JP6626428B2 - 自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープ、及びその製造方法 - Google Patents

自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープ、及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6626428B2
JP6626428B2 JP2016232943A JP2016232943A JP6626428B2 JP 6626428 B2 JP6626428 B2 JP 6626428B2 JP 2016232943 A JP2016232943 A JP 2016232943A JP 2016232943 A JP2016232943 A JP 2016232943A JP 6626428 B2 JP6626428 B2 JP 6626428B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive layer
self
natural wood
veneer
decorative board
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016232943A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018089788A (ja
Inventor
力也 金丸
力也 金丸
Original Assignee
株式会社リックプランニング
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社リックプランニング filed Critical 株式会社リックプランニング
Priority to JP2016232943A priority Critical patent/JP6626428B2/ja
Publication of JP2018089788A publication Critical patent/JP2018089788A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6626428B2 publication Critical patent/JP6626428B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Finished Plywoods (AREA)
  • Finishing Walls (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、自己粘着層を有する天然木化粧板又は化粧テープ、及び、該天然木化粧板又は化粧テープの製造方法に関するものである。
内壁、外壁、床、天井、ドア、戸棚、衝立等の対象面に対し、防水性、耐湿性、難燃性、防炎性、意匠性等を付与するために樹脂化粧板を貼り付ける作業は広く行われている。そして、該化粧板の最表面は、主に、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂等の合成樹脂からなる樹脂シートで形成されている。すなわち、主に用いられている化粧板は、上から少なくとも、樹脂シート、該シートを基材に接着させるための接着層、及び、基材を有している。そして、その表面やその間に、衝撃等に対し表面を保護する保護層、意匠性を与える絵柄層・着色層、難燃・防火性を与える難燃化層、湿度等に抵抗する耐湿化層等を具備した樹脂化粧板も知られている。
上記樹脂化粧板を施工現場等で対象面に対して付与する方法としては、施工現場で作業者が接着剤を用いて対象面に貼り付ける方法や、予め接着層を最下層に設け、離型シートで該接着層を保護しておき、施工現場で作業者が該離型シートを剥離して対象面に貼り付ける方法が知られている。
一方、最表面が樹脂シートで形成されている上記のような樹脂化粧板に代えて、最表面が「天然木をスライスしてなる突板」で形成されている天然木化粧板も知られている。
例えば、特許文献1には、上から、突板、「紙又は不織布」、金属箔、別の「紙又は不織布」の順に有し、その間を接着層で接着させた防燃性銘木化粧シートが開示されている。
また、特許文献2には、上から、銘木単板、接着剤層、繊維質シート、熱可塑性樹脂層、別の繊維質シートの順に有する防燃性銘木化粧シートが開示されている。
また、特許文献3には、上から、銘木単板、接着剤層、「紙又は不織布」、難燃剤層、ガラス繊維布、難燃剤が混入された接着性樹脂層、「紙又は不織布」が積層され一体に圧着成形されてなる防燃性銘木化粧シートが開示されている。
また、特許文献4には、上から、透明樹脂層、天然木単板、熱伝導性シート、裏面熱可塑性樹脂層が積層され圧着成形されてなる防燃性銘木化粧シートが開示されている。
また、特許文献5には、上から、突板、キレート剤を含む層、防湿シート、木質系基材が積層一体化されてなる突板貼り化粧板が開示されている。
しかしながら、該天然木化粧板は、上記樹脂化粧板に比べて高価である等のために、殆ど普及していない。そして、主にかかる理由により、すなわち、そもそも突板が高価であるのでむしろ高級感を出すため;予め接着層を最下層に設け離型シートで保護したものを大量生産しようとすると、むしろ化粧板としてコストアップになるため;好適な自己粘着性を有する粘着剤やその塗布方法が未開発;等の理由により、天然木化粧板の施工現場での上記対象面への付与方法は、施工現場で作業者が、一枚一枚接着剤を塗布して対象面に対して貼り付ける方法に限られていた。
近年、化粧板の高級化が著しく進んでいるが、その方向性は、最外層である「塩化ビニル樹脂等の樹脂シート」の高級化であり、「天然木をスライスしてなる突板」を使用したものの利用ではなかった。
また、作業者の熟練度が低下し、施工現場で作業者が接着剤を用いて化粧板を対象面に貼り付ける方法では、完成品にバラツキがあり、それらの解決が望まれていた。
特開平06−115008号公報 特開平09−295376号公報 特開平11−042737号公報 特開2004−216722号公報 特開2013−022953号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、天然の素材を生かし、作業者が簡便にバラツキなく施工できる化粧板又は化粧テープ、及び、その製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の組成の自己粘着層を予め設けておくことで、施工コストまで含めればコストアップにならず、完成品のバラツキが著しく改善されることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、天然木をスライスしてなる突板、該突板を基材に接着させる接着層、基材、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有する自己粘着層、及び、離型紙を有し、これらがこの順に積層されてなるものであることを特徴とする自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープを提供するものである。
また、本発明は、上記の自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープの製造方法であって、
天然木をスライスしてなる突板、該突板を基材に接着させる接着層、及び、基材を有する補強突板を、平面状態に保ちつつ、該補強突板の基材側に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、粘着性付与樹脂及び有機溶剤を含有する自己粘着層形成液を、ロールコーター又はカーテンコーターを用いて塗布し、加熱下に該有機溶剤を留去させて自己粘着層を形成させ、その後に離型紙を付与することを特徴とする自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープの製造方法を提供するものである。
本発明の自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープを用いれば、上記問題点や課題を解決し、天然木をスライスしてなる突板を表面に有し、天然素材の性能の良さと優れた外観とを生かした高級感のある化粧板を、施工現場において作業者に負担をかけずに、熟練者でなく誰でも、簡便に施工が可能である。また、本発明の自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープを対象面に付与した完成品は、長年経過しても(経時でも)、剥離等が起こり難く各化粧板又は化粧テープ間のバラツキが生じない。
また、「塩化ビニル樹脂等の樹脂シート」に比べ、本発明の自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープは、粘着性や作業の簡便性は同等であるが、天然の木目を利用した優れた外観を有し、天然素材を生かした高級感がある。
また、本発明の突板を使用した化粧板又は化粧テープには、合成樹脂特有の臭いがなく、ホルムアルデヒドを含有するフェノール樹脂も、塩化ビニル樹脂も、トルエン等の芳香環含有溶剤も使用していないので安全性が高い。塩化ビニル樹脂を使用していないので、廃棄する際の焼却によっても有害物の発生がない。
また、施工現場で接着剤を使用する必要がないので、該接着剤に含有されている有機溶剤による、作業者や周辺環境に与える問題点がない。
従来、「塩化ビニル樹脂等の樹脂シート」においては、予め粘着層を付与した化粧板は知られている。しかしながら、天然木をスライスしてなる突板や突板付き化粧板を対象面に付与する場合、該突板が高価であるため接着(施工)方法も手作業にして高級感の維持を図る;「塩化ビニル樹脂等の樹脂シート」を使用した化粧板に比べ、突板を使用した化粧板の需要が著しく少ないために、「予め自己粘着層を最下層に設けた化粧板」を大量生産しようとすると、化粧板としてはコストアップになる;好適な自己粘着性を有する粘着剤やその膜厚やその塗布方法が未開発である;突板を使用した化粧板は少数の会社が取り扱うことにして広く普及させない方がむしろ儲かる;「突板」や「突板を基材に貼り付けてなる補強突板」は、樹脂シートより剛性があるので接着性に劣る;等の理由により、施工現場で作業者が一枚一枚手作業で接着剤を塗布して対象面に貼り付けていた。
通常、突板を使用する化粧板は、ロールで供給できず、また、作業性等を考慮して、枚葉で供給され、その形と大きさは、3尺(91cm)〜10尺(303cm)の間の長さを1辺とする長方形である場合が多い。
また、施工現場で接着剤を塗布して化粧板を対象面に貼り付ける場合、充分な接着性を出すために、化粧板の一枚一枚の裏面と対象面の両方に該接着剤を付与せざるを得ず、そのため作業者に負担を強いており、作業時間も極めて長くなるものであった。
しかも、該接着剤が、該用途に通常用いられている、所謂「速乾ボンド」等と呼ばれる溶剤系・有機系のものであっても、所謂「水性ボンド」等と呼ばれる「媒体が水であり溶質が乳化重合微粒子である水系」のものであっても、化粧板一枚一枚に該接着剤を付与し、対象面にも該接着剤を付与した後に、一定時間(例えば、約15分〜約20分)放置してから、化粧板を対象面に付与するものである(付与せざるを得ない)ため、該放置時間に長短が生じていた。そしてそのために、付与された接着剤層の接着性の程度がまちまちとなるため、施工から数年経過すると、長方形である一部の化粧板において、縁捲れや脱落等のトラブルが生じていた。
例えば、放置時間の確保と作業性の向上のために、複数の化粧板と大面積の対象面に、上記したような接着剤をまとめて塗布し、その後に枚葉の化粧板を対象面に一枚一枚貼り付けると、放置時間の長短によって接着性が一部の化粧板で低下する。そのため、完成後に経年で一部の化粧板の縁が捲れたり、一部の化粧板が剥離したりすると言った問題点が生じていた。
また、接着剤中の、速乾ボンドでは有機溶剤、水性ボンドでは水等が完成後も残存し、該有機溶剤や水が、経時で突板に浸透し突板の表面に染み出てきて外観を損なうこともあった。
本発明によれば、予め自己粘着層が化粧板に付与されており、離型紙を剥がしながら対象面に付与するために、自己粘着層(接着剤層)の放置時間に長短が生じ得ない。
もっとも、特定の重合体を含有する特定の自己粘着層が付与されていることによって、たとえ放置時間がいくら長くなっても、該自己粘着層の表面の粘着性(接着性)が低下しない。そのため、一部の化粧板で縁捲れや脱落が起こると言うことがあり得ない。
また、自己粘着層には有機溶媒も水も含まれていないので(製造工場内で管理して自己粘着層形成液中の溶剤を留去できるので)、経時でも有機溶剤や水が突板の表面に移動してきて外観を損なうことがない。
本発明における特定の重合体を含有する自己粘着層であれば、該自己粘着層の厚さを好適な範囲にすれば、意外なことに粘着性(接着性)に劣ると言うことがない。むしろ、枚葉の化粧板一枚一枚の接着性にムラが出ないため、経年で一部の化粧板に剥離等の問題点が生じると言うことがない。
化粧板の施工においては、経年で、たとえその一部(1枚)であっても剥離や縁捲れがあった場合、施工全体として責任問題となる(問題が生じる)。本発明の自己粘着層付天然木化粧板を対象面に貼り付けた場合には、一枚一枚の化粧板の該対象面に対する接着性にバラツキがないので、それらを総合的に判断すれば、極めて経年安定性に優れている。
以下の具体的数字は概略であり、また一例であって、本発明の範囲がそれに限定されるものではないが、具体的には、例えば、化粧板のコストは、「突板を基材に貼り付けただけで供給され、該化粧板を現場で作業者が接着剤を塗布して貼り付けるケース」に比べ、本発明の「突板を使用し予め自己粘着層が設けられているものを使用するケース」の方が、例えば化粧板として約1.5〜2倍程高価になる場合であっても、1日に作業できる対象面の面積が、約2.5〜3.5倍となるので、作業者の施工代(人件費)は、1mあたり約0.7〜0.8倍となり、トータルの費用は意外なことにむしろ低下する。
本発明によれば、熟練者でなくても施工が可能であり、貼り付けの際の(接着剤塗布後の放置)時間を気にする必要がなく、施工代が従来法と同等以下である。
また、施工後に長年経過しても、貼り付けに失敗した1枚から数枚程度が対象面から剥離する等と言うトラブルが起こらず、対象面全体として経時安定性に優れている。
本発明の自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープに必須の層の構成を示す概略断面図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明は、天然木をスライスしてなる突板3、該突板3を基材5に接着させる接着層4、基材5、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有する自己粘着層6、及び、離型紙7を有し、これらがこの順に積層されてなるものであることを特徴とする自己粘着層付天然木化粧板1である。
以下、「本発明の自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープ」を、単に「本発明の化粧板」と略記することがある。
「突板」とは、天然木を薄くスライスした板材のことを言う。美しい木目等を有しているものが本発明の化粧板1として好ましい。
突板3の製造方法は公知のものが使用でき、要すれば水又は水蒸気の存在のもとに加熱した上で、スライサー等で切削する。
突板3の原木は、特に限定はないが、例えば、ケヤキ、ナラ、ヤチダモ、タモ、サクラ、キリ、ヒノキ、スギ、マツ、マホガニー、ウォールナット、オーク、チーク、バンブー、メープル、ユーカリ、パイン、ローズウッド、トチ、ブナ、クロガキ、シオジ、ニレ、カバ、サペリ、ウェンジ、ゼブラウッド、シタン、コクタン等が挙げられる。
突板3の厚さは、0.08mm以上2mm以下が好ましく、0.1mm以上1mm以下がより好ましく、0.12mm以上0.5mm以下が特に好ましい。厚過ぎると、突板3と基材5との間の接着層4、又は、基材5と対象面との間の自己粘着層6で剥離し易い場合、高価な突板3が無駄になる場合等があり、薄過ぎると、突板3に割れが生じたり、スライスが難しくなったり、高級感がなくなる場合等がある。
突板3を基材5に接着させる接着層4は、特に限定はないが、ポリウレタン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系接着剤等で得られたものが好ましい。また、該接着剤の剤型としては、ラテックス型接着剤、水性ビニルウレタン型接着剤、熱硬化型接着剤、2液型接着剤等が挙げられる。
突板3を基材5に接着させる方法は、突板3と基材5との間に接着剤を介在させて圧をかけて行う。要すれば熱圧接着をする。突板3と基材5との接着は、自己粘着層付天然木化粧板1の製造場所(工場等)で行う。
本発明の化粧板1では、突板3、接着層4、基材5、自己粘着層6及び離型紙7が必須であるが、それ以外の「他の層」の存在を排除するものではない。該「他の層」が存在する場合は、それらの間に接着剤を介在させて、突板3と基材5を含めて全ての板状物を同時に(熱圧)接着をすることも好ましい。
基材5としては、紙、不織布、織布、金属箔、木質の板、樹脂含浸紙、樹脂フィルム、ラミネートフィルム等が挙げられる。それらには、フィラー、染顔料、難燃剤、防炎剤、防腐剤、キレート剤等の機能性付与剤を含有させて機能性を高めてもよい。
特に、基材5としては、強度、屈曲性、処理のし易さ、価格、上記機能性付与剤を含浸させ易い、追随性、通気性等の点から、紙又は不織布が好ましく、上記と同様の点から紙が特に好ましい。
基材5の厚さは、特に限定はないが、そこに接着させる突板の厚さの1/20以上1/2以下が好ましく、1/10以上1/3以下がより好ましく、1/7以上1/3.5以下が特に好ましい。
具体的には、15μm以上500μm以下が好ましく、20μm以上200μm以下がより好ましく、25μm以上100μm以下が特に好ましい。また、該基材5が紙又は不織布の場合には、その目付量としては、10〜100g/mのものが好ましく、20〜50g/mのものが特に好ましい。
基材5の厚さや目付量が小さ過ぎると、化粧板1としての強度が不足する、自己粘着層6を塗布(積層)し難い、自己粘着層6からの発生物の影響が突板3に及ぶ、製造や取り扱いがし難い等の場合がある。
一方、基材5の厚さや目付量が大き過ぎると、突板3と基材5との間の接着層4、又は、基材5と対象面との間の自己粘着層6で剥離が起こり易い場合等がある。
自己粘着層6とは、表面に粘着性を有し、経時しても該粘着性が実質的に低下していかない層のことを言う。
突板を有する化粧板を対象面に貼り付ける場合、現行では、所謂「速乾ボンド」等と呼ばれる溶剤系・有機系の接着剤や、所謂「水性ボンド」等と呼ばれる「媒体が水であり溶質が乳化重合微粒子である水系」の接着剤が用いられている。しかし、これらの接着剤は、化粧板や対象面に塗布した後、接着させずに放置すると、時間の経過と共に接着力が低下していき、長時間が経つと接着性がなくなるものである。
通常、作業者は、作業性向上や作業時間短縮のために、複数枚の「突板を有する化粧板」と、それに対応した「大面積の対象面」の両方に、まず接着剤を塗布し、その後、放置時間を確保して、該複数枚の該化粧板を貼り付けていく。しかし、そうすると化粧板毎に放置時間に長短が生じ、接着剤の接着性の程度が化粧板毎に(及び対象面の場所毎に)異なるため、施工から数年経過すると、一部の化粧板(多くは最初に接着剤を塗布し、放置時間が長い化粧板)において、縁捲れや脱落等のトラブルが生じていた。
本発明の化粧板1では、自己粘着層6を用いることによって、更には、該自己粘着層6として、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有する自己粘着層6を用いることによって、離型紙7を剥がしながら対象面に付与でき、自己粘着層(接着剤層)の放置時間に長短が生じ得ない。また、放置時間がいくら長くなっても、該自己粘着層6の表面の粘着性(接着性)が低下しないため、一部の化粧板1で縁捲れや脱落が起こると言うことがない。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の「(メタ)アクリル酸エステル」としては、アクリル酸の置換基を有していてもよいアルキルエステル、又は、メタアクリル酸の置換基を有していてもよいアルキルエステルが挙げられる。
ここで、該置換基としては、フェニル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコシキ基;水酸基;クロル基等のハロゲン基;カルボキシ基;(ポリ)エチレングリコール基(「ポリ」には、「ジ」、「トリ」等も含まれる);(ポリ)プロピレングリコール基(「ポリ」には、「ジ」、「トリ」等も含まれる);等が挙げられる。
また、該「アルキルエステル」の「アルキル基」としては、直鎖でも分岐を有していてもよく環状であってもよい炭素数1以上18以下のアルキル基(より好ましくは1以上12以下、特に好ましくは1以上6以下)等が挙げられる。
「(メタ)アクリル酸エステル」としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等が挙げられる。
これらは、(メタ)アクリル酸エステルとして、単独で、又は、(メタ)アクリル酸エステル内で2種類以上を併用できる。
中でも、より好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特に好ましくは、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸メチル等を「(メタ)アクリル酸エステル」として含む(有する)ものが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、上記した「(メタ)アクリル酸エステル」以外にも「他の共重合成分」を共重合成分として有していてもよい。
該「他の共重合成分」としては、アクリル酸、メタアクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物;スルホン酸基含有モノマー;リン酸基含有モノマー;酢酸ビニル;アクリルニトリル;(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体全体に対して、(メタ)アクリル酸エステルは、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは80〜99モル%、特に好ましくは90〜98モル%共重合される。上記モル%以外は、上記「他の共重合成分」が共重合されている。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の、ゲルパーミエーショングロマトグラフィ(GPC)により求めた重量平均分子量は、5万以上500万以下が好ましく、10万以上200万以下がより好ましく、15万以上100万以下が特に好ましい。この範囲であると、化粧板1を対象面に貼り付ける際の粘着力の強さ、接着後の経時安定性(縁捲れ、剥離等のなさ等)を上昇させ維持するために好ましい。
自己粘着層6は、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の他にも、「他の成分」を含有することができる。該「他の成分」としては、粘着性付与樹脂、ビニル系モノマー等が挙げられる。
上記粘着性付与樹脂としては、50℃で液体である樹脂が挙げられる。粘着性付与樹脂の重量平均分子量は、500以上4万以下が好ましく、1000以上2万以下がより好ましく、1500以上1万以下が特に好ましい。限定はされないが、具体的には、例えば、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を低分子量化した(メタ)アクリル酸エステル共重合オリゴマー、エポキシ樹脂、ポリエステル等が挙げられる。
該粘着性付与樹脂は、自己粘着層全体に対して、好ましくは3質量%以上40質量%以下で、より好ましくは5質量%以上30質量%以下で、特に好ましくは10質量%以上20質量%以下で含有される。
上記ビニル系モノマーとしては、多官能(メタ)アクリレート、単官能(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等が挙げられる。
ビニル系モノマーは、自己粘着層全体に対して、好ましくは0質量%以上10質量%以下で、特に好ましくは1質量%以上5質量%以下で含有される。
「他の成分」を含有することで、化粧板1を対象面に貼り付ける際の粘着力の強さ、経時安定性(縁捲れ、剥離等のなさ等)を上昇させる。
上記自己粘着層6の厚さは、特に限定はされないが、通常5μm以上45μm以下であり、7μm以上30μm以下であることが好ましく、8μm以上25μm以下であることがより好ましく、10μm以上20μm以下であることが特に好ましい。
自己粘着層6の厚さが薄過ぎると、化粧板1の製造がし難くなる場合、基材5と対象面との間で剥離し易くなる場合、経年で剥離し易くなる場合、初期接着が悪い場合等がある。一方、厚過ぎると、自己粘着層6内で分離(解離)し易くなるために、化粧板1が基材5と対象面との間で剥離し易くなる場合、自己粘着層6が劣化する場合等がある。
本発明における離型紙7は、公知のものが使用可能であり、ベースは紙に限定されず、ポリマーフィルムであってもよい。また、ベースは糸等で補強してあってもよい。色、厚さ、柔軟性等も特に限定はなく、通常の範囲のものが使用可能である。離型紙7には、剥離を容易にするために、その中間等に切れ込みがあってもよい。
本発明の自己粘着層付天然木化粧板1は、前記した、突板3、接着層4、基材5、自己粘着層6、離型紙7以外の他の層を有していてもよい。該「他の層」としては、表面保護層、他の接着層、プライマー層、不燃(難燃)化層、防湿層(防水層)、緩衝層、防腐層、変色防止層等が挙げられる。
表面保護層は、化粧板の最表面に存在するが、天然木の木目が見えるように透明な層であることが好ましい。化粧板の最表面を天然木(突板自体)にして、壁等の表面を天然木にするために、表面保護層は、ないことが好ましい。
「他の接着層」は、本発明に必須の「突板3を基材5に接着させる接着層4」以外の接着層であり、それぞれの層を接着させるために使用される。
プライマー層は、要すれば接着層や自己粘着層6の接着性(粘着性)を上げるために該層に対して(該層に接して)使用されることが好ましい。
不燃(難燃)化層は、化粧板全体を不燃(難燃)化させるために用いられる。該層中に含有される不燃(難燃)化剤は公知のものが使用できる。
防湿層としては、公知のものが挙げられ、具体的には、金属箔、ポリマーフィルム等が挙げられる。緩衝層は、化粧板に弾力性を持たせるために使用されるが、天然木の良さを生かすためにも、ないことが好ましい。
防腐層は、天然木が腐ることを防止するために使用され、防腐剤は公知のものが使用可能である。変色防止層は、天然木の変色を防止するために使用される。
ただし、該「他の層」は、天然木をスライスしてなる突板3の良さを極力発揮させるために、ないことも好ましい。従来の「補強突板を現場で接着剤を用いて対象面に接着させる方法」では、接着剤として水性ボンドを使用するときは、化粧板に防湿層(防水層)が必須であった。本発明によれば、水性ボンドを使用することがあり得ないので、防湿層(防水層)は不要であるため、ないことが好ましい。
本発明の化粧板1の形と大きさは、特に限定はないが、自己粘着層付天然木化粧板の場合には、ロール状ではなく枚葉であることが好ましく、3尺(91cm)〜10尺(303cm)の間の長さを1辺とする長方形であることが、突板3にひび割れが起こらない、現場での作業性向上のために好ましい。
自己粘着層付天然木化粧テープの場合には、その幅は10mm〜50mmが好ましく、15mm〜40mmが特に好ましい。
本発明の化粧板1は、離型紙7を含まない全体の厚さが、好ましくは150μm以上1000μm以下、より好ましくは200μm以上750μm以下、特に好ましくは300μm以上700μm以下である。
本発明の化粧板1の厚さが薄過ぎると、前記した突板3や各層の厚さが薄過ぎる場合と同様のことが起こり易くなる場合等があり、厚過ぎると、前記した突板3や各層の厚さが厚過ぎる場合と同様のことが起こり易くなる場合等がある。
本発明の他の態様は、前記した自己粘着層付天然木化粧板1の製造方法であって、
天然木をスライスしてなる突板3、該突板3を基材5に接着させる接着層4、及び、基材5を有する補強突板2を、平面状態に保ちつつ、該補強突板2の基材5側に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、粘着性付与樹脂及び有機溶剤を含有する自己粘着層形成液を、ロールコーター又はカーテンコーターを用いて塗布し、加熱下に該有機溶剤を留去させて自己粘着層6を形成させ、その後に離型紙7を付与することを特徴とする自己粘着層付天然木化粧板1の製造方法である。
前記した少なくとも、突板3、接着層4及び基材5を有するものを「補強突板2」と言う。本発明では、少なくとも、該「補強突板2」、自己粘着層6及び離型紙7を、この順に積層して前記した自己粘着層付天然木化粧板1を製造する。
突板3、接着層4、基材5、自己粘着層6、自己粘着層6の成分、及び、離型紙7は、前記したものが使用できる。
前記した自己粘着層6は、前記した(メタ)アクリル酸エステル共重合体及び前記した粘着性付与樹脂を有する「自己粘着層の成分」を、有機溶剤に溶解させて自己粘着層形成液として、該自己粘着層形成液を上記「補強突板2」の基材5側に塗布して得られる。
該有機溶剤は、「自己粘着層の成分」を溶解できれば特に限定はないが、ベンゼン環等の芳香環を有しないものが、安全性、環境性のために好ましい。また、コーターを用いて塗布し有機溶剤を留去させて自己粘着層6を形成させ、その後に離型紙7を付与するために、有機溶媒の留去性を考慮して、該有機溶剤の沸点は、50℃以上120℃以下が好ましく、60℃以上105℃以下がより好ましく、70℃以上90℃以下が特に好ましい。
有機溶剤としては、具体的には、好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル等の酢酸エステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;エチレングリコールモノメチルエーテル、(ジ)エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、それらのメチル基をエチル基に代えたもの等のグリコール系溶剤;等が挙げられる。
自己粘着層形成液中の自己粘着層6の成分(溶剤以外の成分)の含有量は、自己粘着層形成液全体に対して、20質量%以上70質量%以下が好ましく、30質量%以上60質量%以下がより好ましく、40質量%以上50質量%以下が特に好ましい。
自己粘着層6の成分が少な過ぎて溶剤が多過ぎるときは、コーターから出て離型紙7を付与するまでに溶剤が留去しきれないで残留溶剤による障害が出る場合があり、残留溶剤低減、蒸発熱による冷却防止等のために過度の加熱を要する場合がある。
自己粘着層6の成分が多過ぎて溶剤が少な過ぎるときは、自己粘着層形成液の粘度が高くなり過ぎたり、良好に塗布できない場合等がある。
自己粘着層形成液としては、エマルジョンタイプの塗布液(形成液)、2液混合型の塗布液(形成液)、硬化型の塗布液(形成液)等より、上記したような溶剤溶解型の塗布液(形成液)が、自己粘着性のある層を好適に形成させるために好ましい。
前記した成分を有機溶剤に溶解させて得られた「本発明の化粧板製造に用いる自己粘着層形成液」は、前記した通り比較的低沸点の有機溶剤を含有するので、本発明における該自己粘着層形成液を、従来の補強突板を現場で貼り付けるための接着剤として用いることは不可能である。逆に、従来の補強突板を現場で貼り付けるための接着剤は、塗布後の時間経過と共に接着性が変化し「自己粘着性」がないので、本発明における自己粘着層形成液としては使用できない。
従って、従来現場で行われていた接着剤付与作業は、本発明の化粧板の製造方法に応用できないものである。
補強突板2は、ロール状ではなく平面状態を保ちつつ、その基材5側に自己粘着層形成液を塗布する。補強突板2の形と大きさは、3尺(91cm)〜10尺(303cm)の間の長さを1辺とする長方形であることが、現場での作業性、自己粘着層形成液の塗布性等のために好ましい。
自己粘着層形成液の塗布は、ロールコーター又はカーテンコーターを用いて行うことが、平面に膜厚精度よく塗布させるために好ましく、カーテンコーターを用いて行うことが、それに加えて更に十分に厚く塗布できるために特に好ましい。
コーターから出てきた「自己粘着層形成液が乗った補強突板2」は、加熱下に有機溶剤を留去させて自己粘着層6を形成させる。該加熱は、排気機能を有するオーブン中で行われることが好ましく、温風を流すことも好ましい。
上記温度範囲にすることで、コーターから出て離型紙7を付与するまでの間に溶剤が留去されて、化粧板1に溶剤が残留することがなく、残留溶剤による粘着不良や、天然木に対する障害が出ない。また、過度の加熱による塗布ムラが出ない。
自己粘着層6を形成させた後に離型紙7を付与するが、該離型紙7の付与は公知の方法で行われる。
離型紙7を付与した後、要すれば4辺を裁断して、バリ等を取り除き、所定の大きさの長方形にする。
自己粘着層付天然木化粧板1の施工方法は、施工現場で本発明の化粧板1から離型紙7を剥離し、離型紙7を剥離したものから順次対象面に貼り付けていく。従来のように、施工現場で接着剤を化粧板にも対象面にも塗布する必要はないし、接着剤塗布から貼り付けるまでの時間に気を遣う必要はない。
対象面の大きさに合うように、現場で大きい化粧板を切断してもよい。また、対象面に予めプライマーを塗布することも好ましい。
貼り付ける対象・建物としては、特に限定はないが、例えば、公会堂、美術館、音楽・講演等のホール、エレベーター、住居等の内装が挙げられる。
本発明の自己粘着層付天然木化粧板1は、内壁、外壁、天井、ドア、戸棚、衝立等の対象面に貼り付けることができるが、内壁、外壁、ドア、戸棚、衝立(パーティション)等の略垂直面に貼り付けることが、天然木の木目がよく見える、床より衝撃が少ない等のために好ましい。
中でも、内壁、外壁、天井等の大面積を有する対象面に付与することが、前記した「施工現場で接着剤を化粧板にも対象面にも塗布する必要がない」、「施工現場で接着剤塗布から貼り付けるまでの時間に気を遣う必要はない」と言った本発明の効果をより奏し易いために好ましい。具体的には、3尺(91cm)〜10尺(303cm)の間の長さを1辺とする長方形が、縦又は横に、好ましくは2枚以上、より好ましくは3枚以上、特に好ましくは3枚以上並ぶだけの大面積に付与することが、発明の前記効果を特に奏し易いために好ましい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
厚さ30μmであり茶色に着色された裏打ち紙を基材5として、その表面に、天然木としてケヤキを用い厚さ350μmにスライスした突板3を接着して補強突板2を得た。大きさは、3尺(91cm)×6尺(182cm)の長方形であった。
一方、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体(重量平均分子量30万)40質量部、粘着性付与樹脂(重量平均分子量3000)5質量部、酢酸ビニル5質量部、有機溶剤として酢酸エチル55質量部を混合撹拌して溶解させ、透明の自己粘着層形成液を得た。
上記で得られた補強突板2の基材5側を上にして、その表面に、カーテンコーターを用いて、上記で得られた自己粘着層形成液を塗布した。
自己粘着層形成液を加温してカーテンコーターを用いて塗布後、10秒間かけて搬送中に有機溶媒を留去させ、厚さ15μmの自己粘着層6を形成させた。
その後、該自己粘着層6の上に、離型紙7を貼り付け、自己粘着層付天然木化粧板(A)を得た。
上記のようにして得られた、3尺(91cm)×6尺(182cm)の長方形の自己粘着層付天然木化粧板(A)を、本試験用(実施例1)として、1尺(30cm)×1尺(30cm)に18等分(に切断)した(ただし、実際の建物の壁では大きいままで使用する)。
それぞれの自己粘着層付天然木化粧板(A1、A2、A3・・・・A18)を、1尺×1尺のまま使用できるところは使用し、縁近傍では適宜切断して、約1.5mの垂直平面である、対象面の全面に貼り付けた。その際、作業者が対象面の前で一枚一枚離型紙7を剥離し、離型紙7を剥離直後に対象面に貼り付けていった。
約1.5mの対象面の全面に貼り付けに要した時間は約1時間であった。
全ての化粧板を綺麗に貼り付けることができ、縁等に剥離はなかった。また、経時でも全ての化粧板で剥離が起こることが全くなかった。
比較例1
実施例1で得られたものと同様の補強突板を化粧板として、10年前に、現場で作業者が接着剤を補強突板(化粧板)と対象面の両方に塗布し、縦10枚(約3m)、横50枚(約15m)の対象面に貼り付けたものを観察した。
該対象面は公会堂の内壁面であり、その材質は、面積が大きいだけで実施例1と同様の材質である。
所謂「速乾ボンド」と呼ばれる有機溶剤溶解系の接着剤を用い、対象面をグループ化し、該接着剤を、補強突板(化粧板)と、該補強突板(化粧板)に対応する対象面の全面に塗布した。1グループ毎に、最初から最後まで、放置時間に0.5時間の差が生じた。
更に、接着剤が塗布された補強突板(化粧板)と対象面を、接着剤の全ての塗布終了から、15分放置した後、向かって左から右の方向に、各補強突板(化粧板)を対象面に貼り付けていった。
比較例1では、化粧板を貼り付けた対象面の面積が、実施例1の対象面の面積より遥かに大きいが、同面積を施工した場合に経験を基に換算すると、比較例1では、実施例1に比較して、1日で(すなわち単位時間当たり)、約1/3しか施工できていないことになる。
上記した10年前に施工した対象面を観察したところ、向かって右側半分の補強突板(化粧板)に剥離が見られた。
理想的な「接着剤塗布から貼り付けまでの放置時間」は15分〜20分であるところ、まとめて接着剤を塗布するのに時間がかかり、その上に、接着剤塗布後に所定の時間放置した後、向かって左から右の方向に、各補強突板(化粧板)を対象面に貼り付けていった際に、右側は左側に比べて接着剤塗布後の放置時間が長くなったので、それだけ接着性が落ちて、10年後にその部分だけが剥離したと考えられる。1枚でも剥離があると、施工全体として欠陥があったことになってしまう。
比較例2
比較例1の所謂「速乾ボンド」と呼ばれる有機溶剤溶解系(溶剤系・有機系)の接着剤に代えて、所謂「水性ボンド」と呼ばれる「媒体が水であり溶質が乳化重合微粒子である水系」の接着剤(ラッテクス系の接着剤)を用いて、比較例1と同様に施工しても、結果は比較例1と同様になると考えられた。
すなわち、理想的な「接着剤塗布から貼り付けまでの放置時間」は15分〜20分であるところ、それより放置時間が長くなり、また、放置時間がバラバラになり、何れの接着剤も経過時間と共に同様に接着性が低下するので、10年後の結果は、比較例1と同様になると考えられた。
比較例3
比較例1、2において採用した、「複数の補強突板(化粧板)に対して、グループ毎にまとめて接着剤を塗布しておいて、一定時間経過後に、まとめて貼り付けていく方法」に代えて、1枚1枚接着剤を塗布して、1枚1枚所定の経過時間が経った時点(通常は15分〜20分放置)で、一枚一枚対象面に貼り付けていく方法では、更に作業時間がかかることが予想された。
比較例1、2では、同面積に換算した実施例1に比較して、1日で(すなわち単位時間当たり)、約1/3しか施工できていないが、比較例3の方法だと、更に効率が悪くなり、実施例1の1/10以下しか処理できず非現実的である。
本発明の自己粘着層付天然木化粧板1は、施工現場での作業性が向上し、経年後に一部の化粧板の剥離等によって発覚する欠陥施工が減り、天然木の突板使用の化粧板1であっても、トータルの施工費用が減少するので、内壁、外壁、天井等の施工に広く利用されるものである。
1 自己粘着層付天然木化粧板
2 補強突板
3 突板
4 接着層
5 基材
6 自己粘着層
7 離型紙

Claims (6)

  1. 順に、突板、接着層、基材、自己粘着層、及び、離型紙を有する自己粘着層付天然木化粧板を対象面に貼り付けていく施工方法であって、
    天然木をスライスしてなる突板、該突板を基材に接着させる接着層、及び、基材を有する補強突板を、平面状態に保ちつつ、該補強突板の基材側に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、粘着性付与樹脂及び有機溶剤を含有する自己粘着層形成液を、ロールコーター又はカーテンコーターを用いて塗布し、加熱下に該有機溶剤を留去させて自己粘着層を形成させ、その後に離型紙を付与して、3尺(91cm)以上10尺(303cm)以下の間の長さを1辺とする長方形である自己粘着層付天然木化粧板を製造し
    施工現場で該離型紙を剥離し、該離型紙を剥離したものから順次対象面に貼り付けていく自己粘着層付天然木化粧板を使用した施工方法であって、
    該粘着性付与樹脂は、50℃で液体である樹脂であって、自己粘着層全体に対して、5質量%以上30質量%以下で含有され、
    該自己粘着層形成液中の該自己粘着層の成分の含有量は、自己粘着層形成液全体に対して、30質量%以上50質量%以下であり、
    自己粘着層の厚さが、10μm以上であり、
    3尺(91cm)以上10尺(303cm)以下の間の長さを短辺とする長方形が縦又は横に2枚以上並ぶだけの大面積を有する対象面に、予めプライマーを塗布しておき、その上から自己粘着層付天然木化粧板を貼り付けていくことを特徴とする自己粘着層付天然木化粧板を使用した施工方法
  2. 上記基材が紙又は不織布である請求項1に記載の自己粘着層付天然木化粧板を使用した施工方法
  3. 上記自己粘着層付天然木化粧板が、フェノール樹脂も塩化ビニル樹脂も使用していないものである請求項1又は請求項2に記載の自己粘着層付天然木化粧板を使用した施工方法。
  4. 自己粘着層付天然木化粧板は、離型紙を含まない全体の厚さが150μm以上1000μm以下である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の自己粘着層付天然木化粧板を使用した施工方法
  5. 上記対象面が、内壁、外壁又は天井である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の自己粘着層付天然木化粧板を使用した施工方法。
  6. 自己粘着層付天然木化粧板を、施工現場で接着剤を対象面に塗布することをせずに、略垂直面に貼り付けていく請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の自己粘着層付天然木化粧板を使用した施工方法
JP2016232943A 2016-11-30 2016-11-30 自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープ、及びその製造方法 Active JP6626428B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016232943A JP6626428B2 (ja) 2016-11-30 2016-11-30 自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープ、及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016232943A JP6626428B2 (ja) 2016-11-30 2016-11-30 自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープ、及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018089788A JP2018089788A (ja) 2018-06-14
JP6626428B2 true JP6626428B2 (ja) 2019-12-25

Family

ID=62565033

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016232943A Active JP6626428B2 (ja) 2016-11-30 2016-11-30 自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープ、及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6626428B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102080683B1 (ko) * 2019-09-11 2020-02-25 주식회사 트리포트 자가부착식 내외장시트
KR102631990B1 (ko) * 2021-06-24 2024-01-31 (주)엘엑스하우시스 차량용 우드 내장재 및 이의 제조 방법

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001138439A (ja) * 1999-11-16 2001-05-22 Kawai Seiko Kk シート状建築素材及びその製造方法
JP5541847B2 (ja) * 2008-04-30 2014-07-09 日東電工株式会社 剥離ライナー付き粘着シート
JP5407253B2 (ja) * 2008-09-30 2014-02-05 大日本印刷株式会社 化粧材及びその製造方法
JP5415214B2 (ja) * 2008-10-03 2014-02-12 株式会社ビッグウィル 天然木薄紙、その製法、その施工方法および金属化粧板
JP2015030187A (ja) * 2013-08-02 2015-02-16 住友ベークライト株式会社 化粧板
JP2017227018A (ja) * 2016-06-22 2017-12-28 光洋産業株式会社 腰板及び装飾用モールディング

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018089788A (ja) 2018-06-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20170298255A1 (en) Method of making a self-adhesive laminate
TWI336662B (en) Self-adhesive laminate
JP6626428B2 (ja) 自己粘着層付天然木化粧板又は化粧テープ、及びその製造方法
JP2022126673A (ja) 化粧シート及びこれを用いた化粧材
JP6136433B2 (ja) スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤を含む樹脂組成物、並びにこれを使用した化粧シート及び化粧板
JP2007245547A (ja) ポリエステル化粧材
JPH08207012A (ja) 表面化粧木質板
JP2001232721A (ja) 積層木材物品及びホットメルト接着剤組成物
RU2324603C2 (ru) Декоративная самоклеящаяся пластина из слоистого пластика
JP6720498B2 (ja) 建材用防湿シートおよび化粧板
JP5440354B2 (ja) 木質床材の製造方法
JP2006281596A (ja) 化粧板
JP6401543B2 (ja) 化粧板積層体、化粧板の保管方法及び木質建材の製造方法
JP2019198973A (ja) 化粧板の製造方法
JP6619318B2 (ja) 継ぎ目処理方法
JP7268778B2 (ja) 化粧シート及び化粧板
JP2007051240A (ja) 接着剤組成物
JP2004269858A (ja) 接着剤組成物
JP2011140847A (ja) 下地処理用シート
JP5832976B2 (ja) 木質化成品複合ボードの製造方法
JP2007090534A (ja) 化粧ボード
JP2017227018A (ja) 腰板及び装飾用モールディング
JP2021160152A (ja) 転写シート
JP2022117396A (ja) 抗ウイルス性デスク又はテーブルマット
JP2019198972A (ja) 化粧板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180615

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190312

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190426

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190703

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191129

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6626428

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250