〜(5)のような効果がある。
(1) 従来のカナル型イヤホンでは再生されていない第1、第2遅延音波La,Raを再生し、遅延時間をチューブ長Hで調整できるので、頭内定位感の軽減、広い音場感、及び立体感を得ることができる。これにより、音源定位感の向上と臨場感の向上が図れる。
音源にもよるが、従来、両耳2L,2Rの位置に定位していた音は、両耳2L,2Rの外側に10cm〜20cm程度、離れた場所に定位している。元々、両耳2L,2Rから離れて定位していた音は、更に遠方に定位している。音の横方向の広がりは、従来のカナル型イヤホンよりは非常に改善されている。
(2) 頭内定位改善は、スピーカ聴取時のようにはいかないが、従来のカナル型イヤホンよりは気にならない。音の横方向の広がり感のせいで、頭内定位の不自然さが和らげられている。
(3) 音場が広がったせいで、臨場感のある再生音が得られている。
(4) 各イヤホン10L,10Rにおけるドライバユニット30L,30Rの数が各1個で良いので、構造が簡単である。そのため、信頼性の高い再生機能と低コスト化が可能になる。
(5) 使用時に、遅延チューブ40を首の後に掛ければ、第1、第2イヤホン10L,10Rが耳から外れ難くなり、使い勝手が良い。
参考例では、図7の第1合成音(L+Ra)における400Hzの位相干渉の影響が大きいので、これを以下のようにして改善している。
(実施例の構成)
図9は、本発明の実施例におけるカナル型イヤホンの原理を示す概略の構成図である。更に、図10は、図9の模式的な断面図である。これらの図9及び図10において、参考例を示す図1(a)及び図2(a)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例のカナル型イヤホン10Aでは、遅延チューブ40の中間に、ヘルムホルツ吸収回路50が設けられている。
ヘルムホルツ吸収回路50は、遅延チューブ40に対して略直角に導通する円筒孔状の筒部51と、この筒部51の端部に設けられ、その筒部51よりも口径が大きな中空円筒状の容器52と、により構成されている。
図11(a)、(b)は、図10のヘルムホルツ吸収回路50の原理を説明するための模式図であり、同図(a)は模式的な構造図、及び同図(b)は計算例を示す図である。
図11(a)に示すヘルムホルツ吸収回路50の模式的な構造物50Aは、断面積u及び長さdを有する円管状の筒部51と、容積vを有するボール状の容器52と、を合わせた構成になっている。
この構造物50Aは、音速をcとしたとき、次式(6)の共振周波数ωで共鳴することが知られている(ヘルムホルツの共鳴)。
ω=c√(u/(v・Δd)) (6)
但し、Δd;筒部51の補正長さ
Δd=d+1.5α
α;定数
図11(b)に示すように、例えば、音速cを340m/s、筒部51の直径を2mm、筒部51の断面積uを3.14E−06m、筒部51の長さdを40mm、筒部51の補正長さΔdを0.0415m、容器52の容積vを1.5cc(=1.5E−06m)とした場合、共振周波数ωは、384.4185Hzとなる。なお、図11(b)において、音速c、筒部51の直径、筒部51の長さd、及び容積vの値は、変更できる。
このような構造物50Aは、式(6)に示すように、共振周波数ωで電気的なインピーダンスが最小になる性質がある。この原理を応用した製品としては、有孔ボード(吸音壁材)等がある。
(実施例の動作)
遅延チューブ40に設けられたヘルムホルツ吸収回路50は、この遅延チューブ40を通る遅延音波La,Ra中の400Hzを除去するので、位相干渉を防止できる。
(I) 実験結果
図12は、図9の第1音波L、第2遅延音波Ra、及び第1合成音(L+Ra)の波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
左チャンネルだけに第1音声信号SLを加えた時の第1ドライバユニット30Lから出力される第1音波Lは、図12の実線のようになった。同じく、第2音声信号SRを加えた時の遅延チューブ40から出力される第2遅延音波Raは、図12の点線のようになった。又、第1音声信号SL及び第2音声信号SRを同時に加えた時の第1合成音(L+Ra)は破線のようになった。
なお、図12では、第1イヤピース23Lを測定カプラに挿入し、第2イヤピース23R側は粘土で密閉して測定している。これは、第1、第2イヤピース23L,23Rが耳孔に挿入された状態を想定した測定である。
図13は、位相干渉を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
図12の破線の第1合成音(L+Ra)と実線の第1音波Lの差を計算したところ、図13のようになった。
この図13を図8と比較すると、400Hz付近で、位相干渉が改善されていることが分かる。又、図12の破線の第1合成音(L+Ra)と図7の破線の第1合成音(L+Ra)とを比較すると、音圧特性も改善されている。
これらの実験結果から、図9の構造は、期待通りの動作をしていると判断される。
(II) 試聴と評価
図9のカナル型イヤホン10Aを作成して試聴したところ、音の広がりと音質の改善が認められた。
(実施例の効果)
本実施例のカナル型イヤホン10Aによれば、参考例の効果に比べて、音の広がりと音質の改善効果がある。
(実施例の構成)
図14は、本発明の実施例におけるカナル型イヤホンのアダプタを示す概略の構成図であり、実施例を示す図9中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例のアダプタ60は、従来のカナル型イヤホン10Bに適用されるものであって、左耳用の第1補助ハウジング70L、右耳用の第2補助ハウジング70R、及び実施例のヘルムホルツ吸収回路50を有する遅延チューブ40により構成されている。
従来のカナル型イヤホン10Bは、左耳用の第1イヤホン10LBと、右耳用の第2イヤホン10RBと、を有している。第1イヤホン10LBは、ステレオ信号の内の第1音声信号SLを入力して第1音波Lに変換し、この第1音波Lを、前方に突設されたイヤピース23LBから放出するものである。同様に、第2イヤホン10RBは、ステレオ信号の内の第2音声信号SRを入力して第2音波Rに変換し、この第2音波Rを、前方に突設されたイヤピース23RBから放出するものである。
第1補助ハウジング70Lは、前方に突設されたイヤピース71Lを有し、遅延チューブ40の一端開口部と連通している。この第1補助ハウジング70Lは、第1イヤホン10LBのイヤピース23LBに対して、着脱自在に取り付けられ、そのイヤピース23LBから放出された第1音波Lと、遅延チューブ40から送られてくる第2遅延音波Raと、を合成して第1合成音(L+Ra)を再生し、この第1合成音(L+Ra)を、イヤピース71Lを介して左耳2Lへ導入するものである。
同様に、第2補助ハウジング70Rは、前方に突設されたイヤピース71Rを有し、遅延チューブ40の他端開口部と連通している。この第2補助ハウジング70Rは、第2イヤホン10RBのイヤピース23RBに対して、着脱自在に取り付けられ、そのイヤピース23RBから放出された第2音波Rと、遅延チューブ40から送られてくる第1遅延音波Laと、を合成して第2合成音(R+La)を再生し、この第2合成音(R+La)を、イヤピース71Rを介して右耳2Rへ導入するものである。
遅延チューブ40は、実施例と同様に、音源1から聴取者2の左耳2Lと右耳2Rとに到来する音波の到達距離差(即ち、到達時間差)τに基づいて設定されたチューブ長Hを有し、第2補助ハウジング70R内の第2音波Rの位相を所定時間遅れさせた第2遅延音波Raを、ヘルムホルツ吸収回路50を介して第1補助ハウジング70Lへ導入すると共に、その第1補助ハウジング70L内の第1音波Lの位相を所定時間遅れさせた第1遅延音波Laを、第2補助ハウジング70Rへ導入するものである。遅延チューブ40の中間に設けられたヘルムホルツ吸収回路50は、実施例と同様に、第1遅延音波La及び第2遅延音波Raの特定周波数(例えば、400Hz付近)を除去して位相干渉を防止するものである。
(実施例の動作)
本実施例のアダプタ60を使用する場合、従来のカナル型イヤホン10Bにおける左耳用の第1イヤホン10LBのイヤピース23LBへ、第1補助ハウジング70Lを装着すると共に、右耳用の第2イヤホン10RBのイヤピース23RBへ、第2補助ハウジング70Rを装着する。
ステレオ信号の第1音声信号SL及び第2音声信号SRを、コード11から従来のカナル型イヤホン10Bに入力する。第1音声信号SLは、カナル型イヤホン10Bの第1イヤホン10LBによって第1音波Lに変換され、イヤピース23LBを介して第1補助ハウジング70Lへ送られる。同時、第2音声信号SRは、カナル型イヤホン10Bの第2イヤホン10RBによって第2音波Rに変換され、イヤピース23RBを介して第2補助ハウジング70Rへ送られる。
第1補助ハウジング70Lへ送られた第1音波Lの位相が、遅延チューブ40にて所定時間遅れて第1遅延音波Laが生成され、ヘルムホルツ吸収回路50によって特定周波数(例えば、400Hz付近)が除去された後、第2補助ハウジング70Rへ導入される。同時に、第2補助ハウジング70Rへ送られた第2音波Rの位相が、遅延チューブ40にて所定時間遅れて第2遅延音波Raが生成され、ヘルムホルツ吸収回路50によって特定周波数(例えば、400Hz付近)が除去された後、第1補助ハウジング70Lへ導入される。
第1補助ハウジング70Lは、導入された第1音波Lと第2遅延音波Raとを合成して第1合成音(L+Ra)を再生し、イヤピース71Lを介して左耳2Lへ導入する。同時に、第2補助ハウジング70Rは、導入された第2音波Rと第1遅延音波Laとを合成して第2合成音(R+La)を再生し、イヤピース71Rを介して右耳2Rへ導入する。これにより、聴取者2は、音楽を聴くことができる。
(実施例の効果)
本実施例のアダプタ60を、従来のカナル型イヤホン10Bに装着すれば、実施例と略同様の効果が得られ、手軽に広音場を楽しむことができる。
(変形例)
本発明は、上記実施例1及び2に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。例えば、カナル型イヤホン10,10Aの構造は、図2や図10のものに限定されず、他の構造に変更しても良い。
1 音源
2 聴取者
2L 左耳
2R 右耳
10,10A,10B カナル型イヤホン
10L,10R 第1、第2イヤホン
10LB,10RB 第1、第2イヤホン
11 コード
20L,20R 第1、第2ハウジング
21L,21R 第1、第2フロントハウジング
22L,22R 第1、第2リヤハウジング
21aL,21aR 第1、第2導音管
23L,23R 第1、第2イヤピース
23LB,23RB 第1、第2イヤピース
30L,30R 第1、第2ドライバユニット
40 遅延チューブ
50 ヘルムホルツ吸収回路
51 筒部
52 容器
60 アダプタ
70L,70R 第1、第2補助ハウジング
71L,71R 第1、第2イヤピース

Claims (7)

  1. 聴取者の左外耳道へ挿入される第1導音部が突設された第1ハウジングと、前記第1ハウジング内に収容され、左右一対の第1音声信号及び第2音声信号を含むステレオ信号のうちの前記第1音声信号を入力して第1音波に変換する第1ドライバユニットと、を有する左耳用の第1イヤホンと、
    前記聴取者の右外耳道へ挿入される第2導音部が突設された第2ハウジングと、前記第2ハウジング内に収容され、前記第2音声信号を入力して第2音波に変換する第2ドライバユニットと、を有する右耳用の第2イヤホンと、
    音源から前記聴取者の左耳と右耳とに到来する音波の到達距離差に基づいて設定されたチューブ長を有し、前記第2ハウジング内の前記第2音波の位相を所定時間遅れさせた第2遅延音波を、前記第1ハウジングへ導入し、前記第1ハウジング内の前記第1音波の位相を前記所定時間遅れさせた第1遅延音波を、前記第2ハウジングへ導入する遅延チューブと、
    前記遅延チューブに設けられ、前記第1遅延音波及び前記第2遅延音波の特定周波数を除去して位相干渉を防止するヘルムホルツ吸収回路と、
    を備え、
    前記第1ハウジングは、前記第1音波と前記第2遅延音波とを合成して第1合成音を再生し、前記第1合成音を前記第1導音部から前記左外耳道へ放出し、
    前記第2ハウジングは、前記第2音波と前記第1遅延音波とを合成して第2合成音を再生し、前記第2合成音を前記第2導音部から前記右外耳道へ放出する、
    ことを特徴とするカナル型イヤホン。
  2. 前記第1ハウジングは、
    前記第1ドライバユニットにより区画された前記第1導音部側の第1前方ハウジングと、前記第1前方ハウジングの背面側の第1後方ハウジングと、を有し、
    前記第1前方ハウジングは、
    前記遅延チューブの一端と連通し、前記第1音波と前記第2遅延音波とを合成して前記第1合成音を再生し、
    前記第2ハウジングは、
    前記第2ドライバユニットにより区画された前記第2導音部側の第2前方ハウジングと、前記第2前方ハウジングの背面側の第2後方ハウジングと、を有し、
    前記第2前方ハウジングは、
    前記遅延チューブの他端と連通し、前記第2音波と前記第1遅延音波とを合成して前記第2合成音を再生する、
    ことを特徴とする請求項1記載のカナル型イヤホン。
  3. 前記チューブ長により、前記第1遅延音波及び前記第2遅延音波の位相遅れを調整することを特徴とする請求項1又は2記載のカナル型イヤホン。
  4. 前記ヘルムホルツ吸収回路は、
    所定の断面積及び長さを有し、一端が前記遅延チューブと連通する筒部と、
    所定の容積を有し、前記筒部の他端に連通する容器と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のカナル型イヤホン。
  5. 左右一対の第1音声信号及び第2音声信号を含むステレオ信号のうちの前記第1音声信号を入力して第1音波に変換するカナル型の第1イヤホンに対して、着脱自在に取り付けられ、前記第1音波を聴取者の左外耳道へ放出する第1補助ハウジングと、
    前記第2音声信号を入力して第2音波に変換するカナル型の第2イヤホンに対して、着脱自在に取り付けられ、前記第2音波を前記聴取者の右外耳道へ放出する第2補助ハウジングと、
    音源から前記聴取者の左耳と右耳とに到来する音波の到達距離差に基づいて設定されたチューブ長を有し、前記第2補助ハウジング内の前記第2音波の位相を所定時間遅れさせた第2遅延音波を、前記第1補助ハウジングへ導入し、前記第1補助ハウジング内の前記第1音波の位相を前記所定時間遅れさせた第1遅延音波を、前記第2補助ハウジングへ導入する遅延チューブと、
    前記遅延チューブに設けられ、前記第1遅延音波及び前記第2遅延音波の特定周波数を除去して位相干渉を防止するヘルムホルツ吸収回路と、
    を備え、
    前記第1補助ハウジングは、前記第1音波と前記第2遅延音波とを合成して第1合成音を再生し、前記第1合成音を前記左外耳道へ放出し、
    前記第2補助ハウジングは、前記第2音波と前記第1遅延音波とを合成して第2合成音を再生し、前記第2合成音を前記右外耳道へ放出する、
    ことを特徴とするカナル型イヤホンのアダプタ。
  6. 前記チューブ長により、前記第1遅延音波及び前記第2遅延音波の位相遅れを調整することを特徴とする請求項5記載のカナル型イヤホンのアダプタ。
  7. 前記ヘルムホルツ吸収回路は、
    所定の断面積及び長さを有し、一端が前記遅延チューブと連通する筒部と、
    所定の容積を有し、前記筒部の他端に連通する容器と、
    を備えることを特徴とする請求項5又は6記載のカナル型イヤホンのアダプ
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