JP6627396B2 - 硫黄成分検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料中に含まれる硫黄成分の含有率を検出する硫黄成分検出方法に関する。
内燃機関に用いられる燃料中、特に化石燃料中には、微量の硫黄(S)成分が含まれている。このように燃料中に含まれた硫黄成分は、内燃機関の排気系における構成部品の劣化等を招く。また、硫黄成分による構成部品の劣化を抑制する制御や、劣化した構成部品を再生する制御を頻繁に行うと、燃費の悪化等を招く。したがって、燃費の悪化等を最小限に抑制しつつ構成部品の劣化を最小限に抑制するために、燃料中における硫黄成分の含有率を正確に検出することが望まれている。
内燃機関に用いられる燃料中に硫黄成分が含まれていると、燃焼室から排出される排気ガス中に硫黄酸化物(SOx)が含まれる。また、燃料中における硫黄成分の含有率が高くなるほど、排気ガス中に含まれるSOx濃度が高くなる。したがって、排気ガス中に含まれるSOx濃度を正確に検出することができれば、燃料中における硫黄成分の含有率を正確に検出することができる。
そこで、排気ガス中に含まれるSOx等の酸素含有ガス成分の濃度を検出する排気ガスセンサが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この排気ガスセンサは、拡散律速層を介して排気ガスが導入される被測ガス室と、第一電気化学セルと、第二電気化学セルとを有している。第一電気化学セルでは第一電気化学セルを構成する電極間に比較的低い電圧が印加され、この結果、第一電気化学セルの酸素ポンピング作用により、被測ガス室内のSOxが分解されることなく、被測ガス室内の酸素が除去される。一方、第二電気化学セルでは第二電気化学セルを構成する電極間に比較的高い電圧が印加され、これにより、第一電気化学セルによって酸素が除去された後の排気ガス中に含まれるSOxが分解される。加えて、このSOxの分解によって生じた酸化物イオンが第二電気化学セルの酸素ポンピング作用により被測ガス室から排出され、この酸化物イオンの排出に伴って流れる分解電流を検出することによりSOxの濃度が検出される。
特開平11−190721号公報
ところで、排気ガス中に含まれるSOxの濃度は極めて低く、よって上述したような排気ガスセンサによって検出される分解電流も極めて小さい。このため、上述したような排気ガスセンサによってSOxの分解電流を正確に検出するのは困難である。加えて、排気ガス中には水が含まれており、水の分解によっても分解電流が生じる。水及びSOxの分解によって生じる分解電流のうち、SOxの分解によって生じた分解電流のみを検出するのは困難であり、このことによってもSOxの分解電流を正確に検出するのは困難である。
これに対して、本願の発明者は、酸素ポンピング作用を有する電気化学セルにおいて水及びSOxの分解が生じ得る電圧を印加して水及びSOxを分解させたときの分解電流が排気ガス中に含まれるSOx濃度に応じて変化することを見出した。斯かる現象が生じる具体的な原理は必ずしも明確ではないが、以下のようなメカニズムによって生じるものであると考えられる。
すなわち、電気化学セルの電極間に分解電圧を印加すると、被測ガス中に含まれる水及びSOxが電極上で分解される。このようにSOxの分解によって生じた分解生成物(例えば、硫黄や硫黄化合物)は電極上に吸着し、この結果、水の分解に寄与することができる電極上の表面積が減少する。被測ガス中に含まれるSOxの濃度が高いと、電極上に吸着する分解生成物が多くなり、この結果、電気化学セルの電極間に分解電圧を印加したときに電極間に流れる水の分解電流が小さくなる。逆に、被測ガス中に含まれるSOxの濃度が低いと、電極上に吸着する分解生成物が少なくなり、この結果、電気化学セルの電極間に分解電圧を印加したときに電極間に流れる水の分解電流が大きくなる。こうして、被測ガス中に含まれるSOxの濃度に応じて、電極間に流れる水の分解電流の大きさが変化する。
このため、上述したような現象を利用すれば、電気化学セルに分解電圧を印加したときの水の分解電流に基づいて、排気ガス中に含まれるSOx濃度を検出することができる。加えて、排気ガス中に含まれるSOxの濃度に基づいて、燃料中に含まれる硫黄成分の含有率を検出することができる。
ところで、燃料中における硫黄成分の含有率は一定であっても、排気ガス中のSOx濃度は、必ずしも一定ではなく、例えば排気ガスの空燃比が変化することによって変化する。このため、電気化学セルの電極間にSOxの分解電圧を印加している間に、すなわちSOxの分解生成物を電極上に吸着させている間に、排気ガスの空燃比が変化すると、検出したSOx濃度に基づいて、燃料中における硫黄成分の含有率を精度良く検出することができない。したがって、燃料中における硫黄成分の含有率を精度良く検出するためには、SOx濃度の検出のためにSOxの分解電圧を印加している期間全体に亘って、排気ガスの空燃比を一定に維持することが望ましい。ところが、実際の内燃機関の運転中には、排気ガスの空燃比を或る程度の期間に亘って一定に維持することが困難な場合がある。
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、硫黄成分の検出中に排気ガスの空燃比が変化しても燃料中に含まれる硫黄成分の含有率を適切に検出することができる硫黄成分検出方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)酸化物イオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電解質層の一方の側面上に配置された第一電極と、前記固体電解質層の他方の側面上に配置された第二電極とを有する第一電気化学セルと、通過する被測ガスの拡散律速を行う拡散律速層と、前記固体電解質層及び前記拡散律速層とに区画形成された被測ガス室と、を備え、前記第一電極が前記被測ガス室内に配置されると共に前記第二電極が大気に曝されるように配置された、硫黄成分検出装置によって、燃料中に含まれる硫黄成分の含有率を検出する硫黄成分検出方法であって、前記第一電極と前記第二電極との間に、硫黄酸化物の分解開始電圧以上の第一電圧を、積算パラメータの値が所定値以上になるまでに亘って印加する工程と、前記第一電圧を印加する工程に続いて、前記第一電極と前記第二電極との間に、水の分解開始電圧以上の第二電圧を印加すると共に、これら電極間に流れる電極間電流に相関する電流相関パラメータの値を取得する工程と、前記取得された電流相関パラメータの値に基づいて燃料中における硫黄成分の含有率を検出する工程とを備え、前記積算パラメータは、該積算パラメータの値が大きくなるほど排気ガス中の硫黄酸化物の積算流量が多くなるようなパラメータであり、前記燃料中の硫黄成分を検出する工程では、前記取得された電流相関パラメータの値が第一領域内の値であるときには、前記取得されたパラメータの値が前記第一領域以外の全ての領域である第二領域内の値であるときに比べて、燃料中における硫黄成分の含有率が低いと判定する、硫黄成分検出方法。
)前記第一電圧の大きさは前記第二電圧の大きさに等しい、上記(1)に記載の硫黄成分検出方法。
)前記電流相関パラメータは、前記第一電極と前記第二電極との間に流れる電流であり、前記第一領域は予め定められた基準電流以上の領域であると共に前記第二領域は前記予め定められた基準電流未満の領域である、上記(1)又は(2)に記載の硫黄成分検出方法。
)前記硫黄成分検出装置は、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電解質層の一方の側面上に配置された第三電極と、前記固体電解質層の他方の側面上に配置された第四電極とを有する第二電気化学セルを更に備え、前記第三電極は前記被測ガス室内に配置されると共に前記第四電極は大気に曝されるように配置され、前記第一電極と前記第三電極とは、前記第一電極と前記第二電極との間及び前記第三電極と前記第四電極との間に前記第一電圧を印加したときに、前記第一電極における硫黄酸化物の分解速度が前記第三電極における硫黄酸化物の分解速度よりも早くなるように構成され、前記電流相関パラメータは、前記第一電極と前記第二電極との間に流れる電極間電流と、前記第三電極と前記第四電極との間に流れる電極間電流との差異であり、前記第一領域は予め定められた基準値以下の領域であると共に前記第二領域は前記予め定められた基準値よりも大きい領域である、上記(1)又は(2)に記載の硫黄成分検出方法。
本発明によれば、硫黄成分の検出中に排気ガスの空燃比が変化しても燃料中に含まれる硫黄成分の含有率を適切に検出することができる硫黄成分検出方法が提供される。
図1は、第一実施形態に係る硫黄成分検出装置の構成の示す概略的な断面図である。 図2は、第一電気化学セルの電極間の印加電圧と、これら電極間に流れる電極間電流との関係を示す図である。 図3は、印加電圧が1.0Vであるときの電極間電流の大きさと被測ガス中に含まれる二酸化硫黄の濃度との関係を示す図である。 図4は、第一電気化学セルに1.1Vの印加電圧を継続して印加したときの、電極間電流の時間推移を示す図である。 図5は、ECUが実行する硫黄成分検出処理の一例を示すフローチャートである。 図6は、第二実施形態に係る硫黄成分検出装置の構成の示す概略的な断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
<第一実施形態>
まず、図1を参照して、本発明の第一実施形態に係る硫黄成分検出装置1を用いた硫黄成分の検出方法について説明する。本実施形態の硫黄成分検出装置1は、内燃機関の排気管(図示せず)に配置されて、燃料中における硫黄成分の含有率の検出(以下、単に「硫黄成分の検出」ともいう)を行う。
<硫黄成分検出装置の構成>
図1に示したように、第一実施形態に係る硫黄成分検出装置1は、二つの電気化学セルを有する素子部10と、一方の電気化学セルに接続された第一回路60と、他方の電気化学セルに接続された第三回路70と、電子制御ユニット(ECU)80とを備える。
図1に示したように、素子部10は、複数の層を積層して構成されており、具体的には、第一固体電解質層11、第二固体電解質層12、拡散律速層16、第一不透過層21、第二不透過層22、第三不透過層23、第四不透過層24、第五不透過層25、第六不透過層26を備える。
固体電解質層11、12は、酸化物イオン伝導性を有する薄板体である。固体電解質層11、12は、例えば、ZrO2(ジルコニア)、HfO2、ThO2、Bi23等にCaO、MgO、Y23、Yb23等を安定剤として配当した焼結体により形成されている。また、拡散律速層16は、ガス透過性を有する薄板体である。拡散律速層16は、例えば、アルミナ、マグネシア、けい石質、スピネル、ムライト等の耐熱性無機物質の多孔質焼結体により形成されている。不透過層21〜26は、ガス不透過性の薄板体であり、例えばアルミナを含む層として形成される。
素子部10の各層は、図1の下方から、第一不透過層21、第二不透過層22、第三不透過層23、第一固体電解質層11、拡散律速層16及び第四不透過層24、第二固体電解質層12、第五不透過層25及び第六不透過層26の順に積層されている。
第一固体電解質層11、第二固体電解質層12、拡散律速層16及び第四不透過層24によって、被測ガス室30が区画形成されている。被測ガス室30は、硫黄成分検出装置1が排気管に配置されたときに、被測ガス室30内に拡散律速層16を介して内燃機関の排気ガス(被測ガス)が流入するように構成されている。すなわち、硫黄成分検出装置1は拡散律速層16が排気ガスに曝されるように排気管に配置されており、この結果、被測ガス室30は拡散律速層16を介して排気通路内と連通している。なお、被測ガス室30は、第一固体電解質層11、第二固体電解質層12及び拡散律速層16によって区画形成されていれば、如何なる態様で構成されてもよい。
また、第一固体電解質層11、第二不透過層22及び第三不透過層23によって、第一大気室31が区画形成されている。図1からわかるように、第一大気室31は、第一固体電解質層11を挟んで、被測ガス室30の反対側に配置されている。第一大気室31は、排気管の外部の大気に開放されている。したがって、第一大気室31には、大気ガスが流入する。なお、第一大気室31は、第一固体電解質層11によって区画形成されていれば、如何なる態様で構成されてもよい。
加えて、第二固体電解質層12、第五不透過層25及び第六不透過層26によって、第二大気室32が区画形成されている。図1からわかるように第二大気室32は、第二固体電解質層12を挟んで、被測ガス室30の反対側に配置されている。第二大気室32は、排気管の外部の大気に開放されている。したがって、第二大気室32にも、大気ガスが流入する。なお、第二大気室32は、第二固体電解質層12によって少なくとも部分的に区画形成されていれば、如何なる態様で構成されてもよい。
加えて、素子部10は、第一電極41、第二電極42、第五電極45及び第六電極46を備える。第一電極41は、第一固体電解質層11の被測ガス室30側の表面上に配置されている。したがって、第一電極41は、被測ガス室30内のガスに曝されている。一方、第二電極42は、第一固体電解質層11の第一大気室31側の表面上に配置されている。したがって、第二電極42は、第一大気室31内のガス(大気)に曝されている。第一電極41と第二電極42とは、第一固体電解質層11を挟んで互いに対向するように配置されている。第一電極41、第一固体電解質層11及び第二電極42は、第一電気化学セル51を構成する。
第五電極45は、第二固体電解質層12の被測ガス室30側の表面上に配置されている。したがって、第五電極45は、被測ガス室30内のガスに曝されている。一方、第六電極46は、第二固体電解質層12の第二大気室32側の表面上に配置されている。したがって、第六電極46は、第二大気室32内のガス(大気)に曝されている。第五電極45と第六電極46とは、第二固体電解質層12を挟んで互いに対向するように配置されている。第五電極45、第二固体電解質層12及び第六電極46は、第三電気化学セル53を構成する。
第五電極45は、被測ガス室30内において、第一電極41よりも拡散律速層16側に配置される。したがって、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に流入した被測ガスは、最初に第五電極45周りを流通し、その後、第一電極41周りを流通することになる。
本実施形態では、第一電極41を構成する材料は、白金(Pt)、ロジウム(Rh)及びパラジウム(Pd)等の白金族元素又はこれらの合金を主成分として含む。好ましくは、第一電極41は、白金(Pt)、ロジウム(Rh)及びパラジウム(Pd)の少なくとも一つを主成分として含む多孔質サーメット電極である。しかしながら、第一電極41を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第一電極41と第二電極42との間に所定の電圧を印加したときに、被測ガス室30内の被測ガス中に含まれる水及びSOxを還元分解することができれば、いかなる材料であってもよい。
また、本実施形態では、第二電極42は、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。しかしながら、第二電極42を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第一電極41と第二電極42との間に所定の電圧を印加したときに、第一電極41と第二電極42との間で酸化物イオンを移動させることができれば、いかなる材料であってもよい。
一方、第五電極45及び第六電極46は、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。しかしながら、第五電極45を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第五電極45と第六電極46との間に所定の電圧を印加したときに、被測ガス室30内の被測ガス中に含まれる酸素を還元分解することができれば、いかなる材料であってもよい。加えて、第六電極46を構成する材料も、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第五電極45と第六電極46との間に所定の電圧を印加したときに、第五電極45と第六電極46との間で酸化物イオンを移動させることができれば、いかなる材料であってもよい。
なお、上記実施形態では、第三電気化学セル53は、第一電気化学セル51を構成する第一固体電解質層11とは異なる第二固体電解質層12を含んで構成されている。しかしながら、第一固体電解質層と第二固体電解質層とは同一の固体電解質層であってもよい。すなわち、図1の第一固体電解質層11が第二固体電解質層としても機能し、よって第三電気化学セル53が第一固体電解質層11を含んで構成されてもよい。この場合、第五電極45は第一固体電解質層11の第一大気室31側の表面上に配置され、第六電極46は第一固体電解質層11の被測ガス室30側の表面上に配置される。
さらに、素子部10は、ヒータ(電気ヒータ)55を備える。本実施形態では、ヒータ55は、図1に示したように、第一不透過層21と第二不透過層22との間に配置される。ヒータ55は、例えば、白金(Pt)とセラミックス(例えば、アルミナ等)とを含むサーメットの薄板体であり、通電によって発熱する発熱体である。ヒータ55は、第一電気化学セル51及び第三電気化学セル53を活性温度以上に加熱することができる。
図1に示したように、第一回路60は、第一電源61と第一電流計62とを備える。第一電源61及び第一電流計62は、電子制御ユニット(ECU)80に接続されている。第一電源61は、第一電極41と第二電極42との間に、第二電極42の電位が第一電極41の電位よりも高くなるように、電圧を印加する。第一電源61によって印加される電圧の大きさは、ECU80によって制御される。
一方、第一電流計62は、第一電極41と第二電極42との間に流れる電流(すなわち、第一固体電解質層11内を流れる電流)である電極間電流の大きさを検出する。第一電流計62による電極間電流の検出値は、ECU80に入力される。
また、図1に示したように、第三回路70は、第三電源71と第三電流計72とを備える。第三電源71及び第三電流計72は、ECU80に接続されている。第三電源71は、第五電極45と第六電極46との間に、第六電極46の電位が第五電極45の電位よりも高くなるように、電圧を印加する。第三電源71よって印加される電圧の大きさは、ECU80によって制御される。
一方、第三電流計72は、第五電極45と第六電極46との間に流れる電流(すなわち、第二固体電解質層12内を流れる電流)である電極間電流の大きさを検出する。第三電流計72による電極間電流の検出値は、ECU80に入力される。
ECU80は、演算処理を行うCPU、CPUが実行するプログラム等を記憶するROM、及びデータを一時的に記憶するRAM等を備えるデジタルコンピュータである。ECUは、内燃機関の各種アクチュエータ(燃料噴射弁、スロットル弁等)に接続されて、これらアクチュエータの作動を制御する。
ECU80は、第一電源61を制御することによって、第一電源61により第一電極41と第二電極42との間に印加される第一印加電圧を制御することができる。また、ECU80は、第三電源71を制御することによって、第三電源71により第五電極45と第六電極46との間に印加される第二印加電圧を制御することができる。したがって、ECU80、第一電源61及び第三電源71は、第一電極41と第二電極42との間及び第五電極45と第六電極46との間に電極間電圧を印加すると共に、これら電極間電圧を制御することができる電圧印加装置として機能する。
また、ECU80には、第一電流計62によって検出された第一電極41と第二電極42との間に流れる電極電流の大きさに対応する信号が入力される。したがって、ECU80及び第一電流計62は、第一電極41と第二電極42との間に流れる電極間電流を検出する検出部として機能する。加えて、第三電流計72によって検出された第五電極45と第六電極46との間に流れる電極電流の大きさに対応する信号が入力される。したがって、ECU80及び第三電流計72は、第五電極45と第六電極46との間に流れる電極間電流を検出する検出部として機能する。
<基本的な硫黄成分検出原理>
次に、本実施形態に係る硫黄成分検出装置によるSOxの検出原理について説明する。
SOxの検出原理を説明するにあたり、まず、上述したように構成された素子部10における酸素の限界電流特性について説明する。上述したように構成された素子部10では、被測ガス室30側の電極を陰極、大気ガス室側の電極を陽極としてこれら電極間に電圧を印加すると、被測ガス中に含まれている酸素が還元分解されて酸化物イオンとなる。この酸化物イオンは電気化学セル51、52の固体電解質層11、12を介して陽極側へと伝導されて酸素となり、大気中へ排出される。以下では、このような陰極側から陽極側への固体電解質層を介する酸化物イオンの伝導による酸素の移動を「酸素ポンピング作用」と称する。
このような酸素ポンピング作用に伴う酸化物イオンの伝導により、電気化学セル51、52を構成する電極間には電極間電流が流れる。この電極間電流は、各電気化学セル51、52を構成する電極間に印加させる印加電圧が高くなるほど大きくなる。これは、印加電圧が高くなるほど、酸化物イオンの伝導量が多くなるためである。
しかしながら、印加電圧を徐々に高くして或る一定値以上になると、電極間電流はそれ以上大きくならずに一定の値に維持される。このような特性は酸素の限界電流特性と称され、酸素の限界電流特性が生じる電圧領域は酸素の限界電流領域と称される。このような酸素の限界電流特性は、電圧印加に伴って固体電解質層11、12内を伝導可能な酸化物イオンの伝導速度が、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に導入される酸素の導入速度を超えることによって生じる。すなわち、陰極における酸素の還元分解反応が拡散律速状態になることによって生じる。
したがって、上記電気化学セル51、52において酸素の限界電流領域内の電圧を印加したときの電極間電流(限界電流)は、被測ガス中に含まれる酸素の濃度に対応する。このように酸素の限界電流特性を利用することにより、被測ガス中に含まれる酸素の濃度を検出し、それに基づいて排気ガスの空燃比を検知することができる。
ところで、上述したような酸素ポンピング作用は、被測ガス中に含まれている酸素のみに発現する作用ではない。分子中に酸素原子を含むガスの中には酸素ポンピング作用を発現しうるガスが存在する。このようなガスとしては、SOx及び水(H2O)が挙げられる。したがって、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に、SOx及び水の分解開始電圧以上の電圧を印加することにより、被測ガス中に含まれる水及びSOxが分解される。SOx及び水の分解によって生じた酸化物イオンは、酸素ポンピング作用により、第一電極41から第二電極42へと伝導され、これに伴ってこれら電極間には電極間電流が流れる。
ところが、排気ガス中に含まれるSOxの濃度は極めて低く、SOxの分解に起因して生じる電極間電流も極めて小さい。特に、排気ガス中には水が多く含まれており、水の分解に起因して電極間電流が生じる。このため、SOxの分解に起因して生じる電極間電流を精度良く区別して検出することは困難である。
一方、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に、SOxの分解開始電圧以上の所定の第一電圧を印加すると、上述したように被測ガス中に含まれるSOxが分解される。この結果、SOxの分解生成物(例えば、硫黄及び硫黄化合物)は陰極である第一電極41上に吸着する。このようなSOxの分解生成物の第一電極41への吸着量が多くなると、その分だけ第一電極41の表面が分解生成物に覆われ、これに伴って水の分解に寄与することができる第一電極41の面積が減少すると考えられる。このため、このように水の分解に寄与することができる第一電極41の面積が減少した状態で、第一電極41と第二電極42との間に水の分解開始電圧以上の所定の第二電圧を印加すると、これら電極41、42間に流れる電極間電流が低下する。すなわち、被測ガス中に含まれるSOx濃度が高くなるほど、第一電極41の表面への分解生成物の吸着量が多くなり、その結果、水の分解開始電圧以上の第二電圧を印加したときの電極間電流が低下する。したがって、水の分解開始電圧以上の第二電圧を印加したときの電極間電流に基づいて、被測ガス中に含まれるSOxの濃度を検出することができる。
ここで、水の分解開始電圧及びSOxの分解開始電圧は、測定条件等によって異なっており、測定条件と分解開始電圧との関係は必ずしも解明できてはいない。しかしながら、水の分解開始電圧は、測定条件等により変動は見られるものの、約0.6V〜約0.8Vである。加えて、SOxの分解開始電圧は、水の分解開始電圧と同程度か、或いはそれよりも僅かに低い。したがって、水の分解開始電圧以上である第二電圧は0.6V〜0.8V以上の電圧である。同様に、SOxの分解開始電圧以上である第一電圧も0.6V〜0.8V以上の電圧である。なお、第一電圧は水の分解開始電圧以上の電圧とされてもよい。また、第一電圧と第二電圧とは等しい電圧であってもよい。
一方、第一電極41と第二電極42との間の印加電圧を0.6Vから上昇させていくと、これに伴って第一電極41上での水の分解速度が増大する。このため、印加電圧の上昇に伴って第一電極41と第二電極42との間に流れる電極間電流も増大する。ところが、第一電極41と第二電極42との間の印加電圧が、水の限界電流領域の下限電圧以上の電圧になると、第一電極41において分解可能な水の分解速度が、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に導入される水の導入速度を超える。すなわち、水の限界電流特性が発現するようになる。このような場合、水の濃度に応じて第一電極41と第二電極42との間に流れる電極間電流が変化してしまい、電極間電流に基づいて被測ガス中に含まれるSOx濃度を精度良く検出することが困難になる。また、印加電圧が過度に高い場合には、第一固体電解質層11の分解を招く可能性があり、この場合にも電極間電流に基づいて被測ガス中に含まれるSOxの濃度を精度良く検出することが困難になる。
したがって、本実施形態では、第一電気化学セル51に上述した水の分解開始電圧又はSOxの分解開始電圧以上電圧を印加するときであっても、その電圧は、水の限界電流領域の下限電圧未満の電圧とされる。水の限界電流領域の下限電圧は、測定条件等により若干の変動は見られるが、約2.0Vである。したがって、本実施形態では、上述した第一電圧及び第二電圧はいずれも2.0V未満の電圧である。
印加電圧と電極間電流との関係について具体的に説明する。図2は、第一電気化学セル51において、印加電圧を徐々に上昇させた(昇圧スイープした)ときの印加電圧と電極間電流との関係を示す模式的なグラフである。図示した例では、被測ガス中に含まれるSO2(すなわちSOx)の濃度の異なる4種類(0ppm、100ppm、300ppm及び500ppm)の被測ガスを使用した。加えて、第一電気化学セル51の第一電極(陰極)41に到達する被測ガス中に含まれる酸素の濃度は、第一電気化学セル51の上流側に配置された第三電気化学セル53により、いずれの被測ガスにおいても一定(ほぼ0ppm)に維持されている。
まず、実線L1は、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が0ppmである場合の印加電圧と電極間電流との関係を示している。図2からわかるように、印加電圧が約0.6V未満の領域では、電極間電流はほぼ0である。これは、後述するように、第三電気化学セル53により被測ガス室30内の被測ガス中に含まれている酸素が除去されるためである。一方、印加電圧が約0.6V以上になると、印加電圧の増大に伴って電極間電流が増大し始める。この電極間電流の増大は、第一電極41における水の分解が開始されたことに起因する。
次に、破線L2は、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が100ppmである場合の印加電圧と電極間電流との関係を示している。この場合でも、印加電圧が約0.6V未満の領域では、実線L1の場合と同様に、電極間電流はほぼ0である。一方、印加電圧が約0.6V以上であるときには、水の分解に起因して電極間電流が流れる。しかしながら、このとき(破線L2)の電極間電流は実線L1と比較して小さく、また、印加電圧に対する電極間電流の増加率(図2における傾き)も実線L1と比較して小さい。
更に、一点鎖線L3及び二点鎖線L4は、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が300ppm及び500ppmである場合の印加電圧と電極間電流との関係を示している。これらの場合においても、印加電圧が約0.6V未満の領域では、実線L1及び破線L2の場合と同様に、電極間電流はほぼ0である。一方、印加電圧が約0.6V以上であるときには、水の分解に起因して電極間電流が流れる。しかしながら、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が高いほど電極間電流が小さく、また、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が高いほど印加電圧に対する電極間電流の増加率(図2における傾き)も小さい。
このように、図2に示した例からも、印加電圧がSOx及び水の分解開始電圧である約0.6V以上であるときの電極間電流の大きさは、被測ガス中に含まれるSO2(すなわちSOx)の濃度に応じて変化することがわかる。例えば、図2に示したグラフにおける印加電圧が1.0Vであるときの線L1〜L4における電極電流の大きさを被測ガス中に含まれるSO2の濃度に対してプロットすると、図3に示したグラフが得られる。
図3からわかるように、所定の電圧(図3に示した例では、1.0V)を印加した場合の電極間電流の大きさは、被測ガス中に含まれるSO2(すなわち、SOx)の濃度に応じて変化する。したがって、上述したように、水及びSOxの分解開始電圧以上の所定電圧を印加したときの電極間電流に基づいて、SOxの濃度を検出することができる。
<問題点>
ところで、内燃機関に用いられる燃料中に硫黄成分が含まれていると、内燃機関の燃焼室から排出される排気ガス中にSOxが含まれる。そして、燃料中における硫黄成分の含有率が高くなるほど、排気ガス中に含まれるSOxの濃度が高くなる。したがって、上述したように、硫黄成分検出装置1により電極間電流に基づいてSOxの濃度を検出することで、基本的には、燃料中における硫黄成分の含有率を検出することができる。
ところが、上述したような手法でSOxの濃度を検出すると、SOxの濃度は燃料中における硫黄成分の含有率のみならず、排気ガスの空燃比によっても変化する。特に、排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比である場合、排気ガスの空燃比のリーン度合いが高くなるほど(空燃比が大きくなるほど)、空気に対する燃料の割合が低くなる。したがって、この場合、燃料中に含まれる硫黄成分の含有率が一定であっても、排気ガスの空燃比のリーン度合いが高くなるほど、排気ガス中のSOx濃度が低くなる。
このため、燃料中における硫黄成分の含有率を精度良く検出するためには、硫黄成分検出装置1によるSOxの検出期間全体に亘って排気ガスの空燃比を一定に維持する必要がある。すなわち、硫黄成分検出装置1において、第一電気化学セル51に第一電圧を印加している期間全体に亘って排気ガスの空燃比を一定に維持する必要がある。しかしながら、仮に排気ガスの空燃比が一定に維持されるように燃料噴射量等の制御を行ったとしても、内燃機関では機関負荷や機関回転数の変化に伴って排気ガスの空燃比が変動する。このため、実際の内燃機関の運転中には、排気ガスの空燃比を或る程度の期間に亘って一定に維持することは困難である。このため、燃料中における硫黄成分の含有率を高い精度で検出するのは困難である。
<硫黄成分の検出原理>
ところで、排気ガス中に含まれるSOxの濃度、すなわち被測ガス中に含まれるSOxの濃度が例えば0ppm〜数ppm程度である場合、第一電気化学セル51にSOxの分解開始電圧以上の所定の第一電圧を長期に亘って印加し続けても、第一電極41上にSOxの分解生成物はほとんど吸着しない。この結果、第一電気化学セル51に第一電圧を長期に亘って印加し続けた後に、第一電気化学セル51に水の分解開始電圧以上である第二電圧を印加して電極間電流を検出すると、電極間電流は比較的大きな値となる。
一方、排気ガス中に含まれるSOxの濃度が或る程度の濃度以上である場合、第一電気化学セル51に第一電圧を長期に亘って印加し続けると、やがて第一電極41は分解生成物で覆われることになる。この結果、第一電気化学セル51に第一電圧を長期に亘って印加し続けた後に、第一電気化学セル51に第二電圧を印加して第一電気化学セル51の電極間電流を検出すると、電極間電流は比較的小さな値となる。
図4は、第一電気化学セル51に1.1Vの印加電圧を継続して印加したときの、電極間電流の時間推移を示す図である。図2と同様に、実線L1、破線L2及び一点鎖線L3は、それぞれ被測ガス中に含まれるSO2の濃度が0ppm、100ppm及び300ppmである場合の電極間電流の時間推移を示している。図4に示した例では、時刻t1以前には印加電圧が0.6V未満にされると共に、時刻t1以降は印加電圧が1.1Vにされる。
図4に示したように、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が0ppmである場合(実線L1)、すなわち、燃料中における硫黄成分の含有率が0である場合、時刻t1において第一電気化学セル51に1.1Vの電圧(SOxの分解開始電圧以上であって水の分解開始電圧以上)が印加されると、第一電気化学セル51における電極間電流が急激に増大する。これは、時刻t1以降に第一電極41上で水の分解が行われるためである。その後、電極間電流はほとんど減少することなく、一定の値に収束する。これは、第一電極41上にSOxの分解生成物が吸着しないためである。
被測ガス中に含まれるSO2の濃度が100ppmである場合(破線L2)、すなわち、燃料中における硫黄成分の含有率が中程度である場合、時刻t1において電気化学セル51に1.1Vの電圧が印加されると、第一電気化学セル51における電極間電流は急激に増大する。その後、第一電極41上にSOxの分解生成物が吸着するため、電極間電流は徐々に減少していき、最終的に一定の値に収束する。このとき収束する値は、実線L1が収束する値よりも小さい。これは、第一電極41上を吸着したSOxの分解生成物が覆い、最終的に第一電極41上にそれ以上分解生成物が吸着できなくなるためである(第一電極41への分解生成物の吸着が飽和する)。
被測ガス中に含まれるSO2の濃度が300ppmである場合(一点鎖線L3)、すなわち、燃料中における硫黄成分の含有率が高い場合、時刻t1において電気化学セル51に1.1Vの電圧が印加されると、第一電気化学セル51における電極間電流は急激に増大する。その後、第一電極41上にSOxの分解生成物が吸着するため、電極間電流は徐々に減少していき、最終的に一定の値に収束する。この場合、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が高く、よって第一電極41への分解生成物の吸着速度が速いため、一点鎖線L3における電極間電流の減少速度は、破線L2における電極間電流の減少速度よりも速い。また、一点鎖線L3が収束する値は、破線L2が収束する値に等しい。これは、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が300ppmである場合でも、この濃度が100ppmである場合と同様に、第一電極41上をSOxの分解生成物が覆い、最終的に第一電極41上への分解生成物の吸着が飽和するためである。
このような傾向は、基本的に排気ガスの空燃比が変化しても変わらない。燃料中における硫黄成分の含有率が極めて低い場合、第一電気化学セル51にSOxの分解開始電圧以上の所定の第一電圧を長期に亘って印加し続けると、その間に排気ガスの空燃比が変動しても、第一電極41上にSOxの分解生成物はほとんど吸着しない。この結果、この場合、第一電圧の印加中に排気ガスの空燃比が変動しても、その後水の分解開始電圧以上の第二電圧を印加したときの電極間電流は図4の実線L1と同様な値に収束する。
一方、燃料中における硫黄成分の含有率が中程度以上である場合、第一電気化学セル51に第一電圧を長期に亘って印加し続けると、その間に排気ガスの空燃比が変動しても、第一電極41上にはSOxの分解生成物が多量に吸着する。その結果、最終的には、第一電極41上への分解生成物の吸着が飽和する。このため、この場合、第一電圧の印加中に排気ガスの空燃比が変動しても、その後第二電圧を印加したときの電極間電流は図4の破線L2及び一点鎖線L3と同様な値に収束する。
<硫黄成分検出処理>
そこで、本実施形態では、以下のような手順により、硫黄成分の検出処理を行うようにしている。まず、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に、SOxの分解開始電圧以上である第一電圧が印加される(図4の時刻t1)。その後、両電極41、42間に所定の継続時間Δtに亘って第一電圧が印加し続けられる。これによって、燃料中における硫黄成分の含有率が中程度以上であると、第一電極41上にはSOxの分解生成物が多量に吸着する。一方、燃料中における硫黄成分の含有率が極めて低いと、第一電極41上にはSOxの分解生成物がほとんど吸着しない。
その後、第一電圧の印加開始(時刻t1)からの経過時間が所定の継続時間Δt以上になった時刻t2において、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に、水の分解開始電圧以上である第二電圧が印加される。このとき、燃料中における硫黄成分の含有率が少ないと、第一電極41へのSOxの分解生成物の吸着量が少ないため、第二電圧を印加したときの電極間電流が予め定められた基準電流It以上となる。したがって、第二電圧を印加したときの電極間電流が予め定められた基準電流It以上である場合には、燃料中における硫黄成分の含有率は所定の基準含有率以下である判定する。
逆に、燃料中における硫黄成分の含有率が高いと、第二電圧を印加したときの電極間電流が予め定められた基準電流It未満となる。したがって、第二電圧を印加したときの電極間電流が予め定められた基準電流It未満である場合には燃料中における硫黄成分の含有率は基準含有率よりも多いと判定する。
ここで、基準電流It以上の電流領域を第一領域、基準電流It未満の電流領域を第二領域とする。したがって、第二領域は、第一領域以外のすべての電流領域であるということができる。本実施形態では、第一電気化学セル51に第二電圧を印加したときの電極間電流が第一領域内の値であるときには燃料中における硫黄成分の含有率は基準含有率以下である判定される。一方、第一電気化学セル51に第二電圧を印加したときの電極間電流が第二領域内の値であるときには、燃料中における硫黄成分の含有率は基準含有率よりも高いと判定される。したがって、本実施形態では、第二電圧を印加したときの電極間電流の大きさが第一領域内の値であるときには、第二の領域内の値であるときに比べて、燃料中における硫黄成分の含有率が低いと判定される。
このようにして燃料における硫黄成分の含有率を検出することにより、排気ガスの空燃比にかかわらず、燃料中の硫黄成分の含有率が基準含有率未満であるか否かを検出することができる。特に、燃料中の硫黄成分の含有率が極めて少ないときと燃料中の硫黄成分の含有率が中程度以上であるときとを区別することができる。
ここで、上述したように、第一電圧は、第二電圧と等しい電圧とされるのが好ましい。この場合、時刻t1から時刻t2における印加電圧と、時刻t2以降の印加電圧は等しい電圧とされる。このように、第一電圧と第二電圧とを等しい電圧とすることにより、時刻t2において電圧の切替を行う必要がなくなり、よって印加電圧の制御を単純なものとすることができる。また、SOx及び水を分解するにあたり、分解開始電圧(0.6V〜0.8V)よりも或る程度高い電圧を印加した方が、SOx及び水の分解が促進される。したがって、例えば、第一電圧及び第二電圧は1.1Vである。
ただし、第一電圧と第二電圧とは必ずしも等しい電圧である必要はない。したがって、第二電圧の方が第一電圧よりも高くても良い。上述したようにSOxの分解開始電圧は水の分解開始電圧よりも低いと考えられるため、SOxを分解させるために印加する第一電圧を比較的低い電圧とすることができる。この結果、硫黄成分の検出に伴う電力消費を抑制することができ、燃費悪化を抑制することができる。逆に、第一電圧の方が第二電圧よりも高くても良い。この場合、第一電圧の印加中にSOxの分解を促進させることができる。
なお、上記実施形態では、所定の継続時間Δtに亘って第一電気化学セル51の電極間に第一電圧が印加されている。この継続時間Δtは、燃料中における硫黄成分の含有率が所定値以上であるときにこの継続時間Δtに亘って第一電気化学セル51に第一電圧を印加すると第一電極41上への分解生成物の吸着が飽和するような時間に設定される。したがって、換言すると、継続時間Δtは、燃料中における硫黄成分の含有率が所定値以上であるときにこの継続時間Δtの間に排気管を流通する排気ガス中のSOxの積算流量が一定量になるように設定される。
また、上記実施形態では、所定の継続時間Δtに亘って第一電気化学セル51の電極間に第一電圧が印加されている。しかしながら、第一電気化学セル51の電極間に第一電圧を印加する期間は、パラメータの値が大きくなるほど排気ガス中のSOxの積算流量が多くなるようなパラメータ(以下、「積算パラメータ」という)であれば、時間以外の他のパラメータに基づいて決定されてもよい。したがって、このような積算パラメータとしては、「時間」の他に、「内燃機関の燃焼室に吸入された吸入空気量の積算値」や、「内燃機関の燃料噴射弁から燃焼室に供給された燃料供給量の積算値」等が考えられる。
そして、硫黄成分の検出処理では、積算パラメータの値が所定値以上になるまで第一電気化学セル51の電極間に第一電圧が印加される。このときの所定値は、燃料中における硫黄成分の含有率が所定値以上であるときに積算パラメータの値がこの所定値になるまでに亘って第一電気化学セル51に第一電圧を印加すると第一電極41上への分解生成物の吸着が飽和するような値に設定される。
<ポンプセル>
ところで、第一電気化学セル51では、上述したように、第一電極41と第二電極42との間にSOx分解開始電圧以上の第一電圧を印加することで第一電極41上においてSOxを分解させると共に、水の分解開始電圧以上の第二電圧を印加することで第一電極41上における水の分解に伴う電極間電流を検出している。しかしながら、第一電気化学セル51に到達する被測ガス中に酸素が含まれている場合には、第一電極41上で酸素の分解(イオン化)が生じると共に、これによって生じた酸化物イオンが第一電極41から第二電極42へと流れることになる。このように、酸素の分解に伴って第一電極41と第二電極42との間に分解電流が流れてしまうと、電極間電流に基づいてSOxの濃度を正確に検出することができなくなる。
ここで、上述したように、酸素の限界電流領域内の電圧を第三電気化学セル53に印加すると、電圧印加に伴って第三電気化学セル53により伝導可能な酸化物イオンの伝導速度が、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に導入される酸素の導入速度よりも速くなる。したがって、酸素の限界電流領域内の電圧が第三電気化学セル53に印加されていると、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に流入した被測ガス中に含まれる酸素のほとんどを除去することができる。
そこで、本実施形態では、第一電気化学セル51よりも拡散律速層16側に配置された第三電気化学セル53に酸素の限界電流領域内の電圧を印加するようにしている。酸素の限界電流領域は、印加電圧をそれ以上上昇させても電極間電流がほとんど変化しない下限電圧(例えば、0.1V)以上の領域である。加えて、第三電気化学セル53への印加電圧は、SOx及び水の分解開始電圧(約0.6V)未満の電圧とされる。第三電気化学セル53への印加電圧をこのように設定すると、被測ガス中に含まれる酸素を分解し、第二固体電解質層12を介して除去することができる。加えて、第三電気化学セル53への印加電圧はSOx及び水の分解開始電圧未満であるため、第三電気化学セル53の第五電極45上においては、水やSOxの分解は起こらない。したがって、第三電気化学セル53は、被測ガス室30内から水及びSOxを排出することなく酸素を排出するポンプセルとして機能する。
<具体的な制御>
図5を参照して、上述した硫黄成分の検出処理を行う具体的な制御について説明する。図5は、ECU80が実行する硫黄成分の検出処理の一例を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、第三電気化学セル53への印加電圧は、例えば、常に0.4Vとされる。
まず、ステップS11に示したように、ECU80は硫黄成分の検出条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、例えば、内燃機関の始動後(又は、イグニッションキーをオンにした後、或いは前回燃料を給油した後)、硫黄成分の検出処理が完了している場合には、硫黄成分の検出条件が成立していないと判定される。すなわち、燃料中の硫黄成分の含有率は燃料の給油を行わない限り変化しない。したがって、一度硫黄成分の検出が完了すれば、それほど頻繁に硫黄成分の検出処理を行う必要はない。このため、硫黄成分の検出処理が完了している場合には、硫黄成分の検出条件が成立していないと判定される。
ステップS11において、SOx検出条件が成立していないと判定された場合には、ステップS12へと進む。ステップS12では、ECU80は、第一電気化学セル51への印加電圧を0.30Vとする。このように、第一電気化学セル51への印加電圧を0.45V未満にすると、第一電気化学セル51の第一電極41上が僅かに酸素過剰な状態になるように、第一電気化学セル51の固体電解質層11を介して酸化物イオンが移動する。この結果、第一電極41上にSOxの分解生成物が吸着している場合には、分解生成物は離脱せしめられる。
一方、ステップS11において、硫黄成分の検出条件が成立していると判定された場合には、ステップS13へと進む。ステップS13では、ECU80は、第一電気化学セル51への印加電圧を1.1V(第一電圧)とする。このため、被測ガス中に含まれるSOx濃度に応じて、第一電極41上にSOxの分解生成物が徐々に吸着することになる。
次いで、ステップS14では、ECU80は、第一電気化学セル51への印加電圧が1.1Vにされてからの経過時間が所定の継続時間Δt以上であるか否かを判定する。経過時間が所定の継続時間Δt未満であると判定された場合には、ステップS11へ戻される。一方、ステップS14において、第一電気化学セル51への印加電圧が1.1Vにされてからの経過時間が所定の継続時間Δt以上であると判定された場合には、ステップS15へと進む。なお、図5に示した例では、ステップS14において経過時間が所定の継続時間Δt以上であると判定された後も、第一電気化学セル51への印加電圧は1.1V(第二電圧)のまま維持される。
ステップS15では、ECU80は、第一電気化学セル51の電極間電流を取得する。次いで、ステップS16では、ECU80は、ステップS15で取得された電極間電流が基準電流It以上であるか否かを判定する。電極間電流が基準電流It以上であると判定された場合には、ステップS17へと進む。ステップS17では、ECU80は、燃料中における硫黄成分の含有率が基準含有率よりも低いと判定し、その後ルーチンはステップS19へと進む。一方、ステップS16で電極間電流が基準電流It以下であると判定された場合には、ステップS18へと進む。ステップS18では、ECU80は、燃料中における硫黄成分の含有率が基準含有率も高いと判定し、その後、ルーチンはステップS19へと進む。ステップS19では、ECU80は、第一電気化学セル51への印加電圧を0.30Vとし、制御ルーチンが終了する。
なお、図5に示した検出処理は、第一電圧と第二電圧とを共に、1.1Vに設定した場合を示している。仮に第一電圧と第二電圧とを異なる電圧とした場合、ステップS13において第一セル印加電圧が第一電圧に設定されると共に、ステップS14において所定の継続時間Δt以上であると判定された後は、第一セル印加電圧が第二電圧に設定される。
<第二実施形態>
次に、図6を参照して、本発明の第二実施形態に係る硫黄成分検出装置2による硫黄成分の検出方法について説明する。図6(A)は、本実施形態に係る硫黄成分検出装置の、図1と同様な概略的な断面図である。図6(B)は、図6(A)に示した線A−Aに沿って見た本実施形態に係る硫黄成分検出装置の概略的な断面図である。以下では、第二実施形態に係る硫黄成分検出装置2について、第一実施形態に係る硫黄成分検出装置1とは異なる部分について主に説明する。
<硫黄成分検出装置の構成>
図6(B)に示したように、第二実施形態に係る硫黄成分検出装置2は、第一電気化学セル51の近傍に併設された第二電気化学セル52を更に備える。図6(A)及び図6(B)からわかるように、第二電気化学セル52は、拡散律速層16及び第三電気化学セル53からの距離が、第一電気化学セル51と等しくなるように、第一電気化学セル51と並んで配置される。
具体的には、本実施形態では、素子部10は、第三電極43及び第四電極44を更に有する。第三電極43は、第一固体電解質層11の被測ガス室30側の表面上に配置されている。したがって、第三電極43は、被測ガス室30内のガスに曝されている。一方、第四電極44は、第一固体電解質層11の第一大気室31側の表面上に配置されている。したがって、第四電極44は、第一大気室31内のガス(大気)に曝されている。第三電極43と第四電極44とは、第一固体電解質層11を挟んで互いに対向するように配置されている。第三電極43、第一固体電解質層11及び第四電極44は、第二電気化学セル52を構成する。したがって、第三電極43は、拡散律速層16及び第三電気化学セル53からの距離が、第一電極41と等しくなるように、第一電極41と並んで配置される。
本実施形態では、第三電極43を構成する材料は、白金(Pt)、金(Au)、鉛(Pb)、銀(Ag)等の金属元素又はこれらの合金を主成分として含む。好ましくは、第三電極43は、白金(Pt)、金(Au)、鉛(Pb)、銀(Ag)の少なくとも一つを主成分として含む多孔質サーメット電極である。また、第四電極44は、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。なお、第三電極43を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、印加電圧が等しくても、第一電極41と比較して、SOxの分解速度が低くなるように電極が構成されれば、いかなる材料であってもよい。特に、本実施形態では、第三電極43を構成する材料は、第三電極43においてSOxが分解される速度が実質的に0となるような材料であるのが好ましい。また、第四電極44を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第一電極41と第二電極42との間に所定の電圧を印加したときに、第一電極41と第二電極42との間で酸化物イオンを移動させることができれば、いかなる材料であってもよい。
第二実施形態に係る硫黄成分検出装置は、第二回路90を備える。第二回路90は、第二電源91と第二電流計92とを備える。第二電源91及び第二電流計92はECU80に接続されている。第二電源91は、第三電極43と第四電極44との間に、第四電極44の電位が第三電極43の電位よりも高くなるように電圧を印加する。第二電源91によって印加される電圧の大きさは、ECU80によって制御される。
一方、第二電流計92は、第三電極43と第四電極44との間に流れる電流(すなわち、第一固体電解質層11内を流れる電流)である電極間電流の大きさを検出する。第二電流計92による電極間電流の検出値は、ECU80に入力される。
ECU80は、第二電源91を制御することによって、第二電源91により第三電極43と第四電極44との間に印加される第三印加電圧を制御することができる。したがって、ECU80及び第二電源91は、第三電極43と第四電極44との間に電極間電圧を印加すると共に、この電極間電圧を制御することができる電圧印加装置として機能する。また、ECU80には、第二電流計92によって検出された第三電極43と第四電極44との間に流れる電極間電流の大きさに対応する信号が入力される。したがって、ECU80及び第二電流計92は、第三電極43と第四電極44との間に流れる電流に相関する電流相関パラメータの値を検出する検出部として機能する。
<検出原理>
上述したように、第二電気化学セル52では、第一電気化学セル51と同一の印加電圧が印加されても、被測ガス中に含まれるSOxを分解する速度が第一電気化学セル51よりも極めて遅い。具体的には、第三電極43においてSOxが分解される速度は、第一電極41においてSOxが分解される速度よりも極めて遅く、実質的には0である。したがって、被測ガス中に含まれるSOxの分解生成物が電極に吸着する速度も第三電極43上の方が第一電極41上よりも遅い。具体的には、第三電極43には、SOxの分解生成物は実質的に吸着しない。したがって、第一電極41における水の分解に対する活性の低下速度よりも、第三電極43における水の分解に対する活性の低下速度の方が遅い。具体的には、第三電極43における水の分解に対する活性は実質的に低下しない。この結果、第二電気化学セル52における電極間電流は、SOxの分解に起因する影響を受けない。このため、第一電気化学セル51における電極間電流よりも第二電気化学セル52における電極間電流の方が大きくなり、これら電極間電流の差は被測ガス中に含まれるSOxの濃度が高いほど大きくなる。
したがって、本実施形態の硫黄成分検出装置2は、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に所定電圧を印加したときの電極間電流と、第二電気化学セル52の第三電極43と第四電極44との間に同一の所定電圧を印加したときの電極間電流との差異をECU80によって算出し、この差異に基づいて燃料中に含まれる硫黄成分を検出するようにしている。このように第一電気化学セル51の電極間電流と第二電気化学セル52の電極間電流との差をとることにより、SOxの濃度を検出するにあたって、被測ガス中に含まれる水の濃度変動の影響を低減することができる。
なお、図6に示した例では、第二電気化学セル52は、第一固体電解質層11を第一電気化学セル51と共有している。しかしながら、第二電気化学セル52は、第一電気化学セル51を構成する第一固体電解質層11とは別の固体電解質層を備えてもよい。
また、上記実施形態では、第一電気化学セル51への印加電圧と第二電気化学セル52への印加電圧とが同一の電圧とされている。しかしながら、第二電気化学セル52への印加電圧は、電極間に印加すると被測ガス中に含まれる水を分解することができ且つ水の限界電流領域の下限値未満の電圧であれば、第一電気化学セル51への印加電圧とは異なる電圧であってもよい。
<硫黄成分検出処理>
上述したような硫黄成分の検出原理を踏まえて、本実施形態では、以下のようにして硫黄成分の検出処理が行われる。
加えて、本実施形態では、燃料中に含まれる硫黄成分を検出するにあたり、ECU80は、第一電気化学セル51及び第二電気化学セル52に第一電圧が印加される。その後、両電気化学セル51、52に所定の継続時間Δtに亘って第一電圧が印加し続けられる。これによって、燃料中における硫黄成分の含有率が中程度以上である場合には、第一電極41上にはSOxの分解生成物が多量に吸着する。一方、この場合であっても、第三電極43上にはSOxの分解生成物は吸着しない。
その後、第一電圧の印加開始からの経過時間が所定の継続時間Δt以上になると、第一電気化学セル51及び第二電気化学セル52に第二電圧が印加される。このとき、燃料中における硫黄成分の含有率が少ないと、第一電極41へのSOxの分解生成物の吸着量が少ないため、第一電気化学セル51の電極間電流と第二電気化学セル52の電極間電流tの差異が予め定められた基準値以下となる。したがって、第二電圧を印加したときの電極間電流の差異が予め定められた基準値以下である場合には、燃料中における硫黄成分の含有率は所定の基準含有率以下である判定する。
逆に、燃料中における硫黄成分の含有率が高いと、第二電圧を印加したときの電極間電流の差異が予め定められた基準値より大きくなる。したがって、第二電圧を印加したときの電極間電流の差異が予め定められた基準値より大きい場合には燃料中における硫黄成分の含有率は基準含有率よりも多いと判定する。
ここで、基準値以下の電極間電流の差異領域を第一領域、基準値よりも大きい電極間電流の差異領域を第二領域とする。したがって、第二領域は、第一領域以外のすべての電流領域であるということができる。本実施形態では、第一電気化学セル51に第二電圧を印加したときの電極間電流の差異が第一領域内の値であるときには燃料中における硫黄成分の含有率は基準含有率以下である判定される。一方、第一電気化学セル51に第二電圧を印加したときの電極間電流が第二領域内の値であるときには、燃料中における硫黄成分の含有率は基準含有率よりも高いと判定される。したがって、本実施形態では、第二電圧を印加したときの電極間電流の差異が第一領域内の値であるときには、第二の領域内の値であるときに比べて、燃料中における硫黄成分の含有率が低いと判定される。
なお、上記第一実施形態では、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に流れる電極間電流に基づいて燃料中における硫黄成分の含有率を検出している。また、上記第二実施形態では、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に流れる電極間電流と第二電気化学セル52の第三電極43と第四電極44との間に流れる電極間電流との差異に基づいて、燃料中における硫黄成分の含有率を検出している。したがって、これら実施形態では、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に流れる電極間電流に相関する電流相関パラメータに基づいて被測ガス中に含まれるSOxを検出しているといえる。
また、斯かる電流相関パラメータとしては、これら電極間電流や電極間電流の差異のみならず、電極間電流やその差異に応じて変化する電圧や抵抗値を用いてもよい。
1、2 硫黄成分検出装置
10 素子部
11 第一固体電解質層
12 第二固体電解質層
16 拡散律速層
41 第一電極
42 第二電極
43 第三電極
44 第四電極
45 第五電極
46 第六電極
51 第一電気化学セル
52 第二電気化学セル
53 第三電気化学セル
60 第一回路
70 第三回路
80 電子制御ユニット(ECU)
90 第二回路

Claims (4)

  1. 酸化物イオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電解質層の一方の側面上に配置された第一電極と、前記固体電解質層の他方の側面上に配置された第二電極とを有する第一電気化学セルと、通過する被測ガスの拡散律速を行う拡散律速層と、前記固体電解質層及び前記拡散律速層とに区画形成された被測ガス室と、を備え、前記第一電極が前記被測ガス室内に配置されると共に前記第二電極が大気に曝されるように配置された、硫黄成分検出装置によって、燃料中に含まれる硫黄成分の含有率を検出する硫黄成分検出方法であって、
    前記第一電極と前記第二電極との間に、硫黄酸化物の分解開始電圧以上の第一電圧を、積算パラメータの値が所定値以上になるまでに亘って印加する工程と、
    前記第一電圧を印加する工程に続いて、前記第一電極と前記第二電極との間に、水の分解開始電圧以上の第二電圧を印加すると共に、これら電極間に流れる電極間電流に相関する電流相関パラメータの値を取得する工程と、
    前記取得された電流相関パラメータの値に基づいて燃料中における硫黄成分の含有率を検出する工程とを備え、
    前記積算パラメータは、該積算パラメータの値が大きくなるほど前記第一電圧の印加開始からの排気ガス中の硫黄酸化物の積算流量が多くなるようなパラメータであり、
    前記燃料中の硫黄成分を検出する工程では、前記取得された電流相関パラメータの値が第一領域内の値であるときには、前記取得されたパラメータの値が前記第一領域以外の全ての領域である第二領域内の値であるときに比べて、燃料中における硫黄成分の含有率が低いと判定する、硫黄成分検出方法。
  2. 前記第一電圧の大きさは前記第二電圧の大きさに等しい、請求項1に記載の硫黄成分検出方法。
  3. 前記電流相関パラメータは、前記第一電極と前記第二電極との間に流れる電流であり、前記第一領域は予め定められた基準電流以上の領域であると共に前記第二領域は前記予め定められた基準電流未満の領域である、請求項1又は2に記載の硫黄成分検出方法。
  4. 前記硫黄成分検出装置は、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質層と、該固体電解質層の一方の側面上に配置された第三電極と、前記固体電解質層の他方の側面上に配置された第四電極とを有する第二電気化学セルを更に備え、前記第三電極は前記被測ガス室内に配置されると共に前記第四電極は大気に曝されるように配置され、
    前記第一電極と前記第三電極とは、前記第一電極と前記第二電極との間及び前記第三電極と前記第四電極との間に前記第一電圧を印加したときに、前記第一電極における硫黄酸化物の分解速度が前記第三電極における硫黄酸化物の分解速度よりも早くなるように構成され、
    前記電流相関パラメータは、前記第一電極と前記第二電極との間に流れる電極間電流と、前記第三電極と前記第四電極との間に流れる電極間電流との差異であり、前記第一領域は予め定められた基準値以下の領域であると共に前記第二領域は前記予め定められた基準値よりも大きい領域である、請求項1又は2に記載の硫黄成分検出方法。
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