JP6618306B2 - アンクル、調速脱進機、トゥールビヨン、ムーブメント及び時計 - Google Patents
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Description
しかしながら、上述した構成にあっては、アンクル真の軸方向から見た平面視でのアンクルの小型化を図ることに限界がある。
この構成によれば、クワガタをアンクルサオの先端部に接続する構成に比べて平面視でのアンクルの小型化を図ることができると考えられる。
本発明に係るアンクルは、軸受に回動可能に支持されたアンクル真と、前記アンクル真に設けられたアンクル基部と、前記アンクル基部に取り付けられた一対のつめ石と、前記アンクル基部から前記アンクル真の径方向に延設された一対のクワガタと、前記アンクル真の軸方向から見た平面視で、前記一対のクワガタの内側に位置するとともに、前記径方向に延設された剣先と、前記径方向のうち前記剣先の延在方向を第1方向とすると、前記第1方向において、前記剣先の基端部よりも前記アンクル真側に配置されたアンクルサオと、を備え、前記第1方向及び前記軸方向に直交する方向を第2方向とすると、前記第2方向から見た側面視で、前記クワガタ及び前記一対のつめ石が前記第1方向に順に配置され、前記アンクル基部には、前記軸方向に窪むとともに、少なくとも前記軸受を収容する軸受収容部が形成されていることを特徴とする。
しかも、アンクル基部に形成された軸受収容部内に軸受が収容されるので、軸受とアンクル基部との軸方向の距離を縮小することができる。
この構成によれば、クワガタから離れた位置にアンクルサオを配置することで、アンクルを調速脱進機に搭載した場合、てんぷのてん真から離れた位置にアンクルサオを配置することができる。これにより、アンクルサオのメンテナンスを行い易くなる。
この構成によれば、アンクル基部、クワガタ及びアンクルサオが一体に形成されているため、それぞれを別々に形成する場合に比べてアンクルを高精度に形成できる。
この構成によれば、上記本発明のアンクルを備えているため、調速脱進機の小型化及び薄型化が可能になる。例えば、軸受が軸受収容部内に収容されるので、アンクル・がんぎ受とアンクルとの軸方向の距離を縮小することができる。その結果、てんぷとアンクルとを軸方向で接近させることができ、調速脱進機の薄型化が実現できる。
この構成によれば、ドテピンにくびれ部が形成されているため、くびれ部を起点にドテピンを屈曲させ易くすることができる。これにより、ドテピンとアンクルサオとの間の間隔が調整し易くなり、アンクルの回動範囲(作動角)を容易に調整できる。その結果、メンテナンス性を向上させることができる。
この構成によれば、振り石をてん輪に設けることで、振り座の大つばに振り石を設ける場合に比べててんぷの薄型化を実現でき、ひいては調速脱進機の薄型化を図ることができる。
この構成によれば、トゥールビヨンのように部品点数が多く大型化しやすい構成に上記本発明の調速脱進機を採用することで、小型化及び薄型化が顕著に奏功される。
本発明に係る時計は、上記本発明のムーブメントを備えていることを特徴とする。
この構成によれば、小型化及び薄型化を図ったムーブメント及び時計を提供できる。
[時計]
図1は、時計1の外観図である。なお、以下に示す各図では、図面を見やすくするため、時計用部品のうち一部の図示を省略しているとともに、各時計用部品を簡略化して図示している。
図1に示すように、本実施形態の時計1は、時計ケース3内に、ムーブメント10や時刻に関する情報を示す目盛り等を有する文字板4(図2参照)、各種指針(何れも不図示)等が組み込まれて構成されている。
ムーブメント10は、地板11(図2参照)と、表輪列12と、トゥールビヨン13と、主に備えている。地板11の図示しない巻真案内穴には、巻真15が組み込まれている。巻真15は、その軸線周りに回転可能、かつ軸方向に移動可能とされている。なお、巻真15の一端部(ムーブメント10に対して突出した部分)には、時計ケース3の側方に位置するりゅうず16が取付けられている。なお、以下の説明では、ムーブメント10の基板を構成する地板11に対して文字板4側をムーブメント10の「裏側」と称し、文字板4側とは反対側をムーブメント10の「表側」と称する。また、以下で説明する各歯車は、何れもムーブメント10の表裏面方向を軸方向として設けられている。
図1、図2に示すように、表輪列12は、香箱車21と、二番車22と、三番車23と、四番車24と、を備えている。図2に示すように、表輪列12のうち香箱車21は、地板11と、地板11に対して表側に対向配置された香箱受25と、の間で回転可能に支持されている。表輪列12のうち、二番車22、三番車23及び四番車24は、地板11と、地板11に対して表側に対向配置された輪列受26と、の間で回転可能に支持されている。
四番車24は、三番車23の回転によって回転する。
図1に示すように、トゥールビヨン13は、キャリッジユニット41と、固定歯車42と、キャリッジユニット41と四番車24とを接続する五番車43と、を備えている。
図4は、図1のIV−IV線に相当する断面図である。
図3、図4に示すように、キャリッジユニット41は、地板11に対して表側に配置された表キャリッジ受45と、地板11に対して裏側に配置された裏キャリッジ受46と、の間で回転可能に支持されている。なお、各キャリッジ受45,46は、連結ピン50(図3参照)によって地板11に固定されている。
五番車43は、表キャリッジ受45と固定歯車42との間で回転可能に支持されている。五番車43は、四番車24の四番歯車に噛合している。したがって、五番車43は、四番車24の回転によって回転する。
表キャリッジベース52aは、キャリッジ地板51に表側から固定されている。
表キャリッジ軸52bは、固定歯車42を貫通するとともに、その表側端部が表キャリッジ受45に回転可能に支持されている。図3に示すように、表キャリッジ軸52bのキャリッジかな52cは、五番車43に噛合している。したがって、キャリッジユニット41は、五番車43の回転によって回転する。
裏キャリッジベース53aは、後述するてんぷ受65に裏側から固定されている。
裏キャリッジ軸53bは、その裏側端部が裏キャリッジ受46に回転可能に支持されている。なお、各キャリッジ52,53は、それぞれのキャリッジ軸52b,53bが固定歯車42と同軸上に配置されている。
図1、図3、図4に示すように、調速脱進機54は、てんぷ61と、がんぎ車62と、アンクル63と、を備えている。
図3、図4に示すように、てんぷ61は、キャリッジ地板51と、キャリッジ地板51に対して裏側に対向配置されたてんぷ受65と、の間で回転可能に支持されている。なお、てんぷ受65は、連結ピン60(図3参照)によってキャリッジ地板51に連結されている。
てんぷ61は、てん真66と、てん真66を軸支する軸受67a,67bと、てん真66に取り付けられたてん輪67と、てん真66とてん輪67との間に配置されたひげぜんまい68と、を備えている。
ひげぜんまい68は、てん真66の軸方向から見た平面視で渦巻状の平ひげである。ひげぜんまい68は、その内端部がひげ玉79を介しててん真66に連結され、外端部が図示しないひげ持に連結されている。
がんぎ歯車部84は、その外周面に複数の歯部が設けられている。
がんぎかな83は、上述した固定歯車42に噛合している。したがって、がんぎ車62は、キャリッジユニット41の回転によって固定歯車42の周囲を公転しながら自転する。
図4に示すように、アンクル63は、てんぷ61とがんぎ車62との間を接続している。アンクル63は、キャリッジ地板51と、アンクル・がんぎ受81と、の間で往復回動可能に支持されている。具体的に、アンクル63は、アンクル真85と、アンクル真85に固定されたアンクル体86と、アンクル体86に固定されたつめ石87,88及び剣先89と、を備えている。
図6は、アンクル63を裏側から見た斜視図である。
図7は、アンクル63の断面図である。
図5〜図7に示すように、アンクル体86は、アンクル基部93と、クワガタ接続部94と、クワガタ95と、アンクルサオ96と、を備えている。なお、これらアンクル基部93、クワガタ接続部94、クワガタ95及びアンクルサオ96は電鋳加工等によって一体で形成されている。
図1に示すように、香箱車21からの動力が表輪列12を伝って五番車43に伝達されると、五番車43が回転する。五番車43の動力は、キャリッジかな52cに伝達されることで、キャリッジユニット41全体がキャリッジ52,53のキャリッジ軸52b,53b周りに回転する。キャリッジユニット41が回転することで、キャリッジ軸52b,53bと同軸上に配置されたてんぷ61がキャリッジ軸52b,53b周りに自転する。これにより、てんぷ61に作用する重力の方向の影響を平準化することができ、重力の方向によりてんぷ61の振動周期が変化するのを抑制する。なお、キャリッジユニット41は、60秒に1回転するように設定されている。
この構成によれば、従来のようにアンクル基部93の延在方向に交差する方向にアンクルサオ96を接続し、このアンクルサオ96の先端部にクワガタ95を接続する構成に比べて、軸方向から見た平面視において、アンクル基部93の延在方向に交差する方向でのアンクル63の小型化を図ることができる。
しかも、本実施形態では、アンクル基部93に形成された軸受収容部120に軸受90bが収容されるので、軸受90bとアンクル基部93との軸方向の距離を縮小できる。
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。上述した実施形態では、剣先89の延在方向P1と、アンクルサオ96の延在方向P2と、がアンクル真85を通る同一直線上に配置された構成について説明したがこれに限られない。剣先89の延在方向P1及びアンクル63の軸方向に直交する方向Qから見た側面視において、クワガタ95、つめ石87,88及びアンクルサオ96が剣先89の延在方向P1に沿って順番に並んでいれば構わない。
例えば、図9に示すアンクル150のように、剣先89の延在方向P1と、アンクルサオ96の延在方向P2と、が交差していても構わない。また、剣先89の延在方向P1は、アンクル基部93の延在方向や径方向に一致していなくても構わない。すなわち、剣先89の延在方向P1は、アンクル基部93の延在方向や径方向に交差していても構わない。
例えば、上述した実施形態では、トゥールビヨン13を備えたムーブメント10に本発明のアンクルを備えた調速脱進機を搭載した構成について説明したが、これに限られない。
また、ムーブメント10において、各歯車のレイアウト等は適宜変更が可能である。
また、上述した実施形態では、軸受収容部120が軸受90bとアンクル・がんぎ受81の一部を収容する構成について説明したが、少なくとも軸受90bの一部を収容していれば構わない。
10…ムーブメント
13…トゥールビヨン
52…表キャリッジ(キャリッジ)
52b…表キャリッジ軸(キャリッジ軸)
53…裏キャリッジ(キャリッジ)
53b…裏キャリッジ軸(キャリッジ軸)
54…調速脱進機
61…てんぷ
62…がんぎ車
63…アンクル
66…てん真
67…てん輪
76…振り石
85…アンクル真
87…入つめ石(つめ石)
88…出つめ石(つめ石)
89…剣先
95…クワガタ
96…アンクルサオ
114…ドテピン
115…ドテピン
120…軸受収容部
150…アンクル
151…アンクル
Claims (8)
- 軸受に回動可能に支持されたアンクル真と、
前記アンクル真に設けられたアンクル基部と、
前記アンクル基部に取り付けられた一対のつめ石と、
前記アンクル基部から前記アンクル真の径方向に延設された一対のクワガタと、
前記アンクル真の軸方向から見た平面視で、前記一対のクワガタの内側に位置するとともに、前記径方向に延設された剣先と、
前記径方向のうち前記剣先の延在方向を第1方向とすると、前記第1方向において、前記剣先の基端部よりも前記アンクル真側に配置されたアンクルサオと、を備え、
前記第1方向及び前記軸方向に直交する方向を第2方向とすると、前記第2方向から見た側面視で、前記クワガタ及び前記一対のつめ石が前記第1方向に順に配置され、
前記アンクル基部には、前記軸方向に窪むとともに、少なくとも前記軸受を収容する軸受収容部が形成されているアンクルと、
往復回動可能に構成されるとともに、前記クワガタにより画成されたアンクルハコに係脱可能な振り石を有するてんぷと、
回転可能に構成されるとともに、前記つめ石が係脱可能ながんぎ車と、
前記アンクル真の軸方向から見た平面視で、前記アンクルサオの両側に配置されて前記アンクルの回動範囲を制限するドテピンと、を備え、
前記ドテピンが前記てんぷの最外径よりも外側に配置され、
前記アンクルサオは、前記軸方向に沿う断面視において、前記アンクル基部に対して前記てんぷ側にオフセットした位置で径方向に延設されていることを特徴とする調速脱進機。 - 前記アンクルは、前記側面視において、前記つめ石に対して前記第1方向の一方側に前記クワガタが配置され、
前記つめ石に対して前記第1方向の他方側に前記アンクルサオが配置されていることを特徴とする請求項1記載の調速脱進機。 - 前記アンクルは、前記アンクル基部、前記クワガタ及び前記アンクルサオが一体に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の調速脱進機。
- 前記ドテピンには、くびれ部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の調速脱進機。
- 前記てんぷは、
往復回動可能なてん真と、
前記てん真に設けられたてん輪と、を備え、
前記振り石は、前記てん輪に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の調速脱進機。 - 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の調速脱進機と、
前記調速脱進機が搭載されるとともに、キャリッジ軸周りに回転可能なキャリッジと、を備えていることを特徴とするトゥールビヨン。 - 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の調速脱進機を備えていることを特徴とするムーブメント。
- 請求項7に記載のムーブメントを備えることを特徴とする時計。
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