JP6624711B2 - 燃料電池用アノード電極材料およびその製造方法、並びに燃料電池用電極、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 - Google Patents

燃料電池用アノード電極材料およびその製造方法、並びに燃料電池用電極、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池用アノード電極材料およびその製造方法、並びに燃料電池用電極、及び固体高分子形燃料電池に関する。
燃料電池は、水素の持つ化学エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換できるため、燃料電池を利用した発電システムの普及が期待されている。燃料電池の中でも、特に電解質に固体高分子膜を使用した固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、以下、「PEFC」と記載する場合がある。)は、作動温度が80℃付近と比較的低温であるため、例えば、車載用電源、家庭用等の小規模な固定電源として導入されている。固体高分子形燃料電池では、以下の電気化学反応によって電力を取り出すことができる。
アノ−ド反応:2H2 → 4H++4e- (反応1)
カソ−ド反応:O2+4H++4e-→2H2O (反応2)
全反応 :2H2+O2→2H2
PEFCは、一般的に、固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を配置させた膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、以下、「MEA」と記載する場合がある。)を、ガス流路が形成されたセパレータで挟持した構造を有する。
燃料電池用電極(特にはPEFC用電極)は、一般に、電極触媒活性を有する電極材料及び高分子電解質からなる電極触媒層と、ガス通気性と電子伝導性を兼ね備えたガス拡散層とから構成される。PEFCの電極材料として、粒子状や繊維状の炭素系材料からなる担体の表面に貴金属粒子を分散させて担持した材料が広く用いられている(例えば、特許文献1,2)。
ところで、PEFCの電解質膜は酸性(pH=0〜3)であるため、PEFCの電極材料は酸性雰囲気下で使用されることになる。また、通常運転しているときのセル電圧は0.4〜1.0Vであるが、起動停止時にはセル電圧が1.5Vまで上昇することが知られている。このようなPEFCの運転条件でのカソード及びアノードの状態は、カソードにおいては担体である炭素系材料が二酸化炭素(CO2)として分解する領域である。そのため、カソードでは、炭素系担体が電気化学的に酸化されてCO2に分解する反応が起こり(非特許文献1参照)、結果として炭素系担体が腐食されて触媒活性成分である貴金属粒子が脱落するという問題がある。
また、カソードだけでなく、アノードにおいても運転初期などに燃料ガスが不足すると、その部分での電圧低下、あるいは濃度分極が生じて局部的に通常と反対の電位となり、炭素の電気化学的酸化分解反応が起こることがある。
電極触媒粒子の担体として用いられている炭素系材料は、上述のように電気化学的に酸化腐食し、PEFCの起動停止時や長時間運転しているときに特に問題となる。炭素系材料の酸化に対する耐久性を向上させるため、高温で熱処理して結晶化を高める方法があるが、それでも酸化に対する耐久性は不十分である。そのため、PEFCの運転条件で安定な燃料電池用電極の開発が望まれている。
このような要望に対し、本願発明者らは、特許文献3において、炭素系材料の代わりに酸化スズ担体に貴金属粒子を分散させた電極触媒材料およびその製造を開示している。この電極触媒材料はPEFCのカソードでの運転条件で熱力学的に安定であるため、当該電極触媒材料を用いて製造したカソードは酸化腐食されることなく長期の発電が可能である。
特開2005−87993号公報 特許第368364号公報 特許第532110号公報
エル エム ロウエン(L.M.Roen)、他2名、"エレクトロキャタリティック コロウジョン オブ カーボン サポート イン ピーイーエムエフシー カソーズ((Electrocatalytic Corrosion of Carbon Support in PEMFC Cathodes)"、「エレクトロケミカル アンド ソリッドステイト レターズ(Electrochemical and Solid−State letters)」、2004年、Vol.7(1)、A19−A22
しかしながら、酸化スズ担体を用いた燃料電池用電極材料は高い耐久性を有するが、アノードにおける還元雰囲気下では酸化スズ自体が還元されてしまい、性能が劣化するという問題がある。また、当該電極材料を用いて製造した燃料電池用電極の電極性能は、従来の炭素系担体を用いた電極材料を用いて製造した燃料電池用電極と比較して劣る場合が多い。その主要な原因として、一般的に電子伝導性酸化物は、炭素系担体と比較して電子伝導性が低いためであると予測される。
かかる状況下、本発明の目的は、電子伝導性酸化物に起因する電気化学的酸化への優れた耐久性と、炭素系材料に起因する優れた電子伝導性を併せ持ち、かつ、PEFCのアノードにおける還元雰囲気下においても安定的に使用できる燃料電池用アノード電極材料を提供することを目的とする。さらには、当該燃料電池用アノード電極材料を含む燃料電池用電極、膜電極複合体及び固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 表面がグラファイト構造である繊維状炭素及び鎖状連結炭素粒子から選択される1種以上からなる導電補助材と、前記導電補助材に担持された酸化チタン担体と、前記導電補助材及び前記酸化チタン担体のうち前記酸化チタン担体に分散担持された電極触媒粒子とを含む燃料電池用アノード電極材料。
<2> 前記導電補助材が、気相成長炭素繊維(VGCF)である<1>に記載の燃料電池用アノード電極材料。
<3> 前記酸化チタン担体が、ニオブを0.1〜20mol%ドープしたニオブドープ酸化チタンからなる<1>または<2>に記載の燃料電池用アノード電極材料。
<4> 前記酸化チタン担体が、前記導電補助材の一部が露出するように前記導電補助材に担持されてなる<1>から<3>のいずれかに記載の燃料電池用アノード電極材料。
<5> 前記電極触媒粒子が、平均粒子径1〜30nmのPt及びPtを含む合金からなる電極触媒粒子である<1>から<4>のいずれかに記載の燃料電池用アノード電極材料。
<6> <1>から<5>のいずれかに記載の燃料電池用電極材料とプロトン伝導性電解質材料を含み、前記導電補助材が互いに接触して導電パスを形成している燃料電池用電極。
<7> 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記アノードが、<6>に記載の燃料電池用電極である膜電極接合体。
<8> <7>に記載の膜電極接合体を備えてなる固体高分子形燃料電池。
また、本発明の他の態様は、以下の本発明の燃料電池用アノード電極材料の製造方法に係るものである。
<1a> 以下の工程(1)〜(3)を含む燃料電池用アノード電極材料の製造方法。
(1)表面がグラファイト構造である繊維状炭素及び鎖状連結炭素粒子から選択される1種以上からなる導電補助材に、酸化チタン担体を担持する工程
(2)前記酸化チタン担体担持した前記導電補助材を、電極触媒前駆体を含む溶液に浸漬し、前記酸化チタン担体に電極触媒粒子又は電極触媒前駆体を担持する工程
(3)前記酸化チタン担体に担持された前記電極触媒粒子又は電極触媒前駆体を活性化する工程
<2a> 工程(1)における酸化チタン担体を担持する方法が酸化チタン担体の前駆体であるチタンアルコキシドを加水分解する方法である<1a>に記載の燃料電池用電極材料の製造方法。
<3a> 工程(2)における電極触媒前駆体を担持する方法がコロイド法である請求項<1a>又は<2a>に記載の燃料電池用電極材料の製造方法。
本発明によれば、酸化チタン担体に起因する電気化学的酸化への優れた耐久性と、炭素系材料に起因する優れた電子伝導性を併せ持つ燃料電池用電極材料が提供される。当該電極材料を含む、燃料電池用電極を使用した膜電極接合体を備えてなる固体高分子形燃料電池は、電気化学的酸化への優れた耐久性を有し、長期間発電することができる。
本発明の燃料電池用電極材料の模式図である。 本発明の膜電極接合体の断面模式図である。 本発明の固体高分子形燃料電池の代表的な構成を示す概念図である。 実験例1の燃料電池用電極材料(電極触媒粒子未担持)のFE−SEM像であり、(a)は600℃焼成、(b)は300℃焼成、(c)は焼成なしである。 実験例1の燃料電池用電極材料(電極触媒粒子未担持)のXRDプロファイルである。 実験例1の燃料電池用電極材料(電極触媒粒子未担持)のBET比表面積測定の評価結果である。 燃料電池用電極材料(電極触媒粒子未担持)のTiO2担持率とBET比表面積の関係を示す図である。 TiO2担持率10wt%の燃料電池用電極材料(電極触媒粒子未担持、300℃焼成)のFE−SEM像であり、(a),(b)はそれぞれ別視野である。 TiO2担持率20wt%の燃料電池用電極材料(電極触媒粒子未担持、300℃焼成)のFE−SEM像であり、(a),(b)はそれぞれ別視野である。 TiO2担持率50wt%の燃料電池用電極材料(電極触媒粒子未担持、300℃焼成)のFE−SEM像であり、(a),(b)はそれぞれ別視野である。 コロイド法でPt触媒粒子を担持した、TiO2担持率10wt%の燃料電池用電極材料のFE−SEM像であり、(a)は低倍率像、(b)は高倍率像である。 コロイド法でPt触媒粒子を担持した、TiO2担持率20wt%の燃料電池用電極材料のFE−SEM像であり、(a)は低倍率像、(b)は高倍率像である。 コロイド法でPt触媒粒子を担持した、TiO2担持率50wt%の燃料電池用電極材料のFE−SEM像であり、(a)は低倍率像、(b)は高倍率像である。 アセチルアセトナート法でPt触媒粒子を担持した、TiO2担持率10wt%の燃料電池用電極材料のFE−SEM像であり、(a)は低倍率像、(b)は高倍率像である。 アセチルアセトナート法でPt触媒粒子を担持した、TiO2担持率20wt%の燃料電池用電極材料のFE−SEM像であり、(a)は低倍率像、(b)は高倍率像である。 アセチルアセトナート法でPt触媒粒子を担持した、TiO2担持率50wt%の燃料電池用電極材料のFE−SEM像であり、(a)は低倍率像、(b)は高倍率像である。 コロイド法又はアセチルアセトナート法でPt触媒を担持した燃料電池用電極材料の電気化学的有効表面積(ECSA)の評価結果である。 コロイド法又はアセチルアセトナート法でPt触媒を担持した燃料電池用電極材料のMass activityの評価結果である。 コロイド法又はアセチルアセトナート法でPt触媒を担持した燃料電池用電極材料のSpecific activityの評価結果である。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、本明細書において、「〜」とはその前後の数値又は物理量を含む表現として用いるものとする。
<1.本発明の燃料電池用電極材料>
本発明の燃料電池用アノード電極材料(以下、「本発明の電極材料」と称す場合がある。)は、表面がグラファイト構造である繊維状炭素及び鎖状連結炭素粒子から選択される1種以上からなる導電補助材と、前記導電補助材に担持された酸化チタン担体と、前記導電補助材及び前記酸化チタン担体のうち前記酸化チタン担体に分散担持された電極触媒粒子とを含むことを特徴とする。
本発明の電極材料では、酸化チタン担体に担持された電極触媒微粒子は炭素系材料の導電補助材とほとんど接触しないため、従来の炭素系担体に電極触媒微粒子を担持した際に生じる電気化学的酸化による炭素系担体の腐食に起因する電極性能の低下を回避できる。そして、本発明の電極材料を構成する導電補助材は相互接触性がよく、優れた電子伝導性を有する繊維状炭素や鎖状連結炭素粒子であるため、当該電極材料を用いて、燃料電池用電極を構成した際に、前記導電補助材が互いに接触して低抵抗の導電パスが形成され、電子伝導性に優れた電極となる。
このように、本発明の電極材料は、酸化チタン担体に起因する電気化学的酸化への優れた耐久性と、炭素系材料に起因する優れた電子伝導性を併せ持つ。そのため、当該電極材料で形成された燃料電池用電極は、アノードとして使用した場合においても優れた電極性能を示すと共に、耐久性が高く、長期間発電することができる。
また、従来の粒子状の電子伝導性酸化物を担体とするからなる燃料電池用電極触媒材料では、粒子状の電子伝導性酸化物は、電極触媒微粒子の担体であると共に、燃料電池用電極の骨格としての役割を有するため、平均粒径0.1〜5μm程度の粒子が使用されている。このような粒径を有する電子伝導性酸化物は、炭素系材料と比較して電子伝導性が劣るため、同程度の粒径の炭素材料を担体として使用した燃料電池用電極材料と比較して電気抵抗が大きくなる。さらに、前記粒径を有する電子伝導性酸化物は、数nm〜数十nm程度の一次粒子が凝集した平均粒径0.1〜5μm程度の二次粒子であるため、一次粒子間の粒界に起因する電気抵抗が生じ、これも燃料電池用電極の電気抵抗増大の主要な一因になっていた。このため、このような担体では、電子伝導性酸化物として高い電子伝導性を有する酸化スズを使用することが通常であり、酸化スズに比較して電子伝導性に乏しい酸化チタンは、電子伝導性酸化物担体として使用が実質的にできなかった。
これに対し、本願発明の燃料電池用触媒材料では、燃料電池用電極の骨格としての役割を、繊維状炭素又は鎖状連結炭素粒子からなる導電補助材が担うため、電極触媒微粒子が担持される電子伝導性酸化物担体(酸化チタン担体)の粒径(薄膜の場合は厚み)を小さくすることができる。そのため、本願発明の燃料電池用触媒材料を用いて形成した燃料電池用電極では、電子伝導性酸化物担体に起因する電気抵抗を低減できる。
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明の燃料電池用電極材料の代表的な構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明に係る燃料電池用電極材料1は、導電補助材2と、導電補助材2に担持された担持された粒子状の酸化チタン担体3aと、酸化チタン担体3aに選択的に分散担持された電極触媒微粒子3bによって構成される。
導電補助材2は、表面がグラファイト構造である繊維状炭素や鎖状連結炭素粒子からなる炭素系導電補助材である。繊維状炭素や鎖状連結炭素粒子は相互接触性がよく、電子伝導性に優れるため、燃料電池用電極材料1を用いて燃料電池用電極を形成した際に導電パスが形成される。なお、本明細書において、「導電補助材」とは、燃料電池用電極材料に含まれ、燃料電池用電極を形成した際に電子伝導性を向上させる役割を有するものを意味する。導電補助材2は、炭素系材料由来の優れた電子伝導性を有し、酸化チタン担体3aを担持できる。燃料電池用電極材料1は、このような導電補助材2を用いているため、燃料電池用電極を形成した際に、隣接する導電補助材2が連続的に接触でき、かつ燃料電池用電極内の水素や酸素などのガス拡散及び水(蒸気)の排出がスムーズに行える程度の空間を形成できる。
繊維状炭素は、中空状あるいは繊維状の炭素材料であり、具体的にはいわゆるカーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノファイバーが挙げられる。なお、本発明において、「カーボンナノチューブ」とは、単層CNTだけでなく、2層CNT、複層CNT及びこれらの混合物を含む。
ここで、燃料電池用電極を形成した際の電極内の電気伝導性とガス拡散性を両立させるためには、繊維状炭素は直径2nm〜20μm、全長0.03〜500μmであることが好適である。
なお、中空状あるいは繊維状の炭素材料のうち、カーボンナノチューブに代表されるように、直径が100nm以下のもの、または、気相成長炭素繊維(Vaper Grown Carbon Fiber,VGCF)のような直径が100〜1000nm程度のもの、活性炭素繊維のような直径が1μm〜20μmのものを指すことが多いが、これらの炭素材料の長さと呼称についての明確な規定はないため、本明細書内ではこれらを合わせて繊維状炭素と称する。
また、繊維状炭素の中でも、表面がグラファイト構造である繊維状炭素であれば、化学的に安定で、表面積も小さいために電極触媒微粒子が担持されにくく、大部分の電極触媒微粒子が酸化チタン担体に選択的に担持される。そのため、全ての電極触媒微粒子のうち、繊維状炭素と直接的に接触する電極触媒微粒子の割合が小さくなり、燃料電池用電極として使用する際に繊維状炭素が電気化学的酸化腐食することが抑制される。表面がグラファイト構造である繊維状炭素としては、単層CNT、2層CNT、複層CNT、気相成長炭素繊維(VGCF)が挙げられ、高結晶性、高純度のものが好ましい。この中でも、VGCFが特に好ましい。
また、鎖状連結炭素粒子は、一次粒径30〜300nmの炭素粒子が鎖状連結した粒子であり、炭素に由来する高い電子伝導性を有する。燃料電池用電極を形成した際の電極内の電気伝導性とガス拡散性を両立させるためには、鎖状連結炭素粒子のアスペクト比が5以上であることが好適であり、より好適にはアスペクト比が10以上である。
鎖状連結炭素粒子の中でも、アセチレンの熱分解によって製造されるアセチレンブラック(AB)が好ましい。アセチレンブラックは、通常のカーボンブラックと比較して、グラファイト化が進んでいるため、上述の表面がグラファイト構造である繊維状炭素と同様に、電極触媒微粒子が担持されにくいという効果が期待できる。また、アセチレンブラックは、アセチレンガスから直接生成されるので、PEFCにおける電解質膜の劣化を引き起こす鉄イオンなどの不純物を含まないことから、PEFCで使う導電補助材として適している。
(酸化チタン担体)
酸化チタン担体3aを構成する酸化チタンは、燃料電池(特には固体高分子形燃料電池)のアノード条件、カソード条件のいずれにおいても十分な耐久性と電子伝導性を併せ持つ。本発明の燃料電池用電極材料において、電子伝導性酸化物である酸化チタンは、PEFCのアノードにおける還元雰囲気下においても安定的に使用できることに特徴のひとつがある。なお、PEFCのカソード条件とは、PEFCの通常運転時のカソードにおける条件であり、温度が室温〜150℃程度、空気等の酸素を含むガスが供給される条件(酸化雰囲気)を意味し、アノード条件とは、PEFCの通常運転時のアノードにおける条件であり、温度が室温〜150℃程度、水素を含む燃料ガスが供給される条件(還元雰囲気)を意味する。
元素としてチタン(Ti)は、PEFCのアノード条件で、酸化物であるTiO2が熱力学的に安定であり還元が起こらない。さらに酸化チタンを主体とする酸化物は、PEFCのアノード条件のみならず、カソード条件でも、酸化物であるTiO2が熱力学的に安定であるため、カソードとしても使用できる。
なお、酸化チタンを主体とする酸化物は、酸化スズを主体とする酸化物と比較して電子伝導性が劣るが、上述の通り、本発明の電極材料は、燃料電池用電極の骨格としての役割は繊維状炭素又は鎖状連結炭素粒子からなる導電補助材が担うことから、電極触媒微粒子が担持される酸化チタン担体の粒径(薄膜の場合は厚み)は小さくすることができるため、酸化チタンを主体とする酸化物も好適に使用できる。
本発明において、「酸化チタン担体」とは、酸化チタンを主体とする酸化物からなる粒子状または薄膜状の担体であり、当該担体自体が導電補助材に担持され、かつ、当該担体の表面に電極触媒粒子を担持できるものを意味する。酸化チタン担体の好適な粒径(薄膜の場合は膜厚)については後述する。
また、「酸化チタンを主体とする酸化物」とは、(A)酸化チタン、及び(B)酸化チタンに他元素をドープされた酸化物であって、母体酸化物である酸化チタンが80mol%以上含まれる酸化物、を意味する。
ドープされる元素は、Tiより価数が高い元素であり、具体的には、Sb,Nb,Ta,W,In,V,Cr,Mn,Moなどが挙げられる。この中でも、酸化チタンの電子導電性を特に高めることができる点で、ニオブ(Nb)を0.1〜20mol%ドープしたニオブドープ酸化チタンが特に好ましい。
本発明の燃料電池用電極材料1において、燃料電池用電極の骨格としての役割は繊維状炭素又は鎖状連結炭素粒子からなる導電補助材2が担うことから、電子伝導性が炭素系材料と比較して小さい酸化チタン担体3aは、電極触媒微粒子3bが分散担持することができる範囲内で、粒径が小さい方が好ましい。酸化チタン担体3aは、一次粒子、二次粒子のいずれでもよい。但し、酸化チタン担体3aが一次粒子であることが好ましい。これは、酸化チタン担体3aが二次粒子の場合には二次粒子を構成する一次粒子間の粒界抵抗により電気抵抗が大きくなるためである。
酸化チタン担体3aは、好適には平均粒径3〜200nmの粒子状の酸化チタン担体であり、より好適には実質的に一次粒子となる平均粒径5〜40nmの酸化チタン担体である。そして、燃料電池用電極材料1の導電性の観点からは、粒子状の酸化チタン担体3aが密集せずに、導電補助材2の一部が露出され、導電補助材2と他の導電補助材2とが接触の直接的な接触を阻害しない程度に酸化チタン担体3aが分散して担持されていることが好ましい。
なお、「酸化チタン担体の平均粒径」は、電子顕微鏡像より調べられる任意の酸化チタン担体(20個)の粒子径の平均値により得ることができる。
なお、図1では、酸化チタン担体3aは、導電補助材2に分散担持された粒子状の酸化チタン担体であるがこれに限定されず、酸化チタン担体3aは導電補助材2に担持されていれば他の形態であってもよい。他の形態として、例えば、導電補助材2を薄膜状の酸化チタン担体が被覆する形態が挙げられる。薄膜状酸化チタン担体は、例えば、蒸着などの乾式法で導電補助材に対し、酸化チタン担体を被覆することで形成できる。
燃料電池用電極材料1の導電性の観点からは、薄膜状酸化チタン担体の膜厚は、形成できる範囲でできるだけ薄い方が好ましい。すなわち、本発明の燃料電池用電極材料における酸化チタン担体の好適な態様の一つは、酸化チタン担体が平均膜厚2〜50nmの薄膜状酸化チタン担体であって、当該薄膜状酸化チタン担体の一部又は全部が前記導電補助材を被覆するように担持されてなる態様である。酸化チタン担体が平均膜厚2〜50nmであれば、酸化チタン担体に起因する電気抵抗が実質的に問題にならないため、導電補助材の露出部分が互いに接触する必要がない。なお、「薄膜状酸化チタン担体の平均膜厚」は、薄膜状酸化チタン担体の厚み方向の断面電子顕微鏡像より調べられる任意位置の厚み(5点)の平均値により得ることができる。
酸化チタン担体は、電極触媒の担持量を高めるために、機械的強度が保てる範囲で、表面性が大きい方が好ましい。具体的にはBET比表面積が20m2/g以上が好適であり、より好適には40m2/g以上、さらに好適には60m2/g以上である。
また、酸化チタン担体の担持量は、粒径(薄膜状の場合は膜厚)や表面積等の酸化チタン担体の物性、酸化チタン担体の製造方法等の諸条件に依存するため、十分な量の電極触媒粒子が担持できる範囲で適宜決定される。酸化チタン担体の担持量は、導電補助材と酸化チタン担体の合計を100重量%としたときに、通常、5〜95重量%であり、好ましくは20〜50重量%である。酸化チタン担体の担持量が少なすぎると、燃料電池用電極材料として十分な量の電極触媒粒子が担持できなくなる。酸化チタン担体の担持量が多すぎると酸化チタン担体の粒径(薄膜状の場合は膜厚)が大きくなりすぎて燃料電池用電極材料の電気抵抗が大きくなる場合がある。
(電極触媒粒子)
電極触媒粒子3bは、酸化チタン担体3aに選択的に分散担持されている。ここで「酸化チタン担体に選択的に分散担持」とは、全ての電極触媒粒子(個数)のうち、80%以上、好適には90%以上、より好適には95%以上(100%を含む)が、酸化チタン担体に担持されていることを意味する。酸化チタン担体に担持された電極触媒粒子の割合は、評価対象となる燃料電池用電極材料を電磁顕微鏡で観察した任意の電極触媒粒子(100個以上)を選出し、そのうち、酸化チタン担体に担持された個数と、炭素系導電補助材に担持された個数とをカウントすることにより、評価することができる。
電極触媒粒子3bは、酸素の還元(及び水素の酸化)に対する電気化学的触媒活性を有するものであれば、貴金属系触媒、非貴金属系触媒のいずれでもよいが、好適には、Pt,Ru,Ir,Pd,Rh,Os,Au,Ag等の貴金属、及びこれらの貴金属を含む合金から選択される。なお、「貴金属を含む合金」とは「上記の貴金属のみからなる合金」と、「上記の貴金属とそれ以外の金属からなる合金で上記の貴金属を10質量%以上含む合金」を含む。貴金属と合金化させる上記「それ以外の金属」は、特に限定されないが、Co,Ni,W,Ta,Nb,Snを好適な例として挙げることができ、これらを1種類あるいは2種類以上を使用してもよい。また、分相した状態で2種類以上の上記貴金属及び貴金属を含む合金を使用してもよい。なお、上記貴金属、及びこれらの貴金属を含む合金を以下、「電極触媒金属」と呼ぶ場合がある。
電極触媒金属の中でも、Pt及びPtを含む合金は、固体高分子形燃料電池の作動温度である80℃付近の温度域において、酸素の還元(及び水素の酸化)に対する電気化学的触媒活性が高いため、特に好適に使用することができる。
電極触媒粒子3bの形状は、特に制限されず公知の電極触媒粒子と同様の形状のものが使用できる。具体的な形状として球形、楕円形、多面体、コアシェル構造等が挙げられる。また、電極触媒粒子3bの構造は、結晶に限定されず、非晶質であってよく、結晶と非晶質の混合体であってもよい。
電極触媒粒子3bの大きさは、小さいほど電気化学反応が進行する有効表面積が増加するため、電気化学的触媒活性が高くなる傾向がある。しかし、その大きさが小さすぎると、電気化学的反応活性が低下する。従って、電極触媒粒子3bの大きさは、平均粒子径として、1〜30nm、より好ましくは1.5〜10nmである。
なお、本発明における「電極触媒粒子の平均粒径」は、電子顕微鏡像より調べられる電極触媒粒子(20個)の粒子径の平均値により得ることができる。電子顕微鏡像による平均粒径算出時は、微粒子の形状が、球形以外の場合は、粒子における最大長を示す方向の長さをその粒径とする。
すなわち、本発明の燃料電池用電極材料における電極触媒粒子の好適な態様の一つは、前記電極触媒粒子が、平均粒子径1〜30nmのPt及びPtを含む合金からなる電極触媒粒子である。
電極触媒粒子の担持量は、触媒の種類や、酸化チタン担体の大きさ(厚み)等の条件を考慮して適宜決定される。触媒担持量が少なすぎると電極性能が不十分となり、多すぎると電極触媒粒子が凝集して性能が低下する場合がある。
電極触媒粒子の担持量は、燃料電池用電極材料の全重量に対して、好ましくは0.1〜60質量%、より好ましくは0.5〜20質量%とすると、単位質量あたりの触媒活性に優れ、担持量に応じた所望の電極反応活性を得ることができる。
また、電極触媒粒子の担持量は、酸化チタン担体に対して、通常、3〜40質量%である。このような範囲であれば、単位質量あたりの触媒活性に優れ、担持量に応じた所望の電気化学的触媒活性を得ることができる。
前記担持量が3質量%未満の場合は、電極反応活性が不十分であり、40質量%超の場合は電極触媒粒子の凝集が起こりやすく、酸素や水素の電気化学反応に対する有効表面積が低下するという問題がある。なお、電極触媒粒子の担持量は、例えば、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)によって調べることができる。
<2.燃料電池用電極材料の製造方法>
上述した本発明の燃料電池用電極材料の製造方法は特に限定されず、燃料電池用電極材料を構成する導電性補助材、酸化チタン担体、電極触媒粒子の種類に応じて適宜好適な方法を選択すればよい。また、導電補助材に酸化チタン担体を担持した後に、酸化チタン担体に電極触媒粒子を担持してもよいし、酸化チタン担体に電極触媒粒子を担持した後に、当該電極触媒粒子が担持した酸化チタン担体を導電補助材に担持してもよい。
本発明の燃料電池用電極材料を再現性良く製造できる点で、以下に説明する製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称す。)によって製造することが好適である。
すなわち、本発明の燃料電池用電極材料の製造方法は、以下の工程を含む。
(1)表面がグラファイト構造である繊維状炭素及び鎖状連結炭素粒子から選択される1種以上からなる導電補助材に、酸化チタン担体を担持する工程
(2)前記酸化チタン担体を担持した前記導電補助材を、電極触媒前駆体を含む溶液に浸漬し、前記酸化チタン担体に電極触媒粒子又は電極触媒前駆体を担持する工程
(3)前記酸化チタン担体に担持された前記電極触媒粒子又は電極触媒前駆体を活性化する工程
なお、本発明の製造方法において、工程(2)と工程(3)は同時に行ってもよい。
本発明の製造方法では、表面がグラファイト構造である繊維状炭素及び鎖状連結炭素粒子から選択される1種以上からなる導電補助材に酸化チタン担体を担持したのちに、電極触媒粒子を担持させることに特徴がある。
すなわち、表面がグラファイト構造である繊維状炭素及び鎖状連結炭素粒子は、酸化チタン担体を担持することができるが、電極触媒粒子が担持されにくいという性質を有する。これは導電補助材を構成する炭素材料の表面がグラファイト構造であると、電極触媒粒子と結合性が弱く、電極触媒粒子が表面を移動して凝集する劣化挙動が起こりやすいという性質に由来する。
導電補助材に酸化チタン担体を担持した後に、電極触媒前駆体を含む溶液に浸漬すると、電極触媒前駆体が選択的に酸化チタン担体に担持され、これを還元処理等により電極触媒粒子に変換される。そのため、本発明の製造方法によれば、大部分の電極触媒粒子が選択的に酸化チタン担体に分散担持された燃料電池用電極材料を得ることができる。
以下、本発明の製造方法における各工程について詳細に説明する。
「工程(1)」
工程(1)は、表面がグラファイト構造である繊維状炭素及び鎖状連結炭素粒子から選択される1種以上からなる導電補助材に、酸化チタン担体を担持する工程である。
導電補助材および酸化チタン担体は、<1.本発明の燃料電池用電極材料>で上述した通りであり、ここでは詳しい説明を省略する。
導電補助材としては、表面がグラファイト構造である繊維状炭素が特にはVGCFが好ましい。導電補助材は、表面改質により表面の一部を酸化して、酸化チタン担体の担持性が向上しているものが好ましい。導電補助材の表面改質の方法は特に制限はないが、0.5〜30%水(水蒸気)を含む不活性ガス(例えば、N2)で200〜400℃の温度で処理する方法が挙げられる。すなわち、本発明の製造方法で使用される好適な導電補助材の一態様として、表面改質されたVGCFが挙げられる。
酸化チタン担体を担持する方法としては、導電補助材に酸化チタン担体を担持できる方法であればいかなる方法も採用できるが、酸化チタン担体の前駆体であるチタンアルコキシドを加水分解する方法(アルコキシド法)が好ましい。
アルコキシド法は、溶媒中で酸化チタン担体前駆体であるチタンアルコキシドと、水とを接触させて加水分解を行い、生成する酸化チタン担体(チタン水酸化物等も含む)を導電補助材に担持する方法である。この方法の利点として、水を滴下しながら順次反応させ、水の滴下スピードを変えることによって反応速度を制御できることが挙げられる。なお、チタンアルコキシドは、Ti(OR)4で表される有機チタン化合物であり、Rとして、メチル基、エチル基、プルピル基、ブチル基等が挙げられる。この中でも、Rがプルピル基であるTi(OC374が好適である。また、目的とする酸化チタン担体が、酸化チタンだけでなく、他の元素がドープされた酸化物である場合には、ドープ元素のアルコキシドを溶液中に共存させて加水分解を行えばよい。
溶媒としてはチタンアルコキシドを溶解できる溶媒であり、水分を実質的に含まない溶媒であればよく、例えば、無水エタノール等の低級無水アルコールが挙げられる。
すなわち、本発明の製造方法における酸化チタン担体を担持する好適な態様のひとつは、アルコキシド法であって、溶媒に無水エタノールを使用することであり、さらには、導電補助材としてVGCFを使用する態様である。
アルコキシド法によって、導電補助材に担持された酸化チタン担体は、非晶質状態であるものを含むため、これを乾燥、焼成することで結晶性が高い酸化チタン担体を得ることができる。
乾燥方法は、特に制限がなく、加熱・減圧・自然乾燥などの方法で溶媒を蒸発させればよい。また、乾燥時の雰囲気は特に限定されるものではなく、酸素を含有する酸化性雰囲気中や大気雰囲気、窒素やアルゴンなどを含有する不活性雰囲気、水素を含有する還元性雰囲気などの雰囲気条件を任意に選ぶことができるが、通常、大気雰囲気である。
導電補助材の上にアルコキシド法で形成して担持した酸化チタン担体を、酸素を含有する酸化性雰囲気(例えば、大気雰囲気下)で、100〜600℃、好適には、250〜400℃で熱処理することで、表面積が大きく、電子伝導性の高い酸化チタン担体を得ることができる。熱処理温度が低すぎると未満の場合には、結晶性が低くなり、十分な電子伝導性が得られない場合があり、800℃を超える場合には、酸化チタン担体が凝集し、表面積が小さくなりすぎる場合や、導電補助材から酸化チタン担体が脱離する場合がある。
なお、炭素材料は、酸化性雰囲気において高温(例えば、500℃)を超えると燃料するおそれがあるが、本発明で導電補助材として使用される、表面がグラファイト構造である繊維状炭素及び鎖状連結炭素粒子は高温耐久性が高い。そのため、上記温度範囲の中で実質的に燃焼せず、酸化チタン担体が脱離しない範囲で熱処理温度を決定すればよい。
特に好適なVGCFは、結晶性が高いため、少なくとも600℃の大気雰囲気において、導電補助材から酸化チタン担体がほとんど脱離せず安定である。
「工程(2)」
工程(2)は、前記酸化チタン担体を担持した前記導電補助材を、電極触媒前駆体を含む溶液に浸漬し、前記酸化チタン担体に電極触媒粒子又は電極触媒前駆体を担持する工程である。表面がグラファイト構造である繊維状炭素や鎖状連結炭素粒子(特には繊維状炭素)には電極触媒前駆体ないしは電極触媒粒子は担持されにくく、大部分が酸化チタン担体に担持される。
電極触媒前駆体は、<1.本発明の燃料電池用電極材料>における電極触媒粒子において説明した電極触媒の前駆体であり、工程(2)における溶液中、あるいは工程(3)において還元され、0価の電極触媒金属となるものであればよい。
電極触媒粒子が白金(Pt)である場合で電極触媒前駆体を具体的に例示すると、塩化白金、臭化白金、ヨウ化白金等のハロゲン化白金;クロロ白金酸、テトラクロロ白金酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金酸カリウム等の白金の無機酸塩;白金アセチルアセトナート、白金ヘキサフルオロアセチルアセトナート、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金、シアン化白金等の白金の有機酸塩などが挙げられる。電極触媒粒子がPt以外の金属である場合には、それに対応する前駆体を使用すればよい。
電極触媒前駆体又は電極触媒粒子の担持方法としては公知の金属担持方法を採用することができる。
工程(2)において、電極触媒前駆体から電極触媒微粒子の形成と、酸化チタン担体への担持を行う方法は特に制限されないが、担持方法によっては、電極金属粒子の粒径や分散性の点で、本発明の目的を達成することができない場合がある。
高分散で粒径の小さい電極触媒粒子を得ることが可能な好適な方法として、以下に説明する貴金属アセチルアセトナートを使用する貴金属アセチルアセトナート法と、貴金属コロイドを使用するコロイド法が挙げられる。
電極触媒前駆体に貴金属アセチルアセトナートを使用する方法(貴金属アセチルアセトナート法)は、電極触媒前駆体である貴金属アセチルアセトナートを酸化チタン担体への担持した後に、電極触媒前駆体を電極触媒粒子へ直接的に変換する方法である。
アセチルアセトナート法では、貴金属アセチルアセトナートをジクロロメタンなどの適当な溶媒に溶解させた溶液に酸化チタン担体を担持した導電補助材を分散し、それを撹拌及び溶媒の留去を行うことにより、電極触媒前駆体の担持が行うことができるため、塩素や硫黄といった不純物が混入することを回避でき、ナノサイズの粒径分布の揃った電極触媒粒子を高分散に担持することができる。また、溶液中に強い酸化剤や還元剤を用いることがないため、酸化チタン担体や炭素系の導電補助材が劣化することを回避できるという利点がある。
貴金属アセチルアセトナートとしては、Pt,Ru,Ir,Pd,Rh,Os,Au,Ag等の貴金属のアセチルアセトナートが挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。溶媒は、貴金属アセチルアセトナートを分散できる有機溶媒であればよく、代表例としては、ジクロロメタンが挙げられる。
貴金属アセチルアセトナート法による電極触媒微粒子の担持方法を提示すると、酸化チタン担体が担持された導電補助材と貴金属アセチルアセトナートとを所定の容器に入れ、氷冷しながら、超音波攪拌装置にて、溶媒が全て揮発するまで攪拌する方法が挙げられる。
なお、貴金属アセチルアセトナート法は有機溶媒を使用するため、疎水性の導電補助材との親和性が高く、後述する水溶媒を使用するコロイド法と比較して、酸化チタン担体への電極触媒粒子の担持選択性が若干劣るが、高分散な電極触媒粒子を容易に担持できる点で有用である。
一方、コロイド法は、貴金属アセチルアセトナート法では必須の有機溶媒を使用せずに、水溶媒を使用して、粒径分布が小さい電極触媒粒子を得ることができる方法である。コロイド法は溶媒に水を使用できる点で有機溶媒を必須とする担持方法と比較して有利である。コロイド法では、溶媒に水を使用しているため、生成する電極触媒粒子が、疎水性である表面がグラファイトの炭素材料へは特に担持されづらいため、酸化チタン担体の表面に選択的に担持されやすく、コロイド法を採用することにより、酸化チタン担体の表面に高分散な電極触媒に選択的に担持できる。
コロイド法について以下に説明する。コロイド法は、電極触媒前駆体のコロイド(特に貴金属コロイド)を含む溶液に前記酸化チタン担体を担持した前記導電補助材を分散し、電極触媒の前駆体コロイドを還元して前記酸化チタン担体に電極触媒粒子として担持する方法である。コロイド法では界面活性剤、有機溶媒を用いることなく、ナノサイズの粒径分布の揃った電極金属粒子を生成できる。
コロイド法の具体的方法をあげると、酸化チタン担体を担持した前記導電補助材に、貴金属コロイドを含む溶液に分散し、貴金属コロイドを還元して前記酸化チタン担体に貴金属微粒子として担持する。
なお、貴金属コロイドを含む溶液の作製する条件は特に制限されるものではなく、選択した貴金属前駆体、および還元剤に応じた適宜の条件とすればよい。
溶媒としては酸化チタン担体の前駆体を溶解できる溶媒であればよく、例えば、水、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。溶媒として水を使用できることはコロイド法の利点の一つである。
還元剤としては、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、過酸化水素、ヒドラジンなどが挙げられる。これらは、単独でも2種類以上混合して使用してもよい。さらに、ある還元剤で還元を行った後に、別の還元剤によって還元を行ってもよい。このように液相での多段階の還元処理を行うことで、高分散な貴金属微粒子を担体上に担持することができ、その好適な具体例として、還元剤をNaHSO3、過酸化水素の順番で使用する方法が挙げられる。
溶液のpHはpH4〜6が特に好適である。このpH域で作製すると、貴金属コロイドが凝集することなく均一に分散したコロイド溶液を作製できる。好適な温度域は20〜100℃(特に好適には50〜70℃)である。また、長時間の還元剤と接触させると、形成される貴金属粒子の粒子径が増大することから、接触時間は通常、10分間〜2時間程度である。
「工程(3)」
工程(3)は、前記酸化チタン担体に担持された前記電極触媒粒子又は電極触媒前駆体を活性化する工程である。工程(2)において、酸化チタン担体に担持された前記電極触媒粒子又は電極触媒前駆体は、不定比の金属酸化物を含むことがあり、そのままでは活性が低いため、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気、あるいは水素を含有する還元性雰囲気中で熱処理することで電極触媒となる金属の有する電気化学触媒作用を活性化する。
熱処理条件は、酸化チタン担体や、電極触媒となる金属や前駆体の種類にもよって、適宜選択される。電極触媒がPtやPt合金の場合、通常、180〜400℃、好適には200〜250℃である。温度が低すぎると電極触媒となる金属の活性化が不十分となり、温度が高すぎると電極触媒粒子が凝集し、有効反応表面積が小さくなりすぎる問題がある。雰囲気には必要に応じて水蒸気を加えてもよい。
また、酸化チタン担体は、水素を含有する還元性雰囲気中でも安定であるため、水素存在の存在下で熱処理を行うことができる。水素は窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性気体で0.1〜50%(好適には1〜10%)に希釈されて用いられる。熱処理温度は電極触媒がPtやPt合金の場合、通常、180〜400℃、好適には200〜250℃である。温度が低すぎると電極触媒となる金属の活性化が不十分となり、温度が高すぎると電極触媒粒子が凝集し、有効反応表面積が小さくなりすぎる問題がある。雰囲気には必要に応じて水蒸気を加えてもよい。
<3.燃料電池用電極>
本発明の燃料電池用電極は、上述の燃料電池用電極材料とプロトン伝導性電解質材料を含み、前記導電補助材が互いに接触して導電パスを形成していることを特徴とする。
このような構成であれば、上述した本発明の電極材料を構成する導電補助材が、長径で優れた電子伝導性を有する炭素材料である繊維状炭素や鎖状連結炭素粒子であるため、燃料電池用電極全体として、電子伝導性に優れる。さらに、長径の導電補助材の隙間は、少なくとも通気性を発現する程度に空隙を作ることができるため、水素、酸素、水蒸気等の電極反応に関与するガスの拡散性に優れると共に、十分なプロトン伝導性電解質材料を十分に保持できる。そのため、当該電極材料で形成された燃料電池用電極は、優れた電極性能を示すと共に、サイクル耐久性が高く、長期間発電することができる。
以下に、本発明の燃料電池用電極材料を用いて形成した燃料電池用電極について説明する。具体的には、上述の燃料電池用電極材料をPEFCにおける電極として用いたケースについて説明する。
この燃料電池用電極は、上述の燃料電池用電極材料のみから構成されていてもよいが、通常、燃料電池の電解質に使用されるプロトン伝導性電解質材料(以下、「プロトン伝導性電解質材料」、または単に「電解質材料」と記載する場合がある。)を含む。燃料電池用電極材料と共に燃料電池の電極に含まれる電解質材料は、燃料電池用電解質膜に使用される電解質材料と同じであってもよく、異なってもよい。燃料電池用電極と電解質膜の密着性を向上させる観点から、同じものを用いることが好ましい。
PEFCの電極と電解質膜とに使用される電解質材料としては、プロトン伝導性電解質材料が挙げられる。このプロトン伝導性電解質材料は、ポリマー骨格の全部または一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質材料と、ポリマー骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質材料に大別され、この両者を電解質材料として使用することができる。
フッ素系電解質材料としては、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などが好適な一例として挙げられる。
炭化水素系電解質材料としては、具体的には、ポリスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールスルホン酸、ポリベンズイミダゾールホスホン酸、ポリイミドスルホン酸等のポリマーや、これらにアルキル基等の側鎖を有するポリマーが好適な一例として挙げられる。
上記燃料電池用電極材料と燃料電池用電極材料と混合する電解質材料との質量比は、これらの材料を用いて形成される電極内の良好なプロトン伝導性を付与し、かつ電極内のガス拡散及び水蒸気の排出をスムーズに行えるように適宜決定すればよい。ただし、燃料電池用電極材料に混合する電解質材料の量が多すぎるとプロトン伝導性はよくなるが、ガスの拡散性は低下する。逆に混合する電解質材料の量が少なすぎるとガス拡散性はよくなるが、プロトン伝導性は低下する。そのため、上記燃料電池用電極材料に対する電解質材料の質量比率は、10〜50質量%が好適な範囲である。この質量比率が10質量%より小さい場合は、プロトン伝導性を有する材料の連続性が悪くなり、燃料電池用電極として十分なプロトン伝導性が確保できない。逆に50質量%より大きい場合は燃料電池用電極材料の連続性が悪くなり、燃料電池用電極として十分な電子伝導性を有することができなくなる場合がある。さらには電極内部でのガス(酸素、水素、水蒸気)の拡散性が低下する場合がある。
本発明の燃料電池用電極は、上述の燃料電池用電極材料やプロトン伝導性材料以外の成分を含んでいてもよい。
例えば、上述の燃料電池用電極材料に含まれる導電補助材以外の導電補助材(以下、「他の導電性補助材」と記載する。)を含んでいてもよい。他の導電補助材を含むことにより、燃料電池用電極材料をつなぐ導電パスが増加し、電極全体としての導電性が向上する場合がある。
他の導電補助材としては、上述した導電補助材である繊維状炭素及び鎖状連結炭素粒子でもよいし(但し、酸化チタン担体や電極触媒粒子は担持されていないもの)、カーボンブラック、活性炭など通常の粒子状炭素でもよい。
なお、本発明の燃料電池用電極材料を含む燃料電池用電極として、PEFC用電極について説明したが、PEFC以外にもアルカリ形燃料電池、リン酸形燃料電池などなどの各種燃料電池における電極として用いることができる。また、PEFCと同様な高分子電解質膜を使用した水の電解装置用の電極としても好適に使用することができる。
なお、本発明の燃料電池用電極材料を含む燃料電池用電極は、酸素の還元、水素の酸化に対する優れた電気化学的触媒活性を有するため、カソード及びアノードとして使用することができる。特に、上記(反応1)で示される水素の酸化に対する電気化学的触媒活性に優れ、燃料電池の運転条件で担体である導電性材料の電気化学的酸化分解が起こらないことから、特にアノードとして好適に使用することができる。
また、本発明の燃料電池用電極は、PEFC以外にもアルカリ形燃料電池、リン酸形燃料電池などの各種燃料電池における電極として用いることができる。また、PEFCと同様な固体高分子電解質膜を使用した水の電解装置用の電極としても好適に使用することができる。
<4.膜電極接合体(MEA)>
本発明の膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記アノードが、上記本発明の燃料電池用電極であることを特徴とする。
本発明の実施形態として、電子伝導性酸化物に酸化チタン担体を用いた電極材料を含む燃料電池用電極を本発明の燃料電池用電極をアノードに使用した膜電極接合体について説明する。
図2は本発明の実施形態に係る膜電極接合体の断面構造を模式的に示したものである。図2に示すように膜電極接合体10は、カソード4及びアノード5が固体高分子電解質膜6に対面して配置された構造を有する。
カソード4は、電極触媒層4aとガス拡散層4bで構成され、PEFCで使用される公知のカソードが使用できる。また、上記本発明の燃料電池用電極をカソード4として使用することもできる。
ガス拡散層4bとしては従来公知のガス拡散層を使用することができる。例えば、従来PEFCのガス拡散層として使用されている、100nm〜90μm程度の細孔径分布を有する導電性の炭素系シート状部材が挙げられ、好適には撥水処理が施されたカーボンクロス、カーボンペーパー、カーボン不織布等を用いることができる。また、ステンレススチール等の炭素系材料以外のシート状部材でもよい。このようなガス拡散層4bの厚みは特に制限はないが、通常、50μm〜1mm程度である。また、ガス拡散層4bは、その片面に平均粒径10〜100nm程度の炭素微粒子の集合体及び撥水剤からなるマイクロポーラス層を有していてもよい。
アノード5は、電極触媒層5aとガス拡散層5bで構成される。電極触媒層5aは、上述の通り、本発明の燃料電池用電極を用いているため、詳細な説明は省略する。また、アノード5のガス拡散層5bは、カソード4で説明したガス拡散層4bと同様のものが使用できる。
固体高分子電解質膜6としては、プロトン伝導性を有し、化学的安定性及び熱的安定性を有するものであれば公知のPEFC用電解質膜を用いればよい。なお、図2では厚みを強調して図示しているが、電気抵抗を小さくするため固体高分子電解質膜6の厚みは通常0.05mm程度である。
固体高分子電解質膜6を構成する電解質材料としては、フッ素系電解質材料、炭化水素系電解質材料が挙げられる。特にフッ素系電解質材料で形成されている電解質膜が、耐熱性、化学的安定性などに優れているため好ましい。具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などが好適例として挙げられる。
炭化水素系高分子電解質材料としては、例えば、ポリスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールスルホン酸、ポリベンズイミダゾールホスホン酸、ポリイミドスルホン酸等のポリマーや、これらにアルキル基等の側鎖を有するポリマー等が挙げられる。また、電解質膜として、無機系プロトン伝導体であるリン酸塩、硫酸塩などからなる電解質膜を使用することもできる。
以上、図面を参照して本発明のMEAの実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、上記実施の形態ではアノードのみに本発明の燃料電池用電極を採用しているが、カソードも本発明の燃料電池用電極を用いてもよい。好適な一例として、電子伝導性酸化物に酸化スズを主体とする酸化物を用いた電極材料を含む燃料電池用電極をカソードとして用いることが挙げられる。
<5.固体高分子形燃料電池>
本発明の固体高分子形燃料電池(単セル)は、本発明の膜電極接合体を備えてなり、通常、膜電極接合体をガス流路が形成されたセパレータで挟持した構造を有する。
図3は本発明の固体高分子形燃料電池の代表的な構成を示す概念図である。図3に示すように、固体高分子形燃料電池20においてアノード5には水素が供給され、上述した(反応1)2H2 → 4H++4e-によって、生成したプロトン(H+)は固体高分子電解質膜6を介してカソード4に供給され、また、生成した電子は外部回路21を介してカソードへ供給され、(反応2)O2+4H++4e-→2H2Oによって、酸素と反応して水を生成する。このアノードとカソードの電気化学反応によって両電極間に電位差を発生させる。本発明の固体高分子形燃料電池において、本発明の膜電極接合体以外の構成要素は、公知の固体高分子形燃料電池と同様であるため、詳細な説明を省略する。
実際には、本発明の固体高分子形燃料電池(単セル)が発電性能に応じた基数だけ積層された燃料電池スタックが形成され、ガス供給装置、冷却装置などその他付随する装置を組み立てることにより使用される。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例及び図面の説明において、ニオブドープ酸化チタン担体を単に酸化チタン担体、TiO2粒子と記載する場合がある。また、「酸化チタン担体を担持した繊維状炭素」を、燃料電池材料用電極材料(電極触媒未担持)と記載する場合がある。
<導電性補助材>
導電性補助材として、以下の物性を有する繊維状炭素(昭和電工株式会社製、気相法炭素繊維、VGCF−H(登録商標))を使用した。
繊維径:150nm
真密度:2.1g/cm3
比表面積:11.4m2/g
熱伝導率:1200W/(m・K)
導電率:1×10-4Ωcm

<Ti前駆体>
Ti(OC37)4(キシダ化学株式会社、純度99.0%以上)
<Nb前駆体>
Nb(OC25)5(ALDRICH、純度99.95%以上)
[評価1]燃料電池材料用電極材料(電極触媒未担持)の評価
[評価1−1]焼成温度の影響
実験例1では、以下の方法でニオブドープ酸化チタン担体を繊維状炭素(VGCF)に担持し、燃料電池材料用電極材料(電極触媒未担持)を得た。
工程(1)
上記繊維状炭素(0.492g)に所定量の無水エタノールを加え、超音波ホモジナイザーで攪拌し、繊維状炭素の分散液を得た。この分散液に酸化チタン前駆体として、Ti(OC37)4、ドーパント前駆体としてNb(OC25)5を入れ、攪拌しながら蒸留水をビュレットで滴下した加水分解を行った。なお、原料の使用量は、Ti(OC37)4の量はTiO2換算での繊維状炭素に対する担持率(TiO2担持率)が、32.5wt%(仕込み量)とし、Nb(OC25)5の量はTiO2に対して2mol%となる量とした。
蒸留水を滴下後2時間攪拌を続けたのちに、分散液の濾過、洗浄を行い、100℃で10時間乾燥させ、酸化チタン担体を担持した繊維状炭素(焼成なし)を得た。さらにこの酸化チタン担体を担持した繊維状炭素(焼成なし)を大気雰囲気下、300℃又は600℃で2時間の熱処理を行い、酸化チタン担体を担持した繊維状炭素を得た。また、熱分析装置(株式会社リガク製、ThermoPlus TG8120)を用いて、酸化チタン担体を担持した繊維状炭素を、大気雰囲気下で800℃まで昇温し、昇温前後の質量差を重量減少分を燃焼した繊維状炭素の重量として、酸化チタン担体の担持率を求めたところ、30.9wt%であった。
焼成なし、300℃焼成後、600℃焼成後の酸化チタン担体を担持した繊維状炭素を走査型電子顕微鏡(FE−SEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ、S−5200)で観察したFE−SEM像を図4に示す。また、それぞれの試料をX線回折法にて評価した結果を図5に示す。
600℃焼成後の試料では、図4(a)に示されるように、20〜30nm程度の粒径を有するTiO2粒子(酸化チタン担体)が確認され、図5に示されるようにアナターゼ型の結晶を示すピークが明確に確認された。なお、2θが約27°のピークは、繊維状炭素に起因する。
300℃焼成後の試料では、図4(b)に示されるように、10nm未満の粒径を有するTiO2粒子(酸化チタン担体)が確認され、図5に示されるように600℃焼成後のサンプルと比較するとアナターゼ型の結晶を示すピークはブロードになっていた。
焼成なしの試料では、図4(c)に示されるように、10nm未満の粒径を有するTiO2粒子(酸化チタン担体)が確認され、図5に示されるように、アナターゼ型の結晶を示すピークは300℃焼成後のサンプルと比較してさらにブロードになっていた。
また、図6にそれぞれの試料、及びび酸化チタン担体を担持していない繊維状炭素のBET比表面積を評価した結果を示す。図6からわかるように600℃焼成の試料はBET比表面積が、300℃焼成、焼成なしの試料と比較して小さい。これは高温での焼成により、TiO2粒子の粒子径が大きくなり、かつ、結晶性が高いことから、同じTiO2担持率において、表面積が低下しているものと考えられる。さらに、粒子径が大きいとTiO2中の電子伝導パスも長くなり、電極材料として不利である。
一方、焼成温度が低すぎる場合は、Tiの水和酸化物が残っている可能性があり,これが導電率を悪化させることが考えられる。
なお、DTA測定において、200℃を超えた時点でDTAのピークが見られ、この点においてTiO2の結晶化が行われていると考えられることから、300℃焼成ではTiO2の結晶化が行われていると判断した。そこで、以下の検討においては、300℃焼成を採用した。
[評価1−2]TiO2担持率と比表面積の関係
酸化チタン前駆体である原料の使用量を、TiO2担持率が仕込み量で10wt%、20wt%、30wt%、40wt%、50wt%及び60wt%とし、Nb(OC25)5の量はTiO2に対して2mol%となる量として、上記[評価1−1]の工程(1)と同様の方法でTiO2担持率が異なる燃料電池材料用電極材料(電極触媒未担持)を製造した。図7にBET比表面積を評価した結果を示す。また、図8、図9及び図10にそれぞれTiO2担持率10wt%、20wt%及び50wt%のFE−SEM像を示す。
図7に示されるように、BET比表面積はTiO2担持率の増加に伴い大きくなっており、50wt%で最大値を示している。また、50wt%のものと60wt%のものでほとんど差がないが、これは担持率を増やし過ぎたことでTiO2粒子が凝集したことや、粒子径の大きな2次粒子を形成したことが原因だと考えられる。したがって、これ以上TiO2担持率を増やしても担体比表面積の増加は見込めないと判断した。また、TiO2担持率を上げることでTiO2粒子が何層にも重なり,その結果表面積が増加している可能性がある。その場合、TiO2内の電子伝導パスが長くなり、触媒活性が低下しやすくなると推測される。
また、図8〜10より、TiO2担持率を上げることでTiO2粒子が凝集している箇所や、重なっている部分が多く見られることがわかる。
以上の結果より、担体比表面積とTiO2粒子の分散状態(TiO2粒子が均一に単層で分散しているか)を考慮して、以下、繊維状炭素(VGCF)に対するTiO2担持率を20wt%とした試料について評価を行った。
[評価2]燃料電池材料用電極材料(電極触媒担持)の評価
導電補助材に3%水蒸気加湿N2(N2バブリング)で300℃、2時間熱処理により表面改質した繊維状炭素(VGCF)を使用し、Nb(OC25)5の量はTiO2に対して5mol%となる量とした以外は、上記評価1(工程(1)に相当)と同様の方法で得られたニオブドープ酸化チタン担体/繊維状炭素(Nb-TiO2/VGCF)からなる燃料電池材料用電極材料(電極触媒未担持)に対し、コロイド法又はPtアセチルアセトナート法でPt触媒粒子を担持した。
また、以下に説明する全触媒においてPtの仕込値は、ニオブドープ酸化チタン担体/繊維状炭素(Nb-TiO2/VGCF)に対して20wt%となるよう調整した。
[コロイド法でのPt触媒粒子の担持]
工程(2)
工程(1)で得られた所定のTiO2担持率の燃料電池材料用電極材料(電極触媒未担持)へのコロイド法でのPt触媒粒子の担持は以下の手順で行った。
まず、H2PtCl6・6H2O:1gを蒸留水100mLに溶解させ、次いでNaHSO3を2g加えて,スターラーで攪拌しながら昇温させた。その後、液体が無色透明に変化し、塩化水素による刺激臭がなくなるまで保持した。次いで、燃料電池材料用電極材料(電極触媒未担持)を分散させた蒸留水に上述の溶液を加え、ホットスターラーを用い40℃で攪拌しながら35%H22水溶液45mLを滴下した。この際、常にpHが4.95〜5.00の範囲となるよう、NaOH水溶液を加えてpHの調整を行なった。35%H22の滴下後、24時間撹拌を行って得られたスラリーに対し、不純物除去のため、ろ過及び洗浄を3回繰り返し、残存物を得た。
工程(3)
工程(2)で得られた残存物を、粉末を100℃で10時間乾燥させた後に粉砕し、5%H2-N2雰囲気下において200℃、2時間の還元処理を行い,残留硫黄分の除去と触媒の活性化を行なって目的とする燃料電池材料用電極材料(コロイド法)を得た。
[アセチルアセトナート法でのPt触媒粒子の担持]
工程(2)
工程(1)で得られた所定のTiO2担持率の燃料電池材料用電極材料(電極触媒未担持)への白金アセチルアセトナート法でのPt触媒粒子の担持は以下の手順で行った。
ナスフラスコに燃料電池材料用電極材料(電極触媒未担持)、Pt(II)アセチルアセトナートを加え、その後ジクロロメタンを入れ溶解させ,超音波攪拌装置を用いて、超音波をかけながら溶媒がすべて揮発するまで攪拌して粉末を得た。
工程(3)
工程(2)で得られた粉末を、N2雰囲気下で、210℃で3時間、240℃で3時間還元処理を施すことで、実施例1の燃料電池用電極材料を得た。なお、2段階に分けて熱処理を行うのは急激な熱還元によるPtの粒子成長を抑制し,小さい粒子径のPtを担持するためである。
図11、図12及び図13にコロイド法でPt触媒を担持したTiO2担持率10wt%、20wt%及び50wt%のFE−SEM像を示す。
図11〜13よりTiO2上にPt触媒粒子が高分散に担持されていることが確認できる。また、TiO2の担持率に関わらず、導電補助材である繊維状炭素(VGCF)上に直接担持されたPt触媒粒子はほとんど見られなかった。これは、VGCFの表面はグラファイト構造で化学的に安定であり、コロイド法は純水中で攪拌しながらPtコロイドを析出させるため、疎水性のVGCFにはほとんどPtコロイドが付かなかったためだと考えられる。
図14、図15及び図16にアセチルアセトナート法でPt触媒粒子を担持したTiO2担持率10wt%、20wt%及び50wt%のFE−SEM像を示す。
図14〜16より、TiO2担持率の低下に伴って導電補助材である繊維状炭素(VGCF)上に担持されたPt触媒粒子が増えていることがわかる。アセチルアセトナート法では試料を疎水性の有機溶媒であるジクロロメタン中で攪拌しながらPt触媒粒子を担持するため、疎水性の繊維状炭素(VGCF)にもPt触媒粒子が担持されやすいと考えられる。
以上の結果から、コロイド法、アセチルアセトナート法のいずれの担持方法でもPt触媒粒子のTiO2担体への担持は確認できた。しかしながら、コロイド法ではTiO2の担持率に関わらず繊維状炭素(VGCF)上に直接担持されたPt触媒粒子はほとんど見られなかったのに対し、アセチルアセトナート法ではTiO2担持率の低下に伴って繊維状炭素(VGCF)上に直接担持されたPt触媒粒子が増えていた。したがって、今回の結果からは、コロイド法の方が、繊維状炭素(VGCF)上にPt触媒粒子が担持されず、TiO2担体へのPt触媒粒子の選択的な担持が可能であることがわかった。
[評価3]電気化学測定
コロイド法及びアセチルアセトナート法でPt担持を行った、上記燃料電池材料用電極材料(TiO2担持率20wt%、Pt仕込値20wt%)を用いて、酸性溶液中での電気化学測定を行い、調製した燃料電池材料用電極材料の電気化学的表面積(ECSA)と酸素還元(ORR)活性を定量的に評価した。なお、本評価では電極活性の模擬評価として、ORR活性を評価しているが溶液中にH2を飽和させると水素酸化(HOR)活性の評価ができる。
(ECSAの評価)
電気化学的表面積(Pt有効表面積)は、表面のPt原子一つに水素原子が一つ吸着するとの仮定に基づき、CVから求めた水素吸着量から算出した。CVの測定条件は以下の通りである。なお、1原子のPtに付き 1原子のHが吸着すると仮定すると210μC/cm2の電気量となる。

測定:三電極式セル(作用極:燃料電池用電極材料/GC,対極:Pt,参照極:Ag/AgCl)
電解液:0.1M HClO4(pH:約1)
測定電位範囲:0.05〜1.2V(標準水素電極基準)
走査速度 :50 mV/s
水素吸着量:0.05〜0.4Vの水素吸着を示すピーク面積から算出
電気化学的表面積(ECSA):下記式より算出
ECSA=(水素脱離電気量QH)[μC] / 210[μC/cm2]
(ORR活性)
ORR活性は、回転ディスク電極法(RDE法)から得られる活性化支配電流(ik)を基に算出するMass activity(単位Pt質量当たりの活性)、Specific activity(単位Pt有効面積当たりの活性)を指標とした。
Mass activity = ik / 電極上のPt質量
Specific activity = ik / ECSA

活性化支配電流(ik)は、回転電極測定によって得られた電流−電位曲線について,任意の電位においてi-1とω-1/2でプロットして得られるKoutecky-Levichプロットを作成し、得られた直線を外挿することによって切片から求めた。
具体的な手順として、まずO2を100mL/minで30分間バブリングした後、2500rpm、1600rpm、900rpm、400rpmの順でそれぞれ0.05VRHEから貴な方向に向けて10mV/secで1.20VRHEまで電位を走査し、測定を行なった、なお、測定中は常にO2を100mL/minでパージした.なお、Koutecky-Levichプロットによる活性化支配電流の算出は全て0.90VRHEで行なった。
図17にコロイド法又はアセチルアセトナート法でPt触媒を担持した燃料電池用電極材料のECSAの評価結果を示す。図18、図19に、コロイド法又はアセチルアセトナート法でPt触媒を担持した燃料電池用電極材料のMass activity及びSpecific activityの評価結果をそれぞれ示す。また、比較のため標準触媒である市販の46wt%Pt/C(田中貴金属工業株式会社、TEC10E50E)の結果も併せて示す。
図17〜19からわかるように、コロイド法でPt担持した燃料電池用電極材料は、アセチルアセトナート法でPt担持した燃料電池用電極材料よりECSAが小さかったが、Mass activity及びSpecific activityにおいて、コロイド法でPt触媒粒子を担持した燃料電池用電極材料は、アセチルアセトナート法でPt担持した燃料電池用電極材料より大きな値を示していた。特にSpecific activityにおいては、コロイド法でPt担持した燃料電池用電極材料は、標準触媒であるPt/Cに匹敵する値を示した。
なお、CV測定では、コロイド法又はアセチルアセトナート法でPt担持した試料のいずれもが、Pt特有の電流ピークを示した。従来の導電補助材に酸化チタンを担持させていないPt/TiO2及びPt/Nb-TiO2のCVはPt特有の電流ピークが表れないという報告がある。そのため、導電補助材である繊維状炭素に酸化チタン担体を担持し、酸化チタン担体上にPt触媒粒子を担持させた本発明の燃料電池材料用電極材料における、導電補助材によるTiO2の電子伝導パスの短縮効果が確認できたといえる。
本発明の燃料電池用電極材料によれば、優れた電子伝導性とガス拡散性、及び優れた耐久性を有する燃料電池用電極を供することができる。当該燃料電池用電極は、長期運転が必要である固体高分子形燃料電池用の電極に好適である。
1 燃料電池用電極材料
2 導電性補助材
3a (粒子状の)酸化チタン担体
3b 電極触媒微粒子
4 燃料電池用電極(カソード)
4a カソード電極層
4b ガス拡散層
5 燃料電池用電極(アノード)
5a カソード電極層
5b ガス拡散層
6 固体高分子電解質膜
10 膜電極接合体(MEA)
20 固体高分子形燃料電池
21 外部回路

Claims (9)

  1. 表面がグラファイト構造である繊維状炭素からなる導電補助材と、前記導電補助材に担持された酸化チタン担体と、前記導電補助材及び前記酸化チタン担体のうち前記酸化チタン担体に分散担持された電極触媒粒子とを含み、
    前記酸化チタン担体が、平均粒径3〜200nmの粒子状、または平均膜厚2〜50nmの薄膜状であって、Tiより価数が高い元素をドープしたアナターゼ型酸化チタンからなる、ことを特徴とする燃料電池用アノード電極材料。
  2. 前記導電補助材が、気相成長炭素繊維(VGCF)である請求項1に記載の燃料電池用アノード電極材料。
  3. 前記酸化チタン担体が、ニオブを0.1〜20mol%ドープしたニオブドープ酸化チタンからなる請求項1または2に記載の燃料電池用アノード電極材料。
  4. 前記酸化チタン担体が、前記導電補助材の一部が露出するように前記導電補助材に担持されてなる請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池用アノード電極材料。
  5. 前記電極触媒粒子が、平均粒子径として1〜30nmのPt及びPtを含む合金からなる微粒子である請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池用アノード電極材料。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の燃料電池用アノード電極材料とプロトン伝導性電解質材料を含み、前記導電補助材が互いに接触して導電パスを形成していることを特徴とする燃料電池用電極。
  7. 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記アノードが、請求項6に記載の燃料電池用電極であることを特徴とする膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載の膜電極接合体を備えてなることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
  9. 請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池用アノード電極材料の製造方法であって、
    以下の工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする製造方法。
    (1)表面がグラファイト構造である繊維状炭素からなる導電補助材に、前駆体であるチタンアルコキシドと、Tiより価数が高い元素のアルコキシドとを共存させて加水分解することによって、Tiより価数が高い元素をドープした酸化チタンからなる酸化チタン担体を担持する工程
    (2)前記酸化チタン担体担持した前記導電補助材を、電極触媒前駆体を含む溶液に浸漬し、前記酸化チタン担体に電極触媒粒子又は電極触媒前駆体を担持する工程
    (3)前記酸化チタン担体に担持された前記電極触媒粒子又は電極触媒前駆体を活性化する工程
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