以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る電極積層装置を適用して製造される蓄電装置の内部構成を示す断面図である。図2は、図1のII−II線断面図である。図3は、図2に示されたセパレータ付き正極及び負極の平面図である。各図において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
蓄電装置1は、例えば略直方体形状をなすケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、図示はしないが、電極組立体3を包むことで、電極組立体3とケース2内側の側面及び底面との間には、絶縁フィルムが配置されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2内側の底面に接触している。なお、電極組立体3とケース2との間にスペーサを配置することで、電極組立体3とケース2との間に隙間を形成してもよい。
電極組立体3は、シート状の複数の正極8と、シート状の複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、その両端に負極9が配置され、その内側は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。
セパレータ10は、図3(a)に示されるように、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の横寸法(図示X方向の寸法)は、セパレータ10の縦寸法(図示Y方向の寸法)よりも大きい。正極8は、平面視矩形状の正極本体部8aと、この正極本体部8aと一体化された正極タブ8bとを有している。正極本体部8aの横寸法は、正極本体部8aの縦寸法よりも大きい。正極タブ8bは、正極本体部8aの横方向(長手方向)の一端部近傍の縁から突出した突出部を構成している。そして、正極タブ8bは、セパレータ10から露出している。正極タブ8bは、図1に示されるように、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。
負極9は、図3(b)に示されるように、平面視矩形状の負極本体部9aと、この負極本体部9aと一体化された負極タブ9bとを有している。負極本体部9aの横寸法は、負極本体部9aの縦寸法よりも大きい。負極タブ9bは、負極本体部9aの横方向(長手方向)の一端部近傍の縁から突出した突出部を構成している。負極タブ9bは、図1に示されるように、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。
正極8は、図2に示されるように、例えばアルミニウム箔からなる金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。正極活物質層15は、金属箔14における正極本体部8aの正極タブ8b側の縁部及び正極タブ8bを除いた領域に形成されている。なお、図2では、便宜上正極タブ8bを省略している。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。
負極9は、図2に示されるように、例えば銅箔からなる金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。負極活物質層17は、金属箔16における負極本体部9aの負極タブ9b側の縁部及び負極タブ9bを除いた領域に形成されている。なお、図2では、便宜上負極タブ9bを省略している。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
以上のように構成された蓄電装置1を製造する際、その製造工程は、大きくは正極製造工程、負極製造工程及び組立工程よりなり、まず各電極の製造工程にて、セパレータ付き正極11及び負極9を別個に作製した後、組立工程にて、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、積層体を得る。その後、積層体を構成するセパレータ付き正極11及び負極9を、テープ等で固定することにより電極組立体3を得る。そして、正極8の正極タブ8bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9の負極タブ9bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。なお、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層して積層体を製造する方法の詳細については、後述する。
図4は、本実施形態に係る電極積層装置を示す平面模式図である。図4に示されるように、電極積層装置100は、主要な構成要素として、載置された電極を搬送して積層体形成領域Rに送り出す電極供給機構20と、電極が積層される積層台30と、積層台30を搬送する搬送機構40と、後述する昇降機構60(図8、9を参照)とを備えている。なお、積層体形成領域Rとは、電極供給機構20から供給された電極が積層されて積層体50が形成される領域であり、平面視にて電極供給機構20によって電極が送り出される位置に相当する。本実施形態では、積層体形成領域Rは、電極供給機構20より下方に位置している。積層体形成領域Rは、平面視において搬送機構40と重なる位置に定められており、一つの積層台30が占める領域と略同一になっている。
以下では、電極供給機構20が電極を供給する方向を方向αとする。図4において方向αに直交すると共に、搬送機構40によって積層台30が搬送される方向(搬送方向)を方向βとする。方向α及び方向βに直交する方向を方向γとする。方向α及び方向βは水平方向に相当し、方向γは上下方向に相当する。積層台30及び搬送機構40は、方向γにおいて電極供給機構20よりも下方に位置している。また、後述する昇降機構60(図8、9を参照)は、方向γにおいて、積層体形成領域Rに重なると共に積層台30よりも下方に位置している。なお、方向α、方向β、及び方向γのそれぞれは、一方向に限定されない。例えば方向βは、搬送機構40の搬送方向において下流側の方向だけでなく上流側の方向も含む。
電極供給機構20は、電極であるセパレータ付き正極11と負極9とを、所定の速度を与えた上で放出し、搬送機構40上に位置する積層体形成領域Rに供給する装置である。電極供給機構20は、セパレータ付き正極11を供給する第1電極供給部21と、負極9を供給する第2電極供給部22とを備えている。第1電極供給部21と第2電極供給部22とは、搬送機構40において積層体形成領域Rに重なる領域を挟んで互いに対向するように配置されている。
次に、第1電極供給部21及び第2電極供給部22について説明する。第1電極供給部21は、載置されたセパレータ付き正極11を所定の速度で搬送する搬送手段と、方向αに直交する方向である方向βにおいてセパレータ付き正極11の位置決めを行うガイド手段とを備える。搬送手段は、本実施形態ではベルトコンベアだが、ローラコンベアであってもよい。ガイド手段の例は、電極に接触して方向βにおける位置を修正するガイド板又はガイドローラである。図5(a)は、第1電極供給部21の製造工程上の位置付けを示すブロック図である。第1電極供給部21は、製造工程上、正極製造工程で製造された正極を受け取る組立工程の始端に位置する。正極打ち抜き装置23にて形成された個片の正極8は、セパレータ包装装置24にてセパレータ付き正極11とされた後、第1電極供給部21のコンベア上に移載される。
正極打ち抜き装置23は、両面に正極活物質が形成された帯状金属箔(アルミニウム箔)を個片の形状に打ち抜くことにより、正極活物質層15が形成された金属箔14を有する正極8を形成する。帯状金属箔の横幅を、例えば個片の電極2個分とし、正極打ち抜き装置23では、一回の切断にて2個の電極を切り出す、いわゆる二条取り等が行われてもよい。この場合、一度に形成される正極8の数が増えると共に、打ち抜き前の金属箔の余剰部分が減少する。
セパレータ包装装置24は、正極8の正極本体部8aを袋状のセパレータ10によって包むことにより、セパレータ付き正極11を形成する。セパレータ包装装置24は、例えば、帯状セパレータの対を用いることによって、一度に複数のセパレータ付き正極11を形成できる。例えば、帯状セパレータの一部を熱融着し、複数の袋状部を形成した後、各袋状部を分断することによって袋状のセパレータ10を形成する。
第1電極供給部21は、セパレータ付き正極11の向きを整列しながら方向αの一端へ送り出す。これにより第1電極供給部21は、セパレータ付き正極11を上記一端より送り出し、積層体形成領域Rに向かって落下させる。セパレータ付き正極11が第1電極供給部21によって方向αに沿って搬送される間に、セパレータ付き正極11の正極タブ8bは、所定方向に突出するように整列される。なお、本実施形態における第1電極供給部21の一端とは、方向αにおいて第2電極供給部22と対向する端である。
第2電極供給部22は、載置された負極9を所定の速度で搬送する搬送手段と、方向βにおいて負極9の位置決めを行うガイド手段とを備える。搬送手段は、本実施形態ではベルトコンベアだが、ローラコンベアであってもよい。ガイド手段の例は、電極に接触して搬送手段上における位置を修正するガイド板、又はガイドローラである。図5(b)は、第2電極供給部22の製造工程上の位置付けを示すブロック図である。第2電極供給部22は、製造工程上、負極製造工程で製造された負極を受け取る組立工程の始端に位置する。負極打ち抜き装置27にて形成された個片の負極9は、第2電極供給部22のコンベア上に移載される。
負極打ち抜き装置27は、両面に負極活物質が形成された帯状金属箔(銅箔)を所定の形状に打ち抜くことにより、負極活物質層17が形成された金属箔16を有する負極9を形成する。負極打ち抜き装置27では、正極打ち抜き装置23と同様に、いわゆる二条取り等が行われてもよい。この場合、一度に形成される負極9の数が増えると共に、打ち抜き前の金属箔の余剰部分が減少する。
第2電極供給部22は、負極9の向きを整列しながら方向αの一端(第1電極供給部21と対向する端)へ送り出す。これにより第2電極供給部22は、負極9を上記一端より送り出し、積層体形成領域Rに向かって落下させる。負極9が第2電極供給部22によって方向αに沿って搬送される間に、負極9の負極タブ9bは、所定方向に突出するように整列される。負極タブ9bの突出する方向は、第1電極供給部21にて搬送されるセパレータ付き正極11の正極タブ8bの突出する方向と同一である。なお、本実施形態における第2電極供給部22の一端とは、方向αにおいて第1電極供給部21と対向する端である。
次に、図6(a)〜(c)及び図7を用いながら、積層台30と搬送機構40との構成、及び積層台30に積層体50が製造される方法の一例を説明する。図6(a)は、積層台の斜視図であり、図6(b)は、積層台の平面図であり、図6(c)は、図6(b)のVIc−VIc線断面図である。図7は、積層台に積層体が製造される様子を示す模式平面図である。
図6(a)〜(c)に示される積層台30は、電極供給機構20より送り出されて落下する電極(セパレータ付き正極11及び負極9)が順次積層されて積層体50が製造される台であり、主面31を有する本体部32と、位置決め壁33と、第1側壁34と、第2側壁35と、底部36とを有している。具体的には、図7に示されるように、平面視にて積層体形成領域Rに位置する積層台30は、第1電極供給部21の整列コンベア26から落下したセパレータ付き正極11と、第2電極供給部22の整列コンベア29から落下した負極9とを、後述するように交互に所定の位置に案内して積層する。
図7に示されるように、搬送機構40は、積層台30を例えばフリーフロー方式にて搬送する機構であり、方向αに沿って延在する第1搬送部41と、第1搬送部41に離間すると共に並列して延在する第2搬送部42と、搬送される積層台30をせき止めるストッパ43とを有している。第1搬送部41及び第2搬送部42は、互いに同一形状を有しており、例えばプーリ及びモータによって回転駆動するベルトコンベアを有する。第1搬送部41及び第2搬送部42は、レール等によって構成されてもよい。積層台30の位置決め壁33が搬送機構40の下流側に位置するように、積層台30は、第1搬送部41及び第2搬送部42上に載置されている。ストッパ43は、積層体形成領域Rよりも上流側に設けられており、積層体形成領域Rに複数の積層台30が搬送されることを妨げている。ストッパ43は、例えば方向γに伸縮自在なせき止め部と、当該せき止め部を収容可能な本体部とを有する。
次に、積層台30の構造を搬送機構40上にある状態に基づいて詳細に説明する。本体部32の主面31は、セパレータ付き正極11と負極9とが積層される面である。主面31は、方向αに沿って互いに略平行に延在する第1辺31a及び第2辺31bと、方向βに沿って互いに略平行に延在する第3辺31c及び第4辺31dとを有する。第1辺31aと第2辺31bとは互いに対向しており、第3辺31cと第4辺31dとは互いに対向している。第1辺31a(第2辺31b)と、第3辺31c(第4辺31d)とは、互いに略直交するように延在している。第1辺31aは、方向βにおいて搬送機構40の下流側に位置している。図7に示されるように、第3辺31cは、方向αにおいて第1電極供給部21側に位置している。第4辺31dは、方向αにおいて第2電極供給部22側に位置している。
本体部32の一部は、積層台30に積層体50が製造された際に当該積層体50の一部が主面31から露出するように、一対の第1切欠部37によって切り欠かれている。具体的には、主面31において第1辺31aと第3辺31cとの交点及びその周辺における本体部32は、一方の第1切欠部37によって切り欠かれており、主面31において第1辺31aと第4辺31dとの交点及びその周辺における本体部32は、他方の第1切欠部37によって切り欠かれている。このため、第1辺31aの長さは、第2辺31bの長さよりも短くなっている。なお、一対の第1切欠部37は、単なる名称であり、積層台30の一部を実際に切り欠くことによって設けられなくてもよい。例えば、積層台30を樹脂製とし、射出成型により当該積層台30を成形する場合、第1切欠部37が設けられるような型を用いて、第1切欠部37が積層台30に成型されてもよい。
また、本体部32の他の一部は、積層台30に積層体50が製造された際に当該積層体50の一部が主面31から露出するように、一対の第2切欠部38によって切り欠かれている。具体的には、第3辺31c側であって方向βにおいて一方の第1切欠部37よりも第2辺31b側の本体部32の一部は、一方の第2切欠部38によって切り欠かれており、第4辺31d側であって方向βにおいて他方の第1切欠部37よりも第2辺31b側の本体部32の一部は、他方の第2切欠部38によって切り欠かれている。このため、第3辺31c及び第4辺31dのそれぞれは2つに分断されており、平面視における主面31の形状は、一対の第1切欠部37及び一対の第2切欠部38によって、略矩形状の一部が切り欠かれている形状になっている。なお、一対の第2切欠部38は、第1切欠部37と同様に単なる名称であり、積層台30の一部を実際に切り欠くことによって設けられなくてもよい。
本体部32に第1切欠部37及び第2切欠部38が設けられることによって、積層台30に製造された積層体50において主面31と接する部分の一部が、積層台30から露出する。この場合、例えば、積層体50を積層台30に収めた状態で、第1切欠部37及び第2切欠部38にて積層体50にテープを貼り付け、積層体50を形成する電極を相互に固定することができる。また、ロボットアームなどのピックアップ装置によって積層体50における上記一部を狭持して持ち上げることにより、積層台30から積層体50を容易に取り出すことができる。
位置決め壁33は、本体部32において、主面31の第1辺31aに沿って延在すると共に方向γに向かって立設している。位置決め壁33は、主面31に載置されたセパレータ付き正極11の正極タブ8bが設けられていない側の端部(下端部)に接触することにより、積層台30に落下したセパレータ付き正極11を停止させる。同様に、位置決め壁33は、主面31に載置された負極9の負極タブ9bが設けられていない側の端部(下端部)に接触することにより、積層台30に落下した負極9を停止させる。したがって、位置決め壁33は、主面31上に積層されるセパレータ付き正極11及び負極9の下端部の位置を決めて揃えるためのガイドとして機能する。
第1側壁34は、本体部32において、主面31の第3辺31cに沿って延在すると共に方向γに向かって立設している。第1側壁34は、一方の第2切欠部38よりも第1辺31a側の第3辺31cに沿って立設する第1部分34aと、一方の第2切欠部38よりも第2辺31b側の第3辺31cに沿って立設する第2部分34bとを有している。第2部分34bの第2辺31b側の端部の内側には、平面視にて第2辺31bから第1辺31a側に向かうにつれて第4辺31dに近づくように傾斜するテーパ部34cが設けられている。方向βに沿った位置決め壁33から第2部分34bまでの距離L1は、正極本体部8a及び負極本体部9aの縦方向(短手方向)の長さよりも短くなっている。
第2側壁35は、本体部32において、主面31の第4辺31dに沿って延在すると共に方向γに向かって立設している。第2側壁35は、他方の第2切欠部38よりも第1辺31a側の第4辺31dに沿って立設する第1部分35aと、他方の第2切欠部38よりも第2辺31b側の第4辺31dに沿って立設する第2部分35bとを有している。第2部分35bの第2辺31b側の端部の内側には、平面視にて第2辺31bから第1辺31a側に向かうにつれて第3辺31cに近づくように傾斜するテーパ部35cが設けられている。方向βに沿った位置決め壁33から第2部分35bまでの距離L2は、正極本体部8a及び負極本体部9aの縦方向(短手方向)の長さよりも短くなっている。
第1側壁34と第2側壁35との間隔は、セパレータ付き正極11の長手方向における長さ以上であり、具体的には、セパレータ付き正極11の横寸法に、製造誤差を考慮した若干の間隔を加えた値である。ここで、積層体形成領域Rに配置される積層台30は、後述する昇降機構60(図8、9を参照)によって、図6(a)に示されるように、第1辺31aが第2辺31bよりも下方に位置するように傾斜した状態にされ得る(詳細は後述する)。また、上述したように、第2部分34bにはテーパ部34cが設けられ、且つ、第2部分35bにはテーパ部35cが設けられている。このため、積層体形成領域Rに落下するセパレータ付き正極11及び負極9のそれぞれは、まずテーパ部34c,35cの幅広の部分に受け入れられる。そして、セパレータ付き正極11及び負極9のそれぞれは、第1辺31a側に向かって主面31を滑走するときにテーパ部34c,35cによって案内される。これにより、セパレータ付き正極11及び負極9の方向αにおける位置を揃えることが可能となる。
底部36は、方向γにおいて本体部32から下方に突出した部分である。底部36の方向αに沿った長さは、第1辺31aの長さと略同一であり、第2辺31bの長さよりも短くなっている。また、方向βにおける底部36は、位置決め壁33よりも第2辺31b側であって、第1側壁34のテーパ部34cよりも第1辺31a側に位置している。このため、図6(c)に示されるように、積層台30には、本体部32における第1辺31a側の端部と底部36とによって画定される第1ステップ39aが設けられており、本体部32における第2辺31b側の端部と底部36とによって画定される第2ステップ39bが設けられている。
なお、搬送機構40において、方向αに沿った第1搬送部41と第2搬送部42との間隔は、第1辺31aの長さよりも大きく、第2辺31bの長さよりも短くなっている。このため、積層台30の底部36は、第1搬送部41と第2搬送部42との間に収容される。これにより、搬送機構40によって搬送される積層台30の姿勢は、底部36によって一定に保たれる。
次に、図8及び図9を用いながら本実施形態に係る昇降機構60の構成について説明する。図8は、昇降機構によって昇降される積層台の模式断面図である。図9は、昇降機構及び搬送機構の拡大平面図である。図8及び図9に示される昇降機構60は、積層体形成領域Rに位置する積層台30に係合することによって、当該積層台30を上下方向(方向γ)に昇降自在に制御してその位置を変更する。また、昇降機構60は、上記積層台30の傾斜角度を調整する。
昇降機構60は、平面視にて積層体形成領域R内に配置される本体部61と、本体部61の上面に取り付けられると共に方向γに沿って昇降する第1昇降部62と、本体部61の上面に取り付けられると共に方向γに沿って昇降する第2昇降部63とを有する。第1昇降部62は、第2昇降部63よりも搬送機構40の下流側に位置している。また、第1昇降部62と第2昇降部63とは、互いに離間すると共に互いに独立に制御される。このため、第1昇降部62の昇降度合と、第2昇降部63の昇降度合とは、互いに異なってもよい。
本体部61は、第1昇降部62及び第2昇降部63を制御する。本体部61は、平面視にて搬送機構40の第1搬送部41と第2搬送部42との間に位置しており、且つ、搬送機構40よりも下方に位置している。本体部61の筐体内には、例えば第1昇降部62を駆動させる第1駆動部と、第2昇降部63を駆動させる第2駆動部と、第1駆動部及び第2駆動部を独立に制御する制御部とが設けられる。なお、第1駆動部及び第2駆動部は、単一の駆動部であってもよい。
第1昇降部62は、上下方向に伸縮可能なシリンダ部64A,64Bと、シリンダ部64Aの先端に取り付けられ、積層台30に当接して係合する先端部65Aと、シリンダ部64Bの先端に取り付けられ、積層台30に当接して係合する先端部65Bとを有する。シリンダ部64A,64Bは、互いに同期して駆動している。
シリンダ部64A,64Bは、方向αに沿って配置されている。具体的には、シリンダ部64Aは第1搬送部41側に配置されており、シリンダ部64Bは第2搬送部42側に配置されている。シリンダ部64A,64Bのそれぞれは、第1駆動部に制御されて方向γに沿って駆動する駆動軸64aと、駆動軸64aの周囲を覆うと共に駆動軸64aを収容する中空の筒状部64bとを有する。
先端部65A,65Bは、対応する駆動軸64aの先端に取り付けられており、積層台30の本体部32及び底部36に当接して駆動軸64aによる方向γに沿った力を伝達する。先端部65A,65Bとして、対応する駆動軸64aの先端に回転自在に取り付けられた回転部材が用いられる。回転部材としては、例えば方向αから見て環形状を有するカムフォロア又はベアリング等が挙げられ、少なくとも方向αを軸として時計回り及び反時計回りに回転自在であればよい。先端部65A,65Bが上記回転部材であることにより、先端部65A,65Bは、積層台30との摩擦による摩耗を低減できる。
図8においては、先端部65Aは、積層台30の第1ステップ39aに入り込んで積層台30を支持している。同様に、先端部65Bは、積層台30の第1ステップ39aに入り込んで積層台30を支持している。よって、第1ステップ39aは先端部65A,65Bに対する係合部として機能し、先端部65A,65Bは、第1ステップ39aを画定する本体部32及び底部36の両方に当接するので、積層台30を安定して支持できる。また、先端部65Aは第1搬送部41よりも方向γにおいて上方に位置しているが、駆動軸64aを制御することによって当該先端部65Aを第1搬送部41(搬送機構40)よりも下方に位置させることができる。同様に、先端部65Bも第1搬送部41(搬送機構40)よりも下方に位置させることができる。なお、先端部65A,65Bは、搬送機構40により搬送される積層台30をせき止めるストッパとして機能してもよい。
第2昇降部63は、上下方向に伸縮可能なシリンダ部66A,66Bと、シリンダ部66Aの先端に取り付けられ、積層台30に当接する先端部67Aと、シリンダ部66Bの先端に取り付けられ、積層台30に当接する先端部67Bとを有する。シリンダ部66A,66Bは、互いに同期して駆動している。
シリンダ部66A,66Bは、方向αに沿って配置されている。具体的には、シリンダ部66Aは第1搬送部41側に配置されており、シリンダ部66Bは第2搬送部42側に配置されている。シリンダ部66A,66Bのそれぞれは、第2駆動部に制御されて方向γに沿って駆動する駆動軸66aと、駆動軸66aの周囲を覆うと共に駆動軸66aを収容する中空の筒状部66bとを有する。シリンダ部66Aは、シリンダ部64Aと同一の構成を有しており、且つ、方向βにおいてシリンダ部64Aと並んで配置されている。同様に、シリンダ部66Bは、シリンダ部64Bと同一の構成を有しており、且つ、方向βにおいてシリンダ部64Bと並んで配置されている。
先端部67A,67Bは、対応する駆動軸66aの先端に取り付けられており、積層台30の底部36に当接して駆動軸66aによる方向γに沿った力を伝達する部分である。先端部67A,67Bとして、先端部65A,65Bと同様の回転部材が用いられる。これにより、先端部67A,67Bは、積層台30との摩擦による摩耗を低減できる。なお、図8においては、先端部67A,67Bは、底部36の底面に当接して積層台30を支持している。
次に、本実施形態に係る電極積層装置100における搬送機構40と昇降機構60との動作の一例について図10(a)〜(c)及び図11(a)〜(c)を用いながら説明する。図10(a)〜(c)及び図11(a)〜(c)は、積層体の製造における搬送機構と昇降機構の動作を説明するための概略側面図である。なお、上述したようにシリンダ部64B,66Bはシリンダ部64A,66Aとそれぞれ同期して駆動するので、以下ではシリンダ部64B,66Bと先端部65B,67Bとの説明を省略する。
まず、図10(a)に示されるように、搬送機構40によって積層台30を積層体形成領域Rに向かって方向βに沿って搬送する。積層台30は、位置決め壁33が搬送機構40の搬送方向において下流側に位置するように、搬送機構40上に載置されている。また、積層台30よりも上流側にて搬送機構40により搬送される積層台30Aは、ストッパ43に当接している。これにより、積層台30Aは、積層体形成領域Rに搬送されないように、ストッパ43によってせき止められている。
次に、図10(b)に示されるように、積層台30が積層体形成領域Rに位置すると、当該積層台30がせき止められ、その搬送が中断される。本実施形態では、予め第1昇降部62を駆動し、シリンダ部64Aの駆動軸64aを方向γにおいて上方に伸長させておく。これにより、先端部65Aを積層台30の第1ステップ39aに当接させて、搬送機構40により搬送される積層台30をせき止める。また、先端部65Aが積層台30をせき止めた後、第2昇降部63を駆動し、シリンダ部66Aの駆動軸66aを方向γにおいて上方に伸長させ、先端部67Aを積層台30の底部36に当接させる。
次に、図10(c)に示されるように、昇降機構60の第1昇降部62及び第2昇降部63を駆動し、駆動軸64a,66aを上方に伸長させる。これにより、先端部65A,67Aによって積層台30を方向γに沿って持ち上げ、当該積層台30を搬送機構40よりも上方に上昇させる。ここで、駆動軸64aの伸長度は駆動軸66aの伸長度よりも小さくなっている。これにより、第1ステップ39aに入り込んでいる先端部65Aを支点とし、位置決め壁33が第2側壁35よりも下方に位置するように積層台30を傾斜させる。
なお、昇降機構60は、積層台30を傾斜状態にした後に当該積層台30を搬送機構40よりも上方に上昇させてもよいし、積層台30を搬送機構40よりも上方に上昇させた後に当該積層台30を傾斜状態にしてもよい。もしくは、昇降機構60は、積層台30を上方に上昇させながら傾斜状態にしてもよい。
次に、図11(a)に示されるように、昇降機構60によって持ち上げられ傾斜されている積層台30に対して、第1電極供給部21から落下するセパレータ付き正極11と、第2電極供給部22から落下する負極9とを交互に供給する(図7を参照)。これにより、昇降機構60(より具体的には、第1昇降部62及び第2昇降部63)によって上下方向の位置を調整された積層台30にセパレータ付き正極11及び負極9を順次積層させて積層体50を製造する。
昇降機構60は、積層台30に積層されているセパレータ付き正極11及び負極9の合計枚数に応じて、積層台30の方向γにおける位置を調整する。具体的には、昇降機構60は、積層台30に積層されているセパレータ付き正極11及び負極9の合計枚数の増加に伴って積層台30を降下させるように、駆動軸64a及び駆動軸66aを収縮させる。この駆動軸64a及び駆動軸66aの収縮度は、積層台30の傾斜角度が変化しないように、互いに同一に設定される。なお、積層体50の製造中において、昇降機構60による駆動軸64a及び駆動軸66aを収縮するタイミング等は任意に定めることができる。例えば、昇降機構60は、セパレータ付き正極11及び負極9の合計枚数が1枚増える毎に駆動軸64a及び駆動軸66aを収縮させてもよいし、上記合計枚数が所定の倍数になる毎(例えば3〜5枚毎)に駆動軸64a及び駆動軸66aを収縮させてもよい。また、昇降機構60は、段階的に駆動軸64a及び駆動軸66aを収縮させてもよいし、所定速度で連続的に駆動軸64a及び駆動軸66aを収縮させてもよい。
次に、図11(b)に示されるように、積層体50が形成された積層台30を搬送機構40上に載置する。このとき、積層台30の傾斜状態を解除するように、昇降機構60による駆動軸64a及び駆動軸66aの収縮度を調整する。昇降機構60は、例えば積層体50のセパレータ付き正極11及び負極9がずれないように、駆動軸64a及び駆動軸66aを伸長する速度よりも遅い速度にて収縮させる。もしくは、昇降機構60は、積層台30の傾斜状態を解除した後、当該積層台30をゆっくりと下降させるように駆動軸64a,66aを収縮させてもよい。ただし、積層台30は、下流側が先に搬送機構40に接触するようにするのが良い。これにより、上流側(正極タブ8b及び負極タブ9bが位置する側)における積層台30にストッパが設けられない場合であっても、積層台30の下降時に積層体50にズレが生じることがない。
次に、図11(c)に示されるように、駆動軸64a,66aをさらに収縮させることによって、先端部65A,67Aを積層台30よりも下方に位置させる。これにより、先端部65Aによって積層体形成領域R内の積層台30がせき止められなくなるので、積層体50が製造された積層台30を搬送機構40によって下流側に搬送する。下流側に搬送された積層体50は、以降の工程にて、相互に固定された電極組立体とされた後、ケースに収容され、蓄電装置1が製造される。また、積層台30Aのストッパ43によるせき止めが解除される。これにより、積層台30Aが積層体形成領域Rに向かって搬送され、積層台30と同様の方法にて別の積層体50が形成される。
以上に説明した本実施形態に係る電極積層装置100によれば、積層体形成領域Rに位置する積層台30を上下方向に昇降自在な昇降機構60は、互いに離間すると共に互いに独立に制御される第1昇降部62及び第2昇降部63を有する。これにより、搬送機構40により搬送される積層台30は、積層体形成領域Rに位置すると第1昇降部62及び第2昇降部63によって持ち上げられて上下方向の位置を調整された状態となり、その搬送が中断される。このとき、積層台30は、搬送機構40の搬送方向において傾斜した状態にて、当該搬送機構40よりも上方に位置される。このように傾斜した積層台30に対してセパレータ付き正極11及び負極9が重力を利用して交互に落下することにより、セパレータ付き正極11及び負極9は積層台30内に積層される。また、積層台30内に積層体50が形成された後に、当該積層台30は、第1昇降部62及び第2昇降部63によって傾斜状態を解除されつつ降下し、搬送機構40上に再び載置され搬送される。したがって、上記電極積層装置100によれば、昇降機構60を用いることにより、搬送機構40によって搬送される積層台30に積層体50が直接形成されるので、積層体50の搬送を効率化できる。
また、積層台30が昇降機構60と当接している間、第1昇降部62の先端部65A,65Bは、積層台30の第1ステップ39aに入り込んで係合する。この場合、第1昇降部62と積層台30との当接領域が定まるので、積層体形成領域Rにおける積層台30の位置ずれを抑制できる。したがって、積層台30に積層されるセパレータ付き正極11及び負極9の位置ずれが発生しにくくなる。
また、第1昇降部62は、搬送機構40の搬送方向において第2昇降部63よりも下流側に位置している。この場合、第1昇降部62の先端部65Aを支点として、積層台30を安定して搬送機構40の搬送方向に沿って傾斜できる。これにより搬送されてきた積層台30に第1昇降部62の先端部65Aが、積層台30の第1ステップ39aに確実に嵌り込んだ状態で積層台30を傾斜できるため、積層台30の位置ズレを少なくできる。加えて、第1昇降部62を、搬送機構40によって搬送される積層台30をせき止めるストッパとしても用いることができる。
また、昇降機構60は、積層台30にセパレータ付き正極11及び負極9が積層されるとき、積層台30を搬送機構40よりも上方に上昇させる。この場合、搬送機構40と積層台30との摩擦に起因した発塵を抑制し、当該塵が積層台30内のセパレータ付き正極11及び負極9に付着することを抑制できる。
また、昇降機構60は、積層台30に積層されているセパレータ付き正極11及び負極9の枚数に応じて、積層台30の上下方向(方向γ)における位置を調整する。この場合、積層体50の積層高さが増大しても、落下するセパレータ付き正極11及び負極9が積層体50の最上層の上端部付近に着地することが防止される。したがって、積層体50の積層高さの増大に伴う不具合(例えば積層体50を形成するセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bの損傷)の発生を抑制することができる。
また、積層台30は、セパレータ付き正極11及び負極9が積層される主面31と、主面31の第1辺31aに沿って立設すると共に落下したセパレータ付き正極11及び負極9を位置決めする位置決め壁33とを有し、昇降機構60は、第1辺31aが当該第1辺31aに対向する第2辺31bよりも下方に位置するように、積層台30を傾斜する。この場合、積層台30に向かって落下したセパレータ付き正極11及び負極9は、傾斜した主面31を滑って位置決め壁33に当接する。これにより、積層台30内におけるセパレータ付き正極11及び負極9の下端部の位置を揃えることができる。
また、昇降機構60は、積層台30よりも下方に位置している。この場合、昇降機構60から発生する塵等が、積層台30内のセパレータ付き正極11及び負極9に付着することを抑制できる。
また、搬送機構40は、第1搬送部41である第1ベルトコンベアと、第1ベルトコンベアに離間すると共に並列して延在する第2搬送部42である第2ベルトコンベアと、を有し、昇降機構60は、平面視にて第1ベルトコンベアと第2ベルトコンベアとの間に位置している。この場合、電極積層装置100の省スペース化が実現できる。
また、積層体50の電極は、シート状の正極8と、シート状の負極9とを有し、正極8は、セパレータ10に覆われており、電極供給機構20は、セパレータ付き正極11を積層体形成領域Rに向けて落下させて供給する第1電極供給部21と、積層台30を挟んで第1電極供給部21と対向するように配置され、負極9を積層体形成領域Rに向けて落下させて供給する第2電極供給部22と、を有している。セパレータ付き正極11及び負極9は、異なる経路にて積層体形成領域Rに供給された後、当該積層体形成領域Rにて合流する。このため、セパレータ付き正極11と負極9とが別々の供給部によって積層台30に供給されるので、一つの供給部を用いてセパレータ付き正極11と負極9との両方を積層台30に供給する場合よりもセパレータ付き正極11の落下タイミングと負極9の落下タイミングとの間隔を短くすることができ、セパレータ付き正極11及び負極9の積層速度を向上できる。
図12は、変形例に係る搬送機構を示す概略側面図である。変形例に係る搬送機構40Aは、第1搬送部41、第2搬送部42、及びストッパ43に加えて、第3搬送部71、第4搬送部72、及び第5搬送部73を有する。なお、図示せずに省略されているが、第1搬送部41及び第2搬送部42と第3搬送部71との間、第3搬送部71と第4搬送部72との間、第4搬送部72と第5搬送部73との間、並びに第5搬送部73と第1搬送部41及び第2搬送部42との間のそれぞれには、積層台30を移動させるための移動機構(例えば、ターンテーブル、リフト又はエレベータ等)が設けられている。
第3搬送部71は、第1搬送部41及び第2搬送部42から搬送されると共に積層体50を収容する積層台30を受け取り、第1搬送部41及び第2搬送部42と異なる方向に当該積層台30を搬送する。第3搬送部71は、第1搬送部41及び第2搬送部42の下流側に位置しており、方向αに沿って延在している。第3搬送部71は、第1搬送部41及び第2搬送部42を組み合わせた構成と略同一であり、例えばプーリ及びモータによって回転駆動する一対のベルトコンベアを有する。第3搬送部71にて搬送される積層台30に収容される積層体50は、例えば第3搬送部71により搬送されながら検査工程、及びタブ溶接工程を経た後に、ロボットアーム等によって回収される。積層体50が回収された空の積層台30は、上記移動機構を介して第4搬送部72に移動する。
第4搬送部72は、第3搬送部71から空の積層台30を受け取り、第3搬送部71と逆方向に当該積層台30を搬送する。第4搬送部72は、方向αに沿って延在しており、第3搬送部71よりも方向γにおいて下方に位置している。すなわち、第4搬送部72は、方向γにおいて第3搬送部71に重なっている。第4搬送部72は、第3搬送部71の構成と略同一であり、例えばプーリ及びモータによって回転駆動する一対のベルトコンベアを有する。第4搬送部72によって搬送された空の積層台30は、上記移動機構を介して第5搬送部73に移動する。
第5搬送部73は、第4搬送部72から空の積層台30を受け取り、第3搬送部71及び第4搬送部72と異なる方向であって、第1搬送部41及び第2搬送部42と逆方向に当該積層台30を搬送する。第5搬送部73は、方向βに沿って延在しており、第1搬送部41及び第2搬送部42よりも方向γにおいて下方に位置している。すなわち、第5搬送部73は、方向γにおいて第1搬送部41及び第2搬送部42に重なっている。第5搬送部73は、第3搬送部71及び第4搬送部72の構成と略同一であり、例えばプーリ及びモータによって回転駆動する一対のベルトコンベアを有する。第5搬送部73によって搬送された空の積層台30は、上記移動機構を介して第1搬送部41及び第2搬送部42に移動する。
上記変形例における搬送機構40Aを用いた場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。また、上記搬送機構40Aを用いることによって、積層台30を自動的に循環させることができる。これにより、例えば積層台30の搬送及び管理を行う人員等を削減できるので、コスト低減が実現できる。また、第3搬送部71乃至第5搬送部73を第1搬送部41及び第2搬送部42と同一平面、又は第1搬送部41及び第2搬送部42よりも下方に配置することによって、第3搬送部71乃至第5搬送部73に起因して発生する塵等が空の積層台30及び積層体50に付着することを抑制できる。
図13(a)は、昇降機構によって昇降される、変形例に係る積層台の模式断面図である。図13(a)に示されるように、積層台30Bの第1ステップ39aを形成する本体部32及び底部36の一部には、窪み81が形成されている。この窪み81には、第1昇降部62におけるシリンダ部64Aの先端部65Aが嵌り込むように入り込んでいる。なお、図示はしないが、積層台30Bには、上記窪み81に加えて、第1昇降部62におけるシリンダ部64Bの先端部65Bが嵌り込むように入り込む窪みが形成されている。この場合、窪み81及び上記窪みが先端部65A,65Bに対する係合部として機能する。
このような積層台30Bを用いた場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。また、本変形例では、第1昇降部62における先端部65A,65Bと積層台30Bとの当接領域が定まるので、積層体形成領域Rにおける積層台30Bの位置ずれを抑制できる。したがって、当該積層台30Bに積層されるセパレータ付き正極11及び負極9の位置ずれが発生しにくくなる。さらに、第1昇降部62の先端部65A,65Bを支点とし、積層台30Bを安定且つ容易に傾斜できる。
図13(b)は、昇降機構によって昇降される、別の変形例に係る積層台の模式断面図である。図13(a)に示されるように、積層台30Cの底部36には、窪み82が形成されている。この窪み82には、第2昇降部63におけるシリンダ部66Aの先端部67Aが嵌り込むように入り込んでいる。また、図示はしないが、積層台30Cには、上記窪み82に加えて、第2昇降部63におけるシリンダ部66Bの先端部67Bが嵌り込むように入り込む窪みが形成されている。この場合、窪み82及び上記窪みが先端部67A,67Bに対する係合部として機能する。なお、積層台30Cが用いられる場合、第1昇降部62の先端部65A,65Bは第1ステップ39aに入り込まず、底部36に当接する。
このような積層台30Cを用いた場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。また、本変形例では、第2昇降部63における先端部67A,67Bと積層台30Cとの当接領域が定まるので、積層体形成領域Rにおける積層台30Cの位置ずれを抑制できる。したがって、当該積層台30Bに積層されるセパレータ付き正極11及び負極9の位置ずれが発生しにくくなる。さらに、第2昇降部63の先端部67A,67Bを支点とし、積層台30Cを安定且つ容易に傾斜できる。
なお、本発明に係る電極積層装置は、上記実施形態及び上記変形例に限定されない。例えば、上記実施形態及び上記変形例を適宜組み合わせてもよい。例えば、搬送機構40Aを有する電極積層装置は、積層台30B及び積層台30Cの少なくとも一方を有してもよい。
また、上記実施形態及び上記変形例では、積層台において、正極が袋状のセパレータに包まれた状態であるセパレータ付き正極と負極とを交互に積層しているが、これに限られない。例えば、積層台において、負極が袋状のセパレータに包まれた状態であるセパレータ付き負極と、正極とを交互に積層してもよい。このとき、第1電極供給部により正極を搬送し、第2電極供給部によりセパレータ付き負極を搬送する。
また、上記実施形態及び上記変形例では、セパレータ付き正極と負極とのそれぞれは、電極供給機構から直接積層台に供給されているが、これに限られない。例えば、第1電極供給部から送り出されたセパレータ付き正極は、積層台の上方に設けられた壁部に突き当たった後、積層台に落下してもよい。同様に、負極も上記壁部に突き当たった後、積層台に落下してもよい。
また、上記実施形態及び上記変形例では、積層台に積層体が製造されるとき、当該積層台の下流側が上流側よりも下方に位置するように傾斜しているが、これに限られない。例えば、積層台の上流側が下流側よりも下方に位置するように傾斜してもよい。この場合、第2辺が第1辺よりも下流側に位置する。もしくは、積層台の搬送機構における第1搬送部側が第2搬送部側よりも下方に位置するように傾斜してもよい。この場合、第2側壁が第1側壁よりも下流側になるように積層台が配置されると共に、昇降機構における第1昇降部と第2昇降部とが方向αに沿って配置される。したがって、昇降機構において、第1昇降部は、必ずしも第2昇降部よりも下流側に位置しなくてもよい。なお、積層台に積層体が製造されるとき、当該積層台は、必ずしも傾斜しなくてもよい。
また、上記実施形態及び上記変形例では、積層台には第1切欠部及び第2切欠部の両方が設けられているが、これに限られない。例えば、積層台には第1切欠部及び第2切欠部の一方が設けられてもよい。
また、上記実施形態及び上記変形例では、昇降機構は積層台よりも方向γにおいて下方に配置されているが、これに限られない。例えば、昇降機構は積層台よりも方向γにおいて上方に設けられてもよい。この場合、第1昇降部及び第2昇降部の先端部は、例えばロボットアーム等によって構成される。また、第1昇降部及び第2昇降部のそれぞれにはシリンダ部が2つ設けられているが、これに限定されない。例えば、第1昇降部及び第2昇降部のそれぞれには、シリンダ部が1つだけ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。加えて、第1昇降部及び第2昇降部の先端部は、共通する単一の部材であってもよい。例えば、先端部は中心軸を有する円柱形状を有しており、当該中心軸の一端が一方のシリンダ部に軸支されており、当該中心軸の他端が他方のシリンダ部に軸支されてもよい。この場合、上記先端部は、積層台に対してより広い面積で係合できるため、昇降機構によって持ち上げられた積層台の姿勢がより安定する。
また、上記実施形態及び上記変形例では、第1昇降部は搬送される積層台をせき止めるためのストッパとしても機能するが、これに限られない。例えば、搬送機構は、方向βにおいてその下流側にて昇降機構に隣接するストッパを有してもよい。
また、上記実施形態及び上記変形例では、蓄電装置1がリチウムイオン二次電池であるが、本発明は、特にリチウムイオン二次電池には限られず、例えばニッケル水素電池等の他の二次電池、電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタ等の蓄電装置における電極の積層にも適用可能である。また、本発明は、特に電極には限られず、シート状体を順次積層する積層装置であれば、適用可能である。