JP6612950B1 - サドル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】設計家の勘や知識や経験に依存せず、乗車する身体自身の動作や体圧から象りされた身体に適した象り計測値に立脚するものであり、当然の如く乗車時の身体を安定的に快適に支え、前滑りを抑制して、股間部への苦痛や不快感を軽減できるサドルを提供する。【解決手段】サドル1は、自転車等のサドルであって、座面10Aには、左右一対の第1凹部11及び第2凹部12を配し、中心線O上には第3凹部13を配し、第1凹部11、第2凹部12の双方の軸線11X,12Xの間隔Sは、前方に向かうに従い狭くなるように形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、自転車等のサドル及びその製造方法に関する。
従来の一般的なサドルの形状としては、座面に柔軟素材を配し、サドルの前方は大腿部に拠るペダリングの妨げにならないように、後方よりも幅を細めてノーズ状に形成したタイプが挙げられる。このようなサドルに長時間に亘って乗車すると、ペダリング動作に伴って臀部がサドル前方のノーズ部に前進して同部に跨がる状態となり易く、その結果、股間部には上体の体重が集中し、特に生理器官に苦痛や不快感を生じ易い。
このような苦痛や不快感を軽減するために、従来から様々な形状のサドルが提案されている。例えば、特許文献1乃至3には、股間部の苦痛や不快感を軽減するために、股間部とサドルとの接触を回避するための溝を配したサドルが記載されている。また、特許文献4には、坐骨の圧迫による座骨周囲の皮膚の痛みを軽減するために、坐骨の位置に合わせて逃穴が形成されたサドルが提案されている。
特開2003−226274号公報 特開2007−137416号公報 特表2016−523770号公報 特開2004−322993号公報
自転車に乗車中に生じる股間部等への苦痛や不快感は、走行中に臀部が座面を滑ってしまうことが、要因と考えられることがモニタリングテストから見出された。すなわち、走行中の振動やペダルを漕ぐ動作によって、大腿後部がサドルに激しく接触し、而も臀部がしっかり支持されていないこともあって、臀部が徐々に前方へ押されて滑ってしまい、その結果サドル前側のノーズ部に跨がる状態となり、苦痛や不快感を生じることに繋がる。
特許文献1乃至3は、サドルの中央に溝を設けることで、股間部がサドルに接触することを回避しようとするものであるが、溝幅が狭いと、股間部がサドルに接触してしまう上に、溝の角淵で股間部が仕切られ、苦痛や不快感を増幅しかねない。また、溝を大きく広くすると、股間部とサドルとの接触は回避できても、臀部を支える座面積が狭くなるため、座姿勢が安定しない。即ち当該手段では、坐骨がサドルの座面に安定的に支持されず、結局は、ペダルを漕ぐ動作によって臀部は必然的に前方へ滑り易く、股間部の苦痛や不快感は軽減できない。
また、特許文献4は、皮革製サドル等と坐骨との当接に拠る坐骨周囲の皮膚の痛みを軽減する為の“逃穴”を設けて、坐骨周辺の皮膚の痛みを軽減しようとしたものである。しかし乍ら乗車時の姿勢は一定ではなく、例えば、坂道や加速のときには前傾し、通常走行時には上体を起こしている。乗車直後に上体を起こした姿勢で坐骨を逃穴の位置に合わせても、乗車してペダルを漕ぐ動作によって臀部も坐骨も徐々に前方へ滑ってしまい、坐骨と逃穴の位置も次第にずれてしまうために、痛みから“逃がれる穴”の効果は乏しい。他方、逃穴は股間部の苦痛や不快感を改善するものでもない。
そこで、本発明の所定の実施形態は、乗員の身体の前滑りを抑制することに拠って、股間部への苦痛や不快感を軽減し、更に、坐骨及び臀部を安定支持し、股間部に不快感を生じないように配慮し、快適で安定性に優れたサドルを提供することを目的とした。
自転車生誕から150年と言われる。この間、様々に改良されてきたであろうサドルが、今以って苦痛や不快感を呈している実態を見るにつけ、通常の観点や設計・製作方法では課題解決はできないとも思え、そこで原点に戻り身体に謙虚に習うことにした。
サドル基盤に、厚・横幅・縦長=30 x180 x 250mmサイズの柔軟素材(Ex. 発泡材やウレタン材等)を括り着けて、乗車と走行とを繰返した。またその間、不要に感じたり苦痛な部分は削除し、捕捉が必要な部位には補充材を補い乍ら走行を繰り返した。その結果、臀部及び座骨が自ら象った見事な象り形状が出現した。そしてこの象り形状を基礎に、サドルとして完成する作業を経て本願機構を実現した。真に臀部及び座骨自体が象った座姿勢の快適な安定維持形態であり、あるべきサドルの基本機構である。
本発明のサドル本体の形成に於いては、前記臀部の象りに基付き、左右方向よりも前後方向に大きく形成された左右一対の概ね楕円形の擂鉢状の第1の凹部(以下「第1凹部」ともいう。)及び第2の凹部(以下「第2凹部」ともいう。)を配設する。第1凹部及び第2凹部の間隔は、寛骨及び坐骨の形態に準じて、前方に向かうに従い狭くなるように形成されている。
同象りを基礎としたサドルに於いては、左右の座骨は各左右の楕円状の窪みの中で、自在に運動しつつも、左右の座骨と凹部とが連動する事に拠って、各左右の楕円状の窪みの範囲を超えることは無く、従って無用な前進も生じない。
サドルの中心線上には、第1凹部及び第2凹部よりも前側に第3の凹部(以下「第3凹部」ともいう。)を配する。前記第3凹部の配設は、男女を問わず生理器官への無用な圧迫を排除し、保護する働きを目的として、乗員により試されモニタリングに拠り象った形状である。
そして第3凹部は、必ずしも楕円状の凹部では無く、一例では、前側ノーズ部の根元付近に凹部を配しているが、他の一例では、前側にノーズ部は無く、前側に向けた傾斜面が形成され、且つ中心線付近には凹状に削いだ切削形状(切削部)を配している。何れの場合も、乗車時には生理器官は前記凹部叉は切削部に保護され、無用な苦痛や接触や圧迫が回避され、快適な乗車が実現できるようにした。
また上記態様において、第1凹部及び第2の凹部よりも後方には、左右方向に臀部を支える領域を大きく設けることもできる。その場合、臀部支持域を大きめに設けることにより、臀部を安定して支えることができ、且つ股間部とサドルとの間に一定の距離が保て、而も第1と第2の凹部に拠る座骨の安定支持に拠り、臀部の前滑りを抑制できることから、快適で安定性に優れたサドルの提供に役立つ。
本発明に係るサドルの製作方法は、サドル本体の座面に、乗員による乗車時の動的な座姿勢と圧力に拠って象り製作されるものであり、サドルの座面には、左右方向よりも前後方向に大きく形成された左右一対の概ね楕円形の擂鉢状第1凹部及び第2の凹部を配し、またサドルの中心線上には、第1凹部及び第2凹部の前方に位置する第3凹部を配するか、叉は切削部を配して、生理器官への圧迫や苦痛を防ぐようにした。
前記、本発明に係るサドル製作に於いて、乗員による乗車時の動的な座姿勢と圧力の象り計測方法は、例えば乗員の動作や体重圧力の変動状態を、形状記憶機能を有する計測用材(Ex, PVAやエーテル系等の発泡樹脂板や不織布等)に拠り象りされるか、叉は圧力分布状態及び圧力を計測感知し記録できる圧力計測システム(Ex,象り計測用サドル)を構築し、若しくは採用し、計測時には、例えば乗員(計測者)が走行場面を想定して再現された同計測システムに跨ってペダルを漕ぐ動作を一定時間行い、同乗員の動的な座姿勢と加圧状態を時間経過を以って計測し、同象り計測値に基づいて、スキャニング及び3Dデータ化して、サドル本体を形成するものである。この方法はパーソナル対応(カスタムメード)に適した方法でもある。
他方、前記カスタムメード展開から得られる、多数の計測値及び製作事例を集積することから、標準化作業を経れば、既製品即ちレデイメード製品の展開も可能となる。人々が座するシーンに向けて広く応用展開が可能になる。
レデイメード展開に於いては、乗員に適した製品を瞬時に特定できる術が求められる。その為に、スピーデイに簡易に需要者の体型と動作や加圧状況を計測叉は及びシミュレートができ、既製製品の中から適格な最適な製品を選択できることが要求される。
レデイメード製品特定(選定)用の計測システムは、計測内容はカスタムメード用計測システムに類似するものの、相違点は、乗車に拠る寛骨や坐骨の位置形状や加圧状態等を時間経過を以って計測確認することはせず、計測要点のみを計測して、予め集積した標準データと照合して、標準外形計測値と標準化製品の中から選択できるようにデータ構成するものであり、計測の際に長時間乗車や動作は無用である。
サドル本体の製作に於いては、3Dプリンターに拠る製品化を進める場合は、弾軟性仕上げやメッシュ状仕上げも可能であり、而も短時間で実現できる。3Dプリンターで受注製造納入を行うには、金型を製作する必要がないため、1個単位の注文(Ex,カスタムメード)から量産製造納入(スタンダード)まで、廉価で而もスピーデイに納入対応が可能である。
また、カスタムメード展開がある程度まで進展すれば、サドル形成に必要なデータも蓄積され、体型と象りに関するシミュレーションが可能となり、サドルの既製品ラインを構成することも可能になる。即ち金型やプレス型等の各種成形型を用意することに拠りインジェクション成形からプレス成形に至るまで、各種の製品形成仕上げも可能であり、バリエーション展開された既製品の中から、ユーザーの需要に見合った、快適で安定性に優れた製品が、低価格な製品ラインの中から購入可能になる。
本願機構を用いたサドル展開の可能性として、本願の基本機構が備われば、体型や性別や目的用途に応じたアレンジが可能であり、また、当該機構を部品化したり応用展開すれば、様々な用途や製品にも展開が可能となる。
また、本発明に於けるサドル本体の座面は、乗員の乗車時の動的な座姿勢と圧力に応じて製作するものであり、動的な座姿勢や圧力を計測する走行場面を想定して再現されたシステムをアナログなりデジタル方式で構築製作し採用することができる。
尚、同計測システムは、当該サドル製作上は基より、医療分野やスポーツ分野等に於いても幅広く展開でき、また活用が可能である。
本発明によれば、設計家の勘や知識や経験に依存せず、乗車する身体の動作や体圧から象りされた計測値に立脚するものであり、身体自体が良しとした象りであって、当然の如く乗車時の身体の前滑りは抑制され、股間部への苦痛や不快感は軽減される。
具体的には、第1・第2の概ね楕円形の擂鉢状凹部の優れた機能は、左右の座骨が同左右の凹部内に安定・支持され、乗車した場合、様々な姿勢を以ってしても、各座骨及び各凹部とは左右一対の連動した動作と対応を呈することから、座骨が各凹部を超えて食み出ることは無く、凹部内にしっかり維持され且つ支持される。従って腰部の前進は生じず、従来製品のような不健全な不合理な事態は回避される。
また、前記第3凹部の配設は、男女を問わず生理器官への無用な圧迫を排除し保護する働きを目的として、乗員の期待や苦情を具現化すべくモニタリングの実施に拠り象った形状である。一例では、前側ノーズ部の根元付近に凹部を配しており、他の一例では、前側のノーズ部は除いているが、サドルの前側に向けて傾斜面を形成し、且つ中心線の付近には凹状に削ぐ切削形状(切削部)を配している。何れの場合も、乗車時には生理器官は保護され、無用な苦痛や接触や圧迫は回避され、前記第1・第2の楕円形・擂鉢状の凹部とも相成って、快適な乗車が実現できる。
また前記のように本願機構を基本に備えたサドルに拠れば快適で安定性に優れたサドルが容易に、而もカスタムメードとレデイメードの双方の製品として入手可能になる。
また本発明に拠る機構特性を用いれば、各種の応用製品の展開も可能である。例えば、座姿勢用に成形部品化又は製品化すれば、様々な場面で活用が可能になる。また例えば、同前記の成形部品の上にフラット且つソフトな素材でカバーすれば、見かけ上はフラットでシンプルであっても、腰を駈けると、フィット性に優れた製品が実現でき、また柔軟素材で成形すればクッション品やサドルカバー等としても展開が可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係るサドルを示す左側面図である。 図2は、図1に示されたサドルの座面を示す平面図である。 図3は、図2に示されたサドルの座面のIII−III線に沿う断面図である。 図4は、図2に示されたサドルの座面の変形例を示す平面図である。 図5は、図2に示されたサドルの座面の他の変形例を示す平面図である。 図6は、定位置仕様のサドルの一例を示す平面図である。 図7は、前傾姿勢用仕様のサドルの一例を示す平面図である。 図8は、後方から見た骨盤を示す背面図である。 図9は、乗車姿勢によって異なった部位で座面に当接する寛骨を示す右側面図である。 図10は、本実施形態に係る動作痕跡を示す象りの一例である。 図11は、静的な象りの一例を示す比較例である。 図12は、静的な象りの一例を示す比較例である。 図13は、本実施形態に係るサドルの試作品の一例である。 図14は、本実施形態に係るサドルの試作品の一例である。 図15は、本実施形態に係るサドルの試作品の一例である。 図16は、本実施形態に係るサドルの試作品の一例である。
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。本実施形態に係るサドル1の座面10Aは、乗員の乗車時の時間経過を伴う座姿勢と乗車動作に基づいて、象られ形状決定される。具体的には、例えば、サドル1の座面10Aは、左右一対の第1及び第2凹部11,12を有し、その間隔Sが前方に向かうに従い狭くなるように形成されていることが特徴の一つである。
その形態は、寛骨及び坐骨に拠る通常姿勢で定位置に座した状態から前屈み状態に変化したり、後方に身を反らせたり、叉は及び左右にバランスさせたりした際の前記骨格と座面との接触及び加圧変化等の象りに因するものであり、様々な乗車体勢と動作を通じて象りされ、各人各様の形状を呈する。
本実施形態によれば、上体を起こした姿勢であっても、深い前傾の姿勢であっても、後方に反った姿勢であっても、乗車時に安定して臀部及び坐骨をサドル1の定位置に保持することができるため、身体の前滑りに起因する股間部への苦痛や不快感を軽減できる。以下、図1から図16を参照して各構成について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態のサドル本体とサドル基盤部1を示す左側面図である。サドル1は、乗員がペダルを漕いで走行する自転車や三輪車等の乗物において、乗員の臀部を支持する。車輪の衝撃を吸収するばね3と、傾斜角を調整するレバー4と、を備えている。
図2は、サドル本体1の座面10Aを示す平面図である。図3は、図2中のIII−III線に沿う断面図である。以下の説明において、サドル1の座面10Aの前後方向(上下方向)及び左右方向は、サドル1に跨った乗員から見た当該方向である。図2に示すように、サドル本体1の座面10Aは、左右一対の第1凹部11及び第2凹部12と、第3凹部13と、壁部14と、ノーズ部15と、を有している。第1及び第2凹部11,12は、周囲よりも概ね楕円形にして擂鉢状に窪み、左右方向よりも前後方向に大きくそれぞれ形成されている。
第1及び第2凹部11,12の延在方向D1,D2の一例は、最も近い楕円面の一部に第1及び第2凹部を近似したとき、該楕円面の長軸(他の二軸(中軸、短軸)よりも長い軸)に沿う方向である。第1及び第2凹部11,12の軸線11X,12Xの一例は、前述の楕円面の長軸を座面10Aに対して上下方向に沿って投影した線である。
第1及び第2凹部11,12の延在方向D1,D2は、サドル1の左右中心軸Oに平行ではない。中心軸Oの左側に位置する第1凹部11は、その延在方向D1が、サドル1の後方に向かうに従い中心軸Oから離間するように傾斜している。同様に、中心軸Oの右側に位置する第2凹部12は、その延在方向D2が、サドル1の後方に向かうに従い中心軸Oから離間するように傾斜している。そのため、第1及び第2凹部11,12の軸線11X,12Xの間隔Sは、前方に向かうに従い狭くなる。
第1及び第2凹部11,12の後端11R,12R及びその近傍を含む後端部は、後方に向かうに従って徐々に浅くなるように形成されている。同様に、第1及び第2凹部11,12の前端11F、12F及びその近傍を含む前端部は、前方に向かうに従って徐々に浅くなるように形成されている。
また、サドル1の外縁のうち、第1及び第2凹部11,12の内部ないし近傍にある部分は、サドル1の外縁の他の部分よりも、浅く形成される。これにより、乗員がペダルを漕いでいる間、大腿部が上下動を繰り返しても、サドル1と干渉する影響を従来よりも減殺することができる。
ノーズ部15は、第3凹部13よりも前方まで延長されている。図4に示された変形例のサドル1のように、ノーズ部15を削除してもよい。当該事例では、ノーズ部を省いた分、臀部側(サドル後部)の支持域を充分に備えており、それに拠ってノーズ部に替えて体躯の安定支持を実現した事例である。また、図2に示す例では、ペダルを漕ぐとき邪魔にならないように、ノーズ部15において、左サイド15LH及び右サイド15RHが中心軸Oに向かって円弧状に削除されている。このとき、図5に示された変形例のサドル1のように、楕円状凹部の中心付近が配備された場合に限り、第1及び第2凹部11,12の外周の一部を削除してもよい。
図6は、定位置仕様のサドルの一例を示す平面図であり、図7は、前傾姿勢用仕様のサドルの一例を示す平面図である。各図の(A)は、サドル1の座面10Aの平面図であり、図2に対応するものである。また、各図の(B)は、それぞれ座面10Aの側面図である。図6及び図7に示すように、第1凹部11と第2凹部12と第3凹部13との相対位置さえ保たれていれば、サドル1の座面10Aにおいて、第1乃至第3凹部11,12,13が形成される位置を定位置仕様よりも前方又は後方に配置してもよい。図7に示す例では、図6に比べて、第1乃至第3凹部11,12,13がサドル1の前寄りに配置されており、乗員が前傾姿勢(前屈みの姿勢)でペダルを漕ぐのに好適に形成されている。
図8は、人体の骨盤を後方から見た背面図である。骨盤は、前述のサドル1に支持される寛骨を含んでいる。図8に示すように、寛骨は、該寛骨の下端部を構成する左右一対の坐骨と、坐骨に繋がる左右一対の恥骨と、を含んでいる。恥骨は、左右一対の恥骨下枝と、恥骨下枝の前端部を繋ぐ恥骨結合と、を含んでいる。恥骨下枝の間隔は、坐骨結節の間隔よりも狭い。さらに、恥骨下枝の間隔は、恥骨結合すなわち人体前方に向かうに従い徐々に狭くなる。
図9は、乗車姿勢によって異なった部位で座面10Aに当接する寛骨及び坐骨を示す右側面図である。図9に示すように、乗員が上体を起こした姿勢のとき、サドル本体1の座面10Aは、坐骨の下端部に位置する坐骨結節に当接する。乗員が深く前傾した姿勢のとき、サドル本体1の座面10Aは、坐骨から前方に延びる恥骨下枝に当接する。つまり、乗員が上体を起こした姿勢のとき、人体がサドル本体1の座面10Aに当接する部位の間隔が広く、乗員が深く前傾した姿勢のとき、人体がサドル本体1の座面10Aに当接する部位の間隔が狭くなる。
再び図2を参照して説明する。前述の第1凹部11は、乗車時の乗員の左の坐骨や恥骨を保持し、前述の第2凹部12は、右の坐骨や恥骨を保持するように構成されている。ここで、乗車時とは、ペダルを漕ぐ動作を伴うものとする。乗車時の乗員の坐骨や恥骨を保持するとは、乗員がペダルを漕ぎ続けている間、大腿部が上下してサドル1と干渉したり、上体が前後左右に動き乗車姿勢が変化したりしても、乗員の坐骨等を安定的に第1及び第2凹部11,12以内に支持することをいい、これにより、乗車時の身体の前滑りを抑止できるようになる。第1凹部11を左坐骨保持部と呼び、第2凹部12を右坐骨保持部と呼ぶこともできる。図2に示す例では、第1及び第2凹部11,12が、中心線Oに対して左右対称に形成されている。第3凹部13の位置は、乗車中の乗員の坐骨や恥骨が第1及び第2凹部11,12に当接するようにサドル1に跨ってペダルを漕いでいる状態で、乗員の股間部の生理器官が当接する位置に合わせて凹状に形成される。
次に、本実施形態に係るサドル1の製造方法について説明する。本実施形態のサドル1は、乗車時の乗員の動的な座姿勢に基づいて、且つペダリング動作を含めて坐骨及び臀部の接触に拠る加圧等の象り形状に準じて製造されることが好ましい。
例えば、乗員がサドル本体1に跨りペダルを漕ぐ動作をし、この間の寛骨や坐骨、臀部、股間部等の位置・形状、姿勢の変動と体躯圧力の変動の時間経過に伴う動作痕跡に応じて座面10Aの形状が象られ、当該形状に基づいてサドル本体1が形成される。これにより、上体を起こした姿勢であっても、深い前傾の姿勢であっても、後方に反った姿勢であっても、乗車時に乗員の坐骨が第1及び第2凹部11,12に保持されるサドル本体1を得ることができる。
具体的には、第1及び第2凹部11,12の後端11R,12Rの間隔S、第1及び第2凹部の前端11F,12Fの間隔S及び第3凹部の位置を設定するには、例えば、乗員が前記走行場面を想定して再現された計測用サドルに跨ってペダルを漕ぐ動作を行い、当該乗員の寛骨や坐骨や股間部等の動作痕跡を計測又は象り計測すればよい。計測用サドルを製作して用いる場合は、同サドルには、例えば、圧力センサを備えていてもよい。或いは、加圧変形素材、又はPVAやエーテル系の形状記憶樹脂素材を用いても良く、計測用サドルを用いて計測された計測データ又はスキャニングされ転写された形状に基づいて、第1、第2及び第3凹部の位置及び形状を3D設計し、サドル形状を設定してもよい。
走行場面を想定して再現された計測用サドルに跨った乗員がペダルを漕ぐ動作を行いつつ、図9に示すように、上体を起こした姿勢になったり、深く前傾した姿勢になったり、前後左右に上体を動かすと、乗員の寛骨や坐骨が計測用サドルの座面を押圧した痕跡が計測用サドルの座面の圧力センサや形状記憶樹脂素材等に象り叉は計測される。そのような動作を続けると、繰り返し押圧された痕跡が図2に示された第1及び第2凹部11,12の形状を象ることになる。
図10は、本実施形態に係る動的な象りの一例を示す図であり、図11及び図12は、静的な象りの例を示す比較例である。図10は、上記の計測用サドル等を用いて乗員がペダルを漕ぐ動作をしたときの、当該乗員の寛骨や坐骨の動作痕跡を所定時間にわたり動的に象ったものの一例である。この例では、乗車に拠る坐骨位置と加圧変動域が、楕円形擂鉢状の凹部として象られている。また、左右の楕円形擂鉢状の凹部が坐骨の角度に準じて、前方に向かうに従い狭くなっていることが観測される。
これに対し、図11及び図12は、乗員がペダルを漕ぐ動作をすることなく単純に座姿勢を象ったものの一例である。図11は、形状記憶材料を使用して座姿勢を静的に象ったものであり、図12は、低反発発泡剤を使用して座姿勢を静的に象ったものである。いずれも、左右の坐骨位置に略円形状の窪みを観測できるにとどまり、動的に時間経過を象った場合と比較して左右の凹部の形状や寸法等に明らかな違いが見られる。3写真の左右の座骨間隔は同一である。
このサドルの象り及び設計・製造方法によれば、乗員の動的な座姿勢、すなわち、乗車時の寛骨や坐骨や股間部等の動作痕跡を計測又は象りすることができ、またその計測データは、顧客情報として管理し、また携行可能なRFタグやスマートフォン等に電子データとして保存し活用することができる。
基より象り計測結果をスキャニングし、3Dデータ化し、3Dプリンター等の3次元形状形成装置に入力すれば、優れた効果を奏するサドル本体1を短時間で製造できる。金型を製作する必要がないため、単品でも廉価でスピーデイに製造できる。
図13乃至図16は、本実施形態に係るサドル1の試作品の例である。各図の(A)は、各試作品におけるサドル1の座面10Aの平面図であり、図2に対応するものである。また、各図の(B)及び(C)は、それぞれ座面10Aの側面図及び斜視図である。
図13及び図14は、女性の乗車時における動的な座姿勢を象り計測によって得られたものである。図13は、オーソドックスな形状をベースとしたサドル1の例であり、図14は、ノーズ部15を短く形成したサドル1の例である。また、図15及び図16は、男性の乗車時における動的な座姿勢を象り計測によって得られたものである。図15は、図13と同様、オーソドックスな形状をベースとしたサドル1の例であり、図16は、ノーズ部15を削除し、臀部の支持域を充分に確保し形成したサドル1の例である。
以下、本実施形態に係るサドル1の使用方法についていくつか提案する。例えば、多数のサドル製作データを集積して標準規格を設定すれば、比較的多数の乗員に適合する標準サイズのサドルが実現可能になる。
また、多数の乗員の動的な座姿勢に概ね適合する第1乃至第3凹部11,12,13を、あらかじめ標準形成したサドル1を用意すれば、利用者の性別や体型を目安にしたサドル1の形状を標準化生産でき、サドル1のコストを下げることができる、と共にこのようなサドル1は、自転車型のフィットネス器具等にも好適に用いることができると共に、トレーニングジム等にも適する。
以上のように構成された本実施形態のサドル1は、乗車時の乗員の動的な座姿勢に基づいて形成されている。例えば、図2に示すように、第1及び第2凹部11,12の軸線11X,12Xの間隔Sが、前方に向かうに従い狭くなるように座面10Aが形成されている。そのため、図9に示すように、上体を起こした姿勢であっても、深い前傾の姿勢であっても、坐骨が第1及び第2凹部11,12内に保持され、どのような姿勢になっても安定して臀部をサドル1の定位置に保持することができる。これに拠り臀部が前滑りしないため、第3凹部13の位置が股間部の生理器官の位置に確実に合うようになり、股間部への苦痛や不快感を軽減できる。
本実施形態では、図3に示すように、臀部を後方に於いても支えることができるため、坐骨の前滑りをより確実に抑制でき、また疲労も軽減できる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
1…サドル、2…ベース、3…ばね、4…レバー、10…サドル本体、10A…座面、10B…底面、11…第1凹部、11F…前端、11R…後端、11X…軸線、12…第2凹部、12F…前端、12R…後端、12X…軸線、13…第3凹部、14…壁部、15…ノーズ部、15LH…左サイド、15RH…右サイド、D1…第1凹部の延在方向、D2…第2凹部の延在方向、O…中心線、S…間隔。

Claims (3)

  1. 自転車等のサドルの製造方法であって、
    計測用サドルに跨ってペダルを漕ぐ動作を行い、当該ペダルを漕ぐ動作中における乗員の坐骨及び臀部が前記計測用サドルの座面を押圧した痕跡を、所定の時間に亘って計測した計測データ、又は、前記痕跡を所定の時間に亘って転写した象りデータ、を作成し、
    前記計測データ又は前記象りデータに基づいて、前記サドルの座面に配設される左右一対の第1凹部及び第2凹部並びに中心線上の第3凹部の位置及び形状を決定し、
    当該位置及び形状に基づいて、前記サドルを形成する、
    サドル製造方法。
  2. 前記ペダルを漕ぐ動作は、上体を起こした姿勢になったり、深く前傾した姿勢になったり、前後左右に上体を動かしたりするものである、
    請求項に記載のサドル製造方法。
  3. 前記第1凹部及び前記第2凹部はそれぞれ、左右方向よりも前後方向に大きく形成された概ね楕円状に形成し、
    前記第1凹部及び前記第2凹部の間隔は、前記乗員の坐骨の角度に準じて、前方に向かうに従い狭くなるように形成し、
    前記サドルの外縁のうち、第1凹部及び第2凹部の内部ないし近傍にある部分は、前記サドルの外縁の他の部分よりも、浅く形成する、請求項又はに記載のサドル製造方法。
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