JP6613516B2 - 表面保護フィルム - Google Patents
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Description
(1)光学部材又は電子部材に貼付し、その表面を保護するために使用される表面保護フィルムであって、
基材と、該基材の一方の面に設けられ、かつ、エネルギー線硬化型粘着剤組成物からなる粘着剤層とを備え、前記粘着剤層の一部がエネルギー線で硬化された表面保護フィルム。
(2)前記エネルギー線で硬化された部分が、エネルギー線で硬化されていない部分に全周が取り囲まれている上記(1)に記載の表面保護フィルム。
(3)前記粘着剤層の面方向における中央部がエネルギー線で硬化されている上記(1)又は(2)に記載の表面保護フィルム。
(4)前記エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(A)を含む上記(1)〜(3)のいずれかに記載の表面保護フィルム。
(5)前記アクリル系共重合体(A)が、側鎖に不飽和基を含有するエネルギー線硬化型アクリル系重合体を含む上記(4)に記載の表面保護フィルム。
(6)前記エネルギー線硬化型粘着剤組成物が、エネルギー線重合性化合物(B)を含む上記(1)〜(5)のいずれかに記載の表面保護フィルム。
(7)エネルギー線硬化前の粘着力が1000〜30000mN/25mmであるとともに、エネルギー線硬化後の粘着力が10〜300mN/25mmである上記(1)〜(6)のいずれかに記載の表面保護フィルム。
(8)エネルギー線硬化前の初期粘着力が15000mN/25mm未満である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の表面保護フィルム。
(9)前記粘着剤層が着色されて、表面保護フィルムの透過率が50%未満となる上記(1)〜(8)のいずれかに記載の表面保護フィルム。
(10)撮像モジュールに貼付し、該撮像モジュールの受光部を保護するために使用される、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の表面保護フィルム。
(11)前記粘着剤層は、前記撮像モジュールの受光部に対応する部分が、エネルギー線で硬化されている上記(10)に記載の表面保護フィルム。
(12)光学部材又は電子部材のいずれかから選択される部材と、該部材の表面に貼付される上記(1)〜(11)のいずれかに記載の表面保護フィルムとを備える表面保護フィルム付き部材。
(13)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の表面保護フィルムを、光学部材又は電子部材の表面に貼付してその表面を保護する方法。
また、本明細書中の記載において、例えば「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の双方を示す語として用いており、他の類似用語についても同様である。
[表面保護フィルム]
図1、2は、本発明の一実施形態に係る表面保護フィルムを示す。
表面保護フィルム10は、光学部材又は電子部材に貼付し、その表面を保護するために使用されるものであって、図1に示すように、基材11と、基材11の一方の面に設けられ、エネルギー線硬化型粘着剤組成物からなる粘着剤層12とを備える。
また、図2に示すように、表面保護フィルム10は、被着体に対する接着性をより良好にする観点から、その外縁部10Aの全周が未硬化部分12Bとなることが好ましいが、外縁部10Aの一部は硬化部分12Aとなっていてもよい。外縁部10Aの一部が硬化部分12Aとなると、その部分を剥離開始部として掴むことで、表面保護フィルム10を被着体から剥がしやすくなる。
硬化部分12Aの形状は、特に限定されないが、後述する被着体(光学部材又は電子部材)の特定の部位の形状に応じたものにされることが好ましく、図2に示すような円形であってもよいし、矩形、方形等であってもよいし、その他の形状であってもよい。また、硬化部分12Aの大きさは、上記特定の部位の大きさと同一であってもよいし、一回り小さくてもよいし、一回り大きいものでもよい。ただし、特定の部位に未硬化部分12Bが接触しないようにするために、特定の部位と同一の大きさであるか、一回り大きい大きさであることが好ましい。
なお、被着体の特定の部位とは、粘着剤が転着されると、光学部材又は電子部材の機能が低下したり、不具合が生じたり、寿命が短くなったりする部位であって、光学部材では、光路の一部を構成する光透過部が挙げられる。また、電子部材では、外部に露出した電気部品等が挙げられる。より具体的には、光学部材又は電子部材が、パッケージや筐体内に電子部品や光学部品が収納されてなる場合には、パッケージや筐体の一面の一部に露出した電子部品や光学部品が特定の部位となる。
<粘着剤層>
本発明の粘着剤層12は、エネルギー線硬化型粘着剤組成物からなるものである。エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、上記したようにエネルギー線を照射されることにより硬化して粘着力が低下するものである。エネルギー線としては、具体的には、紫外線、電子線等が挙げられるが、紫外線を使用することが好ましい。
エネルギー線硬化型粘着剤組成物を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。
粘着剤としてアクリル系粘着剤が使用される場合、エネルギー線硬化型粘着剤組成物としては、アクリル系共重合体(A)を含むエネルギー線硬化型粘着剤組成物が使用される。
アクリル系共重合体(A)は、共重合体成分としてアルキル(メタ)アクリレートを、共重合体成分全量に対して、通常50質量%以上、好ましくは50〜95質量%、さらに好ましくは60〜90質量%含有する。
含有量を5質量%以上とすることで、粘着剤層12のエネルギー線硬化後の粘着力を低くしやすいため、硬化部分12Aにおける糊移りをより防止しやすくなる。また、表面保護フィルム10の剥離性能やリワーク性も良好になりやすい。一方で、含有量を50質量%以下とすることで、粘着力が適切な値となり、表面保護フィルム10が、被着体から不意に剥がれたりすることが防止され、保護性能が良好になる。
なお、アルキル基の炭素数が1又は2であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらの中では、メチルアクリレート、メチルメタクリレートが好ましい。
また、官能基含有(メタ)アクリレートの上記含有量は、1〜30質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることがさらに好ましい。官能基含有(メタ)アクリレートが1〜30質量%であると、適切な粘着性能を確保しつつ、後述する不飽和基含有化合物を適切に側鎖に導入でき、さらには架橋剤でアクリル系共重合体(A)を適切に架橋することが可能になる。
また、ジアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等が用いられる。ジアルキル(メタ)アクリルアミドは、エネルギー線硬化型粘着剤組成物が後述するX−Y型である際に使用されることが好ましい。ジアルキル(メタ)アクリルアミドを構成モノマーとすることによって、極性の高いウレタン系アクリレート等のエネルギー線重合性化合物(B)に対するエネルギー線硬化型アクリル系共重合体の相溶性が向上する。
アクリル系共重合体の重量平均分子量は、好ましくは100,000以上であり、より好ましくは100,000〜1,500,000であり、さらに好ましくは150,000〜1,000,000である。
不飽和基含有化合物としては、(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを有する化合物が好ましく用いられ、具体的には(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましい。
エネルギー線重合性モノマーとしては、分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上有する2官能基以上の低分子量化合物が用いられ、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが用いられる。
また、ウレタンアクリレート系オリゴマーは、重量平均分子量が1000〜15000のものが好ましく、1500〜8500がより好ましい。
エネルギー線重合性化合物(B)は、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、通常5〜200質量部配合されるが、X型と併用しない場合には、40〜200質量部が好ましく、70〜150質量部がより好ましい。エネルギー線重合性化合物(B)の含有量を上記の範囲とすることで、エネルギー線硬化前の粘着剤層の粘着力を適切に保ちつつ、エネルギー線による硬化で適切に粘着力を低下させることができる。
X−Y型である場合に使用されるエネルギー線硬化型アクリル系共重合体は、上記したX型で使用されるものと同様のものが使用される。
また、ポリオールは、粘着剤層の破断応力及び破断伸度をより良好にするために、2種類以上のポリオールを含んでいることがさらに好ましく、そのポリオールとしては、PPGとPEGとを含んでいることが特に好ましく、PPGとPEGのみからなることが最も好ましい。PPGとPEGのモル比は、9:1〜1:9であることが好ましく、9:1〜1:4であることがより好ましく、4:1〜3:2であることがさらに好ましく、7.5:2.5〜6.5:3.5であることが最も好ましい。
さらに、X−Y型におけるウレタンアクリレート系オリゴマーとしては、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ有する2官能基のものが好ましい。2官能基のものを使用することで、剥離性能や粘着性を良好にしつつ、破断強度及び破断伸度を高いものにしやすくなる。X−Y型においてエネルギー線重合性化合物(B)は、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物等の光開始剤、アミンやキノン等の光増感剤などが挙げられ、具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどが例示できる。光重合開始剤(D)を配合することで、硬化のためのエネルギー線の照射時間及び照射量を少なくすることができる。
光重合開始剤(D)の含有量は、特に限定されないが、アクリル系共重合体(A)等のメインポリマー100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
粘着剤層12を着色するために、エネルギー線硬化型粘着剤組成物には、通常、染料、顔料が含有されており、中でも青色染料、青色顔料が含有されることが好ましい。
また、エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、劣化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シリコーン化合物、連鎖移動剤等の上記成分以外の成分が適宜含有されてもよい。
エネルギー線硬化後の粘着力は、エネルギー線重合性化合物(B)の種類や量、アクリル系共重合体に導入される不飽和基の量により制御できる。
なお、初期粘着力は、アルキル(メタ)アクリレートの種類および配合比、官能基含有モノマーの種類および配合比、架橋剤の使用量等により調整することが可能である。
また、上記した粘着力及び初期粘着力の測定方法は、実施例に記載した方法に基づいて測定した値である。
粘着剤層の厚みは特に限定されず、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜30μmである。粘着剤層の厚みが上記範囲内にあることで、被着体に対する密着性を高めやすくなる。
また、硬化部分12Aの形成方法は、特に限定されないが、例えば硬化部分12Aに一致した形状の開口部を有するマスクを介して、公知の照射装置からエネルギー線を粘着剤層12に照射する方法が挙げられる。エネルギー線は、基材11側から基材11を介して、粘着剤層12に照射してもよいし、基材11の反対側から照射してもよい。基材11の反対側から照射し、かつ、粘着剤層12が後述する剥離シートで保護される場合には、エネルギー線は、剥離シートを介して粘着剤層に照射されることになる。
基材11の材質には特に限定はなく、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブチレンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、フッ素樹脂フィルム等のフィルムが使用可能である。また、これらの架橋フィルム、積層フィルムであっても良い。
また、エネルギー線として電子線を用いる場合においても、基材11は光透過性である必要はなく、着色が施されたフィルムを用いても良い。
基材11の厚さは、表面保護フィルム10に要求される性能等に応じて調整され、好ましくは10〜300μmであり、特に好ましくは30〜150μmである。
また、表面保護フィルム10のフィルム面積に対する硬化部分12Aの面積の比は、5/10未満であることが好ましく、3/10以下であることがより好ましく、1/10以下であることがさらに好ましい。この面積比の下限値は、特に限定されないが、例えば1/1000以上、好ましくは1/100以上である。
本発明の表面保護フィルムによって保護される光学部材又は電子部材としては、1又は2以上のレンズとCCD、CMOS等の撮像センサが筺体又はパッケージ内部に収納された撮像モジュール;複数のレンズがレンズ鏡筒に保持され、必要に応じて筺体又はパッケージ内に収納されたレンズユニット;LED等の発光素子を有する発光素子ユニット:バイブレーター等のモーターユニット;通信モジュール、センサーモジュール等が挙げられる。これら光学部材や電子部材は、基板に実装されて使用される部材であることが好ましい。
また、光学部材や電子部材は、例えば上記電子部品や光学部品がパッケージや筐体内部に収納され、あるいは支持部材に支持されたものであることが好ましい。また、電子部品や光学部品の一部が表面に露出させたものであることが好ましく、表面保護フィルムは例えば、その露出した部品を保護するために使用される。
本発明の表面保護フィルム10は、光学部材又は電子部材の一面に貼付してその表面を保護するために使用されるものである。表面保護フィルム10は、上記したように、硬化部分12Aが設けられるものであるが、硬化部分12Aは、光学部材又は電子部材の特定の部位に位置合わさせされるようにして、光学部材又は電子部材の一面に貼付されることが好ましい。これにより、特定の部位に糊移りが生じるのを防止しつつ、光学部材又は電子部材の特定の部位を適切に保護することが可能になる。
図3に示すように、撮像モジュール20は、通常、その一面20Aに外部からの光を受光し、その光をモジュール内部のレンズを介して撮像素子に導くための受光部21が設けられる。受光部21は、撮像モジュール20の一面20Aの一部(例えば、中央)に設けられ、ガラスや透明樹脂からなる。一方、表面保護フィルム10は、撮像モジュールの受光部21に対応する部分(例えば、フィルム10の中央部)がエネルギー線で硬化させられ、硬化部分12Aとなり、その他の部分が未硬化部分12Bとなる。なお、図3は、硬化部分12は、受光部21の形状に合わせて円形となる例を示すが、円形に限定されない。
[重量平均分子量(Mw)]
ゲル浸透クロマトグラフ装置を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
測定装置:製品名「HLC−8220GPC」、東ソー株式会社製)
カラム:製品名「TSKGel SuperHZM-M」、東ソー株式会社製)
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
[粘着力]
抜き加工前の表面保護フィルムを25mmの幅に裁断して試料とし、23℃、50%相対湿度の環境下で、2kgローラで被着体であるシリコンウェハに貼付した。23℃50%相対湿度の環境下に20分間静置した後、引張速度300mm/分、180°で剥離した際の粘着力を測定し、エネルギー線硬化前の粘着力とした。また、20分間静置後のシリコンウェハに貼付された試料に、紫外線照射装置(リンテック株式会社製 RAD−2000m/12)を用い、窒素雰囲気下にて紫外線を照射した(照度230mW/cm2、光量190mJ/cm2)。その後、23℃、50%相対湿度の環境下で引張速度300mm/分、180°で剥離した際の粘着力を測定し、エネルギー線硬化後の粘着力とした。
[初期粘着力]
抜き加工前の表面保護フィルムを25mmの幅に裁断して試料とし、23℃、50%相対湿度の環境下で、2kgローラで被着体であるシリコンウェハに貼付した。その貼付直後(1分以内)に23℃、50%相対湿度の環境下で引張速度300mm/分、180°で剥離した際の粘着力を測定し、その粘着力を初期粘着力とした。
まず、図3に示すように、モジュールの一面20Aに受光部21が設けられた撮像モジュール20を用意した。各実施例で得られた表面保護フィルム10を、硬化部分がある場合には硬化部分12Aの位置が受光部21の位置に合うようにして、撮像モジュール20の一面20Aに貼付し、以下の評価基準で評価した。
<リワーク性>
A:表面保護フィルムを撮像モジュールに貼付した後でも貼り直しが容易で、リワーク性が良好であった。
B:表面保護フィルムを撮像モジュールに一旦貼付すると貼り直しが難しく、リワーク性が不十分であった。
<保護性>
A:表面保護フィルムの撮像モジュールに対する密着性が良好であり、保護性に優れていた。
B:表面保護フィルムの撮像モジュールに対する密着性が低く、表面保護フィルムが不意に剥がれるおそれがあった。
<剥離性>
A:撮像モジュールに貼付した表面保護フィルムを、紫外線を照射した後、撮像モジュールから剥離すると、容易に剥離することができ、また、目視観察すると、撮像モジュールに糊残りが見られなかった。
B:撮像モジュールに貼付した表面保護フィルムを、紫外線を照射した後、撮像モジュールから剥離すると、剥離抵抗が高く手作業での剥離に時間を要し、また、目視観察すると、受光部に糊残りが見られた。
n−ブチルアクリレート90質量部と、アクリル酸10質量部を酢酸エチル溶媒中で重合して重量平均分子量55万のアクリル系共重合体を得た。この酢酸エチルで希釈されたアクリル系共重合体100質量部(固形分換算)に、重量平均分子量2300のペンタエリスリトール系の5〜9官能ウレタンアクリレートオリゴマー120質量部と、光重合開始剤としてのイルガキュア184(BASF社製)2.0質量部と、架橋剤としての有機多価イソシアネート化合物(製品名「BHS8515」、トーヨーケム株式会社製)17質量部とを混合して、エネルギー線硬化型粘着剤組成物(Y型)の酢酸エチル希釈液を得た。この希釈液を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材に、乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布して、その後、100℃で1分間加熱乾燥して、基材の上に粘着剤層を形成して、表面保護フィルムを得た。
表面保護フィルムの粘着剤層にさらに剥離シート重ね合わせた後、表面保護フィルムを直径5mm(面積:19.6mm2)のものに抜き加工した。この表面保護フィルムの上に、直径1mmの穴の開いた鉄板マスクを配置するとともに、紫外線照射装置(リンテック株式会社製 RAD−2000m/12)を用いて、窒素雰囲気下、表面保護フィルムにマスクを介して紫外線を照射し(照度230mW/cm2、光量190mJ/cm2)、表面保護フィルムの中心に直径1mm(面積:0.79mm2、フィルム面積に対する面積比4/100)の円形の硬化部分を形成した。
2−エチルヘキシルアクリレート80質量部及び2−ヒドロキシエチルアクリレート20質量部を酢酸エチル溶媒中で重合して重量平均分子量47万のアクリル系共重合体を得て、さらにこのアクリル系共重合体100質量部に、不飽和基含有化合物であるメタクリロイルオキシエチルイソシアナート(MOI)を21質量部(2−ヒドロキシエチルアクリレート100当量に対して80当量)反応させてエネルギー線硬化型アクリル系共重合体を得た。次に、この酢酸エチルで希釈されたエネルギー線硬化型アクリル系共重合体100質量部(固形分換算)に、光重合開始剤としてのイルガキュア184(BASF社製)2.0質量部と、架橋剤としての有機多価イソシアネート化合物(製品名「BHS8515」、トーヨーケム株式会社製)1質量部を混合し、実施例1と同様に希釈して、エネルギー線硬化型粘着剤組成物(X型)の希釈液を得た。その後、実施例1と同様に実施した。
n−ブチルアクリレート52質量部と、メチルメタクリレート20質量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート28質量部とを酢酸エチル溶媒中で重合して重量平均分子量50万のアクリル系共重合体を得て、さらに、アクリル系共重合体100質量部に、不飽和基含有化合物であるメタクリロイルオキシエチルイソシアナート(MOI)を33.7質量部(2−ヒドロキシエチルアクリレート100当量に対して90当量)反応させて、エネルギー線硬化型アクリル系共重合体の酢酸エチル希釈液を得た。次に、この酢酸エチルで希釈されたエネルギー線硬化型アクリル系共重合体100質量部(固形分換算)に、重量平均分子量5500の2官能ウレタンアクリレート系オリゴマー10質量部と、光重合開始剤としてのイルガキュア184(BASF社製)3.3質量部と、架橋剤としての有機多価イソシアネート化合物(製品名「BHS8515」、トーヨーケム株式会社)0.5質量部を混合するとともに、実施例1と同様に希釈して、エネルギー線硬化型粘着剤組成物(X−Y型)の希釈液を得た。その後、実施例1と同様に実施した。
なお、実施例3において、2官能ウレタンアクリレート系オリゴマーとしては、イソホロンジイソシアナート3質量部、ポリプロピレングリコール1.4質量部、及びポリエチレングリコール0.6質量部を重合して得たものに、さらに2−ヒドロキシプロピルアクリレートを2質量部反応させたものを使用した。
抜き加工後に、表面保護フィルムに紫外線を照射しなかった点を除いて、実施例1と同様に実施した。なお、比較例1では、紫外線照射を行わなかったため、硬化部分は形成されなかった。
抜き加工後に、表面保護フィルムに紫外線を照射しなかった点を除いて、実施例2と同様に実施した。なお、比較例2では、の紫外線照射を行わなかったため、硬化部分は形成されなかった。
それに対して、比較例1,2では、粘着力及び初期粘着力が実施例1、2と同等であったが、硬化部分を形成しなかったため、受光部に糊残りがあり、剥離性を良好にすることが難しかった。
11 基材
12 粘着剤層
12A 硬化部分
12B 未硬化部分
20 撮像モジュール
21 受光部
Claims (13)
- 光学部材又は電子部材に貼付し、その表面を保護するために使用される表面保護フィルムであって、
基材と、該基材の一方の面に設けられ、かつ、エネルギー線硬化型粘着剤組成物からなる粘着剤層とを備えた積層体から抜き加工された表面保護フィルムであり、前記粘着剤層の面方向の一部がエネルギー線で硬化され、前記エネルギー線で硬化された部分の全周が、エネルギー線で硬化されていない部分によって取り囲まれており、前記表面保護フィルムの面積に対する硬化された部分の面積の比が5/10未満であり、前記粘着剤層のエネルギー線硬化前の初期粘着力が15000mN/25mm未満である表面保護フィルム。 - 前記粘着剤層の面方向における中央部がエネルギー線で硬化されている請求項1に記載の表面保護フィルム。
- 前記エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(A)を含む請求項1又は2に記載の表面保護フィルム。
- 前記アクリル系共重合体(A)が、側鎖に不飽和基を含有するエネルギー線硬化型アクリル系重合体を含む請求項3に記載の表面保護フィルム。
- 前記エネルギー線硬化型粘着剤組成物が、エネルギー線重合性化合物(B)を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- エネルギー線硬化前の粘着力が1000〜30000mN/25mmであるとともに、エネルギー線硬化後の粘着力が10〜300mN/25mmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- エネルギー線硬化前の粘着力が6000〜30000mN/25mmである請求項6に記載の表面保護フィルム。
- 前記粘着剤層が着色されて、表面保護フィルムの透過率が50%未満となる請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 撮像モジュールに貼付し、該撮像モジュールの受光部を保護するために使用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
- 前記粘着剤層は、前記撮像モジュールの受光部に対応する部分が、エネルギー線で硬化されている請求項9に記載の表面保護フィルム。
- 前記エネルギー線重合性化合物(B)が、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する3官能基以上のウレタンアクリレート系オリゴマーを含む請求項5に記載の表面保護フィルム。
- 光学部材又は電子部材のいずれかから選択される部材と、該部材の表面に貼付される請求項1〜11のいずれか1項に記載の表面保護フィルムとを備える表面保護フィルム付き部材。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の表面保護フィルムを、光学部材又は電子部材の表面に貼付してその表面を保護する方法。
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