[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。図1には、本実施形態に係るタイヤ10の側面図が示されている。本実施形態では、タイヤ周方向をC、タイヤ径方向をRで示す 。
タイヤ10のタイヤサイド部12には、標章部14が形成されている。標章部14は、帯状の円弧状とされ、タイヤ中心軸CE(図1参照)を挟んで対称位置の2カ所に形成されている。標章部14には、パターン領域20と、文字領域16が配置されている。文字領域16は、平滑面で表示された例えば「ABCDEFGH」の文字で表示されている。図1の紙面上側の標章部14Aでは、パターン領域20は、標章部14Aの文字領域16以外の部分で、一種の装飾帯であり、文字領域16を囲むように形成されている。一方、図1の紙面下側の標章部14Bでは、パターン領域20は、標章部14Bの文字領域16と同一領域であり、標章部14Bの文字領域16以外の部分は、タイヤサイド部12の標章部14以外の外面と同様とされている。本実施形態では、標章部14Aについて説明する。なお、パターン領域20を含む標章部14は、レーザー加工によってタイヤのモールド内に対応する凹凸を設けることによって、形成することができる。また、パターン領域20は、タイヤ最大幅部(タイヤサイド部間の直線距離の最大部分)よりもタイヤ径方向Rの外側に配置されることが好ましい。
図2に示されるように、パターン領域20は、ベース部22を有している。ベース部22は、パターン領域20内での底面を形成するものであり、このベース部22から単位パターンとしての、第1アスタリスク突起24及び第2アスタリスク突起26が突出形成されている。なお、第1アスタリスク突起24及び第2アスタリスク突起26は、空気抵抗の観点から、タイヤサイド部12の表面(標章部14以外の表面)から突出しないことが好ましい。
図3に示されるように、第1アスタリスク突起24は、屈曲点としての中心O1から各々異なる方向へ延出された第1延出部25A−1、25A−2、第2延出部25B−1、25B−2、第3延出部25C−1、25C−2で構成されている。以下、これらの6本の延出部を、まとめて「延出部24E」と称する。第1延出部25A−1、25A−2、第2延出部25B−1、第3延出部25C−1、25C−2は、直線状に延出され、同一形状とされている。第2延出部25B−2は、先端が後述する連結部42へ近づくように湾曲する湾曲状とされている。1の延出部24Eと他の延出部24E(中心O1から互いに逆向きに延出されているもの同士を除く)とで、中心O1において屈曲された屈曲形状が構成されている。第1延出部25A−1と第1延出部25A−2とは、中心O1から互いに逆方向に延出され、第1延出部25A−1と第1延出部25A−2とで直線状に連続した形状が構成されている。以下、第1延出部25A−1と第1延出部25A−2を、まとめて「第1延出部25A」と称する。第2延出部25B−1と第2延出部25B−2とについても、中心O1から互いに逆方向に延出され、第2延出部25B−1と第2延出部25B−2とで線状(第2延出部25B−1側は直線状、第2延出部25B−2側は湾曲状)に連続した形状が構成されている。以下、第2延出部25B−1と第2延出部25B−2を、まとめて「第2延出部25B」と称する。第3延出部25C−1と第3延出部25C−2とについても、中心O1から互いに逆方向に延出され、第3延出部25C−1と第3延出部25C−2とでは直線状に連続した形状が構成されている。以下、第3延出部25C−1と第3延出部25C−2を、まとめて「第3延出部25C」と称する。
6本の延出部24Eは、隣り合う延出部24Eと、各々60°の角度を成している。第1アスタリスク突起24は、言い換えると、中心O1から6本の延出部24Eが放射状に延出された形状となっている。第1アスタリスク突起24では、第1延出部25A−1、25A−2は、略タイヤ径方向Rに沿って延出されている。
図4に示されるように、第1アスタリスク突起24において、延出部24Eの各々の延出方向と直交する方向の断面は、平坦な頂部を有する略二等辺三角形状とされている。以下、第1延出部25Aの頂部を第1頂部23A、第2延出部25Bの頂部を第2頂部23B、第3延出部25Cの頂部を第3頂部23Cと称する。ベース部22から第1頂部23A、第2頂部23B、第3頂部23Cの各々までの高さ(以下「突出高さH1」という)は、0.1mm以上、1.0mm以下とされている。以下、第1頂部23A、第2頂部23B、第3頂部23Cを、まとめて第1頂部23A〜第3頂部23Cと表す。なお、突出高さH1は、0.2mm以上、0.8mm以下の範囲内に設定することが、より好ましい。
図4(A)に示されるように、第1アスタリスク突起24において、第1延出部25Aと、第2延出部25Bの間のベース部22は、平坦状とされ、第1延出部25Aと第3延出部25Cの間のベース部22は、曲面状とされている。また、図4(B)に示されるように、後述する第2アスタリスク突起26において、第1延出部27Aと第2延出部27Bの間のベース部22は、平坦状とされ、第1延出部27Aと第3延出部27Cの間のベース部22は、曲面状とされている。ベース部22を曲面状にすることにより、入射光の反射が抑制され、パターン領域20外とのコントラストが大きくなり、視認性が向上する。
第1延出部25Aの前記二等辺三角形の斜辺を構成する第1側壁面23WA、第2延出部25Bの前記二等辺三角形の斜辺を構成する第2側壁面23WB、及び、第3延出部25Cの前記二等辺三角形の斜辺を構成する第3側壁面23WCは、延出方向と直交する断面で見て、両側の側壁面間の距離Sが頂部側からベース部22へ向けて長くなっている。第1側壁面23WA、第2側壁面23WB、第3側壁面23WCは、ベース部22に対する仮想の垂直面Fに対して、角度θをなしている。角度θは、5°〜30°の範囲内とされていることが好ましく、5°〜15°の範囲内であることがより好ましい。角度θが角度30°よりも大きいと、第1側壁面23WA〜第3側壁面23WCでの反射光が、延出部24E同士の間から外側へ戻る割合が多くなり、視認性の向上が少なくなる。すなわち、光が反射して、パターン領域20外とのコントラストの差異が小さくなり、視認性の向上が少なくなる。一方、角度θが5°よりも小さいと、延出部24Eが倒れやすくなる。したがって、延出部24Eの間に入射した光の反射光が延出部24Eの間から外側へ戻ることを抑制する効果と、延出部24Eの耐久性を考慮し、角度θは、5°〜30°であることが好ましい。
また、延出部24Eにおいて、突出高さH1は、前記二等辺三角形の底辺長さB1(ベース部22における側壁面の基部間の距離)の0.8倍〜6倍で有ることが好ましい。突出高さH1が底辺長さB1の0.8倍よりも小さいと、第1側壁面23WA〜第3側壁面23WCでの反射光が延出部24Eの間から外側へ戻る割合が多くなり、視認性の向上が少なくなる。すなわち、光が反射して、パターン領域20外とのコントラストの差異が小さくなり、視認性の向上が少なくなる。一方、突出高さH1が底辺長さB1の6倍よりも大きいと、第1側壁面23WA〜第3側壁面23WCがベース部22に対して垂直に近い角度になるため、延出部24Eが倒れやすくなる。したがって、延出部24Eの間に入射した光の反射光が延出部24Eの間から外側へ戻ることを抑制する効果と、延出部24Eの耐久性を考慮し、突出高さH1が底辺長さB1の0.8倍〜6倍である、ことが好ましい。
第2アスタリスク突起26は、第1アスタリスク突起24と略同一形状で、平面視において第1アスタリスク突起24の配置から中心O1を中心にして90°回転した配置とされている。当該回転させた状態で、第2アスタリスク突起26において、第1アスタリスク突起24の第1延出部25A−1、25A−2、第2延出部25B−1、25B−2、及び第3延出部25C−1、25C−2、中心O1に対応する部分を、第1延出部27A−1、27A−2、第2延出部27B−1、27B−2、及び第3延出部27C−1、27C−2、中心O2と称する。以下、前述の6本の延出部を、まとめて「延出部26E」称する。また、第1頂部23A、第2頂部23B、第3頂部23Cに対応する部分を、第1頂部28A、第2頂部28B、第3頂部28Cと称する。以下、第1頂部28A、第2頂部28B、第3頂部28Cを、まとめて第1頂部28A〜第3頂部28Cと表す。さらに、第1側壁面23WA、第2側壁面23WB、第3側壁面23WCに対応する部分を第1側壁面28WA、第2側壁面28WB、第3側壁面28WCと称する。以下、第1側壁面23WA、第2側壁面23WB、第3側壁面23WCを、まとめて第1側壁面23WA〜第3側壁面23WCと表し、第1側壁面28WA、第2側壁面28WB、第3側壁面28WCを、まとめて第1側壁面28WA〜第3側壁面28WCと表す。
上記のように、第2アスタリスク突起26を配置することにより、延出部24Eと、延出部26Eは、各々延出方向が異なる。また、第2アスタリスク突起26は、第1アスタリスク突起26の第2延出部25B−2に対応する第2延出部27−2が直線状に延出されている。さらに、第1アスタリスク突起26の第3延出部25C−2に対応する第3延出部27C−2は、先端が第1アスタリスク突起26の第3延出部25C−1へ近づくように湾曲する湾曲状とされている。
第1アスタリスク突起24と第2アスタリスク突起26は、パターン領域20の全体を埋めるように、タイヤ径方向R及びタイヤ周方向Cに交互に並べられている。第1アスタリスク突起24の第1延出部25A−1、25A−2の各々の先端は、タイヤ径方向Rで隣り合う第2アスタリスク突起26の第2延出部27B−2と第3延出部27C−1の間、第2延出部27B−1と第3延出部27C−2の間に各々挿入されている。第2アスタリスク突起26の第1延出部27A−1、27A−2の各々の先端は、タイヤ周方向Cに隣り合う第1アスタリスク突起24の第2延出部25B−1と第3延出部25C−2の間、第2延出部25B−2と第3延出部25C−1の間に挿入されている。
タイヤ径方向R及びタイヤ周方向Cで隣り合う第1アスタリスク突起24と第2アスタリスク突起26は、中心O1と中心O2の間隔(以下「間隔P」と称する)が、0.2mm以上1.0mm以下とされている。また、第1延出部25A−1の先端から第1延出部25A−2の先端までの延出方向長さ、第2延出部25B−1の先端から第2延出部25B−2の先端までの延出方向長さ、及び、第3延出部25C−1の先端から第3延出部25C−2の先端までの延出方向長さは等しく、平面視における第1アスタリスク突起24の最長の長さとされている。この長さを、以下「延出長さL」と称する。延出長さLは、間隔Pよりも長く設定されている。なお、第1延出部27A−1の先端から第1延出部27A−2の先端までの延出方向長さ、第2延出部27B−1の先端から第2延出部27B−2の先端までの延出方向長さ、及び、第3延出部27C−1の先端から第3延出部27C−2の先端までの延出方向長さは、平面視における第2アスタリスク突起26の最長の長さとされており、延出長さLと同じ長さである。また、第2延出部25B−2及び第3延出部25C−1は、湾曲状であるが、直線状のものと延出長さは同じLとなっている。
間隔Pが0.2mm未満の場合、延出部24E、26Eの長さが短くなり、製造時における成形性の確保が難しい。一方、間隔Pが1.0mmを超えると、第1アスタリスク突起24及び第2アスタリスク突起26が密に配置されておらず、ベース部22での反射光により、パターン領域20の視認性の向上が少なくなる。したがって、間隔Pは、0.2mm以上、1.0mm以下としている。なお、間隔Pは、0.2mm以上、0.8mm以下の範囲内に設定することが、より好ましい。隣り合う第1アスタリスク突起24と第2アスタリスク突起26は、離間配置されている。
第2延出部25B−1と第2延出部27B−1の間には、連結部42が形成されている。連結部42は、第2延出部25B−1の先端から第2延出部25B−1と同方向に延出され、タイヤ周方向Cで隣接する第2延出部27B−1の先端と90°の角度をなすように連結されている。連結部42は、断面は第2延出部25B−1と同形状とされている。第2延出部27B−1と第2延出部25B−1とは、連結部42を介してタイヤ周方向Cに連続されている。連結部42と、第2延出部25B−1、第2延出部27B−1は、一体的に連結されている。連結部42により第2延出部25B−1が延長されて他の延出部よりも長い延出部分が形成されている。
第3延出部25C−1と第3延出部27C−1の間には、連結部44が形成されている。連結部44は、第3延出部27C−1の先端から第3延出部27C−1と同方向に延出され、タイヤ径方向Rで隣接する第3延出部25C−1の先端と90°の角度をなすように連結されている。連結部44の断面は第3延出部27−1と同形状とされている。第3延出部27C−1と第3延出部25C−1とは、連結部44を介してタイヤ径方向Rに連続されている。連結部44と、第3延出部27C−1、第3延出部25C−1とは、一体的に連結されている。連結部44により第3延出部27C−1が延長されて他の延出部よりも長い延出部分が形成されている。
第2延出部25B−1と第2延出部27B−1は、連結部42を介してタイヤ周方向Cに連続されている。第3延出部27C−1と第3延出部25C−1とは、連結部44を介してタイヤ径方向Rに連続されている。そして、第3延出部27C−1、連結部44、第3延出部25C−1、第2延出部25B−1、連結部42、第2延出部27B−1の順に連結されて、連続した1本の連続突起46が形成されている。連続突起46は、第1アスタリスク突起24及び第2アスタリスク突起26の中心O1、O2を通過しつつ、中心O1、O2で隣り合わない延出部へ屈曲されて他の第1アスタリスク突起24及び第2アスタリスク突起26へ延出されている。連続突起46は、全体としてタイヤ径方向Rに傾斜角度をもって延出されている。連続突起46は、パターン領域20−3のタイヤ径方向Rの内側端から外側端まで連続形成されている。
次に、本実施形態に係るタイヤの作用効果について説明する。
上記のような、タイヤサイド部12のパターン領域20では、パターン領域20内に形成された第1アスタリスク突起24及び第2アスタリスク突起26へ入射する光は、隣り合う第1側壁面23WA〜第3側壁面23WC、第1側壁面28WA〜第3側壁面28WCに当たる。そして、第1側壁面23WA〜第3側壁面23WC、第1側壁面28WA〜第3側壁面28WCの間で反射を繰り返しながら減衰する。これにより、パターン領域20の外側へ反射される光が少なくなり、図5に示すように、パターン領域20が黒く見え、他の領域(文字領域16や他のタイヤサイド部12)が相対的に白く見える。したがって、パターン領域20と他の領域とのコントラストを出すことができる。本実施形態のように、パターン領域20と、パターン領域20に囲まれた文字領域16とのコントラストが大きくなることにより、文字領域16が明瞭に見え、視認性を向上させることができる。
また、本実施形態のパターン領域20は、第1アスタリスク突起24と第2アスタリスク突起26がタイヤ径方向Rとタイヤ周方向Cに交互に並べられており、延出部24Eと延出部26Eとは、各々延出方向が異なっている。したがって、パターン領域20で反射される光の反射方向を異ならせることができ、反射光の集中が抑制される。これにより、見る角度を変えた場合の、パターン部分の見え方の均一性を高めて、視認性を向上させることができる。
また、本実施形態では、延出長さLは、隣り合う第1アスタリスク突起24と第2アスタリスク突起26の間隔Pよりも長い。したがって、単位パターンとしての第1アスタリスク突起24、第2アスタリスク突起26を接近させて配置しやすくなり、パターン領域20における単位パターンを密に配置することができる。単位パターンを密に配置することにより、パターン領域20における光の反射がより抑えられ、視認性を向上させることができる。
また、本実施形態では、第1アスタリスク突起24は、各々異なる方向に延出されると共に6本が中心O1で連結された延出部24Eで構成され、第2アスタリスク突起26は、各々異なる方向に延出されると共に6本が中心O2で連結された延出部26Eで構成されている。したがって、第1アスタリスク突起24、第2アスタリスク突起26の各々は、倒れにくくなり、個々の第1アスタリスク突起24、第2アスタリスク突起26の耐久性を向上させることができる。また、同一の単位パターン(第1アスタリスク突起24、第2アスタリスク突起26)内で延出部24E、26Eが異なる方向に延出されているので、反射される光の反射角度を異ならせることができ、反射光の集中が抑制される。これにより、見る角度を変えた場合の、パターン部分の見え方の均一性を高めて、視認性を向上させることができる。
また、第1アスタリスク突起24、及び第2アスタリスク突起26は、独立して(各々離間して)配置されているので、パターン領域20にクラックが発生した場合でも、当該クラックの進展を抑制することができる。
さらに、第1アスタリスク突起24、第2アスタリスク突起26は、延出部24E同士、延出部26E同士が成す角度が等角度(60°)とされている。したがって、延出部24E同士、延出部26E同士でバランス良く支持し合えることから、第1アスタリスク突起24、第2アスタリスク突起26の各々は、延出部24E同士、延出部26E同士が成す角度が等角度でないものより倒れにくくなり、耐久性を向上させることができる。
また、延出部24E、延出部26Eは、断面が、略二等辺三角形状とされており、第1〜第3側壁面23WA〜23WC、28WA〜28WCが延出方向と直交する断面で見て、両側の側壁面間の距離Sが頂部側からベース部22へ向けて長くなっている。したがって、隣り合う頂部23A〜23C、28A〜28Cの間隔がベース部22側の間隔よりも広くなり、広い範囲で光を延出部24E間、延出部26E間に入射させることができる。そして、延出部24E間、延出部26E間に入射した光は、側壁面で反射が繰り返されるので、反射光が延出部の間から外側へ戻ることを抑制することができる。
また、延出部24E、延出部26Eの延出方向と直交する方向の断面を上記のようにすることで、製造時に型抜きしやすくなり、成形性を向上させることができる。その結果、第1アスタリスク突起24、第2アスタリスク突起26の倒れ込みが少なくなり、耐久性を向上させることができる。
さらに、第1アスタリスク突起24と、第2アスタリスク突起26とが、連結部42、44により連結されているので、連結部42、44を介して第1アスタリスク突起24と第2アスタリスク突起26が互いに支え合い、第1アスタリスク突起24及び第2アスタリスク突起26の倒れ込みが抑制され、耐久性を向上させることができる。また、第2延出部25B、27Bが連結されて、パターン領域20タイヤ径方向Rの内側端から外側端まで連続する連続突起46が形成されているので、加硫時のエアを、連続突起46の端部からパターン領域20外へ逃がすことができる。これにより、パターン領域20内にエア溜まりによるベアが発生することを抑制することができる。
また、本実施形態では、第1アスタリスク突起24の第2延出部25B−2と、第2アスタリスク突起26の第3延出部27C−2が、他の単位パターンの延出部に先端が近づくように湾曲しているので、反射される光の反射角度を異ならせることができ、反射光の集中が抑制される。これにより、見る角度を変えた場合の、パターン部分の見え方の均一性を高めて、視認性を向上させることができる。さらに、第2延出部25B−2と第3延出部27C−2が湾曲形状とされているので、ベース部22の底面が見えにくくなり、パターン領域20に入射した光の反射を抑制することができる。
また、第2延出部25B−2と第3延出部27C−2は、先端が他の第1アスタリスク突起24、第2アスタリスク突起26の延出部(それぞれ、第2延出部27B−1、第3延出部25C−1)の先端に近づくように湾曲しているので、近づいた延出部との間のベース部22が見えにくくなり、パターン領域20に入射した光の反射をより抑制することができる。
また、第2延出部25B−2の先端が連結部42に向かって延び、第3延出部27C−2の先端が連結部44に向かって延びているので、連結部42と第2延出部25B−2の間の隙間、第3延出部27C−2と連結部44の間の隙間が小さくなる。したがって、ベース部22が見えにくくなり、パターン領域20に入射した光の反射をより抑制することができる。
さらに、本実施形態のパターン領域20では、隣り合う第1アスタリスク突起24と第2アスタリスク突起26とが、延出方向が異なる連結部42と連結部44で連結されているので、連結部で反射される光の方向を異ならせることができ、見る角度を変えた場合における見え方の均一性を高め、視認性を向上させることができる。また、その他、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、本実施形態では、延出部24E、延出部26Eの各々の延出方向と直交する方向の断面を略二等辺三角形状としたが、他の形状、例えば、図6に示すように、第1頂部23A〜第3頂部23C、第1頂部28A〜第3頂部28の近傍を曲面状として、第1頂部23AR〜第3頂部23CR、第1頂部28AR〜第3頂部28CRとしてもよい。
また、本実施形態では、6方向に延出された延出部24E、延出部26Eで単位パターン(第1アスタリスク突起24、第2アスタリスク突起26)を構成したが、異なる2方向に延出される延出部で単位パターンを形成してもよいし、異なる3方向以上に延出部を延出させて単位パターンを形成してもよい。また、異なる3方向以上に延出部を延出させる場合には、隣り合う延出部同士のなす角度は、等角度でもよいし、異なる角度でもよい。本実施形態のように、等角度とすることにより、延出部同士がバランスよく支持し合うことができる。
なお、本実施形態の、第2延出部25B−2と第3延出部27C−2については、図7に示されるように、その湾曲方向を反対にしてもよい。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態のタイヤ10は、第1実施形態のパターン領域20に変えてパターン領域20−2が形成されている。本実施形態では、第1実施形態における連結部42、44を有しておらず、これに代えて連結部36、38を有している点が主に異なっている。
本実施形態では、図8、9に示されるように、第1アスタリスク突起24は、第1延出部25A−1、25A−2、第2延出部25B−1、25B−2、第3延出部25C−2は、直線状に延出され、同一形状とされている。第3延出部25C−1は、先端が後述する連結部38へ近づくように湾曲する湾曲状とされている。また、第2アスタリスク突起26は、第1延出部27A−1、27A−2、第2延出部27B−2、第3延出部27C−1、27C−2は、直線状に延出され、同一形状とされている。第2延出部27B−1は、先端が後述する連結部36へ近づくように湾曲する湾曲状とされている。
また、本実施形態では、第2延出部25B−1と第2延出部27B−2の間に、連結部36が形成されている。連結部36は、第2延出部27B−2の先端から第2延出部27Bと同方向に延出され、タイヤ径方向Rで隣接する第2延出部25B−1の先端と90°の角度をなすように連結されている。連結部36の断面は第2延出部25Bと同形状とされている。連結部36と第2延出部27B及び第2延出部25Bとは、一体的に連結されており、第2延出部27Bと連結部36とで、他の延出部よりも長い延出部分が形成されている。第2延出部27Bと第2延出部25Bとは、連結部34を介してタイヤ径方向Rに連続している。
また、第3延出部25C−2と第3延出部27C−1の間には、連結部38が形成されている。連結部38は、第3延出部25C−2の先端から第3延出部25C−2と同方向に延出され、タイヤ周方向Cで隣接する第3延出部27C−1先端と90°の角度をなすように連結されている。連結部38は、断面は第3延出部25Cと同形状とされている。連結部38と第3延出部25C−2、第3延出部27C−1とは、一体的に連結されている。連結部38により第3延出部25Cが延長されて他の延出部よりも長い延出部分が形成されている。連結部34Bと第2延出部27B−2、第2延出部25B−1とは、一体的に連結されている。連結部34Bにより第2延出部27Bが延長されて他の延出部よりも長い延出部分が形成されている。
第2延出部25B−1と第2延出部27B−2とは、連結部36を介してタイヤ径方向Rに連続されている。第3延出部25C−2と第3延出部27C−1とは、連結部38を介してタイヤ周方向Cに連続されている。そして、第2延出部27B−2、連結部36、第2延出部25B−1、第3延出部25C−2、連結部38、第3延出部27C−1、第3延出部25C−2、連結部38、第3延出部27C−1の順に連結されて、連続した1本の連続突起40が形成されている。連続突起40は、第1アスタリスク突起24及び第2アスタリスク突起26の中心O1、O2を通過しつつ、中心O1、O2で隣り合う延出部へ折り返されて他の第1アスタリスク突起24及び第2アスタリスク突起26へ延出されている。連続突起40は、全体としてタイヤ径方向Rに傾斜角度をもって延出されている。連続突起40は、パターン領域20−2のタイヤ径方向Rの内側端から外側端まで連続形成されている。
本実施形態のパターン領域20−2でも、隣り合う第1アスタリスク突起24と第2アスタリスク突起26とが、延出方向が異なる連結部36と連結部38で連結されているので、連結部で反射される光の方向を異ならせることができ、見る角度を変えた場合における見え方の均一性を高め、視認性を向上させることができる。また、その他、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、第1、第2実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態のタイヤ10は、第1実施形態のパターン領域20に変えてパターン領域20−3が形成されている。パターン領域20−3は、第1実施形態における連結部44に代えて、第2実施形態の連結部36を有している点が主に異なっている。
本実施形態では、図10、11に示されるように、第1アスタリスク突起24は、第1延出部25A−1、25A−2、第2延出部25B−1、第3延出部25C−2が、直線状に延出され、同一形状とされている。第2延出部25B−2は、先端が連結部36へ近づくように湾曲する湾曲状とされている。第3延出部25C−1は、先端が第2アスタリスク26の第3延出部27C−1の先端へ近づくように湾曲する湾曲状とされている。また、第2アスタリスク突起26は、すべての延出部が直線状とされている。
第2延出部25B−1と第2延出部27B−1の間には、連結部42が形成されている。連結部42は、第2延出部25B−1の先端から第2延出部25B−1と同方向に延出され、タイヤ周方向Cで隣接する第2延出部27B−1の先端と90°の角度をなすように連結されている。連結部42と、第2延出部25B−1、第2延出部27B−1とは、一体的に連結されている。連結部42により第2延出部25B−1が延長されて他の延出部よりも長い直線部分が形成されている。
第2延出部25B−1のタイヤ径方向R外側と第2延出部27B−2の先端の間には、連結部36が形成されている。連結部36は、第2延出部27B−2の先端から第2延出部27B−2と同方向に延出され、タイヤ径方向Rで隣接する第2延出部25B−1のタイヤ径方向R外側と90°の角度をなすように連結されている。連結部36と、第2延出部25B−1、第2延出部27B−1とは、一体的に連結されている。連結部36により第2延出部27B−2が延長されて他の延出部よりも長い直線部分が形成されている。
第2延出部25B−1と第2延出部27Bは、連結部36、42を介してタイヤ周方向C及びタイヤ径方向Rに連続されている。そして、第2延出部27B、連結部36、第2延出部25B−1、連結部42、の順に連結されて、連続した1本の連続突起48が形成されている。言い換えると、連続突起48は、第2アスタリスク突起26の中心O2を通過しつつ、タイヤ径方向Rに対して傾斜する方向で隣り合う第2アスタリスク突起26同士が、第1アスタリスク突起24の一端部と連結部42、34Bを介してされて構成されている。連続突起48は、全体としてタイヤ径方向Rに傾斜角度をもって延出されている。連続突起48は、パターン領域20−3のタイヤ径方向Rの内側端から外側端までジグザグ状に連続形成されている。
本実施形態のパターン領域20−3では、隣り合う第1アスタリスク突起24と第2アスタリスク突起26とが、延出方向が異なる連結部36と連結部42で連結されているので、連結部で反射される光の方向を異ならせることができ、見る角度を変えた場合における見え方の均一性を高め、視認性を向上させることができる。また、その他、第1、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、第1−第3実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態のタイヤ10は、第1実施形態のパターン領域20に変えてパターン領域20−4が形成されている。パターン領域20−4は、第1実施形態における連結部42、44を有しておらず、第1アスタリスク突起24と第2アスタリスク突起26が連結されていない点が主に異なっている。
本実施形態では、図12、13に示されるように、第1アスタリスク突起24は、第1延出部25A−1、25A−2、第2延出部25B−1、25B−2、第3延出部25C−2が、直線状に延出され、同一形状とされている。第3延出部25C−1は、先端がタイヤ径方向Rの外側へ向かうように湾曲する湾曲状とされている。また、第2アスタリスク突起26は、第1延出部27A−1、27A−2、第2延出部27B−2、第3延出部25C−1、25C−2が、直線状に延出され、同一形状とされている。第2延出部27B−1は、先端がタイヤ周方向Cに沿うように湾曲する湾曲状とされている。
第3延出部25C−1、第2延出部27B−1は、延出長さが、他の延出部よりも長くなっている。
本実施形態では、第3延出部25C−1、第2延出部27B−1が、湾曲しているので、反射される光の反射角度を異ならせることができ、反射光の集中が抑制される。これにより、見る角度を変えた場合の、パターン部分の見え方の均一性を高めて、視認性を向上させることができる。さらに、延出長さが長いので、ベース部22の底面が見えにくくなり、パターン領域20に入射した光の反射を抑制することができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、第1〜第4実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態のタイヤ10は、パターン領域20がトレッド30に形成されている点が、第1〜第4実施形態と異なり、パターン領域20の構成については第1〜第4実施形態と同様である。
図14に示されるように、タイヤ10は、タイヤ径方向の外側にトレッド30を備えている。トレッド30には、複数の周方向溝32が形成されている。1本の周方向溝32の溝底32Aには、文字領域16とパターン領域20を備えた標章部14が形成されている。パターン領域20は、第1〜第5実施形態と構成が同様のものを形成することができる。
本実施形態では、トレッド30の溝底32Aに形成された標章部14の文字領域16とパターン領域20のコントラストを大きくすることができ、トレッド30の視認性を向上させることができる。
なお、第1〜第5実施形態のタイヤ10は、空気入りタイヤであってもよいし、非空気入りタイヤであってもよい。
<試験例>
本発明の効果を立証するために、本発明を適用した実施例1〜7のタイヤと、比較例1〜比較例4のタイヤを準備し、以下の試験を実施した。
(試験条件)
供試タイヤとしては、いずれもサイズが205/55R16でタイヤ断面高さSHが114mmのタイヤを用いた。
実施例1〜8、比較例1〜5のタイヤは、本発明の第1実施形態に係るタイヤと同様の構造のタイヤであり、標章部14Aのパターン領域20に形成された第1アスタリスク突起24、第2アスタリスク突起26の、間隔P、突出高さH1、角度θ、がそれぞれ、図15の表1に示すように異なっている。なお、比較例5では、湾曲された延出部を有しておらず、第2延出部25B−2及び第3延出部27C−2が直線状に延出されている点が実施例と異なっている。
試験では、パターン領域を各方向から見たときの視認性について評価した。
まず、それぞれの供試タイヤを適用リムに組み付け、その後、20人の看者が観察して、通常のタイヤよりもパターン領域が黒く見えるかのアンケート調査を行った。その結果を「視認性」として表1に示す。なお、表1では、パターン領域が通常のタイヤよりも黒く見えたと回答した看者の数が18人以上の場合をA、10〜17人の場合をB、9人以下の場合をCとして評価した。なお表1には、パターン部が黒く見えたと回答した看者の人数も併記した。
表1に示されるように、本発明を適用した実施例1〜8のタイヤは、比較例1〜4のタイヤと比べて、視認性が向上していることが分かる。また、実施例1と比較例5のタイヤでは、条件として延出部の湾曲の有無のみが異なっているが、延出部に湾曲があった方が視認性について向上していることが分かる。