JP6852886B2 - 電極材料用コアシェル担体及びその製造方法、並びに電極材料 - Google Patents

電極材料用コアシェル担体及びその製造方法、並びに電極材料 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池用電極の材料として好適に使用できるコアシェル担体及びその製造方法、並びに当該コアシェル担体を含む電極材料に関する。
固体高分子形燃料電池(PEFC)はすでに家庭用として市販されており、燃料電池自動車の市販も始まっている。
PEFCは、一般的に、固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を配置させた膜電極接合体(MEA)を、ガス流路が形成されたセパレータで挟持した構造を有する。
燃料電池用電極(特にはPEFC用電極)は、一般に、電極触媒活性を有する電極材料及び高分子電解質からなる電極触媒層と、ガス通気性と電子伝導性を兼ね備えたガス拡散層とから構成される。
燃料電池において性能を決める最も重要な部材は電極触媒である。第一世代の燃料電池自動車にはカーボンブラックの表面に微細な白金系微粒子を担持した材料が使用されるが、カーボン担体は酸化しやすく、担持された白金系微粒子が脱離して電池性能が劣化してしまうことが課題となっていた。
電極触媒粒子の担体として用いられている炭素系材料は、上述のように電気化学的に酸化腐食し、PEFCの起動停止時や長時間運転しているときに特に問題となる。炭素系材料の酸化に対する耐久性を向上させるため、高温で熱処理して結晶化を高める方法があるが、それでも酸化に対する耐久性は不十分である。そのため、PEFCの運転条件で安定な燃料電池用電極の開発が望まれている。
このような要望に対し、本発明者らは、炭素系材料の代わりに酸化スズ担体に貴金属粒子を分散させた電極材料を開発している(特許文献1)。当該電極材料はPEFCのカソードでの運転条件で熱力学的に安定であるため、当該電極材料を用いて製造したカソードは酸化腐食されることなく、燃料電池自動車の寿命に相当する6万回の電位サイクルに耐えることができる。
一方、上記のカーボン腐食の問題は、カソードのみならず、アノードにおいても燃料欠乏時に空気が混入して同様に発生する。そのため、カーボンブラックに代わる電極触媒担体としてアノード、カソード両条件下で熱力学的に安定なTiO2を用いる研究が進められている。しかしながら、Pt/TiO2系電極触媒は高い耐久性を示す一方で、TiO2は導電性に乏しく、電池性能が不十分である。
この課題に対し、本発明者らは、より優れた電極性能を与えることができる電極触媒として、繊維状炭素材料表面上に電極材料用担体としてのTiO2を高分散させ、さらに白金(Pt)等の電極触媒微粒子を電極材料用担体上に高分散させた燃料電池用電極材料を開発している(特許文献2)。この燃料電池用電極材料は、担体であるTiO2を微粒子として繊維状炭素材料表面上に高分散担持することで、TiO2に起因する電気抵抗を低減させている。
特許第5322110号公報 特開2015−195193号公報
一方、実用的レベルで、より性能を高めるためには、担体に起因する電極抵抗をより低減させることが求められている。
かかる状況下、本発明の目的は、より高い導電率と燃料電池使用条件下での高い安定性を有する、新規なコアシェル担体およびこれを用いた電極材料を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> コア粒子と、当該コア粒子の表面を被覆するスキン層とからなるコアシェル構造を有するコアシェル担体であって、前記スキン層が、固体高分子形燃料電池のカソード条件及びアノード条件の少なくとも一方の条件で安定な酸化物からなり、前記コア粒子が、電子伝導性酸化物からなる、コアシェル担体。
<2> 前記スキン層がTiリッチ酸化物からなり、前記コア粒子がTi含有複合酸化物からなる、<1>に記載のコアシェル担体。
<3> 前記Ti含有複合酸化物が、組成式がABO3で表されるペロブスカイト型酸化物であって、AサイトがCa、Sr、Ba、Laの群から選ばれる少なくとも1種であり、BサイトがTiである、Ti含有ペロブスカイト型酸化物である、<2>に記載のコアシェル担体。
<4> 前記Ti含有ペロブスカイト型酸化物において、AサイトがSr(一部が他の原子に置換されてもよい)である、<3>に記載のコアシェル担体。
<5> 前記Ti含有ペロブスカイト型酸化物において、Bサイトの一部がSb,Nb,Ta,W,Co,V,Cr,Mn,Moの群から選ばれる少なくとも1種で置換されたTi含有ペロブスカイト型酸化物である、<3>または<4>に記載のコアシェル担体。
<6> 粒径が1〜200nmである、<1>から<5>のいずれかに記載のコアシェル担体。
<7> <1>から<6>のいずれかに記載のコアシェル担体と、当該コアシェル担体の表面に分散担持された電極触媒粒子と、を有する電極材料。
<8> 前記コアシェル担体が、導電補助材に固定化された、<7>に記載の電極材料。
<9> 前記電極材料が、固体高分子形燃料電池の電極用の電極材料である、<7>または<8>に記載の電極材料。
<10> <7>から<9>のいずれかに記載の電極材料とプロトン伝導性電解質材料を含む電極。
<11> 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記カソード及びアノードの少なくとも一方が、<10>に記載の電極である膜電極接合体。
<12> <11>に記載の膜電極接合体を備えてなる固体高分子形燃料電池。
<13> Ti含有複合酸化物からなるコア粒子と、当該コア粒子の表面を被覆するスキン層とからなるコアシェル構造を有するコアシェル担体の製造方法であって、
原料となる粒子状のTi含有複合酸化物を、酸溶液と接触させて、前記粒子状のTi含有複合酸化物の表面からTi以外のサイトを構成する原子を溶解させて、表面にTiリッチ酸化物からなるスキン層を形成する工程を有する、コアシェル担体の製造方法。
<14> 前記Ti含有複合酸化物が、組成式がABO3で表されるペロブスカイト型酸化物であって、AサイトがCa、Sr、Ba、Laの群から選ばれる少なくとも1種であり、BサイトがTiである、Ti含有ペロブスカイト型酸化物である、<13>に記載のコアシェル担体の製造方法。
<15> Tiリッチ酸化物層をアニール処理する工程を有する、<13>または<14>に記載のコアシェル担体の製造方法。
<16> <13>から<15>のいずれかに記載の方法で製造されたコアシェル担体の表面に、電極触媒粒子を分散担持する工程を含む電極材料の製造方法。
本発明によれば、より高い導電率と燃料電池使用条件下での高い安定性を有する、新規なコアシェル担体およびこれを担体とした電極材料が提供される。
(a)は本発明のコアシェル担体、(b)は本発明の電極材料の模式図である。 実施例1のコアシェル担体前駆体のX線回折(XRD)の測定結果である。 実施例1のコアシェル担体(酸処理前後)のTi(2p)のX線光電子分光分析(XPS)の測定結果である。 実施例1のコアシェル担体(酸処理前後)のSr(3d)のXPS測定結果である。 実施例1のコアシェル担体(酸処理前後)のSr(3p)のXPS測定結果である。 実施例1のコアシェル担体(酸処理後)の走査透過型電子顕微鏡(STEM)による線分析の結果である。 実施例1の電極材料(Pt担持コアシェル担体(Pt/SrTi(Nb)O3))の電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)像である。 実施例2の電極材料(Pt/SrTi(Nb)O3/VGCF-H)、比較例1(Pt/Ti(Nb)O2)、比較例2(Pt/Ti(Nb)O2/VGCF-H)及び比較例3(Pt/C)の電極材料のリニアスイープボルタモグラムである。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、本明細書において、「〜」とはその前後の数値又は物理量を含む表現として用いるものとする。
<1.本発明のコアシェル担体>
本発明は、コア粒子と、当該コア粒子の表面を被覆するスキン層とからなるコアシェル構造を有するコアシェル担体であって、前記スキン層が、固体高分子形燃料電池のカソード条件及びアノード条件の少なくとも一方の条件で安定な酸化物からなり、前記コア粒子が、電子伝導性酸化物からなる、コアシェル担体(以下、「本発明のコアシェル担体」と記載する。)に関する。本発明のコアシェル担体の模式図を図1(a)に示す。
本発明のコアシェル担体は、電極材料における担体として好適に使用できる。好適な対象として、燃料電池用電極材料が挙げられるが、これに限定されず、例えば、水電解用電極材料の担体としても用いることができる。
本明細書において、「コアシェル構造」とは、2種類の化学種の一方が核(コア)を形成し、もう一方の化学種がその周囲を取り囲んだ構造を意味する。
本発明のコアシェル担体において、「コア粒子」とはコアシェル構造のコアを構成する電子伝導性酸化物であり、「スキン層」とはコア粒子の表面を取り囲む層(シェル)を意味する。
燃料電池の電極触媒担体に求められている性能は、主に、高い導電率と燃料電池使用条件下での高い安定性の二つである。
本発明のコアシェル担体は、(a)表面に、PEFCのカソード条件及びアノード条件の少なくとも一方の条件で安定な酸化物からなるスキン層、(b)内部に、高い導電率を有する電子伝導性酸化物からなるコア(核)、で構成されるコアシェル構造を有する。
ここで、本発明において、「PEFCのカソード条件」とは、PEFCの通常運転時のカソードにおける条件であり、温度が室温〜150℃、空気等の酸素を含むガスが供給される条件(酸化雰囲気)を意味し、「PEFCのアノード条件」とは、PEFCの通常運転時のアノードにおける条件であり、温度が室温〜150℃、水素を含む燃料ガスが供給される条件(還元雰囲気)を意味する。なお、以下、「PEFCのカソード条件及びアノード条件の少なくとも一方の条件」を「燃料電池使用条件」と記載する場合がある。
表面のスキン層は、燃料電池使用条件下で安定な酸化物で構成される。スキン層の厚みは、原子層数層から数十層程度(数nm以下)と非常に薄く、スキン層に基づく電気抵抗は極めて小さくなる。一方、内部のコアは、高い導電性を有する電子伝導性酸化物からなる。コアとなる電子伝導性酸化物は、燃料電池使用条件下でも安定なスキン層で被覆されるため、劣化することが回避される。
すなわち、本発明のコアシェル担体は、安定性の高いスキン層及び導電性の高い酸化物のコアからなるコアシェル担体であり、スキン層に基づく高い安定性と、コアに基づく高い導電率を有する。そのため、優れた高耐久性電極性能と、高耐久性を両立できる。
なお、担体に担持する電極触媒微粒子をコアシェル構造にする研究は幅広く行われているが、その担体自体をコアシェル構造にする材料設計はないことから、本発明のコアシェル担体は基本設計といえるものである。この発明により、材料設計の自由度が大幅に向上し新たな材料調製にも展開できる。
以下、本発明のコアシェル担体についてより詳細に説明する。
(スキン層)
スキン層は、燃料電池使用条件で安定な酸化物からなり、原子層数層から数十層程度(数nm以下)の非常に薄い層である。
スキン層は薄層であるため、本発明のコアシェル担体全体での抵抗としての割合は小さいが、PEFCのカソード条件及びアノード条件の少なくとも一方の条件で安定な電子伝導性酸化物からなることが好ましい。このような安定な酸化物として、具体的には、酸化スズ、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン及び酸化タングステンから選択される1種を主体とする電子伝導性酸化物が挙げられる。ここで、本発明において「主体とする電子伝導性酸化物」とは、(A)母体酸化物のみからなるもの、及び(B)他元素をドープされた酸化物であって、母体酸化物が50mol%以上含まれるもの、を意味する。
上記酸化物の中でも、Tiリッチ酸化物は、PEFCのカソード条件及びアノード条件の両方において安定であるため好適である。「Tiリッチ酸化物」とは、金属原子としてTiを主成分とする複合酸化物であり、酸化チタン(TiO2)のみならず、これ以外の酸化物も含む概念である。
スキン層は、電子を通しにくいTiO2等からなるが、厚みが数nm以下(数原子層〜数十原子層)であり、コアシェル担体全体の電気抵抗への影響は小さい。
なお、湿式法で、コア粒子の表面にスキン層を形成する好適な方法は後述する。なお、スキン層の形成方法は湿式法に制限されず、スパッタリング、パルスレーザー法等の乾式法で行うこともできる。
(コア粒子)
本発明のコアシェル担体において、コア粒子は電子伝導性酸化物からなり、コアシェル担体のスキン層以外の部分を占める。そのため、コア粒子の電子伝導性がコアシェル担体の電子伝導性を実質的に決定する。
上述の通り、スキン層の厚みは極めて薄いため、コア粒子の大きさは実質的にコアシェル担体の大きさとなる。コア粒子を構成する電子伝導性酸化物は、燃料電池使用条件下でも安定なスキン層で被覆され、直接的に外部に露出していない。すなわち、コア粒子を構成する電子伝導性酸化物は、これを被覆するスキン層により保護されるので、燃料電池使用条件下で熱的に安定であれば、必ずしも化学的に安定である必要はない。
燃料電池使用条件下でも安定な電子伝導性酸化物としては、上述の酸化スズ、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン及び酸化タングステンから選択される1種を主体とする電子伝導性酸化物が挙げられる。
また、準安定な電子伝導性酸化物としては、公知の電子伝導性を有するペロブスカイト型酸化物、スピネル型酸化物、パイロクロア型酸化物等を挙げることができる。
本発明のコアシェル担体の好適な態様の一つは、スキン層がTiリッチ酸化物からなり、コア粒子がTi含有複合酸化物からなる態様である。
Tiリッチ酸化物層は、PEFCのカソード条件及びアノード条件の両方において安定であり、かつ、若干の電子導電性を有するため、スキン層として好適である。
コア粒子のTi含有複合酸化物としては、例えば、Tiを含有するペロブスカイト型酸化物やスピネル型酸化物などが挙げられる。スキン層とコア粒子表面とが共にTiを含むため、結晶格子のマッチングがよい。
特にTi含有複合酸化物が、組成式がABO3で表されるペロブスカイト型酸化物であって、AサイトがCa、Sr、Ba、Laの群から選ばれる少なくとも1種であり、BサイトがTiである、Ti含有ペロブスカイト型酸化物であることが好ましい。
特に好適なTi含有ペロブスカイト型酸化物として、AサイトがSr、BサイトがTiであるSrTiO3である。なお、AサイトのSrの一部が他の原子に置換されてもよい。
また、Ti含有ペロブスカイト型酸化物において、BサイトのTiの一部がSb,Nb,Ta,W,Co,V,Cr,Mn,Moの群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
本発明のコアシェル担体は、そのまま電極触媒担体として使用することもできるし、これを導電補助材と複合化させて使用することもできる。なお、本明細書において、「導電補助材」とは、電極材料に含まれ、電極を形成した際に電子伝導性を向上させる役割を有するものを意味する。
本発明のコアシェル担体を、そのまま電極触媒担体として使用する場合、連続的に接触でき、かつ燃料電池用電極内の水素や酸素などのガス拡散及び水(蒸気)の排出がスムーズに行える程度の空間を確保できる大きさ、形状であればよい。具体的には、平均粒径が1〜500nm(好ましくは1〜100nm)の一次粒子が凝集した平均粒径0.1〜5μm(好ましくは0.3〜1μm)の二次粒子が挙げられる。
導電補助材は特に制限はないが、導電性の高い、炭素系材料や金属系材料を使用できる。
炭素系材料では、例えば、繊維状炭素は相互接触性がよく、電子伝導性に優れ、電極を形成した際に導電パスが形成されるため、好適な炭素系材料である。
繊維状炭素は、中空状あるいは繊維状の炭素材料であり、具体的にはカーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノファイバーが挙げられる。なお、本発明において、「カーボンナノチューブ」とは、単層CNT、2層CNT、複層CNT及びこれらの混合物を含む。
ここで、電極を形成した際の電極内の電気伝導性とガス拡散性を両立させるためには、繊維状炭素は直径2nm〜10μm、全長0.03〜500μmであることが好適である。なお、中空状あるいは繊維状の炭素材料のうち、カーボンナノチューブに代表されるように、直径が100nm以下のもの、または、気相成長炭素繊維(Vaper Grown Carbon Fiber,VGCF)のような直径が100〜1000nm程度のもの、活性炭素繊維のような直径が1μm〜20μmのものを指すことが多いが、これらの炭素材料の長さと呼称についての明確な規定はないため、本明細書内ではこれらを合わせて繊維状炭素と称する。
繊維状炭素として表面がグラファイト構造であるものを好適に用いることができる。表面がグラファイト構造である繊維状炭素としては、カーボンナノチューブ(単層CNT、2層CNT、複層CNTの何れも含む)、気相成長炭素繊維(VGCF)が挙げられ、高結晶性、高純度のものが好ましい。
また、金属系導電補助材として、チタンやチタン合金からなる導電補助材が挙げられ、特に繊維状のものが好ましく用いられる。なお、「チタン合金」とは「Tiを40モル%以上含む合金」を意味する。Tiと合金化させる金属は、本発明の目的を損なわない限り、特に限定されない。
本発明のコアシェル担体と導電補助材との複合化の態様の制限はないが、例えば、好適な態様として、コアシェル担体が、導電補助材の表面上に分散担持された態様が挙げられる。この場合、コアシェル担体の平均粒径が、1〜200nmが好適であり、平均粒径1〜40nmがより好適である。
また、他の好適な態様として、導電補助材を薄膜状のコアシェル担体が被覆する態様が挙げられる。薄膜状コアシェル担体は、例えば、蒸着などの乾式法でコアの薄膜を形成し、この表面にスキン層を形成する方法が挙げられる。スキン層の形成方法は任意であるが、コアがTi含有複合酸化物であり、スキン層がTiリッチ酸化物であるコアシェル担体の場合には、酸による処理によってコアの薄膜の表面にTiリッチ酸化物からなるスキン層を形成することができる。薄膜状コアシェル担体の膜厚(実質的には薄膜状コアの膜厚)は、形成できる範囲でできるだけ薄い方が好ましい。薄膜状のコアシェル担体であれば、コアシェル担体に起因する電気抵抗が小さいため、導電補助材の露出部分の互いの接触を必ずしも必要としない。特には、数原子層〜数十原子層の薄膜状コアシェル担体であれば、コアシェル担体に起因する電気抵抗が実質的に問題にならない可能性がある。なお、「薄膜状コアシェル担体の平均膜厚」は、薄膜状コアシェル担体の厚み方向の断面電子顕微鏡像より調べられる任意位置の厚み(5点)の平均値により得ることができる。
また、薄膜状のコアシェル担体に全体が被覆されることにより、内部の導電補助材が保護されるため、選択できる導電補助材の種類が増加するという利点もある。
薄膜状のコアシェル担体が被覆された導電補助材の特に好適な態様としては、カーボンナノチューブ等の繊維状炭素の骨組表面に数原子層〜数十原子層の薄膜状コアをコートし、これにスキン層を形成した態様が挙げられる。さらにこのような薄膜状のコアシェル担体が被覆された導電補助材を有する電極材料の好適な態様として、薄膜状のコアシェル担体の表面に数nm程度の電極触媒粒子が高分散担持した電極材料、又は薄膜状のコアシェル担体の表面に電極触媒薄膜(例えば、1原子層〜数原子層)が形成された電極材料が挙げられる。
<2.本発明のコアシェル担体の製造方法>
上述した本発明のコアシェル担体の製造方法は特に限定されず、コアシェル担体を構成するコア粒子、スキン層の種類に応じて適宜好適な方法を選択すればよい。
コア粒子がTi含有複合酸化物であり、スキン層がTiリッチ酸化物であるコアシェル担体の場合には、以下に説明する製造方法が好適な製造方法の一つである。
本発明のコアシェル担体の製造方法は、Ti含有複合酸化物からなるコア粒子と、当該コア粒子の表面を被覆するスキン層とからなるコアシェル構造を有するコアシェル担体の製造方法であって、原料となる粒子状のTi含有複合酸化物を、酸溶液と接触させて、前記粒子状のTi含有複合酸化物の表面からTi以外のサイトを構成する原子を溶解させて、表面にTiリッチ酸化物からなるスキン層を形成する工程を有することを特徴とする。
なお、<1.本発明のコアシェル担体>で説明した用語(コア粒子、スキン層、Ti含有複合酸化物等)は同義であり、説明を省略する。
また、原料となる粒子状のTi含有複合酸化物を、以下、「原料Ti含有複合酸化物」と記載する。
本発明のコアシェル担体の製造方法は、燃料電池使用条件下で溶出しやすい酸化物と溶けにくい酸化物の複合酸化物を調製し、その表面を酸で事前に処理することで、表面に安定な酸化物のスキン層、内部に複合酸化物のコア粒子を有するコアシェル構造の担体とする方法である。
Ti含有複合酸化物としては、電子伝導性酸化物であり、酸処理により表面にTiリッチ酸化物からなるスキン層を形成するものであれば制限はないが、上述したように公知の電子伝導性を有するペロブスカイト型酸化物、スピネル型酸化物、パイロクロア型酸化物等が挙げられる。
特にTi含有複合酸化物が、組成式がABO3で表されるペロブスカイト型酸化物であって、AサイトがCa、Sr、Ba、Laの群から選ばれる少なくとも1種であり、BサイトがTiである、Ti含有ペロブスカイト型酸化物であることが好ましい。
特に好適なTi含有ペロブスカイト型酸化物として、AサイトがSr、BサイトがTiであるSrTiO3である。なお、AサイトのSrの一部が他の原子に置換されてもよい。
また、Ti含有ペロブスカイト型酸化物において、BサイトのTiの一部がSb,Nb,Ta,W,Co,V,Cr,Mn,Moの群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
酸溶液の種類や濃度は、原料Ti含有複合酸化物の種類や粒径、目的とするスキン層の厚み等を考慮して適宜決定される。また、原料Ti含有複合酸化物と酸溶液とを接触させる時間や温度等の諸条件も原料Ti含有複合酸化物の種類や粒径、目的とするスキン層の厚み等を考慮して適宜決定される。
原料Ti含有複合酸化物の粒径は、製造されるコアシェル担体をそのまま電極触媒担体として使用する場合や、導電補助材と複合化させる場合に応じて、目的とする形態に応じて適宜決定すればよい。
コアシェル担体を導電補助材と複合化させて使用する場合には、原料Ti含有複合酸化物の平均粒径が、1〜200nmが好適であり、平均粒径1〜40nmがより好適である。
以下、好適な原料Ti含有複合酸化物であるSrTiO3を例に具体的に本発明のコアシェル担体の製造方法について説明する。
まず、所定の粒径のSrTiO3粒子に対して酸処理を行い、粒子表面から酸に溶出しやすいSrを溶出させる。その結果、粒子表面のTi割合が相対的に大きくなり、表面にTiリッチ酸化物層(スキン層)、内部にSrTiO3コアを有する、コアシェル担体を製造することができる。
また、原料であるSrTiO3粒子には、Nb等をドープして、更なる導電率の向上も可能である。Nbが表面に残ることにより、Tiリッチ酸化物の電子濃度を上げるドナーとして働いてTiリッチ酸化物の導電率向上にも寄与することができる。この組み合わせはPEFC作動下で安定なTiO2、SnO2、Nb25、Ta25、WO3などの複合酸化物に幅広く適用できる。
また、酸処理により表面に形成されるTiリッチ酸化物からなるスキン層は、アニール処理を行ってもよい。アニール処理の条件(雰囲気、温度)は形成されるスキン層の組成や厚み等を考慮して適宜決定される。
<3.電極材料>
本発明の電極材料は、上述した本発明のコアシェル担体と、当該コアシェル担体の表面に分散担持された電極触媒粒子と、を有する電極材料である。本発明の電極材料の模式図を図1(b)に示す。
本発明の電極材料は、上述したコアシェル担体に起因する高い耐久性と電極全体の優れた導電性(電子伝導性)を併せ持つため、PEFC用のカソード電極材料やアノード電極材料として好適に使用することができる。また、固体高分子形水電解用セルの電極材料としても好適である。
(電極触媒粒子)
電極触媒粒子は、酸素の還元(及び水素の酸化)に対する電気化学的触媒活性を有するものであれば、貴金属系触媒、非貴金属系触媒のいずれでもよいが、好適には、Pt,Ru,Ir,Pd,Rh,Os,Au,Ag等の貴金属、及びこれらの貴金属を含む合金から選択される。なお、「貴金属を含む合金」とは「上記の貴金属のみからなる合金」と、「上記の貴金属とそれ以外の金属からなる合金で上記の貴金属を10質量%以上含む合金」を含む。貴金属と合金化させる上記「それ以外の金属」は、特に限定されないが、Co,Ni,Ti,W,Ta,Nb,Snを好適な例として挙げることができ、これらを1種類あるいは2種類以上を使用してもよい。また、分相した状態で2種類以上の上記貴金属及び貴金属を含む合金を使用してもよい。なお、上記貴金属、及びこれらの貴金属を含む合金を以下、「電極触媒金属」と呼ぶ場合がある。
非貴金属系触媒としては、例えば、Ta,Zr,Ti,Wの酸化物(TaOx、ZrOx、TiOx、WOx)、窒化物(TaNx、ZrNx、TiNx)、酸窒化物(TaOxy、ZrOxy、TiOxy)等が挙げられる(式中、x、yは任意の数)。
電極触媒金属の中でも、本発明の電極材料を固体高分子形燃料電池(PEFC)の電極材料として使用する場合には、Pt及びPtを含む合金は、PEFCの作動温度である80℃付近の温度域において、酸素の還元(及び水素の酸化)に対する電気化学的触媒活性が高いため、特に好適に使用することができる。
また、本発明の電極材料を固体高分子形水電解装置の電極材料として使用する場合には電極触媒金属として水の電解活性に優れるIrやIr合金、PtやPt合金が好適である。この場合、IrやIr合金、PtやPt合金は熱処理等によりIr酸化物やPt酸化物として用いてもよい。
電極触媒粒子の形状は、特に制限されず公知の電極触媒粒子と同様の形状のものが使用できる。具体的な形状として球形、楕円形、多面体、コアシェル構造等が挙げられる。また、電極触媒粒子の構造は、結晶に限定されず、非晶質であってよく、結晶と非晶質の混合体であってもよい。
電極触媒粒子の大きさは、小さいほど電気化学反応が進行する有効表面積が増加するため、電気化学的触媒活性が高くなる傾向がある。しかし、その大きさが小さすぎると、電気化学的反応活性が低下する。従って、電極触媒粒子の大きさは、平均粒径として、0.3〜30nm、より好ましくは1〜10nmである。
なお、本発明における「電極触媒粒子の平均粒径」は、電子顕微鏡像より調べられる電極触媒粒子(20個)の粒径の平均値により得ることができる。電子顕微鏡像による平均粒径算出時は、微粒子の形状が、球形以外の場合は、粒子における最大長を示す方向の長さをその粒径とする。
すなわち、本発明の電極材料における電極触媒粒子の好適な態様の一つは、前記電極触媒粒子が、平均粒子径0.3〜30nmのPt及びPtを含む合金からなる電極触媒粒子である。
電極触媒粒子の担持量は、触媒の種類、コアシェル担体の大きさ等の条件を考慮して適宜決定される。触媒担持量が少なすぎると電極性能が不十分となり、多すぎると電極触媒粒子が凝集して性能が低下する場合がある。
電極触媒粒子の担持量は、電極材料の全重量に対して、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%とすると、単位質量あたりの触媒活性に優れ、担持量に応じた所望の電極反応活性を得ることができる。
また、電極触媒粒子の担持量は、コアシェル担体に対して、通常、10〜50質量%である。このような範囲であれば、単位質量あたりの触媒活性に優れ、担持量に応じた所望の電気化学的触媒活性を得ることができる。
前記担持量が少なすぎる場合は、電極反応活性が不十分であり、多すぎる場合は電極触媒粒子の凝集が起こりやすく、酸素や水素の電気化学反応に対する有効表面積が低下するという問題がある。なお、電極触媒粒子の担持量は、例えば、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)によって調べることができる。
コアシェル担体に電極触媒前駆体又は電極触媒粒子の担持方法としては公知の金属担持方法を採用することができる。
電極触媒前駆体としては、上述した説明した電極触媒の前駆体を担持した後に還元され、0価の電極触媒金属となるものであればよい。
電極触媒粒子が白金(Pt)である場合で電極触媒前駆体を具体的に例示すると、塩化白金、臭化白金、ヨウ化白金等のハロゲン化白金;クロロ白金酸、テトラクロロ白金酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金酸カリウム等の白金の無機酸塩;白金アセチルアセトナート、白金ヘキサフルオロアセチルアセトナート、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金、シアン化白金等の白金の有機酸塩などが挙げられる。電極触媒粒子がPt以外の金属である場合には、それに対応する前駆体を使用すればよい。
担持方法として、高分散で粒径の小さい電極触媒粒子を得ることが可能な好適な方法として、貴金属アセチルアセトナートを使用する貴金属アセチルアセトナート法と、貴金属コロイドを使用するコロイド法が挙げられる。
電極触媒前駆体に貴金属アセチルアセトナートを使用する方法(貴金属アセチルアセトナート法)は、電極触媒前駆体である貴金属アセチルアセトナートを担体に担持した後に、電極触媒前駆体を電極触媒粒子へ直接的に変換する方法である。この方法では、貴金属前駆体に残留不純物を含まないため、触媒活性の向上が見込まれる。
貴金属アセチルアセトナートとしては、Pt,Ru,Ir,Pd,Rh,Os,Au,Ag等の貴金属のアセチルアセトナートが挙げられ、これらを1種又は2種以上を使用することができる。溶媒は、貴金属アセチルアセトナートを分散できる有機溶媒であればよく、例えば、アセトン、ジクロロメタンが挙げられる。
コロイド法は、電極触媒前駆体のコロイド(特に貴金属コロイド)を含む溶液に、担体を分散し、電極触媒前駆体のコロイドを還元して担体に電極触媒粒子として担持する方法である。コロイド法では界面活性剤、有機溶媒を用いることなく、ナノサイズの粒径分布の揃った電極金属粒子を生成できる。
コロイド法の具体的方法を挙げると、コアシェル担体、又はコアシェル担体を担持した前記導電補助材を、貴金属コロイドを含む溶液に分散し、貴金属コロイドを還元してコアシェル担体に貴金属微粒子として担持する。
なお、貴金属コロイドを含む溶液の作製する条件は特に制限されるものではなく、選択した貴金属前駆体や還元剤等に応じた適宜の条件とすればよい。
溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。溶媒として水を使用できることはコロイド法の利点の一つである。
還元剤としては、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、過酸化水素、ヒドラジンなどが挙げられる。これらは、単独でも2種類以上混合して使用してもよい。さらに、ある還元剤で還元を行った後に、別の還元剤によって還元を行ってもよい。このように液相での多段階の還元処理を行うことで、高分散な貴金属微粒子を担体上に担持することができ、その好適な具体例として、還元剤をNaHSO3、過酸化水素の順番で使用する方法が挙げられる。
溶液のpHはpH4〜6が特に好適である。このpH域で作製すると、貴金属コロイドが凝集することなく均一に分散したコロイド溶液を作製できる。好適な温度域は20〜100℃(特に好適には50〜70℃)である。また、長時間の還元剤と接触させると、形成される貴金属粒子の粒子径が増大することから、接触時間は通常、10分間〜2時間程度である。
コアシェル担体に担持された前記電極触媒粒子又は電極触媒前駆体は、不定比の金属酸化物を含むことがあり、そのままでは活性が低いため、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気、あるいは水素を含有する還元性雰囲気中で熱処理することで電極触媒となる金属の有する電気化学触媒作用を活性化する。
熱処理条件は、コアである電子伝導性酸化物やスキン層の組成や厚み、電極触媒となる金属や前駆体の種類にもよって、適宜選択される。コアシェル担体が、Tiリッチ酸化物等の水素を含有する還元性雰囲気中でも安定なスキン層を有する場合には、水素の存在下で熱処理を行うことができる。水素は窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性気体で0.1〜50%(好適には1〜10%)に希釈されて用いられる。熱処理温度は電極触媒がPtやPt合金の場合、通常、100〜400℃である。温度が低すぎると電極触媒となる金属の活性化が不十分となり、温度が高すぎると電極触媒粒子が凝集し、有効反応表面積が小さくなりすぎる問題がある。雰囲気には必要に応じて水蒸気を加えてもよい。
<4.電極>
本発明の電極は、上述の電極材料とプロトン伝導性電解質材料を含む。
電極材料の好適な態様のひとつであるコアシェル担体が、導電補助材の表面に固定化された電極材料では、電極材料を構成する導電補助材が、長径で優れた電子伝導性を有するため、燃料電池用電極全体として、電子伝導性に優れる。さらに、長径の導電補助材の隙間は、少なくとも通気性を発現する程度に空隙を作ることができるため、水素、酸素、水蒸気等の電極反応に関与するガスの拡散性に優れると共に、十分なプロトン伝導性電解質材料を十分に保持できる。そのため、当該電極材料で形成された燃料電池用電極は、優れた電極性能を示すと共に、サイクル耐久性が高く、長期間発電することができる。
以下に、本発明の電極材料を用いて形成した電極について説明する。具体的には、上述の電極材料をPEFCにおける電極として用いた場合について説明する。
この電極は、上述の電極材料のみから構成されていてもよいが、通常、燃料電池の電解質に使用されるプロトン伝導性電解質材料(以下、「プロトン伝導性電解質材料」、または単に「電解質材料」と記載する場合がある。)を含む。電極材料と共に燃料電池の電極に含まれる電解質材料は、電解質膜に使用される電解質材料と同じであってもよく、異なってもよい。電極と電解質膜の密着性を向上させる観点から、同じものを用いることが好ましい。
PEFCの電極と電解質膜とに使用される電解質材料としては、プロトン伝導性電解質材料が挙げられる。このプロトン伝導性電解質材料は、ポリマー骨格の全部または一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質材料と、ポリマー骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質材料に大別され、この両者を電解質材料として使用することができる。
フッ素系電解質材料としては、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などが好適な一例として挙げられる。
炭化水素系電解質材料としては、具体的には、ポリスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールスルホン酸、ポリベンズイミダゾールホスホン酸、ポリイミドスルホン酸等のポリマーや、これらにアルキル基等の側鎖を有するポリマーが好適な一例として挙げられる。
上記電極材料と電極材料と混合する電解質材料との質量比は、これらの材料を用いて形成される電極内に良好なプロトン伝導性を付与し、かつ電極内のガス拡散及び水蒸気の排出をスムーズに行えるように適宜決定すればよい。ただし、電極材料に混合する電解質材料の量が多すぎるとプロトン伝導性はよくなるが、ガスの拡散性は低下する。逆に混合する電解質材料の量が少なすぎるとガス拡散性はよくなるが、プロトン伝導性は低下する。そのため、上記電極材料に対する電解質材料の質量比率は、10〜50質量%が好適な範囲である。この質量比率が10質量%より小さい場合は、プロトン伝導性を有する材料の連続性が悪くなり、電極として十分なプロトン伝導性が確保できない。逆に50質量%より大きい場合は電極材料の連続性が悪くなり、電極として十分な電子伝導性を有することができなくなる場合がある。さらには電極内部でのガス(酸素、水素、水蒸気)の拡散性が低下する場合がある。
本発明の電極は、上述の電極材料やプロトン伝導性材料以外の成分を含んでいてもよい。
例えば、上述の電極材料に含まれる導電補助材以外の導電補助材(以下、「他の導電性補助材」と記載する。)を含んでいてもよい。他の導電補助材を含むことにより、燃料電池用電極材料をつなぐ導電パスが増加し、電極全体としての導電性が向上する場合がある。
他の導電補助材としては、上述した導電補助材である繊維状炭素及び鎖状連結炭素粒子でもよいし(但し、電子伝導性酸化物や電極触媒粒子は担持されていないもの)、カーボンブラック、活性炭など通常の粒子状炭素でもよい。また、炭素系以外の金属系導電補助材(例えば、チタン粒子、チタン繊維等)を使用することもできる。
なお、本発明の電極材料を含む燃料電池用電極として、PEFC用電極について説明したが、PEFC以外にもアルカリ形燃料電池、リン酸形燃料電池などなどの各種燃料電池における電極として用いることができる。また、PEFCと同様な高分子電解質膜を使用した水の電解装置用の電極としても好適に使用することができる。
なお、本発明の電極材料を含む電極は、酸素の還元、水素の酸化に対する優れた電気化学的触媒活性を有するため、カソード及びアノードとして使用することができる。特に酸素の還元電気化学的触媒活性に優れ、燃料電池の運転条件で担体である導電性材料(コアシェル担体)の電気化学的酸化分解が起こらないことから、特にカソードとして好適に使用することができる。
<5.膜電極接合体(MEA)>
本発明の膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記カソードとアノードの少なくとも一方が、上記本発明の電極であることを特徴とする。
本発明の好適な実施形態として、本発明の電極をカソードに使用した膜電極接合体について説明する。
カソードは、電極触媒層とガス拡散層で構成される。
電極触媒層は、上述の通り、本発明の電極を用いているため、詳細な説明は省略する。なお、アノードとして本発明の燃料電池用電極を使用した場合には、カソードとしてその他の公知のカソードも使用できる。
ガス拡散層としては従来公知のガス拡散層を使用することができる。例えば、従来PEFCのガス拡散層として使用されている、100nm〜90μm程度の細孔径分布を有する導電性の炭素系シート状部材が挙げられ、好適には撥水処理が施されたカーボンクロス、カーボンペーパー、カーボン不織布等を用いることができる。また、ステンレススチール等の炭素系材料以外のシート状部材でもよい。このようなガス拡散層の厚みは特に制限はないが、通常、50μm〜1mm程度である。また、ガス拡散層は、その片面に平均粒径10〜100nm程度の炭素微粒子の集合体及び撥水剤からなるマイクロポーラス層を有していてもよい。
アノードは、電極触媒層とガス拡散層で構成される。
アノードとしては、本発明の電極のほか、その他の公知のアノードも同様に使用できる。例えば、グラファイト、カーボンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、グラッシーカーボンなどの炭素系材料からなる導電性担体の表面上に、触媒である貴金属粒子を担持した電極材料と、燃料電池の電解質材料との分散液を塗布・乾燥して製造された電極触媒層を、ガス拡散層上に形成した電極が挙げられる。アノードのガス拡散層は、カソードで説明したガス拡散層と同様のものが使用できる。
固体高分子電解質膜としては、プロトン伝導性を有し、化学的安定性及び熱的安定性を有するものであれば公知のPEFC用電解質膜を用いればよい。
固体高分子電解質膜を構成する電解質材料としては、フッ素系電解質材料、炭化水素系電解質材料が挙げられる。特にフッ素系電解質材料で形成されている電解質膜が、耐熱性、化学的安定性などに優れているため好ましい。具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などが好適例として挙げられる。
炭化水素系高分子電解質材料としては、例えば、ポリスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリフェニルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールスルホン酸、ポリベンズイミダゾールホスホン酸、ポリイミドスルホン酸等のポリマーや、これらにアルキル基等の側鎖を有するポリマー等が挙げられる。また、電解質膜として、無機系プロトン伝導体であるリン酸塩、硫酸塩などからなる電解質膜を使用することもできる。
以上、本発明のMEAの実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、上記実施形態ではカソードのみに本発明の電極を採用しているが、アノードにも本発明の電極を用いてもよい。
<6.固体高分子形燃料電池>
本発明の固体高分子形燃料電池(単セル)は、本発明の膜電極接合体を備えてなり、通常、膜電極接合体をガス流路が形成されたセパレータで挟持した構造を有する。
固体高分子形燃料電池においてアノードには水素が供給され、(反応1)2H2 → 4H++4e-によって、生成したプロトン(H+)は固体高分子電解質膜を介してカソードに供給され、また、生成した電子は外部回路を介してカソードへ供給され、(反応2)O2+4H++4e-→2H2Oによって、酸素と反応して水を生成する。このアノードとカソードの電気化学反応によって両電極間に電位差を発生させる。本発明の固体高分子形燃料電池において、本発明の膜電極接合体以外の構成要素は、公知の固体高分子形燃料電池と同様であるため、詳細な説明を省略する。
実際には、本発明の固体高分子形燃料電池(単セル)が発電性能に応じた基数だけ積層された燃料電池スタックが形成され、ガス供給装置、冷却装置などその他付随する装置を組み立てることにより使用される。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
使用した原料化合物は以下の通りである。
(Sr原料化合物)
Sr(OC252(株式会社 高純度化学研究所)
Sr(OC372(ALDRICH Chemistry)
(Ti原料化合物)
Ti(OC374(キシダ化学株式会社)
Ti(OC494(キシダ化学株式会社)
(Nb原料化合物)
Nb(OC252(ALDRICH Chemistry)
1.コアシェル担体前駆体の合成
<実施例1>
以下の方法で実施例1のコアシェル担体前駆体(SrTi(Nb)O3)を製造した。
まず、メタノールを300mL入れたビーカーを、氷水(0℃)で満たした攪拌装置(株式会社日本精機製作所社製、製品名「ヨウカイくん」)にセットし、原料化合物としてビーカーにSr原料化合物としてSr(OC252を0.977g、Ti原料化合物としてTi(OC494を1.87mL、Nb原料化合物としてNb(OC252を0.073mL入れ、回転子を用いて撹拌した(Sr/Tiのモル比は1、NbはTiに対して5mo1%に相当)。撹拌しながら、超純水100mLを滴下し、その後約7時間撹拌を続け、反応を進行させた。
次いで分散液の濾過、洗浄を行い、100℃で10時間乾燥させた。乾燥後、N2雰囲気下、600℃で2時間の熱処理を行い、実施例1のコアシェル担体前駆体(粉末状)を得た。
<参考例1>
氷冷を行わず、原料化合物の撹拌混合の温度を室温(25℃)とした以外は、実施例1と同様にして参考例1のコアシェル担体前駆体(粉末状)を得た(Sr/Tiのモル比は1、NbはTiに対して5mol%)。
<参考例2>
Sr原料化合物としてSr(OC372、Ti原料化合物としてTi(OC374、Nb原料化合物としてNb(OC252を使用し、原料化合物の撹拌混合の温度を室温(25℃)とした以外は、実施例1と同様にして参考例2のコアシェル担体前駆体(粉末状)を得た(Sr/Tiのモル比は1、NbはTiに対して5mol%)。
表1に実施例1及び参考例1,2のコアシェル担体前駆体の製造条件をまとめて示す。
Figure 0006852886
2.コアシェル担体前駆体のX線回折(XRD)による評価
実施例1のコアシェル担体前駆体のXRDパターンの結果を図2に示す。この結果から、SrTi(Nb)O3及び副生成物のTiO2が存在することが確認された
被験物質のRIR値と最大ピーク強度(TiO2:2θ=25°付近、SrTiO3:2θ=32°付近)から、実施例1のコアシェル担体前駆体に含まれるSrTi(Nb)O3及び副生成物のTiO2の量を求めたところ、それぞれ90.1wt%、9.9wt%であった。また、2θ=32°付近のピーク半値幅から求めた粒径は、26.6nmであった。表2に実施例1及び参考例1,2についての結果を示す。
Figure 0006852886
表2からわかるように、実施例1の製法によれば、副生成物のTiO2の割合が少なく、高い収率でSrTi(Nb)O3を合成できることが確認された。
3.酸処理
実施例1のコアシェル担体前駆体について酸処理を行った。
まず、ビーカーに1MのHClO4(150mL)を入れ、次いで、実施例1のコアシェル担体前駆体(SrTi(Nb)O3)を0.4g入れ、回転子によって室温(25℃)で2時間撹拌させて、コアシェル担体前駆体表面のSrを溶出させた。その後、分散液の濾過、洗浄を行い、乾燥させることにより、目的とする実施例1のコアシェル担体を得た。
4.評価
(1)酸処理前後でのX線光電子分光分析(XPS)による評価
酸処理前の実施例1のコアシェル担体前駆体、及びこれに酸処理を行った実施例1のコアシェル担体についてXPSによる評価を行った。図3にTi(2p)、図4にSr(3d)、図5にSr(3p)のXPS測定結果を示す。
Tiについては、酸処理後の方が酸処理前に比べ、Ti(2p)のピーク強度が大きいことがわかる。このことから、酸処理を施すことによって表面がTiリッチ酸化物層になったことが確認された。
また、Srについては、Sr(3p)については明確な違いは現れなかったが、Sr(3d)では、酸処理前後でスペクトルに変化が見られ、酸処理前後でSrの状態が異なっていることが示唆された。
(2)走査透過型電子顕微鏡(STEM)による線分析
図6に酸処理後の実施例1のコアシェル担体に対してSTEMでの線分析を行った結果を示す。評価は日本電子製収差補正付透過電子顕微鏡JEM−ARM200Fを使用した。図6から粒子の表面でTi強度が大きくなっていることから、1nm程度のTiリッチ酸化物層が形成されていることが確認された。この結果からコア粒子(SrTi(Nb)O3)の表面にTiリッチ酸化物層(シェル)を有するコアシェル構造が示唆された。
5.電極材料の製造
(1)実施例1:コアシェル担体へのPt触媒微粒子の担持
酸処理後の実施例1のコアシェル担体へのアセチルアセトナート法でのPt触媒粒子の担持は以下の手順で行った。
ナスフラスコにコアシェル担体200.6mg、Pt(II)アセチルアセトナート112.7mgを加え、その後ジクロロメタンを入れ溶解させ、超音波攪拌装置を用いて、超音波をかけながら溶媒がすべて揮発するまで攪拌して粉末を得た。得られた残存物を実施例1の電極材料として回収した。誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により評価したPt担持量は14.2重量%であった。
図7に示す、実施例1の電極材料のFE−SEM像から、担体であるSrTi(Nb)O3上にPt微粒子が均一に担持されていることが確認された。
(2)実施例2の電極材料(SrTi(Nb)O3/VGCF-H)の製造
また、Pt担持コアシェル担体と炭素系導電補助材とを複合化させた実施例2の電極材料は以下の通り作製した。
導電性補助材として、以下の物性を有する繊維状炭素(昭和電工株式会社製、気相法炭素繊維、VGCF−H(登録商標))を使用した。
繊維径:150nm
真密度:2.1g/cm3
比表面積:11.4m2/g
熱伝導率:1200W/(m・K)
導電率:1×10-4Ωcm
まず、あらかじめメタノールに所定量の炭素系導電補助材(VGCF-H)を分散させた溶液を使用した以外は、実施例1のコアシェル担体前駆体と同様にして、炭素系導電補助材と複合化した、実施例2のコアシェル担体前駆体(SrTi(Nb)O3/VGCF-H)を得た。SrTi(Nb)O3の割合は、炭素系導電補助材と電子伝導性酸化物(SrTi(Nb)O3)の合計を100重量%としたときに、22.8重量%である。
得られた実施例2のコアシェル担体前駆体(SrTi(Nb)O3/VGCF-H)を1mol/LのHClO4中に入れ、室温で2時間撹拌し酸処理を施した。次いで、実施例1と同様のPt(II)アセチルアセトナート法によってPtを担持させ、目的とする実施例2の電極材料(SrTi(Nb)O3/VGCF-H)を得た。ICP発光分析により評価したPt担持量は14.7重量%であった。
6.電気化学測定
実施例2の電極材料(Pt/SrTi(Nb)O3/VGCF-H)及び下記の比較例1〜3の電極材料についてリニアスイープボルタンメトリー(LSV)による評価を行った。
実施例2:Pt/SrTi(Nb)O3/VGCF-H(Pt担持率14.7重量%)
比較例1:Pt/Ti(Nb)O2 (Pt担持率18.4重量%)
比較例2:Pt/Ti(Nb)O2/VGCF-H(Pt担持率12.1重量%)
比較例3:Pt/C(標準触媒TEC10E50E(田中貴金属工業株式会社)
(Pt担持率46重量%)
測定:三電極式セル(作用極:電極材料/GC,対極:Pt,参照極:Ag/AgCl)
電解液:0.1M HClO4(pH:約1)
まず、O2を100mL/分で30分間バブリングした後、攪拌子で溶液を攪拌させながら、前処理として1.20VRHEから卑な方向に向けて10mV/秒で0.2VRHEまで電位を走査し、続けて0.2VRHEから貴な方向に向けて10mV/秒で1.20VRHEまで電位を走査し、測定を行なった。なお、測定中は常にO2を100mL/分でパージした。なお、VRHEは可逆水素電極(RHE)基準の電位である。
図8に示す通り、実施例2の電極材料(Pt/SrTi(Nb)O3/VGCF-H)においては、横軸の電位の値を下げていくと、Pt/C触媒(比較例3)と同じように電流が流れることが分かった(マイナスの値が大きくなるほど、電極材料に電流が流れる)。横軸の電位の値が大きいうちから電流が流れることは、電極触媒活性が高いことを示しており、実施例2の電極材料が高い電極触媒活性を有していることを明示している。
実施例2の電極材料(Pt/SrTi(Nb)O3/VGCF-H)は、初期のMass activity(使用する白金触媒あたりに流せる電流値、高い方が酸素還元電極反応が速く進むことを意味)は、58A/g(0.9VRHE)であり、比較例2であるPt/Ti(Nb)O2/VGCF-Hと同等の値を示した。
また、実施例2の電極材料について、燃料電池自動車の寿命に相当する6万回の起動停止サイクル試験において電気化学的表面積(ECSA、電気化学的に活性な表面の広さを示す値)の減少が小さく、高い安定性が燃料電池自動車の寿命に相当する間で保持されていた。
本発明によれば、優れた電子伝導性及び優れた耐久性を有する電極を供することができる。当該電極は、長期運転が必要である燃料電池用の電極(特にはPEFC用電極)や、水電解装置用電極に好適である。

Claims (14)

  1. 電子伝導性酸化物からなるコア粒子と、当該コア粒子の表面を被覆するスキン層とからなるコアシェル構造を有する、電極材料用コアシェル担体であって、
    前記コア粒子が、組成式ABO 3 で表されるペロブスカイト型酸化物であって、AサイトがCa、Sr、Ba、Laの群から選ばれる少なくとも1種であり、BサイトがTiである、Ti含有ペロブスカイト型酸化物からなり、
    前記スキン層が、前記コア粒子からTi以外を溶出してなる、前記コア粒子と比してTiリッチな酸化物からなることを特徴とする電極材料用コアシェル担体。
  2. 前記Ti含有ペロブスカイト型酸化物において、AサイトがSr(一部が他の原子に置換されてもよい)である請求項に記載のコアシェル担体。
  3. 前記Ti含有ペロブスカイト型酸化物において、Bサイトの一部がSb,Nb,Ta,W,Co,V,Cr,Mn,Moの群から選ばれる少なくとも1種で置換されたTi含有ペロブスカイト型酸化物である請求項またはに記載のコアシェル担体。
  4. 粒径が1〜200nmである請求項1からのいずれかに記載のコアシェル担体。
  5. 請求項1からのいずれかに記載のコアシェル担体と、当該コアシェル担体の表面に分散担持された電極触媒粒子と、を有することを特徴とする電極材料。
  6. 前記コアシェル担体が、導電補助材に固定化された請求項に記載の電極材料。
  7. 固体高分子形燃料電池の電極用の電極材料である請求項またはに記載の電極材料。
  8. 請求項からのいずれかに記載の電極材料とプロトン伝導性電解質材料を含む電極。
  9. 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の一方面に接合されたカソードと、前記固体高分子電解質膜の他方面に接合されたアノードと、を有する膜電極接合体であって、前記カソード及びアノードの少なくとも一方が、請求項に記載の電極である膜電極接合体。
  10. 請求項に記載の膜電極接合体を備えてなる固体高分子形燃料電池。
  11. Ti含有複合酸化物からなるコア粒子と、当該コア粒子の表面を被覆するスキン層とからなるコアシェル構造を有するコアシェル担体の製造方法であって、
    原料となる粒子状のTi含有複合酸化物を、酸溶液と接触させて、前記粒子状のTi含有複合酸化物の表面からTi以外のサイトを構成する原子を溶解させて、表面にTiリッチ酸化物からなるスキン層を形成する工程を有することを特徴とする電極材料用コアシェル担体の製造方法。
  12. 前記Ti含有複合酸化物が、組成式がABO3で表されるペロブスカイト型酸化物であって、AサイトがCa、Sr、Ba、Laの群から選ばれる少なくとも1種であり、
    BサイトがTiである、Ti含有ペロブスカイト型酸化物である請求項11に記載のコアシェル担体の製造方法。
  13. Tiリッチ酸化物層をアニール処理する工程を有する請求項11または12に記載のコアシェル担体の製造方法。
  14. 請求項11から13のいずれかに記載の方法で製造されたコアシェル担体の表面に、電極触媒粒子を分散担持する工程を含む電極材料の製造方法。
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