JP6524841B2 - 極板包装体の製造装置 - Google Patents
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Description
本発明は積層型電池を構成する部品の1つである、袋状のセパレータ内に電池用極板が収容された構造体である極板包装体を製造するために用いられる極板包装体の製造装置に関する。
充電と放電を繰り返して使用することが可能な二次電池の一つに、集電箔(アルミニウム箔または銅箔など)に、正極活物質を塗工することにより形成された正極板(一方の極板)と、集電箔に、負極活物質を塗工することにより形成された負極板(他方の極板)とを、両者の接触による短絡を防ぐためのセパレータを介して積層することにより形成された積層体と、電解液とを、アルミニウム缶やアルミラミネートフィルムなどからなる外装部材に収容した構造を有する積層型電池がある。
そして、このような積層型電池として、正極板および負極板の一方を、一端側が開口した袋状のセパレータに収容した構造を有する積層型電池がある。
ところで、このような正極板あるいは負極板を、袋状のセパレータに収容した極板包装体5は、図1に示すように、第1のセパレータ11と、電池用極板21の上側に配置される第2のセパレータ12の周縁部を互いに接合することにより形成された袋状のセパレータ13の内側に、電池用極板(第1の極板)21を収容することにより形成されている。
なお、第1のセパレータ11および第2のセパレータ12としては、通常、樹脂製の多孔質材が用いられる。第1のセパレータ11および第2のセパレータ12は、同じ材料であってもよい。
なお、第1のセパレータ11および第2のセパレータ12としては、通常、樹脂製の多孔質材が用いられる。第1のセパレータ11および第2のセパレータ12は、同じ材料であってもよい。
また、上述のような極板包装体5を用いた積層型電池7は、例えば、図2に示すように、電池用極板21を内包する極板包装体5と、電池用極板21に対して逆の極性をとる別の電池用極板(以下、第2の極板という)22と、が交互に複数積層された積層体6を、電解液8とともに、アルミニウム缶やアルミラミネートフィルムなどからなる外装部材9に収容することにより形成される。積層体6において、例えば、電池用極板21が正極であれば、第2の極板22は負極となる。
なお、図2には示していないが、紙面奥側には、電池用極板21および第2の極板22の集電タブおよび引き出し端子が形成されている。
そして、上述のような極板包装体5を製造するために用いられる製造装置として、例えば、図7に示すような極板包装体の製造装置101が記載されている(特許文献1)。
図7に示す極板包装体の製造装置101は、搬送ベルト131を有する搬送部130と、第1のセパレータ11を移送するセパレータ移送部150と、電池用極板21を載置する電池用極板載置部155と、第2のセパレータ12を重ねるセパレータ重ね部160と、第1のセパレータ11および第2のセパレータ12を接合するセパレータ接合部165とを備えている。さらに、この極板包装体の製造装置101は、多連状態の極板包装体5aをそれぞれの極板包装体5に個片化する切断部170も示されている。
図7に示す極板包装体の製造装置101は、搬送ベルト131を有する搬送部130と、第1のセパレータ11を移送するセパレータ移送部150と、電池用極板21を載置する電池用極板載置部155と、第2のセパレータ12を重ねるセパレータ重ね部160と、第1のセパレータ11および第2のセパレータ12を接合するセパレータ接合部165とを備えている。さらに、この極板包装体の製造装置101は、多連状態の極板包装体5aをそれぞれの極板包装体5に個片化する切断部170も示されている。
極板包装体の製造装置101では、搬送ベルト131から吸引しつつ、第1のセパレータ11、電池用極板21および第2のセパレータ2の保持搬送が行われる。搬送ベルト131の裏面側には、吸引力の急激な変化を抑制するために、減圧チャンバーが設けられることがある。
しかしながら、セパレータ移送部150からセパレータ接合部165にかけて減圧チャンバーを連通した1つ空間とした場合、吸引力を最も大きな吸引力が必要とされる領域の吸引力にそろえる必要がある。吸引力を大きくしようとすると、搬送ベルト131を駆動するための駆動力を大きくする必要があり、セパレータや電池用極板などを円滑に搬送することが困難になる。
また、搬送ベルト131と減圧チャンバーとの間、または搬送ベルト131と搬送ベルト131を駆動する駆動ローラとの間に加わる力が大きくなり、各部材の摩耗に起因する異物の発生量が増大するおそれがある。この異物が積層型電池7に混入すると、製品の品質劣化につながる。
また、搬送ベルト131と減圧チャンバーとの間、または搬送ベルト131と搬送ベルト131を駆動する駆動ローラとの間に加わる力が大きくなり、各部材の摩耗に起因する異物の発生量が増大するおそれがある。この異物が積層型電池7に混入すると、製品の品質劣化につながる。
本発明は、上記課題を解決するものであり、セパレータや電池用極板などを円滑に搬送することが可能で、かつ、搬送に起因する異物の発生を抑制することが可能な、極板包装体の製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願発明の極板包装体の製造装置は、
第1のセパレータおよび第2のセパレータからなる袋状のセパレータ内に電池用極板が収容された構造を有する極板包装体の製造装置であって、
複数の吸引孔が設けられた環状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトの裏面側において前記搬送ベルトの移動方向に沿って複数配置された減圧チャンバーと、を有する搬送部と、
前記電池用極板が載置される前の領域において、前記搬送ベルトの表面側に載置された前記第1のセパレータを移送するセパレータ移送部と、
前記第1のセパレータ上に前記電池用極板を載置する電池用極板載置部と、
前記電池用極板を覆うように前記第1のセパレータ上に前記第2のセパレータを重ねるセパレータ重ね部と、
前記電池用極板の周囲において前記第1のセパレータと前記第2のセパレータとを互いに接合することにより、前記第1のセパレータおよび前記第2のセパレータからなる袋状のセパレータ内に前記電池用極板が収容された前記極板包装体を形成するセパレータ接合部と
を備え、
複数の前記減圧チャンバーのうち、所定の減圧チャンバーについては圧力を設定することができるように構成されていること
を特徴としている。
ここで、圧力を設定することができるように構成されている所定の減圧チャンバーは、複数の減圧チャンバーのうちのすべての減圧チャンバーであってもよく、また、複数の減圧チャンバーのうちの一部の減圧チャンバーであってもよい。
第1のセパレータおよび第2のセパレータからなる袋状のセパレータ内に電池用極板が収容された構造を有する極板包装体の製造装置であって、
複数の吸引孔が設けられた環状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトの裏面側において前記搬送ベルトの移動方向に沿って複数配置された減圧チャンバーと、を有する搬送部と、
前記電池用極板が載置される前の領域において、前記搬送ベルトの表面側に載置された前記第1のセパレータを移送するセパレータ移送部と、
前記第1のセパレータ上に前記電池用極板を載置する電池用極板載置部と、
前記電池用極板を覆うように前記第1のセパレータ上に前記第2のセパレータを重ねるセパレータ重ね部と、
前記電池用極板の周囲において前記第1のセパレータと前記第2のセパレータとを互いに接合することにより、前記第1のセパレータおよび前記第2のセパレータからなる袋状のセパレータ内に前記電池用極板が収容された前記極板包装体を形成するセパレータ接合部と
を備え、
複数の前記減圧チャンバーのうち、所定の減圧チャンバーについては圧力を設定することができるように構成されていること
を特徴としている。
ここで、圧力を設定することができるように構成されている所定の減圧チャンバーは、複数の減圧チャンバーのうちのすべての減圧チャンバーであってもよく、また、複数の減圧チャンバーのうちの一部の減圧チャンバーであってもよい。
本発明の極板包装体の製造装置において、前記減圧チャンバーは、少なくとも前記セパレータ移送部、前記電池用極板載置部、前記セパレータ重ね部および前記セパレータ接合部に対応する位置にそれぞれ設けられ、
前記電池用極板載置部、前記セパレータ重ね部および前記セパレータ接合部に対応する位置にそれぞれ設けられた前記減圧チャンバーは、前記セパレータ移送部に対応する位置に設けられた前記減圧チャンバーよりも低い圧力となるように減圧されることが好ましい。
前記電池用極板載置部、前記セパレータ重ね部および前記セパレータ接合部に対応する位置にそれぞれ設けられた前記減圧チャンバーは、前記セパレータ移送部に対応する位置に設けられた前記減圧チャンバーよりも低い圧力となるように減圧されることが好ましい。
セパレータ移送部では第1のセパレータのみを吸引するので、他の領域よりも吸引力を小さくすることができる。これにより、搬送ベルトを駆動するための駆動力を必要最小限とすることができ、また、搬送に起因する異物の発生をさらに抑制することができる。
また、前記搬送ベルトが磁性を有する金属材料を用いて形成されている場合、
前記搬送部は金属材料粉を回収するための金属粉回収マグネットを有し、前記金属粉回収マグネットは、前記搬送ベルトの表面側または裏面側において前記搬送ベルトと接しないように、所定の隙間をあけて配置されていることが好ましい。
前記搬送部は金属材料粉を回収するための金属粉回収マグネットを有し、前記金属粉回収マグネットは、前記搬送ベルトの表面側または裏面側において前記搬送ベルトと接しないように、所定の隙間をあけて配置されていることが好ましい。
上記構成とすることにより、磁性を有する金属材料を用いて形成された搬送ベルトを作動させた場合に、搬送ベルトと搬送ベルトの駆動ローラの擦れにより生じる金属材料粉が、金属粉回収マグネットにより回収されるので、極板包装体への金属材料粉の付着および積層型電池への金属材料粉の混入を抑制することができる。
また、前記搬送部は、前記搬送ベルトの表面側または裏面側において前記搬送ベルトに接しながら前記搬送ベルトを案内する樹脂製のガイド部を有し、前記金属粉回収マグネットは、前記ガイド部に配設されていることが好ましい。
搬送ベルトに接するように樹脂製のガイド部を配置することにより、搬送ベルトがガイド部に沿って移動することになり、搬送中の搬送ベルトのばたつきを抑制することができる。これにより、精度の高いセパレータの移送、電池用極板の載置、セパレータの重ね合わせおよび接合を実現することができる。また、搬送ベルトの搬送が安定化することにより、搬送に起因する異物の発生を抑制することができる。
また、前記減圧チャンバーは、前記搬送ベルトを支持する、平面部を備えたベルト支持部を有し、前記ベルト支持部は、前記搬送ベルトの複数の前記吸引孔と連通する連通孔を備えていることが好ましい。
減圧チャンバーが、平面部および連通孔を備えたベルト支持部を有することにより、搬送中の搬送ベルトからの吸引力を確保するとともに、搬送ベルトの平面度を所定範囲内に保つことができる。これにより、精度の高いセパレータの移送、電池用極板の載置、セパレータの重ね合わせおよび接合を実現することができる。
また、前記減圧チャンバーの内部には、前記搬送ベルトを支持する支持ローラが設けられていることが好ましい。
減圧チャンバーの内部に、支持ローラを設けることにより、搬送ベルトの動きを滑らかにして、搬送に起因する異物の発生を抑制することができる。
本願発明の極板包装体の製造装置は、所定の減圧チャンバーについて適切な圧力を設定することができるので、吸引力が必要以上に大きくなることがない。そのため、搬送ベルトを駆動するための駆動力を小さくすることができ、円滑な搬送を実現できる。また、搬送ベルトと減圧チャンバーとの間、または搬送ベルトとスプロケットローラとの間に生じる摩耗などの搬送を起因とする異物が発生することも抑制できる。
また、減圧チャンバーごとに適切な圧力を設定することが可能で、吸引力が必要以上に大きくなることを回避できるので、例えば、搬送ベルトと減圧チャンバーとの間、または搬送ベルトとスプロケットローラとの間の摩耗などに起因する異物が発生することも抑制することが可能になる。
また、減圧チャンバーごとに適切な圧力を設定することが可能で、吸引力が必要以上に大きくなることを回避できるので、例えば、搬送ベルトと減圧チャンバーとの間、または搬送ベルトとスプロケットローラとの間の摩耗などに起因する異物が発生することも抑制することが可能になる。
本発明の実施形態にかかる極板包装体の製造装置1は、積層型電池7を構成する部品の1つである極板包装体5を製造するための製造装置である。極板包装体5とは、図1に示すように、一対のセパレータ11、12からなる袋状のセパレータ13内に電池用極板(第1の極板)21が収容された状態の構造体である。
図3を参照しつつ、この極板包装体の製造装置1について説明する。極板包装体の製造装置1は、吸引孔付きの搬送ベルト31および減圧チャンバー35(35a、35b、35c、35d)を有する搬送部30と、第1のセパレータ11を移送するセパレータ移送部50と、電池用極板21を載置する電池用極板載置部55と、第2のセパレータ12を重ねるセパレータ重ね部60と、第1のセパレータ11および第2のセパレータ12を接合するセパレータ接合部65と、を備えている。なお、図3では、多連状態の極板包装体5aをそれぞれの極板包装体5に個片化する切断部70も示している。
この実施形態では、第1のセパレータ11が搬送部30により移送される方向を搬送方向X、移送中である第1のセパレータ11の主面に対して垂直な方向を上下方向Z、搬送方向Xおよび上下方向Zに直交する方向を幅方向Yとして説明する。
搬送部30は、複数の吸引孔32が設けられた環状の搬送ベルト31と、搬送ベルト31の裏面31b側に複数配置された減圧チャンバー35(35a、35b、35c、35d)とを有している。
搬送ベルト31は、第1のセパレータ11、電池用極板21および第2のセパレータ12を順に重ねながら搬送するためのものである。その際、第1のセパレータ11、電池用極板21および第2のセパレータ12は、吸引孔32を介して真空吸引され、搬送ベルト31の表面31a側に吸引保持されながら搬送される。この実施形態では、セパレータ接合部65において一時的に搬送を停止させることができるように、搬送ベルト31は所定のピッチで間欠的に駆動されるように構成されている。
搬送ベルト31の吸引孔32は、搬送ベルト31の表面31aから裏面31bに向けて貫通しており、搬送ベルト31の表面31a側から見て行列状に多数形成されている。搬送ベルト31の材料としては、金属材料、ウレタン等の樹脂材料などが例として挙げられるが、耐久性を考慮した場合、構成材料として、ステンレスなどの金属材料(磁性を有する金属材料)から形成されたものを用いることが好ましい。
搬送ベルト31の幅方向Yの両端には、送り用孔(図示省略)が搬送方向Xに沿って、等しい間隔で設けられている。搬送ベルト31の搬送方向Xの両端には、搬送ベルト31を循環駆動するためのスプロケットローラ33が配置されている。スプロケットローラ33の外周には突起(図示省略)が設けられている。この突起が、搬送ベルト31の送り用孔にかみ合いながら回転方向へ動くことにより、搬送ベルト31が循環駆動させられる。
減圧チャンバー35(35a、35b、35c、35d)は、搬送ベルト31の裏面31b側において、搬送ベルト31の移動方向(搬送方向X)に沿って複数配置されている。具体的には、減圧チャンバー35a、35b、35c、35dが、セパレータ移送部50、電池用極板載置部55、セパレータ重ね部60およびセパレータ接合部65に対応する位置にそれぞれ配置されている。
各減圧チャンバー35は、セパレータ移送部50、電池用極板載置部55、セパレータ重ね部60およびセパレータ接合部65の各部において、被搬送物である第1のセパレータ、第2のセパレータ、電池用極板(第1の極板)などを、真空吸引により搬送ベルト上に安定的に保持するとともに、搬送ベルト31自体を吸引してそのばたつきを抑え、安定した搬送を可能にする機能を果たす。
なお、減圧チャンバー35は、所定の空間を有することにより吸引力の急激な変化を抑制することができるように構成されている。
なお、減圧チャンバー35は、所定の空間を有することにより吸引力の急激な変化を抑制することができるように構成されている。
減圧チャンバー35a、35b、35c、35dと真空源(図示省略)の間には、真空レギュレータ36a、36b、36c、36dがそれぞれ設けられている。これにより、減圧チャンバー35内の圧力をそれぞれ設定することができるように構成されている。なお、真空レギュレータ36を用いる代わりに、真空ポンプなどを用いてもよい。
電池用極板載置部55、セパレータ重ね部60およびセパレータ接合部65に対応する減圧チャンバー35b、35c、35dは、セパレータ移送部50に対応する減圧チャンバー35aよりも低い圧力にまで減圧されるように構成されている。
すなわち、セパレータ移送部50における吸引力が、他の領域(電池用極板載置部55、セパレータ重ね部60、セパレータ接合部65)の吸引力よりも小さくなるように設定されている。
すなわち、セパレータ移送部50における吸引力が、他の領域(電池用極板載置部55、セパレータ重ね部60、セパレータ接合部65)の吸引力よりも小さくなるように設定されている。
具体的には、
第1のセパレータ11が供給される領域であるセパレータ移送部50に対応する減圧チャンバー35aの真空圧が401〜500mmHg、
電池用極板載置部55に対応する減圧チャンバーに対応する減圧チャンバー35bの真空圧が200〜300mmHg、
第2のセパレータ12が重ねられるセパレータ重ね部60に対応する減圧チャンバー35cの真空圧が200〜300mmHg、
セパレータ接合部65に対応する減圧チャンバー35dの真空圧が301〜400mmHg
となるように構成されている。
第1のセパレータ11が供給される領域であるセパレータ移送部50に対応する減圧チャンバー35aの真空圧が401〜500mmHg、
電池用極板載置部55に対応する減圧チャンバーに対応する減圧チャンバー35bの真空圧が200〜300mmHg、
第2のセパレータ12が重ねられるセパレータ重ね部60に対応する減圧チャンバー35cの真空圧が200〜300mmHg、
セパレータ接合部65に対応する減圧チャンバー35dの真空圧が301〜400mmHg
となるように構成されている。
なお、第1のセパレータ11が供給される領域であるセパレータ移送部50に対応する減圧チャンバー35aでは、大きな吸引力を加えなくても、第1のセパレータ11を搬送ベルト31上の所定の位置に保持しつつ搬送することができるため、上述のような真空度で、確実な搬送を行うことができる。
また、電池用極板載置部55に対応する減圧チャンバーに対応する減圧チャンバー35bは、第1のセパレータ11と、電池用極板(第1の極板)21とを、搬送ベルト31上の所定の位置に保持しつつ、両者の位置関係を保って搬送する必要があるため、上述の減圧チャンバー35aよりも大きな力で吸引することが必要になる。
さらに、第2のセパレータ12が重ねられるセパレータ重ね部60に対応する減圧チャンバー35cでは、第1のセパレータ11、電池用極板(第1の極板)21、第2のセパレータ12を、搬送ベルト31上の所定の位置に保持しつつ、各部材の位置関係を保って搬送することが必要になるため、上述の減圧チャンバー35bと同等の大きな力で吸引することが必要になる。
また、セパレータ接合部65に対応する減圧チャンバー35dでは、接合が行われるため、各部材の位置関係が確実に保たれる必要がある一方、次工程に移行する直前の領域であることから、上述の減圧チャンバー35b,35cよりは小さい力で吸引することが望ましい。そこで、この実施形態では上述のような真空圧まで吸引することにしている。
また、この実施形態の減圧チャンバー35は、搬送ベルト31を支持するベルト支持部37を有している。ベルト支持部37は、搬送ベルト31の裏面31bに接する平面部37aと、搬送ベルト31の複数の吸引孔32に連通する連通孔38を備えている。
ベルト支持部37の平面部37aは、研削加工などにより所定の平面度となるように形成されるとともに、上下方向Zから見て、行列状に形成された複数の吸引孔32を避けるように形成されている。また、連通孔38は、複数の吸引孔32の列ごとに対応するように、複数溝に分けられて形成されている。
この実施形態にかかる極板包装体の製造装置1を構成するセパレータ移送部50では、電池用極板21が載置される前の領域において、搬送ベルト31の表面31a側に載置された第1のセパレータ11が移送される。第1のセパレータ11は、セパレータロール51から帯状体として繰り出された後、押圧ローラ52により搬送ベルト31上に載置される。第1のセパレータ11は、搬送ベルト31からの吸引力により、搬送ベルト31上に保持される。なお、第1のセパレータ11の形状は、帯状体に限られず、予め矩形状にカットされたものであってもよい。
電池用極板載置部55では、吸着ヘッド56により吸着された電池用極板21が、第1のセパレータ11上に所定のピッチで載置される。この所定のピッチは、搬送ベルト31が間欠駆動される際のピッチと同じである。第1のセパレータ11は多孔質材であるので、電池用極板21は第1のセパレータ11を介して搬送ベルト31に吸引保持される。なお、電池用極板21の形状は矩形状であり、電池用極板21の幅方向Yの寸法は、第1のセパレータ11の幅方向Yの寸法より小さい。
セパレータ重ね部60では、載置された電池用極板21を覆うように第1のセパレータ11上に第2のセパレータ12が重ねられる。第2のセパレータ12は、セパレータロール61から帯状体として繰り出された後、押圧ローラ62により第1のセパレータ11および電池用極板21上に載置される。第2のセパレータ12も、第1のセパレータ11を介した搬送ベルト31からの吸引力により、搬送ベルト31上に保持される。なお、第2のセパレータ12の形状も帯状体に限られず、予め矩形状にカットされたものであってもよい。
第1のセパレータ11および第2のセパレータ12の幅方向Yの寸法は電池用極板21の幅方向Yの寸法よりも大きいので、第1のセパレータ11および第2のセパレータ12の、電池用極板21の4辺の外側領域に位置する部分は、吸引により搬送ベルト31の表面に吸着され、第1のセパレータ11と第2のセパレータ12の間に挟まれた状態で確実に保持された状態となる。
第1のセパレータ11および第2のセパレータ12の幅方向Yの寸法は電池用極板21の幅方向Yの寸法よりも大きいので、第1のセパレータ11および第2のセパレータ12の、電池用極板21の4辺の外側領域に位置する部分は、吸引により搬送ベルト31の表面に吸着され、第1のセパレータ11と第2のセパレータ12の間に挟まれた状態で確実に保持された状態となる。
セパレータ接合部65では、電池用極板21の外周の周囲において、第1のセパレータ11と第2のセパレータ12とが互いに接合される。具体的には、複数のヒータチップを有する圧着ヘッド66を押し付けることにより、重ねられたセパレータどうしの複数箇所を熱圧着する。
これにより、第1のセパレータ11と第2のセパレータ12からなる袋状のセパレータ13内に電池用極板21が収容された状態の極板包装体5aが形成される。なお、帯状体のセパレータを用いた場合、この時点では、極板包装体5aはまだ多連状態である。
このような多連状態にする場合、電池用極板21間のピッチを十分に取ることで、第1のセパレータと第2セパレータとの熱圧着部分の周囲に十分な余白部分をとることができる。これにより熱圧着時に余白部分に熱を逃がすことができ、熱圧着部分に蓄熱されて発生するしわや凹凸を抑制することができる。
これにより、第1のセパレータ11と第2のセパレータ12からなる袋状のセパレータ13内に電池用極板21が収容された状態の極板包装体5aが形成される。なお、帯状体のセパレータを用いた場合、この時点では、極板包装体5aはまだ多連状態である。
このような多連状態にする場合、電池用極板21間のピッチを十分に取ることで、第1のセパレータと第2セパレータとの熱圧着部分の周囲に十分な余白部分をとることができる。これにより熱圧着時に余白部分に熱を逃がすことができ、熱圧着部分に蓄熱されて発生するしわや凹凸を抑制することができる。
図3に示す極板包装体の製造装置1では、セパレータ接合部65の下流側(搬送方向X)に切断部70を備えている。多連状態の極板包装体5aは、吸着ヘッド72により保持され、さらに下流側へ搬送される。その後、切断刃71を隣り合う電池用極板21の間に降下させることにより、重ねられた第1セパレータ11および第2のセパレータ12を切断する。これにより、多連状態の極板包装体5aが分割され、個片化した極板包装体5が形成される。
この吸着ヘッド72による搬送時、極板包装体5aを搬送ベルト31の表面から所定距離(例えば、1mm)上昇させた状態で、搬送ベルト31の間欠駆動と同期させて吸着ヘッド72を移動させることが好ましい。これにより、第1セパレータおよび第2セパレータにしわや弛みを発生させることなく、搬送ベルト31から極板包装体5aを剥離することができる。そして、この状態で第1セパレータおよび第2セパレータを切断することで寸法精度の良好な(例えば±0.2mm以下の精度の)、個片化した極板包装体5を得ることができる。
なお、セパレータ移送部50およびセパレータ重ね部60において、矩形状のセパレータを用いた場合、この切断部70は設けなくてもよい。
この吸着ヘッド72による搬送時、極板包装体5aを搬送ベルト31の表面から所定距離(例えば、1mm)上昇させた状態で、搬送ベルト31の間欠駆動と同期させて吸着ヘッド72を移動させることが好ましい。これにより、第1セパレータおよび第2セパレータにしわや弛みを発生させることなく、搬送ベルト31から極板包装体5aを剥離することができる。そして、この状態で第1セパレータおよび第2セパレータを切断することで寸法精度の良好な(例えば±0.2mm以下の精度の)、個片化した極板包装体5を得ることができる。
なお、セパレータ移送部50およびセパレータ重ね部60において、矩形状のセパレータを用いた場合、この切断部70は設けなくてもよい。
図4は、極板包装体5および第2の極板22を積層するための積層装置2を説明するための図である。個片化された極板包装体5は、前述した吸着ヘッド72によりさらに下流側の積層ステージ81に搬送される。一方、予め矩形状にカットされた第2の極板22が、別の吸着ヘッド82により積層ステージ81に搬送される。この積層ステージ81上において、極板包装体5および第2の極板22が交互に積み重ねられることにより積層体6が形成される。なお、必要に応じて最上層または最下層に別の矩形状のセパレータを配置してもよい。
このようにして形成された積層体6を外装部材9に収容し、電解液8を注入した後、外装部材9を封止することにより、図2に示すような積層型電池7が作製される。
この実施形態では、減圧チャンバー35を複数設け、それぞれの圧力を設定することができるように構成しているので、減圧チャンバー35ごとに適切な圧力を設定することができ、吸引力が必要以上に大きくなることを回避することができる。そのため、搬送ベルト31を駆動するための駆動力を小さくすることが可能で、円滑な搬送を実現できる。また、搬送ベルト31と減圧チャンバー35との間、または搬送ベルト31とスプロケットローラ33との間に生じる摩耗などの搬送に起因する異物の発生を抑制することができる。
また、電池用極板載置部55、セパレータ重ね部60およびセパレータ接合部65における減圧チャンバーを、セパレータ移送部50における減圧チャンバーよりも低い圧力となるように(吸引力が大きくなるように)減圧している。セパレータ移送部50では第1のセパレータ11のみを吸引するので、他の領域よりも吸引力を小さくしても、第1のセパレータ11を安定して吸着保持することができる。これにより、搬送ベルト31を駆動するための駆動力を必要最小限とすることが可能になり、また、搬送に起因する異物の発生をさらに抑制することができる。
また、減圧チャンバー35が、上記に示す平面部37aおよび連通孔38を含むベルト支持部37を有していることから、搬送中の搬送ベルト31からの吸引力を確保するとともに、搬送ベルト31の直進性を所定範囲内に保つことができる。これにより、さらに精度の高い、セパレータの移送、電池用極板の載置、セパレータの重ね合わせおよび接合を実現することができる。
図6(a)、(b)に示した減圧チャンバー35Hは、図5(a)、(b)にて示した減圧チャンバー35の変形例にかかる減圧チャンバー35Hを示す図である。減圧チャンバー35Hの内部には、搬送ベルト31を支持する複数の支持ローラ39が設けられている。支持ローラ39は、搬送ベルト31の動きにともなって従動回転する。
支持ローラ39は、複数の段が付いた形状をしており、幅方向Yを軸として複数並んで配置されている。支持ローラ39の段の凸となった部分は、上下方向Zから見て吸引孔32に重ならないように配置され、搬送ベルト31の裏面31bに接している。一方、支持ローラ39の外周から凹んだ部分は、上下方向Zから見て吸引孔32に重なるように配置され、搬送ベルト31の裏面31bに接していない。これにより、減圧チャンバー35H内での吸引孔32への通路を確保している。
減圧チャンバー35Hの内部に、支持ローラ39を設けることにより、搬送中の搬送ベルト31の吸引力を確保するとともに、搬送ベルト31の動きを滑らかにすることができる。これにより、搬送を起因とする異物の発生を抑制できる。
また、図3に示すように、搬送部30は、搬送ベルト31の表面31a側または裏面31b側において搬送ベルト31に接しながら搬送ベルト31を案内する樹脂製のガイド部42を有している。
搬送ベルト31に接するように樹脂製のガイド部42を配置することにより、搬送ベルト31がガイド部材42に沿って移動することになり、搬送中の搬送ベルト31のばたつきを抑制することができる。これにより、精度の高いセパレータの移送、電池用極板の載置、セパレータの重ね合わせおよび接合を実現することができる。また、搬送ベルト31の搬送が安定化することにより、搬送を起因とする異物の発生を抑制できる。なお、ガイド部42は樹脂製なので金属材料粉を発生するおそれがない。
さらに、図3に示すように、ガイド部42には、金属材料粉を回収するための金属粉回収マグネット41が配設されている。金属粉回収マグネット41は、搬送ベルト31の表面31a側または裏面31b側において搬送ベルト31に対して接しないように隙間をあけて配置されている。
搬送ベルト31を動かした際に、搬送ベルト31およびスプロケットローラ33の擦れにより金属材料粉が発生することもあるが、金属粉回収マグネット41により金属材料粉を回収できるので、極板包装体5への金属材料粉の付着および積層型電池7への金属材料粉の混入を抑制することができる。
本発明はさらにその他の点においても上記の各実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
1 極板包装体の製造装置
2 積層装置
5、5a 極板包装体
6 積層体
7 積層型電池
8 電解液
9 外装部材
11 第1のセパレータ
12 第2のセパレータ
13 袋状のセパレータ
21 電池用極板(第1の極板)
22 第2の極板
30 搬送部
31 搬送ベルト
31a 搬送ベルトの表面
31b 搬送ベルトの裏面
32 吸引孔
35、35a、35b、35c、35d 減圧チャンバー
36、36a、36b、36c、36d 真空レギュレータ
37 ベルト支持部
38 連通孔
39 支持ローラ
41 金属粉回収マグネット
42 樹脂製のガイド部
50 セパレータ移送部
55 電池用極板載置部
60 セパレータ重ね部
65 セパレータ接合部
70 切断部
71 切断刃
72、82 吸着ヘッド
81 積層ステージ
2 積層装置
5、5a 極板包装体
6 積層体
7 積層型電池
8 電解液
9 外装部材
11 第1のセパレータ
12 第2のセパレータ
13 袋状のセパレータ
21 電池用極板(第1の極板)
22 第2の極板
30 搬送部
31 搬送ベルト
31a 搬送ベルトの表面
31b 搬送ベルトの裏面
32 吸引孔
35、35a、35b、35c、35d 減圧チャンバー
36、36a、36b、36c、36d 真空レギュレータ
37 ベルト支持部
38 連通孔
39 支持ローラ
41 金属粉回収マグネット
42 樹脂製のガイド部
50 セパレータ移送部
55 電池用極板載置部
60 セパレータ重ね部
65 セパレータ接合部
70 切断部
71 切断刃
72、82 吸着ヘッド
81 積層ステージ
Claims (6)
- 第1のセパレータおよび第2のセパレータからなる袋状のセパレータ内に電池用極板が収容された構造を有する極板包装体の製造装置であって、
複数の吸引孔が設けられた環状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトの裏面側において前記搬送ベルトの移動方向に沿って複数配置された減圧チャンバーと、を有する搬送部と、
前記電池用極板が載置される前の領域において、前記搬送ベルトの表面側に載置された前記第1のセパレータを移送するセパレータ移送部と、
前記第1のセパレータ上に前記電池用極板を載置する電池用極板載置部と、
前記電池用極板を覆うように前記第1のセパレータ上に前記第2のセパレータを重ねるセパレータ重ね部と、
前記電池用極板の周囲において前記第1のセパレータと前記第2のセパレータとを互いに接合することにより、前記第1のセパレータおよび前記第2のセパレータからなる袋状のセパレータ内に前記電池用極板が収容された前記極板包装体を形成するセパレータ接合部と
を備え、
複数の前記減圧チャンバーのうち、所定の減圧チャンバーについては圧力を設定することができるように構成されていること
を特徴とする極板包装体の製造装置。 - 前記減圧チャンバーは、少なくとも前記セパレータ移送部、前記電池用極板載置部、前記セパレータ重ね部および前記セパレータ接合部に対応する位置にそれぞれ設けられ、
前記電池用極板載置部、前記セパレータ重ね部および前記セパレータ接合部に対応する位置にそれぞれ設けられた前記減圧チャンバーは、前記セパレータ移送部に対応する位置に設けられた前記減圧チャンバーよりも低い圧力となるように減圧されること
を特徴とする請求項1に記載の極板包装体の製造装置。 - 前記搬送ベルトは磁性を有する金属材料を用いて形成されており、
前記搬送部は金属材料粉を回収するための金属粉回収マグネットを有し、
前記金属粉回収マグネットは、前記搬送ベルトの表面側または裏面側において前記搬送ベルトと接しないように、所定の隙間をあけて配置されていること
を特徴とする請求項1または2に記載の極板包装体の製造装置。 - 前記搬送部は、前記搬送ベルトの表面側または裏面側において前記搬送ベルトに接しながら前記搬送ベルトを案内する樹脂製のガイド部を有し、
前記金属粉回収マグネットは、前記ガイド部に配設されていること
を特徴とする請求項3に記載の極板包装体の製造装置。 - 前記減圧チャンバーは、前記搬送ベルトを支持する、平面部を備えたベルト支持部を有し、
前記ベルト支持部は、前記搬送ベルトの複数の前記吸引孔と連通する連通孔を備えていること
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の極板包装体の製造装置。 - 前記減圧チャンバーの内部には、前記搬送ベルトを支持する支持ローラが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の極板包装体の製造装置。
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