以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るデジタル印刷システムについて図1を用いて説明する。この印刷システムでは、デジタル印刷機(印刷装置)102とコンピュータ101とが、ネットワーク100を介して接続されている。デジタル印刷機102は、複数の機能を備えた多機能処理装置(Multi Functional Peripheral:MFP(画像形成装置とも呼ぶ))であり、各機能の詳細については以降説明する。尚、このデジタル印刷機102は、カラー、或いはモノクロでプリントができれば良い。
デジタル印刷機102は、複数の異なる役割を持つ装置が相互に連結され、複雑なシート処理が可能なように構成されている。
このデジタル印刷機102は、プリンタ部1000を境界とし、大きく3つの部位に分けることができる。図1において、プリンタ部1000より右側に配置される機器は、給紙装置と呼ばれ、給紙装置の主な役割は内部に収納されているシートを適切なタイミングで連続的にプリンタ部1000に供給することである。また、当該機器は、不図示のセンサによって内部に収納されているシート残量の検知なども行う。プリンタ部1000の内部にも給紙段231が存在し、機能的には給紙装置と同等のことを実行することができる。プリンタ部1000が備えるこれら給紙段についても説明の上では給紙装置と呼ぶこととする。以下、このデジタル印刷機102を構成する各部位に関して説明する。
プリンタ部1000は、画像データに基づいて、給紙段から給紙されたメディア(シート)にトナーを用いて画像を形成(印刷)する。このプリンタ部1000の構成及び動作原理は以下のとおりである。
画像データに応じて変調された、例えばレーザ光などの光線を回転多面鏡(ポリゴンミラー等)により反射して走査光として感光ドラムに照射する。このレーザ光により感光ドラム上に形成された静電潜像はトナーによって現像され、転写ドラムに押し付けられたシートに、そのトナー像を転写する。この一連の画像形成プロセスをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーに対して順次実行することにより、シート上にフルカラー画像が形成される。また、これら4色に加え、特色と呼ぶ他の色のトナーや、透明トナーなどを転写可能とする構成としても良い。こうしてフルカラー画像が形成された転写ドラム上のシートは定着器へ搬送される。定着器は、ローラやベルト等を含み、ローラ内にハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、トナー像が転写されたシート上のトナーを、熱と圧力によって溶解してシートに定着させる。ここでは電子写真方式について説明するが、これに限らない。インクジェットプリンタ、熱転写型プリンタであってもよく、プリンタであればよい。
尚、第1の実施形態に係るデジタル印刷機102のプリンタ部1000には、不図示のスキャナ、及びプリンタ部1000の上面に配置された操作部204(図4)が備え付けられている。操作部204はプリンタ部1000の上面に配置されているため、図1では詳細は図示していない。操作部204は、第1の実施形態に係るプリンタ部1000の各種設定や操作などをユーザが行う場合の各種インタフェースを提供する。ドキュメントフィーダ224、及びスキャナ250は、本体上部に備えつけられている。
更にこのデジタル印刷機102は、プリンタ部1000に加え各種付随装置が装着可能なよう構成されている。
大容量給紙装置221、222、223は、プリンタ部1000に対して直接あるいは間接的に脱着可能な給紙装置である。これら給紙装置は、複数の給紙段(シート収納部)233〜241を備える。複数の給紙段(シート収納部)233〜241は、それぞれの給紙段に収納されているシート残量を検知するセンサを備えている。このような構成により、プリンタ部1000は、大容量のシートへの印刷処理を行うことができる。ここでは3台の大容量給紙装置221、222、223が接続されている例を示したが、これに限らない。1台の大容量給紙装置221のみによって構成されていてもよい。また、複数の給紙段(シート収納部)は、給紙トレイであっても、手差しトレイであってもよく、給紙トレイと手差しトレイを併用して構成されていてもよい。また、給紙段(シート収納部)233〜241のすべてを備えていなくてもよい。
大容量スタッカ225、226は、印刷済みのシートをストックするための装置である。上述の大容量給紙装置を備えるシステムでは、生成された印刷物もまた大容量となるため、このような大容量スタッカが必要となる。尚、これら大容量スタッカや大容量給紙装置の数は、図1の構成に限定されるものではない。ここでは、2台の大容量スタッカ225、226が接続されている例を示したが、これに限らない。1台の大容量スタッカ225のみによって構成されていてもよい。
大容量スタッカ225、226は、ユーザによる指示操作により、内部の積載トレイ上に積載されたシートを取り出すためのドアをオープンできる。尚、ドアがオープンされる場合には、大容量スタッカ225、226への印刷済みのシートの積載処理は、事前に停止されるよう制御される。
更に、大容量スタッカ225、226は、印刷済のシートを積載する際に、任意のシートに対して、その積載位置をシフトするシフト排紙機能を有する。これにより、大量に積載されたシートを、ある一定の束の単位で仕分けることができる。
折り装置232は、シートに対して、中折り、Z折り、3つ折り、4つ折りなどの各種折り処理を実行するための装置である。
中綴じ製本機227は、プリンタ部1000で印刷されたシートに対して、ステイプル処理や製本出力物を作成する際のサドル綴じ、サドル折り、パンチ処理、シフト排紙処理等を実行可能にするための各種ユニットを備えている。尚、第1の実施形態で示したデジタル印刷機102では、中綴じ製本機227を用いて中綴じ製本出力物を作成する際には、折り装置232の折り機能を用いずに、中綴じ製本機が具備するサドル折り機能とサドル綴じ機能を組み合わせて出力物の形成を行う。
断裁装置230は、中綴じ製本機227によりサドル綴じされた製本出力物を搬送し、小口部に相当する箇所を断裁し、小口を平面上に形成するための装置である。
インサータ228は、プリンタ部1000から送られてくるシートに対して、設定に基づいて適切なタイミングで、インサータ228に保持されているシートを挿入する。このインサータ228により、印刷を要しないシートを印刷済みのシートの間に差し込むことができる。このインサータ228は、大容量給紙装置221、222、223と同様に、大容量の印刷処理にも耐えられるように大容量の給紙個所を複数備える。
くるみ製本機229は、プリンタ部1000で印刷された、もしくはインサータ228から排出された1束分のシートに対し、表紙を糊付け処理して、くるみ製本した出力物を形成するための装置である。又、表紙をつけずに糊付け製本する加工処理に該当する天糊製本処理も、このくるみ製本機229により実行可能である。
なお、折り装置232、中綴じ製本機227、断裁装置230、インサータ228、及び、くるみ製本機229は、デジタル印刷機102の構成として有していても良いし、無くても構わない。
尚、図1において、プリンタ部1000よりも左側に配置される機器は、シートを積載する大容量スタッカ225、226なども含めて、ここではシート加工装置と呼ぶ。また、シート加工装置はシート処理装置、または後処理装置とも呼ばれる。シート加工装置は、印刷処理が完了したシートに各種加工処理を加える、または集積するなどの処理を行う。前述の給紙系装置及びシート加工装置を併せて以後の説明においてシート処理装置200と呼ぶ。
次に、第1の実施形態に係るデジタル印刷機102の回路構成について図2に示す機能ブロック図を用いて示す。デジタル印刷機102は、前述した各種給紙装置及びシート加工装置等により構成されるシート処理装置200の他に、以下の構成を有する。即ち、圧縮展開部210、ハードディスク(HDD)209、メディア管理部211、スキャナ250、外部I/F202、プリンタユニット203、コントローラ部(制御部)205、及び、操作部204を有し、それぞれの構成について以降説明する。
圧縮展開部210は、JBIGやJPEG等といった各種圧縮方式によってRAM208またはHDD209に記憶されている画像データ等を圧縮したり伸張したりする。尚、第1の実施形態ではHDD209を用いたデジタル印刷機102の例を示すが、同様の大容量かつ不揮発性な記憶装置であれば、ハードディスクに限定されない。HDD209の代わりにSSD(Solid State Drive)などの不揮発メモリであってもよい。
HDD209は、自装置内部に複数の処理対象となるジョブを記憶可能な不揮発性メモリであり、処理対象となるジョブのプリントデータ等の複数のデータを保持可能に構成されている。また、HDD209には、このデジタル印刷機102によって永続的に記憶及び変更、管理される各種管理情報なども格納され、後述する各種プログラムを予め記憶しているほか、圧縮展開部210によって圧縮された画像データを記憶する。
メディア管理部211は、デジタル印刷機102が処理可能なシートの種類等に関する情報を管理するためのモジュールである。デジタル印刷機102が処理可能なシートの種類等に関する情報はHDD209に記憶されている。
スキャナ250は、原稿の画像を読み取り、その原稿を読み取って得られた画像データを画像処理して出力する。
外部I/F202は、外部の装置と画像データの送受信をする。外部の装置とは、例えば、ファクシミリ、ネットワーク接続機器、外部専用装置などである。
プリンタユニット203は、HDD209に記憶された印刷対象のジョブの印刷処理を実行する。例えば、スキャナ250から受付けたデータをHDD209に記憶し、そのHDD209から読み出して、コピージョブを実行することができる。また、外部I/F202を介して受信したプリントジョブをHDD209に記憶し、HDD209から読み出して、プリントジョブを実行することができる。また、プリンタユニット203は給紙ユニット213を有し、給紙ユニット213は給紙段(シート収納部)233〜241に収納されているシートの給紙を行う。コントローラ部(制御部)205は印刷対象のジョブで使用するシートの給紙先が決定されたことに従って、給紙ユニット213による給紙動作を制御する。
コントローラ部(制御部)205は、CPU212を有し、このデジタル印刷機102が備える各種ユニットの処理や動作等を制御する。例えば、シート処理装置200の動作も制御する。また、スキャナ250や外部I/F202等の各種入力ユニットを介して入力された処理対象となるジョブを、このHDD209に格納し、HDD209から読み出してプリンタユニット203に出力してプリントする。もしくは、HDD209から読み出したジョブを、外部I/F202を介して外部装置へ送信できるようにも制御する。このようにコントローラ部205は、HDD209に格納した処理対象ジョブの各種出力処理を実行する。ここではHDD209を例にして説明したが、揮発性のRAMでもよい。
また、コントローラ部205は、HDD209等へのアクセスを制御するディスクコントローラ(DKC)215を有する。さらに、コントローラ部205は、読み出し専用のメモリであるROM207、及び、読み出し及び書き込み可能なメモリであるRAM208を有する。
ROM207は、ブートシーケンスやフォント情報等のプログラムを予め記憶している。また、ROM207には、ユーザインタフェース画面(以下、UI画面)を含む、操作部204の表示部に各種のUI画面を表示させるための表示制御プログラムも記憶されている。さらに、外部I/F202を介して外部装置から受信したページ記述言語(以下PDLと略す)データを解釈し、ラスタイメージデータ(ビットマップ画像データ)に展開する動作を実行するプログラム等も記憶されている。同様に、外部I/F202を介して外部装置から受信した印刷ジョブを解釈して処理するためのプログラム等も記憶されている。これらは、ソフトウェアによって処理される。一方、RAM208は、スキャナ250や外部I/F202より送られてきた画像データや、各種プログラムや設定情報等を記憶する。
ROM207またはHDD209には、CPU212により実行される、後述するフローチャートの各種処理等を実行するために必要な各種の制御プログラムが記憶されている。そして、CPU212が、ROM207またはHDD209に記憶されているプログラムを読み出して、RAM208にプログラムを展開することにより、第1の実施形態に係る各種動作を実行する。
操作部204は、本実施形態において図4の上面図で示すように、キー入力部402及びタッチパネル部401を有する。キー入力部402は、ハードキーによるユーザの操作を受付可能である。一方、タッチパネル部401は、ソフトウェアキー(表示キー)によるユーザの操作を受付可能な表示ユニットであり、操作画面を表示する。操作部204は、コントローラ部205によって制御される。尚、図4に示すタッチパネル部401の表示部に表示される画面は、後述するコントローラ部205の制御の下に表示される操作画面を示している。この画面へのユーザによる操作、或いはデジタル印刷機102の各種状態に応じて、この表示部に表示される、或いは表示部で操作可能な項目が変化する。たとえば、ユーザはタッチパネル部401を操作すると、後述するUI機能プログラムによって、タッチパネル部401から操作された内容を識別し、識別内容に応じた処理を実行する。ここでは、キー入力部402とタッチパネル部401を有する操作部204について説明をしたが、これに限らない。操作部204はすべてタッチパネル部401で構成してもよい。
第1の実施形態に係る図1のコンピュータ(PC)101は、ネットワーク100を介してデジタル印刷機102と接続された汎用コンピュータである。ここにおいては各種アプリケーションプログラムが実行可能となっており、このデジタル印刷機102に印刷ジョブを送信可能としている。
コンピュータ101の構成を図3に示すハードウェアブロック図を用いて説明する。図3において、CPU301は、ROM303のプログラム用ROMに記憶された、或いはHDD311からRAM302にロードされたOSや一般アプリケーション、製本アプリケーション等のプログラムを実行する。ROM303はまたフォントROMやデータROMを有している。RAM302は、CPU301の主メモリ、ワークエリア等として機能する。キーボードコントローラ(KBC)305は、キーボード309やポインティングデバイス(不図示)からの入力を制御する。表示コントローラ306は、表示部310への表示を制御する。ディスクコントローラ(DKC)307は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル等を記憶するHDD311等とのアクセスを制御する。ネットワークコントローラ(NC)312は、ネットワーク100に接続されて、そのネットワーク100に接続された他の機器との通信制御処理を実行する。バス304は、CPU301とRAM302、ROM303及び、KBC305、表示コントローラ306、NC312等を接続して、データ信号や制御信号を搬送している。
デジタル印刷機によって実行されるプログラムについて説明する。
これらプログラムはHDD209に格納され、デジタル印刷機102のコントローラ部205のCPU212により読み出されて実行される。
JDF機能プログラムは、JDFジョブが外部I/F202経由でデジタル印刷機102に受信された場合に、コントローラ部205によってプリント機能を実行するプログラムである。なお、JDFとは、Job Definition Formatのことである。
PDL機能プログラムは、PDLで記述されたデータが外部I/F202経由でデジタル印刷機102によって受信された場合に、コントローラ部205によってプリント機能を実行するプログラムである。なお、PDLとは、Page Description Languageのことである。
UI機能プログラムは、操作部204の制御用プログラムである。UI機能プログラムは、デジタル印刷機102のユーザが操作部204から入力した内容を識別し、適切な画面遷移及びコントローラ部205に対する処理依頼指示を行う。なお、UIとは、User Interfaceのことである。
シート管理プログラムは、デジタル印刷機102が利用可能なシートに関連する管理機能を実行するためのプログラムである。このプログラムによって管理されるシート関連情報は、HDD209に格納される。シート管理プログラムによって管理されるシート関連情報として、本実施形態では、給紙段(シート収納部)ごとに収納するシートのサイズ、メディア種、及びシートの残量に関するデータとする。なお、シート管理情報としてはこれに限らず、たとえば、シートの名称やシートの坪量等に関するデータをさらに管理していてもよい。
ジョブホールド機能プログラムは、デジタル印刷機102のユーザが操作部204からジョブホールド機能の実行を指示した際に、コントローラ部205によって実行されるプログラムである。ジョブホールド機能は、デジタル印刷機102のHDD209に印刷対象のデータをユーザから印刷指示受付があるまで記憶しておく。その後、ユーザが印刷を実行するデータを選択し、印刷指示を受け付けたデータを印刷する。ジョブホールド機能では、このプログラムに記述された処理順序、処理条件に基づいてコントローラ部205によって適切な順序でこれら各デバイスの動作を順次指示することによりジョブホールドによる印刷処理が実行される。これらデバイスには、プリンタユニット203、シート処理装置200、HDD209、圧縮展開部210、RAM208等が含まれる。格納されたジョブに対して、格納時の設定を変更して実行することが可能である。
外部機器であるコンピュータ101からデジタル印刷機102のジョブホールド機能に対して、印刷ジョブを格納する際には、次のような手順に従って行われる。即ち、PDL機能プログラムもしくはJDF機能プログラム等がジョブの印刷処理をする代わりに、ジョブホールド機能による格納を指示する。これらPDL機能プログラムもしくはJDF機能プログラムによって、印刷指示をするか、ジョブホールド機能による格納処理をするかは、ジョブの投入先であるコンピュータ101において動作する印刷用アプリケーションの指定による。この指定は、PDL機能プログラムもしくはJDF機能プログラム等が処理する対象であるジョブの設定属性に反映され、PDL機能プログラムもしくはJDF機能プログラムがその設定属性に基づいて処理の切り替えを実施する。
ミスマッチ判定プログラムは、デジタル印刷機102のユーザが操作部204からミスマッチ判定の実行を指示した際、コントローラ部205が以下の判定を行う機能である。なお、ミスマッチ判定とは、印刷ジョブで使用するシートの属性情報(メディア)がいずれかの給紙段に登録されているか否か、及び、印刷ジョブで使用する予定のシートの残量があるか否かを判定することである。コントローラ部205が、シート管理プログラムによってデジタル印刷機102のHDD209に記憶された、デジタル印刷機102で利用可能なシートの属性情報を読み出す。そして、ジョブホールド機能プログラムによってホールドされたジョブで使用するシートの属性情報と比較することによって、印刷ジョブで使用するシートの属性情報がいずれかの給紙段に登録されているか否かを判定する。また、コントローラ部205が、給紙段に備えられたセンサによってシート残量を検知し、印刷ジョブで使用する予定のシートの残量があるか否かを判定する。このミスマッチ判定プログラムによって実行されたミスマッチ判定の結果はフラグによって保持され、RAM208に記憶される。
なお、印刷ジョブで使用するシートの属性情報には、シートのサイズ、シートの坪量、シートの表面性、シートの形状、及びシートの色の少なくとも一つを含む。
尚、機能プログラムの一部について詳細を前述したが、機能プログラムの全てを備える必要はなく、その一部或いは前述した以外の機能プログラムを備える構成であっても構わない。
第1の実施形態に係るデジタル印刷機102のジョブ、プリントキューデータ、及び、ホールドキューデータのデータ構造について図5を用いて説明する。
まず、ジョブのデータ構造について図5(A)を用いて説明する。デジタル印刷機102に投入されるジョブは、図5(A)に示すようなエントリ511の構造をしている。エントリ511は、デジタル印刷機102に投入されて処理されるジョブの数だけ存在する。エントリ511は、ジョブID511a、印刷属性511b、印刷データ511cなどから構成される。エントリ511内のジョブID511aはユニークなIDであり、デジタル印刷機102でジョブを識別し特定するために使われる。エントリ511内の印刷属性511bには、そのジョブで定義されている印刷属性が保存されている。印刷属性として、そのジョブを投入したユーザ名や、給紙するシートのサイズ、メディア種、及びページ数等が記述されている。また、エントリ内の印刷データ511cには、印刷用紙に描画されるイメージを記述したデータである印刷データが保存されている。
次に、プリントキューデータのデータ構造について図5(B)を用いて説明する。プリントキューにジョブが投入されると、プリントキューバッファ521にそのジョブが管理される。プリントキューにジョブが無い状態においてジョブが投入されると、そのジョブはプリントキューバッファ521のキュー1に登録される。次にジョブが投入されればキュー2に登録されるというようにスタックされる。キュー1にスタックされているジョブから、基本的に順に印刷処理される。印刷が完了すれば、そのジョブはプリントキューバッファ521から削除されるので、プリントキューバッファ521内のジョブは順番が繰り上がる。そして次にキュー1にスタックされたジョブが印刷処理される。なお、図5(B)では5つのキューしか示していないが、デジタル印刷機102のメモリ容量や印刷処理速度などを考慮して適切な数のキューを用意する。
各プリントキューに登録されるジョブの属性は、プリントキュージョブの属性テーブルにより管理される。図5(B)では、キュー1及びキュー5には、プリントキューバッファ521にスタックされた各々のジョブに対応する属性テーブル522、523が登録されている。実際はプリントキューバッファ521のキューの数だけ存在する。以下、プリントキュージョブの属性テーブル522について詳細を説明する。
属性テーブル522は、ジョブを識別するためのIDであるジョブID522a、ミスマッチ判定結果を識別するためのフラグ522b、及び、サスペンド処理対象か否かを識別するためのフラグ522cなどから構成される。
なお、メディアのミスマッチ判定についての詳細は図11を用いて後述する。この属性テーブル522には、ジョブの実態は存在しない。なお、本実施形態では、プリントキュージョブの属性テーブルには、ジョブの実態は存在しないものとして以降の説明を進めるが、コピー等によってジョブの実態が存在していても良い。このジョブID522aの値と同じ値を持つジョブID511aを複数あるエントリ511の中から検索する。そして、ジョブID522aの値と同じ値を持つジョブID511aから特定されるエントリ511の印刷属性511bと印刷データ511cを取得する。
続いて、ホールドキューデータのデータ構造について図5(C)を用いて説明する。なお、ホールドキューバッファ531に管理されている印刷データに対して、印刷の実行指示が与えられると、当該印刷データはプリントキューバッファ521に移行する。ホールドキューにジョブが投入されると、ホールドキューバッファ531にそのジョブがエントリされる。なお、ホールドキューバッファ531は、ジョブホールド機能プログラムによって管理される保存ジョブの格納領域である。外部装置から受信した保存対象となるジョブは、印刷設定と共に、このホールドキューバッファ531に格納される。ホールドキューバッファ531の構造はプリントキューバッファ521と同様であるため、詳細な説明は省略する。
各ホールドキューに登録されるジョブの属性は、ホールドキュージョブの属性テーブルにより管理される。図5(C)では、キュー1及びキュー5には、ホールドキューバッファ531にスタックされた各々のジョブに対応する属性テーブル532、533が登録されている。実際はホールドキューバッファ531のキューの数だけ存在する。以下、ホールドキュージョブの属性テーブル532について詳細を説明する。
属性テーブル532は、ジョブを識別するためのIDであるジョブID532a、及び、ミスマッチ判定結果を識別するためのフラグ532bなどから構成される。この属性テーブル532には、ジョブの実態は存在しない。なお、本実施形態では、ホールドキュージョブの属性テーブルには、ジョブの実態は存在しないものとして以降の説明を進めるが、コピー等によってジョブの実態が存在していても良い。このジョブID532aの値と同じ値を持つジョブID511aを複数あるエントリ511の中から検索する。そして、ジョブID532aの値と同じ値を持つジョブID511aから特定されるエントリ511の印刷属性511bと印刷データ511cを取得する。
次にジョブの投入からプリントキューバッファ521、又は、ホールドキューバッファ531にそのジョブがスタックされるまでについて説明する。この処理は、コントローラ部205のCPU212が、ROM207またはHDD209から読み出され、RAM208に展開されたジョブホールド機能プログラムを実行することにより達成される。
まず、ユーザはデジタル印刷機102で印刷処理などを行うためにジョブを投入する。そして、プリントキューバッファ521への格納を指定したジョブか、又は、ホールドキューバッファ531への格納を指定したジョブかに係るキューの指定値はジョブの属性として記録される。ユーザによって投入されたジョブを受信後、ユニークなIDが生成されて、そのジョブに割り当てられる。そして、1つのジョブにつき1つのエントリ511がジョブ内に作成される。生成されたジョブIDはエントリ511内のジョブID511aに、受信したジョブの印刷属性はエントリ511内の印刷属性511bに、受信した印刷データはエントリ511内の印刷データ511cにそれぞれ入力される。
次に、前述したキューの指定値を読み取り、もし、キューの指定値がプリントキューならばプリントキューバッファ521のキューにスタックされる。一方、もし、キューの指定値がホールドキューならばホールドキューバッファ531のキューにスタックされる。
プリントキューバッファ521のキューにスタックする際は、図5(B)に示す属性テーブル522を1つのジョブにつき1つ生成する。そして、ジョブIDは属性テーブル522のジョブID522aに登録される。
一方、ホールドキューバッファ531のキューにスタックする際は、図5(C)に示す属性テーブル532を1つのジョブにつき1つ生成する。そして、ジョブIDは属性テーブル532のジョブID532aに登録される。
ホールドキューバッファ531にスタックされるジョブ、即ち、ジョブホールド機能プログラムによってホールドされるジョブには、シート種指定のジョブと、給紙段指定のジョブがある。
シート種指定のジョブは、印刷ジョブで使用するシートの種別を指定し、印刷ジョブで指定したシート種が設定登録されている給紙段からシートを給紙して印刷処理を行う。そのため、シート種指定のジョブでは、シート種指定のジョブで使用するシートの属性情報と、給紙段に設定登録されているシートの属性情報とを比較することによって、図10のS1100で後述するミスマッチ判定を行うことができる。
一方、給紙段指定のジョブは、特定の給紙段を、印刷に使用するシートの給紙元として指定したジョブである。頻繁に使用するシートを、特定の給紙段に収納して給紙させたい場合に有効である。給紙段指定のジョブが実行されると、当該ジョブで指定された給紙段から印刷ジョブで使用するシートが給紙され、当該シートに印刷が行われる。したがって、給紙段指定のジョブでは、印刷処理を実行指示した際に、印刷ジョブで指定した給紙段に収納されるシートが所望のシートとは異なるシートに入れ替えられていた場合は、所望の印刷物が得られなくなることがある。
そこで第1の実施形態では、ジョブで使用するシートの種別を指定するシート種指定のジョブであるか、又は、ジョブで使用するシートを特定の給紙段から給紙するよう指定した給紙段指定のジョブであるかによって、ミスマッチ判定の処理の動作を制御する。即ち、シート種指定のジョブに対してミスマッチ判定を実施した場合、ジョブで使用するシートの属性情報がいずれかの給紙段に登録されているか、及びジョブで使用するシートの残量があるかを判定した結果を識別可能にユーザに通知する場合について説明する。一方、給紙段指定のジョブに対してミスマッチ判定を実施した場合は、当該ジョブは給紙段指定のジョブであることが分かるように、例えば識別可能なマークを操作部204に表示することによって、ユーザに通知する場合について以降説明する。
また、第1の実施形態では、ホールドキューバッファ531にスタックされたジョブに対してミスマッチ判定を行う場合について以降説明するが、プリントキューバッファ521にスタックされたジョブに対してメディアミスマッチ判定を行ってもよい。
ホールドキューバッファ531にスタックされたジョブについて、第1の実施形態におけるジョブ設定テーブルへのジョブ設定の登録に係る一連の処理の詳細について、図6に示したフローチャートを用いて説明する。この処理は、コントローラ部205のCPU212が、ROM207またはHDD209から読み出され、RAM208に展開されたJDF機能プログラムまたはPDL機能プログラムを実行することにより達成される。なお、この処理は、外部I/F202経由で受信されたジョブデータに含まれる印刷設定情報の解析処理を実行し、解析された印刷設定に基づいて印刷対象となるイメージデータの展開処理が行われた状態で、図6に示したフローチャートが開始される。また、ジョブ設定テーブルは、図8に示すようにジョブで使用されるシートのサイズ811、メディア種812、及び給紙段番号813といった属性情報を保持し、これらの属性情報はHDD209に保存される。
S601において、前述した印刷設定情報の解析処理によって印刷ジョブで使用されるシートに関する情報を取得し、S602に進む。
S602において、印刷ジョブで使用される全シートに対してジョブ設定テーブルへのジョブ設定の登録が完了したか否かを判定する。完了していないと判定された場合は、S603に進む。S603において、ジョブ設定の登録対象とするシートを1つ決定して、S604に進む。
S604において、S603で決定した当該シートを給紙する給紙段の決定法に関する情報を取得して、S605に進む。尚、給紙段の決定法に関する情報とは、当該ジョブで使用するシートを給紙する給紙段は、シート種の指定によって決定されるか、それとも、給紙段の指定によって決定されるかに係る情報のことである。なお、シート種指定のジョブでは、メディア管理部211に指示し、図9に示すシート管理テーブルを参照することによって、ジョブで使用するシートを給紙する給紙段が決定される。シート管理テーブルの詳細については後述する。
S605において、S603で決定した当該シートを給紙する給紙段の決定法に関する情報はシート種指定であるか、それとも、給紙段指定であるかを判定する。
S605での判定の結果、給紙段の決定法はシート種指定であると判定された場合は、S606に進む。
S606において、図8に示すジョブ設定テーブルに対して、S603で決定した当該シートのメディア種812を登録した後、S602に戻る。
一方、S605での判定の結果、給紙段の決定法は給紙段指定であると判定された場合は、S607に進む。
S607において、図8に示すジョブ設定テーブルに対して、S603で決定した当該シートで指定された給紙段番号813を登録した後、S602に戻る。
一方、S602での判定の結果、ジョブ設定テーブルへのジョブ設定の登録が完了したと判定された場合は、ホールドキューバッファ531にスタックされた印刷ジョブに対するジョブ設定テーブルへのジョブ設定の登録に係る一連の処理を終了する。
以上が、ホールドキューバッファ531にスタックされた印刷ジョブに対するジョブ設定テーブルへのジョブ設定の登録に係る一連の処理の詳細である。
続いて、本実施形態におけるミスマッチ判定処理の詳細について説明する。
ミスマッチ判定処理は、操作部204の表示部に図7(A)に示す画面が表示されている状態で開始される。
第1の実施形態に係るデジタル印刷機102において、操作部204に表示されるジョブホールド機能の操作画面の一例について図7(A)を用いて説明する。この画面には、複数の表示領域及び複数の操作ボタン等が含まれている。以下、第1の実施形態を説明する上で重要な点について説明する。ジョブホールド機能は、デジタル印刷機102のHDD209に印刷対象のデータをユーザから印刷指示があるまで記憶しておき、その後、ユーザから印刷指示を受け付けたデータに従って印刷を実行する機能である。なお、ジョブホールド機能で、デジタル印刷機102は、複数の印刷ジョブデータをHDD209に記憶することができる。このジョブホールド機能によって、ユーザは、HDD209に記憶した複数の印刷ジョブの中から印刷ジョブを選択して実行順序を指定できるので、HDD209に入力された順番と関係なく印刷を実行することができる。
ホールドジョブリスト702は、デジタル印刷機102において、前述したホールドキューバッファ531に保存されている印刷ジョブをリスト表示する領域である。図7(A)の例では、6つの印刷ジョブが表示されている。なお、デジタル印刷機102は、HDD209にホールドジョブリスト702に同時に表示可能な数より多くの印刷ジョブを格納可能である。例えば、7以上の印刷ジョブが格納されている場合、ユーザは、スクロールボタン708、709をタッチまたは押すことにより、格納している全ての印刷ジョブをホールドジョブリスト702に順次表示することができる。このホールドジョブリスト702に表示される印刷ジョブには、ジョブ名704、ユーザ名705、及びこの印刷ジョブがデジタル印刷機102に保存された日時を示す日付/時刻フィールド706がそれぞれ表示されている。
このジョブホールド画面を操作するユーザは、ユーザ名(オペレータ名)705を見ることによってユーザ自身のジョブを識別し、印刷対象とするジョブを選択する。
ここで、ホールドジョブリスト702に表示されている印刷ジョブの部分を、ユーザが指などで押下やタッチによりオブジェクトの選択をすることにより、その印刷ジョブが選択された状態、即ち印刷対象の印刷ジョブとして選択された状態となる。
図7(B)の例では、オペレータAが、操作部204に表示されるジョブホールド機能の操作画面を操作し、印刷ジョブを選択した直後の表示例を示している。ここではオペレータAが、JobA、JobD、JobEを順に選択し、3つのジョブが選択された状態になっている。ここで選択状態になっているジョブは、ジョブ名のフィールドの左の選択マーク(721、722、723)で示され、更に選択された順番を示す数値が付与されている。また、最後に選択されたジョブは反転表示(724)で示される。図7(B)の例では、JobEがホールドジョブリスト702において最後に選択されたジョブであることを示している。
プリントジョブリスト703は、デジタル印刷機102において、印刷処理が開始されている印刷ジョブ、または、印刷処理の開始を待機している印刷ジョブである。また、前述したプリントキューバッファ521に保存されている印刷ジョブをリスト表示する領域である。待ち時間713は、プリントキューバッファ521に保存されている印刷ジョブに対する印刷処理が開始されるまでのおおよその待ち時間を示している。
図7(B)の例では、印刷処理が開始されている印刷ジョブ(状況:printing)はJobXである。一方、印刷処理の開始を待機している印刷ジョブ(状況:waiting)はJobYである。なお、プリントキューバッファ521に既に印刷処理が開始されている印刷ジョブが存在する場合は、当該印刷ジョブの印刷処理が終了まで印刷処理待ちの状態となる。
詳細/変更ボタン710は、ホールドジョブリスト702で選択状態にある印刷ジョブの詳細を確認し、或いは印刷使用の変更を行う画面に遷移するためのボタンである。図7(B)の例では、JobEが最後に選択されている状態で詳細/変更ボタン710を押すと、JobEの詳細情報の確認が可能となる。
プリント開始ボタン711は、ホールドジョブリスト702で選択された印刷ジョブをプリントキューバッファ521に登録し、印刷処理の開始を指示するためのボタンである。ホールドジョブリスト702に表示されている印刷ジョブの中から任意の印刷ジョブが選択された状態でプリント開始ボタン711が押下されると、選択された印刷ジョブはプリントジョブリスト703に表示され、印刷処理が開始された状態となる。中止ボタン712は、プリント開始ボタン711によってプリントキューバッファ521に登録された印刷ジョブの実行を中止させるためのボタンである。
ミスマッチ判定ボタン707は、ホールドジョブリスト702で選択された印刷ジョブについてミスマッチ判定を実施するためのボタンである。なお、ミスマッチ判定ボタン707は、ホールドジョブリスト702で選択された印刷ジョブが1つもない場合には、グレイアウトして選択できないようにしてもよい。図7(B)の例では、選択された状態であるJobA、JobD、JobEのそれぞれについてミスマッチ判定を実施する。
JobA、JobD、JobEの各ジョブに対してジョブ設定テーブルに登録されたジョブ設定を図8に示す。前述したとおりジョブ設定テーブルは、ジョブで使用されるシートのサイズ811、メディア種812、及び給紙段番号813といった属性情報を保持している。なお、サイズ811とメディア種812の組み合わせによってシート種が決まる。JobAは給紙段指定のジョブであり、給紙段1から給紙するよう指定されたサイズがA4のシートと、給紙段8から給紙するよう指定されたサイズがA4のシートの計2種類のシートを使用することを示している。なお、給紙段指定のジョブでは、図8のJobAに示すようにメディア種812は「未設定」となる。一方、JobDはシート種指定のジョブであり、サイズがLTRでメディア種が「普通紙1」であるシートと、サイズが11×17でメディア種が「普通紙1」であるシートの計2種類のシートを使用することを示している。同様に、JobEはシート種指定であり、サイズがA4でメディア種が「普通紙1」であるシート、サイズがA4でメディア種が「色紙(赤)」であるシート、及び、サイズがA3でメディア種が「両面コート紙2」の3種類のシートを使用することを示している。なお、シート種指定のジョブでは、図8のJobD及びJobEに示すように給紙段番号813は「未設定」となる。
シート種指定の印刷ジョブでは、メディア管理部211に指示し、図9に示すようなシート管理テーブルを参照する。デジタル印刷機102において各給紙段に収納されているシートの情報を管理するシート管理テーブルの一例について図9を用いて説明する。このシート管理テーブルは、HDD209内に格納され、CPU212によって参照される。図9に示した例においては、デジタル印刷機102が備える10の給紙段の各々について、給紙段番号911をキーとし、サイズ912、メディア種913、残量914の情報がそれぞれ管理されている。なお、シートの残量は、各給紙段で備えるセンサによって検知される。
例えば901は、給紙段1に収納されているシートのサイズがA4で、メディア種は普通紙1、その残量は3であることを示している。尚、この残量914が示す数値は以下のような意味を持っている。3:フル(100%)、2:残量小(25%)、1:残量極めて小(5%未満)、0:残量なし(0%)となっている。尚、このシートの残量検知の精度は、残量センサの精度を上げる等すれば、もっと細かくできる。しかしながら、第1の実施形態に係るデジタル印刷機102では、上記のような仕様の残量検知を行う。例えば、フル(100%)とは、3000枚収納可能な給紙段に3000枚のシートが収納された状態である。残量小(25%)とは、3000枚収納可能な給紙段に750枚のシートが収納された状態である。残量極めて小(5%未満)とは、3000枚収納可能な給紙段に150枚未満のシートが収納された状態である。残量なし(0%)とは、3000枚収容可能な給紙段にシートが収納されていない状態、つまり、0枚を意味する。このように各給紙段が備えるセンサによって、各給紙段に収納されているシート残量を3段階で検知することができる。
例えば、A4色紙(赤)を使うシート種指定の印刷ジョブは、図9のシート管理テーブルを参照し、いずれかの給紙段にA4色紙(赤)が登録されているかどうかを判定する。そして、給紙段2に収納されているシートのサイズがA4で、メディア種は色紙(赤)であると判定された結果、その給紙段2が給紙先(即ち、当該ジョブで使用するシートを給紙する給紙段)として決定される。
一方、給紙段指定の印刷ジョブにおいて、例えば給紙段1を給紙先として指定した場合は、図9の例により給紙段1に収納されている「A4普通紙1」が給紙される。
ホールドキューバッファ531にスタックされたジョブに対して、第1の実施形態におけるミスマッチ判定に係る一連の処理の詳細について、図10に示したフローチャートを用いて説明する。この処理は、コントローラ部205のCPU212が、ROM207またはHDD209から読み出され、RAM208に展開されたUI機能プログラムを実行することにより達成される。なお、ホールドキューバッファ531にスタックされたジョブが存在し、操作部204にホールドジョブリスト702が表示され、図7(B)のようにジョブが既に選択されている状態で、図10に示したフローチャートの処理が開始される。
S1001において、操作部204に表示される図7(B)に示す画面上でユーザによる操作待ち状態に入る。ここで、ユーザにより何らかの操作が行われるまで、このS1001に留まる。ユーザが操作部204上で何かしらの操作を実施するとS1002に進む。
S1002において、その操作によりミスマッチ判定ボタン707が押下されたか否かを判定する。ミスマッチ判定ボタン707が押下されたと判定された場合は、S1100に進む。尚、印刷ジョブが選択された状態でない場合は、ミスマッチ判定ボタン707はグレイアウトされて押下できないようにしてもよい。また、選択された印刷ジョブのみに対してミスマッチ判定を行うならば、印刷ジョブが選択された状態でない場合は、たとえミスマッチ判定ボタン707が押下されたとしても、S1100には進まないようにしてもよい。一方、ミスマッチ判定ボタン707の押下によって、ホールドキューバッファ531にスタックされた全てのジョブに対して、ミスマッチ判定を行うようにしてもよい。
S1100において、ミスマッチ判定処理を実行する。尚、S1100におけるミスマッチ判定処理に係る詳細は図11を用いて後述する。
S1100でミスマッチ判定処理を実行した後、S1300に進む。S1300において、ミスマッチ判定結果を通知する処理を実行する。尚、S1300におけるミスマッチ判定結果の通知処理に係る詳細は図13を用いて後述する。S1300でミスマッチ判定結果の通知処理を実行した後、S1001に戻る。
一方、S1002での判定の結果、ミスマッチ判定ボタン707が押下されていないと判定された場合は、S1003に進む。
S1003において、ユーザによる操作によってプリント開始ボタン711が押下されたか否かを判定する。
プリント開始ボタン711が押下されたと判定された場合はS1004に進む。尚、ジョブが選択された状態でない場合は、プリント開始ボタン711はグレイアウトされて押下できない。
S1004において、図8(B)のホールドジョブリスト702から選択されて印刷処理を指示されたジョブをプリントキューバッファ521に登録する。このとき、プリントキューバッファ521に登録されたジョブは、図7(B)に示すプリントジョブリスト703に表示され、印刷処理待ちの状態となる。S1004でプリントキューバッファ521にジョブを登録した後、S1001に戻る。
一方、S1003でNOと判定された場合は、S1005に進む。S1005において、ユーザによる操作に従ったその他の処理を実行する。尚、S1005の処理としては、たとえば、ミスマッチ判定を一度実施されたジョブを選択し、図7の詳細/変更ボタン710を押下することで、選択状態にあるジョブの詳細を呼び出す画面への遷移等といった処理が考えられる。
第1の実施形態に係るミスマッチ判定処理である図10のS1100の詳細を説明するためのフローチャートを図11に示す。この処理は、コントローラ部205のCPU212が、ROM207またはHDD209から読み出され、RAM208に展開されたミスマッチ判定プログラムを実行することにより達成される。S1100における第1の実施形態に係るミスマッチ判定処理は、ミスマッチ判定ボタン707の押下に応じて実施される。また、ミスマッチ判定ボタン707を再度押下したことに応じてミスマッチ判定を再度実施し、判定結果が更新される。
第1の実施形態では、ホールドジョブリスト702に表示されている印刷ジョブのうち、ユーザによって選択された印刷ジョブを対象にして以降説明する処理を進める。尚、ここでは、ユーザによって選択された印刷ジョブを対象とするが、これに限らず、ホールドキューバッファ531にスタックされた全ての印刷ジョブを対象にして以降説明する処理を進めても構わない。
まずS1101において、ミスマッチ判定対象とする印刷ジョブの個数が1以上であるか否かを判定する。S1101での判定の結果、ミスマッチ判定対象とする印刷ジョブの個数が1以上ある場合は、S1102に進む。一方、S1101でNOと判定された場合は、ミスマッチ判定処理(S1100)を終了し、図10のS1300に進む。
そして、S1102において、ミスマッチ判定対象とする印刷ジョブのすべてに対しミスマッチ判定が完了したかどうかを判定する。ミスマッチ判定対象とする印刷ジョブのすべてに対しミスマッチ判定がまだ完了していないと判定された場合は、S1103に進む。
S1103において、ミスマッチ判定対象とする印刷ジョブを1つ決定して、S1104に進む。
S1104において、S1103でミスマッチ判定対象として決定した印刷ジョブに対して、給紙段指定に関するフラグ(FlagC)を設定して初期化処理を行う。なお、ここでFlagCとは、ミスマッチ判定対象とした印刷ジョブが給紙段指定のジョブであるか否かを判定した結果を保持するためのフラグであり、RAM208に格納される。なお、本実施形態では、S1103でミスマッチ判定対象として決定したジョブは、特定の給紙段からジョブで使用するシートを給紙するよう指定したジョブであることをユーザに通知するために、FlagCの値は記憶されて、読み出される。そして、読み出されたFlagCの値がfalseである場合はシート種指定のジョブであることを表し、一方、trueである場合は給紙段指定のジョブであることを表す。なお、FlagCの値をfalseとして初期化される。
そして、S1105に進み、S1103でミスマッチ判定対象として決定した印刷ジョブで使用する給紙段の決定法はシート種指定であるのか、それとも、給紙段指定であるのかに関する情報を取得して、S1106に進む。なお、印刷ジョブで使用する給紙段の決定法は、前述した印刷設定情報の解析処理の結果(ジョブ設定テーブル)を参照することによって取得することができる。
S1106での判定の結果、印刷ジョブはシート種指定のジョブであると判定された場合はS1200に進む。なお、S1200における処理の詳細については、図12を用いて後述する。S1200における処理が完了したら、S1102に戻る。
一方、印刷ジョブは給紙段指定のジョブであると判定された場合はS1107に進む。S1107において、FlagCの値を、ミスマッチ判定対象としてS1103で決定した印刷ジョブは給紙段指定のジョブであることを表す「true」として印刷ジョブと関連付けて保存した後、S1102に戻る。
一方、S1102での判定の結果、ミスマッチ判定対象とする印刷ジョブのすべてに対しミスマッチ判定が完了したと判定された場合は、ミスマッチ判定処理(S1100)を終了し、図10のS1300に進む。
以上が、図10のS1100におけるミスマッチ判定処理の詳細説明である。
ミスマッチ判定対象とする印刷ジョブがシート種指定のジョブである場合に行われるミスマッチ判定処理である図11のS1200を説明するためのフローチャートを図12に示す。この処理は、コントローラ部205のCPU212が、ROM207またはHDD209から読み出され、RAM208に展開されたミスマッチ判定プログラムを実行することにより達成される。
S1201において、このデジタル印刷機102が備える各給紙段に設定されているシートの種別、及び、シートの残量情報を取得する。このS1201の処理は、メディア管理部211に指示し、例えば前述した図9のシート管理テーブルを参照することによってなされる。S1202に進み、ミスマッチ判定対象とする印刷ジョブに関して、ホールドキューバッファ531に保存されている印刷ジョブを読み出す。そして、図8のジョブ設定テーブルによって、印刷ジョブで使用するシートの中で、シート種指定されているシート種の個数を取得する。
次にS1203に進み、S1202で取得したシート種の個数分だけ、ミスマッチ判定の結果を保持するための2種類のフラグ(FlagA、FlagB)を各々設定して初期化処理を行う。なお、ここでFlagAとは、印刷ジョブで使用するシートの属性情報がいずれかの給紙段に登録されているか否かを判定した結果を保持するためのフラグであり、RAM208に格納される。一方、FlagBとは印刷ジョブで使用する予定のシートの残量があるか否かを判定した結果を保持するためのフラグであり、RAM208に格納される。FlagAがtrueである場合はメディアのミスマッチ(シート種不一致)状態、即ち、いずれの給紙段にも設定されていないシート種を印刷ジョブが指定していることを示す。一方、FlagBがtrueである場合はメディアのミスマッチ(シート残量なし)状態、即ち、印刷ジョブで使用するシート種のシート残量がゼロになっていることを示す。なお、FlagAの値をtrue(ミスマッチ)、FlagBの値をtrue(残量なし)として、それぞれ初期化される。
次にS1204に進み、このミスマッチ判定処理が、ミスマッチ判定対象とする印刷ジョブで使用されるすべてのシート種に対して完了したか否かを判定する。すべてのシート種に対して完了していないと判定されたならばS1205に進む。S1205において、当該印刷ジョブにおいてミスマッチ判定の対象とするシート種を1つ決定して、S1206に進む。
S1206において、このデジタル印刷機102が備えるすべての給紙段に対してミスマッチ判定処理が完了したか否かを判定する。まだミスマッチ判定処理が行われていない給紙段が存在すると判定されたならばS1207に進む。S1207において、次のミスマッチ判定対象となる給紙段を決定してS1208に進む。
S1208において、ミスマッチ判定の対象とするS1205で決定されたシート種は、S1207で決定された給紙段に設定登録されているか否かを判定する。設定登録されていると判定されたならばS1209に進む。一方、S1208でNOと判定されたならば、S1206に戻って以降の処理を進める。
S1209において、FlagAの値を、給紙段に登録されているシート種を印刷ジョブが指定していることを表す「false(マッチ)」として、印刷ジョブと関連付けて保存する。S1210に進み、S1207で決定されたミスマッチ判定対象となる給紙段におけるシートの残量があるか否かを判定する。シートの残量があると判定されたならばS1211に進む。S1211において、FlagBの値を、印刷ジョブで使用するシート種のシート残量が有ることを表す「false(残量あり)」として印刷ジョブと関連付けて保存してS1206に戻って、以降の処理を進める。一方、S1210でNOと判定されたならば、S1206に戻って、以降の処理を進める。
尚、S1206での判定の結果、すべての給紙段に対してミスマッチ判定処理が完了した場合はS1204に戻って、以降の処理を進める。またS1204での判定の結果、ミスマッチ判定対象とする印刷ジョブで使用される全てのシート種に対してミスマッチ判定が完了したときは、シート種指定である場合に行うミスマッチ判定処理(S1200)を完了する。そして、図11のS1102に戻る。以上が、図11のS1200におけるシート種指定の場合のミスマッチ判定処理の詳細な説明である。
次に、ミスマッチ判定結果をホールドジョブリスト702に通知する処理である図10のS1300について、図13を用いて説明する。この処理は、コントローラ部205のCPU212が、ROM207またはHDD209から読み出され、RAM208に展開されたUI機能プログラムを実行することにより達成される。
S1301において、ミスマッチ判定を行った印刷ジョブはホールドジョブリスト702に表示されているか否かを判定する。ミスマッチ判定を行った印刷ジョブはホールドジョブリスト702に表示されていると判定された場合は、S1302に進む。
S1302において、給紙段指定に関するフラグ(FlagC)の値が「true」であるか否かを判定する。
FlagCの値が「true」であると判定された場合は、S1303に進む。S1303において、図14に示すように、ホールドジョブリスト702の当該印刷ジョブのエントリに、給紙段指定のジョブであることを示す給紙段指定マーク1403を当該印刷ジョブに対応づけて警告表示する。S1303の処理の後、ミスマッチ判定結果をホールドジョブリスト702に通知する一連の処理(S1300)を終了し、図10のS1001に戻る。
一方、S1302でNOと判定された場合は、S1304に進む。S1304において、ミスマッチ判定を行った印刷ジョブで使用するシートの属性情報がいずれかの給紙段に登録されているか否かを判定したシート種不一致判定の結果を保持する為のフラグFlagAの値をRAM208から読み出す。そして、FlagAの値が「false(マッチ)」であるか否かを判定する。
少なくとも1つのシート種でFlagAの値がtrue(ミスマッチ)と判定された場合は、メディアのミスマッチ(シート種不一致)状態、即ち、いずれの給紙段にも設定されていないシート種を印刷ジョブが指定している状態であることを示す。従って、その場合はS1305に進み、例えば図14に示すように、ホールドジョブリスト702の当該印刷ジョブのエントリに、メディアのミスマッチ状態であることを示す不一致警告マーク1401を当該印刷ジョブに対応づけて警告表示する。なお、不一致警告マーク1401は、印刷ジョブで使用するシート種(サイズ、及び、メディア種)のシートがいずれの給紙段にも設定されていないことを示している。S1305の処理の後、ミスマッチ判定結果をホールドジョブリスト702に通知する一連の処理(S1300)を終了し、図10のS1001に戻る。
一方、S1304でYESと判定された場合は、S1306に進む。S1306において、FlagBの値をRAM208から読み出し、FlagBの値が「false(残量あり)」であるか否かを判定する。なお、FlagBとは、ミスマッチ判定を行った印刷ジョブで使用する予定のシートの残量があるか否かを判定したシート残量判定の結果を保持するためのフラグである。
S1306での判定の結果、少なくとも1つのシート種でFlagBの値がtrue(残量なし)であると判定された場合は、メディアのミスマッチ(残量なし)状態、即ち、印刷ジョブで使用するシート種のシート残量がゼロになっている状態であることを示す。従って、その場合はS1307に進み、例えば図14に示すように、ホールドジョブリスト702の当該印刷ジョブのエントリに、メディアのミスマッチ状態であることを示す残量なし警告マーク1402を当該印刷ジョブに対応づけて警告表示する。なお、残量なし警告マーク1402とは、印刷ジョブが使用するシートは給紙段に設定されているが、その残量がゼロであることを示す。S1307の処理の後、ミスマッチ判定結果をホールドジョブリスト702に通知する一連の処理(S1300)を終了し、図10のS1001に戻る。
一方、S1306でYESと判定された場合は、印刷ジョブで使用するすべてのシート種でシート残量が有ることを意味する。そして、ミスマッチ判定結果をホールドジョブリスト702に通知する一連の処理(S1300)を終了し、図10のS1001に戻る。
続いて、第1の実施形態に係るデジタル印刷機102における、ミスマッチ判定結果をホールドジョブリスト702に通知後の操作画面の一例について図14を用いて説明する。一方、図7(B)は、オペレータAが操作部204に表示されるジョブホールド機能の操作画面を操作し、印刷ジョブを選択した直後の表示例を示している。尚、図14において、図7(B)と共通する部分は同じ記号で示している。図7(B)と同様に、図14ではオペレータAが、JobA、JobD、JobEを順に選択し、3つのジョブが選択された状態になっている。
図14において、ユーザが選択した3つのジョブ(JobA、JobD、JobE)の各々について、各印刷ジョブが使用予定であるシートとデジタル印刷機102の給紙段に設定されたシートとの整合をチェック(ミスマッチ判定)している。
ミスマッチ判定の結果、例えばJobAでは、図8に示す通り、給紙段指定のジョブであるため、給紙段指定マーク1403がJobAに対応づけられて表示されている。給紙段指定のジョブであることを確認したユーザは、プリント開始ボタン711を押してJobAの印刷開始を指示する前に、JobAで使用するシートを給紙する給紙段の決定法について、詳細/変更ボタン710を押してジョブ設定テーブルから確認する。そして、ユーザは、JobAで使用するシートを給紙する給紙段して指定された給紙段(例えば、給紙段1及び給紙段8)に所望のシートが現在収納されているかどうかを確認する。所望のシートが現在収納されていないことを認識したユーザは、適切な処置、即ち、給紙段指定のジョブで使用するシートを給紙する給紙段として指定された給紙段に収納するシートを、所望のシートに交換すればよい。
またJobDについては、その印刷ジョブが使用予定のシートは図8及び図9に示す通り、給紙段に設定登録されているが、シートの残量がゼロになっているものが存在する。具体的には「給紙段9」に設定登録されているサイズ「11×17」、メディア種が「普通紙1」のシートの残量が0である。従って、この状態でプリント開始ボタン711を押すと、サイズ「11×17」のシートを給紙しようとした段階でミスマッチ(シート残量なし)が発生して印刷処理が停止する。従って、JobDには、残量なし警告マーク1402が表示されている。残量なし警告マーク1402が表示されたことを認識したユーザは、適切な処置、即ち、給紙段9に、サイズ「11×17」、メディア種が「普通紙1」のシートの補給をすればよい。
またJobEの場合は、その印刷ジョブが使用予定のシートは図8及び図9に示す通り、いずれの給紙段にも設定登録されていないシートが存在する。具体的には、サイズA3、メディア種が「両面コート紙2」のシートがいずれの給紙段にも設定登録されていない。従って、JobEには、不一致警告マーク1401が表示されている。尚、図14の状態で、ユーザが詳細/変更ボタン710を押下すると、図8に示すように選択されているJobEが使用するシートサイズ及びメディア種(808、809、810)が表示される。ここで、いずれの給紙段にも設定登録されていないメディア情報(ここではA3、両面コート紙)を、例えば反転して表示することにより、ユーザに、いずれの給紙段にも設定登録されていないシートを提示することができる。従って、この状態でプリント開始ボタン711を押すと、そのシートを給紙しようとした段階でミスマッチ(シート種不一致)が発生して印刷ジョブが停止してしまうことを、ユーザは、印刷開始を指示する前に知ることができる。このマーク1401が表示されたことを確認したユーザは、適切な処置、即ち、別の給紙段(印刷ジョブで使用されることが決定していない給紙段が望ましい。)を特定し、その給紙段のシートの設定登録をサイズA3、メディア種が「両面コート紙2」に変更する。更に、ユーザは、その給紙段に、対応するシートを補給する。元々入っているシートがあれば、ユーザは、そのシートを、対応するシートに交換すればよい。
本実施形態では、図14に示すように不一致警告マーク1401、残量なし警告マーク1402、及び、給紙段指定マーク1403の形を変えている。これによって、ユーザは、ジョブのシートがいずれの給紙段にも設定されていないのか、ジョブのシートがいずれかの給紙段に設定されてはいるが残量がゼロであるのか、それとも給紙段指定のジョブであるのかを区別して認識することができる。このように、ミスマッチ判定を行うと、ミスマッチが発生する可能性のある印刷ジョブに対応付けて、それぞれマーク1401、1402、1403を警告表示する。これにより、ユーザに印刷ジョブの停止を回避させることや、給紙段指定のジョブで所望の印刷物が得られないことを回避することが可能となる。
また図14の状態で、ユーザがJobDを選択して詳細/変更ボタン710を押下すると、JobDが使用するシートサイズ及びメディア種(806、807)が表示される。ここにおいて、残量がゼロであるシート情報を点滅させる。また、そのシートが設定登録されている給紙段の表示を点滅させる。これによりユーザは、JobDが使用するシートサイズ及びメディア種で残量がゼロのシート情報と、その給紙段を把握できる。このように、シートサイズ及びメディア種を表示する場合にも、シートがいずれの給紙段にも設定登録されていないときのシート情報の表示の仕方と、シートの残量がゼロのシート情報の表示の仕方とを変える。それによって、ユーザは、表示されたサイズ及び種類のシートが、いずれの給紙段にも設定登録されていないのか、シートの残量がゼロなのかを区別して知ることができる。なお、ここでは、いずれの給紙段にも設定登録されていないメディア情報を反転させて表示し、残量がゼロであるシート情報を点滅させて表示させた。これに限らず、それぞれのシート情報に不一致警告マーク1401と残量なし警告マーク1402を対応付けて警告表示させてもよい。
以上説明したように第1の実施形態では、印刷ジョブで使用するシートを給紙する特定の給紙段が指定されているジョブであるか否かに従って、ミスマッチ判定の処理動作を制御した。シート種指定のジョブに対してミスマッチ判定を実施した際は、ミスマッチ判定の結果(不一致警告マーク1401、または、残量なし警告マーク1402)をユーザに通知した。一方、給紙段指定のジョブに対してミスマッチ判定を実施した際は、給紙段指定のジョブであること(給紙段指定マーク1403)をユーザに通知した。このように、ジョブの実行指示を受け付ける前にミスマッチ判定の結果をユーザは確認することによって、印刷処理を実行指示する前に通知内容に応じて適切な処置を行い、印刷ジョブの停止を回避させることができる。また、所望の印刷物が得られないことを回避することができる。
なお、第1の実施形態では、ミスマッチ判定を実施したことに応じて、給紙段指定のジョブに対応づけて給紙段指定マーク1403をホールドジョブリスト702に表示させる場合について説明したが、このような場合に限らない。ミスマッチ判定の実施の有無にかかわらず、ホールドキューバッファ531にスタックされた印刷ジョブがホールドジョブリスト702に表示されたことに応じて、給紙段指定のジョブに対応づけて給紙段指定マーク1403を表示させてもよい。
また、第1の実施形態では、ミスマッチ判定を行ったジョブに対応づけて、マーク(1401、1402、1403)を操作部204に表示させることによって、ミスマッチ判定の結果をユーザに通知する場合について説明したが、このような場合に限らない。ミスマッチ判定を行ったジョブはミスマッチが起きているジョブであること、もしくは、給紙段指定のジョブであることを、ユーザが当該ジョブの実行指示をする前に確認できればよく、その他の識別可能なマーク、または音や光によってユーザに通知してもよい。
[第2の実施形態]
前述した第1の実施形態では、シート種指定のジョブに対してミスマッチ判定を実施した際は、ミスマッチ判定(不一致判定及び残量判定)の結果をユーザに通知した。一方、給紙段指定のジョブに対してミスマッチ判定を実施した際は、給紙段指定のジョブであることをユーザに通知する場合について説明した。
そして、給紙段指定のジョブであることをユーザに通知した後、印刷処理を実行指示する前に、給紙段指定のジョブで使用するシートの給紙する給紙段として指定された給紙段に所望のシートが収納されているかについてユーザに確認させる場合について説明した。
一方、第2の実施形態では、給紙段指定のジョブに対してミスマッチ判定を実施した際に、給紙段指定のジョブであることを通知することに加え、指定された給紙段に所望のシートが収納されているかを判定し、判定結果を通知する場合について説明する。
第2の実施形態である印刷システムの構成は、第1の実施形態と同様に、デジタル印刷機102とコンピュータ101とが、ネットワーク100を介して接続されている。また、第2の実施形態に係るデジタル印刷機102の機能構成を示す機能ブロック図、及び、第2の実施形態に係るコンピュータ(PC)101の構成を示すハードウェアブロック図は第1の実施形態と同様であるため、それらの説明を省略する。
第2の実施形態に係るデジタル印刷機102による処理を説明するための一連のフローチャートは第1の実施形態で説明した図6、図10〜図13と同様であるため詳細は省略し、第2の実施形態において第1の実施形態と差分となる処理を中心に以降説明する。
第2の実施形態において、ホールドキューバッファに登録された印刷ジョブのジョブ設定の登録に係る処理のうち、第1の実施形態と差分となる処理を説明するためのフローチャートを図15に示す。なお、この処理は第1の実施形態において、図6で説明した処理に該当する。図15のフローにおいて、図6のフローとの差分を中心に説明し、図6のフローと同じ処理を行う部分の説明は省略する。
第2の実施形態では、S607において、S603で決定した当該シートで指定された給紙段番号をジョブ設定テーブルに登録した後、S602に戻るのではなく、図15のS1501に進む。
S1501において、S603で決定した当該シートで指定された給紙段に設定登録されているシート種に関する情報を取得する。具体的には、メディア管理部211に指示し、図9に示すシート管理テーブルを参照し、指定された給紙段に設定登録されているシート種に関する情報を取得する。例えば、給紙段指定のジョブにおいて、印刷ジョブで使用するシートを給紙する給紙段として給紙段1が指定されている場合は、図9に示すシート管理テーブルを参照し、「A4普通紙1」が取得される。
続いてS1502に進み、S1501で取得されたシート種に関する情報を図16に示すようにジョブ設定テーブルに登録する。
例えば、給紙段指定のジョブであるJobAは、印刷ジョブで使用するシートを給紙する給紙段として給紙段1及び給紙段8を指定している。そのため、S1501では、図9に示すシート管理テーブルを参照し、給紙段1に設定登録されている「普通紙1」、及び、給紙段8に設定登録されている「両面コート紙1」が取得される。そして、S1502では、図16に示すようにメディア種812に関する情報(1601、1602)に「普通紙1」、及び、「両面コート紙1」がジョブ設定テーブルに登録される。
S1502の処理の後、図6のS602に戻って、以降の処理を進める。
以上が、ホールドキューバッファに登録された印刷ジョブのジョブ設定の登録に係る処理のうち、第1の実施形態と差分となる処理の詳細である。
続いて、第2の実施形態において、図10で示したミスマッチ判定処理(S1100)のうち、第1の実施形態と差分となる処理を説明するためのフローチャートを図18に示す。なお、この処理は第1の実施形態において、図11で説明した処理に該当する。図18のフローにおいて、図11のフローとの差分を中心に説明し、図11のフローと同じ処理を行う部分の説明は省略する。
第2の実施形態では、S1107において、給紙段指定に関するフラグ(FlagC)の値を給紙段指定のジョブであることを表す「true」として印刷ジョブと関連付けて保存した後、S1102に戻るのではなく、図18のS1801に進む。
S1801において、給紙段指定のジョブで使用されるシートのサイズ811、メディア種812、及び給紙段番号813といった属性情報について、図16で示すようなジョブ設定テーブルから読み出す。そして、印刷ジョブで使用するシート数、及び、シート種(メディア種812)に関する情報を取得する。
そして、S1802に進み、S1801で取得したシート数分だけ、後述する比較判定の結果を保持するためのフラグ(FlagD)を設定して初期化処理を行う。なお、FlagDとは、ホールドキューバッファ531への登録時と、ミスマッチ判定の実施時で、給紙段指定のジョブで指定された給紙段に設定登録されているシート種を比較し、それらが一致するか否かを判定した結果を保持するためのフラグである。FlagDの値は、RAM208に格納され、FlagDの値が「true」である場合は不一致状態であることを意味する。即ち、ホールドキューバッファ531への登録時と、ミスマッチ判定の実施時で、給紙段指定のジョブで指定された給紙段に設定登録されているシート種が異なっていることを示す。なお、FlagDの値はtrue(ミスマッチ)として初期化される。
続いてS1803に進み、比較判定の対象とするS1801で取得されたすべてのシートに対して比較判定処理が完了したか否かを判定する。すべてのシートに対して完了していないと判定されたならばS1804に進む。
S1804において、給紙段指定のジョブで使用されるシートにおいて、比較判定の対象とするシートを1つ決定して、S1805に進む。
S1805において、S1804で決定されたシートを給紙するよう指定された給紙段に現在設定登録されているシート種に関する情報を取得して、S1806に進む。具体的には、メディア管理部211に指示し、図12(図17)に示すシート管理テーブルを参照することによって取得する。
S1806において、S1801で取得したシート種(メディア種812)と、S1805で取得したシート種とを比較し、それらのシート種が一致するか否かを判定する。
例えば、給紙段1に現在設定登録されているシートのメディア種913が、図12に示すように「普通紙1」から、図17に示すように「エンボス紙」に変更されている場合がある。即ち、ホールドキューバッファ531への登録時と、ミスマッチ判定の実施時とで、給紙段1に収納されているシートが入れ替えられている。このような場合、S1801で取得したシート種(メディア種812)である「普通紙1」と、S1805で取得したシート種である「エンボス紙」とを比較し、一致しないと判定される。
S1806での判定の結果、一致すると判定された場合は、S1807に進む。S1807において、FlagDの値を、比較判定の結果が一致することを表す「false(マッチ)」として印刷ジョブと関連付けて保存し、S1803に戻って以降の処理を進める。一方、S1806でNOと判定された場合は、S1803に戻って以降の処理を進める。
尚、S1803での判定の結果、比較判定の対象とするS1801で取得されたすべてのシートに対して比較判定処理が完了したと判定された場合は、図11のS1102に戻って以降の処理を進める。
以上が、図10で示したミスマッチ判定処理(S1100)のうち、第1の実施形態とは差分となる処理の詳細である。尚、前述したS1806で、ホールドキューバッファ531への登録時とミスマッチ判定の実施時とで、給紙段に設定登録されているシート種が一致するか否か(即ち、シート種が変更されたこと)を判定する場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、ミスマッチ判定対象のジョブの給紙先として指定された給紙段について、ミスマッチ判定の実施前に当該給紙段のシートの属性情報を変更するための不図示の画面に一度遷移した場合について考える。このような場合は、当該給紙段のシートの属性情報が実際に変更されたか否かの要件にかかわらず、当該給紙段のシートの属性情報(シート種)が更新されたとみなして(即ち、S1806でNOと判定)、S1806からS1803に戻ってもよい。
続いて、第2の実施形態において、図10で示したミスマッチ判定結果の通知処理(S1300)のうち、第1の実施形態と差分となる処理を説明するためのフローチャートを図19に示す。なお、この処理は第1の実施形態において、図13で説明した処理に該当する。図19のフローにおいて、図13のフローとの差分を中心に説明し、図13のフローと同じ処理を行う部分の説明は省略する。
第2の実施形態では、S1303において、給紙段指定のジョブであることを示す給紙段指定マーク1403を給紙段指定の印刷ジョブに対応づけて警告表示した後、S1901に進む。
S1901において、ミスマッチ判定を行った給紙段指定のジョブで使用されるすべてのシートについて、前述した比較判定用のフラグFlagDの値をRAM208から読み出す。そして、FlagDの値が「false(マッチ)」であるか否かを判定する。
少なくとも1つのシートでFlagDの値がtrueであると判定された場合は、メディアのミスマッチ(シート種不一致)状態である。即ち、ホールドキューバッファ531への登録時と、ミスマッチ判定の実施時で、給紙段指定のジョブで指定された給紙段に設定登録されているシート種が異なっている状態である。従って、その場合はS1902に進み、例えば図20に示すように、ホールドジョブリスト702の給紙段指定の印刷ジョブのエントリに、給紙段指定マーク1403に加えて、不一致警告マーク1401を当該印刷ジョブに対応づけて警告表示する。S1902の処理の後、ミスマッチ判定結果の通知処理(S1300)を終了して、図10のS1001に戻る。
一方、S1901でYESと判定された場合は、ミスマッチ判定結果の通知処理(S1300)を終了して、図10のS1001に戻る。
以上が、図19で示したミスマッチ判定結果の通知処理(S1300)のうち、第1の実施形態とは差分となる処理の詳細である。
以上説明したように第2の実施形態では、シート種指定のジョブに対してミスマッチ判定を実施した際は、ミスマッチ判定の結果をユーザに通知した。一方、給紙段指定のジョブに対してミスマッチ判定を実施した際は、給紙段指定のジョブであることをユーザに通知することに加えて、指定された給紙段に所望のシートが収納されているかを判定し、判定結果をユーザに通知した。このようにミスマッチ判定の結果をユーザは確認することによって、ジョブの実行指示をする前に通知内容に応じて適切な処置を行い、印刷ジョブの停止を回避させることや、所望の印刷物が得られないことを回避することができる。
なお、第2の実施形態では、給紙段指定マーク1403に加えて、不一致警告マーク1401を給紙段指定のジョブに対応づけて警告表示させる場合について説明したが、このような場合に限らない。「給紙段指定のジョブであること」と、「ホールドキューバッファ531への登録時とミスマッチ判定の実施時で指定された給紙段に設定登録されているシート種が異なること」の両方の状態を表す1つの融合マークによって警告表示させてもよい。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
例えば、本実施形態では、デジタル印刷機102のコントローラ部205のCPUが上記各種制御の主体となっていたが、デジタル印刷機102と別筐体の外付けコントローラ等の印刷制御装置によって、上記各種制御の一部又は全部を実行可能に構成しても良い。
以上、本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。
(その他の実施形態)
本実施形態におけるフローチャートに示す機能は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウェア(プログラム)をコンピュータパソコン等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。また、複数のCPUで分散処理をすることでも実現できる。