(実施形態1)
(1.1)全体概要
本実施形態に係る電流センサ30は、図2に示すように、分電盤1のキャビネット70に取り付けて使用される。分電盤1には、平板状の導電部材84が設けられている。導電部材84は、複数個の分岐ブレーカ20を電気的に接続するための部材である。電流センサ30は、複数個の分岐ブレーカ20と同様にキャビネット70に取り付けられることにより、導電部材84を流れる電流を非接触で検出する。電流センサ30は、検出コイル60(図1A参照)を有しており、検出コイル60の出力(電気信号)を用いて、導電部材84を流れる電流が測定可能になる。本実施形態では、3本の導電部材84A,84B,84C(図1A参照)が分電盤1に設けられている場合について説明する。3本の導電部材84A,84B,84Cを特に区別しない場合には、3本の導電部材84A,84B,84Cの各々を「導電部材84」という。
本実施形態に係る電流センサ30は、図1A及び図1Bに示すように、ボディ40と、コア50と、検出コイル60とを備えている。ボディ40は、分電盤1(図2参照)のキャビネット70(図2参照)に取り付けられる。分電盤1には、平板状の第1導電部材及び第2導電部材が上記第1導電部材の厚み方向である第1方向に並べて設けられている。図1A及び図1Bの例では、3本の導電部材84A,84B,84Cのうち、導電部材84Aが「第1導電部材」、導電部材84Cが「第2導電部材」である。コア50は、ボディ40に保持され、導電部材84A(第1導電部材)を囲む閉磁路を形成する。検出コイル60は、コア50に巻き付けられ、導電部材84Aを流れる電流に応じた電気信号を出力する。
ボディ40は、第1ボディ41と、第2ボディ42とを有している。コア50は、第1ボディ41に保持される第1コア51と、第2ボディ42に保持される第2コア52とを有している。コア50は、上記第1方向と直交する第2方向において第1コア51の端部511と第2コア52の端部521とを互いに突き合わせることにより、第1コア51と第2コア52との間に貫通空間500を形成する。貫通空間500は、導電部材84A及び導電部材84C(第2導電部材)のうち導電部材84Aのみが貫通する空間である。
第1コア51は、第1脚片513と、第2脚片514とを有する。第1脚片513は、上記第1方向において貫通空間500に対して導電部材84Cとは反対側に位置する。第2脚片514は、上記第1方向において貫通空間500に対して導電部材84C側に位置する。検出コイル60は、第1脚片513に巻き付けられる第1コイル61と、第2脚片514に巻き付けられる第2コイル62とを有している。第1コイル61と第2コイル62とは電気的に直列に接続されている。第1コイル61の巻数は、第2コイル62の巻数に比べて多い。
上述したような電流センサ30の各部の構成及び機能は、ボディ40がキャビネット70に取り付けられた状態、つまり、第1ボディ41及び第2ボディ42の両方がキャビネット70に取り付けられた状態での、構成及び機能である。また、ここでいう「突き合わせる」とは、互いにくっつきそうになるほど近づけることを意味しており、互いに接触している状態だけでなく接触していない状態も含む。例えば端部511と端部521とが突き合わされるという場合には、互いに露出した端部511と端部521とが対向している状態を意味し、端部511と端部521との間にボディ40などの異物が介在しない状態を意味する。
要するに、本実施形態に係る電流センサ30は、コア50が第1コア51と第2コア52とに分割されており、第1コア51と第2コア52との間に導電部材84が貫通する貫通空間500を形成する。そのため、第1コア51と第2コア52との間に導電部材84を挟むようにボディ40がキャビネット70に取り付けられることにより、検出コイル60の出力(電気信号)を用いて、導電部材84A(第1導電部材)を流れる電流が測定可能になる。したがって、この電流センサ30では、導電部材84Aに流れる電流を測定するために、電流測定対象となる導電部材84Aを電流センサ30に対し電気的に接続する作業が必要ない。よって、電流センサ30は、取付作業が簡単である、という利点がある。
さらに、第1コイル61が巻き付けられる第1脚片513は、貫通空間500に対して導電部材84C(第2導電部材)とは反対側に位置し、第2コイル62が巻き付けられる第2脚片514は、貫通空間500に対して導電部材84C側に位置する。そのため、導電部材84Cを流れる電流によって生じる磁束は、第1コイル61よりも第2コイル62を多く通過する。ここで、第1コイル61の巻数は第2コイル62の巻数に比べて多く設定されている。すなわち、上記磁束が多く通過する第2コイル62の巻数は、第1コイル61の巻数よりも少ないため、第2コイル62の巻数が第1コイル61の巻数と同数である場合に比べて、上記磁束が検出コイル60の出力に与える影響は小さく抑えられる。したがって、電流センサ30では、電流測定対象ではない導電部材84Cを流れる電流によって生じる磁束に起因した、電流センサ30での電流の測定精度の低下を抑えることができる。
(1.2)詳細説明
以下、本実施形態に係る電流センサ30、及びそれを備えた分電盤1について詳しく説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態では、電流センサ30は、需要家施設において消費電力と消費電力量との少なくとも一方を計測するための電力計測システムに用いられる。ここでいう「需要家施設」は、電力の需要家の施設を意味しており、電力会社等の電気事業者から電力の供給を受ける施設だけでなく、太陽光発電設備等の自家発電設備から電力の供給を受ける施設も含む。本実施形態では、店舗や事務所などの非住宅施設を需要家施設の一例として説明する。ただし、この例に限らず、需要家施設は集合住宅や戸建住宅、集合住宅の各住戸などであってもよい。
(1.2.1)分電盤
ここではまず、本実施形態の電流センサ30を備えた分電盤1の基本構成について、図2を参照して説明する。本実施形態では、交流100〔V〕/200〔V〕を取り出し可能な単相三線式配線の分電盤1を例に説明する。
分電盤1は、キャビネット70を備え、主幹ブレーカ10と、複数個(図2の例では18個)の分岐ブレーカ(回路遮断器)20と、少なくとも1個(図2の例では3個)の電流センサ30とを、キャビネット70内に備えている。以下では、分電盤1が設置された状態における上下、左右(図1A、図1B、及び図2等に矢印で示した上下、左右、前後)を上下、左右、前後として説明する。この場合において、前後方向を、導電部材84の厚み方向である「第1方向」と規定する。また、左右方向を、第1方向に直交する「第2方向」と規定する。ただし、これらの方向に分電盤1及び電流センサ30の取付方向を限定する趣旨ではない。図1A、図1B、及び図2等において、上下、左右、前後を付した矢印は、方向を示すための矢印であって実体は伴わない。
キャビネット70は、前面に開口71を有する箱状に形成されている。キャビネット70は、正面視が上下方向に長い矩形状に形成されている。キャビネット70の底板72には、左右方向に対向する一対のレール部材73が設置されている。一対のレール部材73には、第1取付板74及び第2取付板75が固定されている。第1取付板74及び第2取付板75の各々は、一対のレール部材73間に架け渡されるように設置されている。第1取付板74は第2取付板75の上方に配置されている。第2取付板75の前面には、合成樹脂製の取付ベース76が固定されている。
主幹ブレーカ10は、キャビネット70の一部である第1取付板74の前面に取り付けられることで、キャビネット70に取り付けられる。複数個の分岐ブレーカ20は、キャビネット70の一部である取付ベース76に取り付けられることで、キャビネット70に取り付けられる。キャビネット70は、開口71を塞ぐ扉を有していてもよい。
主幹ブレーカ10の一次側端子11は、3線式の電力線(幹線)81を介して、交流電源200(図3参照)に電気的に接続されている。主幹ブレーカ10の二次側端子12には、L1相、L2相、N相の3本の母線導体82(図3参照)が電気的に接続されている。これら3本の母線導体82は、L1相、L2相、N相の電力線81と一対一に電気的に接続される。3本の母線導体82の各々は、主幹ブレーカ10に直接接続される連結部材(ジョイントバー)83と、連結部材83を介して主幹ブレーカ10に接続される導電部材(導電バー)84(図4参照)とで構成されている。
3本の導電部材84A,84B,84Cの各々は、例えば銅などの導電性材料にて長尺の平板状(帯状)に形成されている。ここで、3本の導電部材84A,84B,84CはそれぞれL1相、L2相、N相に相当し、導電部材84AがL1相、導電部材84BがL2相、導電部材84CがN相である。3本の導電部材84A,84B,84Cは、各々の長手方向を上下方向と一致させ、かつ各々の厚み方向を前後方向(第1方向)に一致させる向きで、取付ベース76に保持されている。3本の導電部材84A,84B,84Cは、取付ベース76の前方において、前後方向(各々の厚み方向)に適当な間隔を空けて並ぶように、取付ベース76の左右方向の中央部に取り付けられている。本実施形態では、3本の導電部材84A,84B,84Cは、前後方向において、前方からL1相、N相、L2相の順、つまり前方から導電部材84A、導電部材84C、導電部材84Bの順に並んでいる。ここで、取付ベース76の前方には、取付ベース76の上下方向の両端間に亘って3本の導電部材84A,84B,84Cが位置するように、3本の導電部材84A,84B,84Cの各々は、取付ベース76の上下方向の寸法よりも長く形成されている。
3本の連結部材83の各々は、例えば銅などの導電性材料にて形成されている。3本の連結部材83は、それぞれ3本の導電部材84A,84B,84Cと主幹ブレーカ10の一次側端子11との間を電気的に接続する。
複数個の分岐ブレーカ20は、導電部材84に接続されることにより、母線導体82を介して主幹ブレーカ10の二次側端子12に電気的に接続される。各分岐ブレーカ20は、取付ベース76の前面のうち、導電部材84の短手方向(左右方向)の両側(左側と右側)に設けられた取付スペースに取り付けられる。取付ベース76には、分岐ブレーカ20を保持するための取付構造760(図4参照)が複数個(本実施形態では24個)設けられている。図2に例示する分電盤1では、複数個の取付構造760は、導電部材84の短手方向の両側において、それぞれ上下方向に複数個(本実施形態では12個)ずつ並ぶように配置されている。これにより、分岐ブレーカ20は、導電部材84の短手方向の両側に分かれて、それぞれ複数個(本実施形態では12個)ずつ取付可能である。
各分岐ブレーカ20は、電源端子と負荷端子とを有しており、電源端子が導電部材84に電気的に接続され、負荷端子には分岐回路が接続される。各分岐ブレーカ20は、3本の導電部材84A,84B,84Cが差し込まれるスリットを導電部材84との対向面に有している。スリットは3本の導電部材84A,84B,84Cに対応するように3個設けられている。各分岐ブレーカ20の電源端子は、これら3個のスリットのうち2個のスリット内に露出するように設けられている。これにより、各分岐ブレーカ20は、取付ベース76に取り付けられた状態で、スリットに導電部材84が差し込まれ、電源端子が導電部材84と電気的に接続される。
N相及びL1相に接続される100〔V〕用の分岐ブレーカ20には、N相の導電部材84C及びL1相の導電部材84Aに対応するスリットの各々に電源端子が設けられている。N相及びL2相に接続される100〔V〕用の分岐ブレーカ20には、N相の導電部材84C及びL12相の導電部材84Bに対応するスリットの各々に電源端子が設けられている。L1相及びL2相に接続される200〔V〕用の分岐ブレーカ20には、L1相の導電部材84A及びL2相の導電部材84Bに対応するスリットの各々に電源端子が設けられている。
ところで、本実施形態においては、電流センサ30は、複数個の分岐ブレーカ20と同様に、合成樹脂製の取付ベース76に取り付けられる。そのため、取付ベース76が第2取付板75の前面に取り付けられることで、電流センサ30がキャビネット70内に収納される。
ここで、電流センサ30の第1ボディ41と第2ボディ42との各々は、キャビネットにおける回路遮断器用(分岐ブレーカ20用)の取付構造760に対応した取付部400(図4参照)を有している。第1ボディ41と第2ボディ42との各々は、取付部400によりキャビネット70に取り付けられる。取付構造760の詳細については、「(1.2.3)単極用電流センサ」の欄で説明する。
(1.2.2)電力計測システム
次に、電流センサ30を用いた電力計測システムの構成について、図2及び図3を参照して説明する。
本実施形態の電力計測システムは、少なくとも1個の電流センサ30と、計測装置100とを備えている。本実施形態では、電力計測システムは複数個の電流センサ31〜33を備えている。本実施形態において、電流センサ31〜33の各々をとくに区別しない場合には、電流センサ31〜33の各々を「電流センサ30」という。
計測装置100には、電流センサ31〜33の各々が電気的に接続されている。これにより、計測装置100では、電流センサ30の出力に基づいて、導電部材84に流れる電流を計測可能である。計測装置100は、本実施形態ではキャビネット70の外部に設置されているが、この例に限らず、キャビネット70の内部に設置されていてもよい。
計測装置100は、例えばマイクロコンピュータを主構成とし、マイクロコンピュータのメモリに記録されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することにより、種々の機能を実現する。プログラムは、予めマイクロコンピュータのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。
本実施形態では、計測装置100は、消費電力と消費電力量との少なくとも一方を計測値として演算する。計測装置100は、電力線81の線間電圧を監視しており、線間電圧及び電流センサ30の出力を用いて演算することにより、計測値を求める。計測装置100は、求めた計測値を表示装置に出力し、計測値を表示装置に表示させる。
ところで、本実施形態においては、18個の分岐ブレーカ20は、複数のブレーカ群G1〜G3に分かれている。具体的には、図2に示すように、18個の分岐ブレーカ20は、導電部材84の長手方向(上下方向)において6個単位でブレーカ群G1〜G3に分類されている。ブレーカ群G1〜G3のうちブレーカ群G1が主幹ブレーカ10に最も近く、ブレーカ群G3が主幹ブレーカ10から最も遠くなるように、ブレーカ群G1〜G3は導電部材84の上流側(主幹ブレーカ10側)から順に並んでいる。
ここにおいて、電流センサ31はブレーカ群G1の上方に設置され、電流センサ32はブレーカ群G1とブレーカ群G2との間に設置され、電流センサ33はブレーカ群G2とブレーカ群G3との間に設置されている。これにより、電流センサ31では、ブレーカ群G1〜G3に流れる電流が測定可能となる。一方、電流センサ32では、ブレーカ群G2,G3に流れる電流が測定可能となり、電流センサ33では、ブレーカ群G3に流れる電流が測定可能となる。
そのため、計測装置100においては、例えば電流センサ31の出力を用いて求めた計測値から、電流センサ32の出力を用いて求めた計測値を減算することにより、ブレーカ群G1についての計測値を求めることができる。このように、3個の電流センサ31〜33の出力を用いることで、ブレーカ群G1,G2,G3の各々について、計測値を求めることが可能である。
(1.2.3)単極用電流センサ
図3に例示したような電力計測システムにおいては、2本の母線導体82の各々を流れる電流を1個の電流センサ30で測定できるように、コア50及び検出コイル60を2個ずつ有した複極(2極)用の電流センサ30が用いられる。ただし、複極用の電流センサ30であっても、基本的な構成は、コア50及び検出コイル60を1個ずつ有した単極用の電流センサ30と同様であるから、以下ではまず、単極用の電流センサ30について説明する。
単極用の電流センサ30は、3本の導電部材84A,84B,84Cのうちの1つを電流測定対象とし、電流測定対象である導電部材84を流れる電流を非接触で検出する。つまり、電流センサ30における1個の検出コイル60からは、電流測定対象である導電部材84を流れる電流に応じた電気信号が出力される。ここで、3本の導電部材84A,84B,84Cのうち、電流センサ30の電流測定対象となる導電部材84を「第1導電部材」と定義し、第1導電部材に隣接する導電部材84を「第2導電部材」と定義する。ここでは、電流測定対象がL1相の導電部材84Aである場合、つまり導電部材84Aが「第1導電部材」である場合を例示する。この場合において、3本の導電部材84A,84B,84Cのうち導電部材84Aに隣接するのはN相の導電部材84Cであるから、N相の導電部材84Cが「第2導電部材」になる。
電流センサ30は、図4に示すように第1ボディ41及び第2ボディ42からなるボディ40を備えている。電流センサ30は、ボディ40内に、コア50(図1A参照)、及び検出コイル60(図1A参照)を備えている。
第1ボディ41及び第2ボディ42の各々は、合成樹脂製であって、分岐ブレーカ20の器体とほぼ同じ形状、及び寸法に形成されている。
本実施形態では、第1ボディ41は導電部材84の左側の取付スペースに取り付けられ、第2ボディ42は導電部材84の右側の取付スペースに取り付けられる。すなわち、第1ボディ41及び第2ボディ42は、導電部材84を短手方向の両側から挟むように設置される。ここにおいて、第1ボディ41と第2ボディ42とで基本的な構成は共通である。そのため、以下では主に第1ボディ41について説明するが、とくに断りがない限り、第2ボディ42についても第1ボディ41と同様の構成が採用されている。
第1ボディ41は、前後方向の寸法よりも左右方向の寸法が大きく、かつ前後方向の寸法よりも上下方向の寸法が小さい箱状の器体403を有している。また、第1ボディ41は、器体403のうち左右方向において導電部材84と対向する面(右側面)から突出した角筒状の筒状部404を有している。前後方向に対向する一対の筒状部404を一組とすると、第1ボディ41には、少なくとも1組(図4の例では1組)の筒状部404が形成される。一対の筒状部404は、電流測定対象である1本の導電部材84、つまり導電部材84A(第1導電部材)を挟んで前後方向に対向するように形成されている。言い換えれば、一対の筒状部404の間には1本の導電部材84Aが差し込まれる。
ここで、左右方向に直交し導電部材84の短手方向の中心を通る仮想平面を基準面S1とした場合、筒状部404の先端面は基準面S1と一致する。第2ボディ42においても、同様の筒状部404が形成されている。そのため、第1ボディ41及び第2ボディ42の両方がキャビネット70に取り付けられた状態では、図4に示すように、第1ボディ41の筒状部404の先端面と第2ボディ42の筒状部404の先端面とが、基準面S1内で接触することになる。
また、器体403には、キャビネット70における回路遮断器用(分岐ブレーカ20用)の取付構造760に対応した取付部400が設けられている。取付構造760は、図4に示すように、取付ベース76の前面から突出する第1保持部761及び第2保持部762を有している。第1保持部761と第2保持部762とは、第1保持部761が導電部材84側となるように、左右方向に並んで配置されている。第1保持部761は、取付ベース76の前面から前方に突出し、かつ先端部(前端部)が第2保持部762に向かって延長された形状に形成されている。第2保持部762は、弾性を有するばね部材からなる。第2保持部762は、取付ベース76の前面から前方に突出し、かつ中央部が第1保持部761側に凸となるV字状に屈曲した形状に形成されている。このように構成される取付構造760が、導電部材84の短手方向の両側において、それぞれ上下方向に複数個ずつ並ぶように配置されている。
本実施形態では、取付構造760に対応する取付部400として、第1凹部401及び第2凹部402が形成されている。第1凹部401は、器体403において第1保持部761に対応する位置に形成されている。第2凹部402は、器体403において第2保持部762に対応する位置に形成されている。
第1ボディ41を取付ベース76に取り付ける際には、作業者は、器体403の第1凹部401に第1保持部761を引っ掛けた状態で、器体403における導電部材84とは反対側の端部(左端部)を後方(取付ベース76側)に押す。これにより、第1凹部401に第1保持部761が差し込まれ、かつ第2凹部402に第2保持部762が差し込まれることで、第1ボディ41は取付ベース76に取り付けられる。言い換えれば、第1ボディ41は取付部400によりキャビネット70に取り付けられる。一方、第1ボディ41を取付ベース76から取り外す際には、作業者は、第2保持部762を第1保持部761とは反対側に撓ませながら、器体403における導電部材84とは反対側の端部(左端部)を前方に引くことになる。上述した取付部400の構造は、分岐ブレーカ20の取付部と同様である。
また、第1ボディ41と第2ボディ42とのうちの第1ボディ41からは、ケーブル64が引き出されている。ケーブル64は、第1ボディ41内において検出コイル60(図1A参照)と電気的に接続されている。ケーブル64の先端には、計測装置100と接続されるためのコネクタ65が電気的に接続されている。
次に、上述したような構成のボディ40に収納されるコア50、及び検出コイル60の構成について、図1A及び図1Bを参照して説明する。図1A、図1B、及び後述の図6は、図4の「X1」に相当する部位を表す、ボディ40の一部を破断した拡大図である。
コア50は、例えば珪素鋼板などの磁性材料にて構成されている。コア50は、ボディ40に保持され、1本の導電部材(図1Aの例ではL1相の導電部材)84を囲む閉磁路を形成する。具体的には、コア50は、上下方向に直交する断面形状が左右方向に長い矩形枠状となるように形成されている。言い換えれば、コア50は前後方向の寸法よりも左右方向の寸法が大きい扁平な形状に形成されている。
コア50は、左右方向において第1コア51と第2コア52とに分割されている。第1コア51は、前後方向に延長された中央片512と、中央片512の前後方向の両端部からそれぞれ右方に向けて突出する第1脚片513及び第2脚片514とを有している。第1脚片513及び第2脚片514の先端部(右端部)は、それぞれ第1コア51の端部511に相当する。同様に、第2コア52は、前後方向に延長された中央片522と、中央片522の前後方向の両端部からそれぞれ左方に向けて突出する第1脚片523及び第2脚片524とを有している。第1脚片523及び第2脚片524の先端部(右端部)は、それぞれ第2コア52の端部521に相当する。そのため、第1方向(前後方向)と直交する第2方向(左右方向)において、第1コア51の端部511と第2コア52の端部521とを互いに突き合わせることにより、第1コア51と第2コア52との間には貫通空間500が形成される。貫通空間500は、導電部材84A(第1導電部材)及び導電部材84C(第2導電部材)のうち導電部材84Aのみが貫通する空間である。
貫通空間500は、前後方向において、第1コア51の第1脚片513と第2脚片514との間に位置することになる。そして、第1脚片513は、前後方向において貫通空間500に対して導電部材84Cとは反対側、つまり貫通空間500の前方に位置する。第2脚片514は、前後方向において貫通空間500に対して導電部材84C側、つまり貫通空間500の後方に位置する。同様に、第2コア52の第1脚片523は、前後方向において貫通空間500に対して導電部材84Cとは反対側、つまり貫通空間500の前方に位置する。第2コア52の第2脚片524は、前後方向において貫通空間500に対して導電部材84C側、つまり貫通空間500の後方に位置する。
第1コア51は、第1ボディ41に収納されることにより、第1ボディ41に保持される。ここで、中央片512は第1ボディ41の器体403に収納され、第1脚片513及び第2脚片514は第1ボディ41の一対の筒状部404にそれぞれ収納される。これにより、第1コア51の端部511は筒状部404の開口から第1ボディ41の外部に露出する。同様に、第2コア52は、第2ボディ42に収納されることにより、第2ボディ42に保持される。ここで、中央片522は第2ボディ42の器体403に収納され、第1脚片523及び第2脚片524は第2ボディ42の一対の筒状部404にそれぞれ収納される。これにより、第2コア52の端部521は筒状部404の開口から第2ボディ42の外部に露出する。
ここにおいて、第1コア51と第2コア52との少なくとも一方は、後述する押付部材90からの押付力が作用する可動コアを構成する。本実施形態では、第2コア52が可動コアである。可動コア(第2コア52)は、ボディ40(第2ボディ42)に対して固定されておらず、左右方向(第2方向)に沿って、ボディ40(第2ボディ42)に対して相対的に移動可能である。ただし、左右方向以外については、第2ボディ42に対する第2コア52の移動は規制されている。一方、可動コアではない第1コア51は、ボディ40(第1ボディ41)に対して固定されている。
さらに、可動コアである第2コア52の第1脚片523及び第2脚片524は、第1コア51の第1脚片513及び第2脚片514よりも左右方向の寸法が大きく設定されている。そのため、図1Aの状態においては、第1コア51の第1脚片513及び第2脚片514の先端面(右端面)と筒状部404の先端面(右端面)とが面一になるのに対し、第1脚片523及び第2脚片524は筒状部404の先端面(左端面)から突出する。
また、コア50の少なくとも一部には、検出コイル60が巻き付けられている。これにより、電流センサ30は、コア50に囲まれた導電部材84Aを流れる電流に応じた電気信号を検出コイル60から出力するCT(Current Transformer)センサとして機能する。本実施形態では、検出コイル60は、第1コイル61と第2コイル62とを有している。第1コイル61は第1コア51の第1脚片513に巻き付けられ、第2コイル62は第1コア51の第2脚片514に巻き付けられている。第1コイル61と第2コイル62とは電気的に直列に接続されている。
ここで、検出コイル60は、導電部材84Aを流れる電流に起因して第1コイル61に生じる誘導電流と第2コイル62に生じる誘導電流とが加算されるように、巻き方向及び接続関係が設定されている。つまり、検出コイル60の両端間において、導電部材84Aを流れる電流に起因して生じる誘導電流は、第1コイル61と第2コイル62とで同じ向きになる。具体的には、導電部材84Aを流れる電流によって生じる磁束は、第1脚片513と第2脚片514とで逆向きになる。そのため、例えば、第1コイル61の巻き終わりに第2コイル62の巻き始めが繋がるように第1コイル61及び第2コイル62が接続される場合には、第1コイル61と第2コイル62とでは、右側面視における巻き方向が逆向きになる。第1コイル61と第2コイル62とは、第1ボディ41内で電気的に接続されていてもよいし、第1ボディ41の外部で、例えばプリント配線板等を経由して電気的に接続されていてもよい。
また、電流センサ30は、第2ボディ42内に押付部材90を更に備えている。押付部材90は、弾性変形可能な部材、つまり弾性(ばね性)を有する部材からなる。押付部材90は、ボディ40がキャビネット70に取り付けられた状態において、可動コアである第2コア52を第1コア51に押し付ける向きの力を、第2コア52に対して作用させる。本実施形態では一例として、押付部材90は第2ボディ42と一体に形成された合成樹脂製の板ばね状の部材である。この押付部材90は、第2コア52の中央片522の右方に配置されており、第2コア52に対して左向きの力を作用させる。
上記構成により、第2ボディ42がキャビネット70に取り付けられていない状態では、図1Aに示すように、第2コア52の端部521は第2ボディ42の筒状部404の先端面(左端面)から突出する。一方、ボディ40がキャビネット70に取り付けられると、図1Bに示すように、第2コア52の端部521が第1コア51の端部511に押されて第2ボディ42の筒状部404内に引っ込むことになる。つまり、第2コア52は第1コア51に押されるようにして、第2ボディ42に対して相対的に右方に移動する。そのため、押付部材90は第2コア52の中央片522からの反力を受けて弾性変形することにより、第2コア52に対して左向きの力を作用させることになる。したがって、ボディ40がキャビネット70に取り付けられた状態では、第2ボディ42から露出した第2コア52の端部521は、第1ボディ41から露出した第1コア51の端部511に対して押し付けられることになる。これにより、第1コア51の端部511と第2コア52の端部521とが接触し、第1コア51と第2コア52との間にエアギャップが生じにくくなる。したがって、コア50によって形成される閉磁路の磁気抵抗のばらつきが生じにくく、結果的に、電流の測定精度の低下を抑えることができる。
ところで、本実施形態に係る電流センサ30では、電流測定対象ではない導電部材84C(第2導電部材)を流れる電流によって生じる磁束に起因した、電流の測定精度の低下を抑えるために、以下に説明する構成を採用している。すなわち、第1コイル61と第2コイル62とでは巻数が同じではなく、第1コイル61の巻数N1は第2コイル62の巻数N2に比べて多く設定されている(N1>N2)。言い換えれば、第1コイル61の巻数N1と第2コイル62の巻数N2との和(N1+N2)で表される検出コイル60全体の巻数に対して、第2コイル62の巻数N2は5割未満に設定されている。
次に、第1コイル61の巻数N1が第2コイル62の巻数N2よりも多いことにより、導電部材84Cを流れる電流によって生じる磁束に起因した、電流の測定精度の低下が抑制される原理について、図5を参照して説明する。図5は、導電部材84A(第1導電部材)、及び導電部材84C(第2導電部材)の各々に電流が流れることによって生じる磁束を、模式的に表す説明図である。図5では、コア50、検出コイル60、及び導電部材84A,84B,84C以外の部材の図示を省略している。また、図5の例では、導電部材84Aを流れる電流I1と、導電部材84Cを流れる電流I2とが上下方向(図5の紙面に直交する方向)において逆向きである場合を想定している。
図5に示すように、導電部材84Aを流れる電流I1によって、導電部材84Aの周囲には、反時計回りの磁束φ1が発生する。また、導電部材84Cを流れる電流I2によって、導電部材84Cの周囲には、時計回りの磁束φ21,φ22が発生する。電流I1によって生じる磁束φ1は、第1脚片513を左向きに通過し、第2脚片514を右向きに通過する。一方、電流I2によって生じる磁束φ21,φ22のうち、磁束φ21は第1脚片513を右向きに通過し、磁束φ22は第2脚片514を右向きに通過する。すなわち、電流I2によって生じる磁束φ21,φ22のうち、磁束φ21は磁束φ1を打ち消すように作用し、磁束φ22は磁束φ1を強めるように作用する。ここで、第1脚片513を通過する磁束φ21は、第2脚片514を通過する磁束φ22に比べて磁束量が小さい。そのため、導電部材84Cを流れる電流I2によって生じる磁束φ21,φ22は、第1脚片513に巻き付けられた第1コイル61よりも、第2脚片514に巻き付けられた第2コイル62を多く通過する。言い換えれば、導電部材84Cを流れる電流I2によって、検出コイル60に対しては、互いに磁束量が異なりかつ逆向きである磁束φ21,φ22が作用する。
本実施形態では、第1コイル61の巻数N1が第2コイル62の巻数N2よりも多く設定されていることで、上述したような磁束φ21,φ22が検出コイル60の出力に与える影響が小さく抑えられている。つまり、磁束量の大きい磁束φ22が通過する第2コイル62の巻数は、磁束量の小さい磁束φ21が通過する第1コイル61の巻数よりも少ないため、これらの磁束φ21,φ22が検出コイル60の出力に与える影響は小さく抑えられる。結果的に、電流センサ30では、導電部材84Cを流れる電流によって生じる磁束φ21,φ22に起因した、電流の測定精度の低下が抑制される。
ここで、第1コイル61の巻数N1及び第2コイル62の巻数N2は、導電部材84Cを流れる電流I2によって生じる磁束φ21,φ22の磁束鎖交数が、第1コイル61と第2コイル62とでつり合う均衡状態となるように設定されていることが好ましい。ここでいう「つり合う」とは、2つの程度が略等しいことを意味する。したがって、均衡状態は、磁束鎖交数が第1コイル61と第2コイル62とで厳密に等しい状態だけでなく、第1コイル61と第2コイル62との磁束鎖交数の差が、所定の許容誤差範囲に収まる状態も含む。つまり、均衡状態では、第1コイル61を通過する磁束φ21に第1コイル61の巻数N1を乗じた第1コイル61の磁束鎖交数と、第2コイル62を通過する磁束φ22に第2コイル62の巻数N2を乗じた第2コイル62の磁束鎖交数とが略等しくなる。
このような第1コイル61及び第2コイル62の巻数比(N1:N2)の設計は、例えば導電部材84とコア50との位置関係、及びコア50の透磁率等に基づく、シミュレーションによって実現可能である。一例として、検出コイル60全体の巻数(N1+N2)が「2000」である場合に、第1コイル61の巻数N1が「1500」程度、第2コイル62の巻数N2が「500」程度に設定される。この場合、第1コイル61及び第2コイル62の巻数比(N1:N2)は、「3:1」程度になる。
上記均衡状態となるように巻数N1及び巻数N2が設定されていれば、導電部材84Cを流れる電流I2に起因して、第1コイル61に生じる誘導電流と第2コイル62に生じる誘導電流とが互いに相殺される。したがって、検出コイル60の出力には、導電部材84Cを流れる電流I2は殆ど影響しない。
また、上記均衡状態は、導電部材84A及び導電部材84Cのうち導電部材84Cのみに電流I2が流れるときに、検出コイル60の出力がゼロになる状態であってもよい。すなわち、上記均衡状態となるような第1コイル61及び第2コイル62の巻数比(N1:N2)の設計は、シミュレーションに限らず、実際の電流センサ30を用いて行うことが可能である。具体的には、電流測定対象である導電部材84Aには電流が流れておらず、導電部材84Aに隣接する導電部材84Cにのみ電流I2が流れている状態での、検出コイル60の出力が略ゼロになるように、巻数N1及び巻数N2が調整される。
(1.2.4)複極用電流センサ
複極用の電流センサ301は、図6に示すように、1つのボディ40に対して、コア50と検出コイル60と押付部材90との組み合わせが複数組設けられている。図6に示す電流センサ301は、L1相及びL2相の2本の導電部材84A,84Bの電流を測定できるように、コア50と検出コイル60と押付部材90とが2個ずつ設けられた2極用の電流センサ301である。図6では、コア50、検出コイル60、及び押付部材90等の構成要素について、L1相の導電部材84Aに対応する構成要素には符号の末尾に「A」を付し、L2相の導電部材84Bに対応する構成要素には符号の末尾に「B」を付す。
複極用の電流センサ301は、3本の導電部材84A,84B,84Cのうちの2つを電流測定対象とし、電流測定対象である導電部材84を流れる電流を非接触で検出する。つまり、複極用の電流センサ301における2個の検出コイル60A,60Bからは、それぞれ電流測定対象である導電部材84を流れる電流に応じた電気信号が出力される。ここでは、コア50A及び検出コイル60Aに関しては、電流測定対象はL1相の導電部材84Aであるから、導電部材84Aが「第1導電部材」となる。コア50B及び検出コイル60Bに関しては、電流測定対象はL2相の導電部材84Bであるから、導電部材84Bが「第1導電部材」となる。また、導電部材84A,84Bのいずれに対しても隣接するのはN相の導電部材84Cであるから、導電部材84Aが「第1導電部材」の場合と、導電部材84Bが「第1導電部材」の場合とのいずれでも、N相の導電部材84Cが「第2導電部材」になる。
複極用の電流センサ301において、コア50A及び検出コイル60Aと、コア50B及び検出コイル60Bとは、導電部材84Cに対して対称な関係にある。すなわち、コア50A及び検出コイル60Aに関しては、貫通空間500Aの後方に導電部材84Cが位置する。そのため、貫通空間500Aの前方に第1脚片513A及び第1コイル61Aが位置し、貫通空間500Aの後方に第2脚片514A及び第2コイル62Aが位置する。一方、コア50B及び検出コイル60Bに関しては、貫通空間500Bの前方に導電部材84Cが位置する。そのため、貫通空間500Bの後方に第1脚片513B及び第1コイル61Bが位置し、貫通空間500Aの前方に第2脚片514B及び第2コイル62Bが位置する。
複極用の電流センサ301においても、第1コイル61の巻数N1は第2コイル62の巻数N2との関係は、単極用の電流センサ30と同じである。つまり、第1コイル61Aの巻数N1は第2コイル62Aの巻数に比べて多く設定されている(N1>N2)。同様に、第1コイル61Bの巻数N1は第2コイル62Bの巻数に比べて多く設定されている(N1>N2)。
複極用の電流センサ301のボディ40の形状は、複数個のコア50に対応するように筒状部404が複数組設けられる点を除き、単極用の電流センサ30のボディ40と共通である。複極用の電流センサ301は、L1相及びL2相の2本の導電部材84A,84Bに限らず、例えばL1相及びN相の2本の導電部材84A,84Cや、L2相及びN相の2本の導電部材84B,84Cに対応する構成であってもよい。また、複極用の電流センサは、3本の導電部材84A,84B,84Cに対応する構成であってもよい。
(1.3)効果
以上説明した本実施形態の電流センサ30によれば、第1コア51と第2コア52との間に導電部材84を挟むようにボディ40がキャビネット70に取り付けられることにより、検出コイル60の出力を用いて、導電部材84を流れる電流が測定可能である。したがって、この電流センサ30では、導電部材84に流れる電流を測定するために、電流測定対象となる導電部材84を電流センサ30に対し電気的に接続する作業が必要ない。よって、本実施形態の電流センサ30は、取付作業が簡単である、という利点がある。
また、この電流センサ30によれば、コア50を保持するボディ40がキャビネット70に取り付けられるので、導電部材84に対するコア50の相対的な位置がばらつくことによる電流の測定精度の低下を抑えることができる。
さらに、電流センサ30によれば、第1コイル61が巻き付けられる第1脚片513は、貫通空間500に対して導電部材84Cとは反対側に位置し、第2コイル62が巻き付けられる第2脚片514は、貫通空間500に対して導電部材84C側に位置する。そのため、導電部材84C(第2導電部材)を流れる電流によって生じる磁束は、第1コイル61よりも第2コイル62を多く通過する。ここで、第1コイル61の巻数N1は第2コイル62の巻数N2に比べて多く設定されている。言い換えれば、上記磁束が多く通過する第2コイル62の巻数N2は、第1コイル61の巻数N1よりも少ないため、巻数N2が巻数N1と同数である場合に比べて、上記磁束が検出コイル60の出力に与える影響は小さく抑えられる。したがって、電流センサ30では、電流測定対象ではない導電部材84Cを流れる電流によって生じる磁束に起因した、電流センサ30での電流の測定精度の低下を抑えることができる。
また、本実施形態のように、第1コイル61の巻数N1及び第2コイル62の巻数N2は、導電部材84Cを流れる電流I2によって生じる磁束の磁束鎖交数が、第1コイル61と第2コイル62とでつり合う均衡状態となるように設定されていることが好ましい。この構成によれば、導電部材84C(第2導電部材)を流れる電流に起因して、第1コイル61に生じる誘導電流と第2コイル62に生じる誘導電流とが互いに相殺されるため、検出コイル60の出力には、導電部材84Cを流れる電流は殆ど影響しない。結果的に、電流センサ30では、電流測定対象ではない導電部材84Cを流れる電流によって生じる磁束に起因した、電流センサ30での電流の測定精度の低下を、とくに抑えることができる。
この場合において、上記均衡状態は、導電部材84A(第1導電部材)及び導電部材84C(第2導電部材)のうち導電部材84Cのみに電流I2が流れるときに、検出コイル60の出力がゼロになる状態であることが好ましい。この構成によれば、上記均衡状態となるような第1コイル61の巻数N1及び第2コイル62の巻数N2の設計が、電流センサ30の検出コイル60の出力を測定することにより比較的簡単に実現可能である。
また、本実施形態のように、分電盤1は、電流センサ30と、ボディ40が取り付けられる取付構造760を有するキャビネット70とを備えることが好ましい。この構成によれば、電流センサ30の取付作業が簡単である、という利点がある。
(1.4)変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。
コア50の材料は、珪素鋼板に限らず、例えばパーマロイやフェライト、アモルファス、ナノ結晶合金などであってもよい。
また、検出コイル60は、検出コイル60は、第1脚片513に巻き付けられる第1コイル61、及び第2脚片514に巻き付けられる第2コイル62に加えて、例えば中央片512に巻き付けられる第3コイルを有していてもよい。第3コイルは、第1コイル61及び第2コイル62と電気的に直列に接続される。この場合に、第3のコイルが第1コイル61側で密、第2コイル62側で疎となるように巻き付けられることで、電流測定対象でない導電部材84Cを流れる電流に起因した、電流センサ30での電流の測定精度の低下をより抑えることができる。第1コイル61、第3コイル、及び第2コイル62は、第1コア51に対して連続的に巻き付けられていてもよい。
また、検出コイル60は、コア50に巻き付けられた状態でコア50と共にボディ40に組み込まれてもよいし、ボディ40に埋め込まれていてもよい。検出コイル60は、コア50に装着されるコイルボビンに巻き付けられていてもよい。図1A及び図1B等においては、検出コイル60の一部をボディ40に埋め込まれているように図示しているが、これらの図は概念図に過ぎず検出コイル60がボディ40に埋め込まれた構成に限定する趣旨ではない。
また、単極用の電流センサ30は、実施形態1で例示したようなL1相の導電部材84Aを電流測定対象(第1導電部材)とする構成に限らず、例えばL2相又はN相の導電部材84B,84Cを電流測定対象(第1導電部材)とする構成であってもよい。L2相の導電部材84Bを電流測定対象とする構成では、N相の導電部材84Cが第2導電部材となる。
また、押付部材90は、ボディ40がキャビネット70に取り付けられた状態において、第1コア51と第2コア52との少なくとも一方に対して、弾性変形により、第1コア51と第2コア52とが互いに押し付けられる向きの力を作用させる部材であればよい。そのため、押付部材90は第2ボディ42と一体に形成される構成に限らず、例えばコイルばねなどであってもよい。また、押付部材90は、第1コア51に力を作用させるように第1ボディ41に設けられていてもよく、第1コア51及び第2コア52の両方に力を作用させるように第1ボディ41及び第2ボディ42との両方に設けられていてもよい。
また、第1ボディ41及び第2ボディ42は、それぞれ第1コア51及び第2コア52を保持する構成であればよく、第1コア51及び第2コア52の各々の一部がボディ40から突出していてもよい。例えば、第1ボディ41及び第2ボディ42に筒状部404がなく、第1コア51の第1脚片513及び第2脚片514、並びに第2コア52の第1脚片523及び第2脚片524がボディ40から突出していてもよい。
また、電流センサ30は、単相三線式配線の分電盤1に限らず、例えば三相三線式配線の分電盤1に適用されてもよい。この場合、電流センサ30は、R相、S相、及びT相のいずれか1相の導電部材84を流れる電流を測定するように構成される。
(実施形態2)
本実施形態の電流センサ302(図8A参照)は、図7A〜図7Cに示すように、第1コイル61と第2コイル62との少なくとも一方が巻き付けられ、第1コア51に装着されるコイルボビン53と、補強部材54と、を更に備える。補強部材54は、第2方向(左右方向)に沿った長尺状であってコイルボビン53に取り付けられる。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、電流センサ302は、2個のコイルボビン53を備えている。2個のコイルボビン53には、第1コイル61及び第2コイル62がそれぞれ巻き付けられる。各コイルボビン53は、合成樹脂製であって、前後方向の寸法よりも上下方向の寸法が大きい扁平な角筒状に形成されている。第1コイル61が巻き付けられるコイルボビン53は、第1コア51の第1脚片513に装着される。第2コイル62が巻き付けられるコイルボビン53は、第1コア51の第2脚片514に装着される。詳しくは後述するが、本実施形態ではコイルボビン53には第1コア51及び第2コア52両方が、左右方向の両側から差し込まれる。そのため、第1コア51の第1脚片513及び第2脚片514がコイルボビン53の長手方向の途中(中心位置)まで挿入された状態で、コイルボビン53が第1コア51に装着される。図7Aの例では、左右方向におけるコイルボビン53の中心位置が、第1コア51の先端面(右端面)に略一致している。
補強部材54は、左右方向に長尺な平板状の部材である。補強部材54は、2個のコイルボビン53の各々に対して、2枚ずつ取り付けられている。2枚の補強部材54は、第1コア51を上下方向の両側から挟むように配置されている。補強部材54は、コイルボビン53の長手方向の略全長にわたって設けられている。補強部材54は、コア50と同様に、珪素鋼板やパーマロイなどの磁性材料で形成されている。補強部材54の剛性は、少なくともコイルボビン53の剛性よりも高い。
ここでは、補強部材54は、コイルボビン53の内側面に固定されている。補強部材54は、コイルボビン53に対して取り付けられていればよく、例えば接着、嵌め込み等の手段によってコイルボビン53に取り付けられる。又は、例えばインサート成型等により、コイルボビン53が補強部材54と一体に形成されることで、補強部材54がコイルボビン53に取り付けられていてもよい。
また、電流センサ302では、図8A及び図8Bに示すように、第2コア52の端部521が第2ボディ42Aから突出しており、第1ボディ41Aには、第1コア51の端部511及び第2コア52の端部521を囲むガイド部405が形成されている。具体的には、電流センサ302では、実施形態1に係る電流センサ30に比較して、第1ボディ41Aの各筒状部404が所定の延長寸法だけ延長され、この延長寸法の分だけ第2ボディ42Aの各筒状部404が短縮されている。これにより、第2コア52の第1脚片523及び第2脚片524は、実施形態1に係る電流センサ30に比較して、延長寸法の分だけ第2ボディ42Aから突出することになる。ここで、第1ボディ41Aの各筒状部404の先端部がガイド部405に相当する。つまり、第1ボディ41Aには一対のガイド部405が形成されている。
さらに、図8Aの例では、一対のガイド部405の各々には、第2ボディ42Aに向けて開口した差込口406が形成されている。これにより、第1コア51の端部511はガイド部405を通して、差込口406の開口から第1ボディ41Aの外部に露出する。
電流センサ302においては、ボディ40Aがキャビネット70に取り付けられると、第2コア52の第1脚片523及び第2脚片524は、差込口406を通してガイド部405に差し込まれる。このとき、第2コア52の端部521が第1コア51の端部511に突き当たる位置まで、第2コア52の第1脚片523及び第2脚片524は、ガイド部405に沿って第1ボディ41A内に挿入される。そして、ボディ40Aがキャビネット70に取り付けられた状態においては、図8Bに示すように、第1コア51の端部511及び第2コア52の端部521はガイド部405に囲まれた空間に収まることになる。
ところで、電流センサ302においては、コイルボビン53は、第1ボディ41Aの各筒状部404に設けられ、少なくとも一部がガイド部405に重なるような位置に配置されている。つまり、コイルボビン53は、少なくとも一部が第1コア51の端部511及び第2コア52の端部521に跨るように配置される。補強部材54は、第1コア51の端部511及び第2コア52の端部521の両方と磁気的に結合される。コイルボビン53は、例えば接着、嵌め込み等の手段によって第1ボディ41Aに固定される。
これにより、図8Aに示すように、第1コイル61及び第2コイル62が、第1コア51の第1脚片513及び第2脚片514と、ガイド部405とに跨って設けられる。そのため、キャビネット70に第1ボディ41A及び第2ボディ42Aが取り付けられた状態では、図8Bに示すように、第1コイル61及び第2コイル62は第1コア51の端部511及び第2コア52の端部521に跨って設けられることになる。図8A及び図8Bでは、コイルボビン53及び補強部材54の図示を省略している。
第1コア51と第2コア52との両方に検出コイル60が巻き付けられることで、コア50の局所的な磁気飽和や漏れ磁束が生じにくくなる。つまり、電流測定対象の導電部材84Aに電流が流れると、コア50の形成する閉磁路に磁束が発生する。このとき、検出コイル60に流れる誘導電流により、検出コイル60の周囲には閉磁路の磁束を打ち消す向きの磁束が生じるため、検出コイル60の周囲では磁気飽和が生じにくくなる。したがって、第1コア51と第2コア52との両方に検出コイル60が設けられることで、コア50の局所的な磁気飽和が抑制される。
以上説明した本実施形態の構成によれば、コイルボビン53に補強部材54が取り付けられているので、コイルボビン53の変形を抑制することができる。例えば、隣接する導電部材84A,84C間の隙間が比較的狭い場合、この狭い隙間にコア50及び検出コイル60を配置する必要があるので、コイルボビン53には薄肉化が要求される。このような場合でも、補強部材54によって、コイルボビン53への第1コイル61又は第2コイル62の巻き付け時にコイルボビン53に変形が生じることが抑制される。その結果、コイルボビン53のコア50への装着時の作業性が向上する。
また、本実施形態のように、補強部材54は磁性材料からなることが好ましい。この構成によれば、補強部材54は、コア50と共に導電部材84Aを囲む閉磁路を形成するので、コア50の局所的な磁気飽和が抑制される。ただし、補強部材54が磁性材料からなることは、電流センサ302に必須の構成ではなく、補強部材54は非磁性材料であってもよい。
また、本実施形態のように、コイルボビン53は、少なくとも一部が第1コア51の端部511及び第2コア52の端部521に跨るように配置されることが好ましい。この場合、補強部材54は、第1コア51の端部511及び第2コア52の端部521の両方と磁気的に結合されることが好ましい。この構成によれば、第1コア51と第2コア52とは補強部材54を介して互いに磁気結合される。したがって、第1コア51と第2コア52との間のエアギャップや位置ずれに伴う磁気抵抗のばらつきを抑制でき、結果的に、電流の測定精度の低下をより抑えることができる。さらに、第1コア51の端部511及び第2コア52の端部521がコイルボビン53に囲まれるため、第2方向(左右方向)に直交する平面内での端部511と端部521との相対的な位置ずれを小さく抑えることができる。ただし、コイルボビン53が第1コア51の端部511及び第2コア52の端部521に跨るように配置されることは、電流センサ302に必須の構成ではなく、コイルボビン53は第1コア51のみに配置されていてもよい。
また、実施形態2の変形例として、補強部材54は、第1コア51を上下方向の両側から挟む構成に限らず、例えば第1コア51を前後方向の両側から挟む構成であってもよい。また、各コイルボビン53に対して補強部材54は1枚だけ設けられ、補強部材54が、第1コア51の上方、下方、前方、又は後方のいずれかに配置されてもよい。さらに、補強部材54は、左右方向に直交する断面形状がL字状に形成され、例えば第1コア51の上面及び前面に沿って配置されてもよい。さらに、補強部材54は、コイルボビン53と同様の筒状に形成されていてもよい。
実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
(実施形態3)
本実施形態に係る電流センサ302においては、図9に示すように、第1ボディ41Bは、キャビネット70における回路遮断器用の取付構造760に対応した取付部400を有し、取付部400によりキャビネット70に取り付けられる。一方、第2ボディ42Bは、第1ボディ41Bに結合されることにより第1ボディ41Bと共にキャビネット70に取り付けられる。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態の電流センサ302は、第1ボディ41B及び第2ボディ42Bのうち第1ボディ41Bのみが、分岐ブレーカ20と同様の取付部400を有している。第2ボディ42Bは、第1ボディ41Bに結合されることによって、第1ボディ41Bと一体化する。つまり、第2ボディ42Bは、第1ボディ41Bがキャビネット70に取り付けられることにより、第1ボディ41Bを介してキャビネット70に取り付けられることになる。そのため、本実施形態では、第1ボディ41Bに第2ボディ42Bが結合され、かつ第1ボディ41Bがキャビネット70に取り付けられることで初めて、ボディ40Bがキャビネット70に取り付けられる。
また、本実施形態では、キャビネット70における取付構造760は、第2方向に離間した第1保持部761及び第2保持部762を有している。第1ボディ41Bは、固定ブロック420と可動ブロック421とを有している。固定ブロック420は、第1コア51を保持し第1保持部761に固定される。可動ブロック421は、第2保持部762に固定される。可動ブロック421は、固定位置と解除位置との間で、固定ブロック420に対して相対的に移動可能である。ここでいう固定位置は、可動ブロック421が第2保持部762に固定されるときの可動ブロック421の位置である。解除位置は、可動ブロック421の第2保持部762への固定が解除されるときの可動ブロック421の位置である。
具体的には、第1ボディ41Bは、第2方向(左右方向)において、固定ブロック420と可動ブロック421とに分割されている。第1ボディ41Bは、第1コア51を保持した固定ブロック420を、導電部材84に対向させるように、取付ベース76に取り付けられる。固定ブロック420は、固定ブロック420のうち左右方向において導電部材84と対向する面(右側面)から突出した角筒状の筒状部404を有している。図9の例では、固定ブロック420には、前後方向に並ぶ4つの筒状部404が形成されている。前後方向に対向する2つの筒状部404の間には、それぞれ1本の導電部材84が差し込まれる。固定ブロック420には、取付部400を構成する第1凹部401及び第2凹部402のうち、第1保持部761に対応する第1凹部401のみが形成されている。
また、可動ブロック421は、板状に形成されている。可動ブロック421は、軸部422によって固定ブロック420に結合されている。軸部422は、固定ブロック420の左後方の角部に位置している。可動ブロック421は、軸部422を中心にして、固定ブロック420に対して回転可能に構成されている。可動ブロック421は、上述した固定位置と解除位置との間で回転する。図9では、固定位置にある可動ブロック421を実線で表し、解除位置にある可動ブロック421を想像線(2点鎖線)で表している。可動ブロック421には、取付部400を構成する第1凹部401及び第2凹部402のうち、第2保持部762に対応する第2凹部402のみが形成されている。
この構成では、第1ボディ41Bは、可動ブロック421の回転(移動)に伴って、キャビネット70に固定される状態と、キャビネット70に固定されていない状態とを切替可能である。つまり、可動ブロック421が固定位置にあれば第1ボディ41Bはキャビネット70に固定され、可動ブロック421が解除位置にあれば第1ボディ41Bはキャビネット70に固定されなくなる。
次に、本実施形態の電流センサ302において、第2ボディ42Bを第1ボディ41Bに結合するための具体的な構成について、図9及び図10を参照して説明する。
第1ボディ41Bは、筒状部404の先端面(右端面)から第2方向(左右方向)に沿って突出する複数(ここでは4つ)の突出部423を、更に有している。4つの突出部423は、第1ボディ41Bの右側面視において、第1ボディ41Bの四隅に配置されている。第2ボディ42Bには、4つの突出部423が差し込まれる4つの結合溝430が形成されている。4つの突出部423が4つの結合溝430に差し込まれることによって、第1ボディ41Bに対して、第2方向に直交する方向(前後方向及び上下方向)への第2ボディ42Bの移動が規制される。
さらに、第1ボディ41Bには、第2方向に直交する一方向に貫通する第1結合孔424が形成されている。第2ボディ42Bには、上記一方向に貫通し、かつ上記一方向において第1結合孔424と連続する第2結合孔425が形成されている。また、電流センサ302は、結合部材426を更に備えている。結合部材426は、第1結合孔424及び第2結合孔425に跨って、第1結合孔424及び第2結合孔425に差し込まれる。第2ボディ42Bは、結合部材426によって第1ボディ41Bに結合される。
図9及び図10の例では、第1結合孔424は4つの突出部423の各々に形成されている。4つの第1結合孔424は、いずれも突出部423を前後方向に貫通する孔である。第2結合孔425は第2ボディ42Bにおける4つの結合溝430の各々の側壁に形成されている。4つの第2結合孔425は、いずれも結合溝430の側壁を前後方向に貫通する孔である。そして、4つの突出部423が4つの結合溝430に差し込まれた状態では、4つの第1結合孔424と4つの第2結合孔425とは、それぞれ前後方向に連続する。この状態で、連続する第1結合孔424及び第2結合孔425に、結合部材426が差し込まれることにより、結合部材426がかんぬきとして機能し、第1ボディ41Bに対して、第2方向(左右方向)への第2ボディ42Bの移動が規制される。
ここでは、4つの突出部423のうち、第1ボディ41Bの前端部に位置する一対の突出部423に対応する一対の結合部材426は、1つのレバー427Aに連結されている。同様に、第1ボディ41Bの後端部に位置する一対の突出部423に対応する一対の結合部材426は、1つのレバー427Bに連結されている。一対のレバー427A及び427Bは前後方向に対向するように配置されており、レバー427Aはレバー427Bの前方に位置する。一対のレバー427A及び427Bは、第2ボディ42Bに形成された開口部428を通して、少なくとも一部が第2ボディ42Bの表面から突出している。開口部428は、第2ボディ42Bにおける第2方向の第1ボディ41Bとは反対側の面(右側面)に形成されている。
また、第2ボディ42B内において、レバー427Aとレバー427Bとの間には、復帰部材429が配置されている。復帰部材429は、例えばコイルばねからなり、レバー427Aとレバー427Bとの間に挟まれることにより、レバー427Aとレバー427Bとを互いに離間させる向きの力をレバー427A及び427Bに作用させる。
上記構成によれば、作業者は、まず可動ブロック421が解除位置にある状態の第1ボディ41Bを、キャビネット70に対して取り付ける。このとき、第1ボディ41Bは、第1凹部401に第1保持部761が引っ掛けられることにより、キャビネット70に対して仮固定される。第1ボディ41Bがキャビネット70に仮固定された状態で、キャビネット70に対して第1ボディ41Bは固定されておらず、キャビネット70に対する第1ボディ41Bの位置決めが行われる。その後、作業者は、可動ブロック421を固定位置まで回転させる。このとき、第1ボディ41Bは、第2凹部402に第2保持部762が差し込まれることで、キャビネット70に本固定される。第1ボディ41Bがキャビネット70に本固定された状態では、キャビネット70に対して第1ボディ41Bが固定される。
次に、作業者は、キャビネット70に本固定された状態の第1ボディ41Bに対して、第2ボディ42Bを結合する。このとき、作業者は、レバー427Aとレバー427Bとが互いに近づくように一対のレバー427A及び427Bを摘んだ状態で、4つの突出部423が4つの結合溝430に差し込まれるように、第1ボディ41Bに対して第2ボディ42Bを取り付ける。その後、作業者は、一対のレバー427A及び427Bから手を離すことにより、復帰部材429によって、レバー427Aとレバー427Bとが互いに離間する向きに移動し、第1結合孔424及び第2結合孔425に、結合部材426が差し込まれる。
以上説明した本実施形態の構成によれば、第1ボディ41Bに対して第2ボディ42Bが直接的に結合されるため、第1ボディ41Bと第2ボディ42Bとの相対的な位置ずれが生じにくくなる。すなわち、実施形態1のように第1ボディ41と第2ボディ42とがキャビネット70に対して個別に取り付けられる構成に比べて、本実施形態では第1ボディ41Bと第2ボディ42Bとの相対的な位置ずれが生じにくい。また、第1ボディ41Bは、キャビネット70における回路遮断器用の取付構造760に対応した取付部400を有するので、電流センサ30を取り付けるための新規の取付構造を設ける必要がない。
また、本実施形態のように、キャビネット70における取付構造760は、第2方向に離間した第1保持部761及び第2保持部762を有していることが好ましい。この場合に、第1ボディ41Bは、第1コア51を保持し第1保持部761に固定される固定ブロック420と、第2保持部762に固定される可動ブロック421とを有することが好ましい。この場合、可動ブロック421は、可動ブロック421が第2保持部762に固定される固定位置と、可動ブロック421の第2保持部762への固定が解除される解除位置との間で、固定ブロック420に対して相対的に移動可能であることが好ましい。この構成によれば、作業者は、キャビネット70に対する第1ボディ41Bの取り付けを、キャビネット70に対する第1ボディ41Bの仮固定と、キャビネット70に対する第1ボディ41Bの本固定との2段階に分けて行うことができる。したがって、キャビネット70に対する第1ボディ41Bの位置決め精度が向上する。また、可動ブロック421が解除位置にあれば、第1ボディ41Bは第2方向に沿ってスライド移動しながら、前後方向に対向する2つの筒状部404間に導電部材84を導入可能である。したがって、筒状部404と導電部材84との干渉が生じにくく、キャビネット70に対する第1ボディ41Bの取り付けが容易になる。ただし、この構成は電流センサ302に必須の構成ではなく、実施形態1の電流センサ30と同様に、第1ボディ41Bは、固定ブロック420と可動ブロック421とに分かれていなくてもよい。
本実施形態のように、第1ボディ41Bには、第2方向に直交する一方向に貫通する第1結合孔424が形成され、第2ボディ42Bには、上記一方向に貫通し、かつ上記一方向において第1結合孔424と連続する第2結合孔425が形成されることが好ましい。この場合、電流センサ302は、第1結合孔424及び第2結合孔425に跨って、第1結合孔424及び第2結合孔425に差し込まれる結合部材426を更に備え、第2ボディ42Bは、結合部材426によって第1ボディ41Bに結合されることが好ましい。この構成によれば、第1ボディ41Bと第2ボディ42Bとの結合が、比較的簡単な構成で実現でき、かつ堅牢な結合状態を実現できる。ただし、この構成は電流センサ302に必須の構成ではなく、例えば第1ボディ41B又は第2ボディ42B自体の弾性を利用した、いわゆるスナップフィット構造により、第1ボディ41Bと第2ボディ42Bとが結合されてもよい。
また、実施形態3の変形例として、第1ボディ41ではなく第2ボディ42が、キャビネット70における回路遮断器用の取付構造760(図9参照)に対応した取付部400を有し、取付部400によりキャビネット70に取り付けられる構成であってもよい。本変形例では、第1ボディ41は、第2ボディ42に結合されることにより第2ボディ42と共にキャビネット70に取り付けられる。本変形例においても、実施形態3と同様に、第1ボディ41と第2ボディ42との相対的な位置ずれが生じにくい、という効果がある。
実施形態3で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)及び実施形態2で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。