(A)第1の実施形態
以下、本発明による現金処理機、端末装置、及び現金処理システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、この実施形態の現金処理システム1000の全体構成について示したブロック図である。図2は、現金処理機10の概略断面図である。
図1に示す現金処理システム1000には、1つの現金処理機10と1つの端末装置20が配置されているが、各装置の配置数は限定されないものである。例えば、1つの現金処理システム1000に対して複数の端末装置20を接続するようにしてもよい。現金処理機10と端末装置20との間はインタフェース30により接続されている。インタフェース30の構成は限定されないものであり、例えば、LANインタフェース(LANケーブルやスイッチやルータ等により構成されたネットワーク)やUSBインタフェース(例えば、USBケーブル)等を適用することができる。
現金処理システム1000は、金融機関の営業店などで、現金の管理に用いられるシステムである。現金処理機10は、金融機関の受付窓口員などのオペレータによる操作に基づいて金銭の出金や入金等を実行する装置である。現金処理機10自体を直接操作することも可能であるが、金融機関の受付窓口員は、主として端末装置20を介して現金処理機10を操作する。
次に、現金処理機10の詳細構成について図1、図2を用いて説明する。
図1に示すように、現金処理機10は、制御部11、記憶部12、現金処理部13、及び操作表示部14を有している。
操作表示部14は、オペレータへの情報出力、及びオペレータからの操作受付を行うためのインタフェース(ユーザインタフェース)の機能を担っている。操作表示部14に適用する具体的なデバイス構成は限定されないものであるが、例えば、タッチパネルディスプレイ等の種々のデバイスを用いることができる。この実施形態では、操作表示部14は、タッチパネルディスプレイ等により操作画面(GUI画面)を表示(例えば、メニュー画面や処理結果画面を表示)して、オペレータへの情報出力及びオペレータからの操作受付が可能な構成となっているものとして説明する。なお、操作表示部14は、さらに図示しないハードウェアボタン、スイッチ、レバー等を備えるようにしてもよい。
現金処理部13は、オペレータから投入された現金の入金処理や収納された現金の出金処理等を行う装置である。
制御部11は、現金処理機10の全体を制御する機能を担っている。制御部11は、例えば、入金、出金、回収、および整理計数などの処理を制御する。また、制御部11は、操作表示部14からオペレータに指示された処理(動作)、または端末装置20からオペレータに指示された処理を実行するよう現金処理機10全体を制御する。
記憶部12は、制御部11等の処理で用いられるデータを記憶する記憶手段である。この実施形態において、記憶部12には、認証処理に用いられるパスワードデータ121が記憶されている。
制御部11及び記憶部12は、例えば、プロセッサ、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータに実施形態に係る制御プログラムをインストールすることにより実現するようにしてもよい。
図2は、現金処理機10の概略断面図である。図2では、現金処理部13及び操作表示部14が図示されている。
現金処理部13は、紙幣を投入する入金口1、紙幣を排出する出金口2、一時保留部3、紙幣認識部4、搬送部5、紙幣カセット6A〜6D、及び紙幣カセット7を有する。また、紙幣カセット7は、紙幣収納庫8およびリジェクト庫9を有する。
入金口1は、オペレータが紙幣を投入する投入口である。入金口1には、開口部を開閉するシャッター(不図示)が設けられる。また、入金口1は、束で投入された紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す分離機能を有する。
出金口2は、オペレータが受け取る紙幣が排出される排出口である。出金口2には、開口部を開閉するシャッター(不図示)が設けられる。また、出金口2は、排出する紙幣を集積する集積機能を有する。
入金口1は、上述した通り、投入された紙幣を1枚ずつ繰り出す分離機能を有する。また、出金口2は、上述した通り、排出する紙幣を集積する集積機能を有する。
一時保留部3は、紙幣の分離と集積の両方の機能を有する。例えば、一時保留部3は、入金取引時に入金口1から分離されて紙幣認識部4により正常と鑑別された紙幣を一時的に集積する。一時保留部3に集積された紙幣は、入金した紙幣の口座計上などが確定したなど、取引が成立した場合に繰り出され、紙幣認識部4を経て紙幣カセット6A〜6Dなどに搬送される。
紙幣認識部4は、1枚ずつ通過していく紙幣の鑑別を行う。紙幣の進行方向は双方向に対応しており、紙幣認識部4は、入金口1方向から搬送される紙幣、およびその逆方向から搬送される紙幣の鑑別を行うことができる。
搬送部5は、紙幣を搬送する各搬送路、各搬送ローラ、および各搬送路を駆動する駆動機構を含む。駆動機構は、例えばDCサーボモータまたはパルスモータなどが回転することにより、搬送路を駆動する。搬送部5は、制御部11により制御され、紙幣を目的の搬送先に搬送する。
紙幣カセット6A〜6Dは、紙幣を金種毎に収納可能な紙幣収納部であって、紙幣の集積および分離の両方の機能を有する。また、紙幣カセット6A〜6Dは、同一金種のための複数の紙幣カセットを含んでもよい。また、紙幣カセット6A〜6Dは、現金処理機10に対して着脱可能な構造になっており、個別に交換することで紙幣カセット6A〜6Dに紙幣を装填することも可能である。
紙幣カセット7は、上側に紙幣収納庫8、下側(底部)にリジェクト庫9を備える。また、紙幣カセット7は、現金処理機10に対して着脱可能な構造になっており、個別に交換することで、紙幣の回収および補充が可能である。
紙幣収納庫8は、紙幣を集積する集積機能および1枚ずつ繰り出す分離機能を有する。また、紙幣収納庫8は、カセット計数回収時に各紙幣カセット6A〜6Dから分離された紙幣を集積し、紙幣を回収することができる。また、紙幣収納庫8は、カセット計数補充に、収納している紙幣を繰り出し、紙幣カセット6に紙幣を補充することができる。
リジェクト庫9は、紙幣を集積する集積機能のみ有する。リジェクト庫9は、紙幣認識部4によって異常と鑑別(リジェクト判定)された紙幣(リジェクト紙幣)を集積するための紙幣収納部である。
次に、端末装置20の詳細構成について説明する。
端末装置20は、例えば、PC等のコンピュータに、実施形態に係る端末プログラムをインストールすることにより構成される装置である。端末装置20の機能的構成は、例えば、図1のように図示することができる。
この実施形態において、端末装置20は、制御部21、記憶部22、及び操作表示部23を有している。
制御部21は、端末装置20全体の制御機能、及び現金処理機10との通信機能等を担っている。記憶部22は、制御部21の処理等で用いられるデータを記憶する記憶手段である。制御部21及び記憶部22は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータを用いて実現するようにしてもよい。
制御部21には、現金処理機10に関するプログラム(実施形態に係る情報処理プログラム)として、アプリケーション211、制御ドライバ212、及び通信ドライバ213がインストールされているものとする。
操作表示部23は、オペレータへの情報出力、及びオペレータからの操作受付を行うためのインタフェース(ユーザインタフェース)の機能を担っている。操作表示部23に適用する具体的なデバイス構成は限定されないものであるが、例えば、図示しないディスプレイ、キーボード、マウス等の種々のデバイスを組み合わせた構成とするようにしてもよい。この実施形態では、操作表示部14は、オペレータに操作画面(GUI画面)を表示(例えば、メニュー画面や処理結果画面を表示)して、オペレータへの情報出力及びオペレータからの操作受付が可能な構成となっているものとして説明する。
次に、制御部21(制御部21上で動作するプログラム)の詳細構成について説明する。
図1に示すように、制御部21では、アプリケーション211、制御ドライバ212、通信ドライバ213という3つのプログラムがインストールされているものとする。
通信ドライバ213は、インタフェース30を介して現金処理機10と通信するためのドライバである。
制御ドライバ212は、通信ドライバ213を用いて現金処理機10と通信し、現金処理機10を制御(例えば、種々のコマンド送信による制御)するためのドライバである。制御ドライバ212は、アプリケーション211からの指示により、現金処理機10に対する制御(例えば、コマンド送信)を行う。
アプリケーション211は、操作表示部23を用いてユーザからの操作受付及びユーザへの情報出力の機能を担っている。ここでは、アプリケーション211は、操作表示部23に操作画面(GUI画面)を表示させてユーザからの入力(例えば、マウスやキーボードを用いた入力)を受付ける処理を行うものとする。そして、アプリケーション211は、ユーザによる操作画面の操作に応じて、制御ドライバ212を介して現金処理機10に種々の処理(例えば、入金処理、出金処理、各種設定変更処理等)を実行させる。
次に、現金処理システム1000における権限ごとのパスワード管理の構成について説明する。
図1に示すように、現金処理システム1000では、オペレータから現金処理機10が処理実行の操作(端末装置20を用いた間接的な操作も含む)を受付ける際の認証情報としてパスワードデータ121が現金処理機10の記憶部12に記憶されている。
図3は、パスワードデータ121の構成例をテーブル形式で示した説明図である。
パスワードデータ121は、操作権限のレベル(以下、「処理権限レベル」と呼ぶ)ごとのパスワードが定義されたデータである。
図4は、各処理権限レベルの権限及びパスワードの構成について示した説明図である。
この実施形態では、図3、図4に示すように、現金処理機10の操作権限は1〜4の4つのレベルが設定されており、処理権限レベルの数が上がるほど広い(高い)操作権限が設定されているものとする。現金処理機10では、オペレータからの操作を受付ける際に、その操作ごとに最低限必要な操作権限のレベルが設定されているものとする。言い換えると、現金処理機10では、操作を受付ける際にパスワードを用いた認証を行い、認証したパスワードに対応する処理権限レベルに応じて受付(入力)可能な操作の範囲が異なる。例えば、処理権限レベル3のパスワードで認証を行った場合、現金処理機10(制御部11)では、処理権限レベルが3以下の処理のみ受付け可能であり、処理権限レベル4以上の操作については受付けできない。
この実施形態の現金処理機10では、図3、図4に示すように、パスワードのみで認証を行う構成となっており、オペレータごとや処理権限レベルごとのユーザID等は定義されていない。なお、現金処理機10において、例えば、オペレータごとや処理権限レベルごとにIDを付与して、IDとパスワードの組み合わせを照合して認証を行うようにしてもよい。
各処理権限レベルのパスワード桁数は図3の例に限定されず任意の組み合わせとしてもよい。また、現金処理機10において、各処理権限レベルのパスワード桁数をオペレータの操作により変更可能とするようにしてもよい。
一般的にパスワード桁数は多い程セキュリティは向上するので、処理権限レベルが高い程、パスワード桁数を多くすることが望ましい。図3、図4の例においても、処理権限レベルが高くなるほど、パスワード桁数も多くなっている。
この実施形態では、図4に示すように、処理権限レベル1は銀行(金融機関)における一般行員が利用することを想定している。処理権限レベル1の処理としては、例えば、入金・出金等の一般的な取引(行員が日常業務で行う取引)処理が該当する。
また、この実施形態では、図4に示すように、処理権限レベル2は銀行(金融機関)におけるマネージャクラスの行員が利用することを想定している。処理権限レベル2の処理としては、例えば、現金処理機10の運用に関する設定の変更処理(例えば、カセットの構成の変更等)が該当する。
さらに、この実施形態では、図4に示すように、処理権限レベル3は現金処理機10の保守員が利用することを想定している。処理権限レベル3の処理としては、例えば、現金処理機10のセキュリティに関する設定変更処理(例えば、保守員は紙幣の認識率変更等の操作)が該当する。
さらにまた、この実施形態では、図4に示すように、処理権限レベル4は販売元(メーカ)の担当者が利用することを想定している。処理権限レベル4の処理としては、例えば、処理権限レベル1〜3の全てのパスワードクリア(初期化)が該当する。
以上のように第1の実施形態の現金処理機10では、記憶部12によりパスワード(パスワードデータ121)を保持するパスワード保持手段として機能する。また、現金処理機10では、制御部11が、処理実行する際に当該処理に対応する処理権限レベルのパスワードを用いた認証処理を行う認証手段として機能する。さらに、現金処理機10では、制御部11が、認証に成功した処理を実行する処理実行手段として機能する。
さらに、第1の実施形態の端末装置20では、制御部21のアプリケーション211が現金処理機10に対して実行させる処理の入力を受ける処理受付手段として機能する。また、端末装置20では、操作表示部23により、制御部21のアプリケーション211が、受付けた処理の処理権限レベルに対応する桁数のパスワード入力を受けるパスワード受付手段として機能する。さらに、端末装置20では、認証が成功した場合に入力を受けた処理実行を現金処理機10に指示する処理実行指示手段として機能する。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の現金処理システム1000の動作を説明する。
まず、端末装置20でオペレータからいずれかの処理について操作受付した場合の動作について説明する。
まず、オペレータにより、端末装置20上でアプリケーション211に対する操作(操作表示部23を介した操作)が開始され、いずれかの処理が選択されたものとする(S101)。
アプリケーション211が、オペレータから実行しようとする処理選択を受付ける画面の構成については限定されないものであるが、例えば、図6のようなメニュー画面(以下、「処理選択メニュー画面」と呼ぶ)としてもよい。図6に示す処理選択メニュー画面では、処理ごとに選択を受付けるためのボタンB101〜B106が配置されている。
図6に示す処理選択メニュー画面では、処理権限レベル1の入金取引処理を選択するためのボタンB101、処理権限レベル1の出金取引処理を選択するためのボタンB102、処理権限レベル2のカセット構成変更処理を選択するためのボタンB103、処理権限レベル3の認識設定変更処理を選択するためのボタンB104、及び処理権限レベル4のパスワードクリア処理を選択するためのボタンB105が配置されている。
なお、図6の処理選択メニュー画面では、説明を簡易とするための処理権限レベル1〜4のそれぞれの処理を受付けるためのボタンを1つのメニュー画面に配置した構成となっているが、アプリケーション211がオペレータから処理選択を受付けるメニュー画面は複数画面を階層化した構成とする等、選択可能な処理の数に応じて適切な構造とするようにしてもよい。
オペレータによりいずれかの処理が選択されると、端末装置20のアプリケーション211は、選択された処理の処理権限レベルを確認する(S102)。例えば、アプリケーション211に、予め各処理の処理権限レベルの情報が登録しておき、アプリケーション211はその情報を参照してオペレータにより選択された処理の処理権限レベルを確認するようにしてもよい。
オペレータに選択された処理が、処理権限レベル1の処理だった場合には、パスワード入力は不要(パスワードが0桁)であるため、アプリケーション211は、パスワード入力を要求せずに後述するステップS110の処理に移行する。
また、選択された処理が処理権限レベル2の処理だった場合、アプリケーション211は、処理権限レベル2に対応する4桁のパスワード入力を受付けるためのパスワード入力画面を操作表示部23に表示させる(S103)。
さらに、選択された処理が処理権限レベル3の処理だった場合、アプリケーション211は、処理権限レベル3に対応する6桁のパスワード入力を受付けるためのパスワード入力画面を操作表示部23に表示させる(S104)。
さらにまた、選択された処理が処理権限レベル4の処理だった場合、アプリケーション211は、処理権限レベル4に対応する8桁のパスワード入力を受付けるためのパスワード入力画面を操作表示部23に表示させる(S105)。
次に、アプリケーション211は、ステップS103〜S104のいずれかで表示したパスワード入力画面でパスワード入力を受付ける(S106)。
図7は、パスワード入力画面の構成例について示した説明図である。
図7(a)は、4桁のパスワード入力を受付けるためのパスワード入力画面の構成例である。図7(a)では、4桁のパスワード入力を受付けるためのフィールドF201と、パスワード入力の完了を受付けるOKボタンB201が配置されている。
図7(b)は、6桁のパスワード入力を受付けるためのパスワード入力画面の構成例である。図7(b)では、6桁のパスワード入力を受付けるためのフィールドF202と、パスワード入力の完了を受付けるOKボタンB201が配置されている。
図7(c)は、8桁のパスワード入力を受付けるためのパスワード入力画面の構成例である。図7(c)では、8桁のパスワード入力を受付けるためのフィールドF203と、パスワード入力の完了を受付けるOKボタンB201が配置されている。
アプリケーション211は、パスワード入力画面を表示すると、表示したパスワード入力画面に対応する桁数のパスワード入力を受付ける処理を行う。また、図7の各パスワード入力画面ではパスワード入力を受付けるフィールドに入力済の数字を表示する構成となっているが、入力済の数字をマスクした表示(例えば、入力済の数字を「*」等の記号に置き換えて表示)とするようにしてもよい。
パスワード入力画面でのパスワードの入力が完了すると、アプリケーション211は、入力されたパスワードの桁数が、表示したパスワード入力画面で入力要求した桁数と一致しているか否かを確認する(S107)。アプリケーション211は、入力されたパスワードが入力要求した桁数と一致しない場合は、上述のステップS103〜S105のいずれかに戻って再度同じ桁数のパスワード入力画面を表示する処理から動作する。
また、アプリケーション211は、入力されたパスワードが入力要求した桁数と一致した場合、制御ドライバ212及び通信ドライバ213を介して、現金処理機10の制御部11に認証要求を送信する(S108)。このとき、アプリケーション211は、現金処理機10(制御部11)に対して、入力されたパスワードと、認証を要求する処理権限レベルを通知する。そして、現金処理機10の制御部11は、認証要求を受付けると、通知されたパスワードと、パスワードデータ121に登録されているパスワードを照合して、認証OK又は認証NGを、端末装置20(アプリケーション211)に返答する。
そして、アプリケーション211は、現金処理機10(制御部11)からの返答が認証OKだった場合は、後述するステップS110の処理に移行し、認証NGだった場合は、は、上述のステップS103〜S105のいずれかに戻って再度同じ桁数のパスワード入力画面を表示する処理から動作する。
ステップS110に移行すると、アプリケーション211は、上述のステップS101で選択された処理の詳細内容の入力等を受付け、現金処理機10に対して当該処理の実行を要求する命令(コマンド)を送信する。このとき、現金処理機10(制御部11)側でも、処理実行の度に、当該処理に対応する処理権限レベルの認証が成功したか否かを確認し、認証失敗している場合や、当該処理の処理権限レベルと直前に認証成功した処理権限レベルとが一致しない場合等には、端末装置20からの処理実行要求を拒否するようにしてもよい。
以上のような処理により、現金処理機10では、オペレータの処理権限レベルに応じた処理を実行することができる。
次に、端末装置20でオペレータからいずれかの処理権限レベルについてパスワード変更を受付けた場合の動作について図8、図9のフローチャートを用いて説明する。
まず、オペレータにより、端末装置20上でアプリケーション211に対する操作(操作表示部23を介した操作)が開始され、パスワード変更の処理が選択されたものとする(S201)。なお、アプリケーション211がパスワード変更の処理の選択を受付けるまでのメニュー画面の構成については種々のメニュー画面の構成を適用することができる。
パスワード変更の処理が選択されると、アプリケーション211は、さらに、パスワード変更をする処理権限レベルの選択を受付ける操作画面(以下、「処理権限レベル選択画面」と呼ぶ)を、操作表示部23に表示させ、オペレータから処理権限レベルを受付ける(S202)。
処理権限レベル選択画面の具体的な構成について限定されないものであるが、例えば、図10のような操作画面としてもよい。図10に示す処理権限レベル選択画面では、処理権限レベルの選択を受付けるためのボタンB301〜B303が配置されている。
図10に示す処理権限レベル選択画面では、処理権限レベル2を選択するためのボタンB301、処理権限レベル3を選択するためのボタンB302、処理権限レベル4を選択するためのボタンB303が配置されている。
処理権限レベル選択画面で処理権限レベルが選択(いずれかのボタンが押下)されると、端末装置20のアプリケーション211は、選択された処理権限レベルを確認する(S203)。
選択された処理権限レベルが2だった場合、アプリケーション211は、処理権限レベル2に対応する4桁のパスワード入力を受付けるためのパスワード入力画面(図7(a)の操作画面)を操作表示部23に表示させる(S204)。
また、選択された処理が処理権限レベルが3だった場合、アプリケーション211は、処理権限レベル3に対応する6桁のパスワード入力を受付けるためのパスワード入力画面(図7(b)の操作画面)を操作表示部23に表示させる(S205)。
さらにまた、選択された処理が処理権限レベル4の処理だった場合、アプリケーション211は、処理権限レベル4に対応する8桁のパスワード入力を受付けるためのパスワード入力画面(図7(c)の操作画面)を操作表示部23に表示させる(S206)。
次に、アプリケーション211は、ステップS204〜S206のいずれかで表示したパスワード入力画面でパスワード入力を受付ける(S207)。
パスワード入力画面でのパスワードの入力が完了すると、アプリケーション211は、入力されたパスワードの桁数が、表示したパスワード入力画面で入力要求した桁数と一致しているか否かを確認する(S208)。アプリケーション211は、入力されたパスワードが入力要求した桁数と一致しない場合は、上述のステップS204〜S206のいずれかに戻って再度同じ桁数のパスワード入力画面を表示する処理から動作する。
一方、入力されたパスワードが入力要求した桁数と一致した場合、アプリケーション211は、制御ドライバ212及び通信ドライバ213を介して、現金処理機10の制御部11に照合要求(認証要求)を送信する(S209)。そして、現金処理機10の制御部11は、照合要求を受付けると、通知されたパスワードと、パスワードデータ121に登録されているパスワードを照合して、照合OK又は照合NGを、端末装置20(アプリケーション211)に返答する。
そして、アプリケーション211は、現金処理機10(制御部11)からの返答を確認し(S210)、現金処理機10(制御部11)からの返答が照合OKだった場合は、後述するステップS211の処理に移行し、照合NGだった場合は、上述のステップS204〜S206のいずれかに戻って再度同じ桁数のパスワード入力画面を表示する処理から動作する。
現金処理機10(制御部11)からの照合結果がOKだった場合、アプリケーション211は、照合結果がOKだった処理権限レベルを確認する(S211)。
照合結果OKだった処理権限レベルが2だった場合、アプリケーション211は、処理権限レベル2の変更後のパスワード(4桁のパスワード)入力を受付けるためのパスワード変更画面を操作表示部23に表示させる(S212)。
また、照合結果OKだった処理権限レベルが3だった場合、アプリケーション211は、処理権限レベル2、3の変更後のパスワード(4桁及び6桁のパスワード)入力を受付けるためのパスワード変更画面を操作表示部23に表示させる(S213)。
さらに、照合結果OKだった処理権限レベルが4だった場合、アプリケーション211は、処理権限レベル2、3、4の変更後のパスワード(4桁、6桁、及び8桁のパスワード)入力を受付けるためのパスワード変更画面を操作表示部23に表示させる(S214)。
次に、アプリケーション211は、ステップS212〜S214のいずれかで表示したパスワード変更画面で変更後のパスワード入力を受付ける(S215)。
図11は、パスワード変更画面の構成例について示した説明図である。
図11(a)は、処理権限レベル2(4桁)のパスワード入力を受付けるためのパスワード変更画面の構成例である。図11(a)では、4桁のパスワード入力を受付けるためのフィールドF401と、パスワード入力の完了を受付けるOKボタンB401が配置されている。
図11(b)は、処理権限レベル2(4桁)、処理権限レベル4(6桁)のパスワード入力を受付けるためのパスワード変更画面の構成例である。図11(b)では、4桁のパスワード入力を受付けるためのフィールドF401と、6桁のパスワード入力を受付けるためのフィールドF402と、パスワード入力の完了を受付けるOKボタンB401が配置されている。
図11(c)は、処理権限レベル2(4桁)、処理権限レベルル4(6桁)、及び処理権限レベル4(8桁)のパスワード入力を受付けるためのパスワード変更画面の構成例である。図11(c)では、4桁のパスワード入力を受付けるためのフィールドF401と、6桁のパスワード入力を受付けるためのフィールドF402と、8桁のパスワード入力を受付けるためのフィールドF403と、パスワード入力の完了を受付けるOKボタンB401が配置されている。
アプリケーション211は、パスワード変更画面を表示すると、表示したパスワード変更画面に対応する桁数のパスワード入力を受付ける処理を行う。なお、処理権限レベル3、4のパスワード変更画面では、同時に複数レベルのパスワード入力を受付けるようにしてもよい。また、図11の各パスワード変更画面ではパスワード入力を受付けるフィールドに入力済の数字を表示する構成となっているが、入力済の数字をマスクした表示(例えば、入力済の数字を「*」等の記号に置き換えて表示)するようにしてもよい。
パスワード変更画面でのパスワードの入力が完了すると、アプリケーション211は、各フィールドについて、入力されたパスワードの桁数が入力要求した桁数と一致しているか否かを確認する(S216)。アプリケーション211は、パスワード変更画面で入力されたパスワードが入力要求した桁数と一致しない場合は、上述のステップS212〜S214のいずれかに戻って再度同じ処理権限レベルのパスワード変更画面を表示する処理から動作する。
また、アプリケーション211は、入力された全てのパスワードが入力要求した桁数と一致した場合、制御ドライバ212及び通信ドライバ213を介して、現金処理機10の制御部11に入力されたパスワード変更要求(コマンド)を送信する(S217)。現金処理機10(制御部11)は、パスワード変更要求が通知されると、通知された処理権限レベルのパスワードを変更(パスワードデータ121の内容を変更)する。
以上のように、現金処理システム1000では、現金処理機10に登録するパスワードデータ121(処理権限レベルごとのパスワード)を変更することができる。図11に示すように、現金処理システム1000では、オペレータの処理権限レベル以下のパスワードについてのみ変更可能な構成となっている。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
現金処理システム1000では、処理権限レベルごとに異なる桁数のパスワードを適用することで、オペレータは自身の権限に応じた処理のみしか実行できなくなる。これにより、現金処理システム1000では、仮に一部のパスワード(例えば、処理権限レベル2、3のパスワード)について漏えいしたとしても、現金処理機10の全ての処理を不正に実行できるわけではないため、よりセキュリティを向上させることができる。
また、第1の実施形態の現金処理システム1000では、高い処理権限レベルほど桁数の多いパスワードを設定して、高い処理権限レベルほど高いセキュリティを確保することができる。例えば、全ての処理権限レベルに対して、一律に4桁のパスワードを設定可能とした場合、低い処理権限しか持たないオペレータ(低い処理権限レベルのパスワードしか知らないオペレータ)により、入力されたパスワードが、偶然にそれより高い処理権限レベルのパスワードと一致して、不正に処理実行できてしまうこと等を防止することができる。
上述の図5〜図10では、端末装置20からの指示(コマンド)に従って処理実行する例について説明したが、現金処理機10自体の操作表示部14で、上述の図5〜図10と同様の操作画面を表示してオペレータからの処理実行の指示を受付けるようにしてもよい。その場合、現金処理機の制御部11は、自装置内のパスワードデータ121を参照して、処理権限レベルを用いたパスワード認証処理を行うことになる。このように第1の実施形態では、現金処理機10自体の操作表示部14を用いて、オペレータから処理実行の指示を受付ける場合でも、上述の端末装置20で受付ける場合と同様にセキュリティを向上させる効果を奏する。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による現金処理機、端末装置、及び現金処理システムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(B−1)第2の実施形態の構成
図12は、第2の実施形態に係る現金処理システム1000Aの構成について示したブロック図である。図12では、上述の図1と同一部分又は対応部分には、同一符号又は対応符号を付している。以下では、第2の実施形態について、第1の実施形態との差異を説明する。
第2の実施形態では、現金処理機10、端末装置20が、それぞれ現金処理機10A、端末装置20Aに置き換わっている点で第1の実施形態と異なっている。
第2の実施形態の端末装置20Aでは、アプリケーション211に、現金処理機10Aでパスワードモード(処理権限レベルを用いたパスワード認証)を有効とするか否かを設定するためのパスワードモード設定情報211Aが登録(保持)されている点で第1の実施形態と異なっている。パスワードモード設定情報211Aは、現金処理機10Aでパスワードモードを有効とする値、又は現金処理機10Aでパスワードモードを無効とする値のいずれかの値が設定されるフラグ情報である。
また、第2の実施形態の現金処理機10Aでは、記憶部12に、パスワードモード設定情報211Aと同様の形式のパスワードモード設定情報122が登録(保持)されている点で、第1の実施形態と異なっている。現金処理機10Aの制御部11は、初回に起動(例えば、工場出荷時の状態や、工場出荷時の状態に初期化された状態で起動)したとき、端末装置20Aにアクセスしてパスワードモード設定情報211Aの値を取得し、記憶部12のパスワードモード設定情報122に反映させる処理を行う。
第2の実施形態の現金処理機10Aでは、記憶部12がパスワードモード設定情報122を保持する設定値保持手段として機能する。また、第2の実施形態の端末装置20Aでは、制御部21のアプリケーション211が、パスワードモード設定情報211Aを保持する設定値保持手段として機能する。
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態の現金処理システム1000Aの動作を説明する。
以下では、第2の実施形態の現金処理システム1000Aの動作について、第1の実施形態との差異を説明する。
図13は、現金処理機10A(制御部11)が初回に起動するときの動作について示したフローチャートである。
なお、現金処理機10A(制御部11)において、パスワードモード設定情報122の初期の設定値(初回起動時前の設定値)は、パスワードモードを無効とする値であるものとする。
現金処理機10Aの制御部11は、初回に起動すると、端末装置20A(アプリケーション211)にアクセスして、端末装置20A側に設定されているパスワードモード設定情報211Aの設定値を要求して読み込む(S301)。
次に、制御部11は、取得したパスワードモード設定情報211Aの設定値を確認し(S302)、取得した設定値が、パスワードモードを有効とする値だった場合にのみ、自装置側のパスワードモード設定情報122を変更(パスワードモードを有効とする値に変更)する(S303)。また、このとき、制御部11は、自装置においてパスワードモードを有効に変更した旨の通知を端末装置20A側に送信するようにしてもよい。次回起動時以後、現金処理機10は、パスワードモードを有効とした状態で動作することになる。
次に、制御部11は、自装置の電源をオフ(又は電源オフを伴わないシャットダウン)して(S304)初回起動時の動作を終了する。上述のステップS303で、パスワードモードを有効とする設定に変更されていた場合、現金処理機10(制御部11)は、次回の起動以後にパスワードモードを有効とした状態で起動することになる。
次に、端末装置20Aのアプリケーション211が起動するときの動作について図14のフローチャートを用いて説明する。
端末装置20Aのアプリケーション211は、起動する際、パスワードモード設定情報211Aの内容を確認する(S401)。
そして、パスワードモード設定情報211Aにパスワードモードを無効とする旨の値が設定されていた場合、アプリケーション211は、以後パスワードモードを無効とした状態で動作する(S402)。この場合、アプリケーション211は、オペレータから操作を受付けた処理について、特にパスワードによる認証を行わずに実行(処理権限レベルに関わらず実行)することになる。
そして、パスワードモード設定情報211Aでパスワードモードを有効とする旨の値が設定されていた場合、アプリケーション211は、以後パスワードモードを有効とした状態で動作する(S403)。この場合、アプリケーション211は、オペレータから操作を受付けた処理について、処理権限レベルを用いたパスワードによる認証を経た上で実行(第1の実施形態と同様の処理を実行)することになる。
また、アプリケーション211は、現金処理機10Aが起動する際に、現金処理機10Aに対してパスワードモード設定情報122の設定値(パスワードモードを有効とする旨の値又は無効とする旨の値)を通知(コマンド送信)する。アプリケーション211が現金処理機10Aに対してパスワードモード設定情報122の設定値を通知する契機については限定されないものである。例えば、アプリケーション211は、インタフェース30を介して現金処理機10Aの状態を監視して、現金処理機10Aが起動(電源ON)したことを検知したときに、パスワードモード設定情報122の設定値を通知(コマンド送信)するようにしてもよいし、現金処理機10Aからの要求に応じて、パスワードモード設定情報122の設定値を通知(コマンド送信)するようにしてもよい。
次に、現金処理機10A(制御部11)が2回目以後(初回の次以後)に起動する際の動作について図15のフローチャートを用いて説明する。
現金処理機10A(制御部11)は、2回目以後(図13のフローチャートの処理以後)に起動すると、まず、自装置に設定されているパスワードモード設定情報122を参照し、パスワードモードが有効となっているか無効となっているかを確認する(S501)。
そして、パスワードモード設定情報122でパスワードモードを無効とする旨の値が設定されていた場合、制御部21は、以後パスワードモードを無効とした状態で動作する(S506)。この場合、制御部21は、操作表示部14又は端末装置20Aから受付けた処理の実行に際して、特にパスワードによる認証を行わずに実行(処理権限レベルに関わらず実行)することになる。
一方、パスワードモード設定情報122でパスワードモードを有効とする旨の値が設定されていた場合、制御部21は、端末装置20A(アプリケーション211)からパスワードモードの設定値(パスワードモード設定情報211Aの設定値)のコマンドを受信し(S502)、当該コマンドの設定値を確認する(S503)。なお、上述の通り、制御部21が、端末装置20Aからパスワードモードの設定値のコマンド受信を行う契機については限定されないものである。
端末装置20A(アプリケーション211)から受信したコマンドが、パスワードモードを無効とする内容だった場合、制御部21は、端末装置20A(アプリケーション211)にエラー(パスワードモード無効の状態では処理の実行ができない旨のエラー)を通知し(S504)、上述のステップS502に戻って動作する。すなわち、制御部21は、現金処理機10A側(パスワードモード設定情報122)で、パスワードモードが有効に設定されている場合、端末装置20A側でもパスワードモードが有効でなければ処理の実行を拒否(コマンドを全て拒否)する状態となる。また、このとき、現金処理機10Aでは、操作表示部14から直接操作を受付けた場合でも、処理の実行を拒否する。
一方、端末装置20A(アプリケーション211)から受信したコマンドが、パスワードモードを有効とする内容だった場合、制御部21は、以後、パスワードモードを有効とした状態で動作を開始する(S505)。この場合、制御部21は、オペレータから操作を受付けた処理について、処理権限レベルを用いたパスワードによる認証を経た上で実行(第1の実施形態と同様の処理を実行)することになる。
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏するができる。
第2の実施形態の現金処理システム1000Aでは、現金処理機10Aのパスワードモード設定情報122を、パスワードモードを有効とする値に設定しておけば、不正行為者による操作(処理実行)を防止することができる。
例えば、現金処理機10Aが接地された銀行で、銀行業務終了後に、不正行為者が当該現金処理機10Aを操作して出金等の処理を実行しようとした場合を想定する。この場合、端末装置20Aが電源オフの状態であれば、現金処理機10Aは端末装置20Aからパスワードモード設定情報211Aの設定値を取得することができないため、不正行為者は現金処理機10Aの操作表示部23を操作したとしても、何の処理も実行させることができない状態となる。
(C)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(C−1)上記の各実施形態において、端末装置のアプリケーションは、全ての処理権限レベルの操作が可能な構成となっているが、処理権限レベルごとに起動するアプリケーション(プログラム)を分けることでセキュリティ性を向上させることが可能となる。例えば、例えば、権限低(処理権限レベル2)専用のソフトウェア、権限中(処理権限レベル3)専用のソフトウェアのように、権限毎に実行できる取引を分けたプログラム構成としることにより、さらにセキュリティを向上させることが可能となる。