JP6615652B2 - 巻鉄心組立装置及び巻鉄心組立方法 - Google Patents

巻鉄心組立装置及び巻鉄心組立方法 Download PDF

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Description

本発明は、変圧器やリアクトルなどの電気機器に用いる巻鉄心を組み立てる巻鉄心組立装置及び巻鉄心組立方法に関するものである。
従来、図16に示す原理により、コイルの脚部に帯状の電磁鋼板を無切断で巻き付けた構造の巻鉄心を組み立てる方法が提案されている(特許文献1の図6〜図9参照)。巻鉄心の組立方法は、以下の工程a〜工程eによって構成される。
(工程a)帯状の電磁鋼板Sを巻板積層して内径D、外径Dの最終円筒形状の巻鉄心100としたものを焼鈍する(図16(a))。
(工程b)巻鉄心100の内周部と外周部にそれぞれ小径の第1ローラ301と第2ローラ302を配置し、巻鉄心100の最も外側の電磁鋼板Sを1枚解す(図16(b))。
(工程c)解した電磁鋼板Sを巻線200の一対の脚部201A,201Bの間に挿通させた後、電磁鋼板Sの端部101を巻鉄心100まで戻して巻鉄心100の外周面に仮留めして大円を形成する(図16(c))。
(工程d)第1ローラ301及び第2ローラ302を駆動して、図16において巻鉄心100の外周面側の端部101を反時計回りに周回させ、巻鉄心100の形状を円筒形から内側ローラ301と脚部201Aの周りに巻回した内径の大きい円筒形の巻鉄心100’に変形させる(図16(d))。
(工程e)大きい円筒形に変形させた巻鉄心100’から第1ローラ301を抜き出すとともに、仮留めを解除する。これにより、弾性力を有する巻鉄心100’が収縮して巻線200の脚部201Aに巻き付けられた巻鉄心100が組み立てられる(図16(e))。
特開平05−226186号公報
図16に示す巻鉄心の組立方法では、工程aで製造した円筒形の巻鉄心100が、工程dで内側ローラ301と脚部201Aの周りに巻回した、元の円筒形よりも大きい内径を有する円筒形の巻鉄心100’に変形されるので、この変形によって巻線200の脚部201Aに巻き付けられた巻鉄心100に歪みが発生し、この歪みによって巻鉄心100の磁気特性が劣化する。
特許文献1には、コイルの脚部に帯状の電磁鋼板を連続的に巻き付けた巻鉄心を形成するための組立原理が開示されるのみで、上記の課題には何ら言及されていない。巻鉄心100の組立原理に基づく磁気特性の劣化を可及的に低減する方法も全く開示されていない。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、巻鉄心の特性劣化を可及的に低減することができる巻鉄心組立装置及び巻鉄心組立方法を提供することを目的とする。
本第一の発明の巻鉄心組立装置は、コイルの脚部に対して所定の間隔を設けて配置された着脱自在のローラに、帯状の電磁鋼板を巻板積層した第1の巻鉄心を装着し、当該巻鉄心をローラとコイルの脚部を巻き込んだ当該第1の巻鉄心よりも径の大きい第2の巻鉄心に巻き直した後、ローラを除去することによって、コイルの脚部に巻き付けられた巻鉄心を組み立てる巻鉄心組立装置であって、所定の間隔は、ローラに装着された巻鉄心の外周面とコイルの脚部の外周面との距離が略ゼロとなるように調整されている、巻鉄心組立装置である。
かかる構成により、第一の発明によれば、巻鉄心をコイルの脚部に巻き替えるための巻鉄心の変形により当該巻鉄心に発生する歪みを可及的に小さくすることができる。これにより、歪みに起因する巻鉄心の特性劣化を低減することができる。
本第二の発明の巻鉄心組立装置は、第一の発明に対して、ローラは、コイルの脚部に対して接離する方向に移動可能に設けられており、所定の間隔は、ローラの位置を移動させることによって調整される、巻鉄心組立装置である。
かかる構成により、第二の発明によれば、巻鉄心の巻厚が変化した場合でも巻鉄心をコイルの脚部に巻き替える際に生じる巻鉄心の歪みを可及的に小さくすることができる。これにより、歪みに起因する巻鉄心の特性劣化を低減することができる。
本第三の発明の巻鉄心組立装置は、第一又は第二の発明に対して、コイルの脚部の外径をD、第1の巻鉄心の外径をD、第2の巻鉄心の外径をDとすると、所定の間隔は、
=D+D+α
但し、αは、第1の巻鉄心のコイルの脚部への巻替動作に必要な距離
の条件を満たす間隔である、巻鉄心組立装置である。
かかる構成により、第三の発明によれば、巻鉄心をコイルの脚部に巻き替えるための巻鉄心の変形により当該巻鉄心に発生する歪みを可及的に小さくすることができる。これにより、歪みに起因する巻鉄心の特性劣化を低減することができる。
本第四の発明の巻鉄心組立装置は、第一ないし第三の発明のいずれか1つの発明に対して、コイルの脚部に巻き付けられた巻鉄心は、内鉄形巻鉄心である、巻鉄心組立装置である。
かかる構成により、第四の発明によれば、巻鉄心をコイルの脚部に巻き替えるための巻鉄心の変形により当該巻鉄心に発生する歪みを可及的に小さくすることができる。これにより、歪みに起因する内鉄形巻鉄心の特性劣化を低減することができる。
本第五の発明の巻鉄心組立装置は、第一ないし第三の発明のいずれか1つの発明に対して、コイルの脚部に巻き付けられた巻鉄心は、外鉄形巻鉄心である、巻鉄心組立装置である。
かかる構成により、第五の発明によれば、巻鉄心をコイルの脚部に巻き替えるための巻鉄心の変形により当該巻鉄心に発生する歪みを可及的に小さくすることができる。これにより、歪みに起因する外鉄形巻鉄心の特性劣化を低減することができる。
本第六の発明の巻鉄心組立方法は、帯状の電磁鋼板を巻板積層した後焼鈍して第1の巻鉄心を製造する第1の工程と、コイルの脚部に対して所定の間隔を設けて配置された着脱自在のローラに第1の巻鉄心を装着した後、当該第1の巻鉄心の外周側の端部をコイルの脚部を巻き込むように引き出して当該第1の巻鉄心の外周面に仮留めをする第2の工程と、ローラを回転駆動して第1の巻鉄心をローラとコイルの脚部を巻き込んだ当該第1の巻鉄心よりも径の大きい第2の巻鉄心に巻き直した後、ローラを除去するとともに、仮留めを解除して、第1の巻鉄心の巻き付け位置をローラからコイルの脚部に替える第3の工程と、を備える巻鉄心組立方法であって、所定の間隔は、ローラに装着された巻鉄心の外周面と前記コイルの脚部の外周面との距離が略ゼロとなるように調整されている、巻鉄心組立方法である。
かかる構成により、第六の発明によれば、巻鉄心をコイルの脚部に巻き替えるための巻鉄心の変形により当該巻鉄心に発生する歪みを可及的に小さくすることができる。これにより、歪みに起因する巻鉄心の特性劣化を低減することができる。
本第七の発明の巻鉄心組立方法は、第四の発明に対して、コイルの脚部の外径をD、第1の巻鉄心の外径をD、第2の巻鉄心の外径をDとすると、所定の間隔は、
=D+D+α
但し、αは、第1の巻鉄心のコイルの脚部への巻替動作に必要な距離
の条件を満たす間隔である、巻鉄心組立方法である。
かかる構成により、第七の発明によれば、巻鉄心をコイルの脚部に巻き替えるための巻鉄心の変形により当該巻鉄心に発生する歪みを可及的に小さくすることができる。これにより、歪みに起因する巻鉄心の特性劣化を低減することができる。
本発明による巻鉄心組立装置等によれば、巻鉄心をコイルの脚部に巻き替えるための巻鉄心の変形により当該巻鉄心に発生する歪みを可及的に小さくすることができる。これにより、歪みに起因する巻鉄心の特性劣化を低減することができる。
実施の形態に係る巻鉄心組立方法により組み立てた巻鉄心を備える変圧器の構成を示す斜視図 同変圧器の一次コイル用のコイルボビンを正面から見た図 同変圧器の一次コイル用のコイルボビンを右側面から見た図 同変圧器の一次コイル用のコイルボビンを上側から見た図 同変圧器の二次コイル用のコイルボビンを正面から見た図 同変圧器の二次コイル用のコイルボビンを右側面から見た図 同変圧器のコイル部の構造を示す図 同変圧器の巻鉄心を組み立てるための巻鉄心組立装置の基本的な構成を示す平面図 同巻鉄心組立装置の基本的な構成を示す側面図 同巻鉄心組立装置で巻き替え処理が行われる巻鉄心の構造を示す図 同巻鉄心組立装置におけるコイル部の脚部に対する巻鉄心の相対位置の調整を説明するための図 同巻鉄心組立装置における変圧器の巻鉄心の組立処理の手順を示すフローチャート 同巻鉄心組立装置における変圧器の巻鉄心の組立工程を示す図 同巻鉄心組立装置で組み立てた巻鉄心の効果を確認した図 同巻鉄心組立装置を用いて内鉄形の巻鉄心を組み立てる場合の2個のコイルに対する巻鉄心の相対的な位置関係を示す図構成を示す図 従来の巻鉄心の組立方法を示す図
以下、本発明に係る巻鉄心組立装置及び巻鉄心組立方法の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
図1は、本発明に係る巻鉄心組立方法を用いて組み立てた巻鉄心を備える変圧器の構成を示す斜視図である。
図1に示す変圧器1は、タンクに収納される変圧器の主要な電気回路の部分に相当している。変圧器1は、一次巻線を整列巻きした一次コイル(高圧コイル)の外側に二次巻線を整列巻きした二次コイル(低圧コイル)を同心状に配置したコイル部2と、そのコイル部2の2つの脚部2A,2Bに帯状の電磁鋼材を無切断で巻き付けた2個の円筒形の巻鉄心3とを備えている。変圧器1の巻鉄心3は、外鉄形巻鉄心である。
コイル部2の一次コイル21(図7参照)は、樹脂製から成るコイルボビン211(図2〜図4参照)に一次巻線212(図7参照)を整列巻きして製造されており、コイル部2の二次コイル22(図7参照)は、樹脂製から成るコイルボビン221(図5,図6参照)に二次巻線222(図7参照)を整列巻きして製造されている。
図2は、一次コイル用のコイルボビン211を正面から見た図、図3は、コイルボビン211を右側面から見た図、図4は、コイルボビン211を上側から見た図である。
図2〜図4に示すように、一次コイル用のコイルボビン211は、背の低い長方形のリング形状を有している。コイルボビン211の外周に沿う側面(以下、「外周側面」という。)には、一次巻線を巻回するための凹溝211Aが形成されている。コイルボビン211の一方の短辺(図2では上側の短辺)の部分には、一次巻線212を引き出すための巻線引出部211Bと巻線引出部211Cが形成されている。
コイルボビン211の外周側面以外の部分(以下、「内周側面」という)の外形形状は、図3,図4の点線で示すように、半円形状に成形されている。コイルボビン211の内周側面の外形形状を半円形状にしているのは、コイルボビン211の長辺の部分がコイル部2の脚部2A,2Bに相当し、両脚部2A,2Bにそれぞれ巻鉄心3を密着させて円筒形に巻き付けるためである。
一次巻線212は、一方の端部(巻き始めの部分)を巻線引出部211B(又は巻線引出部211C)からコイルボビン211の外部に引き出して凹溝211Aに巻回され、他方の端部(巻き終わりの部分)が巻線引出部211C(又は巻線引出部211B)からコイルボビン211の外部に引き出されている(図7参照)。
コイルボビン211の正面側(図3において左側の面側、図4において下側の面側)の長方形の外形寸法(L1×W1)(長手方向の長さ×短手方向の長さ。以下、長方形の外形寸法の表記はこれと同じ。)は、ボビン本体211の背面側(図3において右側の面側、図4において上側の面側)の長方形の外形寸法(L2×W2)よりも小さいサイズに設定されている。これは、図7に示すように、一次コイル用のコイルボビン211を二次コイル用のコイルボビン221の穴の部分に嵌入して一次コイル21の外側に二次コイル22が同心状に配置された構造のコイル部2を製造するためである。
図5は、二次コイル用のコイルボビン221を正面から見た図、図6は、コイルボビン221を右側面から見た図である。
図5,図6に示すように、二次コイル用のコイルボビン221は、背の低い長方形のリング形状を有している。コイルボビン221は、一次コイル用のコイルボビン211と略同じ寸法の高さ寸法(図6の幅方向の寸法)を有する。
コイルボビン221の外周に沿う側面(以下、「外周側面」という。)には、二次巻線222を巻回するための凹溝221Aが形成されており、穴の部分の形状は直方体形状に成形されている(図5参照)。コイルボビン221の穴の部分の形状を直方体形状としているのは、図7に示すように、この穴の部分に一次コイル用のコイルボビン211が嵌入装着されるからである。コイルボビン221の一方の短辺の部分(図5では上側の短辺の部分)には、二次巻線222を引き出すための巻線引出部221Bが形成されている。
コイルボビン221の穴の部分の長方形の寸法(L3×W3)は、上述したように一次コイル用のコイルボビン211の正面側の長方形の外形寸法(L1×W1)より僅かに大きいサイズに設定されている。コイルボビン221の外周側面側の長方形の外形寸法(L4×W4)は、上述したように一次コイル用のコイルボビン本体211の背面側の長方形の外形寸法(L2×W2)と略同一の寸法に設定されている。
二次巻線222は、一方の端部(巻き始めの部分)を巻線引出部221Bからコイルボビン221の外部に引き出して凹溝221Aに巻回され、他方の端部(巻き終わりの部分)が巻線引出部221Bからコイルボビン221の外部に引き出されている(図7参照)。また、二次巻線222の中間位置が巻線引出部221Bからコイルボビン221の外部に引き出されている
一次巻線212をコイルボビン211の凹溝211Aに整列巻きして製造された一次コイル21は、二次巻線222をコイルボビン221の凹溝221Aに整列巻きして製造された二次コイル22に対して、図7に示すように、コイルボビン221の穴の部分にコイルボビン211を正面側から嵌め込んで一体化される。これにより、一次コイル21の外側に二次コイ212を同心状に配置したコイル部2が製造されている。
変圧器1の巻鉄心3は、コイル部2と、コイル部2の脚部2A,2Bに外装される円筒形の巻鉄心3を用意し、図8,図9に示す巻鉄心組立装置4を用いて巻鉄心3をコイル部2の脚部2Aと脚部2Bの周りに巻き替える方式で製造される。巻鉄心組立装置4による巻鉄心3の巻き替えの原理は、図16に示した原理と同一である。
巻鉄心3は、図9に示すように、内径D[mm]、外径D[mm]、高さH[mm]の円筒形の形状を有している。巻鉄心3の孔3Aの内径Dは、コイル部2の脚部2A,2Bの断面形状(半円形状)に接する仮想の円C(図8参照)の径Dと略同一であり、巻鉄心3のサイズ(内径、巻厚、高さ)は、コイル部2の脚部2A,2Bに外装される巻鉄心のサイズと同一である。
巻鉄心3は、幅H[mm]の電磁鋼板51の原反ロール5から所定の長さだけ電磁鋼板51を引き出し、直径Dの軸6に巻板積層して製造される(図10参照)。電磁鋼板51は、例えば、方向性珪素鋼板である。所定の長さは、巻鉄心3の外径がD[mm]、巻厚が(D−D)/2[mm]となる長さである。
巻鉄心組立装置4は、図8,図9に示すように、基台41、コイル保持部42、巻鉄心巻替部43、巻鉄心位置調整部44及び制御部45を備える。
基台41は、巻鉄心3を縦置きにしてコイル部2の脚部2A,2Bに巻き替える作業を行う横長長方形の台である。基台41は、水平に配置されている。基台41の左端側にコイル保持部42が配設され、基台41の右端側に巻鉄心巻替部44が配設されている。例えば、コイル部2の脚部2Aに巻鉄心3を巻き付ける場合、コイル保持部42は、コイル部2の脚部21Aが基台41に対して垂直になる姿勢で保持する。
コイル保持部42は、コイルホルダー421を有し、そのコイルホルダー421でコイル部2の下部を保持する。コイルホルダー421でコイル部2を保持すると、巻鉄心3が巻き付けられるコイル部2の脚部21Aが所定の位置にセットされる。
所定の位置は、図8に示すように、脚部21Aの断面が外接する円Cを仮想すると、コイル部2の外側で仮想の円Cの外周面が直線Mと交差する点が当該直線M上に設定された基準位置Pに一致する位置である。基台41には、後述する巻鉄心巻替部43の第1ローラ431及び第2ローラ432が横方向に一列に並ぶように配設されており、直線Mは、第1ローラ431の軸の中心O(図11参照)と第2ローラ431の軸の中心O(図11参照)を通る直線である。
巻鉄心巻替部43は、コイル保持部42に保持されたコイル部2の脚部21Aに対して、巻鉄心3を所定の相対位置に配置し、巻鉄心3の外周面側から帯状の電磁鋼板51を引き出してその帯状の電磁鋼板51をコイル部2の脚部21Aと巻鉄心3の周りを周回させて元の巻鉄心3よりも内径の大きい巻鉄心3に巻き替える処理を行う。巻鉄心巻替部43による巻鉄心3の巻き替え処理は、制御部45により制御される。
以下の説明では、内径の大きい巻鉄心3を元の巻鉄心3と区別するため、「巻鉄心3’」に符号を変更して説明する。巻鉄心3は、本発明の「第1の巻鉄心」に対応し、巻鉄心3’は、本発明の「第2の巻鉄心」に対応している。
巻鉄心巻替部43は、第1ロータ431、第2ローラ432、回転台433、駆動モータ434及び駆動力伝達機構435を有する。巻鉄心巻替部43は、巻鉄心位置調整部44に配設され、巻鉄心位置調整部44によって第1ロータ431、第2ローラ432および回転台433をスライド移動できるようになっている。
第1ロータ431と第2ローラ432は、巻鉄心3の内周面側と外周面側から巻板積層部分(巻厚部分)を挟み付け、両ローラ431,432を回転させて円筒形に巻かれた巻鉄心3から電磁鋼板51の帯をコイル部2の脚部21A側に繰り出すための部材である。
第1ローラ431は、巻鉄心3の高さH[mm]よりも長い棒部材からなり、その棒部材の周面に摩擦部材が取り付けられている。第1ローラ431の摩擦部材が設けられた部分の径Dは、巻鉄心3の内径Dと略同一若しくはそれよりも小さいサイズに設定されている。第2ローラ432は、第1ローラ431と同一の形状及びサイズを有している。
第1ローラ431は、直線M上の基準位置Pから所定の距離だけ離れた位置に、巻鉄心位置調整部44により当該直線M上をスライド移動可能に設けられている。また、第1ローラ431は、巻鉄心位置調整部44から取り外し可能になっている。第1ローラ431の巻鉄心位置調整部44による移動範囲のうち、基準位置Pから最も離れた位置は、第1ローラ431のホームポジション位置PH1である。
第2ローラ432は、基台41の直線M上であってコイル保持部42に対してホームポジション位置PH1よりも外側の所定の位置に、巻鉄心位置調整部44により当該直線M上をスライド移動可能に設けられている。第2ローラ432の巻鉄心位置調整部44による移動範囲のうち、基準位置Pから最も離れた位置は、第2ローラ432のホームポジション位置PH2である。以下の説明では、ホームポジション位置PH1とホームポジション位置PH2を区別し易くするため、前者を「第1ホームポジション位置PH1」と称し、後者を「第2ホームポジション位置PH2」と称する。
基台41には、第2ホームポジション位置PH2から直線Mに沿って基準位置P側に延びる所定長のガイド溝411が形成されている。第1ローラ431及び第2ローラ432は、そのガイド溝411のガイドにより直線M上をスライド移動する。
第1ローラ431と第2ローラ432は、ローラ軸の方向が基台41に対して垂直となる姿勢で巻鉄心位置調整部44に配設されている。また、第2ローラ432は、図示省略のスライド機構によって巻鉄心位置調整部44内でスライド移動が可能に配設されている。
回転台433は、巻鉄心3を基台41に回転自在に載置するための台である。回転台433は、中心部に孔が形成された円環状(ドーナツ状)をなし、孔に第1ローラ431を通して基台41に回転自在に載置されている。
駆動モータ434は、第1ロータ431及び第2ローラ432の駆動源である。駆動モータ434は、例えば、直流モータで構成されるが、交流モータであってもよい。駆動モータ434の種類は、問わない。
駆動力伝達機構435は、駆動モータ434の駆動力を第1ローラ431と第2ローラ432に伝達する機構である。駆動力伝達機構435は、例えば、歯車機構によって構成される。なお、駆動力伝達機構435は、歯車機構に限定されるものではない。駆動力伝達機構435は、駆動モータ434の回転力を互いに逆方向の回転力にして第1ローラ431と第2ローラ432に伝達する。駆動モータ434と駆動力伝達機構435は巻鉄心位置調整部44内に設けられている。
巻鉄心3の内周側と外周側とに第1ローラ431と第2ローラ432をそれぞれ圧接させた状態で第1ローラ431と第2ローラ432を回転させると、第1ローラ431と第2ローラ432は互い逆方向に回転するので、巻鉄心3は、同一の方向に回転する。例えば、図8において、第1ローラ431を反時計回りに回転させると、第2ローラ432は時計回りに回転するので、巻鉄心3は、反時計回りに回転する。
本実施の形態では、第1ローラ431と第2ローラ432の両方を駆動ローラとしているが、駆動モータ434の回転力をいずれか一方のローラにだけ伝達するようにして、いずれか一方を駆動ローラとし、他方を従動ローラとする構成にしてもよい。
巻鉄心位置調整部44は、図16に示した原理で巻鉄心3の巻き替え処理をする際のコイル部2の脚部21A又は脚部21Bに対する巻鉄心3の相対位置を調整するための機構である。
巻鉄心3の巻き替え処理をする際、巻鉄心3は、図9に示すように、第1ローラ431を巻鉄心3の孔3A(図11参照)に通すように基台41に搭載した後、第2ローラ432を巻鉄心3の外周面に圧接させて巻鉄心巻替部43にセットされる。巻鉄心位置調整部44は、巻鉄心3が鉄心巻替部43にセットされた状態で当該巻鉄心巻替部43を直線Mに沿ってスライドさせることにより、コイル部2の脚部21Aに対する巻鉄心3の相対位置を調整する。
巻鉄心位置調整部44は、巻鉄心巻替部43が配設される支持体(図示省略)とその支持体を直線Mと平行に移動させる移動機構(図示省略)を備える。巻鉄心位置調整部44による巻鉄心3のコイル部2の脚部21A(又は脚部21B)に対する相対位置の調整処理は、制御部45により制御される。
制御部45は、巻鉄心位置調整部44による巻鉄心3のコイル部2の脚部21Aに対する相対位置の調整と、巻鉄心巻替部43による巻鉄心3の巻き替え処理を制御する。
巻鉄心3のコイル部2の脚部21A(又は脚部21B)に対する相対位置の調整の制御は、第1ローラ431にセットした巻鉄心3をコイル部2の脚部21A(又は脚部21B)に巻き替えるときの巻鉄心3の脚部21A(又は脚部21B)に対する相対位置を調整する制御である。
本実施の形態では、コイル部2の脚部2Aに仮想した円Cの径をD、巻鉄心3の内径と外径をDとD、巻鉄心3の巻き替えによって生じる元の巻鉄心3よりも大きい円筒形の巻鉄心3’の外径をDとすると、
=D+D+α …(1)
=D
但し、αは、巻鉄心3のコイル2の脚部21A(又は脚部21B)への巻替動作に必要な距離
の条件を満たすように、巻鉄心3の脚部21A(又は脚部21B)に対する相対位置が調整される。
コイル部2の脚部2Aに巻鉄心3を巻き付ける場合、コイル部2、巻鉄心3、第1ローラ431及び第2ローラ432は、図11に示すように、コイル部2の脚部2Aに仮想した円Cの中心Oと巻鉄心3、第1ローラ431及び第2ローラ432の各軸中心O,Oが直線M上に一列に並ぶように配置されている。
(1)式は、実質的に第1ローラ431と第2ローラ432で挟持された巻鉄心3の外周面とコイル部2の脚部2Aに仮想した円Cの外周面との隙間が必要最小限の距離α[mm]となるように、第1ローラ431及び第2ローラ432の位置を調整することを意味している。
基準位置Pから第1ローラ431の軸の中心Oまでの距離をLr1[mm]、基準位置Pから第2ローラ432の軸の中心Oまでの距離をLr2[mm]とすると、制御部45は、第1ローラ431の位置を、
r1=α+(D+D)/2−D/2 …(2)
を満たす位置に調整し、第2ローラ432の位置を、
r2=α+D+D/2 …(3)
を満たす位置に調整する。
巻鉄心組立装置4を起動したとき、第1ローラ431は第1ホームポジション位置PH1に位置し、第2ローラ432は第2ホームポジション位置PH2に位置している。
第1ローラ431に装着される巻鉄心3の巻板積層部分の厚み(巻厚:(D−D)/2)は、変圧器1によって異なるが、第1ホームポジション位置PH1と第2ホームポジション位置PH2の距離は、第1ローラ431に装着される巻鉄心3の巻厚の最大値よりも大きく設定されている。
従って、第1ローラ431に装着される巻鉄心3の巻厚が変化しても第1ローラ431に対する第2ローラ432の位置を調整することにより、第1ローラ431と第2ローラ432で第1ローラ431に装着された巻鉄心3の内周面と外周面を挟持させることができる。
制御部45は、基準位置Pを基準とした第1ホームポジション位置PH1と第2ホームポジション位置PH2を把握している。制御部45は、第1ローラ431に巻鉄心3が装着されると、第2ローラ432だけを第2ホームポジション位置PH2から第1ホームポジション位置PH1の方向に当該第2ローラ432の外周面が巻鉄心3の外周面に所定圧で圧接される位置まで移動させる。これにより、巻鉄心3の巻板積層部分は、第1ローラ431と第2ローラ432で挟持された状態となる。
制御部45は、図示省略の操作部から作業者によってα、D、Dの各データが制御部45に入力されると、(2)式を演算して距離Lr1を算出する。基準位置Pから第1ホームポジション位置PH1までの距離をLH1[mm]とすると、制御部45は、(LH1−Lr1)を演算して第1ローラ431の移動距離ΔLを算出する。
そして、制御部45は、巻鉄心位置調整部44を駆動して第1ローラ431及び第2ローラ432を基準位置Pの方向に距離ΔLだけ移動させる。この移動により、第1ローラ431と第2ローラ432で挟持された巻鉄心3は、コイル3に対して、図11に示す位置にセットされる。
なお、上記の巻鉄心3をコイル部2の脚部2Aに対する所定の位置にセットする処理は、作業者が手動若しくは半手動で行うようにしてもよい。
作業者は、巻鉄心3の外周面側の電磁鋼板51の端部をほぐし、その端部がコイル部2の脚部2Aに近接する方向(図11では、反時計回りの方向)に駆動モータ434を駆動して、巻鉄心3から帯状の電磁鋼板51を繰り出す。作業者は、繰り出される帯状の電磁鋼板51がコイル部2の脚部2Aを巻き込んで巻鉄心3の外周面に戻るまで帯状の電磁鋼板51を巻鉄板3から引き出す。
作業者は、電磁鋼板51の先端が巻鉄心3の外周面に戻ると、その先端を巻鉄心3の外周面にテープや溶接などで仮留めする。巻鉄心3から引き出され、電磁鋼板51の外周面に仮留めされた円筒形の部分は、巻鉄心3の内径Dよりも大きい内径を有する円筒形となっている。
作業者が操作部から巻鉄心3の巻き替えを指令する操作信号を入力すると、制御部45は、巻鉄心3の内側の電磁鋼板51が第1ローラ431とコイル部2の脚部2Aを周回する状態になるまで、すなわち、巻き替えた巻鉄心3’の孔3A’(図13(d)参照)に第1ローラ431とコイル部2の脚部2Aが含まれる状態になるまで駆動モータ434を駆動する。
次に、巻鉄心組立装置4における変圧器1の巻鉄心3の組立処理について、図12のフローチャートと図13の工程図を用いて説明する。
以下の説明では、変圧器1のコイル部2とそのコイル部2の脚部2A,2Bに巻き付けられる内径D、外径Dの円筒形の巻鉄心3は製造されているものとする。また、作業者によってコイル部2がコイル保持部42にセットされ、巻鉄心3が第1ローラ431にセットされている状態(図13(a)の状態)から、作業者の操作指令に基づいて巻鉄心3を変圧器1のコイル部2の脚部2Aに巻き替える処理を行う場合について、説明する
(ステップS100)制御部45は、巻鉄心3の内径Dと外径D、巻鉄心3の巻き替え作業に必要なスペースに基づく距離αなどのパラメータ値の入力を待機している。制御部45は、α、D、Dのパラメータ値が入力されると(S100:Y)、ステップS101に進む。
(ステップS101)制御部45は、第1ローラ431の調整位置を算出する。例えば、制御部45は、第1ローラ431の調整位置の情報として基準位置Pからの距離Lr1を、パラメータ値α,D,Dと(2)式を用いて算出する。さらに、制御部45は、算出した調整位置の情報Lr1と基準位置Pを基準とした第1ホームポジション位置PH1の情報LH1を用いて、第1ローラ431の位置を調整するための制御情報を算出する。制御部45は、第1ローラ431の位置調整の制御情報として、第1ホームポジション位置PH1から調整位置までの移動距離ΔLを算出する。
(ステップS102)制御部45は、巻鉄心3の位置の調整指令が入力されたか否かを判別する。制御部45は、調整指令が入力されなければ(S102:Y)、ステップS100に戻り、調整指令が入力されると(S102:Y)、ステップS103に進む。
(ステップS103)制御部45は、ステップS101で算出した制御情報(移動距離ΔLの情報)を用いて巻鉄心位置調整部44を駆動し、これにより第1ローラ431と第2ローラ432で巻鉄心3を挟持した状態で基準位置Pの方向に移動距離ΔLだけ移動する。
第1ローラ431及び第2ローラ432の位置調整により、コイル部2に対する巻鉄心3の相対的な位置は、図13(b)に示す位置に調整される。
作業者は、コイル部2に対する巻鉄心3の相対位置を調整した後、巻鉄心3の巻き替え処理のための準備を行う。この準備では、作業者は、巻鉄心3の外周面側の電磁鋼板51の端部をほぐし、駆動モータ434を手動で操作して巻鉄心3から帯状の電磁鋼板51をコイル部2に近接する方向(図13では、反時計回りの方向)に繰り出す。作業者は、巻鉄心3から帯状の電磁鋼板51をコイル部2の脚部2Aを巻き込んで巻鉄心3の外周面に戻るまで繰り出し、その電磁鋼板51の先端を巻鉄心3の外周面にテープや溶接等で仮留めする(図13(c))。
(ステップS104)制御部45は、巻鉄心3の巻替指令が入力されたか否かを判別する。制御部45は、巻鉄心3の巻替指令が入力されなければ(S104:N)、待機し、巻鉄心3の巻替指令が入力されると(S104:Y)、ステップS105に進む。
(ステップS105)制御部45は、巻鉄心3から引き出された帯状の電磁鋼板51をさらに引き出す方向(図13では、反時計回りの方向)に駆動モータ434を駆動して巻鉄心3の最も内側の電磁鋼板51が第1ローラ431とコイル部2の脚部2Aを周回する状態(図13(e)の状態)になるまで巻鉄心3の巻き替えを行う。
すなわち、制御部45は、帯状の電磁鋼板51を第1ローラ431に巻き付けた円筒形の元の巻鉄心3を、帯状の電磁鋼板51を第1ローラ431とコイル部2の脚部2Aの回りに巻き付けた円筒形の巻鉄心3’に巻き替える。
図13(c)の状態で、巻鉄心3を反時計回りに回転させるように駆動モータ434を駆動すると、巻鉄心3の最も外側の周面の仮留め位置は、コイル部2の脚部2Aの外側と第2ローラ432の内側を通るように周回する。この周回によって巻鉄心3から帯状の電磁鋼板51が引き出され、その引き出された電磁鋼板51はコイル部2の脚部2Aの外側と第2ローラ432の内側を通る、元の円筒形の巻鉄心3よりも大きい円筒形の巻鉄心3’に巻き替えられる(図13(d),(e)参照)。
巻鉄心3から巻鉄心3’への巻き替え処理では、巻鉄心3が完全に巻鉄心3’に巻き替えられた後は、第1ローラ431と第2ローラ432が巻き替え動作をしても巻鉄心3’は回転するだけで、巻き替え動作は行われない。従って、制御部45は、巻鉄心3から巻鉄心3’への巻き替え制御を、例えば、駆動モータ434の駆動時間で制御する。
巻鉄心3の巻板積層の部分(巻厚の部分)を検出するセンサを設け、制御部45は、そのセンサで巻鉄心3の巻板積層の部分が検出されなくなるまで駆動モータ434の駆動を制御するようにしてもよい。あるいは、巻鉄線3の仮留め位置を検出するセンサを設け、制御部45は、そのセンサで検出される仮留め位置の周回数が所定の回数(巻鉄心3が完全に巻鉄心3’に巻き替えられるまでの周回数)に達するまで駆動モータ434の駆動を制御するようにしてもよい。
(ステップS106)制御部45は、巻鉄心3の巻鉄心3’への巻き替えが終了したか否かを判別する。制御部45は、巻鉄心3の巻き替えが終了していなければ(S106:N)、ステップS105に戻り、巻鉄心3の巻き替えが終了すると(S106:Y)、ステップS107に進む。
(ステップS107)制御部45は、第2ローラ432の巻鉄心3’への圧接状態を解除するとともに、第1ローラ431を巻鉄心3’の孔3A’から除去して、巻鉄心3の巻き替え処理を終了する。この除去処理では、制御部45は、第1ローラ431をコイル部2の脚部2Aに最も近い位置に移動させた後、基台41から上方に引き抜いて第1ローラ431を巻鉄心3’の孔3A’から除去する。
巻鉄心3を巻鉄心3’の巻き替えると、図13(e)の矢印で示すように、巻鉄心3’の内周面側に巻締力Fが発生する。巻鉄心3’の孔3A’から第1ローラ431を除去すると、巻締力Fにより巻鉄心3’の孔3A’は、内周面がコイル部2の脚部2Aの外周面に当接するまで収縮する。この収縮により、巻鉄心3’の断面形状は元の巻鉄心3の断面形状と略同じサイズになり、コイル部2の脚部2Aに帯状の電磁鋼板51を無切断で巻き付けた巻鉄心3が完成する(図13(f)参照)
上記の巻鉄心3の組立の処理手順において、ステップS101とステップS102の処理は、作業者が手動若しくは半手動で行うようにしてもよい。また、上記の巻鉄心3の組立処理では、コイル部2の脚部2Aに巻鉄心3を巻き付ける処理について説明したが、コイル部2の脚部2Bに巻鉄心3を巻き付ける場合も同様の処理手順で巻鉄心3を組み立てることができる。
次に、本実施の形態に係る巻鉄心3の組立方法の作用と効果について、説明にする。
本実施の形態に係る巻鉄心3の組立方法では、巻鉄心3を一旦当該巻鉄心3よりも断面形状のサイズが大きい巻鉄心3’に変形させた後、当該巻鉄心3’に生じる巻締力Fにより元の巻鉄心3と略同じサイズに収縮させてコイル部2の脚部2Aに巻鉄心3を巻き付ける。
巻鉄心3を巻鉄心3’に変形させるときに当該巻鉄心3’(より正確には電磁鋼板51)に歪が発生し、この歪によって巻鉄心3の特性(特に磁気特性)が変形前よりも劣化する。特性劣化は、歪が大きくなるほど大きくなり、歪の大きさは、巻鉄心3から巻鉄心3’に変形させるときの変形量が大きいほど大きくなる。
具体的には、巻鉄心3のリング状の断面形状に対して巻鉄心3’のリング状の断面形状が大きくなるほど、巻鉄心3’の電磁鋼板51に対する変形量が大きくなり、電磁鋼板51に発生する歪が大きくなる。
脚部2Aの外周面と巻鉄心3の外周面との間の距離を大きくすると、巻鉄心3’の外径D(図13(e)参照)が大きくなり、巻鉄心3’のリング状の断面形状が大きくなる。本実施の形態では、巻鉄心3をコイル部2の脚部2Aの回りに巻き替える作業で、コイル部2の脚部2Aに対する巻鉄心3の相対位置を、図13(b)に示すように、脚部2Aの外周面と巻鉄心3の外周面との間の距離が巻替作業に必要な最小限の距離αとなるように調整している。
この距離αは、巻鉄心3から巻鉄心3’への変形のうち、リング状の断面形状の大きさを最も小さくする距離である。従って、巻鉄心3’の電磁鋼板51に対する変形量を最も小さくすることができる。これにより、巻鉄心3から巻鉄心3’への変形で電磁鋼板51に生じる歪を最も小さくすることができ、巻鉄心3から巻鉄心3’への変形における巻鉄心3の特性劣化を最小限に抑制することができる。
図14は、コイル部2に対する巻鉄心3の調整位置を異ならせて巻鉄心3の特性劣化の抑制効果を確認したものである。
図14において、「鉄心No.」は、試験に用いた巻鉄心の試料番号である。No.1とNo.2の巻鉄心は、厚さ0.3[mm]、密度7.65[kg/dm]、鉄損1.05[W/kg]以下、磁束密度1.88[T]、占有率95.5[%]の方向性電磁鋼帯を円筒形に巻板積層したものである。「寸法(内径×外形/厚さ)」は、上記の方向性電磁鋼帯を内径55[mm]、外径195[mm]、巻厚70[mm]の円筒形の巻板積層したものであることを示している。「重量」は、試料に用いた巻鉄心の重量を示している。
「無負荷損」は、50Hzの周波数で1.7Tに磁化させたときの磁気損失を表す鉄損W17/50[W/kg]を示し、「初期値」は巻き替え前の値、「模擬値」は試料の巻鉄心に対して、上述した巻鉄心3を巻鉄心3’に変形した後、巻鉄心3に戻す処理を模擬的に行った場合の値である。
「BF」(ビィルディングファクター)は、巻鉄心の組立てにおける無負荷損の変化の評価値で、(模擬値/初期値)の演算値である。
鉄心No.1の巻鉄心は、コイル部2に対する巻鉄心の相対位置を、(1)式のD=D+D+αを満たす位置に調整したものである。鉄心No.2の巻鉄心は、コイル部2に対する巻鉄心の相対位置を、D>D+D+αを満たす位置に調整したものである。すなわち、鉄心No.1の巻鉄心は、巻き替え時の巻鉄心のリング状の断面形状を最小にして巻き替え処理をしたものであり、鉄心No.2の巻鉄心は、巻き替え時の巻鉄心のリング状の断面形状を鉄心No.1よりも大きくしたものである。
図14に示すように、鉄心No.1と鉄心No.2のBFを比較すると、鉄心No.1の方が小さく、コイル部2に対する巻鉄心の相対位置を(1)式を満たす位置に調整すれば、コイル部2の脚部2Aに巻き替えた巻鉄心3の特性劣化を抑制できることが確認できた。
以上のように、本実施の形態に係る巻鉄心組立方法によれば、コイル部2の脚部2A,2Bに帯状の電磁鋼板を無切断で巻き付けた構造の巻鉄心の特性劣化を可級的に抑制することができる。これにより、巻鉄心の組立における不良率を低減することができる。
上記の実施の形態では、コイル部2の2つの脚部2A,2Bのうち、一方の脚部2Aに巻鉄心を巻き付けた構造について説明したが、コイル部2の2つの脚部2A,2Bにそれぞれ巻鉄心3を巻き付ける構造に対しても本発明に係る巻鉄心組立方法を適用することができることはいうまでもない。
上記の実施の形態では、コイル部2の脚部2A,2Bの外側に帯状の電磁鋼板51を巻き付けたタイプの巻鉄心3(所謂、外鉄形巻鉄心)の組立方法について説明したが、本発明は、2個のコイルの各脚部に帯状の電磁鋼板を巻き付けたタイプの巻鉄心(所謂、内鉄形巻鉄心)の組立方法にも適用することができる。
図15は、内鉄形の巻鉄心を組み立てる場合の2個のコイルと巻鉄心の相対的な位置関係を示す図である。図15は、外鉄形の巻鉄心を組み立てる場合のコイル部2と巻鉄心3の相対的な位置関係を示す図11に対応する図であり、図11に対してコイル部2が別々に製作されている2個のコイル21,22で構成される点が異なる。
コイル21は一次コイル(高圧コイル)であり、コイル22は二次コイル(低圧コイル)である。内鉄形の巻鉄心3を組み立てる場合は、コイル21とコイル22は、両コイルの中心を一致させ、両コイル21,22を可能な限り近接させて配置する。すなわち、コイル21の脚部210Aとコイル22の脚部220Aとが隣接して並ぶように、両コイル21,22を配置する。
そして、上記のように並べた両コイル21,22は、コイル21の脚部210Aとコイル22の脚部220Aの断面に外接する仮想円Cの外周面が直線M上の基準位置Pに一致する位置に設定され、図12,図13に示した作業工程と同様の作業工程によって巻鉄心3が両コイル21,22の脚部210A,220Aの回りに巻き付けられる。巻鉄心3の両コイル21,22の脚部210A,220Aへの巻き付け作業の内容は図12,図13に示した作業内容と基本的に同じであるので、その説明を省略する。
内鉄形巻鉄心の場合も、巻鉄心3を巻鉄心3’に巻き替える際に生じる歪みを最小限に抑制することができるので、変圧器1の巻鉄心3の特性劣化を可級的に抑制することができる。
上記の実施の形態では、変圧器の巻鉄心について説明したが、本発明は、変圧器以外の静止誘導器(例えば、電圧調整器など)に用いられる巻鉄心にも広く適用することができる。
1 変圧器
2 コイル部
2A,2B,210A,220A 脚部
21 一次コイル
211 コイルボビン
211A 凹溝
211B,211C 巻線引出部
212 一次巻線
22 二次コイル
221 コイルボビン
222 二次巻線
221A 凹溝
221B 巻線引出部
3 巻鉄心(第1の巻鉄心)
3’ 巻鉄心(第2の巻鉄心)
3A,3A’ 孔
4 巻鉄心組立装置
41 基台
411 ガイド溝
42 コイル保持部
421 コイルホルダー
43 巻鉄心巻替部
431 第1ローラ(第1のローラ)
432 第2ローラ(第2のローラ)
433 回転台
434 駆動モータ(ローラ駆動手段)
435 駆動力伝達機構
44 巻鉄心位置調整部
45 制御部
5 原反ロール
51 電磁鋼板
6 軸
C 仮想の円

Claims (7)

  1. コイルの脚部に対して所定の間隔を設けて配置された着脱自在のローラに、帯状の電磁鋼板を巻板積層した第1の巻鉄心を装着し、当該巻鉄心を前記ローラと前記コイルの脚部を巻き込んだ当該第1の巻鉄心よりも径の大きい第2の巻鉄心に巻き直した後、前記ローラを除去することによって、前記コイルの脚部に巻き付けられた巻鉄心を組み立てる巻鉄心組立装置であって、
    前記所定の間隔は、前記ローラに装着された巻鉄心の外周面と前記コイルの脚部の外周面との距離が略ゼロとなるように調整されている、ことを特徴とする巻鉄心組立装置。
  2. 前記ローラは、前記コイルの脚部に対して接離する方向に移動可能に設けられており、
    前記所定の間隔は、前記ローラの位置を移動させることによって調整される、
    請求項1に記載の巻鉄心組立装置。
  3. 前記コイルの脚部の外径をD、前記第1の巻鉄心の外径をD、前記第2の巻鉄心の外径をDとすると、前記所定の間隔は、
    =D+D+α
    但し、αは、前記第1の巻鉄心の前記コイルの脚部への巻替動作に必要な距離
    の条件を満たす間隔である、請求項1又は請求項2記載の巻鉄心組立装置。
  4. 前記コイルの脚部に巻き付けられた巻鉄心は、内鉄形巻鉄心である、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の巻鉄心組立装置。
  5. 前記コイルの脚部に巻き付けられた巻鉄心は、外鉄形巻鉄心である、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の巻鉄心組立装置。
  6. 帯状の電磁鋼板を巻板積層した後焼鈍して第1の巻鉄心を製造する第1の工程と、
    コイルの脚部に対して所定の間隔を設けて配置された着脱自在のローラに前記第1の巻鉄心を装着した後、当該第1の巻鉄心の外周側の端部を前記コイルの脚部を巻き込むように引き出して当該第1の巻鉄心の外周面に仮留めをする第2の工程と、
    前記ローラを回転駆動して前記第1の巻鉄心を前記ローラと前記コイルの脚部を巻き込んだ当該第1の巻鉄心よりも径の大きい第2の巻鉄心に巻き直した後、前記ローラを除去するとともに、前記仮留めを解除して、前記第1の巻鉄心の巻き付け位置を前記ローラから前記コイルの脚部に替える第3の工程と、
    を備える巻鉄心組立方法であって、
    前記所定の間隔は、前記ローラに装着された巻鉄心の外周面と前記コイルの脚部の外周面との距離が略ゼロとなるように調整されている、ことを特徴とする巻鉄心組立方法。
  7. 前記コイルの脚部の外径をD、前記第1の巻鉄心の外径をD、前記第2の巻鉄心の外径をDとすると、前記所定の間隔は、
    =D+D+α
    但し、αは、前記第1の巻鉄心の前記コイルの脚部への巻替動作に必要な距離
    の条件を満たす間隔である、請求項6記載の巻鉄心組立方法。
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