以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す正面図である。また、図2は、図1のII−II線断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両の左前端部に配置されるヘッドランプであって、ロービーム用配光パターンを形成し得る構成となっている。
なお、車両用灯具10としては、図2において、Xで示す方向が「前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が「前方」と直交する「左方向」(車両としても「左方向」であるが灯具正面視では「右方向」)である。
この車両用灯具10は、ランプボディ12とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、第1灯具ユニット20Aと3つの第2灯具ユニット20B、20C、20Dとが、車幅方向に並んで収容された構成となっている。その際、3つの第2灯具ユニット20B、20C、20Dは、第1灯具ユニット20Aよりも車幅方向外側において、この順序で後方側へ徐々に変位するようにして配置されている。
透光カバー14は、車幅方向外側へ向けて斜め後方へ延びるように形成されている。
上記灯室内には、ランプボディ12に対して回動可能に支持されたメインブラケット50と、このメインブラケット50に対して回動可能に支持されたサブブラケット60とが配置されている。
第1灯具ユニット20Aは、第1投影レンズ32Aと、その後方に配置された第1光学ユニット40Aとを備えた構成となっている。また、各第2灯具ユニット20B、20C、20Dは、第2投影レンズ32B、32C、32Dと、その後方に配置された第2光学ユニット40B、40C、40Dとを備えた構成となっている。
第1投影レンズ32Aおよび3つの第2投影レンズ32B、32C、32Dは、単一の透明部材30として構成されている。
この透明部材30は、水平面に沿って延びるように配置されており、灯具正面視において横長矩形状の外形形状を有している。
この透明部材30は、その外周縁部においてレンズホルダ16に支持されている。このレンズホルダ16は、その左右両端部においてメインブラケット50に支持されている。
このレンズホルダ16の外周側には、該レンズホルダ16を覆うエクステンション部材18が配置されている。このエクステンション部材18は、灯具正面視において透明部材30と略一定の間隔をおいて該透明部材30を囲む前端開口部18aを有している。そして、このエクステンション部材18は、その後端部においてメインブラケット50に支持されている。
メインブラケット50は、ランプボディ12に対して、右上(灯具正面視では左上)に位置するピボット52と左上および右下に位置する2つのエイミングスクリュウ54とによって上下方向および左右方向に回動可能に支持されている。
なお、ピボット52は、その基端部がランプボディ12に固定されており、その先端部がメインブラケット50に装着されたスフェリカルステップベアリング56と係合している。また、エイミングスクリュウ54は、その基端部がランプボディ12に回転可能に支持されており、その先端部がメインブラケット50に装着されたエイミングナット58と螺合している。
次に、第1灯具ユニット20Aの詳細構造について説明する。
図3は、図2のIII−III線断面図である。
同図にも示すように、この第1灯具ユニット20Aの第1投影レンズ32Aは、車両前後方向に延びる光軸Axaを有している。
第1光学ユニット40Aは、第1投影レンズ32Aの後側焦点F1よりも後方側に配置された光源42Aと、この光源42Aからの出射光を第1投影レンズ32Aへ向けて反射させるリフレクタ44Aと、このリフレクタ44Aからの反射光の一部を遮光するシェード46Aと、これらを支持するベース部材48Aとを備えている。
光源42Aは、矩形状の発光面を有する白色発光ダイオードであって、その発光面を上向きにした状態でベース部材48Aに支持されている。リフレクタ44Aは、光源42Aを上方側から覆うようにして配置されている。シェード46Aは、リフレクタ44Aからの反射光の一部を上向きに反射させて第1投影レンズ32Aに入射させるための上向き反射面46Aaを有している。この上向き反射面46Aaの前端縁は、後側焦点F1から左右両側へ向けて延びるように形成されている。
そして、この第1光学ユニット40Aは、そのベース部材48Aにおいてメインブラケット50に複数のスクリュウ22によってネジ締め固定されている。このベース部材48Aは、ヒートシンクとしても機能するように構成されている。
次に、各第2灯具ユニット20B、20C、20Dの詳細構造について説明する。
図2に示すように、3つの第2灯具ユニット20B、20C、20Dのうち、最も車幅方向外側に位置する第2灯具ユニット20Dは、その第2投影レンズ32Dの光軸Axdが車両前後方向に延びている。この第2灯具ユニット20Dの車幅方向内側に隣接する第2灯具ユニット20Cは、その第2投影レンズ32Cの光軸Axcが車両前後方向に対して車両前方へ向けて車幅方向外側に傾斜した方向(例えば車両前後方向に対して5°程度傾斜した方向)に延びている。この第2灯具ユニット20Cの車幅方向内側に隣接する第2灯具ユニット20Bは、その第2投影レンズ32Bの光軸Axbが車両前後方向に対して車両前方へ向けてさらに車幅方向外側に傾斜した方向(例えば車両前後方向に対して10°程度傾斜した方向)に延びている。
これら各第2灯具ユニット20B、20C、20Dにおいて、その第2光学ユニット40B、40C、40Dの構成はいずれも同様である。
そこで、以下においては、第2灯具ユニット20Cを例にとって、その第2光学ユニット40Cの構成について説明する。
図4は、図2のIV−IV線断面図である。
同図にも示すように、この第2光学ユニット40Cは、投影レンズ32Cの後側焦点F2よりも後方側に配置された光源42Cと、この光源42Cからの出射光を投影レンズ32Cへ向けて反射させるリフレクタ44Cと、このリフレクタ44Cからの反射光の一部を遮光するシェード46Cと、これらを支持するベース部材48Cとを備えている。
光源42Cは、矩形状の発光面を有する白色発光ダイオードであって、その発光面を上向きにした状態でベース部材48Cに支持されている。リフレクタ44Cは、光源42Cを上方側から覆うようにして配置されている。このリフレクタ44Cは、該リフレクタ44Cで反射した光源42Cからの光の収束度合いが、第1灯具ユニット20Aのリフレクタ44Aで反射した光源42Aからの光の収束度合いよりも小さくなるように、その反射面形状が設定されている。シェード46Cは、リフレクタ44Cからの反射光の一部を上向きに反射させて投影レンズ42Cに入射させるための上向き反射面46Caを有している。この上向き反射面46Caの前端縁は、後側焦点F2から左右両側へ向けて延びるように形成されている。
そして、この第2光学ユニット40Cは、そのベース部材48Cにおいてサブブラケット60に複数のスクリュウ24によってネジ締め固定されている。このベース部材48Cは、ヒートシンクとしても機能するように構成されている。
図5は、図2のV部詳細図である。
同図にも示すように、サブブラケット60は、メインブラケット50に対して、水平に延びる回動軸線Ax1を中心にして上下方向に回動可能に支持されている。この回動軸線Ax1は、第2投影レンズ32Cの光軸Axcと直交する方向(すなわち、車幅方向外側へ向けて車両後方側に傾斜した方向)に延びている。
そして、サブブラケット60は、3つの光軸Axb、Axc、Axdよりも上方でかつ回動軸線Ax1が延びる方向の2箇所(その位置を図1において点A、Bで示す)において、メインブラケット50にネジ締めによって締結されている。
このネジ締めに使用されるスクリュウ62には、そのネジ締め方向に弾性変形可能なウェーブワッシャ64が装着されている。
メインブラケット50には、回動軸線Ax1が延びる方向の2箇所にスリーブ50aが形成されている。このスリーブ50aは、メインブラケット50から後方側へ突出するようにして形成されており、その内周面がスクリュウ62を挿通させるための挿通孔を構成している。
また、メインブラケット50には、回動軸線Ax1が延びる方向の4箇所に、サブブラケット60との当接によってサブブラケット60が上下方向に回動するのを許容する突起部50bが形成されている。これら4つの突起部50bは、各挿通孔に対して回動軸線Ax1が延びる方向の両側近傍に1対ずつ形成されている。これら各突起部50bは、略半球状の突起部として同一サイズで形成されている。
サブブラケット60には、回動軸線Ax1が延びる方向の2箇所に、スクリュウ62のネジ部と螺合してスクリュウ62を固定するためのボス部60aが形成されている。
一方、3つの光軸Axb、Axc、Axdよりも下方の位置には、サブブラケット60をメインブラケット50に対して回動軸線Ax1を中心にして上下方向に回動させるためのアジャスティングスクリュウ66が配置されている(このアジャスティングスクリュウ66の位置を図1において点Cで示す)。
このアジャスティングスクリュウ66は、その基端部がメインブラケット50に回転可能に支持されており、その先端部がサブブラケット60に装着されたアジャスティングナット68と螺合している。
そして、このアジャスティングスクリュウ66を操作してサブブラケット60を回動させることにより、第1光学ユニット40Aと3つの第2光学ユニット40B、40C、40Dとの間の上下方向の光軸ズレを補正することができるようになっている。この操作は、メインブラケット50をランプボディ12に組み付ける前の段階で行うことが可能である。
なお、メインブラケット50は、アジャスティングスクリュウ66の基端部を支持している部分が、スリーブ50aが形成されている部分よりも後方側に変位するようにして形成されている。
次に、透明部材30の構成について説明する。
図6は、透明部材30を単品で示す斜視図である。
同図にも示すように、この透明部材30の前面は、第2投影レンズ32B、32C、32Dの前面32Ba、32Ca、32Daを構成している部分が、車幅方向外側へ向けて斜め後方へ延びる単一の凸シリンドリカル面で構成されており、第1投影レンズ32Aの前面32Aaを構成している部分が、上記凸シリンドリカル面と連続して車幅方向内側へ向けて後方側に回り込むように形成された凸曲面で構成されている。
また、この透明部材30の後面は、第2投影レンズ32B、32C、32Dの後面32Bb、32Cb、32Dbを構成している部分が、それぞれ上下方向に延びる凸シリンドリカル面で構成されており、第1投影レンズ32Aの後面32Abを構成している部分が光軸Axaと直交する平面で構成されている。
その際、各第2投影レンズ32B、32C、32Dの後面32Bb、32Cb、32Dbを構成している凸シリンドリカル面は、各第2投影レンズ32B、32C、32Dの光軸Axb、Axc、Axdの向きに応じた曲率でそれぞれ形成されている。
なお、透明部材30には、第1投影レンズ32Aと第2投影レンズ32Bとの間に連結部30aが形成されるとともに、第2投影レンズ32Dよりも車幅方向外側には延長部30bが形成されている。これら連結部30aおよび延長部30bの前面は、第2投影レンズ32B、32C、32Dの前面32Ba、32Ca、32Daと同一の凸シリンドリカル面で構成されており、その後面は車幅方向外側へ向けて斜め後方へ延びる鉛直面で構成されている。
図7は、車両用灯具10からの照射光によって車両前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンPLを透視的に示す図である。
このロービーム用配光パターンPLは、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁に左右段違いのカットオフラインCL1、CL2を有している。このカットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH−Vを鉛直方向に通るV−V線を境にして左右段違いで水平方向に延びており、V−V線よりも右側の対向車線側部分が下段カットオフラインCL1として形成されるとともに、V−V線よりも左側の自車線側部分が、この下段カットオフラインCL1から傾斜部を介して段上がりになった上段カットオフラインCL2として形成されている。
このロービーム用配光パターンPLにおいて、下段カットオフラインCL1とV−V線との交点であるエルボ点Eは、H−Vの0.5〜0.6°程度下方に位置している。
このロービーム用配光パターンPLは、4つの配光パターンPaL、PbL、PcL、PdLを重畳させた合成配光パターンとして形成されるようになっている。
配光パターンPaLは、第1灯具ユニット20Aからの照射光によって形成される配光パターンであり、残り3つの配光パターンPbL、PcL、PdLは、3つの第2灯具ユニット20B、20C、20Dからの照射光によって形成される配光パターンである。
配光パターンPaLは、第1灯具ユニット20Aのリフレクタ44Aで反射した光源42Aからの光によって第1投影レンズ32Aの後側焦点面上に形成された光源42Aの像を、第1投影レンズ32Aにより上記仮想鉛直スクリーン上に反転投影像として投影することにより形成され、そのカットオフラインCL1、CL2は、シェード46Aの上向き反射面46Aaの前端縁の反転投影像として形成されるようになっている。この点、残り3つの配光パターンPbL、PcL、PdLについても同様である。
配光パターンPaLは、小さくて明るい横長の配光パターンとして形成されている。この配光パターンPaLは、灯具正面方向の消点であるH−Vを上下方向に通るV−V線に対して左右均等に拡がる配光パターンとして形成されている。これは第1灯具ユニット20Aの光軸Axaが車両前後方向に延びていることによるものである。
残り3つの配光パターンPbL、PcL、PdLは、いずれも配光パターンPaLほど明るくはないが配光パターンPaLよりも大きい横長の配光パターンとして形成されている。これは、第2灯具ユニット20C(および20B、20D)のリフレクタ44Cからの反射光の収束度合いが、第1灯具ユニット20Aのリフレクタ44Aからの反射光の収束度合いよりも小さいことによるものである。
これら3つの配光パターンPbL、PcL、PdLは、略同一の配光パターンとして形成されているが、その形成位置が水平方向にずれている。
すなわち、配光パターンPdLは、V−V線に対して左右均等に拡がる配光パターンとして形成されている。これは第2灯具ユニット20Dの光軸Axdが車両前後方向に延びていることによるものである。
これに対し、配光パターンPcLは、配光パターンPdLに対して左側にずれた位置に形成されている。これは第2灯具ユニット20Cの光軸Axcが第2灯具ユニット20Dの光軸Axdに対して左側に傾斜していることによるものである。
また、配光パターンPbLは、配光パターンPcLに対してさらに左側にずれた位置に形成されている。これは第2灯具ユニット20Bの光軸Axbが第2灯具ユニット20Cの光軸Axcに対してさらに左側に傾斜していることによるものである。
このように、ロービーム用配光パターンPLは、V−V線に対して左右均等に拡がる小さくて明るい配光パターンPaLと、V−V線に対して左右均等に拡がる大きい配光パターンPdLと、この配光パターンPdLに対して左側にずれた配光パターンPcLと、この配光パターンPcLに対してさらに左側にずれた配光パターンPbLとで構成されているので、灯具正面方向に高光度領域HZを有する配光ムラの少ない配光パターンとして形成される。
なお、車両単位で形成されるロービーム用配光パターンとしては、車両用灯具10と対をなすべき車両用灯具(すなわち車両の右前端部に配置されるヘッドランプ)からの照射光によって形成されるロービーム用配光パターンとロービーム用配光パターンPLとの合成配光パターンとして形成されることとなる。その際、配光パターンPaL、PdLと略同一の配光パターンがこれらと略同一の位置に形成されるとともに、V−V線に関して配光パターンPbL、PcLと略左右対称の位置関係で配光パターンPbR、PcR(図7において2点鎖線で示す)が形成されるので、車両前方走行路が左右均等に幅広く照射されることとなる。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態に係る車両用灯具10は、単一の透明部材30として構成された第1灯具ユニット20Aの第1投影レンズ32Aと第2灯具ユニット20Bの第2投影レンズ32Bとが、第1投影レンズ32Aに対して第2投影レンズ32Bを灯具後方側に変位させた状態で車幅方向(すなわち所要方向)に並列に配置されているが、第1投影レンズ32Aは、水平断面形状(すなわち上記所要方向および灯具前後方向を含む平面に沿った断面形状)の曲率が、その前面32Aaよりも後面32Abの方が小さい値に設定されており、一方、第2投影レンズ32Bは、水平断面形状の曲率が、その前面32Baよりも後面32Bbの方が大きい値に設定されているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、第1投影レンズ32Aは、その前面32Aaよりも後面32Abの方が水平断面形状の曲率が小さい値に設定されているので、その曲率が大きい前面32Aaを車幅方向内側(すなわち第2投影レンズ32Bとは反対側)へ向けて灯具後方側に回り込むように形成することが容易に可能となる。したがって、第1光学ユニット40Aからの出射光を第1投影レンズ32Aの透過制御によって灯具正面方向の左右両側に略均等に拡がる光として照射することが容易に可能となる。
一方、第2投影レンズ32Bは、その前面32Baよりも後面32Bbの方が水平断面形状の曲率が大きい値に設定されているので、その曲率が小さい前面32Baを第1投影レンズ32Aの前面32Aaと無理なく接続することが容易に可能となる。
このように本実施形態によれば、複数の灯具ユニットを備えた車両用灯具10において、第1灯具ユニット20Aの第1投影レンズ32Aとこれに対して灯具後方側に変位した第2灯具ユニット20Bの第2投影レンズ32Bとが単一の透明部材30として構成されているにもかかわらず、ロービーム用配光パターンPLを容易に形成することができる。
また本実施形態においては、透明部材30の前面が連続した曲面で構成されているので、車両用灯具10を外部から観察したとき、第1および第2投影レンズ32A、32Bが存在することを目立たなくすることができ、その意匠性を高めることができる。
特に本実施形態においては、第2投影レンズ32Bの車幅方向外側の斜め後方に第2投影レンズ32Cが配置されるとともに、この第2投影レンズ32Cの車幅方向外側の斜め後方に第2投影レンズ32Dが配置されているが、これらも透明部材30の一部として構成されているので、車幅方向外側へ向けて斜め後方へ延びるように形成された透光カバー14に沿って第1投影レンズ32Aおよび3つの第2投影レンズ32B、32C、32Dを配置することが容易に可能となる。
その際、各第2投影レンズ32B、32C、32Dは、その前面32Ba、32Ca、32Daが水平方向に延びる凸シリンドリカル面で構成されるとともに、その後面32Bb、32Cb、32Dbが上下方向に延びる凸シリンドリカル面で構成されているので、各第2投影レンズ32B、32C、32Dによる各第2光学ユニット40B、40C、40Dからの出射光に対する透過制御を精度良く行うことができる。
また本実施形態においては、第1投影レンズ32Aが略平凸レンズ状に形成されているので、該第1投影レンズ32Aによる第1光学ユニット40Aからの出射光に対する透過制御を精度良く行うことができる。
そして本実施形態においては、第1灯具ユニット20Aからの照射光によって灯具正面方向に小さくて明るい配光パターンPaLを形成するようになっているので、この配光パターンPaLによってロービーム用配光パターンPLの高光度領域HZを形成することができる。
さらに本実施形態においては、第1灯具ユニット20Aの光照射方向が灯具正面方向であるのに対し、第2灯具ユニット20Bの光照射方向が灯具正面方向から左側に傾斜した方向(すなわち第1灯具ユニット20Aの光照射方向とは異なる方向)に設定されているので、ロービーム用配光パターンPLの左側拡散領域を容易に形成することができる。
すなわち、第2灯具ユニット20Bにおいては、第2光学ユニット40Bからの出射光は灯具正面方向から左側に傾斜した方向へ向かう光として第2投影レンズ32Bに入射するので、その際の入射角が過大にならないようにすることができ、これにより第2投影レンズ32Bの後面32Bbで表面反射してしまう光の割合を小さくすることができる。したがって、第2光学ユニット40Bからの出射光の第2投影レンズ32Bへの入射効率を維持した上で、ロービーム用配光パターンPLに拡がりを持たせることができる。
しかも本実施形態においては、第2灯具ユニット20Cの光照射方向が第1灯具ユニット20Aの光照射方向と第2灯具ユニット20Bの光照射方向との中間的な方向に設定されており、第2灯具ユニット20Dの光照射方向が第1灯具ユニット20Aの光照射方向と同じ方向に設定されているので、ロービーム用配光パターンPLを配光ムラの少ない配光パターンとして形成することができる。
上記実施形態においては、第2灯具ユニット20D、20C、20Bの順で、その光照射方向の灯具正面方向からの左側傾斜角度が徐々に大きくなるように配置されているものとして説明したが、その配置を適宜入れ替えた構成とすることも可能である。
上記実施形態においては、第2灯具ユニット20B以外に2つの第2灯具ユニット20C、20Dが配置されているものとして説明したが、第2灯具ユニット20B以外の第2灯具ユニットの配置個数は特に限定されるものではなく、その際、第2灯具ユニット20Bのみが配置された構成とすることも可能である。
上記実施形態においては、第1灯具ユニット20Aおよび各第2灯具ユニット20B、20C、20Dが、リフレクタ44A、44C等を備えたプロジェクタ型の灯具ユニットであるものとして説明したが、リフレクタ44A、44Cを備えていないプロジェクタ型の灯具ユニットやパラボラ型の灯具ユニット等を採用することも可能である。
上記実施形態においては、ロービーム用配光パターンPLを形成するための車両用灯具10について説明したが、ハイビーム用配光パターン等を形成するための車両用灯具においても上記実施形態と略同様の作用効果を得ることが可能である。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
図8は、本変形例に係る車両用灯具110を示す、図2と同様の図である。ただし、同図においては透明部材130を水平断面形状で示している。
同図に示すように、この車両用灯具110の基本的な構成は上記実施形態に係る車両用灯具10と同様であるが、第1灯具ユニット120Aの第1投影レンズ132Aおよび3つの第2灯具ユニット20B、20C、20Dの第2投影レンズ132B、132C、132Dの構成が上記実施形態の場合と異なっている。
すなわち、本変形例においても、第1投影レンズ132Aおよび3つの第2投影レンズ132B、132C、132Dは、単一の透明部材130として構成されているが、その形状が上記実施形態の場合と異なっている。
この透明部材130は、上記実施形態の透明部材30と同様、水平面に沿って延びるように配置されており、灯具正面視において横長矩形状の外形形状を有している。そして、この透明部材130は、その外周縁部においてレンズホルダ116に支持されており、このレンズホルダ116の外周側には、該レンズホルダ116を覆うエクステンション部材118が配置されている。
第1投影レンズ132Aは、前向きの平凸レンズで構成されており、その光軸Axaは上記実施形態の第1投影レンズ32Aの光軸Axaと同じ方向に延びている。すなわち、この第1投影レンズ132Aの前面132Aaは光軸Axaを中心とする凸曲面で構成されており、その後面132Abは光軸Axaと直交する平面で構成されている。
一方、各第2投影レンズ132B、132C、132Dは、後ろ向きの平凸レンズで構成されており、その光軸Axb、Axc、Axdは上記実施形態の各第2投影レンズ32B、132C、132Dの光軸Axb、Axc、Axdと同じ方向に延びている。すなわち、各第2投影レンズ132B、132C、132Dの前面132Ba、132Ca、132Daは光軸Axb、Axc、Axdと直交する平面で構成されており、その後面132Bb、132Cb、132Dbは光軸Axb、Axc、Axdを中心とする凸曲面で構成されている。
透明部材130には、第1投影レンズ132Aと第2投影レンズ132Bとの間に連結部130aが形成されており、第2投影レンズ132Bと第2投影レンズ132Cとの間に連結部130bが形成されており、第2投影レンズ132Cと第2投影レンズ132Dとの間に連結部130cが形成されており、第2投影レンズ132Dよりも車幅方向外側に延長部130dが形成されている。
その際、第1投影レンズ132Aの前面132Aaは、連結部130aの前面と滑らかに接続されており、また、各第2投影レンズ132B、132C、132Dの前面132Ba、132Ca、132Daと各連結部130a、130b、130cおよび延長部130dの前面との接続部分はコーナRを介して滑らかに接続されている。
本変形例の透明部材130においても、第1投影レンズ132Aは、その前面132Aaよりも後面132Abの方が水平断面形状の曲率が小さい値に設定されているので、その曲率が大きい前面132Aaを車幅方向内側へ向けて灯具後方側に回り込むように形成することが容易に可能となる。したがって、第1光学ユニット40Aからの出射光を第1投影レンズ132Aによって灯具正面方向の左右両側に略均等に拡がる光として出射させる透過制御を行うことが容易に可能となる。
一方、第2投影レンズ132Bは、その前面132Baよりも後面132Bbの方が水平断面形状の曲率が大きい値に設定されているので、その曲率が小さい前面132Baを第1投影レンズ132Aの前面132Aaと無理なく接続することが容易に可能となる。
また本変形例においても、第2投影レンズ132Bの車幅方向外側の斜め後方に第2投影レンズ132Cが配置されるとともに、この第2投影レンズ132Cの車幅方向外側の斜め後方に第2投影レンズ132Dが配置されているが、これらも透明部材130の一部として構成されているので、車幅方向外側へ向けて斜め後方へ延びるように形成された透光カバー14に沿って第1投影レンズ132Aおよび3つの第2投影レンズ132B、132C、132Dを配置することが容易に可能となる。
上記変形例においては、第1投影レンズ132Aが前向きの平凸レンズで構成されているものとして説明したが、その前面132Aaよりも後面132Abの曲率が小さい両凸レンズで構成されたものや、その前面132Aaが上下方向に延びる凸シリンドリカル面で構成されるとともにその後面132Abが水平方向に延びる凸シリンドリカル面で構成されたもの等を採用することも可能である。
また上記変形例においては、各第2投影レンズ132B、132C、132Dがいずれも後ろ向きの平凸レンズで構成されているものとして説明したが、その前面132Ba、132Ca、132Daよりも後面132Bb、132Cb、132Dbの曲率が大きい両凸レンズで構成されたものや、その前面132Aaが水平方向に延びる凸シリンドリカル面で構成されるとともにその後面132Abが上下方向に延びる凸シリンドリカル面で構成されたもの等を採用することも可能である。
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。