JP6614664B2 - 被介護者用ズボン - Google Patents

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Description

本発明は、介護を受ける被介護者が着用するズボンであって、介護者が被介護者の介護をする際に、脱ぎ着等を容易にして介護者の負担を軽減することができる被介護者用ズボンに関する。
自宅または病院や介護施設等における介護の現場において、寝たままで過ごすことが多い状態の被介護者に着替えをさせたり、オムツ交換をしたりする際の介護者の負担の大きさは従来から知られているところである。下衣(ズボン)の方に限って見た場合、特に被介護者が健常者用と同じズボンを着用した場合には、着替えやオムツ交換の際に、大人である被介護者の身体(特に、腰部)を持ち上げてズボンを下に下ろさなければならないことが、介護者が腰部等を痛める原因となるため、その負担を軽減するための被介護者用の衣服が種々、発明・考案されている。
たとえばズボンでは、被介護者の身体を持ち上げることなく、転動させるだけで脱ぎ着させられるように、前身頃の中心における上端から内股を経由して、ズボンの左右の裾まで面ファスナーを配置して、面ファスナーを開閉することにより、ズボンの左部分と右部分とを分離させて脱ぎ着させるズボン(特許文献1)や、完全に一枚の平面状に展開可能な部材の内股と腹部の中心部に、相互に係合可能な、ボタンやホック、面ファスナーあるいはスライド式ファスナー等からなる複数の対の係止具を配置し、それらの係止具を全て係合させると立体的なズボンとなる構成として、着脱を容易としたズボン(特許文献2の図7)等があった。
しかし、これら従来の被介護者用ズボンにおいては、いずれも、ズボンの履き口である上縁部から裾まで等の長い範囲に、スライド式ファスナーや面ファスナー、あるいは多数の対の係止具を取り付けてあるため、それらの係合状態を全て解除するのに手間と時間がかかった。また、スライド式ファスナーやスナップ等は衣類とは異なる触感を有するため、長い範囲に亘って長尺状に、あるいは多数配置させると、皮膚に当たって着心地を損ねるという問題や、外観的にも、普通のズボンではない、被介護者用のものだということがわかるため、着用者の尊厳に関わるという問題もあった。
特開2012−057287号公報 特開2004−332154号公報
そこで本発明は、着替えやオムツ交換の際の介護者の負担を軽減することができ、且つ、被介護者の着心地や外観も自然な被介護者用ズボンを提供することを目的とする。
本発明に係る被介護者用ズボンは、介護を受ける被介護者が着用するズボンであって、
ズボンの外殻を成すズボン本体部の前壁部における左右の脇線のいずれか一方である第一脇線の付近に、前壁部を開放するために、履き口である上縁部から少なくとも股部を超えた下方であって、裾である下端部より上方の位置まで延びるように開き口が設けられ、
開き口は、
ズボン本体部の前壁部における左右の片側のみに設けられて、
着用時に前壁部における開き口よりへそ側の部位となる外カバー部を、開き口の下端部から股部を通って、ズボン本体部における開き口が設けられていない側の脇線である第二脇線の上端部に至る線をヒンジ線として開き可能とするように構成され、
開き口の上端部近傍において、開き口を開放可能に閉鎖する一対の係止部が設けられ、
前壁部における開き口の第一脇線側の縁部とへそ側の縁部とは、開き口の略全長に亘って相互に離隔状態であり、
前壁部における開き口の第一脇線側縁部の略全域からへそ側に向かって、外カバー部の内側に配置される内カバー部が延設され、
内カバー部は、開き口の下端部を起点として第一脇線側に開き可能に構成され、
内カバー部は、少なくともズボン本体部の左右方向の中心付近までの領域において前記外カバー部と重なる
ことを特徴とする。

このような被介護者用ズボンでは、開き口がズボン本体部の左右の片側にのみ設けられるため、開き口がズボン本体部の左右両側に設けられる場合と比較して、一箇所の開き口の上端部近傍において開き口を閉鎖している係止部を外すだけで、素早く被介護者の腰部を開放する作業を開始することができる。また開き口が股部を超えた下方まで延設されているため、内カバー部の外側に配置される外カバー部を、開き口の下端部から股部を通ってズボン本体部における開き口が設けられていない側の脇線の上端に至る線をヒンジ線として大きく開くことができ、また、内カバー部も開き口の下端部を起点として大きく外側に開くことができる。その結果、被介護者の前面を大きく開放することができるので、被介護者が仰向けに寝たままでも、オムツと併用する尿取りパッドの濡れ具合を確認したり、尿取りパッドを交換したりする等の作業が容易に行える。
オムツ交換やズボンを脱がせる場合には、係止部の係合状態を解除してズボン本体部の前壁部を大きく開いた後、開き口が設けられていない方の脇線側を下とする側臥位になるように被介護者を転動させれば、内カバー部と共にズボン本体部の後壁部も、股部より下方に設けられた開き口の下端部と、身体の下敷きになっている側の脇線の上端部付近と、を結ぶ線をヒンジ線として、被介護者の背面側に大きく開くことができる。すると、被介護者の腰部の左右方向における開き口の設けられる側を大腿部に至るまで大きく開放することができる。その状態から被介護者を仰臥位に戻し、さらに反対の側臥位になるように(開放された第一脇線側が下になるように)転動させれば、下側になった腰部の側からはすでにズボンは外れているため、ズボン本体部における開き口の設けられていない側をめくるだけで被介護者の腰部全体からズボンを脱がせることができる。その結果、被介護者の腰部を持ち上げることなく身体を転動させるだけで、ズボンを脱がせて着替えやオムツ交換を容易に行うことができるので、介護者の負担が大幅に軽減される。ズボンを着せる場合には、これと逆の手順で行えばよい。
また本発明の被介護者用ズボンでは、開き口の第一脇線側の縁部の上端から下端までの略全域からへそ側に向かって延設される内カバー部が、外カバー部の内側において、少なくともズボン本体部の左右方向の中心付近までの領域において外カバー部と重なるように設けられている。このため、ズボン本体部における開き口の第一脇線側の縁部とへそ側の縁部とが、開き口の略全長に亘って相互に離隔状態でも、内カバー部と外カバー部が重なり着物の前側部分と同様の態様となって、着用時にズボンの内側の身体が見えてしまうことはなく、被介護者が恥ずかしい思いをすることなく安心して着用できる。また、内カバー部によってズボンの内部が見えないようになっているので、開き口の上端部近傍において開き口を閉鎖する係止部の他に、開き口の全長に亘って、スライド式ファスナーや、多数のスナップ等を配置して開き口の縁部相互を閉鎖する必要がなく、開き口の上端部近傍の係止部の係合状態を解除するだけで素早く外カバー部を開くことができ、被介護者の腰部を開放する作業を格段に容易に、素早く行うことができる。また、着用者にとっても、腰から大腿部にかけての長い領域にファスナーや多数のスナップが取り付けられている場合の皮膚に接触する不快感等を感じることなく、自然な着心地を得ることができる。
また内カバー部は、着用時にはズボン本体部の外カバー部に隠れる部位であって且つ十分なスペースがあるため、この部位を着用者の氏名や介護施設における部屋番号等を記入する名札スペースとして利用でき、介護施設等で一括して衣類を洗濯・管理等する場合に、取り違え等の防止に役立つ。
したがって、実施形態の被介護者用ズボンは、外観や着心地を損なうことなく、被介護者の着替えやオムツ交換の際の介護者の負担を軽減することができる。
上述した本発明の被介護者用ズボンにおいては、開き口の下端部の位置を、ズボンを平らに広げた状態において、開き口が設けられていない側の脇線である第二脇線の上端部と股部とを結ぶ直線の延長線と交差する位置付近とするように開き口の長さを決定することが望ましい。このように決定した下端部の位置は、股部があるズボンにおいて、前壁部における左右の片側のみに開き口を設けた場合に、開き口を無駄に長くすることなしに最大限にズボン本体部を開くことができる位置である。したがって、ズボン本体部の前壁部における開き口よりへそ側の部位である外カバー部を開く際に、股部を経由して第二脇線の上端と開き口の下端部を結ぶ直線をヒンジ線として最大限に被介護者の前面を開放することができ、その後さらに、開き口がない第二脇線側を下とする側臥位になるように被介護者を転動させた場合にも、内カバー部とズボン本体部の後壁部とを、開き口の下端部と、身体の下敷きになっている第二脇線の上端部付近とを結ぶ線をヒンジ線として、被介護者の背面側に開いて被介護者の腰部を最大限に開放することができるため、被介護者の腰部全体からズボンを脱がせる作業がより一層容易となって、着替えやオムツ交換を容易に行うことができ、介護者の負担を大幅に軽減することができる。
また本発明の被介護者用ズボンにおいては、開き口の上端部近傍において開き口を閉鎖する係止部を、1個のボタンとボタン穴とから構成することが望ましい。この構成では、介護者が片手でも素早くはめ外しの操作ができ、両手を使って開閉操作をしなければならないスナップ等の係止具を使用した場合と比較して、素早く介護作業を行うことができる。
さらに本発明の被介護者用ズボンにおいては、開き口が、近傍の第一脇線からへそ側、すなわち左右の中心側にずれた位置に設けられている。この構成によれば、ズボンを着用した被介護者が、第一脇線側を下にした側臥位になった場合にも、開き口の上端部近傍に設けられるボタン等の係止部が身体の下敷きにならないので、係止部が身体を圧迫して被介護者が痛い思いをすることがない。
実施形態の被介護者用ズボンの正面図である。 図1の被介護者用ズボンにおいて、ズボン本体部の外カバー部を開いた状態を示す正面図である。 図1の被介護者用ズボンの、(A)は平面図を、(B)は左側面図を示す。 図1の被介護者用ズボンにおいて、ズボン本体部の外カバー部を開いた状態を示す概略斜視図である。 実施形態の被介護者用ズボンを脱がせる際の手順を示す図である。 実施形態の被介護者用ズボンを脱がせる際の手順を示す図であって、図5−1の次の状態を示す図である。 開き口と内カバー部を構成する別の態様を示す図である。
以下に本発明の望ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図4に示す本発明の実施形態である被介護者用ズボンP(以下、ズボンPということがある)は、柔軟性を有する織布または編地からなる布材からなり、ズボンの外殻をなす本体部11が、履き口である上縁部11aに沿って設けられたゴム通し穴21にゴム(図示省略)が通され、該ゴムにより腰に係止される構造としたものである。本体部11の前壁部13における右側部13Rには、前壁部13を開放するための開き口25が設けられている。
なお本実施形態における左右方向は、着用者から見た左右方向をいう。
図1に示すように、開き口25は、本体部11の前壁部13と後壁部15(図3と図4参照)との境界線である右側の脇線(第一脇線)11b付近において、上縁部11aから、少なくとも股部19を超えた下方であって、裾である下端部11dより上方の位置まで略直線状に延びるように設けられる。本実施形態では、開き口25の下端部25bの位置が、ズボンPを平らに広げた状態において、開き口25が設けられていない側、すなわち左側の脇線(第二脇線)11cの上端部11cuと股部19とを結ぶ直線HL(図1の一点鎖線参照)の延長線と交差する位置付近となるように開き口25の長さが決定されている。この長さは、本体部11の前壁部13における開き口25より左側(すなわち、へそ側)の部位である外カバー部27を、着替え又はオムツ交換等のために開いた場合に、図2及び図4に示すように、開き口25を無駄に長くすることなしに着用者の前面を極力大きく開放できる長さである。すなわち、開き口25の下端部25bをこれより上方に配置すれば、着用者の腰部を開放できる領域が少なくなって作業がし難くなり、一方、開き口25の下端部25bをこれより下方に配置しても、実施形態における位置以上に着用者の腰部を開放できる領域が大きくなることはなく、却って後述する内カバー部50を配置しなければならない領域が増えるだけである。また本実施形態では、開き口25は、右側の第一脇線11bから左右方向の中心側(すなわち、へそ側)に約8cmずれた位置に設けられている。これは、ズボンPの着用者が、開き口25が設けられた右側を下にした側臥位になった場合に、開き口25の上端部25a近傍に配置される後述する係止部70(ボタン70M)が身体の下敷きになって身体を圧迫しない位置である。
図2及び図4に示すように、本体部11の前壁部13における、右側の脇線(第一脇線)11b側の開き口25の縁部25cからは、左右方向の中央側(すなわち、へそ側)に向かって内カバー部50が延設されている。内カバー部50は、着用時に、本体部11の前壁部13における開き口25より左側(すなわち、へそ側)の部位である外カバー部27の内側において外カバー部27と重なるように配置される部位である。本実施形態における内カバー部50は、本体部11とは別体の任意の布製の部材として用意され、開き口25の上端部25aから下端部25bまでの全長に亘って、開き口25の脇側縁部25cに縫合されて構成されている。本実施形態の内カバー部50は、上縁50cが着用時に本体部11から突出しないように、開き口25の上端部25aから本体部11の上縁部11aに沿って着用者の左半身に進入する位置にまで延びるように形成され、上縁部50c側では腹部を覆い、下端部50d側では本体部11の股部19と干渉しないような略台形状に形成されている(図1の破線および図4参照)。この内カバー部50は、後述するように常時略開いた状態の開き口25からズボンPの内部が見えないように被介護者の身体を覆って隠すもので、十分に外カバー部27と重なるような左右方向の幅を有している。実施形態の内カバー部50では、上縁50c側の左右方向の幅寸法が、元部側上端部50bからズボンPの左右の中央線CL(図1)までの幅寸法と、先端側上端部50aから中央線CLまでの幅寸法とが略同じとなる寸法、すなわち、先端50a側に設けられる後述する第二係止部80のボタン80Mが、開き口25の上端部25a近傍に設けられる第一係止部70のボタン70Mと正面から見て略左右対称位置に配置されるような寸法としているが、開き口25からズボンPの内部が見えないようにするためには、腹部に位置する部位において少なくともズボンPの左右の中央線CL付近までの領域において外カバー部27と重なる程度の左右方向の幅寸法があることが望ましい。その場合、内カバー部50の形状は上述した略台形状に限られず、元部側上端部50b,先端側上端部50a及び元部側下端部50dを結ぶ略台形あるいは略三角形としてもよい。なお、本実施形態における、本体部11の前壁部13における外カバー部27とは、本体部11の前壁部13における開き口25より左側の部位を言い、へそまでの領域に限定されるものではなく、ズボンPの左右の中央線CLを超えた左側の第二脇線11c側の領域も含む意である。また、内カバー部50は、本体部11と同様に、上縁部50cにゴム通し穴53が設けられて、中にゴム(図示省略)が通されている。
開き口25の上端部25a近傍には、開き口25を開放可能に閉鎖する一対の係止部(第一係止部)70が設けられている。実施形態の係止部70は、外カバー部27の上縁部27aにおける着用時に開き口25の上端部25aに隣接する先端部27bにボタン穴70Fを形成し、内カバー部50における開き口25の上端部25aに隣接する元部側上端部50bにボタン70Mを取り付けて、外カバー部27の先端部27bを内カバー部50の元部側上端部50bに係止させて開き口25を閉鎖させるように構成されている。すなわち、開き口25は、上端部25a近傍において係止部70によって閉じられているものの、上端部25aから下端部25bに至るまでの略全域に亘って、着用時、ズボン本体部11における右側脇線(第一脇線)11b側の縁部25cと、へそ側の縁部25d(外カバー部27)とを、相互に係合しない離隔状態(すなわち、開いた状態)としている。なお、実施形態では、ボタン70Mは、介護者が片手ではめ外しできるような直径2.5cm程度の大きなもので、着用者の身体を圧迫したり食い込んだりすることのないように、裏側に突出部のない、平たいタイプのものが使用されている。
また、本実施形態の被介護者用ズボンPは、内カバー部50の先端部50a側を本体部11側に係止させるための第二係止部80としてのボタン80Mとボタン穴80Fと、をさらに備える。ボタン80Mが内カバー部50の先端部50a側に取り付けられ、本体部11側にボタン穴80Fが設けられる。この第二係止部80の位置も、ズボンPの着用者が左の脇線11c側を下にした側臥位になった場合に、ボタン80Mが身体の下敷きになって身体を圧迫しない位置としている。またボタン80Mも、介護者が片手ではめ外しできるような直径2.5cm程度の大きなもので、裏側に突出部のない、平たいタイプのものが使用されている。
上述した被介護者用ズボンPでは、開き口25はズボンPの左右の片側である右側部13Rのみに設けられているため、寝具上に仰臥したズボンPの着用者の介護をする場合に、一箇所の開き口25の上端部25a近傍において開き口25を閉鎖している第一係止部70(ボタン70Mとボタン穴70F)と、内カバー部50の先端部50a側を本体部11側に係止させている第二係止部80(ボタン80Mとボタン穴80F)とを外すだけで、素早く着用者の腰部を開放する作業を開始することができる。また開き口25が股部19を超えた下方まで延設されているため、図2に示すように、外カバー部27を、開き口25の下端部25bから股部19を経由してズボン本体部11における開き口25が設けられていない側、すなわち左側の第二脇線11cの上端部11cuに至る線HLをヒンジ線として大きく開くことができ、また内カバー部50も開き口25の下端部25bを起点として大きく外側に開くことができる(図5−1(A)の二点鎖線参照)。その結果、着用者の前面を大きく開放することができるので、着用者が仰向けに寝たままでも、オムツと併用する尿取りパッドの濡れ具合を確認したり、尿取りパッドを交換したりする等の作業が容易に行える。
オムツ交換やズボンの脱ぎ着をさせる場合には、図5−1(A)に示すように、第一係止部70と第二係止部80とにおける係合状態を解除して外カバー部27を上述したように大きく開いた後、開き口25がない左の第二脇線11c側を下側とする側臥位になるように着用者を転動させると、内カバー部50と共に本体部11の後壁部15も、股部19より下方に設けられた開き口25の下端部25bと、身体の下敷きになっている左側の第二脇線11cの上端部11cu付近を結ぶ線をヒンジ線として、着用者の背面側に大きく開くことができる(図5−1(B)参照)。すると、着用者の腰部の右側を大腿部に至るまで大きく開放することができる。その状態から着用者を仰臥位に戻し(図5−2(C))、さらに右側の第一脇線11b側が下となる側臥位になるように転動させれば、図5−2(D)に示すように、下側になった腰部の右側からはすでにズボンPは外れているため、本体部11の左側部13Lと後壁部15とをめくるだけで着用者の腰部全体からズボンPを脱がせることができる。その結果、着用者の腰部を持ち上げることなくズボンPを脱がせて着替えやオムツ交換を容易に行うことができ、介護者の負担が大幅に軽減される。ズボンPを着せる場合には、これと逆の手順で行えばよい。
また本実施形態の被介護者用ズボンPでは、開き口25の脇側縁部25cの上端から下端までの略全域からへそ側に向かって延設される内カバー部50が、外カバー部27の内側において、少なくともズボン本体部11の左右方向の中心付近までの領域において外カバー部27と重なる構成としている。このため、前壁部13における開き口25の右側脇線(第一脇線)11b側の縁部25cと、へそ側の縁部25d(外カバー部27)とが、開き口25の略全長に亘って離隔状態としていても、外カバー部27と内カバー部50とが重なって着物の前側部分と同様の態様となり、着用時にズボンPの内側の身体が見えてしまうことはなく、被介護者が恥ずかしい思いをすることなく安心して着用できる。また、内カバー部50によってズボンPの内部が見えないようになっているので、開き口25の上端部25a近傍において開き口25の縁部25c,25d相互を係止させる係止部70の他には、開き口25の全長に亘って、スライド式ファスナーや、多数のスナップ等を配置して開き口25の縁部25cと25d相互を閉鎖する必要がなく、係止部70の係合状態を解除するだけで素早く外カバー部27を開くことができ、被介護者の腰部を開放する作業を格段に容易に、素早く行うことができる。また、着用者にとっても、腰から大腿部にかけての長い領域にファスナーやスナップが取り付けられている場合の皮膚に接触する不快感等を感じることなく、自然な着心地を得ることができる。
また内カバー部50は、着用時には本体部11の外カバー部27に隠れる部位であって且つ十分なスペースがあるため、図4に示すように、この部位を着用者の氏名や介護施設における部屋番号等を記入する名札スペースとして利用でき、介護施設等で一括して衣類を洗濯・管理等する場合に、取り違え等の防止に役立つ。さらに内カバー部50を本体部11と共布で形成すれば、開き口25の存在が目立たず、外観的に自然で、「被介護者用の特別な衣服である」との違和感をまったく呈しないから、着用者の尊厳も尊重することができる。
したがって、実施形態の被介護者用ズボンPは、外観や着心地を損なうことなく、被介護者の着替えやオムツ交換の際の介護者の負担を軽減することができる。
また、実施形態の被介護者用ズボンPでは、開き口25の下端部25bの位置が、ズボンPを平らに広げた状態において、開き口25が設けられていない側(すなわち左側)の脇線である第二脇線11cの上端部11cuと股部19とを結ぶ直線HL(図1の一点鎖線参照)の延長線と交差する位置付近となるように開き口25の長さが決定されている。このように決定した下端部25bの位置は、股部19があるズボンPにおいて、前壁部13における左右の片側のみに開き口25を設けた場合に、開き口25を無駄に長くすることなしに最大限に外カバー部27を開くことができる位置である。したがって、外カバー部27を開く際に、図2に示すように、股部19を経由して第二脇線11cの上端部11cuと開き口25の下端部25bを結ぶ直線HLをヒンジ線として最大限に着用者の前面を開放することができ、さらに、図5−1(B)に示すような、開き口25がない左の第二脇線11c側を下側とする側臥位になるように着用者を転動させた場合にも、内カバー部50と本体部11の後壁部15とを、開き口25の下端部25bと、身体の下敷きになっている左側の第二脇線11cの上端部11cu付近とを結ぶ線をヒンジ線として、着用者の背面側に開いて着用者の腰部の右側を最大限に開放することができるため、着用者の腰部全体からズボンPを脱がせる作業がより一層容易となって、着替えやオムツ交換を容易に行うことができ、介護者の負担を大幅に軽減することができる。
また本実施形態の被介護者用ズボンPでは、開き口25の上端部25a近傍において開き口25の縁部25c,25dを相互に係止させる係止部70が、1個のボタン70Mとボタン穴70Fとからなるため、介護者が片手でも素早くはめ外しの操作ができ、両手を使って開閉操作をしなければならないスナップ等の係止具を使用した場合と比較して、素早く介護作業を行うことができる。なお、このような作用効果を考慮しないならば、第一係止部70を、スナップ等の別種の係止具から構成してもよい。また、内カバー部50の先端50aと本体部11とを互いに係止させる第二係止部80も、本実施形態ではボタン80Mとボタン穴80Fとしたが、これを面ファスナーやスナップ等の別種の係止具から構成してもよい。
また本実施形態の被介護者用ズボンPでは、開き口25が、右側の脇線(第一脇線)11bからへそ側、すなわち左右の中心側、に約8cmずれた位置に設けられている。この構成によれば、ズボンPの着用者が開き口25が設けられた右側の第一脇線11b側を下にした側臥位になった場合にも、開き口25の上端部25a近傍に設けられるボタン70M等の係止部70が身体の下敷きにならないので、係止部70が身体を圧迫して着用者が痛い思いをすることがない。
本実施形態では、内カバー部50は、ズボン本体部11とは別体の布製部材を開き口25の脇側縁部25cに縫合して成す構成としたが、内カバー部50の構成はこれに限られるものではない。例えば、通常、右前部材31,左前部材33,右後部材35及び左後部材37の4枚の部材をはいで(縫合して)製造するズボンの前壁側におけるたとえば右側部13Rに開き口25を設けたい場合には、図6に示すように、この右前部材31を、脇側の領域をなす部材であって内カバー部50となる領域31Scを備えた脇側部材31Sと、へそ側の領域をなす部材であるへそ側部材31Nとの分割された2部材から構成することとして、右前部材31(すなわち脇側部材31Sとへそ側部材31N),左前部材33,右後部材35及び左後部材37の5枚の部材を縫合して、開き口25と内カバー部50とを備えた被介護者用ズボンPを製造することとしてもよい。
なお、実施形態における、本体部11の前壁側右前部13Rのみに開き口25を設け、その脇側縁部25cに別体の布材を縫合して内カバー部50とする構成は、既存のパジャマのズボンやスウェットパンツの前壁側における左右のいずれかの部位に履き口から一本だけスリットを入れて、その脇側縁部25cに内カバー部50を構成する別体の布材を縫合すれば容易に製造することができるので、既存のズボンのリフォームに適している。
実施形態では、開き口25の上端部25a近傍に設けられる係止部70のボタン70Mを内カバー部50の元部側上端部50bに設けて、外カバー部27の先端部27bを内カバー部50に係止させるように構成されているが、被介護者が側臥位になったときに身体の下敷きになって身体を圧迫しないのであれば、図4の二点鎖線で示すように、係止部70におけるボタン70M´(または別種の係止部の対応する部分)を本体部11における開き口25の第一脇線11b側の縁部25cに設けてもよい。
また、実施形態では、開き口25は、ズボン本体部11の前壁部13における着用者から見た右側に設けられるものとしたが、開き口25は、勿論、着用者の左側の位置に設けてもよい。
また、ズボン本体部11の長さは、実施形態で図示した長さに限られるものではなく、例えば膝下程度までの短尺のズボンに本発明を適用してもよい。
11 ・・・ ズボン本体部
11a ・・・ 上縁部
11b ・・・ 脇線(第一脇線)
11c ・・・ 脇線(第二脇線)
11cu ・・・ 上端部
11d ・・・ 下端部(裾)
13 ・・・ 前壁部
19 ・・・ 股部
25 ・・・ 開き口
25a ・・・ 開き口の上端部
25b ・・・ 開き口の下端部
25c ・・・ 脇線側縁部
25d ・・・ へそ側縁部
27 ・・・ 外カバー部
50 ・・・ 内カバー部
70 ・・・ 係止部
70M ・・・ ボタン
70F ・・・ ボタン穴
HL ・・・ 直線
P ・・・ 被介護者用ズボン

Claims (4)

  1. 介護を受ける被介護者が着用するズボンであって、
    ズボンの外殻を成すズボン本体部の前壁部における左右の脇線のいずれか一方である第一脇線の付近に、前記前壁部を開放するために、履き口である上縁部から少なくとも股部を超えた下方であって、裾である下端部より上方の位置まで延びるように開き口が設けられ、
    前記開き口は、
    前記ズボン本体部の前壁部における左右の片側のみに設けられて、
    着用時に前記前壁部における前記開き口よりへそ側の部位となる外カバー部を、前記開き口の下端部から前記股部を通って、前記ズボン本体部における前記開き口が設けられていない側の脇線である第二脇線の上端部に至る線をヒンジ線として開き可能とするように構成され、
    前記開き口の上端部近傍において、前記開き口を開放可能に閉鎖する一対の係止部が設けられ、
    前記前壁部における前記開き口の前記第一脇線側の縁部とへそ側の縁部とは、前記開き口の略全長に亘って相互に離隔状態であり、
    前記前壁部における前記開き口の前記第一脇線側縁部の略全域からへそ側に向かって、前記外カバー部の内側に配置される内カバー部が延設され、
    前記内カバー部は、前記開き口の下端部を起点として前記第一脇線側に開き可能に構成され、
    前記内カバー部は、少なくとも前記ズボン本体部の左右方向の中心付近までの領域において前記外カバー部と重なる
    ことを特徴とする被介護者用ズボン。
  2. 介護を受ける被介護者が着用するズボンであって、
    ズボンの外殻を成すズボン本体部の前壁部における左右の脇線のいずれか一方である第一脇線の付近に、前記前壁部を開放するために、履き口である上縁部から少なくとも股部を超えた下方であって、裾である下端部より上方の位置まで延びるように開き口が設けられ、
    前記開き口は前記ズボン本体部の前壁部における左右の片側のみに設けられ、
    前記開き口の上端部近傍において、前記開き口を開放可能に閉鎖する一対の係止部が設けられ、
    前記前壁部における前記開き口の前記第一脇線側の縁部とへそ側の縁部とは、前記開き口の略全長に亘って相互に離隔状態であり、
    前記前壁部における前記開き口の前記第一脇線側縁部の略全域からへそ側に向かって、着用時に前記前壁部における前記開き口よりへそ側の部位である外カバー部の内側に配置される内カバー部が延設され、
    前記内カバー部は、少なくとも前記ズボン本体部の左右方向の中心付近までの領域において前記外カバー部と重なり、
    前記開き口の下端部の位置が、前記ズボンを平らに広げた状態において、前記開き口が設けられていない側の脇線である第二脇線の上端部と前記股部とを結ぶ直線の延長線と交差する位置付近となるように前記開き口の長さが決定されている
    ことを特徴とする被介護者用ズボン。
  3. 前記係止部が、ボタンとボタン穴とからなることを特徴とする請求項1または2に記載の被介護者用ズボン。
  4. 前記開き口が、前記第一脇線よりへそ側にずれた位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する被介護者用ズボン。
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