JP6536341B2 - 硫黄酸化物検出装置 - Google Patents

硫黄酸化物検出装置

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Description

本発明は、排気ガス中に含まれる硫黄酸化物(SOx)の有無又はその濃度を検出する硫黄酸化物検出装置(SOx検出装置)に関する。
内燃機関に用いられる燃料中、特に化石燃料中には、微量の硫黄(S)成分が含まれている。このように燃料中に含まれた硫黄成分は、内燃機関の排気系における構成部品の劣化等を招く。また、硫黄成分による構成部品の劣化を抑制する制御や、劣化した構成部品を再生する制御を頻繁に行うと、燃費の悪化等を招く。したがって、燃費の悪化等を最小限に抑制しつつ構成部品の劣化を最小限に抑制するために、燃料中における硫黄成分の含有の有無又はその含有率を検出することが望まれている。
内燃機関に用いられる燃料中に硫黄成分が含まれていると、燃焼室から排出される排気ガス中に硫黄酸化物(SOx)が含まれる。また、燃料中における硫黄成分の含有率が高くなるほど、排気ガス中に含まれるSOx濃度が高くなる。したがって、排気ガス中に含まれるSOxの有無又はその濃度を検出することができれば、燃料中における硫黄成分の含有の有無又はその含有率を検出することができる。
そこで、排気ガス中に含まれるSOx等の酸素含有ガス成分の濃度を検出する排気ガスセンサが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この排気ガスセンサは、拡散律速層を介して排気ガスが導入される被測ガス室と、第一電気化学セルと、第二電気化学セルとを有している。第一電気化学セルでは第一電気化学セルを構成する電極間に比較的低い電圧が印加され、この結果、第一電気化学セルの酸素ポンピング作用により、被測ガス室内のSOxが分解されることなく、被測ガス室内の酸素が除去される。一方、第二電気化学セルでは第二電気化学セルを構成する電極間に比較的高い電圧が印加され、これにより、第一電気化学セルによって酸素が除去された後の排気ガス中に含まれるSOxが分解される。加えて、このSOxの分解によって生じた酸化物イオンが第二電気化学セルの酸素ポンピング作用により被測ガス室から排出され、この酸化物イオンの排出に伴って流れる分解電流を検出することによりSOxの濃度が検出される。
特開平11−190721号公報
ところで、排気ガス中に含まれるSOxの濃度は極めて低く、よって上述したような排気ガスセンサによって検出される分解電流も極めて小さい。このため、上述したような排気ガスセンサによってSOxの分解電流を正確に検出するのは困難である。
これに対して、本願の発明者は、酸素ポンピング作用を有する電気化学セルにおいて水及びSOxの分解が生じ得る分解電圧を印加して水及びSOxを分解させたときの分解電流が排気ガス中に含まれるSOx濃度に応じて変化することを見出した。斯かる現象が生じる具体的な原理は必ずしも明確ではないが、以下のようなメカニズムによって生じるものであると考えられる。
すなわち、電気化学セルの電極間に分解電圧を印加すると、被測ガス中に含まれる水及びSOxが電極上で分解される。このようにSOxの分解によって生じた分解生成物(例えば、硫黄や硫黄化合物)は電極上に吸着し、この結果、水の分解に寄与することができる電極上の表面積が減少する。被測ガス中に含まれるSOxの濃度が高いと、電極上に吸着する分解生成物が多くなり、この結果、電気化学セルの電極間に分解電圧を印加したときに電極間に流れる水の分解電流が小さくなる。逆に、被測ガス中に含まれるSOxの濃度が低いと、電極上に吸着する分解生成物が少なくなり、この結果、電気化学セルの電極間に分解電圧を印加したときに電極間に流れる水の分解電流が大きくなる。こうして、被測ガス中に含まれるSOxの濃度に応じて、電極間に流れる水の分解電流が変化する。
このため、上述したような現象を利用すれば、電気化学セルに分解電圧を印加したときの水の分解電流に基づいて、排気ガス中に含まれるSOxの有無又は濃度を検出することができる。
ところが、電気化学セルの電極上に吸着したSOxの分解生成物は、上述したようなSOx濃度の検出の終了後にもそのまま電極上に残る。この結果、次にSOx濃度の検出を行うと、排気ガス中に含まれるSOx濃度に対応する量以上に、水の分解に寄与することができる電極上の表面積が減少する。このため、排気ガス中に含まれるSOx濃度が誤って検出されてしまう。
そこで、本発明の目的は、被測ガス中に含まれるSOxの有無又は濃度を正確に検出することができる硫黄酸化物検出装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)酸化物イオン伝導性を有する第一固体電解質層と、該第一固体電解質層の一方の側面上に配置された第一電極と、前記第一固体電解質層の他方の側面上に配置された第二電極とを有する第一電気化学セルと、酸化物イオン伝導性を有する第二固体電解質層と、該第二固体電解質層の一方の側面上に配置された第三電極と、前記第二固体電解質層の他方の側面上に配置された第四電極とを有する第二電気化学セルと、通過する被測ガスの拡散律速を行う拡散律速層と、前記第一固体電解質層、前記第二固体電解質層及び前記拡散律速層によって区画形成された被測ガス室と、前記第一電極と前記第二電極との間及び前記第三電極と前記第四電極との間に電圧を印加する電圧印加部と、前記第一電極と前記第二電極との間に流れる電流に相関する電流相関パラメータの値を検出する検出部と、を備える硫黄酸化物検出装置において、前記第一電極及び前記第三電極が前記被測ガス室内に配置されると共に、前記第二電極及び前記第四電極が大気に曝されるように配置され、前記電圧印加部と前記検出部とは、硫黄酸化物検出処理と該硫黄酸化物検出処理の前又は後に行われる被毒回復処理とを実行可能であり、前記硫黄酸化物検出処理では、前記電圧印加部により前記第一電極と前記第二電極との間に、水及び硫黄酸化物の分解開始電圧以上の電圧が印加されると共に、前記第三電極と前記第四電極との間に、酸素の限界電流領域の下限電圧以上であって水及び硫黄酸化物の分解開始電圧未満の電圧が印加され、且つ前記検出部により検出された前記電流相関パラメータの値に基づいて前記被測ガス中に含まれる硫黄酸化物の有無又はその濃度が検出され、前記被毒回復処理では、前記第一電極と前記第二電極との間に0.45V未満の電圧が印加されると共に、前記第三電極と前記第四電極との間の印加電圧が前記酸素の限界電流領域の下限電圧未満の電圧とされる、硫黄酸化物検出装置。
(2)前記被毒回復処理中であっても、前記被測ガス室内に流入する被測ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチな空燃比であるときには、前記第三電極と前記第四電極との間の印加電圧は前記酸素の限界電流領域の下限電圧以上とされる、上記(1)に記載の硫黄酸化物検出装置。
本発明によれば、被測ガス中に含まれるSOxの有無又は濃度を正確に検出することができる硫黄酸化物検出装置が提供される。
図1は、第一実施形態に係るSOx検出装置の構成の示す概略的な断面図である。 図2は、第一電気化学セルの電極間の印加電圧と、これら電極間に流れる電極間電流との関係を示す図である。 図3は、印加電圧が1.0Vであるときの電極間電流の大きさと被測ガス中に含まれる二酸化硫黄の濃度との関係を示す図である。 図4は、ECUが実行するSOx検出処理及び被毒回復処理の一例を示すフローチャートである。 図5は、第二実施形態に係るSOx検出装置の構成の示す概略的な断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
<第一実施形態>
まず、図1を参照して、本発明の第一実施形態に係るSOx検出装置1について説明する。本実施形態のSOx検出装置1は、内燃機関の排気管(図示せず)に配置されて、排気管内に形成された排気通路内を流通する排気ガス中に含まれるSOxの有無又はその濃度の検出(以下、これらをまとめて「SOxの検出」という)を行う。
<SOx検出装置の構成>
図1に示したように、第一実施形態に係るSOx検出装置1は、二つの電気化学セルを有する素子部10と、一方の電気化学セルに接続された第一回路60と、他方の電気化学セルに接続された第二回路70と、電子制御ユニット(ECU)80とを備える。
図1に示したように、素子部10は、複数の層を積層して構成されており、具体的には、第一固体電解質層11、第二固体電解質層12、拡散律速層16、第一不透過層21、第二不透過層22、第三不透過層23、第四不透過層24、第五不透過層25、第六不透過層26を備える。
固体電解質層11、12は、酸化物イオン伝導性を有する薄板体である。固体電解質層11、12は、例えば、ZrO2(ジルコニア)、HfO2、ThO2、Bi23等にCaO、MgO、Y23、Yb23等を安定剤として配当した焼結体により形成されている。また、拡散律速層16は、ガス透過性を有する薄板体である。拡散律速層16は、例えば、アルミナ、マグネシア、けい石質、スピネル、ムライト等の耐熱性無機物質の多孔質焼結体により形成されている。不透過層21〜26は、ガス不透過性の薄板体であり、例えばアルミナを含む層として形成される。
素子部10の各層は、図1の下方から、第一不透過層21、第二不透過層22、第三不透過層23、第一固体電解質層11、拡散律速層16及び第四不透過層24、第二固体電解質層12、第五不透過層25及び第六不透過層26の順に積層されている。
第一固体電解質層11、第二固体電解質層12、拡散律速層16及び第四不透過層24によって、被測ガス室30が区画形成されている。被測ガス室30は、SOx検出装置1が排気管に配置されたときに、被測ガス室30内に拡散律速層16を介して内燃機関の排気ガス(被測ガス)が流入するように構成されている。すなわち、SOx検出装置1は拡散律速層16が排気ガスに曝されるように排気管に配置されており、この結果、被測ガス室30は拡散律速層16を介して排気通路内と連通している。なお、被測ガス室30は、第一固体電解質層11、第二固体電解質層12及び拡散律速層16によって少なくとも部分的に区画形成されていれば、如何なる態様で構成されてもよい。
また、第一固体電解質層11、第二不透過層22及び第三不透過層23によって、第一大気室31が区画形成されている。図1からわかるように、第一大気室31は、第一固体電解質層11を挟んで、被測ガス室30の反対側に配置されている。第一大気室31は、排気管の外部の大気に開放されている。したがって、第一大気室31には、大気ガスが流入する。なお、第一大気室31は、第一固体電解質層11によって少なくとも部分的に区画形成されていれば、如何なる態様で構成されてもよい。
加えて、第二固体電解質層12、第五不透過層25及び第六不透過層26によって、第二大気室32が区画形成されている。図1からわかるように第二大気室32は、第二固体電解質層12を挟んで、被測ガス室30の反対側に配置されている。第二大気室32は、排気管の外部の大気に開放されている。したがって、第二大気室32にも、大気ガスが流入する。なお、第二大気室32は、第二固体電解質層12によって少なくとも部分的に区画形成されていれば、如何なる態様で構成されてもよい。
加えて、素子部10は、第一電極41、第二電極42、第三電極43及び第四電極44を備える。第一電極41は、第一固体電解質層11の被測ガス室30側の表面上に配置されている。したがって、第一電極41は、被測ガス室30内のガスに曝されている。一方、第二電極42は、第一固体電解質層11の第一大気室31側の表面上に配置されている。したがって、第二電極42は、第一大気室31内のガス(大気)に曝されている。第一電極41と第二電極42とは、第一固体電解質層11を挟んで互いに対向するように配置されている。第一電極41、第一固体電解質層11及び第二電極42は、第一電気化学セル51を構成する。
第三電極43は、第二固体電解質層12の被測ガス室30側の表面上に配置されている。したがって、第三電極43は、被測ガス室30内のガスに曝されている。一方、第四電極44は、第二固体電解質層12の第二大気室32側の表面上に配置されている。したがって、第四電極44は、第二大気室32内のガス(大気)に曝されている。第三電極43と第四電極44とは、第二固体電解質層12を挟んで互いに対向するように配置されている。第三電極43、第二固体電解質層12及び第四電極44は、第二電気化学セル52を構成する。
第三電極43は、被測ガス室30内において、第一電極41よりも拡散律速層16側に配置される。したがって、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に流入した被測ガスは、最初に第三電極43周りを流通し、その後、第一電極41周りを流通することになる。
本実施形態では、第一電極41を構成する材料は、白金(Pt)、ロジウム(Rh)及びパラジウム(Pd)等の白金族元素又はこれらの合金を主成分として含む。好ましくは、第一電極41は、白金(Pt)、ロジウム(Rh)及びパラジウム(Pd)の少なくとも一つを主成分として含む多孔質サーメット電極である。しかしながら、第一電極41を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第一電極41と第二電極42との間に所定の電圧を印加したときに、被測ガス室30内の被測ガス中に含まれる水及びSOxを還元分解することができれば、いかなる材料であってもよい。
また、本実施形態では、第二電極42は、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。しかしながら、第二電極42を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第一電極41と第二電極42との間に所定の電圧を印加したときに、第一電極41と第二電極42との間で酸化物イオンを移動させることができれば、いかなる材料であってもよい。
一方、第三電極43及び第四電極44は、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。しかしながら、第三電極43を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第三電極43と第四電極44との間に所定の電圧を印加したときに、被測ガス室30内の被測ガス中に含まれる酸素を還元分解することができれば、いかなる材料であってもよい。加えて、第四電極44を構成する材料も、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第三電極43と第四電極44との間に所定の電圧を印加したときに、第三電極43と第四電極44との間で酸化物イオンを移動させることができれば、いかなる材料であってもよい。
なお、上記実施形態では、第二電気化学セル52は、第一電気化学セル51を構成する第一固体電解質層11とは異なる第二固体電解質層12を含んで構成されている。しかしながら、第一固体電解質層と第二固体電解質層とは同一の固体電解質層であってもよい。すなわち、図1の第一固体電解質層11が第二固体電解質層としても機能し、よって第二電気化学セル52が第一固体電解質層11を含んで構成されてもよい。この場合、第三電極43は第一固体電解質層11の第一大気室31側の表面上に配置され、第四電極44は第一固体電解質層11の被測ガス室30側の表面上に配置される。
さらに、素子部10は、ヒータ(電気ヒータ)55を備える。本実施形態では、ヒータ55は、図1に示したように、第一不透過層21と第二不透過層22との間に配置される。ヒータ55は、例えば、白金(Pt)とセラミックス(例えば、アルミナ等)とを含むサーメットの薄板体であり、通電によって発熱する発熱体である。ヒータ55は、第一電気化学セル51及び第二電気化学セル52を活性温度以上に加熱することができる。
図1に示したように、第一回路60は、第一電源61と第一電流計62とを備える。第一電源61及び第一電流計62は、電子制御ユニット(ECU)80に接続されている。第一電源61は、第一電極41と第二電極42との間に、第二電極42の電位が第一電極41の電位よりも高くなるように、電圧を印加する。第一電源61によって印加される電圧の大きさは、ECU80によって制御される。
一方、第一電流計62は、第一電極41と第二電極42との間に流れる電流(すなわち、第一固体電解質層11内を流れる電流)である電極間電流の大きさを検出する。第一電流計62による電極間電流の検出値は、ECU80に入力される。
また、図1に示したように、第二回路70は、第二電源71と第二電流計72とを備える。第二電源71及び第二電流計72は、ECU80に接続されている。第二電源71は、第三電極43と第四電極44との間に、第四電極44の電位が第三電極43の電位よりも高くなるように、電圧を印加する。第二電源71よって印加される電圧の大きさは、ECU80によって制御される。
一方、第二電流計72は、第三電極43と第四電極44との間に流れる電流(すなわち、第二固体電解質層12内を流れる電流)である電極間電流の大きさを検出する。第二電流計72による電極間電流の検出値は、ECU80に入力される。
ECU80は、演算処理を行うCPU、CPUが実行するプログラム等を記憶するROM、及びデータを一時的に記憶するRAM等を備えるデジタルコンピュータである。ECUは、内燃機関の各種アクチュエータ(燃料噴射弁、スロットル弁等)に接続されて、これらアクチュエータの作動を制御する。
ECU80は、第一電源61を制御することによって、第一電源61により第一電極41と第二電極42との間に印加される第一印加電圧を制御することができる。また、ECU80は、第二電源71を制御することによって、第二電源71により第三電極43と第四電極44との間に印加される第二印加電圧を制御することができる。したがって、ECU80、第一電源61及び第二電源71は、第一電極41と第二電極42との間及び第三電極43と第四電極44との間に電極間電圧を印加すると共に、これら電極間電圧を制御することができる電圧印加装置として機能する。
また、ECU80には、第一電流計62によって検出された第一電極41と第二電極42との間に流れる電極電流の大きさに対応する信号が入力される。したがって、ECU80及び第一電流計62は、第一電極41と第二電極42との間に流れる電極間電流を検出する検出部として機能する。加えて、第二電流計72によって検出された第三電極43と第四電極44との間に流れる電極電流の大きさに対応する信号が入力される。したがって、ECU80及び第二電流計72は、第三電極43と第四電極44との間に流れる電極間電流を検出する検出部として機能する。
<SOx検出原理>
次に、本実施形態に係るSOx検出装置によるSOxの検出原理について説明する。
SOxの検出原理を説明するにあたり、まず、上述したように構成された素子部10における酸素の限界電流特性について説明する。上述したように構成された素子部10では、被測ガス室30側の電極を陰極、大気ガス室側の電極を陽極としてこれら電極間に電圧を印加すると、被測ガス中に含まれている酸素が還元分解されて酸化物イオンとなる。この酸化物イオンは電気化学セル51、52の固体電解質層11、12を介して陽極側へと伝導されて酸素となり、大気中へ排出される。以下では、このような陰極側から陽極側への固体電解質層を介する酸化物イオンの伝導による酸素の移動を「酸素ポンピング作用」と称する。
このような酸素ポンピング作用に伴う酸化物イオンの伝導により、電気化学セル51、52を構成する電極間には電極間電流が流れる。この電極間電流は、各電気化学セル51、52を構成する電極間に印加させる印加電圧が高くなるほど大きくなる。これは、印加電圧が高くなるほど、酸化物イオンの伝導量が多くなるためである。
しかしながら、印加電圧を徐々に高くして或る一定値以上になると、電極間電流はそれ以上大きくならずに一定の値に維持される。このような特性は酸素の限界電流特性と称され、酸素の限界電流特性が生じる電圧領域は酸素の限界電流領域と称される。このような酸素の限界電流特性は、電圧印加に伴って固体電解質層11、12内を伝導可能な酸化物イオンの伝導速度が、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に導入される酸素の導入速度を超えることによって生じる。すなわち、陰極における酸素の還元分解反応が拡散律速状態になることによって生じる。
したがって、上記電気化学セル51、52において酸素の限界電流領域内の電圧を印加したときの電極間電流(限界電流)は、被測ガス中に含まれる酸素の濃度に対応する。このように酸素の限界電流特性を利用することにより、被測ガス中に含まれる酸素の濃度を検出し、それに基づいて排気ガスの空燃比を検知することができる。
ところで、上述したような酸素ポンピング作用は、被測ガス中に含まれている酸素のみに発現する作用ではない。分子中に酸素原子を含むガスの中には酸素ポンピング作用を発現しうるガスが存在する。このようなガスとしては、SOx及び水(H2O)が挙げられる。したがって、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に、SOx及び水の分解開始電圧以上の電圧を印加することにより、被測ガス中に含まれる水及びSOxが分解される。SOx及び水の分解によって生じた酸化物イオンは、酸素ポンピング作用により、第一電極41から第二電極42へと伝導され、これに伴ってこれら電極間には電極間電流が流れる。
ところが、排気ガス中に含まれるSOxの濃度は極めて低く、SOxの分解に起因して生じる電極間電流も極めて小さい。特に、排気ガス中には水が多く含まれており、水の分解に起因して電極間電流が生じる。このため、SOxの分解に起因して生じる電極間電流を精度良く区別して検出することは困難である。
一方、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に、SOxの分解開始電圧以上の所定電圧を印加すると、上述したように被測ガス中に含まれるSOxが分解される。この結果、SOxの分解生成物(例えば、硫黄及び硫黄化合物)は陰極である第一電極41上に吸着する。このようなSOxの分解生成物の第一電極41への吸着量が多くなると、その分だけ第一電極41の表面が分解生成物に覆われ、これに伴って水の分解に寄与することができる第一電極41の面積が減少すると考えられる。このため、このように水の分解に寄与することができる第一電極41の面積が減少した状態で、第一電極41と第二電極42との間に水の分解開始電圧以上の所定電圧を印加すると、これら電極41、42間に流れる電極間電流が低下する。すなわち、被測ガス中に含まれるSOx濃度が高くなるほど、第一電極41の表面への分解生成物の吸着量が多くなり、その結果、水の分解開始電圧以上の所定電圧を印加したときの電極間電流が低下する。したがって、水の分解開始電圧以上の所定電圧を印加したときの電極間電流に基づいて、被測ガス中に含まれるSOxを検出(すなわち、SOxの有無又はSOx濃度を検出)することができる。
ここで、水の分解開始電圧は、測定条件等により若干の変動は見られるが、約0.6Vである。また、SOxの分解開始電圧は、水の分解開始電圧と同程度か、或いはそれよりも僅かに低い。したがって、本実施形態では、上述した方法によって第一電気化学セル51によって被測ガス中に含まれるSOxを検出するために、第一電極41と第二電極42との間に0.6V以上の電圧が印加される。
一方、第一電極41と第二電極42との間の印加電圧を0.6Vから上昇させていくと、これに伴って第一電極41上での水の分解速度が増大する。このため、印加電圧の上昇に伴って第一電極41と第二電極42との間に流れる電極間電流も増大する。ところが、第一電極41と第二電極42との間の印加電圧が、水の限界電流領域の下限電圧以上の電圧になると、第一電極41において分解可能な水の分解速度が、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に導入される水の導入速度を超える。すなわち、水の限界電流特性が発現するようになる。このような場合、水の濃度に応じて第一電極41と第二電極42との間に流れる電極間電流が変化してしまい、電極間電流に基づいて被測ガス中に含まれるSOx濃度を精度良く検出することが困難になる。また、印加電圧が過度に高い場合には、第一固体電解質層11の分解を招く可能性があり、この場合にも電極間電流に基づいて被測ガス中に含まれるSOxの濃度を精度良く検出することが困難になる。
したがって、本実施形態では、第一電気化学セル51に上述した水及びSOxの分解開始電圧以上電圧を印加するときであっても、その電圧は、水の限界電流領域の下限電圧未満の電圧とされる。水の限界電流領域の下限電圧は、測定条件等により若干の変動は見られるが、約2.0Vである。したがって、本実施形態では、上述した方法によって第一電気化学セル51により被測ガス中に含まれるSOxを検出するために、第一電極41と第二電極42との間に2.0V未満の電圧が印加される。
印加電圧と電極間電流との関係について具体的に説明する。図2は、第一電気化学セル51において、印加電圧を徐々に上昇させた(昇圧スイープした)ときの印加電圧と電極間電流との関係を示す模式的なグラフである。図示した例では、被測ガス中に含まれるSO2(すなわちSOx)の濃度の異なる4種類(0ppm、100ppm、300ppm及び500ppm)の被測ガスを使用した。加えて、第一電気化学セル51の第一電極(陰極)41に到達する被測ガス中に含まれる酸素の濃度は、第一電気化学セル51の上流側に配置された第二電気化学セル52により、いずれの被測ガスにおいても一定(ほぼ0ppm)に維持されている。
まず、実線L1は、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が0ppmである場合の印加電圧と電極間電流との関係を示している。図2からわかるように、印加電圧が約0.6V未満の領域では、電極間電流はほぼ0である。これは、後述するように、第二電気化学セル52により被測ガス室30内の被測ガス中に含まれている酸素が除去されるためである。一方、印加電圧が約0.6V以上になると、印加電圧の増大に伴って電極間電流が増大し始める。この電極間電流の増大は、第一電極41における水の分解が開始されたことに起因する。
次に、破線L2は、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が100ppmである場合の印加電圧と電極間電流との関係を示している。この場合でも、印加電圧が約0.6V未満の領域では、実線L1の場合と同様に、電極間電流はほぼ0である。一方、印加電圧が約0.6V以上であるときには、水の分解に起因して電極間電流が流れる。しかしながら、このとき(破線L2)の電極間電流は実線L1と比較して小さく、また、印加電圧に対する電極間電流の増加率(図2における傾き)も実線L1と比較して小さい。
更に、一点鎖線L3及び二点鎖線L4は、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が300ppm及び500ppmである場合の印加電圧と電極間電流との関係を示している。これらの場合においても、印加電圧が約0.6V未満の領域では、実線L1及び破線L2の場合と同様に、電極間電流はほぼ0である。一方、印加電圧が約0.6V以上であるときには、水の分解に起因して電極間電流が流れる。しかしながら、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が高いほど電極間電流が小さく、また、被測ガス中に含まれるSO2の濃度が高いほど印加電圧に対する電極間電流の増加率(図2における傾き)も小さい。
このように、図2に示した例からも、印加電圧がSOx及び水の分解開始電圧である約0.6V以上であるときの電極間電流の大きさは、被測ガス中に含まれるSO2(すなわちSOx)の濃度に応じて変化することがわかる。例えば、図2に示したグラフにおける印加電圧が1.0Vであるときの線L1〜L4における電極電流の大きさを被測ガス中に含まれるSO2の濃度に対してプロットすると、図3に示したグラフが得られる。
図3からわかるように、所定の電圧(図3に示した例では、1.0V)を印加した場合の電極間電流の大きさは、被測ガス中に含まれるSO2(すなわち、SOx)の濃度に応じて変化する。したがって、上述したように、水及びSOxの分解開始電圧以上の所定電圧を印加したときの電極間電流に基づいて、SOxの濃度を検出することができる。
なお、図2に示した例は、上述したように、印加電圧を徐々に上昇させたときの関係を示している。したがって、印加電圧が上昇するほど、SO2の分解生成物の第一電極41への吸着量が増大していく。加えて、SO2の分解生成物の第一電極41への吸着量が一定であっても、印加電圧が高くなるほど、電極間電流が低下する程度が大きくなる。図2に示した例では、これら二つの要因によって、印加電圧が高くなるほど、SO2の濃度に伴う電極間電流の低下幅が大きくなっている。
<ポンプセル>
第一電気化学セル51では、上述したように、第一電極41と第二電極42との間にSOx及び水の分解開始電圧以上の所定電圧を印加することで、第一電極41上で水及びSOxを分解させると共に水の分解に伴う電極間電流を検出している。しかしながら、第一電気化学セル51に到達する被測ガス中に酸素が含まれている場合には、第一電極41上で酸素の分解(イオン化)が生じると共に、これによって生じた酸化物イオンが第一電極41から第二電極42へと流れることになる。このように、酸素の分解に伴って第一電極41と第二電極42との間に分解電流が流れてしまうと、電極間電流に基づいてSOxの濃度を正確に検出することができなくなる。
ここで、上述したように、酸素の限界電流領域内の電圧を第二電気化学セル52に印加すると、電圧印加に伴って第二電気化学セルにより伝導可能な酸化物イオンの伝導速度が、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に導入される酸素の導入速度よりも速くなる。したがって、酸素の限界電流領域内の電圧が第二電気化学セル52に印加されていると、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に流入した被測ガス中に含まれる酸素のほとんどを除去することができる。
そこで、本実施形態では、第一電気化学セル51よりも拡散律速層16側に配置された第二電気化学セル52に酸素の限界電流領域内の電圧を印加するようにしている。酸素の限界電流領域は、印加電圧をそれ以上上昇させても電極間電流がほとんど変化しない下限電圧(例えば、0.1V)以上の領域である。加えて、第二電気化学セル52への印加電圧は、SOx及び水の分解開始電圧(約0.6V)未満の電圧とされる。第二電気化学セル52への印加電圧をこのように設定すると、被測ガス中に含まれる酸素を分解し、第二固体電解質層12を介して除去することができる。加えて、第二電気化学セル52への印加電圧はSOx及び水の分解開始電圧未満であるため、第二電気化学セル52の第三電極43上においては、水やSOxの分解は起こらない。したがって、第二電気化学セル52は、被測ガス室30内から水及びSOxを排出することなく酸素を排出するポンプセルとして機能する。
<SOx検出処理>
上述したようなSOxの検出原理を踏まえて、本実施形態では、以下のようにしてSOxの検出処理が行われる。
まず、本実施形態では、被測ガス中に含まれるSOxを検出するにあたり、ECU80は、第二電気化学セル52に0.40Vの電圧を印加するように第二電源71を制御する。これにより、第二電気化学セル52の第三電極43と第四電極44との間には、0.40Vの電圧が印加される。このように第二電気化学セル52に酸素の限界電流領域の下限電圧以上の電圧を印加することにより、被測ガス室30内の酸素が第三電極43において分解され、この分解によって生成された酸化物イオンが被測ガス室30から第二大気室32へと排出される。
なお、このとき、第三電極43と第四電極44との間には、被測ガス中に含まれる酸素の濃度に応じた電流が流れる。したがって、第三電極43と第四電極44との間で流れる電極間電流を第二電流計72によって検出することにより、被測ガス中に含まれる酸素濃度を検出することができる。したがって、第二電気化学セル52は、被測ガスの空燃比を検出する空燃比センサとして用いることができる。
加えて、本実施形態では、被測ガス中に含まれるSOxを検出するにあたり、ECU80は、第一電気化学セル51に1.1Vの電圧を印加するように第一電源61を制御する。これにより、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間には、所定の印加時間に亘って1.1Vの電圧が印加される。このように第一電気化学セル51にSOx及び水の分解開始電圧以上の電圧を所定の印加時間に亘って印加することにより、第一電極41上にはSOxの分解によって生じた分解生成物が吸着する。加えて、上記所定の印加時間の経過後に、第一電気化学セル51に水の分解開始電圧以上の電圧を所定の印加時間に亘って印加することにより、第一電極41と第二電極42との間に水の分解に起因する電極間電流が流れる。この水の分解開始電圧以上の電圧は、約0.6V以上であるため、第一電気化学セル51への印加電圧は1.1Vのままでもよいし、0.6V以上の1.1Vとは異なる電圧であってもよい。この電極間電流は、第一電極41上へのSOxの分解生成物の吸着量に応じて変化する。したがって、この電極間電流を第一電流計62によって検出することにより、被測ガス中に含まれるSOx濃度を検出することができる。
<電極の硫黄被毒>
ところで、上述したように、SOx検出処理を行うと、第一電気化学セル51の第一電極41上には、SOxの分解生成物(例えば、硫黄及び硫黄化合物)が吸着する。このようにして、第一電極41上に吸着した分解生成物は、SOx検出処理の終了後も第一電極41上にそのまま残る。この結果、次にSOx検出処理を行うと、第一電極41上には被測ガス中に含まれるSOx濃度に対応する量以上のSOx分解生成物が第一電極41上に吸着していることになる。
このため、次のSOx検出処理では、第一電気化学セル51における電極間電流が、被測ガス中に含まれるSOx濃度に対応する量以上に低下する。この結果、被測ガス中に含まれるSOx濃度又はSOxの有無が誤って検出されてしまうことになる。斯かる誤検出を防止するためには、SOx検出処理を行う前に或いはSOx検出処理を行った後に、第一電極41に吸着したSOxの分解生成物を電極から除去することが必要である。
<硫黄被毒の回復原理>
ところで、上述した酸素ポンピング作用によれば、電気化学セルの固体電解質層の両側に電圧を印加すると、陰極側から陽極側へ酸化物イオンが伝導する旨を説明した。しかしながら、電気化学セルの固体電解質層の両側に電圧を印加していると、陰極側における被測ガス室内がリッチ空燃比であって被測ガス中に含まれる酸素濃度が極端に少ない場合には、むしろ陽極側から陰極側へ酸化物イオンが移動する。
このような酸化物イオンの移動が生じる理由について簡単に説明する。固体電解質層の両側面間に酸素濃度の差が生じると、濃度の高い側面側から濃度の低い側面側へと酸化物イオンを移動させようとする起電力が発生する(酸素電池作用)。これに対して、上述したように固体電解質層の両側の電極間に電圧を印加すると、上述したような起電力が発生してもこれら電極間の電位差が印加電圧に等しくなるように酸化物イオンの移動が生じる。
この結果、電気化学セルの固体電解質層の両側に配置された電極間に電圧を印加すると、両電極上の酸素濃度差が両電極の電位差に応じた濃度差になるように酸化物イオンの移動が行われる。具体的には、陽極上の酸素濃度が陰極上の酸素濃度に比べて、電位差に相当する濃度差分だけ高くなるように酸化物イオンの移動が行われる。
このため、電気化学セルの両電極間に或る電圧を印加した場合、陽極上の酸素濃度が陰極上の酸素濃度に比べてこの或る電圧に相当する濃度差ほど高くないときには、酸素濃度差が大きくなるように陰極から陽極へ向かって酸化物イオンの移動が行われる。この結果、陰極上の酸素濃度が低下し、両電極上の酸素濃度差は上記或る電圧に相当する濃度差に近づく。逆に、陰極上の酸素濃度が陽極上の酸素濃度に比べてこの或る電圧に相当する濃度差よりも高いときには、酸素濃度差が小さくなるように陰極から陽極へ向かって酸化物イオンの移動が行われる。この結果、陰極上の酸素濃度が上昇し、両電極上の酸素濃度差は、上記或る電圧に相当する濃度差に近づく。
ここで、固体電解質層の両側面上に配置された電極間の電位差が0.45Vであるときには、この電位差に相当する濃度差は、大気中に含まれる酸素濃度と平衡状態(すなわち、過剰な未燃成分(HC、CO等)や過剰な酸素がない状態、或いは空燃比が理論空燃比である状態)における酸素濃度との濃度差に等しくなる。したがって、電気化学セルの陽極が大気に曝され、陰極が被測ガスに曝されている場合、これら電極間に0.45Vの電圧を印加すると、被測ガス室に曝されている陰極周りが平衡状態になるように酸化物イオンの移動が行われる。
このため、被測ガスの酸素濃度が平衡状態における酸素濃度よりも高い場合、すなわち被測ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンである場合(未燃成分に対して酸素が過剰な状態である場合)、被測ガス室内の陰極から陽極へ酸化物イオンの移動が行われる。この結果、被測ガスの酸素濃度は平衡状態における酸素濃度に近づく。一方、被測ガスの酸素濃度が平衡状態における酸素濃度よりも低い場合、すなわち被測ガスの空燃比が理論空空燃比よりもリッチである場合(酸素に対して未燃成分が過剰な状態である場合)、陽極から被測ガス室内の陰極へ酸化物イオンの移動が行われる。この結果、被測ガスの酸素濃度は平衡状態における酸素濃度に近づく。
一方、固体電解質層の両側面上に配置された電極間の電位差が、0.45未満であるときには、この電位差に相当する濃度差は、大気中の酸素濃度と平衡状態における酸素濃度との濃度差よりも小さくなる。したがって、電気化学セルの陽極が大気に曝され、陰極が被測ガスに曝されている場合、これら電極間に0.45V未満の電圧を印加すると、被測ガスに曝されている陰極上が平衡状態よりも僅かに酸素過剰になるように酸化物イオンの移動が行われる。この結果、電気化学セルの陰極は平衡状態に比べて僅かに酸素過剰な状態に維持されることになる。
逆に、固体電解質層の両側面上に配置された電極間の電位差が、0.45よりも高いときには、この電位差に相当する濃度差は、大気中の酸素濃度と平衡状態における酸素濃度との濃度差よりも大きくなる。したがって、電気化学セルの陽極が大気に曝され、陰極が被測ガスに曝されている場合、これら電極間に0.45Vよりも高い電圧を印加すると、被測ガスに曝されている陰極上が平衡状態よりも僅かに酸素不足(未燃成分過剰)になるように酸化物イオンの移動が行われる。この結果、電気化学セルの陰極は平衡状態に比べて僅かに酸素不足な状態に維持されることになる。
したがって、図1に示した第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に、第一電極41を陰極とし、第二電極を陽極として0.45V未満の電圧を印加すると、第一電極41上が僅かに酸素過剰な状態に維持されることになる。上述したようにSOx検出処理に伴って第一電極41上にSOxの分解生成物が吸着している場合でも、第一電極41上が酸素過剰な状態に維持されると、吸着している分解生成物が酸素と反応し、SOxとなって第一電極41から脱離する。したがって、SOx検出処理に伴って第一電極41上にSOxの分解生成物が吸着している場合には、第一電気化学セル51への印加電圧を0.45V未満にすることにより、分解生成物を離脱させることができる。
なお、第一電気化学セル51への印加電圧を0.45V未満にすれば、分解生成物の離脱を促進させることができる。しかしながら、印加電圧を過剰に低下し過ぎると、第一固体電解質層11においてブラックニングが生じやすくなる。ここで、ブラックニングとは、固体電解質層において、固体電解質層に含まれる金属酸化物が還元され、金属が生成される現象である。第一固体電解質層11にブラックニングが生じると、第一固体電解質層11のイオン導電性が劣化し、SOxの検出等を適切に行うことができなくなる。このため、第一電気化学セル51への印加電圧は、ブラックニングが生じる印加電圧(例えば、−2.0V)よりも高い電圧とすることが好ましい。
<被毒回復時の第二電気化学セルの動作>
上述したように、第一電気化学セル51への印加電圧を0.45V未満にすることで、第一電極41周りを酸素過剰な状態に維持することができ、その結果、分解生成物(硫黄及び硫黄化合物等)の離脱を促進させることができる。加えて、拡散律速層16を介して導入される被測ガスが、第一電極41周りにおいて酸素濃度が高ければ、分解生成物の離脱をより促進させることができる。
ここで、上述したように、第一電気化学セル51よりも拡散律速層16側に第二電気化学セル52が配置されている。加えて、この第二電気化学セル52に酸素の限界電流領域内の電圧を印加すると、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に流入した被測ガス中に含まれる酸素のほとんどが除去される。したがって、このように第二電気化学セル52に酸素の限界電流領域内の電圧を印加している限り、第一電気化学セル51の第一電極41周りまで酸素が到達しない。
これに対して、第二電気化学セル52への印加電圧を酸素の限界電流領域の下限電圧未満の電圧まで低下させれば(第二電気化学セル52への電圧印加を停止させることを含む)、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に流入した被測ガス中に含まれる酸素の少なくとも一部は第二電気化学セル52で除去されずに残る。このため、第一電気化学セル51の第一電極41周りにまで酸素が到達することになる。この結果、第一電極41に吸着しているSOxの分解生成物の離脱を促進させることができる。
ただし、このように第二電気化学セル52への印加電圧を低下させる(電圧印加の停止を含む)ことにより、第一電極41周りにまで酸素を到達させることができるのは、拡散律速層16を介して導入される被測ガス中に過剰な酸素が含まれている場合である。すなわち、SOx検出装置1周りを流通する排気ガス(すなわち、被測ガス)の空燃比が理論空燃比よりもリーンである場合に限り、第二電気化学セル52への印加電圧を低下させることで第一電極41にまで酸素を到達させることができる。
一方、SOx検出装置1周りを流通する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチである場合には、被測ガス室30に導入される被測ガスは酸素不足状態(未燃成分が過剰な状態)にある。このため、このような場合に、仮に第二電気化学セル52への印加電圧を低下させても第一電極41にまで酸素は到達しない。
加えて、上述したように、電気化学セルでは電極周りの酸素濃度差が電極間の電位差に応じた濃度差となるように酸化物イオンの移動が行われる。このため、電極間に酸素の限界電流領域内の電圧が印加されている場合には、被測ガス室30内に導入された被測ガスが酸素不足状態(未燃成分が過剰な状態)にあると、電気化学セルにより被測ガス室30に向かって酸化物イオンが移動し、被測ガス室30内に酸素が導入されることになる。この結果、被測ガス室30内の過剰な未燃成分を還元除去することができると共に、被測ガス室30内の酸素不足を解消することができる。
ところが、被測ガス室30内に導入された被測ガスが酸素不足状態にあるときであっても、電気化学セルへの印加電圧が酸素の限界電流領域の下限値よりも低い場合には、被測ガス室30内に過剰な未燃成分を十分に除去することができなくなる。すなわち、第一電極41上での未燃成分の酸化速度よりも、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に導入される未燃成分の導入速度の方が遅くなる。この結果、被測ガス室30内に導入された被測ガスからは未燃成分は十分には除去されず、被測ガス室30内に残ってしまう。このため、仮に第一電気化学セルへの印加電圧を0.45V未満にしても、第一電気化学セル51を介して第一電極41に導入された酸素は被測ガス室30内に残存している未燃成分を除去するのに消費されてしまい、第一電極41上に吸着されているSOxの分解生成物を酸化・離脱させるのには用いられなくなってしまう。
以上より、第一電極41に吸着しているSOxの分解生成物の離脱を促進させるためには、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に導入される被測ガスの空燃比が理論空燃比以上である場合に、第二電気化学セル52への印加電圧を酸素の限界電流領域の下限電圧未満の電圧まで低下させることが好ましい。加えて、第一電極41に吸着しているSOxの分解生成物の離脱を阻害しないためには、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に導入される被測ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチである場合には、第二電気化学セル52への印加電圧を酸素の限界電流領域の下限電圧以上に維持することが好ましい。
<被毒回復処理>
上述したような、SOxの分解生成物の離脱原理を踏まえて、本実施形態では、以下のようにしてSOxの分解生成物の除去処理、すなわち第一電極41の硫黄被毒回復処理が行われる。なお、被毒回復処理は、上述したSOx検出処理の直前又は直後に行われる。
まず、本実施形態では、第一電極41における硫黄被毒を回復させるにあたり、ECU80は、第一電気化学セル51に0.45V未満(例えば、0.30V)の電圧を印加するように第一電源61を制御する。これにより、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間には、0.30Vの電圧が印加される。このように、第一電気化学セル51に0.45V未満の電圧が印加されることによって、第一電極41上が僅かに酸素過剰状態になるように第一電気化学セル51を介する酸化物イオンの移動が行われる。これにより、第一電極41上に吸着しているSOxの分解生成物を酸化させ、脱離させることができる。
加えて、本実施形態では、拡散律速層16を介して被測ガス室30に導入される被測ガスが酸素過剰状態にあるときには、すなわちSOx検出装置1周りを流通する排気ガスの空燃比が理論空燃比以上であるときには、ECU80は、第二電気化学セル52への印加電圧が0.05V程度まで低下せしめられるか、又は第二電気化学セル52への電圧印加が停止せしめられるように第二電源71を制御する。このように、第二電気化学セル52への印加電圧が酸素の限界電流領域の下限値未満になると、拡散律速層16を介して被測ガス室30に導入された被測ガス中に含まれる酸素は除去されずに被測ガス室30内に残存する。これによって、第一電極41に吸着しているSOxの分解生成物の酸化・離脱を促進させることができる。
なお、上記例では、被測ガスが酸素過剰状態にあるときには、第二電気化学セル52への印加電圧が0.05Vまで低下せしめられる。しかしながら、このときの第二電気化学セル52への印加電圧は、酸素の限界電流領域の下限値未満であれば、いかなる電圧でもよい。したがって、このときの印加電圧は、0Vでもよい。なお、印加電圧を0Vしたときには、例えば、第二電気化学セル52の電極間に酸素の濃度差に基づく起電力が発生しても、その起電力を打ち消すように強制的に電極間の電位差が0Vに維持される。斯かる点で、第二電気化学セル52への電圧印加が停止せしめられる場合と、0Vの電圧が印加される場合とでは異なる。
一方、拡散律速層16を介して被測ガス室30に導入される被測ガスが酸素不足状態にあるときには、すなわちSOx検出装置1周りを流通する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチな空燃比であるときには、第二電気化学セル52への印加電圧は低下せしめられることなく0.40Vのまま維持されるように、第二電源71を制御する。このように第二電気化学セル52への印加電圧が酸素の限界電流領域内の電圧であると、拡散律速層16を介して被測ガス室30に導入された被測ガス中に含まれる未燃成分は被測ガスから除去される。これによって、第一電極41に吸着しているSOxの分解生成物の酸化・離脱が、未燃成分により阻害されることが抑制される。
<具体的な制御>
図4を参照して、上述したSOx検出処理及び被毒回復処理を行う具体的な制御について説明する。図4は、ECU80が実行するSOx検出処理及び被毒回復処理の一例を示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは、繰り返し実行される。
まず、ステップS11に示したように、ECU80はSOx検出条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、例えば、内燃機関の始動後(又は、イグニッションキーをオンにした後、或いは前回燃料を給油した後)、一定回数以上のSOx検出処理が完了している場合には、SOx検出条件が成立していないと判定される。すなわち、排気ガス中に含まれるSOx濃度等の検出は、基本的に燃料中における硫黄成分含有率を検出するために行われている。したがって、一度、SOx検出が完了すれば、それほど頻繁にSOxの検出処理を行う必要はない。なお、本実施形態では、検出誤差を小さくするため、SOxの検出を行うにあたって複数回のSOx検出処理が行われる。このため、一定回数以上のSOx検出処理が完了していない場合にはSOx検出条件が成立していると判定される。しかしながら、一回のSOx検出処理に基づいてSOx検出を行ってもよい。この場合、一回のSOx検出処理が完了すると、SOx検出条件は成立していないと判定されるようになる。
加えて、内燃機関の運転状態が、アイドル運転状態(機関負荷がほぼゼロであって機関回転数が一定回転数以下の状態)又は定常運転状態(機関負荷や機関回転数の変化率が一定範囲内に収まっている状態)でない場合にはSOx検出条件が成立していないと判定される。このような場合にSOx検出処理を行うと、SOx検出における誤差が大きくなる可能性が高いためである。
ステップS11において、SOx検出条件が成立していないと判定された場合には、ステップS12へと進む。ステップS12では、ECU80は、第一電気化学セル51への電圧の印加を停止し、第二電気化学セル52への印加電圧を0.40Vとする。第二電気化学セル52の作用により、被測ガス室30内はほぼ平衡状態(酸素過剰でも酸素不足でもない状態)に維持される(厳密にいえば、0.45Vよりも印加電圧が僅かに低いため、ごく僅かに酸素過剰状態に維持される)。
一方、ステップS11において、SOx検出条件が成立していると判定された場合には、ステップS13へと進む。ステップS13では、ECU80は、拡散律速層16を介して被測ガス室30内に導入された被測ガスが酸素過剰であるか否かを判定する。ここで、上述したように、第二電気化学セル52は、被測ガス室30内に導入された被測ガスの空燃比を検出する空燃比センサとして機能しうる。このため、第二電気化学セル52によって検出された被測ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンなリーン空燃比であると判定された場合、すなわち第二電気化学セル52の電極間電流がゼロよりも大きい場合には、被測ガスが酸素過剰であると判定される。或いは、第二電気化学セル52によって検出された被測ガスの空燃比がリーン空燃比に加えて理論空燃比(すなわり、理論空燃比以上)である場合、すなわち第二電気化学セル52の電極間電流がゼロ以上である場合には、被測ガスが酸素過剰であると判定するようにしてもよい。逆に、第二電気化学セル52によって検出された被測ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチなリッチ空燃比であると判定された場合、すなわち第二電気化学セル52の電極間電流がゼロよりも小さい場合には、被測ガスが酸素不足であると判定される。
なお、本実施形態では、被測ガス室30内に導入された被測ガスが酸素過剰であるか否かを第二電気化学セル52の電極間電流に基づいて検出している。しかしながら、第二電気化学セル52への印加電圧を後述するように0.05V程度にしてしまうと、空燃比を正確に検出することができない。したがって、SOx検出装置1の他に内燃機関の排気管に空燃比センサを配置し、この空燃比センサの出力に基づいて拡散律速層16を介して被測ガス室30内に導入された被測ガスが酸素過剰であるか否かを判定するようにしてもよい。また、内燃機関がディーゼルエンジンの場合には、リッチ燃焼要求があるときには被測ガスが酸素不足であると判定し、それ以外のときには被測ガスが酸素過剰であると判定するようにしてもよい。
ステップS13において、被測ガス室30内に導入された被測ガスが酸素過剰であると判定された場合には、ステップS14へと進む。ステップS14では、ECU80は、第一電気化学セル51への印加電圧を0.30Vとし、第二電気化学セル52への印加電圧を0.05Vとする。このため、第一電気化学セル51の第一電極41上に吸着しているSOxの分解生成物を酸化・離脱させることができる。加えて、被測ガス中に含まれる酸素は第二電気化学セル52によってその一部のみしか排出されず、被測ガス中に残ったままとなる。このため、第一電極41上に吸着しているSOxの分解生成物の離脱を促進させることができる。
次いで、ステップS15では、ECU80は、ステップS14において第一電気化学セル51への印加電圧を0.30Vとし且つ第二電気化学セル52への印加電圧を0.05Vとしてからの時間が予め定められた所定の継続時間以上になったか否かを判定する。この継続時間は、第一電極41上に最大限にSOxの分解生成物が吸着していても、その全てを離脱させるのに十分な時間に設定される。したがって、ステップS15において、予め定められた継続時間が経過していないと判定された場合には、ステップS14が繰り返される。なお、ステップS13において、被測ガスが酸素過剰であるか否かをSOx検出装置1以外の空燃比センサによって検出している場合には、上記時間が所定の継続時間以上になっていないと判定された場合には、ステップS15からステップS13へ戻されてもよい。一方、ステップS15において、予め定められた継続時間が経過したと判定された場合には、被毒回復は完了したものとして、ステップS18へと進む。
一方、ステップS13において、被測ガス室30内に導入された被測ガスが酸素過剰ではないと判定された場合には、ステップS16へと進む。ステップS16では、ECU80は、第一電気化学セル51への印加電圧を0.30Vとし、第二電気化学セル52への印加電圧を0.40Vとする。このため、第一電気化学セル51の第一電極41上に吸着しているSOxの分解生成物を酸化・離脱させることができる。加えて、第二電気化学セル52によって被測ガス中に含まれる未燃成分は酸化・除去される。このため、第一電極41上に吸着しているSOxの分解生成物の離脱が、未燃成分により阻害されることが抑制される。
次いで、ステップS17では、ECU80は、ステップS16において第一電気化学セル51への印加電圧を0.30Vとし且つ第二電気化学セル52への印加電圧を0.40Vとしてからの時間が予め定められた所定の継続時間以上になったか否かを判定する。この継続時間は、第一電極41上に最大限にSOxの分解生成物が吸着していても、その全てを離脱させるのに十分な時間に設定される。したがって、ステップS17において、予め定められた継続時間が経過していないと判定された場合には、ステップS16が繰り返される。なお、ステップS13において、被測ガスが酸素過剰であるか否かをSOx検出装置1以外の空燃比センサによって検出している場合には、上記時間が所定の継続時間以上になっていないと判定された場合には、ステップS17からステップS13へ戻されてもよい。一方、ステップS17において、予め定められた継続時間が経過したと判定された場合には、被毒回復は完了したものとして、ステップS18へと進む。
ステップS18では、SOx検出条件が成立しているか否かが再度判定される。具体的には、この場合、例えば、内燃機関の運転状態が、アイドル運転状態又は定常運転状態でない場合にはSOx検出条件が成立していないと判定される。ステップS18において、SOx検出条件が成立していないと判定された場合には、ステップS12へと進む。一方、ステップS18において、SOx検出条件が成立していると判定された場合には、ステップS19へと進む。
ステップS19では、ECU80は、第一電気化学セル51への印加電圧を1.1Vとし、第二電気化学セル52への印加電圧を0.40Vとする。このため、被測ガス中に含まれるSOx濃度に応じて、第一電極41上にSOxの分解生成物が徐々に吸着することになる。
次いで、ステップS20では、ECU80では、第一電気化学セル51への印加電圧が1.1Vとされてからの経過時間が予め定められた所定の印加時間以上になったか否かを判定する。所定の印加時間が経過していないときには、被測ガス中に含まれるSOx濃度が或る程度高い場合であっても第一電極41上にはSOxの分解生成物は十分に吸着していない。また、第一電気化学セル51への印加電圧が1.1Vとされてから内燃機関の運転状態が急激に変化したような場合には、それにともなって排気ガス中のSOxの濃度が変化してしまうことがある。したがって、ECU80は、所定の印加時間が経過するまで、ステップS18、S19を繰り返し実行する。一方、ステップS20において、第一電気化学セル51への印加電圧が1.1Vとされてからの経過時間が所定の印加時間以上であると判定された場合には、ステップS21へと進む。
ステップS21では、このときの第一電気化学セル51における電極間電流が検出される。次いで、ステップS22では、ステップS21で検出された電極間電流に基づいて、図3に示したようなマップを用いて、被測ガス中に含まれるSOx濃度が検出される。
<第二実施形態>
次に、図5を参照して、本発明の第二実施形態に係るSOx検出装置2について説明する。図5(A)は、本実施形態に係るSOx検出装置の、図1と同様な概略的な断面図である。図5(B)は、図5(A)に示した線A−Aに沿って見た本実施形態に係るSOx検出装置の概略的な断面図である。以下では、第二実施形態に係るSOx検出装置2について、第一実施形態に係るSOx検出装置1とは異なる部分について主に説明する。
<SOx検出装置の構成>
図5(B)に示したように、第二実施形態に係るSOx検出装置2は、第一電気化学セル51の近傍に併設された第三電気化学セル53を更に備える。図5(A)及び図5(B)からわかるように、第三電気化学セル53は、拡散律速層16及び第二電気化学セル52からの距離が、第一電気化学セル51と等しくなるように、第一電気化学セル51と並んで配置される。
具体的には、本実施形態では、素子部10は、第五電極45及び第六電極46を更に有する。第五電極45は、第一固体電解質層11の被測ガス室30側の表面上に配置されている。したがって、第五電極45は、被測ガス室30内のガスに曝されている。一方、第六電極46は、第一固体電解質層11の第一大気室31側の表面上に配置されている。したがって、第六電極46は、第一大気室31内のガス(大気)に曝されている。第五電極45と第六電極46とは、第一固体電解質層11を挟んで互いに対向するように配置されている。第五電極45、第一固体電解質層11及び第六電極46は、第三電気化学セル53を構成する。したがって、第五電極45は、拡散律速層16及び第二電気化学セル52からの距離が、第一電極41と等しくなるように、第一電極41と並んで配置される。
本実施形態では、第五電極45を構成する材料は、白金(Pt)、金(Au)、鉛(Pb)、銀(Ag)等の金属元素又はこれらの合金を主成分として含む。好ましくは、第五電極45は、白金(Pt)、金(Au)、鉛(Pb)、銀(Ag)の少なくとも一つを主成分として含む多孔質サーメット電極である。また、第六電極は、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。なお、第五電極45を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、印加電圧が等しくても、第一電極41と比較して、SOxの分解速度が低くなるように電極が構成されれば、いかなる材料であってもよい。特に、本実施形態では、第五電極45を構成する材料は、第五電極45においてSOxが分解される速度が実質的に0となるような材料であるのが好ましい。また、第六電極46を構成する材料は、必ずしも上記材料に限定されるものではなく、第一電極41と第二電極42との間に所定の電圧を印加したときに、第一電極41と第二電極42との間で酸化物イオンを移動させることができれば、いかなる材料であってもよい。
第二実施形態に係るSOx検出装置は、第三回路90を備える。第三回路90は、第三電源91と第三電流計92とを備える。第三電源91及び第三電流計92はECU80に接続されている。第三電源91は、第五電極45と第六電極46との間に、第六電極46の電位が第五電極45の電位よりも高くなるように電圧を印加する。第三電源91によって印加される電圧の大きさは、ECU80によって制御される。
一方、第三電流計92は、第五電極45と第六電極46との間に流れる電流(すなわち、第一固体電解質層11内を流れる電流)である電極間電流の大きさを検出する。第三電流計92による電極間電流の検出値は、ECU80に入力される。
ECU80は、第三電源91を制御することによって、第三電源91により第五電極45と第六電極46との間に印加される第三印加電圧を制御することができる。したがって、ECU80及び第三電源91は、第五電極45と第六電極46との間に電極間電圧を印加すると共に、この電極間電圧を制御することができる電圧印加装置として機能する。また、ECU80には、第三電流計92によって検出された第五電極45と第六電極46との間に流れる電極間電流の大きさに対応する信号が入力される。したがって、ECU80及び第三電流計92は、第五電極45と第六電極46との間に流れる電流に相関する電流相関パラメータの値を検出する検出部として機能する。
<検出原理>
上述したように、第三電気化学セル53では、第一電気化学セル51と同一の印加電圧が印加されても、被測ガス中に含まれるSOxを分解する速度が第一電気化学セル51よりも極めて遅い。具体的には、第五電極45においてSOxが分解される速度は、第一電極41においてSOxが分解される速度よりも極めて遅く、実質的には0である。したがって、被測ガス中に含まれるSOxの分解生成物が電極に吸着する速度も第五電極45の方が第一電極41よりも低い。具体的には、第五電極45には、SOxの分解生成物は実質的に吸着しない。したがって、第一電極41における水の分解に対する活性の低下速度よりも、第五電極45における水の分解に対する活性の低下速度の方が小さい。具体的には、第五電極45における水の分解に対する活性は実質的に低下しない。この結果、第三電気化学セル53における電極間電流は、SOxの分解に起因する影響を受けない。このため、第一電気化学セル51における電極間電流よりも第三電気化学セルにおける電極間電流の方が大きくなり、これら電極間電流の差は被測ガス中に含まれるSOxの濃度が高いほど大きくなる。
したがって、本実施形態のSOx検出装置2は、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に所定電圧を印加したときの電極間電流と、第三電気化学セル53の第五電極45と第六電極46との間に同一の所定電圧を印加したときの電極間電流との差異をECU80によって算出し、この差異に基づいて被測ガス中に含まれるSOxの濃度を検出するようにしている。このように第一電気化学セル51の電極間電流と第三電気化学セル53の電極間電流との差をとることにより、SOxの濃度を検出するにあたって、被測ガス中に含まれる水の濃度変動の影響を低減することができる。
なお、図5に示した例では、第三電気化学セル53は、第一固体電解質層11を第一電気化学セル51と共有している。しかしながら、第三電気化学セル53は、第一電気化学セル51を構成する第一固体電解質層11とは別の固体電解質層を備えてもよい。
また、上記実施形態では、第一電気化学セル51への印加電圧と第三電気化学セル53への印加電圧とが同一の電圧とされている。しかしながら、第三電気化学セル53への印加電圧は、電極間に印加すると被測ガス中に含まれる水を分解することができ且つ水の限界電流領域の下限値未満の電圧であれば、第一電気化学セル51への印加電圧とは異なる電圧であってもよい。
<SOx検出処理>
上述したようなSOxの検出原理を踏まえて、本実施形態では、以下のようにしてSOxの検出処理が行われる。
まず、本実施形態では、第一実施形態と同様に、被測ガス中に含まれるSOxを検出するにあたり、ECU80は、第二電気化学セル52に0.40Vの電圧を印加するように第二電源71を制御する。これにより、第二電気化学セル52の第三電極43と第四電極44との間には、0.40Vの電圧が印加される。このように第二電気化学セル52に酸素の限界電流領域内の電圧を印加することにより、被測ガス室30内の酸素が第三電極43において分解され、この分解によって生成された酸化物イオンが被測ガス室30から第二大気室32へと排出される。
加えて、本実施形態では、被測ガス中に含まれるSOxを検出するにあたり、ECU80は、第一電気化学セル51及び第三電気化学セル53に1.1Vの電圧を印加するように第一電源61及び第三電源91を制御する。これにより、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間及び第三電気化学セル53の第五電極45と第六電極46との間には、所定の印加時間に亘って1.1Vの電圧が印加される。このように第一電気化学セル51に水及びSOxの分解開始電圧以上の電圧を所定の印加時間に亘って印加することにより、第一電極41及び第五電極45上では水及びSOxが分解される。しかしながら、第五電極45上でのSOxの分解速度は極めて遅い。この結果、第一電気化学セル51の電極間電流と第三電気化学セル53の電極間電流との差異に基づいて、被測ガス中に含まれるSOx濃度を検出することができる。
<被毒回復処理>
本実施形態においても、上記第一実施形態と同様に、第一電気化学セル51の第一電極41上に吸着したSOxの分解生成物の除去処理が行われる。加えて、本実施形態では、第三電気化学セル53の第五電極45上に吸着したSOxの分解生成物の除去処理も合わせて行うようにしている。
まず、本実施形態では、第一電極41及び第五電極45における硫黄被毒を回復させるにあたり、ECU80は、第一電気化学セル51及び第三電気化学セル53に0.45V未満(例えば、0.30V)の電圧を印加するように第一電源61及び第三電源91を制御する。これにより、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間及び第三電気化学セル53の第五電極45と第六電極46との間には、0.30Vの電圧が印加される。このように、第一電気化学セル51に0.45V未満の電圧が印加されることによって、第一電極41及び第五電極45上が僅かに酸素過剰状態になるように第一電気化学セル51を介する酸化物イオンの移動が行われる。これにより、第一電極41及び第五電極45上に吸着しているSOxの分解生成物を酸化させ、脱離させることができる。
なお、上記第一実施形態では、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に流れる電極間電流に基づいて被測ガス中に含まれるSOxを検出している。また、上記第二実施形態では、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に流れる電極間電流と第三電気化学セル53の第五電極45と第六電極46との間に流れる電極間電流との差異に基づいて被測ガス中に含まれるSOxを検出している。したがって、これら実施形態では、第一電気化学セル51の第一電極41と第二電極42との間に流れる電極間電流に相関する電流相関パラメータに基づいて被測ガス中に含まれるSOxを検出しているといえる。
また、斯かる電流相関パラメータとしては、これら電極間電流や電極間電流の差異のみならず、電極間電流やその差異に応じて変化する電圧や抵抗値を用いてもよい。
1、2 SOx検出装置
10 素子部
11 第一固体電解質層
12 第二固体電解質層
16 拡散律速層
41 第一電極
42 第二電極
43 第三電極
44 第四電極
45 第五電極
46 第六電極
51 第一電気化学セル
52 第二電気化学セル
53 第三電気化学セル
60 第一回路
70 第二回路
80 電子制御ユニット(ECU)
90 第三回路

Claims (2)

  1. 酸化物イオン伝導性を有する第一固体電解質層と、該第一固体電解質層の一方の側面上に配置された第一電極と、前記第一固体電解質層の他方の側面上に配置された第二電極とを有する第一電気化学セルと、
    酸化物イオン伝導性を有する第二固体電解質層と、該第二固体電解質層の一方の側面上に配置された第三電極と、前記第二固体電解質層の他方の側面上に配置された第四電極とを有する第二電気化学セルと、
    通過する被測ガスの拡散律速を行う拡散律速層と、
    前記第一固体電解質層、前記第二固体電解質層及び前記拡散律速層によって区画形成された被測ガス室と、
    前記第一電極と前記第二電極との間及び前記第三電極と前記第四電極との間に電圧を印加する電圧印加部と、
    前記第一電極と前記第二電極との間に流れる電流に相関する電流相関パラメータの値を検出する検出部と、を備える硫黄酸化物検出装置において、
    前記第一電極及び前記第三電極が前記被測ガス室内に配置されると共に、前記第二電極及び前記第四電極が大気に曝されるように配置され、
    前記電圧印加部と前記検出部とは、硫黄酸化物検出処理と該硫黄酸化物検出処理の前又は後に行われる被毒回復処理とを実行可能であり、
    前記硫黄酸化物検出処理では、前記電圧印加部により前記第一電極と前記第二電極との間に、水及び硫黄酸化物の分解開始電圧以上の電圧が印加されると共に、前記第三電極と前記第四電極との間に、酸素の限界電流領域の下限電圧以上であって水及び硫黄酸化物の分解開始電圧未満の電圧が印加され、且つ前記検出部により検出された前記電流相関パラメータの値に基づいて前記被測ガス中に含まれる硫黄酸化物の有無又はその濃度が検出され、
    前記被毒回復処理では、前記第一電極と前記第二電極との間に0.45V未満の電圧が印加されると共に、前記第三電極と前記第四電極との間の印加電圧が前記酸素の限界電流領域の下限電圧未満の電圧とされる、硫黄酸化物検出装置。
  2. 前記被毒回復処理中であっても、前記被測ガス室内に流入する被測ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチな空燃比であるときには、前記第三電極と前記第四電極との間の印加電圧は前記酸素の限界電流領域の下限電圧以上とされる、請求項1に記載の硫黄酸化物検出装置。
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