JP6620296B2 - 反芻動物のメタン生成低減用飼料添加剤組成物 - Google Patents

反芻動物のメタン生成低減用飼料添加剤組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6620296B2
JP6620296B2 JP2016570820A JP2016570820A JP6620296B2 JP 6620296 B2 JP6620296 B2 JP 6620296B2 JP 2016570820 A JP2016570820 A JP 2016570820A JP 2016570820 A JP2016570820 A JP 2016570820A JP 6620296 B2 JP6620296 B2 JP 6620296B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
methane
nitrate
feed
berberine
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016570820A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017522008A (ja
Inventor
ア パク,ミン
ア パク,ミン
ホン イ,ソン
ホン イ,ソン
フン キム,スン
フン キム,スン
ベ キム,イン
ベ キム,イン
ヨン ヤン,シ
ヨン ヤン,シ
ウ チ,ソク
ウ チ,ソク
Original Assignee
シージェイ フィード アンド ケア コーポレイション
シージェイ フィード アンド ケア コーポレイション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by シージェイ フィード アンド ケア コーポレイション, シージェイ フィード アンド ケア コーポレイション filed Critical シージェイ フィード アンド ケア コーポレイション
Publication of JP2017522008A publication Critical patent/JP2017522008A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6620296B2 publication Critical patent/JP6620296B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23KFODDER
    • A23K20/00Accessory food factors for animal feeding-stuffs
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23KFODDER
    • A23K50/00Feeding-stuffs specially adapted for particular animals
    • A23K50/10Feeding-stuffs specially adapted for particular animals for ruminants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23KFODDER
    • A23K20/00Accessory food factors for animal feeding-stuffs
    • A23K20/10Organic substances
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23KFODDER
    • A23K20/00Accessory food factors for animal feeding-stuffs
    • A23K20/10Organic substances
    • A23K20/111Aromatic compounds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23KFODDER
    • A23K20/00Accessory food factors for animal feeding-stuffs
    • A23K20/10Organic substances
    • A23K20/116Heterocyclic compounds
    • A23K20/121Heterocyclic compounds containing oxygen or sulfur as hetero atom
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23KFODDER
    • A23K20/00Accessory food factors for animal feeding-stuffs
    • A23K20/10Organic substances
    • A23K20/116Heterocyclic compounds
    • A23K20/137Heterocyclic compounds containing two hetero atoms, of which at least one is nitrogen
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23KFODDER
    • A23K20/00Accessory food factors for animal feeding-stuffs
    • A23K20/10Organic substances
    • A23K20/142Amino acids; Derivatives thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23KFODDER
    • A23K10/00Animal feeding-stuffs
    • A23K10/30Animal feeding-stuffs from material of plant origin, e.g. roots, seeds or hay; from material of fungal origin, e.g. mushrooms
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P60/00Technologies relating to agriculture, livestock or agroalimentary industries
    • Y02P60/20Reduction of greenhouse gas [GHG] emissions in agriculture, e.g. CO2
    • Y02P60/22Methane [CH4], e.g. from rice paddies

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Animal Husbandry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Birds (AREA)
  • Fodder In General (AREA)
  • Feed For Specific Animals (AREA)

Description

本発明は、反芻動物の反芻胃内で発生するメタン生成を低減させるための飼料添加剤組成物に関し、詳しくは、アリイン(Alliin)及びベルベリン(Berberine)で構成される群から選択される一つ以上の成分を含むメタン生成低減用飼料添加剤組成物に関し、前記組成物は、硫化ジアリル(Diallyl disulfide, DADS)、硝酸塩(Nitrate)及びユーカリ油(Eucalyptus oil)で構成される群から選択される一つ以上の成分をさらに含むことができる。
最近、人口増加の結果として、食料要求量は、2050年度に70%以上増加すると予想され(FAO、2009)、このような要求に応えるために畜産物、すなわち肉類と乳製品の増加は、現在より2倍以上になると予想される。しかし、畜産物、特に反芻動物産業は、地域的及び世界的に地球環境に否定的な影響を与えることが、最近認識されている。地域的には、集約的な畜産業が空気、土壌、水質などの汚染に寄与し、地球環境の観点では、温室効果ガスの主な原因として知られている。特に、2006年にFAOが発表した報告書(非特許文献1)は、家畜産業が環境に与える影響を具体的に報告した。
家畜産業を維持することにより、生産される温室効果ガスの量は、二酸化炭素に準ずる計算方法で年間約41億〜71億トンと推定されるが、これは温室効果ガスの総生産量の約15〜24%に相当する数値である(Steinfeld et al., 2006)。部分別にみると、家畜が提供する二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の量は、割合的に、人間の活動により生成される量の9%、35〜40%、65%を占めており、深刻な水準に達している。
周知のように、メタンと一酸化二窒素の大部分は、家畜を育てる農場で生産される。即ち、反芻動物が摂取した飼料は、反芻胃内で生息する反芻胃内の嫌気性微生物(バクテリア、プロトゾア(protozoa)、カビ)の発酵作用により揮発性脂肪酸、水素、二酸化炭素、アンモニア態窒素などに分解され、このうち、二酸化炭素と水素はメタン生成バクテリアによりメタンとして生成される。生成されたメタンは、体内に吸収されずに大気中に放出される。最近ニュージーランドのある研究者達は、約80%の温室効果ガスが農場で発生され、単に3%程度が屠殺後に肉を処理する過程で、5%程度が肉類を運ぶ過程で、最終的に12%程度が消費者により消費される過程で発生したと報告した(Ledgard et al., 2010)。また、栄養素がガス形態のメタンに転換される過程で、飼料のエネルギー損失(2〜15%)が発生する。したがって、家畜の生産性の向上及び地球環境に有害な温室効果ガスを低減するために反芻動物の反芻胃内でメタン発生量を減少させるための研究が行われている。
現在、反芻動物のメタンガス生成を低減させるための方法としては、モネンシンのような抗生物質を飼料に添加したり、反芻胃内のプロトゾアを除去したり、ハロゲン化合物を飼料に添加したり、プロバイオティクスを給与するなどの方法が研究されている。
しかし、抗生物質を飼料に添加することは、漸次、化学物質や抗生物質を飼料添加剤として使用することを規制する世界的な趨勢となっており、残留して人体に有害であるという問題があるため、メタン生成の抑制方法として抗生物質を使用することは適切ではない。プロトゾアを除去することは繊維素を減少させるという問題があり、ハロゲン化合物を飼料に添加することはメタンガスの抑制効果が持続せず、畜産物への残留性など、安全性に問題が発生し得る。また、プロバイオティクスを給与する方法は、プロバイオティクスの発酵様相やメタンガス生成の実験の度毎ごとに添加した菌株が異なって示されるという問題がある。
一方、特許文献1には、反芻動物のメタン生成量を抑制する飼料組成物が開示されている。上記特許は、ショウガ、ニラ抽出物及び複合リノール酸のうち、少なくともいずれか一つを含む飼料組成物を反芻動物に給与することにより、反芻動物におけるメタンガス生成量を減少させることを特徴としている。しかし、開示されたショウガ、ニラ抽出物及び複合リノール酸を含む飼料組成物を製造するためには、別途の工程を必要とするため、周囲から容易に入手できないという問題があり、製造コストが高く、それに伴い購入コストも高くなる。
韓国公開特許第10−2006−0019062号公報
Liverstock's shadow(Steinfeld et al., 2006)
したがって、家畜の生産性に否定的な影響を与えずに、地球環境に有害なメタンガスを効率的に減らすメタン発生低減技術が必要とされている。
本発明は以下を提供する。
[1]アリイン(Alliin)及びベルベリン(Berberine)で構成される群から選択される一つ以上の成分を含むメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
[2]上記組成物は、乾燥飼料に対する重量比として、アリイン0.005wt%〜5wt%、またはベルベリン0.005wt%〜5wt%の割合になるように飼料に添加される、上記[1]に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
[3]上記組成物は、硫化ジアリル(Diallyl disulfide, DADS)、硝酸塩(Nitrate)及びユーカリ油(Eucalyptus oil)で構成される群から選択される一つ以上の成分をさらに含む、上記[1]に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
[4]上記組成物は、乾燥飼料に対する重量比として、硫化ジアリル0.005wt%〜4wt%、アリイン0.005wt%〜5wt%、硝酸塩0.01wt%〜0.5wt%、ベルベリン0.005wt%〜5wt%、またはユーカリ油0.01wt%〜5wt%の割合になるように飼料に添加される、上記[3]に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
[5]上記組成物は、硫化ジアリル、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油を含むことを特徴とする、上記[3]に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
[6]上記組成物は、乾燥飼料に対する重量比として、硫化ジアリル0.005wt%〜4wt%、硝酸塩0.01wt%〜0.5wt%、ベルベリン0.005wt%〜5wt%及びユーカリ油0.01wt%〜5wt%の割合になるように飼料に添加される、上記[5]に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
[7]上記組成物は、アリイン、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油を含むことを特徴とする、上記[3]に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
[8]上記組成物は、乾燥飼料に対する重量比として、アリイン0.005wt%〜5wt%、硝酸塩0.01wt%〜0.5wt%、ベルベリン0.005wt%〜5wt%及びユーカリ油0.01wt%〜5wt%の割合になるように飼料に添加される、上記[7]に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
[9]上記[1]〜上記[8]のいずれか一つの組成物を個体に投与する段階を含むメタン生成低減方法。
本発明者らは、安全かつ効率的にメタン生成量を減少させ得る飼料添加剤を研究するなかで、硫化ジアリル、アリイン、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油を反芻胃内の環境と同一条件となるように開発された反芻胃モデルの連続培養システム(Rumen simulation continuous culture system、RSCC)において、それぞれ又はその混合物を培養した結果、対照区に比べて顕著なメタン低減率を示すことを確認することにより、本発明を完成した。
本発明の一つの目的は、硫化ジアリル、アリイン、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油のうち、いずれか一つ以上を含む、安全かつ効率的なメタン生成の低減効果を有するメタン生成低減用飼料添加剤組成物を提供することにある。
本発明の他の一つの目的は、前記飼料添加剤組成物を個体に投与する段階を含むメタン生成の低減方法を提供することにある。
本発明に係る飼料添加剤組成物は、付加的な処理工程なしで飼料に添加して給与することにより、家畜の生産性に否定的な影響を与えずに反芻胃内のメタン発生量を減少させることができるため、反芻動物産業において非常に有利に用いることができる。
本発明の一実施例に係る硫化ジアリル(DADS)の添加含量によるメタン低減率を示すグラフである。 本発明の一実施例に係るアリイン(Alliin)の添加によるメタン低減率を示すグラフである。 本発明の一実施例に係る硝酸塩(Nitrate)の添加含量によるメタン低減率を示すグラフである。 本発明の一実施例に係るユーカリ油(Eucalyptus oil)の添加によるメタン低減率を示すグラフである。 本発明の一実施例に係るベルベリン(Berberine)の添加含量によるメタン低減率を示すグラフである。 本発明の一実施例に係る硫化ジアリル(DADS)、硝酸塩(Nitrate)、ユーカリ油(Eucalyptus oil)及びベルベリン(Berberine)の混合組成物の添加含量によるメタン低減率を示すグラフである。 本発明の一実施例に係るアリイン(Alliin)、硝酸塩(Nitrate)、ユーカリ油(Eucalyptus oil)及びベルベリン(Berberine)の混合組成物の添加含量によるメタン低減率を示すグラフである。 本発明の一実施例に係る硫化ジアリル(DADS)、硝酸塩(Nitrate)、ユーカリ油(Eucalyptus oil)及びベルベリン(Berberine)の混合組成物の添加含量による搾乳牛が発生させるメタン発生量を示したグラフある。
上記課題を解決するために、本発明の一つの態様は、アリイン(Alliin)及びベルベリン(Berberine)で構成される群から選択される一つ以上の成分を含むメタン生成低減用飼料添加剤組成物を提供する。
また、上記組成物は、乾燥飼料に対する重量比として、アリイン0.005wt%〜5wt%、またはベルベリン0.005wt%〜5wt%の割合になるように飼料に添加することができる。
本発明の用語「アリイン(Alliin)」とは、ニンニクまたはタマネギなどのニオイの成分であり、(2R)−2−アミノ−3−[(S)−プロプ−2−エニルスルフィニル]プロパン酸((2R)-2-amino-3- [(S)-prop-2-enylsulfinyl] propanoic acid)を意味する。上記飼料添加剤組成物は、アリインを1〜100重量%、具体的には10〜90重量%、より具体的には20〜80重量%で含むことができるが、これに限定されるものではない。
本発明の用語「ベルベリン(Berberine)」とは、イソキノリンアルカロイド(Isoquinoline alkaloid)のプロトベルベリングループ(Protoberberine group)に属する4価アンモニウム塩(Quaternary ammonium salt)を意味し、5,6−ジヒドロ−9,10−ジメトキシベンゾ[g]−1,3−ベンゾジオキソロ[5,6−a]キノリジニウム(5, 6-dihydro-9, 10-dimethoxybenzo[g]-1, 3-benzodioxolo[5, 6-a]
quinolizinium)をいう。上記飼料添加剤組成物は、ベルベリンを1〜100重量%、具体的には10〜90重量%、より具体的には20〜80重量%含むことができるが、これに限定されるものではない。
本発明の用語「メタン」とは、メタンガス(CH)を意味し、各種有機物質の分解によって発生するものであり、地球温暖化の主犯として知られている。特に、反芻胃に存在する様々な種類の微生物が餌を発酵させる過程で、炭水化物が揮発性脂肪酸に変化し、一部はメタンガスになるが、このようしてに発生するメタンガスが全世界のメタンガスの排出量の約4分の1を占める。反芻動物の反芻胃内のメタン生成は、摂取した飼料エネルギーのうち約10%程度の損失をもたらす。即ち、反芻胃で生成されるメタンを含む発酵ガスの発生は、地球温暖化に寄与するだけでなく、家畜のエネルギー吸収効率を下げ、生産性の低下に影響を与える。
本発明の一実施例によれば、反芻胃モデルの連続培養システム(RSCC system)を用いてアリインを基質10g当たり0.5wt%の割合になるように添加した結果、メタン低減率が21.9%で硫化ジアリルよりは低い効果を示したが、pHは対照区と類似して維持された。アリインは硫化ジアリルよりメタン低減効果は低かったが、反芻胃液内の安定化の面では、より効果的であることが示された。
本発明の他の一実施例によれば、反芻胃モデルの連続培養システム(RSCC system)を用いてベルベリンを基質10g当たり0.1wt%、0.2wt%及び0.5wt%の割合で添加した結果、メタン低減率が6.7 %、12.4%、45.5%であることが確認された。ベルベリンを0.5wt%添加したとき、メタン低減効果が45.5%と高く示されたが、乾物の消化率が有意に減少したため、0.5wt%未満の添加量が適正な水準であることが示された。
また、上記組成物は、硫化ジアリル(Diallyl disulfide, DADS)、硝酸塩(Nitrate)及びユーカリ油(Eucalyptus oil)で構成される群から選択される一つ以上の成分をさらに含むことができる。
本発明の用語「硫化ジアリル(Diallyl disulfide, DADS)」とは、4,5−ジチア−1,7−オクタジエンジアリルスルフィド(4,5-dithia-1,7-octadiene Diallyldisulfide)を意味し、殺菌、抗菌、血液循環の改善に効果的であり、高血圧、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの成人病の予防効果と抗がん効果などに優れることが知られている。上記飼料添加剤組成物は、硫化ジアリルを1〜90重量%、具体的には20〜80重量%で含むことができるが、これに限定されるものではない。
本発明の用語「硝酸塩(Nitrate)」とは、硝酸イオンNO の化合物を総称するものであり、例えば、硝酸ナトリウム(sodium Nitrate)、硝酸カリウム(potassium Nitrate)、硝酸カルシウム(calcium Nitrate)、硝酸アンモニウム(ammonium Nitrate)などがこれに該当するが、これに限定されるものではない。上記飼料添加剤組成物は、硝酸塩を1〜90重量%、具体的には20〜80重量%含むことができるが、これに限定されるものではない。
本発明の用語「ユーカリ油(Eucalyptus oil)」とは、ユーカリ(Eucalyptus)の木の葉を蒸留して得られた精油をいう。無色ないし淡黄色を帯びた透明な液体で、特有の刺すような香りを有しており、味は刺激性であるが、清涼感を与える。上記飼料添加剤組成物は、ユーカリ油を1〜90重量%、具体的には20〜80重量%含むことができるが、これに限定されるものではない。
具体的には、前記組成物は乾燥飼料に対する重量比として、硫化ジアリル0.005wt%〜4wt%、アリイン0.005wt%〜5wt%、硝酸塩0.01wt%〜0.5wt%、ベルベリン0.005wt%〜5wt%またはユーカリ油0.01wt%〜5wt%の割合になるように飼料に添加することができるが、これに限定されるものではない。硝酸塩を0.5wt%を超えて添加すると、亜硝酸塩の蓄積、硝酸塩毒性症候群などの問題が発生することがある。
本発明の一実施例によれば、反芻胃モデルの連続培養システム(RSCC system)を用いて硫化ジアリルを基質10g当たり0.1wt%、0.2wt%及び0.4wt%の割合で添加した結果、メタン低減率は30.5%、65.2%、及び65.9%であった。添加含量によるメタン低減率を比較したとき、0.2wt%と0.4wt%の添加含量によるメタン低減率は65%と類似しており、これは0.2wt%程度の硫化ジアリルを添加することが経済的に有利であることを意味する。
本発明の他の一実施例によれば、反芻胃モデルの連続培養システム(RSCC system)を用いて硝酸塩を基質10g当たり0.35wt%、0.5wt%及び1.0wt%の割合で添加した結果、メタン低減率が14.0%、31.0%、8.1%であった。
本発明の他の一実施例によれば、反芻胃モデルの連続培養システム(RSCC system)を用いてユーカリ油を基質10g当たり0.5wt%の割合になるように添加した結果、メタン低減率が20.5%であった。同じ添加レベルの硫化ジアリルよりメタン低減効果は低かったが、反芻胃液内の安定化の面では、より効果的であった。
本発明の飼料添加剤組成物は、副作用を最小限にするために、上記の各有効成分を混合して含むことができる。よって、混合組成物が相乗効果を有することにより、少量の添加で効果的なメタン低減効果を示すことができる。
また、一具体例として、前記組成物は、硫化ジアリル、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油を含むことができる。上記硫化ジアリル、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油の含有量は、前述した通りである。
具体的には、前記組成物は乾燥飼料に対する重量比として、硫化ジアリル0.005wt%〜4wt%、硝酸塩0.01wt%〜0.5wt%、ベルベリン0.005wt%〜5wt%及びユーカリ油0.01wt%〜5wt%の割合になるように飼料に添加することができる。
本発明の一実施例によれば、乾燥飼料に対する重量比は硫化ジアリル0.05wt%、硝酸塩0.2wt%、ベルベリン0.05wt%及びユーカリ油0.2wt%を混合して添加剤として使用した場合、56.2%という効果的なメタン低減率を示し、他の混合組成物を添加剤として使用した場合でも、少量で優れた低減率を示す効果があることを確認した。
また、本発明の一実施例によれば、メタン低減用の飼料組成物(硫化ジアリル:硝酸塩:ベルベリン:ユーカリ油=0.05wt%:0.1wt%:0.05wt%:0.1wt%)を搾乳牛に25g/d給与した場合は23.1%、そして50g/dで給与した場合は36.6%の効果的なメタン低減率を示した。また、乳量も対照区に比べて減少せず、1.1%以上増加し、メタン低減用混合組成物が反芻胃内の発酵性状に及ぼす否定的な影響はないことが確認された。
また、他の具体例として、前記組成物は、アリイン、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油を含むことができる。上記アリイン、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油の含有量は、前述した通りである。
具体的には、前記組成物は乾燥飼料に対する重量比として、アリイン0.005wt%〜5wt%、硝酸塩0.01wt%〜0.5wt%、ベルベリン0.005wt%〜5wt%及びユーカリ油0.01wt%〜5wt%の割合になるように飼料に添加することができる。
本発明の一実施例によれば、乾燥飼料に対する重量比が、アリイン、ベルベリン各0.05wt%の添加含量に比べて、硝酸塩とユーカリ油の添加量を0.1wt%、または0.2wt%に変えて測定した結果、各添加剤を単独添加したときよりメタン低減率が増加し、相乗効果を確認することができた。
上記メタン生成低減用飼料添加剤組成物を適用することができる個体は、特に限定されず、どのような形のものでも適用可能である。例えば、牛、羊、キリン、ラクダ、シカ、ヤギなどの動物に制限なく適用可能であり、特に具体的には、反芻胃を有する反芻動物に適用可能である。
本発明の用語「反芻胃」とは、哺乳類ウシ目の一部の動物で見られる特殊な消化管であり、反芻をするために、こぶ胃、蜂巣胃、重弁胃、及び皺胃の4つの室に分けられている。一度飲み込んだ食物を再び口に戻してよく咀嚼した後に飲み込むことを反芻といい、このような反芻を可能にする胃を反芻胃という。反芻胃には微生物が共生しており、一般的な動物が消化できない植物のセルロースを分解してエネルギー化する能力を有する。
本発明の用語「反芻動物」とは、前述した反芻胃を有する動物を意味し、これには、ラクダ科、マメジカ科、シカ科、キリン科及びウシ科の動物が含まれる。ただし、ラクダ科とマメジカ科は、重弁胃と皺胃が完全に分化されず、3室からなる反芻胃を有していることが知られている。
本発明に係る飼料添加剤組成物は、個別に使用することができ、従来公知となった飼料添加剤と併用して使用することができ、従来の飼料添加剤と順次または同時に使用することができる。
本発明に係る飼料添加剤組成物は、アリイン、ベルベリンまたは硫化ジアリルの生理学的に許容可能な塩だけでなく、これから製造することができる溶媒和物及び水和物をいずれも含み、可能なあらゆる立体異性体をも含むことができる。また、上記アリイン、ベルベリンまたは硫化ジアリルの溶媒和物、水和物及び立体異性体は、常法により製造することができる。
上記「生理学的に許容可能」とは、生理学的に許容され、生物体に投与されたとき、通常、胃腸障害、めまいなどのアレルギー反応またはこれと類似の反応を起こさずに、投与される化合物が目的とする効果を発揮し得る、通常使用されるものを意味する。
また、上記アリイン、ベルベリン及び硫化ジアリルは、天然物、化学的合成または微生物発酵などを通じて得ることができ、市販のものを購入して使用することもできる。
本発明の一つの態様は、前記飼料添加剤組成物を個体に投与する段階を含むメタン生成の低減方法を提供する。
以下、下記実施例及び実験例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし、下記実施例及び実験例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
製造例:反芻胃モデルの連続培養システム(Rumen simulation continuous culture system、RSCC)
1)バッファの製造(1L基準)
2Lの三角フラスコに蒸留水250mlを入れて微量のミネラル溶液(micromineral solution)0.12mlを添加して攪拌した後、蒸留水250mlを入れて20分間攪拌した。バッファ溶液(in vitro buffer solution)250mlを添加して10分間攪拌した後、大量のミネラル溶液(Macromineral solution)250mlを加え、15分間攪拌した。その後、レサズリン(resazurin)溶液1.25mlを添加して攪拌した。三角フラスコの入口をアルミホイルで塞ぎ、ハンゲート嫌気装置で二酸化炭素ガスで嫌気状態を維持(bubbling)しながら加熱した。溶液が沸騰し始めたら、約10分間さらに加熱して停止し、熱を冷やした。冷やした溶液にリダクションソリューション(reduction solution)50mlを添加してバッファを得た。完成されたバッファは、溶液の色が無色に変わることが確認された。
2)培養液の製造
採取した胃液を8枚重ねガーゼでろ過した後グラスウールでろ過した。濾過された胃液は二酸化炭素ガスで嫌気状態を維持(bubbling)した。これに、上記1)で製造したバッファを二酸化炭素ガスで嫌気状態を維持しながら、添加して胃液と混合した(胃液250ml、バッファ600ml)。
3)反芻胃モデルの連続培養システム(RSCC system)の稼働方法及び試験稼動
発酵槽に10gの基質を投入した。そして、前記1)で製造したバッファは嫌気状態を維持しながら、バッファ容器に投入した。二酸化炭素ガスを充填させたテドラーバッグ(Tedlar bag)をバッファ容器に連結し、バッファ容器に連結されたチューブは、発酵槽の蓋の中のバッファ投入口に連結した。そして、ガス捕集バッグに連結されたチューブを発酵槽の蓋の中のガス捕集口に連結(連結チューブは、ガス用チューブを使用)した。pH及び温度電極は、撹拌棒に触れないように注意しながら、電極が培養液に十分に届く程度入れて、発酵槽の蓋の中の飼料投入口に飼料投入管が培養液に十分に浸るぐらいに挿入した。発酵槽の蓋を発酵槽に連結し、真空用グリースとテフロン(登録商標)テープを用いて嫌気状態を維持した。発酵槽の蓋の中のガス捕集口を介して発酵槽の内部に二酸化炭素ガスを約10分間投入(発酵槽の内部を嫌気状態に変化、二酸化炭素ガスは、培養が開始されるまで引き続き送り込む)し、すべての機器の連結部は、真空用グリースとテフロン(登録商標)テープでシーリングした。すべての装置を連結させた後、蠕動ポンプを作動させ、発酵槽の内部にバッファを投入した。嫌気状態の培養液を飼料投入口を介して溢れる(overflow)まで発酵槽に投入した後、二酸化炭素ガスの投入を停止し、すべての入口を防いだ。循環水槽と発酵槽を連結し、39℃の温度でセットし、攪拌棒で99rpm〜102rpmで攪拌しながら培養を開始した。発酵槽の培養液は、pH6.8〜7.1、温度39℃〜40℃で一定に維持され、0.042h−1の turnover rateを維持した。基質のturnover rateは0.017h−1に維持された。
実施例1:メタン低減用の飼料添加剤によるメタン発生低減効果
下記、メタン発生低減効果の実験は、上記製造例3)の反芻胃モデルの連続培養システム(RSCC system)を用いて前記記載された稼働方法により進め、メタン低減用飼料添加剤は、基質添加時に基質と共に投入した。
1)硫化ジアリル(Diallyl disulfide, DADS)添加含量別メタン発生低減効果
反芻胃モデルの連続培養システムを適応期間(5日)の間稼働させた後、3日間対照区の総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。対照区の測定を完了した後、硫化ジアリル(Diallyl disulfide, DADS)を基質10g当たり0.1wt%、0.2wt%及び0.4wt%の割合で添加し対照区と同様に3日間毎日同じ時間に総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。一つの添加含量を検証するたびに、新たに採取した反芻胃液で適応期間を有した後、メタン低減率を測定し、測定結果を下記表1及び図1に示した。
上記表1及び図1に示されるように、硫化ジアリル添加含量を増加させるほど、反芻胃液のpHは低くなる傾向を示し、メタン発生量は対照区に比べて30.5%、65.2%、及び65.9%減少した。添加含量によるメタン低減率を比較したとき、0.2wt%と0.4wt%の添加含量によるメタン低減率は65%と類似しており、これは0.2wt%程度の硫化ジアリルを添加することが経済的に有利であることを意味する。
2)アリイン(Alliin)添加によるメタン発生低減効果
反芻胃モデルの連続培養システムを適応期間(5日)の間稼働させた後、3日間対照区の総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。対照区の測定を完了した後、アリイン(Alliin)を基質10g当たり0.5wt%の割合で添加し、対照区と同様に、3日間毎日同じ時間に総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。一つの添加量を検証するたびに、新たに採取した反芻胃液で適応期間を有した後、メタン低減率を測定し、測定結果を下記表2及び図2に示した。
上記表2と図2に示されるように、アリインを添加したとき、メタン低減率が21.9%で、前記実施例1)の硫化ジアリルよりは低い効果を示したが、pHは対照区と類似に維持された。したがって、アリインは、上記硫化ジアリルよりメタン低減効果は低かったが、反芻胃液内の安定化の面では、より効果的であることが示された。
3)硝酸塩(Nitrate)の添加含量別メタン低減効果
反芻胃モデルの連続培養システムを適応期間(5日)の間稼働させた後、3日間対照区の総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。対照区の測定を完了した後、硝酸塩を基質10g当たり0.35wt%、0.5wt%及び1.0wt%の割合で添加し、対照区と同様に3日間毎日同じ時間に総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。一つの添加量を検証するたびに、新たに採取した反芻胃液で適応期間を有した後、メタン低減率を測定し、測定結果を下記表3及び図3に示した。
上記表3及び図3に示されるように、硝酸塩を0.5wt%添加したとき、メタン低減効果が最も高く示された。
4)ユーカリ油(Eucalyptus oil)の添加によるメタン低減効果
反芻胃モデルの連続培養システムを適応期間(5日)の間稼働させた後、3日間対照区の総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。対照区の測定を完了した後、ユーカリ油(Eucalyptus oil)を基質10g当たり0.5wt%の割合で添加し、対照区と同様に、3日間毎日同じ時間に総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。測定結果は、下記表4及び図4に示した。
上記表4及び図4に示されるように、ユーカリ油(Eucalyptus oil)を添加したとき、メタン低減率が20.5%で、上記2)のアリイン0.5wt%と類似のメタン低減率が測定された。ユーカリ油は、アリインと同様に、同じ添加水準の硫化ジアリルよりメタン低減効果は低かったが、反芻胃液内の安定化の側面では、より効果的であった。
5)ベルベリン(Berberine)の添加含量別メタン低減効果
反芻胃モデルの連続培養システムを適応期間(5日)の間稼働させた後、3日間対照区の総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。対照区の測定を完了した後、ベルベリン(Berberine)を基質10g当たり0.1wt%、0.2wt%及び0.5wt%の割合で添加し、対照区と同様に、3日間毎日同じ時間に総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。一つの添加量を検証するたびに、新たに採取した反芻胃液で適応期間を有した後、メタン低減率を測定し、測定結果を下記表5及び図5に示した。
上記表5及び図5に示されるように、ベルベリンを0.5wt%添加したとき、メタン低減効果が45.5%と高く示されたが、乾物の消化率が有意に減少したため、0.5wt%未満の添加量が適正なレベルであると判断された。
6)硫化ジアリル(DADS)、硝酸塩(Nitrate)、ベルベリン(Berberine)及びユーカリ油(Eucalyptus oil)の混合添加剤組成物のメタン低減効果
それぞれ異なるメカニズムでメタン低減効果を示す硫化ジアリル、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油を混合添加したとき、メタン低減効果を測定し、四つ物質の相乗効果を確認した。硫化ジアリルとベルベリンを0.05wt%とし、硝酸塩とユーカリ油の添加含量を、添加含量比0.1wt%または0.2wt%と異にして測定した。反芻胃モデルの連続培養システムを適応期間(5日)の間稼働させた後、3日間対照区の総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。対照区の測定を完了した後、硫化ジアリル、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油の混合添加剤を基質10g当たり0.3wt%、または0.5wt%の割合で添加し、対照区と同様に、3日間毎日同じ時間に総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。一つの添加量を検証するたびに、新たに採取した反芻胃液で適応期間を有した後、メタン低減率を測定し、測定結果を下記表6及び図6に示した。
上記表6及び図6に示されるように、硫化ジアリル、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油を混合し添加してメタン低減率を確認した結果、各添加剤を単独添加したときよりメタン低減率が顕著に増加した。硫化ジアリルとベルベリンは、メタン生成微生物(methanogen)の成長を阻害することによって、硝酸塩はメタン生成に必要な水素を競って先取りすることによって、また、ユーカリ油はプロトゾア(protozoa)の数を減少させることによってそれぞれメタン発生量を減少させ、このような機能を有する四つの物質を混合することにより、各々少量で添加したにもかかわらず、相乗効果により45%以上のメタン低減率を示した。
7)アリイン(Alliin)、硝酸塩(Nitrate)、ベルベリン(Berberine)及びユーカリ油(Eucalyptus oil)の混合添加剤組成物のメタン低減効果
上記6)に表記した四つの混合添加剤のうち、硫化ジアリルの代わりにアリインを添加したときのメタン低減効果を測定し、四つの物質の相乗効果を確認した。アリイン、ベルベリン0.05wt%の添加含量に比べて硝酸塩とユーカリ油の添加量を0.1wt%、または0.2wt%と異にして測定した。反芻胃モデルの連続培養システムを適応期間(5日)の間稼働させた後、3日間対照区の総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。対照区の測定を完了した後、アリイン、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油の混合添加剤を基質10g当たり0.3wt%、または0.5wt%の割合で添加し、対照区と同様に3日間毎日同じ時間に総ガス発生量、メタン発生量、pH値を測定した。一つの添加量を検証するたびに、新たに採取した反芻胃液で適応期間を有した後、メタン低減率を測定し、測定結果を下記表7及び図7に示した。
上記表7及び図7に示されるように、アリイン、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油の混合添加剤組成物のメタン低減効果を測定した結果、各添加剤を単独添加したときよりメタン低減率が増加し、相乗効果が確認された。また、上記6)と7)の混合添加剤間のメタン低減率を比較して見ると、アリインよりは硫化ジアリルのメタン低減効果がより優れることが確認された。
実施例2:メタン低減用飼料添加剤が搾乳牛の生産性と反芻胃内メタン発生量に及ぼす影響の評価
下記、搾乳牛の飼養実験は、前記実施例1の6)で言及された硫化ジアリル(DADS)、硝酸塩(Nitrate)、ベルベリン(Berberine)及びユーカリ油(Eucalyptus oil)の混合添加剤組成物(Power-green premix)のメタン低減効果を酪農飼養試験により検証することを試み、これと共に酪農生産性に及ぼす影響も評価した。現場農家で搾乳牛が発生させるメタン発生量は、レーザーメタン検出器(Laser methane detector)を用いてリアルタイムでモニタリングした。
1)Power−green premix(硫化ジアリル、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油の混合添加剤組成物)が搾乳牛の腸内メタン発生量に及ぼす効果
前記実施例1の6)で言及された混合添加剤組成物のPower−green premix(硫化ジアリル:硝酸塩:ベルベリン:ユーカリ油=0.05wt%:0.1wt%:0.05wt%:0.1wt%)のメタン低減効果を検証するために、搾乳牛40頭を対照区(20頭)と処理区(20頭)に配置し、試験期間中に処理区にのみPower−green premixをトップドレッシング(topdressing)の形態で給与した。区間別のPower−green premixの給与量は、表8に示した。
レーザーメタン検出器は、半導体レーザを用いた近赤外線吸収分光法により空気中のメタンを検知する機器であり、ウシ群別搾乳牛が飼料を摂取したときに発生させるメタン発生量を測定した。レーザーメタン検出器の検知距離は30mで、メタンの密度データは1秒の間隔で5分間測定した。
混合添加剤組成物のPower−green premixを搾乳牛に継続的に給与した結果、Power−green premixの添加量とメタン低減効果が比例した。Power−green premixを1頭当たり25g/d給与した1区間では23.1%のメタン低減率を示し、50g/dずつ給与した2区間では36.6%のメタン低減率を示した(表9)。
上記表9と図8に示されるように、混合添加剤組成物のPower−green premixはin vitroだけでなく、in vivo試験でも、反芻動物の反芻胃内メタン発生量の低減効果があることを確認することができた。
2)Power−green premix(硫化ジアリル、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油混合添加剤組成物)が搾乳牛の生産性に及ぼす効果
前記実施例1の6)で言及された混合添加剤組成物のPower−green premixのメタン低減効果と共に、搾乳牛の生産性に与える影響を確認するために、対照区と処理区との間の乳量の変化を分析した。搾乳牛のグループ情報と乳量は表10に示した。
上記表10に示されるように、混合添加剤組成物のPower−green premixを給与した処理区は対照区に比べて乳量が減少する現象はなく、むしろ乳量が1.1%以上増加する結果を示した。この結果を通じて混合添加剤組成物のPower−green premixを25g/d〜50g/d以下給与する場合、反芻胃内の発酵性状に否定的な影響を及ぼさないことが確認された。
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形で実施されることができることを理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないものとして理解しなければならない。本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導き出されるあらゆる変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。

Claims (9)

  1. ルベリン(Berberine)を含むメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
  2. 前記組成物は、乾燥飼料に対する重量比として、ベルベリン0.005wt%〜5wt%の割合になるように飼料に添加される、請求項1に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
  3. 前記組成物は、アリイン、硫化ジアリル(Diallyl disulfide, DADS)、硝酸塩(Nitrate)及びユーカリ油(Eucalyptus oil)で構成される群から選択される一つ以上の成分をさらに含む、請求項1に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
  4. 前記組成物は、乾燥飼料に対する重量比として、硫化ジアリル0.005wt%〜4wt%、アリイン0.005wt%〜5wt%、硝酸塩0.01wt%〜0.5wt%、ベルベリン0.005wt%〜5wt%、またはユーカリ油0.01wt%〜5wt%の割合になるように飼料に添加される、請求項3に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
  5. 前記組成物は、硫化ジアリル、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油を含むことを特徴とする、請求項3に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
  6. 前記組成物は、乾燥飼料に対する重量比として、硫化ジアリル0.005wt%〜4wt%、硝酸塩0.01wt%〜0.5wt%、ベルベリン0.005wt%〜5wt%及びユーカリ油0.01wt%〜5wt%の割合になるように飼料に添加される、請求項5に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
  7. 前記組成物は、アリイン、硝酸塩、ベルベリン及びユーカリ油を含むことを特徴とする、請求項3に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
  8. 前記組成物は、乾燥飼料に対する重量比として、アリイン0.005wt%〜5wt%、硝酸塩0.01wt%〜0.5wt%、ベルベリン0.005wt%〜5wt%及びユーカリ油0.01wt%〜5wt%の割合になるように飼料に添加される、請求項7に記載のメタン生成低減用飼料添加剤組成物。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか一つの組成物を個体に投与する段階を含むメタン生成低減方法。
JP2016570820A 2014-06-02 2015-06-02 反芻動物のメタン生成低減用飼料添加剤組成物 Expired - Fee Related JP6620296B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR1020140067168A KR101656929B1 (ko) 2014-06-02 2014-06-02 반추동물의 메탄 생성 저감용 사료 첨가제 조성물
KR10-2014-0067168 2014-06-02
PCT/KR2015/005541 WO2015186956A1 (ko) 2014-06-02 2015-06-02 반추동물의 메탄 생성 저감용 사료 첨가제 조성물

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018200864A Division JP2019058170A (ja) 2014-06-02 2018-10-25 反芻動物のメタン生成低減用飼料添加剤組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017522008A JP2017522008A (ja) 2017-08-10
JP6620296B2 true JP6620296B2 (ja) 2019-12-18

Family

ID=54766981

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016570820A Expired - Fee Related JP6620296B2 (ja) 2014-06-02 2015-06-02 反芻動物のメタン生成低減用飼料添加剤組成物
JP2018200864A Withdrawn JP2019058170A (ja) 2014-06-02 2018-10-25 反芻動物のメタン生成低減用飼料添加剤組成物

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018200864A Withdrawn JP2019058170A (ja) 2014-06-02 2018-10-25 反芻動物のメタン生成低減用飼料添加剤組成物

Country Status (8)

Country Link
US (1) US10440975B2 (ja)
EP (1) EP3150073A4 (ja)
JP (2) JP6620296B2 (ja)
KR (1) KR101656929B1 (ja)
CN (1) CN106572683A (ja)
CA (1) CA2951015C (ja)
NZ (1) NZ727563A (ja)
WO (1) WO2015186956A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10729132B2 (en) * 2015-09-18 2020-08-04 Environmetal Intellectual Property, Inc. Xylophage control using antimethanogenic reagents
AU2018241231B2 (en) * 2017-03-28 2024-06-06 IRP Health Pty Ltd Berberine alkaloids in the prevention and/or treatment of intestinal disease
CA3065004A1 (en) * 2017-06-01 2018-12-06 Mootral Sa Animal feed supplement
CN110506848A (zh) * 2019-09-25 2019-11-29 兰州大学 一种降低反刍动物甲烷排放的饲料和方法
CA3201057A1 (en) 2020-12-08 2022-06-16 Mark Christopher LAY Improvements to devices and methods for delivery of substances to animals
CN113367236B (zh) * 2021-06-17 2022-11-01 中国农业科学院北京畜牧兽医研究所 调控反刍动物瘤胃微生物发酵的植物源天然化合物及其应用
CN113575768B (zh) * 2021-06-23 2023-09-15 中国农业科学院北京畜牧兽医研究所 用于调控反刍动物瘤胃发酵气体产量的组合物及其用途
US20240060959A1 (en) * 2022-08-19 2024-02-22 Arkea Bio Corp. Continuous methane monitoring device

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4809225B2 (ja) * 2003-08-28 2011-11-09 オーストラリアン・バイオメディカル・カンパニー・プロプライアタリー・リミテッド 獣医学および医学用途のための組成物
KR100679153B1 (ko) 2004-08-26 2007-02-05 진주산업대학교 산학협력단 반추동물의 메탄 생성량을 억제하기 위한 사료조성물
CN101107969A (zh) 2007-08-15 2008-01-23 窦观一 替代粮食减少温室气体的节粮型饲料
ES2332859B1 (es) 2008-06-12 2010-09-22 Carotenoid Technologies, S.A. Procedimiento para mejorar el estado general de los rumiantes.
CN102123737B (zh) * 2008-06-13 2014-01-01 西马生物医学计划公司 用于生物活性化合物施用的轭合物
CN102573512A (zh) * 2009-07-13 2012-07-11 潘可士玛股份公司 含有丁子香酚、肉桂醛和葱提取物的食物添加物
UY32802A (es) * 2009-07-23 2011-01-31 Provimi Holding B V Composiciones para reducir la metanogénesis gastrointestinal en rumiantes
KR20110036470A (ko) * 2009-10-01 2011-04-07 강원대학교산학협력단 반추동물의 메탄가스 생성 저감용 사료 및 저감 방법
NZ600516A (en) * 2009-12-11 2014-01-31 Dsm Ip Assets Bv Nitrooxy alkanoic acids and derivatives thereof in feed for reducing methane emission in ruminants, and/or to improve ruminant performance
JP5984189B2 (ja) * 2010-12-20 2016-09-06 ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. 反芻動物のメタン排出低減および/または反芻動物の生産性向上のための飼料中でのニトロオキシ有機分子の使用
CN106620189B (zh) 2012-06-06 2021-11-19 上海交通大学 改善肠道菌群结构的方法及应用

Also Published As

Publication number Publication date
KR20150139142A (ko) 2015-12-11
US20170196240A1 (en) 2017-07-13
KR101656929B1 (ko) 2016-09-13
EP3150073A1 (en) 2017-04-05
WO2015186956A1 (ko) 2015-12-10
US10440975B2 (en) 2019-10-15
EP3150073A4 (en) 2018-01-10
JP2017522008A (ja) 2017-08-10
NZ727563A (en) 2018-05-25
CA2951015A1 (en) 2015-12-10
JP2019058170A (ja) 2019-04-18
CN106572683A (zh) 2017-04-19
CA2951015C (en) 2019-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6620296B2 (ja) 反芻動物のメタン生成低減用飼料添加剤組成物
JP5786221B2 (ja) 反芻動物のメタン排出を減少させ、および/または反芻動物の能力を改善するための、飼料中のニトロオキシアルカン酸およびその誘導体
CN101076253A (zh) 宿醉治疗和减轻酒精的组合物
CA2910039C (en) Use of tall oil fatty acid in enhancing rumen fermentation and lowering rumen methane production
JPWO2008149992A1 (ja) ルーメン発酵改善剤
CN105581364A (zh) 一种虾青素微胶囊的制备方法及在卷烟烟丝中的应用
RU2527347C1 (ru) Стабильная жидкая фармацевтическая композиция комплекса 3-(2,2,2-триметилгидразиний) пропионат-2-этил-6-метил-3-гидроксипиридина дисукцината, обладающая антигипоксическим, антиоксидантным и адаптогенным действием
KR20140055882A (ko) 온실가스 저감용 친환경 반추동물용 가축사료
CN1345191A (zh) 微溶性iia族络合物的酸性溶液
ES2769893T3 (es) Formulaciones de compuestos orgánicos volátiles que tienen actividad antimicrobiana
KR20100101503A (ko) 의성마늘황토메기
CN105748358B (zh) 一种沉香精华赋活水及其制备方法
JP2008255079A (ja) 微生物を用いた基礎化粧品液相成分の製造方法
JP5192108B2 (ja) 反芻動物用のメタン生成抑制用組成物及び飼料用組成物
KR100850282B1 (ko) 클로렐라 육계 생산을 위한 양계용 급수시스템
CN111771905B (zh) 一种固态过氧化氢及其制备方法和应用
CN102634545A (zh) 一种利用蔗糖糖蜜发酵生产l-苹果酸的方法
EP2893815A1 (en) Assorted livestock feed with enhanced nutrients and method of preparing the same
CN102067902A (zh) 肉制品保鲜剂
CN1217671C (zh) 鱼脑油及其提取方法
CN105596290A (zh) 一种硫酸软骨素注射液及其制备方法
KR101808957B1 (ko) 시니그린을 포함하는 반추동물의 메탄 생성 저감용 사료 첨가제 조성물
JPH072688A (ja) 腸内有毒腐敗産物抑制剤
CN107259107A (zh) 一种复合菌及其复合菌群、复合菌群饲料
Videv et al. Opportunities to reduce methane emissions (CH 4) in the digestive processes of ruminant animals. Review.

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170131

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171024

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180326

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180626

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20191016

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191017

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20191017

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6620296

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees