JP6613112B2 - 気体分離膜 - Google Patents
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Description
一般に、気体分離膜の性能は、透過速度及び分離係数を指標として表される。透過速度は、下記数式:
(気体分離性高分子の透過係数)/(分離層の厚み)
によって表される。前記数式から明らかなように、透過速度の大きな膜を得るためには、分離層の厚みを可能な限り薄くすることが必要である。また、分離係数は分離しようとする2種の気体の透過速度の比で表され、気体分離性高分子の素材に依存する値である。
[1] 多孔性支持体と、前記多孔性支持体上に形成されたオリゴ糖層を少なくとも有する気体分離膜であって、前記オリゴ糖がアミド基、イミド基、イミノ基、ウレア基、カーボネート基、ウレタン基、スルホニル基及びエステル基からなる群から選ばれる官能基の少なくとも一つによって化学修飾されており、かつ前記官能基が赤外吸収を有する以下の特定波数領域:アミド基、イミド基又はイミノ基(1,700cm−1〜1,500cm−1);ウレア基、カーボネート基又はウレタン基(1,850cm−1〜1,650cm−1);スルホニル基(1,350cm−1〜1,300cm−1);エステル基(1,300cm−1〜1,000cm−1);における前記官能基のピーク吸光度Aと、1,000cm−1〜1,100cm−1の波数領域に吸収を有する炭素−酸素結合のピーク吸光度Bとが、
(吸光度A)/(吸光度B)=0.05以上5以下の関係にあることを特徴とする、前記気体分離膜である。
[2] 前記オリゴ糖層が、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択される基を少なくとも含む、[1]に記載の気体分離膜である。
[3] 前記オリゴ糖がオリゴグルコサミンである、[1]又は[2]に記載の気体分離膜である。
[4] 供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとし、加湿雰囲気下等圧式によって30℃において測定されたCO2ガスの透過速度が1GPU以上1,000GPU以下の範囲であり、かつCO2/N2の分離係数αが20以上100以下の範囲である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の気体分離膜である。
[5] 前記オリゴ糖層が、Ag及びCuより成る群から選択される1種以上の金属原子を含む金属塩を含有する、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の気体分離膜である。
[6] プロパン40質量%及びプロピレン60質量%から成る混合ガスを用い、供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとし、加湿雰囲気下等圧式によって30℃において測定されたプロピレンガスの透過速度が15GPU以上1,500GPU以下であり、かつプロピレン/プロパンの分離係数αが50以上1,000以下の範囲である、[5]に記載の気体分離膜である。
[7] 前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の気体分離膜の製造方法であって、以下の工程:
オリゴ糖を溶かした水溶液と、架橋剤を溶かした水溶液を室温以上の温度で混合して反応せしめることで塗工液を製造する工程;
得られた塗工液を多孔性支持体の表面に塗布する工程;
を含むことを特徴とする、前記方法である。
[8] 前記多孔性支持体の表面に孔径が10nm以上100nm以下の孔を有する、[7]に記載の方法である。
本実施形態における気体分離膜は、多孔性支持体と、前記多孔性支持体上に配置されたオリゴ糖層とを有し、前記オリゴ糖層は架橋構造を有する。
本実施形態の気体分離膜における多孔性支持体は、膜の表裏をつないで貫通する微細な穴を多数有する膜から成る支持体である。この多孔性支持体は、実質的には気体分離性能を有さないが、本実施形態の気体分離膜に機械的強度を与えることができる。その形状としては、例えば、中空糸状、平膜状等であることができる。
多孔性支持体の素材は問わない。耐薬品性及び耐溶剤性の観点からは、ポリスルホン、ポリエーテルスルフォン、PVDF、PTFE等が好ましく;耐熱性の観点からは、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール等のホモポリマー又はコポリマー等が好ましく;これらのうちのいずれか単独又はこれらの混合物から形成されるものが好ましい。
多孔性支持体の平均孔径は、透過性及び機械的強度の双方を十分に確保し易くし、分離係数を適当な範囲に調整する観点から、1nm以上1,000nm以下が好ましく、1nm以上100nm以下がより好ましい。
多孔質支持体の膜厚は、機械的強度と透過性とのバランスを良好とする観点から、5μm以上200μm以下が好ましい。
中空糸状の多孔質支持体の内径は、0.05mm以上1mm以下が好ましく、0.1mm以上0.5mm以下がより好ましい。これは、中空糸の内径が小さすぎると、圧損及び原料代の増加につながる等の問題を生じ;逆に、中空糸膜の内径が大きすぎると、稼働の加圧で膜が折れる等の問題が生じるためである。
中空糸状の多孔質支持体は、1本のみを使用してもよく、複数本をまとめて使用してもよい。中空糸状の多孔質支持体の複数をまとめて使用する場合の使用本数としては、10本以上100,000本以下とすることが好ましく、10,000本以上50,000本以下とすることがより好ましい。
オリゴ糖層は、本実施形態の気体分離膜に実用性のある気体分離性能を付与するものである。このオリゴ糖層は、架橋構造を有する。
このようなオリゴ糖としては、例えば、オリゴグルコース、オリゴマンノース、オリゴガラクトース、オリゴグルコサミン、オリゴガラクトサミン等が挙げられる。
ここでのオリゴ糖とは、繰り返し単位が100以下のものを指す。
前記オリゴ糖層が、オリゴグルコサミン、オリゴガラクトサミンから形成されたものである場合、後工程において任意的に添加される金属塩と配位できるアミノ基を数多く有する点で、特に好ましい。
オリゴ糖層における架橋構造は、アミド基を有する構造、イミド基を有する構造、イミノ基を有する構造、ウレア基、ピリジニウム基を有する構造、スルホン基を有する構造、及びエステル基を有する構造より成る群から選択される構造の1種類以上を含むことが、製造上の容易さの点から、好ましい。
オリゴ糖層の膜厚は、気体分離性能と透過性とのバランスを良好とする観点から、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.01μm以上3μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上1μm以下であることが更に好ましい。これは、オリゴ糖層の膜厚が厚すぎると、実用性の点で重要な高い透過性が得られないためである。
例えば赤外線分光分析の場合、アミド基、イミド基又はイミノ基の場合は波数1,700cm−1〜1,500cm−1の領域に、ウレア基、カーボネート基又はウレタン基の場合は波数1,850cm−1〜1,650cm−1の領域に、ピリジニウム基の場合は波数1,700cm−1〜1,500cm−1の領域に、スルホン基の場合は波数1,350cm−1〜1,300cm−1の領域に、エステル基の場合は1,300cm−1〜1,000cm−1の領域に、それぞれ吸収を有する。
アミノ基を有するオリゴ糖を用いる場合、オリゴ糖層は、上記のような架橋構造を有するとともに、原料であるオリゴ糖に由来するアミノ基の一部が残存していることが好ましい。オリゴ糖層がアミノ基を有することにより、後工程において任意的に添加される金属塩との配位が容易となり、得られる気体分離膜を、例えばオレフィンとパラフィンとの分離に好適に適用することができることとなる。
一価の銀、及び一価の銅からなる群より選ばれる金属イオン、又はその錯イオンと;
F−、Cl−、Br−、I−、CN−、NO3 −、SCN−、ClO4 −、CF3SO3 −、BF4 −、及びPF6 −からなる群より選ばれるアニオンと;から構成される金属塩であることが好ましい。
本実施形態における気体分離膜は、例えば、CO2/N2混合ガスからCO2を分離するために好適に用いることができる。具体的には、供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとし、加湿雰囲気下等圧式によって30℃において測定されたCO2ガスの透過速度Qが1GPU以上100GPU以下であり、CO2/N2の分離係数αが20以上100以下である。CO2ガスの透過速度Qは、好ましくは5GPU以上100GPU以下であり、より好ましくは10GPU以上100GPU以下である。CO2/N2の分離係数αは、好ましくは30以上100以下であり、より好ましくは40以上100以下である。
次に、本実施形態の気体分離膜の製造方法について説明する。
本実施形態の気体分離膜は、多孔性支持体を製造する工程と、オリゴ糖と架橋剤を反応せしめ、架橋オリゴ糖を含有する水溶液(架橋オリゴ糖水溶液)を製造する工程と、得られた架橋オリゴ糖水溶液を多孔性支持体表面に塗布する工程と、上記接触後の多孔性支持体を静置して塗工液を乾燥させる工程と、を含むことを特徴とする。
先ず、本実施形態に好ましく使用される多孔性支持体の製造方法について記載する。
多孔性支持体は、非溶媒誘起相分離法又は熱誘起相分離法により得ることができる。
以下に、非溶媒誘起相分離法によってポリエーテルスルフォンの中空糸膜を製造する場合について説明する。
先ず、ポリエーテルスルフォン(PES)を溶媒に溶解させ、PES溶液を準備する。本実施形態で使用されるPESの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の数平均分子量として、好ましくは2,000以上100,000以下であり、より好ましくは10,000以上50,000以下である。これは、分子量が低すぎると、実用性の高い耐久性を示さない等の問題を生じる場合があり;逆に、分子量が大きすぎると、該多孔性支持体の製造が困難になる等の問題を生じる場合があるためである。
本実施の形態において、上記PES溶液中のPESの濃度は、15質量%以上50質量%以下が好ましく、25質量%以上40質量%以下がより好ましい。これは、PESの濃度が低すぎると、実用性の高い耐久性を示さない等の問題を生じる場合があり;逆に、PESの濃度が高すぎると、該多孔性支持体の製造が困難になる等の問題を生じる場合があるためである。
凝固漕から引き上げられた湿潤状態の中空糸膜は、溶媒等を除去するために洗浄漕で洗浄した後、ドライヤーに通して乾燥させる。
上記のようにして、中空糸状の多孔質支持体を得ることができる。
この中空糸状の多孔質支持体は、1本のみを次の工程に供してもよいし、複数本をまとめて次の工程に供してもよい。
(架橋オリゴ糖水溶液を製造する工程)
架橋オリゴ糖は、架橋剤とオリゴ糖を反応せしめることによって、得ることができる。
架橋剤は、オリゴ糖中のアミノ基もしくはヒドロキシル基と反応可能な反応性基として、酸ハロゲン基、無水カルボン酸基、アルデヒド基、ケトン基、及びイソシアネート基から成る群より選択される1種類以上の基を有する化合物である。架橋剤は、これらの基から選択される1種以上の基を、1個の分子内に2個以上有する脂肪族又は芳香族の化合物であることが好ましい。1個の分子内に存在する2個以上の反応性基は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
前記オリゴ糖が、オリゴグルコサミン、オリゴガラクトサミンである場合、架橋剤と反応することができるアミノ基を数多く有する点で、特に好ましい。
反応溶液における界面活性剤の濃度は、全量に対して、0.001質量%以上1質量%以下とすることが好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下とすることがより好ましい。これは、界面活性剤の濃度が高すぎると、該界面活性剤が反応溶液へ溶解し難くなる等の問題を生じる場合があるためである。
反応時間は、6時間以上36時間以下が好ましく、12時間以上24時間以下がより好ましい。反応時間が短すぎると、反応が十分に進まないという問題があり、逆に反応時間が長すぎると製造効率が悪くなるという問題がある。
反応後の溶液は、そのまま多孔性支持体表面に塗布する工程に用いる。
多孔性支持体を架橋オリゴ糖水溶液と接触させる方法としては、例えば、ディップ塗工法(浸漬法)、グラビア塗工法、ダイ塗工法、噴霧塗工法等による塗工が好ましい。
多孔性支持体と接触させる際の架橋オリゴ糖水溶液の温度は、0℃以上100℃以下とすることが好ましく、20℃以上80℃以下とすることがより好ましい。接触温度が低すぎると、架橋オリゴ糖水溶液が多孔性支持体上に均一に塗布されない等の問題を生じる場合があり;逆に、接触温度が高すぎると、接触中に架橋オリゴ糖水溶液の溶媒(水)が過度に揮発する等の問題を生じる場合があるためである。接触を浸漬法による場合の接触時間(浸漬時間)は、15分以上5時間以下とすることが好ましく、30分以上3時間以下とすることがより好ましい。接触時間が短すぎると、多孔性支持体上への塗布が十分に起こらない等の問題を生じる場合があり;逆に、接触時間が長すぎると、気体分離膜の製造効率が落ちる等の問題を生じる場合がある。
オリゴ糖層が金属塩を含有する気体分離膜は、上記のようにして得られた気体分離膜を、所望の金属塩を含有する金属塩水溶液と更に接触させる処理するに供することにより、製造することができる。
上記金属塩水溶液中の金属塩の濃度は、0.1モル/L(M)以上50M以下が好ましい。金属塩水溶液中の金属塩の濃度が0.1M以下であると、オレフィンとアルカンとの分離において、実用性の高い分離性能を示さない。この濃度が50Mを超えると、原料代の増加につながる等の不都合が生じる。
気体分離膜の、金属塩水溶液による処理は、浸漬によることが好ましい。浸漬時の水溶液温度は、10℃以上90℃以下とすることが好ましく、20℃以上80℃以下とすることがより好ましい。この浸漬温度が低過ぎると、オリゴ糖層への金属塩の含浸が十分に起こらない等の問題を生じる場合があり;逆に、浸漬温度が高過ぎると、浸漬中に金属塩水溶液の溶媒(水)が過度に揮発する等の問題を生じる場合がある。
以上の製造条件により、本実施形態の気体分離膜を製造することができる。
[実施例1]
本実施例においては、多孔性支持体として、外径500μm、内径300μm、表面の孔径が50nm、及び長さ20cmのポリエーテルスルフォンから成る中空糸を用いた。この中空糸を200本束ねて筒状容器内に収納し、パッケージ化したものを本実施例における多孔性支持体として用いた。
オリゴグルコサミンを0.5質量%、グルタルアルデヒドを1質量%、及びその他の成分として酢酸0.5質量%を含む水溶液を25℃で24時間撹拌した後、Tween20(商品名、東京化成工業社製、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)を0.2質量%添加することで、オリゴ糖水溶液を製造した。
前記多孔性支持体を、前記オリゴ糖水溶液中に、1cm/secの速度で浸漬させ、支持体の全部が上記水溶液中に没した後、5秒静置した。その後、1cm/secの速度で引上げ、140℃において10分加熱することにより、中空糸状の気体分離膜を製造した。
上記で得た気体分離膜を用いて、CO2及びN2の透過速度を測定した。
測定は、純ガス(供給側はCO2及びN2、透過側はヘリウム)を用い、供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとして、加湿雰囲気下等圧式により、測定温度30℃において行った。その結果を表1に示す。
上記実施例1において、原料である多孔性支持体の表面孔径、架橋剤水溶液及びオリゴ糖水溶液の組成、並びに浸漬順、並びに浸漬後の加熱温度を、それぞれ、表1に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様の方法により、中空糸状気体分離膜を製造し、CO2及びN2の透過速度を測定した。その結果を表1に示す。
表1における界面活性剤種類欄の略称は、以下の意味である。
(界面活性剤種類)
Tween20:商品名、東京化成工業社製、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレアート
FC−4430:Novec FC−4430、商品名、3M社製、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤
実施例1と同様の方法によって製造した中空糸状気体分離膜を、0.8M水酸化ナトリウム溶液(溶媒=エタノール:水=(体積比80:20))に3日間浸漬した後、蒸留水で5回洗浄した。その後、7M硝酸銀水溶液に24時間浸漬することにより、銀塩を含有する中空糸状気体分離膜を得た。この銀塩を含有する前後のオリゴ糖層につき、硝酸銀水溶液浸漬前後の質量を電子天秤により測定し、比較したところ、該多オリゴ糖層に含有される銀塩(硝酸銀)の濃度は67質量%であることが分かった。
この銀塩を含有する中空糸状気体分離膜を用いて、プロパン及びプロピレンの透過速度を測定した。
測定は、透過側にプロパン及びプロピレンから成る混合ガス(プロパン:プロピレン=40:60(質量比))を、供給側にヘリウムを、それぞれ用い、供給側ガス流量を50cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとして、加湿雰囲気下等圧式により、測定温度30℃において行った。その結果を表2に示す。
オリゴグルコサミンを5重量%、グルタルアルデヒドを2.5重量%、反応時間を12時間、界面活性剤をNovec FC−4430(商品名、3M社製、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤)を0.05重量%とした以外は実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜を、実施例11と同様の方法によって水酸化ナトリウム処理及び硝酸銀処理することにより、銀塩を含有する中空糸状気体分離膜を得た。得られた気体分離膜の多オリゴ糖層に含有される銀塩(硝酸銀)の濃度を実施例11と同様の方法により測定したところ、65質量%であった。
この銀塩を含有する中空糸状気体分離膜を用いて、実施例11と同様にしてプロパン及びプロピレンの透過速度を測定した。その結果を表2に示す。
実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜について、X線光電子分光装置(XPS)を用いて、外側表面の相対元素濃度を調べた。その結果を表3に示す。
表3に示したとおり、気体分離膜表面では、キトサン由来のNが検出され、支持体であるポリエーテルスルフォンの指標となるSは検出限界以下であった。これらのことから、該中空糸状気体分離膜の外側表面にキトサンを含有するオリゴ糖層が存在することが示された。
実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜(分析例2)、並びに比較例1の方法により製造した中空糸状気体分離膜(分析例3)について、それぞれ、走査型電子顕微鏡(SEM)により、断面の観察を行った。その結果を図1(分析例2)及び図2(分析例3)にそれぞれ示す。
架橋剤としてVS−Cを0.5質量%とする以外は実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜(分析例4)、架橋剤としてVS−Cを0.4質量%とする以外は実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜(分析例5)、架橋剤としてVS−Cを0.25質量%とする以外は実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜(分析例6)、グルタルアルデヒドを0.5重量%とし、界面活性剤としてNovec FC−4430(商品名、3M社製、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤)を0.01重量%とした以外は実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜(分析例7)の外側表面について、それぞれ、反射型赤外分光法(IR−ATR)を用いて赤外吸光分光を行った。その結果を図3(分析例4〜6)及び図4(分析例7)に示す。
上記オリゴ糖由来の1,060cm−1付近のピークの架橋構造由来の上記スルホン基もしくはイミノ基ピークに対する比として算出される官能基比率を表4に示す。
一方、比較例に示すように、オリゴ糖を架橋剤と反応させないで製造された気体分離膜やオリゴ糖の代わりに多糖を用いて製造された気体分離膜は、実用性のある分離性能を示さなかった。
2 分析例3で得られた比較例1の気体分離膜のSEM像
3 分析例4
4 分析例5
5 分析例6
6 分析例7
Claims (9)
- 多孔性支持体と、前記多孔性支持体上に形成されたオリゴ糖層を少なくとも有する気体分離膜であって、
前記オリゴ糖層は、架橋構造を有するオリゴ糖を含み、
前記オリゴ糖は、オリゴグルコース、オリゴマンノース、オリゴガラクトース、オリゴグルコサミン及びオリゴガラクトサミンからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
前記架橋構造が、アミド基、イミド基、イミノ基、ウレア基、カーボネート基、ウレタン基、スルホニル基及びエステル基からなる群から選ばれる官能基の少なくとも一つを有し、かつ
前記官能基が赤外吸収を有する以下の特定波数領域:アミド基、イミド基又はイミノ基(1,700cm−1〜1,500cm−1);ウレア基、カーボネート基又はウレタン基(1,850cm−1〜1,650cm−1);スルホニル基(1,350cm−1〜1,300cm−1);エステル基(1,300cm−1〜1,000cm−1);における前記官能基のピーク吸光度Aと、1,000cm−1〜1,100cm−1の波数領域に吸収を有する炭素−酸素結合のピーク吸光度Bとが、
(吸光度A)/(吸光度B)=0.05以上5以下の関係にあることを特徴とする、
前記気体分離膜。 - 前記オリゴ糖層が、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択される基を少なくとも含む、請求項1に記載の気体分離膜。
- 前記オリゴ糖がオリゴグルコサミン及びオリゴガラクトサミンからなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1又は2に記載の気体分離膜。
- 前記オリゴ糖がオリゴグルコサミンである、請求項1又は2に記載の気体分離膜。
- 供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとし、加湿雰囲気下等圧式によって30℃において測定されたCO2ガスの透過速度が1GPU以上1,000GPU以下の範囲であり、かつCO2/N2の分離係数αが20以上100以下の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の気体分離膜。
- 前記オリゴ糖層が、Ag及びCuより成る群から選択される1種以上の金属原子を含む金属塩を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の気体分離膜。
- プロパン40質量%及びプロピレン60質量%から成る混合ガスを用い、供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとし、加湿雰囲気下等圧式によって30℃において測定されたプロピレンガスの透過速度が15GPU以上1,500GPU以下であり、かつプロピレン/プロパンの分離係数αが50以上1,000以下の範囲である、請求項6に記載の気体分離膜。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の気体分離膜の製造方法であって、以下の工程:
オリゴ糖を溶かした水溶液と、架橋剤を溶かした水溶液を室温以上の温度で混合して反応せしめることで塗工液を製造する工程;
得られた塗工液を多孔性支持体の表面に塗布する工程;
を含むことを特徴とする、前記方法。 - 前記多孔性支持体の表面に孔径が10nm以上100nm以下の孔を有する、請求項8に記載の方法。
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JP2017087180A (ja) | 2017-05-25 |
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