JP4681698B1 - イヤホン - Google Patents

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    • H04R1/10Earpieces; Attachments therefor ; Earphones; Monophonic headphones
    • H04R1/1016Earpieces of the intra-aural type

Abstract

【課題】密閉型イヤホンを人間の耳に装着したとき、自然な周波数特性で音が聴こえるように、音響的な方法で周波数特性を改善する技術を提供すること
【解決手段】密閉型イヤホン内部の電気音響変換器の振動板から、筒状の導音管を通り、外耳道を経て鼓膜に達する音道において、該導音管に2つの独立な音波の経路を備えて、該経路の長さの差を調整することによって、特定の周波数の音の伝達を抑制し、もってこの音道を通過する音の周波数特性を改善するものである。
【選択図】図8

Description

本発明は、放音部を外耳道入口に挿入して用いる密閉型イヤホンに関する。
密閉型イヤホンは、発音部分の背面が密閉されており、外耳道に挿入される部分の先端に放音口を有するイヤーパッドは、弾性を有する軟質プラスチックまたはゴム等により形成されており、外耳道の内面に隙間無く密着して、全体として耳栓構造をなしている。密閉型イヤホンは、イヤーパッドを外耳道に挿入して装着することができるので、外耳の入り口に確実に装着することができる。また、イヤーパッドは柔軟性を有する材料により、外耳道の形状に合わせて容易に弾性変形させることができ、良好な装着感を得ることもできる。
その結果、外耳道入口に挿入して用いる密閉型イヤホンは、密閉性が良く、遮音性能が高くて外部の雑音が聞こえにくいので、高い音圧感度が得られ、騒音の大きい場所でも微弱な音を聴くことが可能である。また外耳道入口に挿入して使用できるので小型軽量化が容易という利点もある。
近年、ポータブルミュージックプレーヤの普及に伴い、良好な音質で音声出力可能な密閉型イヤホンの開発が益々求められている。
しかし一方、従来の密閉型イヤホンは、外耳道を密閉する構造であるので、外耳道における共振の様子がイヤホンを装着する前後で変わり、共振周波数が偏移して、イヤホンとしての周波数特性に重大な欠陥をもたらしていた。
図1をもって、この点を以下に説明する。図1は、外耳道の見取り図である。人間が音を聴く時は、外部で発生した空気の振動が外耳道入口7、外耳道8を通過して鼓膜9に達して、鼓膜9を振動させている。
このとき外耳道8は、図1(a)に示すように、一端が鼓膜9で閉じて、他方の端である外耳道入口7で大気中に開放された片端閉・片端開管(以降、片端閉管という)の状態であり、そのため外耳道8を共振ボックスとする片端閉管共振が起こる。
片端閉管共振になると、定在波が発生して、閉管の閉じた端で空気の振動は最小(圧力変化は最大)になり、閉管の開いた端で空気の振動は最大(圧力変化は最小)になるような共振が起こる。
図1(b1)ならびに図1(b2)は片端閉管共振が起こった状態を模式的にあらわしている。実線は片端閉管の共振ボックスを示し、破線は空気振動の振幅を表している。
共振が起きる状態を含め、外耳道を音波が通過するときの周波数特性を求める。
外耳道入口7から鼓膜9に向けて(これを+x方向とする)、速さVで進んでいる波長λの音波の、時間tにおける式p1は、次のように書ける。ここでAは任意の値である。

p1(x、t)=Asin{2π(x−Vt)/λ}

同様に、鼓膜9で反射して外耳道入口7に向けて(これを−x方向とする)、速さV で進んでいる音波p2は、次のように書ける。

p2(x、t)=Asin{2π(x+Vt)/λ}
片端閉管の中には、進む波と、閉じた底で反射して戻る音波が共存するので、両者を合成した音波Pは、次のように書ける。

P(x、t)=p1(x、t)+p2(x、t)
=Asin{2π(x−Vt)/λ}+Asin{2π(x+Vt)/λ}
=Asin(2πx/λ)・sin(2πVt/λ)

周波数fを使って、λ=V/fの関係でこれを書き直すと、

P(x、t)=Asin(2πxf/V)・sin2πtf ・・・(数式1)

が得られる。
合成された音波Pの式の前半部分は時間にかかわらず位置xにおける振幅を、後半は時間変動部分を示しており、これは進行波ではなく定在波を示す。
時刻tに関係なく、振幅がいつも最大である点を求める。

sin2πx/λ=1

よって、

2πx/λ=±(2n−1)π/2

x座標が正の部分だけとれば、 x=(2n−1)λ/4 但しnは正の整数
共振状態が起こるのは、上記の振幅がいつも最大である点が、共振ボックスの長さLと同じであるときだけなので、x=Lを上式に代入して

L=(2n−1)λ/4

ここで、λ=V/fであるので、

L=(2n−1)V/4f

∴ f=(2n−1)V/4L ・・・・・・(数式2)

となる。
片端閉管の共振は、上で述べたように、共振ボックスの長さが4分1波長の(2n−1)倍の波長の時に起こる。ここでnは正の整数である。
図1(b1)に示したのは、1次共振(n=1)の状態であり、図1(b2)に示したのは、2次共振(n=2)の状態である。
外耳道8の長さは、おおよそ25〜30mmである。すなわち、15℃における音速を340m/sとして、図1(b1)に示す1次(n=1)の共振周波数fは、共振ボックスの長さを25〜30mmとおけば、数式2から、

=V/4L≒2833〜3400(Hz)

2次(n=2)の共振周波数f

=3V/4L=8500〜10200(Hz)

となる。
大きさが一定の音波を、周波数を変えて共振ボックスの開口端から、入射すると、閉じた端、すなわち鼓膜位置において得られる音圧−周波数特性を図2にグラフで示した。
理論的には共振は共振周波数のみで起こるので、音圧−周波数特性は鋭いピークを示すが、実際には、その前後の周波数に分布したような特性となる。
したがって、鼓膜の位置での音圧−周波数特性は、外耳道での片端閉管共振の影響を受けて、図2に示すように、2.8〜3.4kHzならびに8.5〜10.2kHzにピークのある特性となる。すなわち、イヤホンを装着しないときは、鼓膜は図2に示す周波数特性の音響フィルターを通して外界の音を聞いているので、鼓膜の受信感度は丁度、図2の特性の音響が入力されたときフラットに聞こえる周波数特性を持っているといえる。すなわち図2の縦軸方向で上下を逆にした特性である。
しかし、図3(a)に示すように、密閉型イヤホン10を装着すると、イヤホンがイヤーパッド5を有する耳栓構造であるので、外耳道入口7を塞ぐことになり、共振のモードが変わる。すなわち片端閉管共振から、外耳道8を共振ボックスとする、両端が閉じた両端閉管共振に変わる。
図4は、密閉型イヤホン10の内部構造を示す。図4に示すように、イヤホン内部には、電気音響変換器2と音波を外耳道入口7に放音する放音口15、および電気音響変換器2と放音口15を連結する導音部4から構成されている。電気音響変換器2は、外部匡体1によって保護され、図示しない適宜な方法で外部匡体1に固定されている。
電気音響変換器2はコイル21、永久磁石22、振動板23からなる。振動板は磁性金属の薄板で構成する。コイルに音響波形の電流を流すと、振動板23が音響波形に従って振動し、図4において図面右方向の導音部4に向かって、音波が放出される。発音部分である振動板23の背面は密閉されている。
図3で見られるように、この放音部4の断面積は外耳道8の断面積に較べて小さいので、定在波の原因となっている外耳道8の中での音波の反射は、大部分が導音部4に入りこむことなく放音部15ならびにイヤホンパッド5の端面で起こる。したがって、密閉型イヤホンを装着した時の共振ボックスとしての外耳道8の大きさすなわち奥行きの長さは、鼓膜9とイヤホンパッド5および放音口15が外耳道8を塞ぐ位置で決まる。
実際に、イヤホンパッド5及び放音口15が外耳道を塞ぐ位置は、イヤホンの挿入具合によって微妙に変化するが、図3に示すようにほぼ外耳道入口7の位置に同じ、すなわち、片端閉管の場合と同じ管長と想定する。実際の両端閉管の長さは、片端閉管の場合と微妙に異なるが、解析を容易にするためにこのように想定した。
図3(b1)ならびに図3(b2)は両端閉管共振の説明図であり、両端閉管共振が起こった状態を模式的に表している。実線は両端閉管を示し、破線は空気振動の振幅を表している。
定在波が発生する両端閉管共振状態では、管端となる鼓膜9ならびに外耳道入口7に挿入されるイヤホンパッド5の位置で空気の振動は最小(圧力変化は最大)になり、両者の中間の位置で空気の振動は最大(圧力変化は最小)になる。
両端閉管の共振は、管の長さが2分1波長のn倍の波長の時に定在波となる。ここでnは正の整数である。
図3(b1)に示したのは、1次共振(n=1)の場合であり、図3(b2)に示したのは、2次共振(n=2)の場合である。
図3(b1)に示すように、両端閉管の管長25〜30mmのとき、この長さを2分1波長とする定在波が共振波となるので、15℃における音速を340m/sとして、1次(n=1)の共振周波数f′は5.7〜6.8kHzである。また、図3(b2)に示すように、2次(n=2)の共振は管長25〜30mmを1波長とする定在波となるので、そのときの共振周波数f′は11.3〜13.6kHzである。
図5は密閉型イヤホンの鼓膜位置での音圧−周波数特性を示す。イヤホンを装着しない場合は、片端閉管の共振モードとなるが、外耳道入り口7にイヤホンの音源と同等でフラットな周波数特性の音が供給されたと仮定した場合の音圧−周波数特性を破線で示す。またイヤホン装着時は両端閉管の共振モードとなるが、その場合の鼓膜位置での音圧−周波数特性を実線で示す。この図から解るように、イヤホン未装着時の鼓膜の位置での音圧には、2.8〜3.4kHzならびに8.5〜10.2kHzにピークがあるが、イヤホン装着時の鼓膜の位置での音圧ピークは、外耳道での密閉管共振の影響を受けて、5.7〜6.8kHzならびに11.3〜13.6kHzへと偏移する。
人間の聴覚系の受信感度特性は図2に示す周波数特性の音が鼓膜に入力されると、どの周波数の音もフラットに聞こえる周波数特性を持っている。したがって、イヤホン無装着時に図2で示すように外耳道8の片端閉管の共振で強調され、ピークを構成する3kHz付近の音が、密閉型イヤホンを装着すると共振モードが両端閉管共振のモードに変化するため、図5の実線で示すように3kHz付近のピークを構成しないので、3kHz付近の音は実際より音が弱く聞こえることになる。
また密閉型イヤホンを装着すると6kHz付近の音が、図5に実線で示すように、両端閉管の共振モードにより強調されるので、準鳴音状態となり音がワーンと響くように聞こえるという問題がある。
この問題を解決するために、一般的手法として、周波数特性を電気的な方法で補正することが考えられるが、そのためには、密閉型イヤホン専用の増幅器とフィルター回路を追加しなくてはならず、回路が複雑となり、電源も必要になる。そのような回路を含んだイヤホンでは、小型、軽量かつ低価格を実現することが難しい。小型化、低価格を実現するため、電気的なフィルター回路だけによって所望の周波数特性を実現する方法も考えられるが、増幅器を含まないとすれば、音量の低下は避けられない
この電気的な回路を追加する困難さを回避するために、電気的でない方法で、この密閉型イヤホン固有の問題を解決する技術がいくつか提案されている。その例としては、音道に音響抵抗体(ダンパー)を置く技術、また音道の長さや開口面積を変える技術が開示されている(特許文献1、特許文献2)。
特許文献1の技術によれば、問題となる高周波音響を抑制する手段として、イヤホン内部の電気音響変換器2から、筒状の導音部4を通り、外耳道に音波を導く放音口15に至る音道の途中に、音響抵抗体(ダンパー)6を交換可能に設置して、イヤホンの音質を、使用者の好みに合わせることが提案されている。
図6に音響抵抗体6を有するイヤホンの断面図を示す。これは音響抵抗体6を有するイヤホンの一般的な構造であり、音響抵抗体6は、不織布あるいは発泡ウレタンの薄片などが使われる。
図7は、音響抵抗体6を有するイヤホンの音圧−周波数特性を示すグラフである。破線は音響抵抗体6を有しない密閉型イヤホンを装着した場合の特性を示し、実線は音響抵抗体6を有する場合を示して、比較してある。このように音響抵抗体6を装着した結果の音圧−周波数特性をみると、6kHz付近のピークが抑制されていることが判る。
また、特許文献2には、音道を通過する音波の周波数特性を変化させるために、音波の放出方向の反対側に設置される音響管の内部に着脱可能で材質や長さを変えた条件の異なる調整用パイプや、導音管または音響管の開口面積を変化させるための交換可能な、異なる調整用の穴付きのネジを備える方法が提案されている。
実用新案登録第3160779号 特許公開2007−318702号
しかし、特許文献1に開示されたような音響抵抗体(ダンパー)を使う方法では、図7に示すように、一般的に6kHz付近のピークは確かに抑圧され、ワーンという響きは無くなるが、音域全体にわたって音圧が低減されるので、次のような問題が新たに発生する。
すなわち、図7において、破線は何も対策をしない密閉型イヤホンを装着した場合の鼓膜位置における音圧−周波数特性を示し、実線は特許文献1の技術による音響抵抗体6(ダンパ)を有する密閉型イヤホンを装着したときの音圧―周波数特性を示す。
この2つの特性を比較すると、実線の特許文献1の技術では、確かに6kHz付近の音圧はイヤホンを装着しない場合、すなわち図2と同等のレベルに抑制されているが、音質に影響を与える10kHz付近の少し上までの高域の音圧が大きく低下しているので高音がほとんどないような音になってしまうことが大きな問題である。さらにまた、音域全体にわたる音圧が低下しているので、全体として音量が不足するという問題がある。
また、特許文献2に開示された技術によれば、周波数特性を変化させるためのパイプが極めて長くなり、また穴付きのネジも直列に配置されることから、導音管が極めて長くなり、小型であるという密閉型イヤホンの特長を著しく損ねてしまうという問題がある。
本発明は、係る課題に鑑みなされたもので、放音部を外耳道入口に挿入して用いる密閉型イヤホンにおいて、電気音響変換器から発生する音波を、外耳道入口に伝達する導音部として、経路長の異なる独立した2つの導音管を具備し、該電気音響変換器から発生し、該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口で合成され、該2つの導音管の経路差を2分1波長とする周波数の音圧を抑制することを特徴とする密閉型イヤホンを提供する。
課題を解決するための、基本的な考え方を説明する。ここで《》は、周波数特性を表すものとする。イヤホン音源というのは、電気音響変換器の振動板から出力される音のことをさす。また《片端閉管共振ボックスの伝達関数》は、イヤホンを装着しない場合に外耳道を共振ボックスとする伝達関数の周波数特性のことをさし、《両端閉管共振ボックスの伝達関数》は、密閉型イヤホンを装着した場合に外耳道を共振ボックスとする伝達関数の周波数特性のことをさす。
イヤホンを装着しない場合に次の式が成り立つ。

《鼓膜に印加される音圧》=《外耳道入口に印加される音圧》
×《片端閉管共振ボックスの伝達関数》

また、イヤホンを装着していないのであるから、外耳道入口に印加される音圧は特定できないが、計算を容易にするために、今仮にイヤホンの音源の音圧と等しい音圧が外耳道入口に印加されるとすれば、

《外耳道入口に印加される音圧》=《イヤホン音源の音圧》

である。
従って、

《鼓膜に印加される音圧》
=《イヤホン音源の音圧》×《片端閉管共振ボックスの伝達関数》
・・・・・・(数式3)

となる。
次に、密閉型イヤホンを装着した場合に次の式が成り立つ。

《鼓膜に印加される音圧》
=《外耳道入口に印加される音圧》×《両端閉管共振ボックスの伝達関数》

また、

《外耳道入口に印加される音圧》
=《イヤホン放音口から出力される音圧》
=《イヤホン音源の音圧》×《密閉型イヤホンの導音部の伝達関数》

である。
従って、

《鼓膜に印加される音圧》
=《イヤホン音源の音圧》×《密閉型イヤホンの導音部の伝達関数》
×《両端閉管共振ボックスの伝達関数》 ・・・・・・(数式4)

となる。
求めているのは、数式3と数式4で求められる《鼓膜に印加される音圧》が等しくなることであるから、

《イヤホン音源の音圧》×《片端閉管共振ボックスの伝達関数》
=《イヤホン音源の音圧》×《密閉型イヤホンの導音部の伝達関数》
×《両端閉管共振ボックスの伝達関数》

が得られる。
この式を整理すると、次式が得られる。

《密閉型イヤホンの導音部の伝達関数》
=《片端閉管共振ボックスの伝達関数》÷《両端閉管共振ボックスの伝達関数》
・・・・・・(数式5)
この式によれば、左辺の密閉型イヤホンの導音部の伝達関数は次のような状態を作り出すことが要請されている。すなわち、右辺の分子の意味するところは、密閉型イヤホンを装着した状態で、イヤホンを付けない状態の片端閉管共振ボックスの特性を再現することである。また、右辺の分母の意味するところは、密閉型イヤホンを装着したことによって発生した両端閉管共振ボックスの特性をキャンセルするような特性を実現することである。
発明者は、この内、右辺の分母に示される特性を実現すること、とりわけ6kHz付近が異常に強調された音を抑制することにより、音質が大幅に改善されることを見出した。また全体の音量を確保できると、右辺の分子に示される特性に従って、3kHz付近の音圧が再現されていなくとも、全体の音量が確保されるので、あまり気にならないことを見出した。
すなわち、外耳道を共振ボックスとして両端閉管共振によって、5.7〜6.8kHzにピークのある特性になってしまっているのだから、密閉型イヤホンの導音部の伝達関数の周波数特性がこのピークの周波数の音を抑制することが重要である。
本発明は、音波が長さの異なる2つの経路を通過して、その後再度合成される時に、特定の周波数の音が減衰する現象を利用して、これを実現した。
図8(a)は本発明の異なる経路長を有する2つの導音管を有する密閉型イヤホンの概念図である。音波の第1の経路は、イヤホン内部の電気音響変換器2の振動板23から、直線状の導音管11を通り、外耳道入口に挿入される放音口15に達する経路である。音波の第2の経路は、同じくイヤホン内部の電気音響変換器2の振動板23から、直線状の導音管11のバイパスとしてコの字型に設置された導音管12、13及び14を通り、放音口15に達する経路である。
導音管11に入った音波は、分岐点であるP点で、そのまま導音管11を進む音波と、それとは別れて、導音管12を進む音波に分かれる。分岐した2つの音波は導音管11並びに導音管12、13及び14を独立に通過して、合流点Qで再び合流して、放音口15に達し、外耳道に入る。
図8(b)は2つの音波が合成される状態の概念図である。図8(b)は、例えば1つの音源から出た音が、2つの経路に別れて進み、経路の出口で、経路の長さの差のために位相が180度ずれた場合に、合成された音波の振幅はゼロとなることを示している。
これを数式で以下に示す。P点の信号P(ω)を

P(ω)=2Asin ωt
(ここでωは角速度、tは時間、Aは任意の定数である。)

とし、P点で2つの経路に均等に音が分岐し、それぞれが所定の経路を通過して、再合成点Qで合成されたときの信号Q(ω)は、Vを音速、Lを2つの経路の長さの差として、

Q(ω)=Asin ωt +Asin( ωt+ωL/V)

となる。
この式において、波形の観測点をL/2Vだけ時間軸を前にずらしても波形は変わらないので、

Q(ω)=Asin( ωt−ωL/2V)+Asin( ωt+ωL/2V)
=2Asinωt・cos ωL/2V
=P(ω)・cosωL/2V
・・・・(数式6)

で与えられる。
数式6より、P点からQ点に達する波形の伝達関数TPQは、

PQ∝ cos ωL/2V

これより音圧の伝達関数TPQ′は

PQ′∝|cos ωL/2V |

で与えられる。この式に於いて、ω=2πfを用いて書き直すと

PQ′∝|cos πfL/V | ・・・・(数式7)
(ここでfは周波数とする。)
となる。
図9は、密閉型イヤホンの導音部伝達関数である。音速を340m/sとし、経路差が25〜30mm(外耳道の平均的長さに相当)の二つの経路を通った後、再合成されるときの伝達関数TPQ′(数式7)を実線で示す。すなわちこの伝達関数こそは、数式5で示した《密閉型イヤホンの導音部に伝達関数》を与える式の右辺の第2項である《両端閉管共振ボックスの伝達関数》−1に相当し、両端閉館共振ボックスによって強調される特性を抑制する働きを与えるものである。
すなわち数式7に於いて、2L=V/f(経路差の2倍が波長に等しい)の場合、f=V/2L ≒6kHz近辺で、伝達関数は周波数特性に谷を示す。
さらに図9には図5の実線で示した《両端閉管共振ボックスの伝達関数》を破線で重畳して示す。
この図9で示される実線《密閉型イヤホンの導音部の伝達関数》と破線《両端閉管共振ボックスの伝達関数》とを数式5に従って、合成すると本発明の複数経路を有する密閉型イヤホンを装着した場合の《鼓膜に印加される音圧》として、図10に実線で示すグラフが得られる。
このグラフが、図8の概念図に示したコの字型の導音管をバイパスとして有する密閉型イヤホンを人間が装着した場合の鼓膜に印加される周波数特性を示す。
さらに図10には、特許文献1及び2に提案されている技術を含め特別の対策を講じていない単純な密閉型イヤホンを人間が装着した場合の《両端閉管共振ボックスの伝達関数》の周波数特性(図5で実線で示した両端閉管共振特性)を破線で重畳して示す。
両特性を比較すると、コの字型バイパスを有する密閉型イヤホンでは、単純な密閉型イヤホンに比べ、6kHz付近の音圧が抑制されていて、比較的フラットな特性を有しており、また音質に影響するような範囲の高域では、12kHz付近でピークを示していることが判る。
図10において、《鼓膜に印加される音圧》の周波数特性を表す実線のグラフにおいて、6kHz付近の中心部の特性のグラフの形状を上に凸として書いているが、実際には密閉イヤホンの設計や装着の状態により、グラフの形状が上に凸になるか下に凸になるかが決まるので、それ自体は重要な点ではない。
ここで大事な点は、本発明により、6kHz付近において、大きなピークを示していたものが抑制され、ワーンという響きは無くなることである。一方音質に影響を与える10kHz付近の少し上までの高域の音圧の特性が大幅に強調されているが、人間の耳の特性上、この付近の音圧がかなり強調されても、ワーンという響きにはならず、高音が単に強調された音として聞こえ、耳触りになることはない。
さらに高音域のグラフの右端において、最終的に15kHz付近以上の特性が低下しているが、この領域は本来的に人間の耳にはあまり聞き取れない領域であるので、イヤホンの実際の音質にはほとんど影響を与えない。
すなわち、本発明の放音部を外耳道入口に挿入して用いる密閉型イヤホンにおいて、電気音響変換器から発生する音波を、外耳道に伝達する導音部として、経路長の異なる独立した2つの導音管を具備し、該電気音響変換器から発生し、該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口付近の放音口で合成され、該2つの導音管の経路差を2分1波長とする周波数及びその整数倍の周波数の音圧を抑制することができるので、両端閉管共振による望ましくない周波数における音圧ピークを抑制しながら、音域全体の音量の低下を防止できることができる。これによって、イヤホンを装着しない場合と遜色の無い音質を実現できるという効果がある。
外耳道の見取り図 鼓膜位置での音圧−周波数特性 密閉型イヤホンの装着図 密閉型イヤホンの内部構造を示す見とり図 密閉型イヤホンの鼓膜位置での音圧−周波数特性 音響抵抗体を有するイヤホンの断面図 音響抵抗体を有するイヤホン装着時の音圧−周波数特性 導音管のバイパス経路を示す概念図 密閉型イヤホンの導音部伝達関数 バイパス経路を有する密閉型イヤホンの音圧−周波数特性 2重の筒状部材によって形成した導音部を備えた密閉型イヤホンの断面図 折り返し式の導音管を設置した導音部の見取り図 折り返し式の導音管を設置した導音部の側面図 4回折り返しの導音管を持つ導音部の立体構造の模式図 各方式の鼓膜位置での音圧―周波数特性
以下、本発明による密閉型イヤホンについて実施例をあげて説明する。
第1の実施例は、放音部を外耳道入口に挿入して用いる密閉型イヤホンにおいて、電気音響変換器から発生する音波を、外耳道入口に伝達する導音部として、経路長の異なる独立した2つの導音管を具備し、該電気音響変換器から発生し、該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口で合成され、該2つの導音管の経路差を2分1波長とする周波数の音圧を抑制し、該2つの導音管の経路差が該外耳道入口と該外耳道奥の鼓膜との間隔に等しいことを特徴とする密閉型イヤホンである。
さらに、本実施例において、該電気音響変換器から発生する音波を、該外耳道入口に伝達する該導音部は2重の筒状部材からなり、外側の第1の筒状部材の内側に嵌合 (かんごう)する第2の筒状部材の外周に、螺旋状の溝が形成され、該第2の筒状部材の内周面をなす直線状の経路である第1の導音管と、該第1の筒状部材の内周面と、該第2の筒状部材の外周に形成した該螺旋状の溝によって構成される経路である第2の導音管とを備えることを特徴とする密閉型イヤホンである。
第1の実施例を図11で説明する。図11(a)は2重の筒状部材によって形成した導音部を備えた密閉型イヤホンの断面図である。図11(b)は螺旋状の溝を持つ筒状部材42の見取り図である。図11(c)は導音部4の正面図である。
図11(a)に示すように、密閉型イヤホンは、外部匡体1の内部に設置された電気音響変換器2、ならびに電気音響変換器2を外部の増幅器などに接続するためのリード線3、ならびに電気音響変換器2が発生する音波を外耳道に伝達する導音部4、ならびに外耳道に挿入するときのクッションとなり、また同時に外部からの雑音を遮断するイヤーパッド5で構成されている。
導音部4は、図示しない適宜な方法で外部匡体1に固定されている。イヤーパッド5は、その弾性を利用して導音部4の先端部に形成された突起を越えて導音部4に挿入されて固定される。イヤーパッド5は、適宜に交換可能である。
図4に示した従来の密閉型イヤホンにあっては、イヤホン内部の電気音響変換器2から、外耳道に音波を導く導音管は、単純なパイプであった。図11(a)に示す本実施例における導音部4は、外側の第1の筒状部材41と内側の第2の筒状部材42の2重の筒状部材からなり、第2の筒状部材の外径は、第1の筒状部材41の内径に等しく、丁度、第一の筒状部材41の内側に第2の筒状部材42がぴったりと嵌合(かんごう)する構成となっている。
外部匡体1は硬質プラスチック等を成型加工して作成される。筒状部材41および筒状部材42は、硬質プラスチック、金属等を成型加工、もしくは切削加工して作成される。イヤーパッド5は軟質プラスチックまたはゴムを成型加工して作成される。
電気音響変換器2は、図示しない適宜な方法で外部匡体1に固定されている。電気音響変換器2はコイル21、永久磁石22、振動板23からなる。振動板は磁性金属の薄板で構成する。コイルに音響波形の電流を流すと、振動板が音響波形に従って振動し、図11(a)において図面右方向の導音部4に向かって、音波が放出される。
図11(a)ならびに図11(b)に示すように、第2の筒状部材42の中心にある直線状の穴43が、第1の導音管43である。
同じく、図11(b)に示すように、第2の筒状部材42の外周面には、螺旋状の溝44を形成してある。第1の筒状部材41の穴に第2の筒状部材42を挿入すると、図11(c)に示すように、第1の筒状部材41の内周面と、第2の筒状部材42の外周に形成した螺旋状の溝44によって第2の導音管44が構成される。この2つの導音管に、それぞれ音波が入り、通過してゆく。
この第2の導音管44は螺旋状をしているので、その通路の長さは第2の筒状部材42の長さより長い。全長に差が有る2つの導音管を、音波が独立に通過し、出口で合流する時、経路の長さの差が2分1波長となる周波数で空気の振動が相殺される結果、音波は減衰し、周波数特性においては当該の周波数の位置に谷が発生する。
本実施例において、必要な数値を実現することができることを以下に示す。
減衰したい目的の周波数である6kHzの音波の波長λは、音速は気温15℃において約340m/sであるから、

λ=音速÷周波数
=340(m/s)÷6000(1/s)
≒0.0566(m)

である。
図11(a)において、直線状の第1の導音管43を通る経路の長さは、すなわち筒状部材42の長さである。これをLmmとする。螺旋状の第2の導音管44を通る経路の長さが、計算で求めた波長の2分1の長さである28.3mmにLを加えた長さとなればよい。
筒状部材42の長さをLmm、直径をDmmとし、螺旋状の溝45の深さをSmm、螺旋の巻数をm回とする。螺旋状の溝44の深さの2分1の深さの位置を、螺旋の直径の基準とすると、第2の導音管44の長さは次式で表せる。

第2の導音管の長さ
=[{m×π×(D−S)}+L1/2(mm)
第1の導音管43の長さは、第2の筒状部材42の長さと同じL(mm)であるから、第1の導音管43と第2の導音管44の長さの差をΔLとすると、

ΔL=[{m×π×(D−S)}+L1/2−L(mm)

となる。
密閉型イヤホンにおいては、例えば、L=10(mm)、D=5(mm)、S=1(mm)の寸法は、人体30に装着する寸法として適当である。
このとき、数式8を用いてΔLの値が28.3mmになるための螺旋の巻数を求める。

28.3=[{m×π×(5−1)}+101/2−10
≒(158m+10)−10
よって
158m+10=(28.3+10)

上記の計算式から、m≒2.9(回)が得られる。
これは、プラスチック材料などによって、容易に実現できる値である。
この実施例に示した導音部4の長さは10mmとしたが、実用上さらに短い導音部4を用いる場合は、導音部4の短さに応じて螺旋の巻数を2.9回より増やせばよい。
これで、第1の導音管43を通る経路と第2の導音管44を通る経路の長さの差が2分1波長となり、周波数特性において周波数6kHzを中心とする位置に谷が発生し、音波を減衰させることができる。
図15は各方式の鼓膜位置での音圧―周波数特性である。図15には、人間が特別の対策を有しない単純な密閉型イヤホンを装着した場合に鼓膜に印加される音圧の周波数特性を一点鎖線で、および音響抵抗体を設置した密閉型イヤホンを装着した場合を破線で、本発明による導音部を有する密閉型イヤホンを装着した場合を実線で、重畳して示す。
本発明による密閉型イヤホンを装着した場合は、単純な密閉型イヤホンを装着した場合の音圧の周波数特性における6kHz周辺のピークの発生は無くなり、また音響抵抗体を適用した場合の10kHz付近の少し上までの高域での感度の低下、および全域での感度低下は改善されている。
第2の実施例は、放音部を外耳道入口に挿入して用いる密閉型イヤホンにおいて、電気音響変換器から発生する音波を、外耳道入口に伝達する導音部として、経路長の異なる独立した2つの導音管を具備し、該電気音響変換器から発生し、該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口で合成され、該2つの導音管の経路差を2分1波長とする周波数の音圧を抑制することを特徴とする密閉型イヤホンであって、該電気音響変換器から発生する音波を、該外耳道入口に伝達する該導音部において、該電気音響変換器と該外耳道入口の間を直線状の経路で連結する第1の導音管と、該電気音響変換器と該外耳道入口の間を折り返し状の経路で連結する第2の導音管とを備えることを特徴とする密閉型イヤホンである。
第2の実施例を、図12で説明する。図12(a)は折り返し式の導音管を設置した導音部の見取り図である。図12(b)は導音管52の中央を通る仮想的な線を示した見取り図である。
本実施例の密閉型イヤホンの導音部50以外の構造は、実施例1と同じである。全長に差が有る2つの導音管を、直線状である第1の導音管51と、折り返し式の経路を持つ第2の導音管52の組合せによって実現したものである。
図12(a)は、導音部50の構造を説明する図であり、導音管52の折り返しが2回の場合を示している。
導音管51は、円柱形状の導音部50の左側の正面から入り、直線状に進み、右側の背面に貫通している。
導音管52は、導音部50の左側の正面から入り、左右の正面、背面および側面に突き抜けることなく、導音部50の内部で2回折り返してから、最後は右側の背面に貫通している。
導音管52は、構造が複雑であるので、図12(b)によって、折り返し構造を詳しく説明する。これからの説明では、図12(a)の左端に示した3次元直交座標を基準にする。この座標軸は図12を使った全ての説明に共通である。この座標軸のつくるxz平面は円柱形状の導音部50の正面、背面と平行であり、y軸は導音部50の長手方向に平行で、導音部50の中心を通っている。
図12(b)では、理解を助けるために、周りのものを全て除いて、導音管52の中央を通る仮想的な線だけを示してある。導音管52は、円柱形状の導音部50の左側の正面にある入口521から始まり、次にy軸のプラス方向に入側直進路522を進む。
次に、導音管52が導音部50の画面右側の背面を突き抜ける手前の位置でx軸方向に曲がり、横行路523をx軸のプラス方向に進む。次に、導音管52が導音部50の円柱の画面手前の側面を突き抜ける手前の位置で、再びy軸方向に曲がり、y軸のマイナス方向に帰行路524を進む。
次に、導音管52が導音部50の画面左側の正面を突き抜ける手前の位置でz軸方向に曲がり、z軸のマイナス方向に縦行路525を進む。次に、導音管52が導音部50の画面下の側面を突き抜ける手前の位置で、再びy軸方向に曲がり、y軸のプラス方向に出側直進路526を進む。そのまま進んで右側の背面を突き抜けて、出口527に達して終わる。
図13によって、更に導音管52の構造を説明する。図13(a)は折り返し式の導音管52を設置した導音部50の側面図(左右対称)である。破線は、導音部50の内部にある導音管52を、直感的に判り易いように実際の位置でなく、仮想的に示したものである。図13(b1)ならびに図13(b6)は導音部50の正面図ならびに背面図である。図13(b2)〜図13(b5)は導音部50の断面図である。
図13(b1)は導音部50を、図面左側からy軸のプラス方向に見た、正面図である。y軸を円柱形状の導音部50の中心線上におくと、導音管51はxz平面の第3象限の位置にあり、導音管52はxz平面の第2象限の位置にある。
図13(b2)は、図13(a)にB−B’で示した位置の断面図である。xz平面の第3現象には、導音管51の通路が見え、第2現象には、導音管51が正面の入口からy軸のプラス方面に向かう通路が見え、第1象限には、導音管52がy軸のマイナス方向に戻ってくる通路が見える。さらにxz平面の第4象限には、導音管52がy軸のプラス方向に向かって、図13(a)の右側の背面にある出口へ進む通路が見える。
図13(b3)は、図13(a)にC−C’で示した位置の断面図である。導音管52は、xz平面の第2象限から第1象限に拡がっており、x軸方向に曲がって、第2象限と第1象限を通る通路をつないでいることを示している。
図13(b4)は、図13(a)にD−D’で示した位置の断面図である。この位置にはC−C’で示した位置の断面図においてxz平面の第2象限から第1象限に拡がっていた導音管52は見えなくなり、導音管52はxz平面の第2象限から第1象限の位置では導音部50の右側の背面には突き抜けていないことが判る。
図13(b5)は、図13(a)にA−A’で示した位置の断面図である。導音管52は、xz平面の第1象限から第4象限に拡がっており、z軸方向に曲がって、第1象限と第4象限を通る通路をつないでいることを示している。第4象限を通る通路に達した後、導音管52は再びy軸のプラス方向に進み、図13(b2)に見えた断面が再び見える。
最後に導音管52は、円柱形状の導音部50の右側の背面に達する。このとき、図面右側からy軸のマイナス方向に導音部50を見ると、図13(b6)の背面図が見える。見る方向が反対側に変わり、x軸の方向が違うが、xz平面の第3象限に導音管51が有り、第4象限に導音管52が有る。
導音部50は、硬質プラスチック、金属等をいくつかの部材に分けて成型加工、もしくは切削加工して、組み立てることによって作成される。
導音部50の左側から、2つの導音管のそれぞれを通って音波が入って、導音部50の右側へ通過してゆく。
第1の導音管51は直線状であるので、長さは導音部50と等しい。本実施例の第2の導音管52は、内部で2回折り返されており、その全長は導音部50の長さに、折り返し部53の長さの2倍を加えた長さになる。
実施例1と同じように、2つの導音管の長さの差を、28.3mmにするには、折り返し部53の長さを14.2mmとすればよい。導音部50の長さは、例えば16mmであれば、長さが14.2mmの折り返し部63を内部に収納できる。
導音部50の長さが16mmよりも短いことが望まれる場合は、導音部50ならびに折り返し部53の長さを短くして、その代わり折り返しの回数を、例えば4回に増やしても良い。
図14は、4回折り返しの導音管52を持つ導音部50の立体的な構造を模式図として示したものである。導音管52の立体的な折り返し構造を、理解しやすいように、仮に平面に展開した模式的な断面図である。
この場合は、折り返し部53の長さを7.1mmとし、導音部50の長さは、例えば10mmとすることで目的を達成できる。これによれば2つの導音管の長さの差は約28.3mmとなり、同じ周波数特性が得られる。
これで、第1の導音管51を通る経路と第2の導音管52を通る経路の長さの差が、6kHzの音波の2分1波長となり、周波数特性において周波数6kHzを中心とする位置に谷が発生し、音響を減衰させることができる。
本実施例2の効果は、実施例1と同じく、図15によって示される。詳細の説明は重複するので省略する。
1 外部匡体
2 電気音響変換器
3 リード線
4 導音部
5 イヤーパッド
6 音響抵抗体
7 外耳道入口
8 外耳道
9 鼓膜
10 密閉型イヤホン
11 直線状の導音管
12 コの字型の導音管下降部
13 コの字型の導音管横行部
14 コの字型の導音管上昇部
15 放音口
21 コイル
22 永久磁石
23 振動板
30 人体
41 第1の筒状部材
42 第2の筒状部材
43 第1の導音管、穴
44 第2の導音管、溝
50 導音部
51 第1の導音管
52 第2の導音管
53 折り返し部
521 入口
522 入側直進路
523 横行路
524 帰行路
525 縦行路
526 出側直進路
527 出口

Claims (4)

  1. 放音部を外耳道入口に挿入して用いる密閉型イヤホンにおいて、
    電気音響変換器から発生する音波を、外耳道入口に伝達する導音部として、
    経路長の異なる独立した2つの導音管を具備し、
    該電気音響変換器から発生し、該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口で合成され、
    該2つの導音管の経路差を2分1波長とする周波数の音圧を抑制することを
    特徴とする密閉型イヤホン。
  2. 請求項1に記載の密閉型イヤホンであって、
    該2つの導音管の経路差が該外耳道入口付近に位置する該密閉型イヤホンの放音口と該外耳道奥に位置する鼓膜との間隔にほぼ等しく、該放音口と該鼓膜の間に構成される両端閉管共振空間の第1次共振周波を抑圧することを特徴とする密閉型イヤホン
  3. 請求項1に記載の密閉型イヤホンであって、
    該電気音響変換器から発生する音波を、該外耳道入口に伝達する該導音部は2重の筒状部材からなり、
    外側の第1の筒状部材の内側に嵌合(かんごう)する第2の筒状部材の外周に、螺旋状の溝が形成され、
    該第2の筒状部材の内周面をなす直線状の経路である第1の導音管と
    該第1の筒状部材の内周面と、該第2の筒状部材の外周に形成した該螺旋状の溝によって構成される経路である第2の導音管とを

    備えることを特徴とする密閉型イヤホン。
  4. 請求項1に記載の密閉型イヤホンであって、
    該電気音響変換器から発生する音波を、該外耳道入口に伝達する該導音部において、
    該電気音響変換器と該外耳道入口の間を直線状の経路で連結する第1の導音管と、
    該電気音響変換器と該外耳道入口の間を折り返し状の経路で連結する第2の導音管とを備えることを特徴とする密閉型イヤホン。
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