本発明に係る電圧変換装置の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一の符号を付してある。
最初に、図1を参照して、電圧変換装置の全体構成を説明する。図1において、電圧変換装置100は、直流電源Bと負荷20との間に設けられる。電圧変換装置100には、電圧変換部10、制御部11、およびゲートドライバ12が備わっている。この電圧変換装置100は、たとえば車両に搭載され、直流電源(バッテリ)Bの電圧を昇圧して負荷20に供給するDC−DCコンバータとして利用される。負荷20には、ヘッドライト、空調装置、オーディオ装置、カーナビゲーション装置などの車載機器や、電動ステアリング装置、パワーウィンドウ装置など各種の負荷が含まれる。
電圧変換部10は、第1電圧変換回路1、第2電圧変換回路2、スイッチS1、およびスイッチS2を有している。第1電圧変換回路1と第2電圧変換回路2とは、直流電源Bと負荷20との間に並列に接続されており、それぞれ直流電源Bの電圧を所定レベルの電圧に変換する。各電圧変換回路1、2の具体的構成については、後で詳細に説明する。スイッチS1は、直流電源Bの正極と第1電圧変換回路1との間に設けられている。スイッチS2は、直流電源Bの正極と第2電圧変換回路2との間に設けられている。直流電源Bの負極は、グランドに接地されている。
制御部11は、CPUやメモリなどから構成されている。制御部11は、ゲートドライバ12の動作を制御するための制御信号を、ゲートドライバ12へ与えるとともに、スイッチS1、S2の動作を制御するための制御信号を、スイッチS1、S2にそれぞれ与える。制御部11には、車両に搭載されているECU(電子制御装置)などから外部信号が入力され、制御部11は、この外部信号に基づいて、所定の制御動作を行う。
ゲートドライバ12は、制御部11からの制御信号により動作し、第1電圧変換回路1および第2電圧変換回路2に備わる複数のスイッチング素子(後述)をオン・オフさせるためのゲート信号を出力する。このゲート信号は、たとえば、所定のデューティを持ったPWM(Pulse Width Modulation)信号であり、各スイッチング素子のゲートへ与えられる。
図2は、第1実施形態に係る電圧変換装置100Aの具体的な回路構成を示している。第1電圧変換回路1aは、4つのスイッチング素子Q1〜Q4を備えたフルブリッジ型コンバータから構成されており、第2電圧変換回路2aも、4つのスイッチング素子Q5〜Q8を備えたフルブリッジ型コンバータから構成されている。
最初に、第1電圧変換回路1aについて説明する。第1電圧変換回路1aは、入力側と出力側を絶縁するトランスTR1を有している。トランスTR1の一次側には、フルブリッジ回路を構成するスイッチング素子Q1〜Q4と、コンデンサC1と、インダクタL1とが設けられている。トランスTR1の二次側には、整流用のダイオードD1、D2と、平滑用のインダクタL2およびコンデンサC2とが設けられている。トランスTR1の一次側は、直流電源Bの直流電圧をスイッチングして交流電圧に変換する回路であり、トランスTR1の二次側は、交流電圧を整流および平滑して直流電圧に変換する回路である。
スイッチング素子Q1〜Q4は、MOS型のFETからなり、ドレイン・ソース間の電路に対して並列接続された寄生ダイオードを有している。スイッチング素子Q1、Q3のドレインは、スイッチS1を介して直流電源Bの正極に接続されている。スイッチング素子Q1、Q3のソースは、それぞれスイッチング素子Q2、Q4のドレインに接続されている。スイッチング素子Q2、Q4のソースは、グランドに接地されている。スイッチング素子Q1〜Q4の各ゲートは、ゲートドライバ12に接続されている。
コンデンサC1の一端は、スイッチング素子Q1、Q2の接続点に接続されている。コンデンサC1の他端は、インダクタL1の一端に接続されている。インダクタL1の他端は、一次巻線W1の一端に接続されている。一次巻線W1の他端は、スイッチング素子Q3、Q4の接続点に接続されている。コンデンサC1とインダクタL1は、直列共振回路を構成している。
トランスTR1の二次巻線は、巻線W2aと巻線W2bとからなり、これらの接続点(中間タップ)はグランドに接地されている。巻線W2aにはダイオードD1のアノードが接続されており、巻線W2bにはダイオードD2のアノードがが接続されている。ダイオードD1のカソードは、ダイオードD2のカソードと共に、インダクタL2の一端に接続されている。インダクタL2の他端は、コンデンサC2の一端に接続されている。コンデンサC2の一端は、負荷20に接続される。コンデンサC2の他端は、グランドに接地されている。
次に、第2電圧変換回路2aについて説明する。第2電圧変換回路2aは、入力側と出力側を絶縁するトランスTR2を有している。トランスTR2の一次側には、フルブリッジ回路を構成するスイッチング素子Q5〜Q8と、コンデンサC3と、インダクタL3とが設けられている。トランスTR2の二次側には、整流用のダイオードD3、D4と、平滑用のインダクタL4およびコンデンサC4とが設けられている。トランスTR2の一次側は、直流電源Bの直流電圧をスイッチングして交流電圧に変換する回路であり、トランスTR2の二次側は、交流電圧を整流および平滑して直流電圧に変換する回路である。
スイッチング素子Q5〜Q8は、MOS型のFETからなり、ドレイン・ソース間の電路に対して並列接続された寄生ダイオードを有している。スイッチング素子Q5、Q7のドレインは、スイッチS2を介して直流電源Bの正極に接続されている。スイッチング素子Q5、Q7のソースは、それぞれスイッチング素子Q6、Q8のドレインに接続されている。スイッチング素子Q6、Q8のソースは、グランドに接地されている。スイッチング素子Q5〜Q8の各ゲートは、ゲートドライバ12に接続されている。
コンデンサC3の一端は、スイッチング素子Q5、Q6の接続点に接続されている。コンデンサC3の他端は、インダクタL3の一端に接続されている。インダクタL3の他端は、一次巻線W3の一端に接続されている。一次巻線W3の他端は、スイッチング素子Q7、Q8の接続点に接続されている。コンデンサC3とインダクタL3は、直列共振回路を構成している。
トランスTR2の二次巻線は、巻線W4aと巻線W4bとからなり、これらの接続点(中間タップ)はグランドに接地されている。巻線W4aにはダイオードD3のアノードが接続されており、巻線W4bにはダイオードD4のアノードがが接続されている。ダイオードD3のカソードは、ダイオードD4のカソードと共に、インダクタL4の一端に接続されている。インダクタL4の他端は、コンデンサC4の一端に接続されている。コンデンサC4の一端は、負荷20に接続される。コンデンサC4の他端は、グランドに接地されている。
ゲートドライバ12は、第1電圧変換回路1aのスイッチング素子Q1〜Q4の各ゲートへ、それぞれQ1〜Q4ゲート信号を出力し、また、第2電圧変換回路2aのスイッチング素子Q5〜Q8の各ゲートへ、それぞれQ5〜Q8ゲート信号を出力する。これらのゲート信号がH(High レベル)の区間で、各スイッチング素子Q1〜Q8はオン状態となり、ゲート信号がL(Low レベル)の区間で、各スイッチング素子Q1〜Q8はオフ状態となる。
スイッチS1、S2は、たとえばリレーから構成されている。スイッチS1の動作は、制御部11から出力されるS1オン/オフ信号によって制御され、S1オン信号の場合はスイッチS1はオンし、S1オフ信号の場合はスイッチS1はオフする。同様に、スイッチS2の動作は、制御部11から出力されるS2オン/オフ信号によって制御され、S2オン信号の場合はスイッチS2はオンし、S2オフ信号の場合はスイッチS2はオフする。
次に、上述した第1実施形態の電圧変換装置100Aの動作について、図3〜図8を参照しながら説明する。第1実施形態では、第1電圧変換回路1aと第2電圧変換回路2aの各フルブリッジ回路を、負荷20の容量に応じてハーフブリッジ回路としても動作させる。以下では、フルブリッジ回路がハーフブリッジ回路として動作することを「ハーフブリッジ動作」、フルブリッジ回路として動作することを「フルブリッジ動作」という。
図3は、第1電圧変換回路1aをハーフブリッジ動作させる場合の回路状態を示している。この場合、スイッチング素子Q1を常時オンの状態とし、スイッチング素子Q2を常時オフの状態として、スイッチング素子Q3、Q4をオン・オフさせることで、4つのスイッチング素子Q1〜Q4で構成されるフルブリッジ回路は、ハーフブリッジ回路として動作する。第2電圧変換回路2aの、4つのスイッチング素子Q5〜Q8で構成されるフルブリッジ回路についても同様である。
図3(a)のように、スイッチング素子Q3がオフで、スイッチング素子Q4がオンのときは、トランスTR1の一次側において、直流電源B→スイッチS1→スイッチング素子Q1→コンデンサC1→インダクタL1→一次巻線W1→スイッチング素子Q4の経路で電流が流れる。この電流により、トランスTR1の二次側において、二次巻線W2aから、ダイオードD1およびインダクタL2を介して、コンデンサC2に電流が流れ、コンデンサC2が充電される。コンデンサC2の両端電圧は、第1電圧変換回路1aの出力電圧であり、負荷20に供給される。
また、図3(b)のように、スイッチング素子Q3がオンで、スイッチング素子Q4がオフのときは、トランスTR1の一次側において、コンデンサC1→スイッチング素子Q1→スイッチング素子Q3→一次巻線W1→インダクタL1の経路で、コンデンサC1の放電電流が流れる。この電流により、トランスTR1の二次側において、二次巻線W2bから、ダイオードD2およびインダクタL2を介して、コンデンサC2に電流が流れ、コンデンサC2が充電される。コンデンサC2の両端電圧は、第1電圧変換回路1aの出力電圧であり、負荷20に供給される。
図4〜図8は、負荷20の容量が、負荷ランク1から負荷ランク5まで、5段階に変化する場合の、第1および第2電圧変換回路1a、2aの状態を示している。負荷ランク1は、負荷20の容量が最も小さい場合で、負荷ランク5は、負荷20の容量が最も大きい場合である。
図4は、負荷ランク1(小負荷)の場合の回路状態を示している。この場合、制御部11は、ECU等から入力される外部信号に基づいて、負荷20が小負荷であることを判別し、S1オン信号とS2オフ信号とを出力する。これにより、スイッチS1がオン、スイッチS2がオフとなり、第1電圧変換回路1aが直流電源Bに接続され、第2電圧変換回路2aは直流電源Bから切り離される。そして、ゲートドライバ12は、制御部11からの制御信号に基づいて、第1電圧変換回路1aのスイッチング素子Q1〜Q4の各ゲートに、それぞれQ1〜Q4ゲート信号を出力する。
ここで、Q1ゲート信号はHに固定され、Q2ゲート信号はLに固定されているため、スイッチング素子Q1は常時オン状態となり、スイッチング素子Q2は常時オフ状態となる。一方、Q3ゲート信号およびQ4ゲート信号は、所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q3、Q4はオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第1電圧変換回路1aのフルブリッジ回路は、図3で示したように、ハーフブリッジ回路として動作する。
このように、負荷ランク1(小負荷)の場合は、第1電圧変換回路1aのみがハーフブリッジ動作を行い、第2電圧変換回路2aは停止状態となる。したがって、電圧変換装置100Aの出力電力は、第1電圧変換回路1aから出力される小負荷に見合った電力となる。制御部11は、スイッチング素子Q3、Q4を駆動するゲート信号のデューティを調整することで、電圧変換装置100Aの出力電力を制御する。
図5は、負荷ランク2(準中負荷)の場合の回路状態を示している。この場合、制御部11は、ECU等から入力される外部信号に基づいて、負荷20が準中負荷であることを判別し、S1オン信号とS2オン信号とを出力する。これにより、スイッチS1、S2が共にオンとなり、第1電圧変換回路1aと第2電圧変換回路2aの双方が直流電源Bに接続される。そして、ゲートドライバ12は、制御部11からの制御信号に基づいて、第1および第2電圧変換回路1a、2aのスイッチング素子Q1〜Q8の各ゲートに、それぞれQ1〜Q8ゲート信号を出力する。
ここで、Q1ゲート信号とQ5ゲート信号はHに固定され、Q2ゲート信号とQ6ゲート信号はLに固定されているため、スイッチング素子Q1、Q5は常時オン状態となり、スイッチング素子Q2、Q6は常時オフ状態となる。一方、Q3ゲート信号、Q4ゲート信号、Q7ゲート信号、およびQ8ゲート信号は、所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q3、Q4、Q7、Q8はオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第1電圧変換回路1aのフルブリッジ回路と、第2電圧変換回路2aのフルブリッジ回路とは、共にハーフブリッジ回路として動作する。
このように、負荷ランク2(準中負荷)の場合は、第1電圧変換回路1aと第2電圧変換回路2aの双方がハーフブリッジ動作を行う。したがって、電圧変換装置100Aの出力電力は、第1電圧変換回路1aと第2電圧変換回路2aの各出力電力が合算された、準中負荷に見合った電力となる。制御部11は、スイッチング素子Q3、Q4、Q7、Q8を駆動するゲート信号のデューティを調整することで、電圧変換装置100Aの出力電力を制御する。
図6は、負荷ランク3(中負荷)の場合の回路状態を示している。この場合、制御部11は、ECU等から入力される外部信号に基づいて、負荷20が中負荷であることを判別し、S1オン信号とS2オフ信号とを出力する。これにより、スイッチS1がオン、スイッチS2がオフとなり、第1電圧変換回路1aが直流電源Bに接続され、第2電圧変換回路2aは直流電源Bから切り離される。そして、ゲートドライバ12は、制御部11からの制御信号に基づいて、第1電圧変換回路1aのスイッチング素子Q1〜Q4の各ゲートに、それぞれQ1〜Q4ゲート信号を出力する。
ここで、Q1〜Q4ゲート信号は、いずれも所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q1〜Q4はオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第1電圧変換回路1aはフルブリッジ動作を行う。
フルブリッジ回路の動作は、概略以下のとおりである。スイッチング素子Q1、Q4がオン、スイッチング素子Q2、Q3がオフの期間では、トランスTR1の一次側において、直流電源B→スイッチS1→スイッチング素子Q1→コンデンサC1→インダクタL1→一次巻線W1→スイッチング素子Q4の経路で電流が流れる。この電流により、トランスTR1の二次側において、二次巻線W2aから、ダイオードD1およびインダクタL2を介して、コンデンサC2に電流が流れ、コンデンサC2が充電される。コンデンサC2の両端電圧は、第1電圧変換回路1aの出力電圧であり、負荷20に供給される。
一方、スイッチング素子Q1、Q4がオフ、スイッチング素子Q2、Q3がオンの期間では、トランスTR1の一次側において、直流電源B→スイッチS1→スイッチング素子Q3→一次巻線W1→インダクタL1→コンデンサC1→スイッチング素子Q2の経路で電流が流れる。この電流により、トランスTR1の二次側において、二次巻線W2bから、ダイオードD2およびインダクタL2を介して、コンデンサC2に電流が流れ、コンデンサC2が充電される。コンデンサC2の両端電圧は、第1電圧変換回路1aの出力電圧であり、負荷20に供給される。
このように、負荷ランク3(中負荷)の場合は、第1電圧変換回路1aのみがフルブリッジ動作を行い、第2電圧変換回路2aは停止状態となる。したがって、電圧変換装置100Aの出力電力は、第1電圧変換回路1aから出力される中負荷に見合った電力となる。制御部11は、スイッチング素子Q1〜Q4を駆動するゲート信号のデューティを調整することで、電圧変換装置100Aの出力電力を制御する。
図7は、負荷ランク4(準大負荷)の場合の回路状態を示している。この場合、制御部11は、ECU等から入力される外部信号に基づいて、負荷20が準大負荷であることを判別し、S1オン信号とS2オン信号とを出力する。これにより、スイッチS1、S2が共にオンとなり、第1電圧変換回路1aと第2電圧変換回路2aの双方が直流電源Bに接続される。そして、ゲートドライバ12は、制御部11からの制御信号に基づいて、第1および第2電圧変換回路1a、2aのスイッチング素子Q1〜Q8の各ゲートに、それぞれQ1〜Q8ゲート信号を出力する。
ここで、Q1〜Q4ゲート信号は、いずれも所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q1〜Q4はオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第1電圧変換回路1aは、フルブリッジ動作を行う。一方、Q5ゲート信号はHに固定され、Q6ゲート信号はLに固定されているため、スイッチング素子Q5は常時オン状態となり、スイッチング素子Q6は常時オフ状態となる。また、Q7ゲート信号およびQ8ゲート信号は、所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q7、Q8はオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第2電圧変換回路2aはハーフブリッジ動作を行う。
このように、負荷ランク4(準大負荷)の場合は、第1電圧変換回路1aがフルブリッジ動作を行い、第2電圧変換回路2aがハーフブリッジ動作を行う。したがって、電圧変換装置100Aの出力電力は、第1電圧変換回路1aと第2電圧変換回路2aの各出力電力が合算された、準大負荷に見合った電力となる。制御部11は、スイッチング素子Q1〜Q4、Q7、Q8を駆動するゲート信号のデューティを調整することで、電圧変換装置100Aの出力電力を制御する。
図8は、負荷ランク5(大負荷)の場合の回路状態を示している。この場合、制御部11は、ECU等から入力される外部信号に基づいて、負荷20が大負荷であることを判別し、S1オン信号とS2オン信号とを出力する。これにより、スイッチS1、S2が共にオンとなり、第1電圧変換回路1aと第2電圧変換回路2aの双方が直流電源Bに接続される。そして、ゲートドライバ12は、制御部11からの制御信号に基づいて、第1および第2電圧変換回路1a、2aのスイッチング素子Q1〜Q8の各ゲートに、それぞれQ1〜Q8ゲート信号を出力する。
ここで、Q1〜Q4ゲート信号は、いずれも所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q1〜Q4はオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第1電圧変換回路1aは、フルブリッジ動作を行う。また、Q5〜Q8ゲート信号も、所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q5〜Q8はオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第2電圧変換回路2aも、フルブリッジ動作を行う。
このように、負荷ランク5(大負荷)の場合は、第1電圧変換回路1aと第2電圧変換回路2aの双方がフルブリッジ動作を行う。したがって、電圧変換装置100Aの出力電力は、第1電圧変換回路1aと第2電圧変換回路2aの各出力電力が合算された、大負荷に見合った電力となる。制御部11は、スイッチング素子Q1〜Q8を駆動するゲート信号のデューティを調整することで、電圧変換装置100Aの出力電力を制御する。
以上のとおり、第1実施形態においては、負荷ランク1(小負荷)では、第1電圧変換回路1aのみがハーフブリッジ動作を行い、負荷ランク2(準中負荷)では、第1、第2電圧変換回路1a、2aの双方がハーフブリッジ動作を行い、負荷ランク3(中負荷)では、第1電圧変換回路1aのみがフルブリッジ動作を行い、負荷ランク4(準大負荷)では、第1電圧変換回路1aがフルブリッジ動作、第2電圧変換回路2aがハーフブリッジ動作を行い、負荷ランク5(大負荷)では、第1、第2電圧変換回路1a、2aの双方がフルブリッジ動作を行う。
ここで、第1電圧変換回路1aは、ハーフブリッジ動作を行う場合に、小負荷に応じた電力を定格出力(指定条件下で安全に達成できる最大出力電力)としている。また、第1電圧変換回路1aは、フルブリッジ動作を行う場合に、中負荷に応じた電力を定格出力としており、当該出力において変換効率が最も高くなるように設計されている。すなわち、上記定格出力付近で、スイッチング素子Q1〜Q4が、両端電圧がゼロの状態でオンするZVS(ゼロボルトスイッチング)動作を行うようになっている。以上は、第2電圧変換回路2aについても同様である。ZVSによってスイッチング損失が低減する結果、変換効率が向上する。このため、負荷状況に応じて、図4〜図8に示したように第1、第2電圧変換回路1a、2aを動作させることで、小負荷から大負荷までの広範囲にわたって、効率良く電圧を変換することができる。
しかしながら、負荷20は車両の状況に応じて頻繁に変動することから、負荷ランク1〜5のそれぞれの定常状態だけでなく、負荷が変動する過渡状態においても、電力変換効率を高く維持することが望まれる。また、負荷20が大負荷から急に小負荷へ変化した場合は、出力電流の急激な変化に起因してリップルが発生し、負荷20へ悪影響を及ぼすおそれがある。本発明は、このような観点から、負荷変動時の電力変換効率を向上させることで、さらに効率良く電圧変換を行えるようにするとともに、出力電流の急激な変化によるリップルを抑制するものである。
図9は、負荷20が大負荷から小負荷へ切り替わる負荷変動時の動作を説明する図である。
図9において、(a)〜(e)は、それぞれ図8〜図4を簡略化して表したものである。負荷20が大負荷(負荷ランク5)の場合は、(a)のように、第1電圧変換回路1aと第2電圧変換回路2aが、共にフルブリッジ動作をしている。この状態から、負荷20が小負荷(負荷ランク1)へ切り替わった場合、(e)のように第2電圧変換回路2aを停止させて、第1電圧変換回路1aのみをハーフブリッジ動作させるのが従来の方法である。
しかるに、本発明では、負荷20が大負荷から小負荷へ切り替わる過程で、まず(b)のように、第2電圧変換回路2aをフルブリッジ動作からハーフブリッジ動作へ切り替える(負荷ランク4)。次に、(c)のように、第2電圧変換回路2aの動作を停止させ、第1電圧変換回路1aのみをフルブリッジ動作させる(負荷ランク3)。その後、(d)のように、第1電圧変換回路2aをフルブリッジ動作からハーフブリッジ動作へ切り替えるとともに、第2電圧変換回路2aをハーフブリッジ動作させる(負荷ランク2)。そして、最後に、(e)のように、第2電圧変換回路2aを停止させて、第1電圧変換回路1aのみをハーフブリッジ動作させる(負荷ランク1)。すなわち、大負荷(負荷ランク5)から小負荷(負荷ランク1)へ直接遷移するのではなく、その途中で、準大負荷(負荷ランク4)、中負荷(負荷ランク3)、準中負荷(負荷ランク2)といった中間負荷状態を経て、段階的に小負荷へ遷移する点が本発明の特徴である。
図9において、(b)の準大負荷状態は、本発明における「第1遷移状態」の一例であり、(c)の中負荷状態は、本発明における「第2遷移状態」の一例であり、(d)の準中負荷状態は、本発明における「第3遷移状態」の一例である(図17においても同様)。
負荷20が大負荷から小負荷へ切り替わる場合、図9の(a)から直接(e)へ回路状態を切り替えても、電圧変換装置100Aの出力電力が小負荷用の電力まで低下するには一定の時間を要する。つまり、その間に前述の中間負荷状態が存在する。このため、出力電力が低下する過程において、第1電圧変換回路1aがハーフブリッジ動作をしていると、この状態の第1電圧変換回路1aは、中負荷では電力変換効率が低下するため、電圧変換装置100Aの電力変換効率も低下する。
しかるに、本発明では、電圧変換装置100Aの出力電力が低下する過程において、第1電圧変換回路1aが中負荷時にフルブリッジ動作をするので、電圧変換装置100Aの電力変換効率が高く維持される。このため、大負荷から小負荷へ切り替わる場合の電力変換効率が向上し、従来よりも一層効率良く電圧を変換することができる。
また、大負荷からいきなり小負荷へ遷移した場合は、電圧変換装置100Aの出力電流の急激な変化に起因してリップルが発生するが、本発明では、大負荷から段階的に小負荷へ遷移させるので、出力電流の急激な変化が緩和され、リップルの発生を抑制することができる。
なお、図9の(a)〜(e)は、負荷20が大負荷から小負荷へ切り替わる場合のシーケンスであるが、負荷20が小負荷から大負荷へ切り替わる場合は、逆に(e)〜(a)のシーケンスとなる。
図10は、第2実施形態に係る電圧変換装置100Bの具体的な回路構成を示している。本実施形態でも、第1電圧変換回路1bと第2電圧変換回路2bは、いずれも、4つのスイッチング素子を備えたフルブリッジ型コンバータから構成されている。但し、第1電圧変換回路1bでは、第1実施形態の第1電圧変換回路1a(図2)におけるコンデンサC1が省略されている。また、第2電圧変換回路2bでは、第1実施形態の第2電圧変換回路2a(図2)におけるコンデンサC3が省略されている。その他の構成については、第1実施形態と同じであるので、重複説明を省略する。
次に、第2実施形態の電圧変換装置100Bの動作について、図11〜図16を参照しながら説明する。第2実施形態では、第1電圧変換回路1bと第2電圧変換回路2bの各フルブリッジ回路を、負荷20の容量に応じてフォワード回路としても動作させる。以下では、フルブリッジ回路がフォワード回路として動作することを「フォワード動作」という。
図11は、第1電圧変換回路1bをフォワード動作させる場合の回路状態を示している。この場合、スイッチング素子Q2、Q3を常時オフの状態として、スイッチング素子Q1、Q4を共にオンまたはオフさせることで、4つのスイッチング素子Q1〜Q4で構成されるフルブリッジ回路は、フォワード回路として動作する。第2電圧変換回路2bの、4つのスイッチング素子Q5〜Q8で構成されるフルブリッジ回路についても同様である。
図11(a)のように、スイッチング素子Q1、Q4が共にオンになると、トランスTR1の一次側において、直流電源B→スイッチS1→スイッチング素子Q1→インダクタL1→一次巻線W1→スイッチング素子Q4の経路で電流が流れる。この電流により、トランスTR1の二次側において、二次巻線W2aから、ダイオードD1およびインダクタL2を介して、コンデンサC2に電流が流れ、コンデンサC2が充電される。コンデンサC2の両端電圧は、第1電圧変換回路1bの出力電圧であり、負荷20に供給される。
また、図11(b)のように、スイッチング素子Q1、Q4が共にオフになると、トランスTR1の一次側において、スイッチング素子Q2、Q3の寄生ダイオードを経由して、矢印で示す回生電流が流れる。また、トランスTR1の二次側において、二次巻線W2bから、ダイオードD2を介して、インダクタL2とコンデンサC2に電流が流れる。
図12〜図16は、負荷20の容量が、負荷ランク1から負荷ランク5まで、5段階に変化する場合の、第1および第2電圧変換回路1b、2bの状態を示している。
図12は、負荷ランク1(小負荷)の場合の回路状態を示している。この場合、制御部11は、ECU等から入力される外部信号に基づいて、負荷20が小負荷であることを判別し、S1オン信号とS2オフ信号とを出力する。これにより、スイッチS1がオン、スイッチS2がオフとなり、第1電圧変換回路1bが直流電源Bに接続され、第2電圧変換回路2bは直流電源Bから切り離される。そして、ゲートドライバ12は、制御部11からの制御信号に基づいて、第1電圧変換回路1bのスイッチング素子Q1〜Q4の各ゲートに、それぞれQ1〜Q4ゲート信号を出力する。
ここで、Q2ゲート信号とQ3ゲート信号は、共にLに固定されているため、スイッチング素子Q2、Q3は常時オフ状態となる。一方、Q1ゲート信号およびQ4ゲート信号は、所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q1、Q4はオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第1電圧変換回路1bのフルブリッジ回路は、図11で示したように、フォワード回路として動作する。
このように、負荷ランク1(小負荷)の場合は、第1電圧変換回路1bのみがフォワード動作を行い、第2電圧変換回路2bは停止状態となる。したがって、電圧変換装置100Bの出力電力は、第1電圧変換回路1bから出力される小負荷に見合った電力となる。制御部11は、スイッチング素子Q1、Q4を駆動するゲート信号のデューティを調整することで、電圧変換装置100Bの出力電力を制御する。
図13は、負荷ランク2(準中負荷)の場合の回路状態を示している。この場合、制御部11は、ECU等から入力される外部信号に基づいて、負荷20が準中負荷であることを判別し、S1オン信号とS2オン信号とを出力する。これにより、スイッチS1、S2が共にオンとなり、第1電圧変換回路1bと第2電圧変換回路2bの双方が直流電源Bに接続される。そして、ゲートドライバ12は、制御部11からの制御信号に基づいて、第1および第2電圧変換回路1b、2bのスイッチング素子Q1〜Q8の各ゲートに、それぞれQ1〜Q8ゲート信号を出力する。
ここで、Q2ゲート信号、Q3ゲート信号、Q6ゲート信号、およびQ7ゲート信号は、いずれもLに固定されているため、スイッチング素子Q2、Q3、Q6、Q7は常時オフ状態となる。一方、Q1ゲート信号、Q4ゲート信号、Q5ゲート信号、およびQ8ゲート信号は、いずれも所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q1、Q4、Q5、Q8はオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第1電圧変換回路1bのフルブリッジ回路と、第2電圧変換回路2bのフルブリッジ回路とは、共にフォワード回路として動作する。
このように、負荷ランク2(準中負荷)の場合は、第1電圧変換回路1bと第2電圧変換回路2bの双方がフォワード動作を行う。したがって、電圧変換装置100Bの出力電圧は、第1電圧変換回路1bと第2電圧変換回路2bの各出力電力が合算された、準中負荷に見合った電力となる。制御部11は、スイッチング素子Q1、Q4、Q5、Q8を駆動するゲート信号のデューティを調整することで、電圧変換装置100Bの出力電力を制御する。
図14は、負荷ランク3(中負荷)の場合の回路状態を示している。この場合、制御部11は、ECU等から入力される外部信号に基づいて、負荷20が中負荷であることを判別し、S1オン信号とS2オフ信号とを出力する。これにより、スイッチS1がオン、スイッチS2がオフとなり、第1電圧変換回路1bが直流電源Bに接続され、第2電圧変換回路2bは直流電源Bから切り離される。そして、ゲートドライバ12は、制御部11からの制御信号に基づいて、第1電圧変換回路1bのスイッチング素子Q1〜Q4の各ゲートに、それぞれQ1〜Q4ゲート信号を出力する。
ここで、Q1〜Q4ゲート信号は、いずれも所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q1〜Q4はオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第1電圧変換回路1bはフルブリッジ動作を行う。
このように、負荷ランク3(中負荷)の場合は、第1電圧変換回路1bのみがフルブリッジ動作を行い、第2電圧変換回路2bは停止状態となる。したがって、電圧変換装置100Bの出力電力は、第1電圧変換回路1bから出力される中負荷に見合った電力となる。制御部11は、スイッチング素子Q1〜Q4を駆動するゲート信号のデューティを調整することで、電圧変換装置100Bの出力電力を制御する。
図15は、負荷ランク4(準大負荷)の場合の回路状態を示している。この場合、制御部11は、ECU等から入力される外部信号に基づいて、負荷20が準大負荷であることを判別し、S1オン信号とS2オン信号とを出力する。これにより、スイッチS1、S2が共にオンとなり、第1電圧変換回路1bと第2電圧変換回路2bの双方が直流電源Bに接続される。そして、ゲートドライバ12は、制御部11からの制御信号に基づいて、第1および第2電圧変換回路1b、2bのスイッチング素子Q1〜Q8の各ゲートに、それぞれQ1〜Q8ゲート信号を出力する。
ここで、Q1〜Q4ゲート信号は、いずれも所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q1〜Q4はオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第1電圧変換回路1bは、フルブリッジ動作を行う。一方、Q6ゲート信号とQ7ゲート信号は、共にLに固定されているため、スイッチング素子Q6、Q7は常時オフ状態となる。また、Q5ゲート信号およびQ8ゲート信号は、所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q5、Q8はオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第2電圧変換回路2bはフォワード動作を行う。
このように、負荷ランク4(準大負荷)の場合は、第1電圧変換回路1bがフルブリッジ動作を行い、第2電圧変換回路2bがフォワード動作を行う。したがって、電圧変換装置100Bの出力電力は、第1電圧変換回路1bと第2電圧変換回路2bの各出力電力が合算された、準大負荷に見合った電力となる。制御部11は、スイッチング素子Q1〜Q4、Q5、Q8を駆動するゲート信号のデューティを調整することで、電圧変換装置100Bの出力電力を制御する。
図16は、負荷ランク5(大負荷)の場合の回路状態を示している。この場合、制御部11は、ECU等から入力される外部信号に基づいて、負荷20が大負荷であることを判別し、S1オン信号とS2オン信号とを出力する。これにより、スイッチS1、S2が共にオンとなり、第1電圧変換回路1bと第2電圧変換回路2bの双方が直流電源Bに接続される。そして、ゲートドライバ12は、制御部11からの制御信号に基づいて、第1および第2電圧変換回路1b、2bのスイッチング素子Q1〜Q8の各ゲートに、それぞれQ1〜Q8ゲート信号を出力する。
ここで、Q1〜Q4ゲート信号は、いずれも所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q1〜Q4がオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第1電圧変換回路1bは、フルブリッジ動作を行う。また、Q5〜Q8ゲート信号も、所定のデューティを持ったPWM信号であり、この信号によってスイッチング素子Q5〜Q8がオン・オフしてスイッチング動作を行う。すなわち、第2電圧変換回路2bも、フルブリッジ動作を行う。
このように、負荷ランク5(大負荷)の場合は、第1電圧変換回路1bと第2電圧変換回路2bの双方がフルブリッジ動作を行う。したがって、電圧変換装置100Bの出力電力は、第1電圧変換回路1bと第2電圧変換回路2bの各電力が合算された、大負荷に見合った電力となる。制御部11は、スイッチング素子Q1〜Q8を駆動するゲート信号のデューティを調整することで、電圧変換装置100Bの出力電力を制御する。
以上のとおり、第2実施形態においては、負荷ランク1(小負荷)では、第1電圧変換回路1bのみがフォワード動作を行い、負荷ランク2(準中負荷)では、第1、第2電圧変換回路1b、2bの双方がフォワード動作を行い、負荷ランク3(中負荷)では、第1電圧変換回路1bのみがフルブリッジ動作を行い、負荷ランク4(準大負荷)では、第1電圧変換回路1bがフルブリッジ動作、第2電圧変換回路2bがフォワード動作を行い、負荷ランク5(大負荷)では、第1、第2電圧変換回路1b、2bの双方がフルブリッジ動作を行う。
ここで、第1電圧変換回路1bは、フォワード動作を行う場合に、小負荷に応じた電力を定格出力としている。また、第1電圧変換回路1bは、フルブリッジ動作を行う場合に、中負荷に応じた電力を定格出力としており、当該出力において変換効率が最も高くなるように設計されている。すなわち、上記定格出力付近で、スイッチング素子Q1〜Q4が前述のZVS動作を行うようになっている。以上は、第2電圧変換回路2bについても同様である。ZVSによってスイッチング損失が低減する結果、変換効率が向上する。このため、負荷状況に応じて、図12〜図16に示したように第1、第2電圧変換回路1b、2bを動作させることで、小負荷から大負荷までの広範囲にわたって、効率良く電圧を変換することができる。
また、第2実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、負荷変動の過渡状態での電力変換効率を高く維持するとともに、出力電流の急変によるリップルの発生を抑制するための手法が採用される。図17は、負荷20が大負荷から小負荷へ切り替わる負荷変動時の動作を説明する図である。ここに示されるシーケンスは、第1実施形態の場合(図9)と基本的に同じであるので、以下では簡単に説明するにとどめる。
大負荷から小負荷への切替時において、図17(a)の大負荷状態から、まず(b)のように、第2電圧変換回路2bをフルブリッジ動作からフォワード動作へ切り替える(負荷ランク4)。次に、(c)のように第2電圧変換回路2bを停止させ(負荷ランク3)、その後、(d)のように第1電圧変換回路1bをフォワード動作へ切り替えるとともに、第2電圧変換回路2bをフォワード動作させる(負荷ランク2)。最後に、(e)のように第2電圧変換回路2bを停止させて、第1電圧変換回路1bのみをフォワード動作させる(負荷ランク1)。このようにして、第1実施形態と同様に、大負荷から中間負荷状態を経て、段階的に小負荷へ遷移させる。
なお、図17の(a)〜(e)は、負荷20が大負荷から小負荷へ切り替わる場合のシーケンスであるが、負荷20が小負荷から大負荷へ切り替わる場合は、逆に(e)〜(a)のシーケンスとなる。
ところで、第1実施形態において、第1電圧変換回路1aは、図6〜図8の3つの場合にフルブリッジ動作を行うのに対し、第2電圧変換回路2aは、図8の場合のみフルブリッジ動作を行う。したがって、この動作パターンが繰り返されると、第1電圧変換回路1aのスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング回数が、第2電圧変換回路2aのスイッチング素子Q5〜Q8のスイッチング回数に比べて増大し、スイッチング素子Q1〜Q4の寿命が短くなる。これは、第2実施形態についても言えることである。
そこで、この対策として、第1電圧変換回路1(1a、1b)がフルブリッジ動作を行う回数と、第2電圧変換回路2(2a、2b)がフルブリッジ動作を行う回数とを均等化することが考えられる。具体的には、図18に示すように、制御部11に動作状態記録部11aを設け、この動作状態記録部11aに、第1電圧変換回路1でフルブリッジ動作が行われた累積回数と、第2電圧変換回路2でフルブリッジ動作が行われた累積回数とを記録する。そして、両者の差が一定値を超えると、制御部11は、各電圧変換回路1、2のフルブリッジ動作の回数を均等化するための均等化処理を実行する。
均等化処理では、以下のような制御が行われる。第1実施形態では、制御部11は、図7の場合に、第1電圧変換回路1aをハーフブリッジ動作させ、第2電圧変換回路2aをフルブリッジ動作させる。また、制御部11は、図6の場合に、第2電圧変換回路2aをフルブリッジ動作させ、第1電圧変換回路1aを停止させる。同様に、第2実施形態では、制御部11は、図15の場合に、第1電圧変換回路1bをフォワード動作させ、第2電圧変換回路2bをフルブリッジ動作させる。また制御部11は、図14の場合に、第2電圧変換回路2bをフルブリッジ動作させ、第1電圧変換回路1bを停止させる。このようにすることで、双方の電圧変換回路1、2におけるフルブリッジ動作の回数が均等化されるので、一方の電圧変換回路のスイッチング素子の寿命が短くなるのを防止することができる。
なお、ここでは、動作状態記録部11aに、フルブリッジ動作が行われた累積回数を記録したが、累積回数に代えて、または累積回数に加えて、フルブリッジ動作が行われた累積時間を記録してもよい。この場合も、制御部11は、各電圧変換回路1、2における累積時間の差が一定値を超えると、フルブリッジ動作の時間を均等化するための均等化処理を実行する。
本発明では、以上述べた実施形態以外にも、以下のような種々の実施形態を採用することができる。
各実施形態においては、負荷ランクが1〜5の5段階に変化する場合を例に挙げたが、負荷ランクがたとえば1〜3の3段階に変化する場合にも、本発明を適用することができる。この場合は、負荷ランク1が小負荷、負荷ランク2が中負荷、負荷ランク3が大負荷となり、大負荷から小負荷へ遷移するときのシーケンスは、図9および図17の(a)→(c)→(e)となる。また、負荷ランクが4段階に変化する場合にも、本発明は適用が可能である。
図9および図17では、大負荷から小負荷へ遷移する場合に、(b)〜(d)の3つの遷移状態を経る例を挙げたが、(b)〜(d)のうちの1つまたは2つの遷移状態を経るようにしてもよい。
各実施形態においては、制御部11は、ECUなどから供給される外部信号に基づいて負荷20の状態を判別したが、これに代えて、負荷20の電流、電圧、または電力を検出する検出部を設け、この検出部の出力に基づいて負荷状態を判別してもよい。
各実施形態においては、直流電源Bと電圧変換回路1、2との間に設けられるスイッチS1、S2としてリレーを例に挙げたが、リレーの替わりにFETやトランジスタなどを用いてもよい。また、スイッチS1、S2を省略して、電圧変換回路1、2が常時直流電源Bに接続された状態とし、ゲートドライバ12からゲート信号が与えられたときに、電圧変換回路1、2が動作を開始するようにしてもよい。
各実施形態においては、トランスTR1、TR2によって入力側(一次側)と出力側(二次側)が絶縁された絶縁型のDC−DCコンバータを例に挙げたが、本発明は非絶縁型のDC−DCコンバータにも適用することができる。
各実施形態においては、電圧変換装置100がDC−DCコンバータであったが、本発明の電圧変換装置は、DC−ACコンバータであってもよい。この場合は、トランスTR1、TR2の二次側で得られた直流電圧をスイッチングして交流電圧に変換する電圧変換回路が付加される。
各実施形態においては、スイッチング素子Q1〜Q8としてFETを用いたが、FETの替わりにトランジスタやIGBTなどを用いてもよい。
各実施形態においては、二次側の整流素子としてダイオードD1〜D4を用いたが、ダイオードの替わりにFETを用いてもよい。
各実施形態においては、車両に搭載される電圧変換装置を例に挙げたが、本発明は、車両用以外の電圧変換装置にも適用することができる。