ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷装置の構成:
(2)電源の構成:
(2−1)本体回路の処理:
(2−2)制御ICの処理:
(3)電池パックの選択例:
(4)他の実施形態:
(1)印刷装置の構成:
図1Aは、本発明の一実施形態である電源20によって駆動される印刷装置10を示すブロック図である。印刷装置10は、電源20を装着可能な図示しない装着部およびACアダプター80の接続端子を備えており、装着部に装着された電源20または接続端子に接続されたACアダプター80から電力の供給を受けて駆動される。
図1Aに示す印刷装置10は、電源20、充電回路30、昇圧回路40、駆動部50、昇降圧回路60、本体回路70を備えている。ACアダプター80は、商用電源から交流電力の供給を受け、所定の電圧の直流電力に変換し出力する回路を備えている。
電源20は、電池パック21a〜21dおよび選択回路22を備えている。本実施形態において電源20は4個の電池パック21a〜21d(図2参照)を備えており、各電池パック21a〜21dは直列接続または並列接続された図示しない複数個のセル(本実施形態では二次電池としてのリチウムイオン電池であるがこれに限られるものではない)を備えている。本実施形態において、4個の電池パック21a〜21dは、同一の仕様であり、既定の範囲の電圧の直流電力を出力することができる。すなわち、各電池パック21a〜21dの出力電圧は、各電池パック21a〜21dの残電力量に応じて既定の範囲で変動する。
選択回路22は使用対象の電池パックを選択するための回路を備えており、電池パックの電圧等に応じて使用対象の電池パックを選択し、選択された電池パックを所定の接続態様で接続するように回路を切り替える(詳細は後述)。従って、本実施形態において電源20は、選択された電池パックの数および接続態様に応じた電圧の直流電力を出力する。電源20は、ダイオードを介して昇圧回路40と昇降圧回路60に接続されている。
充電回路30は、ACアダプター80および電源20に接続されており、ACアダプター80から供給される電力を利用して電池パックを充電するための回路を備えている。電源20が備える複数の電源20は、充電回路30の出力に基づいて充電されるが、充電を開始するためのトリガとしては、種々のトリガを想定可能であり、例えば、図示しない操作部に対して利用者の操作や、ACアダプター80が印刷装置10に接続されること、ACアダプター80が印刷装置10に接続された状態において印刷が行われることなく所定時間が経過したこと等をトリガにすることが可能である。
昇圧回路40は、入力された電力の電圧を既定の電圧に昇圧して出力する回路であり、ACアダプター80および電源20の出力配線がダイオードを介して接続されている。また、昇圧回路40の出力配線は駆動部50に接続されており、昇圧回路40の出力電力は駆動部50に供給される。本実施形態において既定の電圧は駆動部50を駆動するために必要な電圧であり、電源20の最大電圧およびACアダプター80の出力電圧よりも大きい。そこで、本実施形態においては、昇圧回路40を介してACアダプター80の出力電圧または電源20の出力電圧を既定の電圧に昇圧し、駆動部50に当該既定の電圧の電力を供給する。なお、昇圧回路40には、本体回路70から制御信号が入力されるように構成されており、本体回路70は、当該制御信号によって昇圧回路40の動作を停止させることが可能である。
駆動部50は、印刷装置10で印刷を実現するために駆動される部位であり、図示しない印刷ヘッドやキャリッジ、印刷媒体搬送装置等が含まれる。本実施形態において、これらの駆動部50の構成要素はピエゾ素子やモーター等によって駆動される。すなわち、昇圧回路40の出力電力がこれらの構成要素に供給されることによって各構成要素が駆動する。なお、駆動部50には、本体回路70から制御信号が入力され、駆動タイミング等は当該制御信号によって制御される。
昇降圧回路60は、入力された電力の電圧を既定の電圧に変換(昇圧または降圧)して出力する回路であり、ACアダプター80および電源20の出力配線がダイオードを介して接続されている。また、昇降圧回路60の出力配線は本体回路70に接続されており、昇降圧回路60の出力電力は本体回路70に供給される。従って、昇降圧回路60は、ACアダプター80の出力電圧または電源20の出力電圧を昇圧または降圧し、本体回路70に既定の電圧の電力を供給する。なお、本実施形態において、本体回路70に供給される電力の既定の電圧は、駆動部50に供給される電力の既定の電圧よりも小さい(例えば、本体回路70が3.3Vに対し、駆動部50が42V等)。
本体回路70は、図示しないCPU,メモリ等を有する制御部を備え、印刷を実行するための所定のプログラムを実行することができる。本実施形態において、本体回路70は、図示しない操作部や外部機器のインターフェースを備えており、操作部に対する利用者の操作に応じて外部機器(メモリやコンピュータ等)から印刷対象を示す情報を取得し、所定の処理を行って印刷イメージを生成し、駆動部50を適宜制御して印刷イメージを印刷媒体に印刷させる。
なお、駆動部50を駆動して印刷を実行する際、本体回路70は昇圧回路40を停止させず、駆動部50に既定の電圧の電力を供給するが、本明細書ではこの状態を印刷モードと呼ぶ。駆動部50が駆動されずに予め決められた所定時間が経過した場合、本体回路70は、昇圧回路40に制御信号を出力して昇圧回路40を停止させる。この場合、本体回路70に供給される電圧と比較して相対的に高い電圧を生成するための電力は、電源20またはACアダプター80から昇圧回路40に供給されない。従って、この状態は印刷モードよりも電力消費が抑制された状態であり、本明細書ではこの状態を省電力モードと呼ぶ。
本体回路70は、上述のように昇圧回路40の停止/非停止や駆動部50の駆動タイミングを制御できるほか、電源20を制御することが可能である。すなわち、本体回路70と電源20とは信号線で接続されており、本体回路70は当該信号線を介して電源20に対して現在が印刷モードであることを示す信号(印刷モード信号)と現在が省電力モードであることを示す信号(省電力モード信号)とを出力することが可能である。
(2)電源の構成:
電源20は、電池パック21a〜21dおよび上述のモード(印刷モードおよび省電力モード)に応じて使用対象の電池パックを選択する構成を備えている。図2は、電源20の内部構成を示すブロック図である。電源20は、電池パック21a〜21dと、制御IC22aと、スイッチSW0〜SW7を備えている。
制御IC22aは、図示しないCPU,メモリ等を有する制御部を備え、予めROM等に記録されたプログラムを実行することによって既定の機能を実行することができる。本実施形態においては、当該プログラムがSW制御部22a1、電圧検出部22a2というプログラムモジュールを備え、SW制御部22a1は、スイッチSW0〜SW7を制御する機能を制御IC22aに実現させる。すなわち、スイッチSW0〜SW7は電気的にオン、オフを切り替え可能なスイッチ(例えば、MOS−FET等)であり、制御IC22aは、SW制御部22a1の処理により、図示しない信号線を介してスイッチSW0〜SW7をオンまたはオフに設定することが可能である。
電圧検出部22a2は、電池パック21a〜21dの電圧を検出する機能を制御IC22aに実現させる。すなわち、制御IC22aは、図示しないA/Dコンバーターおよび配線を備えており、制御IC22aは、電圧検出部22a2の処理により、当該A/Dコンバーターによってアナログ値からデジタル値に変換された電池パック21a〜21dの電圧を取得することができる。
スイッチSW0〜SW7は、電池パック21a〜21dから選択された1個または複数個によって外部に電力を供給することができるように配線されている。すなわち、スイッチSW0,SW2,SW4,SW6は外部端子T1〜T2の間に直列接続されている。また、電池パック21a,スイッチSW1,電池パック21b,スイッチSW3,電池パック21c,スイッチSW5,電池パック21d,スイッチSW7は外部端子T1〜T2の間に直列接続されている。
さらに、スイッチSW0とスイッチSW2との間の配線が、スイッチSW1と電池パック21bの正極との間の配線と導通するように配線が設けられる。また、スイッチSW2とスイッチSW4との間の配線が、スイッチSW3と電池パック21cの正極との間の配線と導通するように配線が設けられる。さらに、スイッチSW4とスイッチSW6との間の配線が、スイッチSW5と電池パック21dの正極との間の配線と導通するように配線が設けられる。
本実施形態において、電源20は、制御IC22aとスイッチSW0〜SW7により、電池パック21a〜21dの電圧および外部の負荷(印刷モード、省電力モードのいずれか)に応じて使用対象の電池パックを切り替える。従って、制御IC22aとSW0〜SW7が選択回路として機能する。ここでは、本体回路70の処理および制御IC22aの処理によって当該電池パックの切替を詳細に説明する。
(2−1)本体回路の処理:
図1Bは、本体回路70の処理を示すフローチャートである。印刷装置10が起動されると、電源20、ACアダプター80のいずれから電力が供給されている状態であっても昇降圧回路60によって本体回路70に印加すべき電圧の電力が生成される。昇降圧回路60から電力が出力されると、本体回路70は、図1Bに示す本体回路の処理を実行する。
当該処理において、本体回路70は、印刷指示があったか否かを判定する(ステップS100)。すなわち、図示しない操作部によって利用者が印刷開始を指示した場合に、本体回路70は、印刷指示があったと判定する。ステップS100において、印刷指示があったと判定されなかった場合、本体回路70は、印刷指示があったと判定されることなく所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS110)。すなわち、本体回路70は、ステップS100において印刷指示があったと判定されなかった場合、図示しない計時回路によって経過時間の計測を開始する。そして、当該計測結果が、所定時間(省電力モードに移行するまでの待機時間として予め規定された時間)以上になった場合、本体回路70は所定時間が経過したと判定する。
ステップS110において、所定時間が経過したと判定されなかった場合、本体回路70は、ステップS100以降の処理を繰り返す。一方、ステップS110において、所定時間が経過したと判定された場合、本体回路70は、省電力モード信号を出力する(ステップS120)。すなわち、本体回路70は、現在が省電力モードであることを示す信号を電源20に対して出力する。また、本体回路70は、昇圧回路40に制御信号を出力し、昇圧回路40を停止させる。その後、本体回路70は、ステップS100以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS100において、印刷指示があったと判定された場合、本体回路70は、印刷モード信号を出力する(ステップS130)。すなわち、本体回路70は、現在が印刷モードであることを示す信号を電源20に対して出力する。次に、本体回路70は、印刷処理を実行する(ステップS140)。すなわち、本体回路70は、昇圧回路40に対して制御信号を出力し、昇圧回路40を非停止状態にさせる。この結果、昇圧回路40から既定の電圧の電力が出力される。また、本体回路70は、操作部に対する利用者の操作に応じて印刷対象を特定し、所定の処理を行って印刷イメージを生成する。さらに、本体回路70は、駆動部50に対して制御信号を出力し、印刷ヘッドやキャリッジ、印刷媒体搬送装置等を駆動させ、当該印刷イメージを印刷させる。印刷処理が終了すると、本体回路70は、ステップS100以降の処理を繰り返す。
(2−2)制御ICの処理:
図3は、制御IC22aの処理を示すフローチャートである。本実施形態においては、電源20が印刷装置10に装着された状態で、印刷装置10が起動されると制御IC22aの処理が開始される。制御IC22aの処理において、制御IC22aは、電池パックの電圧を比較する(ステップS200)。すなわち、制御IC22aは、電圧検出部22a2の処理により、電池パック21a〜21dの電圧を取得し、各電池パック21a〜21dから選択した2個の組み合わせを全ての場合について特定し、各場合について電圧差を取得する。
次に、制御IC22aは、バランスした電池パックが存在するか否かを判定する(ステップS205)。すなわち、制御IC22aは、電圧検出部22a2の処理により、電圧差が閾値以下である電池パックの組み合わせが存在するか否かを判定する。電圧差が閾値以下である電池パックの組み合わせが存在する場合、制御IC22aは、当該組み合わせをバランスした電池パックとみなす。
また、第1の電池パックが第2の電池パックとバランスし、かつ、第2の電池パックが第3の電池パックとバランスする場合、制御IC22aは、第1〜第3の電池パックがバランスしていると見なすなどの処理により、制御IC22aは、バランスした電池パックが3個以上存在する場合であってもそれを特定する。なお、閾値は、電圧が同一と見なすことができるほど小さいか否かを判定するための値であり、予め定義される。
ステップS205において、バランスした電池パックが存在すると判定されなかった場合、制御IC22aは、最も電圧が高い電池パックを使用対象として選択する(ステップS210)。すなわち、バランスした電池パックが存在しない場合、4個の電池パック21a〜21dの電圧が全て異なる値であるため、制御IC22aは、電池パック21a〜21dの電圧を比較し、最も電圧が大きい電池パックを使用対象として選択する。
一方、ステップS205において、バランスした電池パックが存在すると判定された場合、制御IC22aは、現在が印刷モードであるか否かを判定する(ステップS215)。すなわち、図示しない操作部によって利用者が印刷開始を指示した場合、本体回路70は、ステップS100,S130の処理により、電源20に対して印刷モード信号を出力するため、最後に本体回路70から出力された信号が印刷モード信号である場合、制御IC22aは、現在が印刷モードである、すなわち、印刷装置10の負荷が高負荷であると判定する。
ステップS215において、現在が印刷モードであると判定された場合、すなわち、印刷装置10の負荷が高負荷である(電源20の外部が高い電圧を求めている)と判定された場合、制御IC22aは、バランスした電池パックの組み合わせの中から、最も電圧が高い電池パックの組み合わせを使用対象として選択する(ステップS220)。すなわち、ステップS220は、バランスした電池パックが少なくとも1組存在する場合に実行されるため、バランスした電池パックが1組存在するのであれば、制御IC22aは、当該組み合わせを選択し、その電池パックを使用対象として選択する。一方、バランスした電池パックが複数組(本実施形態においては2組)存在するのであれば、制御IC22aは、これらの組の中から電圧が高い組を選択し、その電池パックを使用対象として選択する。
一方、ステップS215において、現在が印刷モードであると判定されない場合、すなわち、印刷装置10の負荷が低負荷である(電源20の外部が低い電圧を求めている)と判定された場合、制御IC22aは、最も電圧が高い電池パックを使用対象として選択する(ステップS225)。すなわち、制御IC22aは、電池パック21a〜21dの電圧を比較し、最も電圧が大きい電池パックを使用対象として選択する。なお、ステップS225は、バランスした電池パックが少なくとも1組存在する場合に実行されるため、最も電圧が大きい電池パックがバランスした電池パックに含まれる場合、制御IC22aは、当該バランスした電池パックの組み合わせを使用対象として選択する。
次に、制御IC22aは、使用対象の電池パックが複数であるか否かを判定する(ステップS230)。そして、ステップS230において使用対象の電池パックが複数であると判定された場合、または、ステップS220が実行された場合、制御IC22aは、使用対象の電池パックを直列接続して電力を出力する(ステップS235)。本実施形態においては、任意の電池パックの組み合わせを直列接続するためにオンにすべきスイッチとオフにすべきスイッチとが予め特定されている。
そこで、制御IC22aは、SW制御部22a1の処理により、使用対象の電池パックを直列接続するためにオンにすべきスイッチに制御信号を出力してオンに設定し、オフにすべきスイッチに制御信号を出力してオフに設定する。なお、ステップS230で使用対象の電池パックが複数であると判断される状況は、低負荷の(印刷モードでない)状況で発生し、要求される電圧が低いため、ステップS235で使用対象の電池パックが並列接続されても良いし、最も電圧が高い電池パックの1個が使用されてもよい。
一方、ステップS210が実行された場合、または、ステップS230において使用対象の電池パックが複数であると判定されない場合、制御IC22aは、使用対象の電池パックによって電力を出力する(ステップS240)。すなわち、ステップS240は使用対象の電池パックが1個の場合に実行されるため、制御IC22aは、SW制御部22a1の処理により、当該電池パックから電力を出力するためにオンにすべきスイッチに制御信号を出力してオンに設定し、オフにすべきスイッチに制御信号を出力してオフに設定する。
以上の処理によれば、バランスした電池パックが存在する場合、印刷モードにおいてはバランスした電池パックの中で最も電池パックの電圧が高い組み合わせが直列接続され、省電力モードにおいては最も電圧が高い電池パックがバランスしている場合にこれらの電池が直列接続される。従って、これらの電池を直列接続する際に電池間における電荷の移動は発生せず(または極めて少なく)、電荷の移動による電力の損失を抑制することができる。
なお、本実施形態において、駆動部50に印加される既定の電圧は、電源20の最大電圧(電池パック21a〜21dを直列接続して得られる電圧)よりも大きい。従って、高負荷である印刷モードにおいては、電源20の出力電圧が昇圧回路40によって昇圧されることになる。そして、バランスした電池パックを直列接続することで得られる電圧は、これらの電池パックを使用して得られる電圧の中で最大の電圧である。そして、本実施形態の印刷モードにおいては、バランスした電池パックが直列接続して使用されるため、バランスした電池パックの組み合わせで出力可能な最大の電圧を電源20から出力することになる。昇圧回路40における電圧の変換においては、変換前後の電圧の差が小さいほど電力変換効率が高い(損失が少ない)ため、バランスした電池パックの組み合わせで出力可能な最大の電圧が電源から出力される本実施形態によれば、当該バランスした電池パックの組み合わせによって得られる最も高い電力変換効率で変換を行って負荷に対して電力を供給することができる。
さらに、上述の処理によれば、電池パックがバランスしているのであれば、低負荷である省電力モードにおいて最大の電圧の電池パックが優先的に使用され、さらに最大の電圧の電池パックがバランスしているならバランスしている複数の電池パックが使用される。すなわち、省電力モードにおいては電圧が最も高い電池が選択される。この構成により、省電力モードにおいては、残電力量が最も多く最も長期に使用可能な電池で外部に電力を供給することができる。
さらに、上述の処理によれば、ある電池パックが使用されることによって電圧が低下し、当該電池と他の電池との電圧差が閾値以下になった場合、当該電池と当該他の電池とが直列接続される。従って、電源の運用過程において、高い電力変換効率で変換を行って負荷に対して電力を供給する状況に、電力の損失を抑制しながら移行することができる。
(3)電池パックの選択例:
次に、電池パックの選択例を説明する。図4A〜図9Bは、図2に示す電源20からスイッチSW0〜SW7および電池パック21a〜21dとその配線を抜き出して示す図である。これらの図においては、電池パックを示すブロック内に電池パックの電圧の相対関係を例示している。また、太い線によって導通している配線を示している。
図4Aは電池パック21aの電圧が最大値Vmaxであり、他の電池パック21b〜21dの電圧が最小値Vminである例を示している。省電力モードにおいてこの例の状況が生じると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21b〜21dがバランスしていると判定し、ステップS215において印刷モードではないと判定する。
この結果、制御IC22aは、ステップS225で最も電圧が高い電池パック21aを使用対象として選択し、ステップS230を経てステップS240を実行する。すなわち、制御IC22aは、図4Aに示すようにスイッチSW1,SW2,SW4,SW6をオンに設定し、スイッチSW0,SW3,SW5,SW7をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21aから電力を供給する。
一方、印刷モードにおいて電池パック21aの電圧が最大値Vmaxであり、他の電池パック21b〜21dの電圧が最小値Vminである状況が発生すると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21b〜21dがバランスしていると判定し、ステップS215において印刷モードであると判定する。
この結果、制御IC22aは、ステップS220で最も電圧が高い電池パックの組み合わせ(電池パック21b〜21d)を使用対象として選択し、ステップS235を実行する。すなわち、制御IC22aは、図4Bに示すようにスイッチSW0,SW3,SW5,SW7をオンに設定し、スイッチSW1,SW2,SW4,SW6をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21b〜21dを直列接続して電力を供給する。
さらに、省電力モードで実現される図4Aに示す状況が継続し、電池パック21aの電圧がVminに達すると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21a〜21dがバランスしていると判定し、ステップS215において印刷モードではないと判定する。
この結果、制御IC22aは、ステップS225で最も電圧が高い電池パック(電池パック21a〜21d)を使用対象として選択し、ステップS230を経てステップS240を実行する。すなわち、制御IC22aは、図4Cに示すようにスイッチSW1,SW3,SW5,SW7をオンに設定し、スイッチSW0,SW2,SW4,SW6をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21a〜21dを直列接続して電力を供給する。
図5Aは電池パック21aの電圧が最小値Vminであり、他の電池パック21b〜21dの電圧が最大値Vmaxである例を示している。省電力モードにおいてこの例の状況が生じると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21b〜21dがバランスしていると判定し、ステップS215において印刷モードではないと判定する。
この結果、制御IC22aは、ステップS225で最も電圧が高い電池パック21b〜21dを使用対象として選択し、ステップS230を経てステップS235を実行する。すなわち、制御IC22aは、図5Aに示すようにスイッチSW0,SW3,SW5,SW7をオンに設定し、スイッチSW1,SW2,SW4,SW6をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21b〜21dを直列接続して電力を供給する。
一方、印刷モードにおいて電池パック21aの電圧が最小値Vminであり、他の電池パック21b〜21dの電圧が最大値Vmaxである状況が発生すると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21b〜21dがバランスしていると判定し、ステップS215において印刷モードであると判定する。
この結果、制御IC22aは、ステップS220で最も電圧が高い電池パックの組み合わせ(電池パック21b〜21d)を使用対象として選択し、ステップS235を実行し、図5Aに示す状況を実現する。すなわち、1個の電池パックのみ電圧が低く、他の電池パックの電圧がバランスしている場合、制御IC22aは、印刷装置10の負荷にかかわらず、バランスした電池パックを直列接続して電力を供給する。
さらに、図5Aに示す状況が継続し、電池パック21b〜21dの電圧がVminに達すると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21a〜21dがバランスしていると判定し、ステップS215を経てステップS220またはステップS225を実行する。これらのステップで使用対象として選択される電池パックは電池パック21a〜21dであるため、制御IC22aは、ステップS235において、図5Bに示すようにスイッチSW1,SW3,SW5,SW7をオンに設定し、スイッチSW0,SW2,SW4,SW6をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21a〜21dを直列接続して電力を供給する。
図6Aは電池パック21a,21bの電圧が最大値Vmaxであり、他の電池パック21c,21dの電圧がV1,V2である例を示している。なお、ここで、Vmax>V1>V2である。省電力モードにおいてこの例の状況が生じると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21a,21bがバランスしていると判定し、ステップS215において印刷モードではないと判定する。
この結果、制御IC22aは、ステップS225で最も電圧が高い電池パック21a,21bを使用対象として選択し、ステップS230を経てステップS235を実行する。すなわち、制御IC22aは、図6Aに示すようにスイッチSW1,SW3,SW4,SW6をオンに設定し、スイッチSW0,SW2,SW5,SW7をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21a,21bを直列接続して電力を供給する。
一方、印刷モードにおいて電池パック21a,21bの電圧が最大値Vmaxであり、他の電池パック21c,21dの電圧がV1,V2である状況が発生すると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21a,21bがバランスしていると判定し、ステップS215において印刷モードであると判定する。
この結果、制御IC22aは、ステップS220で最も電圧が高い電池パックの組み合わせ(電池パック21a,21b)を使用対象として選択し、ステップS235を実行し、図6Aに示す状況を実現する。すなわち、複数個の電池パックの最大値であるとともに電圧がバランスしており、他の電池パックの電圧がそれより低い場合、制御IC22aは、印刷装置10の負荷にかかわらず、バランスした電池パックを直列接続して電力を供給する。
さらに、図6Aに示す状況が継続し、電池パック21a,21bの電圧がV1に達すると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21a〜21cがバランスしていると判定し、ステップS215を経てステップS220またはステップS225を実行する。これらのステップで使用対象として選択される電池パックは電池パック21a〜21cであるため、制御IC22aは、ステップS235において、図6Bに示すようにスイッチSW1,SW3,SW5,SW6をオンに設定し、スイッチSW0,SW2,SW4,SW7をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21a〜21cを直列接続して電力を供給する。すなわち、この例において制御IC22aは、最大電圧でバランスしている電池パックから直列接続にて使用し始め、他の電池パックと電圧がバランスすると、その電池パックを直列接続に加えて使用する。
図7Aは電池パック21a,21bの電圧がV1であり、電池パック21cの電圧が最大値Vmax、電池パック21dの電圧がV2である例を示している。なお、ここで、Vmax>V1>V2である。省電力モードにおいてこの例の状況が生じると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21a,21bがバランスしていると判定し、ステップS215において印刷モードではないと判定する。
この結果、制御IC22aは、ステップS225で最も電圧が高い電池パック21cを使用対象として選択し、ステップS230を経てステップS235を実行する。すなわち、制御IC22aは、図7Aに示すようにスイッチSW0,SW2,SW5,SW6をオンに設定し、スイッチSW1,SW3,SW4,SW7をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21cによって電力を供給する。
一方、印刷モードにおいて電池パック21a,21bの電圧がV1であり、電池パック21cの電圧が最大値Vmax、電池パック21dの電圧がV2である状況が発生すると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21a,21bがバランスしていると判定し、ステップS215において印刷モードであると判定する。
この結果、制御IC22aは、ステップS220で最も電圧が高い電池パックの組み合わせ(電池パック21a,21b)を使用対象として選択し、ステップS235を実行する。すなわち、制御IC22aは、図7Bに示すようにスイッチSW1,SW3,SW4,SW6をオンに設定し、スイッチSW0,SW2,SW5,SW7をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21a,21bを直列接続して電力を供給する。
さらに、図7Bに示す状況が継続し、電池パック21cの電圧がV1に達すると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21a〜21cがバランスしていると判定し、ステップS215を経てステップS220を実行する。このステップで使用対象として選択される電池パックは電池パック21a〜21cであるため、制御IC22aは、ステップS235において、図7Cに示すようにスイッチSW1,SW3,SW5,SW6をオンに設定し、スイッチSW0,SW2,SW4,SW7をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21a〜21cを直列接続して電力を供給する。すなわち、この例において制御IC22aは、バランスした電池パックの数が増えると、順次、その電池パックを直列接続に加えて使用する。
図8Aは電池パック21a〜21dの電圧がVmax,V1,V2,V3であり、全て異なる例を示している。なお、ここで、Vmax>V1>V2>V3である。この例の状況が生じると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パックがバランスしていると判定せず、ステップS210で最も電圧が高い電池パック21aを使用対象として選択する。そして、ステップS240において、制御IC22aは、図8Aに示すようにスイッチSW1,SW2,SW4,SW6をオンに設定し、スイッチSW0,SW3,SW5,SW7をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21aによって電力を供給する。
さらに、図8Aに示す状況が継続し、電池パック21bの電圧がV1に達すると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21a,21bがバランスしていると判定し、ステップS215を経てステップS220またはステップS225を実行する。これらのステップで使用対象として選択される電池パックは電池パック21a,21bであるため、制御IC22aは、ステップS235において、図8Bに示すようにスイッチSW1,SW3,SW4,SW6をオンに設定し、スイッチSW0,SW2,SW5,SW7をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21a,21bを直列接続して電力を供給する。すなわち、この例において制御IC22aは、バランスした電池パックの数が増えると、順次、その電池パックを直列接続に加えて使用する。
図9Aは電池パック21a,21bの電圧が最大値Vmax、電池パック21c,21dの電圧が最小値Vminである例を示している。この例が生じると、制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21a,21bがバランスし、電池パック21c,21dがバランスしていると判定し、ステップS215を経てステップS220またはステップS225を実行する。これらのステップで使用対象として選択される電池パックは電池パック21a,21bであるため、制御IC22aは、ステップS235において、図9Aに示すようにスイッチSW1,SW3,SW4,SW6をオンに設定し、スイッチSW0,SW2,SW5,SW7をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21a,21bを直列接続して電力を供給する。
さらに、図9Aに示す状況が継続し、電池パック21a,21bの電圧がVminに達すると、図3に示す処理において制御IC22aは、ステップS200,205を経て電池パック21a〜21dがバランスしていると判定し、ステップS215を経てステップS220またはステップS225を実行する。これらのステップで使用対象として選択される電池パックは電池パック21a〜21dであるため、制御IC22aは、ステップS235において、図9Bに示すようにスイッチSW1,SW3,SW5,SW7をオンに設定し、スイッチSW0,SW2,SW4,SW6をオフに設定する。この結果、電源20は、使用対象の電池パック21a〜21dを直列接続して電力を供給する。すなわち、この例においても制御IC22aは、バランスした電池パックの数が増えると、順次、その電池パックを直列接続に加えて使用する。
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、複数の電池から相対的に高い電圧の電池を選択して使用する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。
複数の電池は、電位差の生じる複数の電極を備えており、電極への配線によって配線された回路に電力を供給することができればよい。従って、各電池は単一のセルによって構成されていても良いし、複数のセルが直列または並列に接続されて構成されていても良い。また、電池は一次電池であっても良いし二次電池であっても良い。さらに、エネルギー源の態様や電極の態様など、電池の種類は特に限定されず、種々の種類が採用されてよい。
選択回路は、複数の電池から相対的に高い電圧の電池を選択することができればよく、スイッチ等によって配線状態を変更する制御部によって任意の電池を選択可能な回路等によって実現可能である。すなわち、選択回路は、電池の電圧に基づいて使用対象の電池を選択し、制御部でスイッチのオン、オフを切り替える事により、選択された電池を任意の接続態様(直列接続また並列接続)で接続し、外部に電力を供給することができればよい。
選択される電池は、複数の電池の中で少なくとも他の1個と比較した場合に相対的に電圧が高い電池であれば良く、最も高い電圧の電池であっても良い。むろん、選択される電池は1個であっても良いし、複数個であっても良い。複数個の電池が選択される場合、選択された電池が直列接続されても良いし、並列接続されてもよい。前者は、高い電圧が必要である場合、後者は長期の電力供給が必要である場合に好ましい構成である。
さらに、相対的に高い電圧の電池を選択する際の構成例として、選択回路は、電圧差が閾値以下である複数の電池を選択し、選択された複数の電池を直列接続して外部に電力を供給させる構成であっても良い。すなわち、電圧差が閾値以下である複数の電池は、電圧がバランスしており、これらの電池を直列接続しても電池間における電荷の移動は発生せず(または極めて少なく)、電荷の移動による電力の損失を抑制することができる。なお、閾値は、電荷の移動による電力を無視できるように設定されていればよい(閾値について以下同様)。すなわち、閾値以下の電圧差の複数の電池は、電圧が均一であると見なすことができるように閾値が設定されていればよい。
なお、電源から電力の供給を受ける外部の負荷は、通常、印加されるべき電圧(または電圧範囲)が仕様によって決まっている。そして、複数の電圧を組み合わせて出力可能な複数の電圧の少なくとも1個と、負荷に印加される電圧とは異なっている。従って、負荷に印加される電圧と異なる電圧が電源から出力される場合、当該電圧が昇降圧回路によって変換された後に負荷に対して印加される。このような変換において、一般的には、変換前後の電圧の差が小さいほど電力変換効率が高い(損失が少ない)。
そして、電源と外部の負荷とを備えるシステム(電子機器等)を構成する場合、通常は、複数の電池によって出力可能な電圧の最大値が負荷に印加すべき電圧の最大値以上にならないように構成される。従って、このような構成において、相対的に高い電圧の電池を複数個直列接続する構成が採用されると、複数の電池によって出力し得る最大の電圧を昇降圧回路に供給することができ、当該複数の電池によって得られる最も高い電力変換効率で変換を行って負荷に対して電力を供給することができる。
さらに、選択回路が、外部の負荷に基づいて電池を選択する構成としてもよい。この構成は、例えば、選択回路が、外部が低い電圧を求めている(外部の負荷が低負荷である)場合、最も高い電圧の電池を選択し、選択された電池によって外部に電力を供給させ、外部が高い電圧を求めている(外部の負荷が高負荷である)場合、電圧差が閾値以下である複数の電池の組み合わせであって、最も高い電圧の電池の組み合わせを選択し、選択された複数の電池を直列接続して外部に電力を供給させることによって実現可能である。
すなわち、外部が低い電圧を求めている場合、電圧が最も高い電池が選択されるため、外部が低い電圧を求めている場合においては、残電力量が最も多く、最も長期に使用可能な電池で外部に電力を供給することができる。むろん、この場合、電圧が最も高い電池が複数個存在する(電圧差が閾値以下であってバランスしていると見なすことができる電池が複数個存在する)場合、それらの電池を直列接続しても良いし、並列接続しても良いし、複数の電池の中の1個を単独で使用してもよい。
一方、外部が高い電圧を求めている場合、選択回路は、電圧差が閾値以下である複数の電池、すなわち、バランスしている複数の電池を組み合わせて直列接続する。従って、電荷の移動による電力の損失が発生しない電池によって外部に電力供給が可能である。また、選択回路は、バランスしている電池の組み合わせの中から最も電圧の高い組み合わせを選択する。この結果、バランスしている電池の組み合わせの中で、最も電圧が高い組み合わせが選択され、直列接続により、バランスした電池の組によって出力可能な最大電圧で外部に電力を供給することができる。従って、昇降圧回路で電力が変換される場合であっても、高い電力変換効率で変換を行って負荷に対して電力を供給することができる。
さらに、電池からの電力の供給によって、当該電池と他の電池との電圧差が閾値以下になった場合、選択回路が当該電池と当該他の電池とを直列接続して外部に電力を供給させる構成を採用してもよい。すなわち、使用中の電池の電力量が低下し、電圧が低下したことによって他の電池と電圧がバランスする場合、他の電池と組み合わせて直列接続して電力を外部に供給する。この構成によれば、電源の運用過程において、電力の損失を抑制しながら、高い電力変換効率で変換を行って負荷に対して電力を供給する状況に移行することができる。
さらに、上述の電源を備え、該電源から供給される電力で動作する電子機器が構成されても良い。電子機器としては、電源によって駆動する種々の機器を想定する事が可能であり、例えば、印刷装置、スキャナ装置、撮像装置、演算装置、携帯端末等やこれらの装置を含む複合機等が挙げられる。さらに、以上のような、複数の電池から相対的に高い電圧の電池を選択して使用する本発明の手法は、方法としても実現可能である。