(A)第1の実施形態
以下、本発明による取引装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の取引装置をATMに適用する例について説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態のATM1の機能的構成及び周辺装置の接続構成について示したブロック図である。図2は、ATM1の外観の斜視図である。
ATM1は、取引処理を行う顧客の操作や、ホストコンピュータ2との通信を伴う協働処理(例えば、トランザクション処理)により、当該顧客との取引処理(例えば、当該顧客の口座からの現金の出金等)を行うものである。言い換えると、ATM1及びホストコンピュータ2は、協働して取引処理手段として機能する。
ATM1は、ネットワークN1を介してホストコンピュータ2と接続されている。ネットワークN1は、例えば、公衆電話網、デジタル専用回線、インターネット等の種々のネットワーク接続を適用することができる。
ATM1は、制御部10、データ記録部20、操作表示部30、カード処理部40、紙幣入出金部50、硬貨入出金部60、及びレシート印字部70を有している。
制御部10は、ATM1の各部の動作を制御する機能を担っているものである。また、データ記録部20は、制御部10が情報処理を行うために必要な各種情報等を格納するデータ記憶手段であり、例えば、各種メモリ等により構成することができる。
制御部10は、例えば、プロセッサ等を含むプログラムの実施構成(コンピュータ)に実施形態の制御プログラム(図1に示す制御部10内部の各構成要素に係るプログラムを含む)等をインストールすることにより実現することができる。上述のプログラムは、例えば、データ記録部20に記憶しておき、ATM1が起動したときに、制御部10が読み込んで実行するようにしても良い。
操作表示部30は、顧客とのインタフェースを構成するデバイスであり、ここでは、タッチパネルディスプレイ(タッチパネル付の液晶ディスプレイ)を用いて構成されているものとする。操作表示部30は、制御部10の制御に応じた操作画面を表示して、情報出力及び操作受付(情報入力の受付け)を行うことが可能である。
カード処理部40は、顧客からカード挿入排出口401に挿入されたカード(キャッシュカード及び振込カードを含むカード)の処理を行うものである。カード処理部40の詳細構成については後述する。
紙幣入出金部50は、制御部10の制御に応じて、顧客から入金された紙幣を収納する機能と、収納されている紙幣を顧客に出金する機能を担っている。この実施形態では、紙幣入出金部50は、紙幣入出金口51から紙幣の入出金を行うことが可能であるものとする。
硬貨入出金部60は、制御部10の制御に応じて、顧客から入金された硬貨を収納する機能と、収納されている硬貨を顧客に出金する機能を担っている。この実施形態では、硬貨入出金部60は、硬貨入出金口61から硬貨の入出金を行うことが可能であるものとする。
レシート印字部70は、制御部10の制御に応じて、当該ATM1で行われた取引結果について印刷用紙に印字して、レシート排出口71から排出を行うものである。
次に、カード処理部40の詳細構成について説明する。
カード処理部40は、制御部10の制御に応じて、キャッシュカード及び振込カードの処理を行うものである。カード処理部40は、キャッシュカードを処理するためのキャッシュカード処理部41、及び振込カードを処理するための振込カード処理部42を有している。
カード処理部40では、カード挿入排出口401から挿入されたカード(キャッシュカード又は振込カード)について、対応する処理部(カード処理部40又は振込カード処理部42)に振分けて処理させることができる。また、カード処理部40では、キャッシュカード処理部41又は振込カード処理部42から繰出されたカード(キャッシュカード又は振込カード)について、カード挿入排出口401から排出することが可能となっているものとする。なお、カード処理部40のハードウェア自体は、キャッシュカード及び振込カードを処理することができる種々の装置を適用することができるため詳しい説明については省略する。また、この実施形態のATM1では、キャッシュカード処理部41及び振込カード処理部42を一体としたカード処理部40を搭載するものとして説明するが、キャッシュカード処理部41と振込カード処理部42とを別個のデバイスとして構成するようにしてもよい。
次に、カード処理部40で処理されるキャッシュカード及び振込カードの構成例について説明する。
図3は、この実施形態のカード処理部40(キャッシュカード処理部41)で処理されるキャッシュカードC1の構成例について示した図である。
図3に示すキャッシュカードC1には、対応する口座に関する口座情報等が記録された磁気ストライプC11と、口座情報を含む種々の情報を記録することが可能なデータ記録部としてのICチップC12が付けられている。キャッシュカード処理部41では、挿入されたキャッシュカードC1の磁気ストライプC11及びICチップC12のデータ読み込みを含むデータ処理が可能であるものとする。なお、キャッシュカード処理部41では、ICチップの付けられていないキャッシュカードの処理も可能とするようにしてもよい。
図4は、振込カード処理部42で処理される媒体としての振込カードC2の構成例について示した図である。
図4に示す振込カードC2では、図4(a)に示すように第1の面(券面)に当該振込カードC2を用いた振込先の情報等を表示(印字)する表示部としての印字領域C21が設けられている。また、振込カードC2の第2の面(第1の面の裏面)には、図4(b)に示すように振込先に現金の振り込みを行うために必要な取引情報(例えば、振込先の口座情報等を含む情報)が記録された磁気ストライプC22が付けられている。
図4(a)に示すように、振込カードC2の印字領域C21には、振込取引に係る情報(以下、「振込取引情報」と呼ぶ)として、振込先(受取人)に関する情報(以下、「振込先情報」と呼ぶ)と、依頼人(振込人)に関する情報(以下、「依頼人情報」と呼ぶ)とが印字されている。
この実施形態では、図4(a)に示すように、振込カードC2の印字領域C21には、振込先情報として、「金融機関名」、「支店名」、「口座番号」、「科目」、及び「受取人名」(受取人の氏名)が印字されているものとする。図4(a)では、「金融機関名」として「A銀行」、「支店名」として「東京支店」、「口座番号」として「1234567」、「科目」として「普通」、「受取人名」として「ヤマダ_タロウ」がそれぞれ印字されている。
また、この実施形態では、図4(a)に示すように、振込カードC2の印字領域C21には、依頼人情報として、「依頼人名」(依頼人の氏名)及び、「依頼人電話番号」(依頼人の電話番号)が印字されている。図4(a)では、「依頼人名」として「ヤマダ_ハナコ」、「依頼人電話番号」として「00−0000−0000」がそれぞれ印字されている。
次に、振込カード処理部42の構成について説明する。
振込カード処理部42は、データ処理部421、印字部422、及びカード収納部423を有している。
データ処理部421は、振込カードC2に付けられた磁気ストライプC22のデータ処理(データの読み込み及び書込み)を行うものである。
印字部422は、振込カードC2の印字領域C21に対する印字処理を行うものである。印字部422が対応する印字方式については限定されないものであるが、例えば、ドットインパクト方式や感熱方式等を適用することができる。
カード収納部423は、新品の振込カードC2(印字及びデータ書込みがされていない振込カードC2)を収納するものである。なお、カード収納部423に収納可能な振込カードC2の数は限定されないものである。
振込カード処理部42では、新規に振込カードC2を発行する際には、カード収納部423から新品の振込カードC2を繰り出して、データ記録(上述の磁気ストライプC22に対するデータ記録)及び印字(上述の印字領域C21に対する印字)を行って排出する。
次に、制御部10の内部構成について説明する。上述の通り、制御部10は、取引処理部11、及びカード制御部12を有している。
取引処理部11は、顧客との取引に係る処理を行う。取引処理部11は、例えば、操作表示部30を介した操作受付(例えば、操作画面を用いた操作受付)や、顧客から入力された情報に基づいたホストコンピュータ2とのデータ処理(例えば、取引に係るトランザクション処理)や、紙幣入出金部50及び硬貨入出金部60に対する現金処理制御等の処理等を行う。
カード制御部12は、カード処理部40の制御処理を行うものである。カード制御部12は、取引処理部11の指示等に応じて、振込カード処理部42を制御し、振込カードC2の処理(データ読み込み、データ書込み、印字等)を行う。
この実施形態のカード制御部12は、振込カード処理部42を制御して振込カードC2を発行させる処理を行う。具体的には、カード制御部12は、カード収納部423から新品の振込カードC2を繰り出させ、データ処理部421に当該振込カードC2へのデータ記録(振込先情報及び依頼人情報を含む情報のデータ記録)を実行させ、さらに、印字部422に当該振込カードC2への印字(振込先情報及び依頼人情報を含む情報の印字)を実行させる。
このとき、カード制御部12は、振込カードC2の印字領域C21に印字する情報の一部について保護(マスク/遮蔽)する情報保護処理を行うこともできるものとする。
図5は、振込カードC2の印字領域C21に、一部の情報が保護された内容が印字された状態について示している。
この実施形態では、カード制御部12は、振込取引情報のうち依頼人名及び受取人名について保護(マスク)した内容を印字させるものとする。具体的には、カード制御部12は、振込取引情報のうち依頼人名及び受取人名について、所定の記号(図5の例では、「*」の記号)でマスクされた(置き換えられた)内容を印字するものとする。
カード制御部12では、新規に振込カードC2を発行する際に、顧客の選択操作に応じて、一部の情報を保護した内容を印字する処理、又は、保護せずにそのまま印字する処理のいずれかの実行が可能である。この実施形態では、カード制御部12は、例えば、ユーザの操作に応じて、振込カードC2(印字領域C21)に保護された情報を印字するか否か決定するものとする。
以上のように、ATM1では、カード制御部12及び振込カード処理部42により、振込カードC2の情報保護処理を行う媒体処理部が構成されている。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のATM1の動作を説明する。
図6は、ATM1でキャッシュカードC1を用いた振込取引(以下、「カード振込」とも呼ぶ)が行われ、さらに、振込カードC2(同じ振込先への振込取引を行うためのもの)が発行される際の動作の例について示したフローチャートである。
まず、ATM1で顧客待ちの状態から顧客の操作(操作表示部30に対する操作)により、カード振込の取引が開始され(S101)、顧客により、キャッシュカードC1がカード挿入排出口401に挿入されたものとする(S102)。
次に、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に暗証番号の入力を受付ける操作画面を表示して、顧客から暗証番号の入力を受付ける(S103)。
次に、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に、振込金額(取引金額)の入力を受付ける操作画面を表示して、顧客から振込金額の入力を受付ける(S104)。
次に、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に、振込先(受取人)の情報(この実施形態の例では、「金融機関名」、「支店名」、「口座番号」、及び「科目」)入力を受付けるための操作画面を表示して、顧客から振込先の情報の入力を受付ける(S105〜S108)。
次に、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に、依頼人の情報(この実施形態では「依頼人電話番号」)を受付けるための操作画面を表示して、顧客から依頼人の情報の入力を受付ける(S109)。
次に、制御部10(取引処理部11)は、ホストコンピュータ2と通信して、入力された振込先の口座、及び依頼人の口座が存在するか否かを確認し、存在する場合は、受取人名と依頼人名と手数料等の情報をホストコンピュータ2から受信する(S110)。ここでは、制御部10(取引処理部11)は、口座の存在確認及びホストコンピュータ2からの情報取得が成功したものとして以下の説明を行う。
次に、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に、振込先の確認を要求する操作画面を表示させて、顧客から当該振込先に振込を行うことの確認を受付ける(S111)。このとき、制御部10(取引処理部11)は、操作画面にホストコンピュータ2から取得した情報(受取人名、依頼人名、手数料等の情報)等を表示する。なお、ここでは、顧客により、当該振込先に振込を行うことの確認(例えば、図示しない操作画面上の「確認」キー等の押下により確認)を受付けたものとして以後の説明を行う。
次に、制御部10(取引処理部11)は、ホストコンピュータ2と通信して、入力及び確認された振込取引の情報処理(例えば、トランザクション処理)を実行する(S112)。ここでは、制御部10(取引処理部11)とホストコンピュータ2との間の振込取引の処理は成功したものとして以下の説明を行う。
次に、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に、振込カードC2(今回行った振込取引と同じ振込先に振込取引を行うための振込カード)の発行を行うか否かを受付ける操作画面を表示させ(S113)、顧客からの選択操作を受付ける(S114)。制御部10(取引処理部11)は、顧客から振込カードC2の発行を行う旨の選択を受付けた場合には、後述するステップS117から動作し、振込カードC2の発行を行わない旨の選択を受付けた場合には、後述するステップS115の処理から動作する。
上述のステップS114で振込カードC2を発行する旨の選択を受付けた場合、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に、振込カードC2に印字する情報を保護するか否かの選択を受付けるための操作画面(以下、「新規発行カード振込情報保護選択画面」と呼ぶ)を表示させ(S117)顧客からの選択操作を受付ける(S118)。制御部10(取引処理部11)は、顧客から振込カードC2の情報保護を行う旨の選択を受付けた場合には、後述するステップS120から動作し、振込カードC2の情報保護を行わない旨の選択(保護せずそのまま印刷する旨の選択)を受付けた場合には、後述するステップS119の処理から動作する。
図7は、ステップS117で表示される新規発行カード振込情報保護選択画面の構成例について示した説明図である。
図7に示す新規発行カード振込情報保護選択画面では、振込カードの情報保護を行うか否かを顧客に案内する案内メッセージと共に、振込カードC2に情報保護を行わずそのまま印字する旨の選択を受付けるためのボタンB101(「そのまま印字」と表示されたボタン)、振込カードC2に情報保護を行った内容を印字する旨の選択を受付けるためのボタンB102(「保護して印字」と表示されたボタン)、及び取引を中止することを受付けるためのボタンB103が配置されている。
上述のステップS118で、振込カードC2の情報保護を行わない旨の選択(保護せずそのまま印刷する旨の選択)を受付けた場合、制御部10(カード制御部12)は、振込カード処理部42を制御して、取引情報をそのまま印字した振込カードC2を発行させる処理を行う(S119)。具体的には、制御部10(カード制御部12)は、振込カード処理部42を制御して、収納している新品の振込カードC2に、当該振込カードC2へのデータ記録(今回行った取引に係る振込先情報及び依頼人情報を含むデータ記録)を実行させ、さらに、当該振込カードC2への取引情報を印字(取引情報をそのまま印字)させる制御を行う。このとき、発行される振込カードC2の印字領域C21に印字される内容は、例えば、図4(a)の内容(特に保護されていない情報)となる。
一方、上述のステップS118で、振込カードC2の情報保護を行う旨の選択を受付けた場合、制御部10(カード制御部12)は、振込カード処理部42を制御して、情報保護された内容が印字された振込カードC2を発行させる処理を行う(S120)。具体的には、制御部10(カード制御部12)は、振込カード処理部42を制御して、収納している新品の振込カードC2に、当該振込カードC2へのデータ記録を実行させ、さらに、当該振込カードC2へ、一部の情報が保護された取引情報を印字させる制御を行う。このとき、発行される振込カードC2の印字領域C21に印字される内容は、例えば、図5の内容(受取人名及び依頼人名が保護された内容)となる。
次に、制御部10(カード制御部12)は、振込カード処理部42を制御して、上述のステップS119又はS120で発行された振込カードC2を排出させる処理を行う(S121)。
次に、制御部10(取引処理部11)は、レシート印字部70を制御して、今回の振込取引の明細票を印字させる(S115)。そして、制御部10(取引処理部11)は、レシート印字部70及びキャッシュカード処理部41を制御して明細票及びキャッシュカードC1を排出させ(S116)、今回の取引を終了する。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第1の実施形態のATM1では、振込カードC2を発行する場合に、顧客の操作に応じて、振込カードC2に表示された振込情報を保護している。これにより、第1の実施形態のATM1では、振込カードに表示する取引情報の一部(受取人名及び依頼人名)を保護して発行することで、個人情報の悪用(例えば、いわゆる「押し貸し」等の犯罪)に利用されることを抑制することができる。また、第1の実施形態のATM1では、顧客の選択した内容にて、振込カードを発行するため、振込情報保護に伴う利便性の低下を防ぐことができる。
なお、第1の実施形態のATM1では、振込カードに表示する取引情報の一部(受取人名及び依頼人名)を保護して発行したが、受取人名のみを保護するようにしてもよい。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による取引装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の取引装置をATMに適用する例について説明する。
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態のATM1の機能的構成も図1を用いて示すことができる。以下では、第2の実施形態のATM1について、第1の実施形態との差異を説明する。
第2の実施形態のATM1では、印字領域21に印字されている情報が保護されていない既に発行された振込カードC2が挿入された場合に、当該振込カードC2の印字領域C21に印字された振込取引情報の一部を保護(マスク)する処理を行う点で第1の実施形態と異なっている。
具体的には、第2の実施形態のカード処理部40は、振込カード処理部42を制御して、挿入された振込カードC2について、保護対象となっている情報が印字された領域を上から黒く塗りつぶして保護(マスク)する処理を行う。例えば、第2の実施形態のカード処理部40は、保護対象となっている情報の文字に、所定の記号又は画像を上書きすることで、当該文字(保護対象となっている情報の文字)を保護(マスク)するようにしてもよい。なお、情報の保護(マスク)に用いられる上書き用の記号又は画像は、その下の文字が見えにくくなるものであれば良いが、ここでは四角形の記号(内側が塗りつぶされた状態となる四角形)を用いるものとする。
図8は、発行済の振込カードC2について、一部の情報が保護された状態で示す図である。
図8に示す振込カードC2では、一部の情報(受取人名及び依頼人名)の文字について四角形(内側が塗りつぶされた状態となる四角形)の記号が上書きされた状態について示している。
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態のATM1の動作を説明する。
図9は、ATM1でキャッシュカードC1、及び振込カードC2を用いた振込取引際の動作の例について示したフローチャートである。
まず、ATM1で顧客待ちの状態から顧客の操作(操作表示部30に対する操作)により、キャッシュカードC1を用いた振込の取引が開始され(S201)、顧客により、キャッシュカードC1がカード挿入排出口401に挿入されたものとする(S202)。
次に、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に暗証番号の入力を受付ける操作画面を表示して、顧客から暗証番号の入力を受付ける(S203)。
次に、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に、振込金額(取引金額)の入力を受付ける操作画面を表示して、顧客から振込金額の入力を受付ける(S204)。
次に、制御部10(取引処理部11)は、顧客に対して、振込先及び依頼人の情報入力を要求する操作画面を表示するが、ここでは、顧客により操作入力に代えて振込カードC2が挿入されたものとする(S205)。振込カードC2が挿入されると、制御部10(カード処理部40)は、当該振込カードC2に記録された情報(振込先の口座情報を含む情報)を読み込む。なお、このとき挿入された振込カードC2の印字領域C21には、情報保護されていない内容が印字(図4(a)に示す内容が印字)されているものとする。
次に、制御部10(取引処理部11)は、ホストコンピュータ2と通信して、取得した情報(振込カードC2及びキャッシュカードC1から取得した情報)に基づく振込先の口座、及び依頼人の口座が存在するか否かを確認し、存在する場合は、受取人名、依頼人名、及び手数料等の情報をホストコンピュータ2から受信する(S206)。ここでは、制御部10(取引処理部11)は、口座の存在確認及びホストコンピュータ2からの情報取得が成功したものとして以下の説明を行う。
次に、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に、振込先の確認を要求する操作画面を表示して、顧客から当該振込先に振込を行うことの確認を受付ける(S207)。なお、ここでは、顧客により、当該振込先に振込を行うことの確認(例えば、図示しない操作画面上の「確認」キー等の押下により確認)を受付けたものとして以後の説明を行う。
次に、制御部10(取引処理部11)は、ホストコンピュータ2と通信して、入力及び確認された振込取引の情報処理(例えば、トランザクション処理)を実行する(S208)。ここでは、制御部10(取引処理部11)とホストコンピュータ2との間の振込取引の処理は成功したものとして以下の説明を行う。
次に、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に、今回の振込取引に用いた振込カードC2の情報を保護するか否かを選択させる操作画面(以下、「既発行カード振込情報保護選択画面」と呼ぶ)を表示させ(S209)、顧客からの選択操作を受付ける(S210)。制御部10(取引処理部11)は、顧客から振込カードC2の情報保護を行う旨の選択を受付けた場合には、後述するステップS214から動作し、振込カードC2の情報保護を行わない旨(振込カードC2の印字内容をそのままとする旨)の選択を受付けた場合には、後述するステップS211の処理から動作する。
図10は、ステップS209で表示される既発行カード振込情報保護選択画面の構成例について示した説明図である。
図10に示す既発行カード振込情報保護選択画面では、振込カードの情報保護を行うか否かを顧客に案内する案内メッセージと共に、振込カードC2に情報保護を行わない旨(振込カードC2の印字内容をそのままとする旨)の選択を受付けるためのボタンB201(「そのまま」と表示されたボタン)、振込カードC2の情報保護を行う旨の選択を受付けるためのボタンB202(「保護する」と表示されたボタン)、及び取引を中止することを受付けるためのボタンB203が配置されている。
上述のステップS209で、振込カードC2の情報保護を行う旨の選択を受付けた場合、制御部10(カード制御部12)は、振込カード処理部42を制御して、今回の振込取引に用いた振込カードC2(現在保持している振込カードC2)の一部の情報(受取人名及び依頼人名)の文字を保護(マスク)する処理を実行させる(S214)。具体的には、制御部10(カード制御部12)は、振込カード処理部42を制御して、振込カードC2に印字された受取人名及び依頼人名の部分に、四角形の記号で上書きする(塗りつぶす)印字処理を行う。このとき、情報保護の処理後の振込カードC2(印字領域C12)の状態は、例えば、図8のような状態となる。
次に、制御部10(カード制御部12)は、振込カード処理部42を制御して、振込カードC2を排出させる処理を行う(S211)。
次に、制御部10(取引処理部11)は、レシート印字部70を制御して、今回の振込取引の明細票を印字させる(S212)。そして、制御部10(取引処理部11)は、レシート印字部70及びキャッシュカード処理部41を制御して明細票及びキャッシュカードC1を排出させ(S213)、今回の取引を終了する。
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて以下のような効果を奏することができる。
第2の実施形態のATM1では、既に発行された振込カードC2について、表示された振込取引情報の一部(受取人名及び依頼人名)について保護する処理を行っている。これにより、第2の実施形態のATM1では、既に発行された振込カードに表示された取引情報の一部(受取人名及び依頼人名)を保護する処理を行うことで、個人情報の悪用(例えば、いわゆる「押し貸し」等の犯罪)に利用されることを、より強く抑制することができる。また、第2の実施形態のATM1では、顧客の選択に応じて、既に発行された振込カードの情報保護を行うため、振込情報保護に伴う利便性の低下を防ぐことができる。
なお、第2の実施形態のATM1では、振込カードに表示する取引情報の一部(受取人名及び依頼人名)を保護して発行したが、受取人名のみを保護するようにしてもよい。
(C)第3の実施形態
以下、本発明による取引装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の取引装置をATMに適用する例について説明する。
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態のATM1の機能的構成も図1を用いて示すことができる。以下では、第3の実施形態のATM1について、第1の実施形態との差異を説明する。
第3の実施形態のATM1では、キャッシュカードC1及び振込カードC2を用いた振込取引が行われた場合、顧客の選択操作に応じて、振込カードC2の情報(振込先情報等)を、キャッシュカードC1のICチップC12に記録する処理を行う。
そして、第3の実施形態のATM1では、振込カードC2の情報(振込先情報等)を、キャッシュカードC1のICチップC12に記録した場合、当該振込カードC2については、顧客の選択操作に応じて、排出せずに回収する処理を行う。なお、第3の実施形態では、カード収納部423が、発行済みの振込カードC2について回収する機能にも対応しているものとして説明する。
さらに、第3の実施形態のATM1では、振込カードC2の情報(振込先情報等)を、キャッシュカードC1のICチップC12に記録する際に、顧客の選択操作に応じて、振込カードC2を排出(返却)する場合、当該振込カードC2に印字されている情報の全部について保護する処理を行ってから排出するものとする。このとき、制御部10(取引処理部11)は、振込カードC2の印字領域C21全体に、四角形の記号(内側が塗りつぶされた状態となる四角形)を上書き印字する処理を行うようにしてもよい。なお、振込カードC2の印字領域C21に上書きされる記号や画像の種類については限定されないものであるが、印字領域21に印字されている文字が認識できない状態となる必要がある。
図11は、発行済の振込カードC2について、印字領域C21の全部の情報が保護された状態で示す図である。
図11に示す振込カードC2では、振込カードC2の印字領域C21全体に、四角形の記号(内側が塗りつぶされた状態となる四角形)を上書き印字した状態について示している。
なお、上述の第2の実施形態のATM1においても、第3の実施形態と同様に、キャッシュカードC1へ振込カードC2の情報登録を行う際に、振込カードC2の回収や情報保護を行った上での返却処理を行う構成(すなわち、第2の実施形態に第3の実施形態の機能を追加した構成)とするようにしてもよい。
以上のように、第3の実施形態では、キャッシュカードC1により、データ記録部としてのICチップC12が付けられたデータ記録部付媒体が構成されている。また、第3の実施形態では、カード処理部40及びキャッシュカード処理部41により、キャッシュカードC1(データ記録部付媒体)を処理するデータ記録部付媒体処理部が構成されている。
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第3の実施形態のATM1の動作を説明する。
図12は、第3の実施形態のATM1でキャッシュカードC1、及び振込カードC2を用いた振込取引際の動作の例について示したフローチャートである。
なお、ATM1でキャッシュカードC1及び振込カードC2が挿入され、振込取引を実行するまでの動作(ステップS301〜S308の動作)は、第2の実施形態の動作(上述のステップS201〜S208)と同様であるため、詳しい説明は省略する。
そして、振込取引を実行すると、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に、今回の振込取引の情報(振込先情報を含む情報)をキャッシュカードC1のICチップC12に登録するか否かを選択させる操作画面(以下、「振込先情報登録確認画面」と呼ぶ)を表示させ(S309)顧客からの選択操作を受付ける(S310)。制御部10(取引処理部11)は、顧客から振込先情報をICチップC12に登録する旨の選択を受付けた場合には、後述するステップS314から動作し、顧客から振込先情報をICチップC12に登録しない旨の選択を受付けた場合後述するステップS311の処理から動作する。
図13は、上述のステップS309で表示される振込先情報登録確認画面の構成例について示した説明図である。
図13に示す振込先情報登録確認画面では、振込先情報をICチップC12に登録するか否かを顧客に案内する案内メッセージと共に、振込先情報をICチップC12に登録しない旨の選択を受付けるためのボタンB301(「登録しない」と表示されたボタン)、振込先情報をICチップC12に登録する旨の選択を受付けるためのボタンB302(「登録する」と表示されたボタン)、及び取引を中止することを受付けるためのボタンB303が配置されている。
上述のステップS310で、振込先情報をICチップC12に登録しない旨の選択を受付けた場合、制御部10(カード制御部12)は、キャッシュカード処理部41を制御して、挿入されているキャッシュカードC1のICチップC12に振込先情報を書込む処理を行う(S314)。
次に、制御部10(取引処理部11)は、操作表示部30に、挿入された振込カードC2を回収するか否か(振込カードC2の返却が不要であるか否か)の選択を受付ける操作画面(以下、「振込カード回収確認画面」と呼ぶ)を表示させ(S315)顧客からの選択操作を受付ける(S316)。制御部10(取引処理部11)は、顧客から振込カードC2を回収する旨(振込カードC2の返却は「不要」である旨)を受付けた場合には、後述するステップS318から動作し、顧客から振込カードC2を回収しない旨(振込カードC2の返却が「必要」である旨)の選択を受付けた場合後述するステップS317の処理から動作する。
図14は、ステップS315で表示される振込カード回収確認画面の構成例について示した説明図である。
図14に示す振込カード回収確認画面では、振込カードC2の回収を行うか否か(振込カードC2の返却が必要であるか否か)を顧客に案内する案内メッセージと共に、振込カードC2の回収を行う旨(振込カードC2のカードの返却が「不要」である旨)を受付けるためのボタンB401(「不要」と表示されたボタン)、振込カードC2の回収を行わない旨(振込カードC2のカードの返却が「必要」である旨)を受付けるためのボタンB402(「必要」と表示されたボタン)、及び取引を中止することを受付けるためのボタンB403が配置されている。
上述のステップS316で、顧客から振込カードC2を回収する旨(振込カードC2の返却は不要である旨)を受付けた場合には、制御部10(取引処理部11)は、レシート印字部70を制御して、今回の振込取引の明細票を印字させる(S318)。そして、制御部10(取引処理部11)は、レシート印字部70及びキャッシュカード処理部41を制御して明細票及びキャッシュカードC1を排出させる(S319)。
そして、制御部10(カード処理部40)は、振込カード処理部42を制御して、挿入されている振込カードC2を、カード収納部423に回収させて(S320)、今回の取引を終了する。
一方、上述のステップS316で、顧客から振込カードC2を回収しない旨(振込カードC2の返却が「必要」である旨)の選択を受付けた場合、制御部10(カード処理部40)は、振込カード処理部42を制御して、振込カードC2に印字された情報の保護を実行する(S317)。具体的には、制御部10(カード処理部40)は、上述の図11に示すように、振込カードC2の印字領域C21全体に、四角形の記号を上書き印字する処理を行う。
そして、振込カードC2の回収後(上述のステップS317の処理後)、制御部10(取引処理部11)は、レシート印字部70を制御して、今回の振込取引の明細票を印字させる(S311)。そして、制御部10(取引処理部11)は、レシート印字部70及びキャッシュカード処理部41を制御して明細票及びキャッシュカードC1を排出させる(S312)。
そして、制御部10(カード処理部40)は、振込カード処理部42を制御して、挿入された振込カードC2(情報保護処理済のもの)を排出して(S313)、今回の取引を終了する。
一方、上述のステップS310で振込先情報をICチップC12に登録しない旨が選択された場合、制御部10(取引処理部11)は、レシート印字部70を制御して、今回の振込取引の明細票を印字させる(S311)。そして、制御部10(取引処理部11)は、レシート印字部70及びキャッシュカード処理部41を制御して明細票及びキャッシュカードC1を排出させる(S312)。
そして、制御部10(カード処理部40)は、振込カード処理部42を制御して、挿入された振込カードC2(情報保護処理がされていないもの)を排出して(S313)、今回の取引を終了する。
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
第3の実施形態のATM1では、振込カードC2に記録された振込取引情報を、キャッシュカードC1(ICチップC12)に記録する際、顧客の操作選択に応じて、振込カードC2を回収する処理を行っている。また、第3の実施形態のATM1では、振込カードC2を回収せずに返却(排出)する場合でも、印字領域C21全体を塗りつぶす印字を行い、表示された振込取引情報の全部を保護する処理を行っている。これにより、第3の実施形態のATM1では、振込カードに表示された取引情報を悪用(例えば、いわゆる「押し貸し」等の犯罪)されることをより強く抑制することができる。また、第2の実施形態のATM1では、顧客の選択に応じて、振込カードC2の回収又は返却(排出)を行うので、振込カードC2の回収処理の追加に伴う利便性の低下を防ぐことができる。
(D)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(D−1)第3の実施形態のATM1では、振込カードC2の情報をキャッシュカードC1に登録する場合、振込カードC2を回収せずに排出(返却)するときにだけ、排出する振込カードC2の情報保護を行っているが、振込カードC2を回収するか排出(返却)するか否かに関わらず、振込カードC2の情報保護を行うようにしてもよい。すなわち、第3の実施形態のATM1において、振込カードC2を回収する場合でも、当該振込カードC2の情報保護を行うようにしてもよい。
具体的には、第3の実施形態のATM1の動作(上述の図12のフローチャート)について図15の内容に変更するようにしてもよい。
図14では、振込カードC2の情報をキャッシュカードC1に登録する場合、顧客に当該振込カードC2するときにのみステップS317で、振込カードC2の情報保護を行っている。これに対して、図15では、ステップS317の処理タイミングをステップS315とステップS316の処理の間に移動させることで、振込カードC2を回収するか排出(返却)するか否かに関わらず、振込カードC2の情報保護を行うようにしている。
これにより、第3の実施形態のATM1では、振込カードに表示された取引情報を悪用(例えば、いわゆる「押し貸し」等の犯罪)されることを、より強く抑制することができる。
(D−2)第1の実施形態のATM1では、振込カードC2に表示される氏名(受取人名及び依頼人名)の情報保護(所定の記号に置き換える処理)を行っていたが、他の組合せで情報を保護するようにしてもよい。例えば、図16に示すように、受取人の「支店名」・「科目」・「口座番号」と「依頼人電話番号」を保護(マスク)して印字するようにしてもよい。氏名がわかっただけでは、振込等を行うことはできないため、少なくとも受取人の口座の情報(例えば、「支店名」・「科目」・「口座番号」の情報)を保護するだけでも、振込カードに表示された取引情報を悪用(例えば、いわゆる「押し貸し」等の犯罪)されることを抑制することができる。
なお、第2の実施形態においても同様に、振込カードC2に表示される氏名(受取人名及び依頼人名)の情報保護(所定の記号に置き換える処理)を行っていたが、他の組合せで情報を保護するようにしてもよい。