<MFPの構成>
図1に、本願に係る実施形態として例示されるMFP(Multifunction Peripheralの略)(本発明の複写機の一例)10のブロック図を示す。
MFP10は、CPU(本発明の制御部およびコンピュータの一例)12、記憶部14、ディスプレイ16、入力I/F(本発明の操作部の一例)18、記録部(本発明の記録部の一例)20、読取部(本発明の読取部の一例)22、検出センサ24、カバーセンサ25、モデム26、電話回線接続部(本発明の送信部の一例)28を主に備えている。これらの構成要素は、入出力ポート30を介して互いに通信可能とされている。
ディスプレイ16は、MFP10の各種機能を表示する表示面を備える。ディスプレイの一例としては、例えば、LCD、有機EL、プラズマディスプレイ等が挙げられる。入力I/F18は、例えば、ディスプレイ16と一体的に構成されているタッチパネルであってよく、ディスプレイ16上に表示されたアイコンへのユーザ操作を受け付ける。また、タッチパネル以外にも、ハードキー等であってもよい。
記録部20は、印刷機構であり、図2に示すように、インクジェットヘッド31を有している。インクジェットヘッド31は、矢印32に向かう方向に移動可能とされており、図での実線位置と点線位置との間で移動する。また、記録部20は、搬送機構(図示省略)を有している。搬送機構は、用紙トレイ(図示省略)(本発明の用紙収容部の一例)に収容された印刷用紙(本発明の記録用紙の一例)を、用紙排出部(図示省略)まで搬送する。この際、搬送機構は、インクジェットヘッド31の下方において、印刷用紙33を矢印34の方向、つまり、インクジェットヘッド31の移動方向(矢印32の方向)と直行する方向に搬送する。そして、CPU12は、印刷用紙をインクジェットヘッド31の下方において搬送させ、インクジェットヘッド31に駆動信号を入力する。これにより、インクジェットヘッド31が、入力された駆動信号に応じて、ノズルからインクを吐出することで、印刷用紙33に画像が印刷される。ちなみに、MFP10は、3個の用紙トレイを有しており、搬送機構は、3個の用紙トレイのうちの任意の1の用紙トレイから印刷用紙33を搬送する。なお、記録部20では、A3サイズ、A4サイズ、A5サイズの印刷用紙33への印刷を行うことが可能である。また、インクジェットヘッド31の移動範囲は、A4サイズの印刷用紙33の長辺に相当する長さである。このため、A4サイズ以下の印刷用紙、つまり、A4サイズの印刷用紙33a及び、A5サイズの印刷用紙は、印刷用紙の短辺の延びる方向に向かって搬送される。また、A3サイズの印刷用紙33bは、印刷用紙の長辺の延びる方向に向かって搬送される。
読取部22は、MFP10の内部に配設されており、画像の読み取りを行う。詳しくは、MFP10は、図3に示すように、筐体35と透明板(本発明の載置部の一例)36とカバー37とを含む。筐体35は、上面が開口しており、その上面には、透明板36が嵌めこまれている。そして、その透明板36を覆うように、カバー37が、開閉可能に配設されている。透明板36は、図5に示すように、概して矩形とされており、A3サイズの原稿より僅かに大きなサイズとされている。また、読取部22は、図3に示すように、読取装置38を有している。読取装置38は、透明板36の下方に配設され、矢印39の向かう方向(本発明の第2方向の一例)、所謂、副走査方向に移動可能とされている。なお、矢印39の向かう方向は、透明板36の長辺の延びる方向(図5の矢印40の向かう方向)とされている。その読取装置38は、光源41、レンズ42、CIS(Contact Image Sensorの略)(本発明の撮像素子の一例)43を有している。光源41は、透明板36に向かって光を照射する。そして、光源41から透明板36に向かって照射され、透明板36により反射した光が、レンズ42を通過し、その反射光を、CIS43が受光する。ちなみに、CIS43は、図3の紙面垂直方向、つまり、副走査方向に直行する方向(本発明の第1方向の一例)、所謂、主走査方向(以下、単に主走査方向と称する)に向かって延びるように配設されている。なお、CIS43の延びる方向は、透明板36の短辺の延びる方向(図5の矢印44の向かう方向)とされており、CIS43の長さ寸法は、透明板36の短辺と同程度の長さ寸法とされている。そして、透明板36に原稿が載置され、カバー37が閉じられた状態で、読取装置38が矢印39に向かう方向、つまり、副走査方向に移動されることで、原稿の画像がCIS43によって読み取られる。このため、読取部22は、透明板36とカバー37と読取装置38とによって構成されると考えられる。なお、読取部22では、A3サイズ、A4サイズ、A5サイズの原稿の読み取りを行うことが可能である。また、カバーセンサ25は、カバー37の開状態、及び閉状態のそれぞれを示す信号を出力する。これにより、CPU12はカバー37の開閉状態を検知することができる。
なお、透明板36は、上述したように、A3サイズの原稿より僅かに大きなサイズであるため、A3サイズの原稿は、透明板36と一致するように、透明板36の上に載置される。つまり、A3サイズの原稿は、原稿の長辺と透明板36の長辺とが一致し、原稿の短辺と透明板36の短辺とが一致するように、透明板36の上に載置される。ただし、A4サイズの原稿、及び、A5サイズの原稿は、横方向、若しくは、縦方向に透明板36の上に載置される。詳しくは、透明板36の上にA4サイズの原稿が載置される場合には、点線45で示される位置、若しくは、一点鎖線46で示される位置に、原稿が載置される。点線45で示される位置に原稿が載置された場合に、原稿は、長辺を矢印44の方向、つまり、CIS43の延びる方向に沿うように載置されることで、縦方向に延びる姿勢となる。このため、原稿の長辺が矢印44の方向、つまり、CIS43の延びる方向に沿うように透明板36に載置された原稿の方向を、縦方向と定義する。また、一点鎖線46で示される位置に原稿が載置された場合に、原稿は、短辺を矢印44の方向、つまり、CIS43の延びる方向に沿うように載置されることで、横方向に延びる姿勢となる。このため、原稿の短辺が矢印44の方向、つまり、CIS43の延びる方向に沿うように透明板36に載置された原稿の方向を、横方向と定義する。
また、MFP10では、ADF(Auto Document Feederの略)(本発明の載置部の一例)にセットされた原稿も、読取可能である。詳しくは、図4に示すように、MFP10のカバー37の上面には、ADFの載置部47が配設されている。そして、その載置部47に載置された原稿が、カバー37の内部を搬送され、載置部47の下方に配設された排出部48に排出される。この載置部47から排出部48までの原稿の配送経路に、読取装置38が配設されている。そして、ADFの載置部47にセットされた原稿が、副走査方向に搬送され、搬送される原稿の画像が、読取装置38のCIS43によって読み取られる。これにより、ADFにセットされた原稿も、読取部22によって読み取られる。なお、ADFにより搬送可能な最大原稿は、A3サイズの原稿とされており、A3サイズの原稿は、長辺が搬送方向に沿うようにセットされた場合にのみ、ADFによって搬送される。ただし、A4サイズの原稿、及び、A5サイズの原稿は、横方向と縦方向との何れの方向にADFにセットされても、ADFによって搬送される。詳しくは、A4サイズの原稿、及び、A5サイズの原稿が、長辺が搬送方向に沿うようにADFの載置部47にセットされると、MFP10の正面から見て横方向に延びる姿勢となる。このため、原稿の長辺が搬送方向に沿うようにADFにセットされた原稿の方向を、横方向と定義する。一方、A4サイズの原稿、及び、A5サイズの原稿が、短辺が搬送方向に沿うようにADFの載置部47にセットされると、MFP10の正面から見て縦方向に延びる姿勢となる。このため、原稿の短辺が搬送方向に沿うようにADFにセットされた原稿の方向を、縦方向と定義する。
なお、MFP10では、CIS43が採用されているが、CCDイメージセンサを採用することが可能である。ただし、CCDイメージセンサが採用される場合は、光源からの照射光がミラーにより反射され、その反射光がセンサにより受光される。そして、CCDイメージセンサは、固定されており、少なくともミラーが副走査方向に移動される。このため、CIS43が採用された場合では、CIS43の配設位置が、画像の読み取り位置となるが、CCDイメージセンサが採用された場合は、ミラーの位置が読み取り位置となる。
検出センサ24は、ADFにセットされた原稿の搬送方向と直行する方向における寸法を検出するためのセンサである。つまり、検出センサ24は、CIS43の延びる方向、すなわち主走査方向におけるADFにセットされた原稿の寸法を検出するためのセンサである。また、検出センサ24は、図4に示すように、ADFの原稿の搬送路の上流に配置されている。なお、検出センサ24は、光学式、機械式などがあるが、特に限定されない。また、検出センサ24が、ADFの載置部47への原稿の有無の検知を兼ねている。
CPU12は、記憶部14内の制御プログラム(本発明の制御プログラムの一例)47に従って処理を実行する。制御プログラム47は、MFP10において各種の処理を実行するためのプログラムである。なお、記憶部14は、RAM(Random Access Memoryの略)、ROM(Read Only Memoryの略)、フラッシュメモリー、HDD(Hard Disk Driveの略)、CPU12が備えるバッファなどが組み合わされて構成されている。また、記憶部14は、データ記憶領域(本発明の記憶部の一例)48を備える。データ記憶領域48は、制御プログラム47の実行に必要なデータなどを記憶する領域であり、パーマネント設定領域48a、テンポラリ設定領域48bを備える。
モデム26は、ファクシミリ機能によって送信する原稿データを、電話回線網(本発明の電話回線網の一例)49に伝送可能な信号に変調して電話回線接続部28を介して送信したり、電話回線網49から電話回線接続部28を介して入力された信号を受信し、原稿データを復調するものである。
<MFP10による各種処理の実行>
MFP10では、上述した構成により、コピー処理,スキャン処理,ファックス処理の各種処理を実行することが可能である。詳しくは、MFP10では、通常、ディスプレイ16に、図6に示すメニュー画面50が表示されている。メニュー画面50には、ファックス選択アイコン52、コピー選択アイコン54、スキャン選択アイコン56、設定アイコン58が表示されている。
ファックス選択アイコン52は、透明板36、若しくは、ADFにセットされた原稿の画像データを読み取り、その画像データを、電話回線網49を介して送信するファックス処理を選択するためのアイコンである。コピー選択アイコン54は、透明板36、若しくは、ADFにセットされた原稿の画像データを読み取り、その画像データに基づく画像のコピー処理を選択するためのアイコンである。スキャン選択アイコン56は、透明板36、若しくは、ADFにセットされた原稿の画像データを読み取り、その画像データをデータ記憶領域48に記憶するスキャン処理を選択するためのアイコンである。設定アイコン58は、各種処理を実行する際に用いられる設定値を設定するためのアイコンである。
MFP10でのコピー処理では、透明板36、若しくは、ADFにセットされた原稿の原稿サイズが推定され、その原稿サイズおよび、拡縮率に応じた印刷用紙の用紙サイズが特定される。そして、その特定されたサイズの印刷用紙への印刷が行われる。なお、拡縮率は、原稿の画像が印刷用紙に印刷される際の原稿の画像の拡大率、若しくは、縮小率である。つまり、拡縮率は、原稿の原稿サイズに対する印刷用紙の用紙サイズの比率である。また、原稿サイズとともに、原稿の載置方向、つまり、透明板36、若しくは、ADFにセットされた原稿が横方向であるか否かも特定され、原稿の載置方向が横方向である場合に、原稿の縦置きを推奨する画面がディスプレイ16に表示される。以下に、MFP10でのコピー処理について詳しく説明する。
まず、パーマネネント設定について説明する。パーネント設定は、コピー処理を含む複数の処理におけるデフォルト値の設定である。メニュー画面50の設定アイコン58へのユーザ操作によって、ディスプレイ16に設定画面(図示省略)が表示される。そして、その設定画面において、3個の用紙トレイの各々に収容されている印刷用紙の用紙サイズが入力される。具体的には、例えば、3個の用紙トレイのうちの1の用紙トレイ(以下、「トレイA」と記載する)に、A4サイズの印刷用紙が収容され、3個の用紙トレイのうちのトレイAと異なる1の用紙トレイ(以下、「トレイB」と記載する)に、A3サイズの印刷用紙が収容され、3個の用紙トレイのうちのトレイA及びトレイBと異なる1の用紙トレイ(以下、「トレイC」と記載する)に、A5サイズの印刷用紙が収容されている場合に、その旨の情報が設定画面において入力される。
これにより、図7に示すように、各用紙トレイと、各用紙トレイに収容されている用紙サイズとが関連付けられて、パーマネント設定領域48aに記憶される。また、設定画面では、3個の用紙トレイのうちの何れかの用紙トレイを、使用対象の用紙トレイとして設定することが可能である。詳しくは、トレイAとトレイBとトレイCとの各々を選択するための選択アイコンが、設定画面に表示され、操作された選択アイコンに応じた用紙トレイが、使用対象の用紙トレイとして設定される。つまり、例えば、トレイAに応じた選択アイコンが操作された場合には、トレイAが使用対象の用紙トレイとして設定される。なお、設定画面において入力された設定値は、ファックス処理、コピー処理等の全ての印刷を伴う処理に共通する設定値となる。このため、トレイAが使用対象の用紙トレイとして設定された場合には、各種処理で印刷用紙が使用される際に、トレイAに収容されたA4の印刷用紙に画像が印刷される。なお、用紙トレイの選択により、用紙サイズが選択されることから、用紙トレイの選択は、用紙サイズの選択に含まれる。
また、MFP10では、コピー処理等の印刷を伴う処理において、使用対象の用紙トレイの設定を“自動”とすることが可能である。詳しくは、設定画面には、使用対象の用紙トレイの設定を“自動”とするための選択アイコンが表示され、その選択アイコンが操作されることで、使用対象の用紙トレイが後述する条件に従い自動で設定される。また、設定画面では、用紙トレイの設定を“自動”とした場合、用紙トレイの優先順位がユーザ操作により受付けられ、図7に示すように、各用紙トレイと、各用紙トレイに設定された優先順位とが関連付けられて、パーマネント設定領域48aに記憶される。この優先順位は、各処理において使用される用紙トレイの優先度を特定するためのものであり、優先度が高い順番である。このため、使用対象の用紙トレイ設定が“自動”とされている際に、図7に示すように用紙トレイと優先順位とがパーマネント設定領域48aに記憶されている場合には、トレイBが使用対象の用紙トレイとして設定される可能性が高くなる。このように、設定画面では、トレイ設定として、トレイA〜Cのうちの何れかのトレイの、若しくは、“自動”を選択することが可能である。つまり、設定画面では、印刷を伴う各種処理実行時における使用対象の用紙トレイが、優先順位に応じた用紙トレイ、若しくは、ユーザ操作により特定された用紙トレイに設定される。
また、MFP10においてコピー処理が実行される際に、ユーザは、メニュー画面50においてコピー選択アイコン54を操作する。これにより、ディスプレイ16に、図8に示すコピー処理実行画面70が表示される。コピー処理実行画面70には、印刷枚数選択アイコン72と、設定値表示欄74と、設定変更アイコン76と、モノクロコピー開始アイコン78と、カラーコピー開始アイコン80とが表示される。
設定値表示欄74には、コピー処理の設定値が表示される。詳しくは、コピー処理時の拡縮率,両面印刷の有無,コピー処理時に用いられる用紙トレイ及びトレイに収容されている印刷用紙の用紙サイズ、印刷品質が、コピー処理の設定値として、設定値表示欄74に表示される。なお、設定値表示欄74の用紙トレイ及び用紙サイズは、設定画面で設定され、パーマネント設定領域48aに記憶された設定値が表示される。つまり、設定画面で、ユーザ操作により用紙トレイが特定されている場合には、その特定された用紙トレイ及び、そのトレイと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズが、設定値表示欄74に表示される。具体的には、例えば、ユーザ操作によりトレイAが設定された場合には、トレイA及び、トレイAと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されているA4サイズが、設定値表示欄74に表示される。また、設定画面で、“自動”が設定されている場合には、設定された優先順位に従い自動で選択された用紙トレイ及び、そのトレイと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズが、設定値表示欄74に表示される。具体的には、例えば、図7に示す優先順位が設定されている場合には、トレイB及び、そのトレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されているA3サイズが、設定値表示欄74に表示される。なお、用紙トレイが自動で設定された場合は、ユーザの意思に従って用紙トレイが設定されている場合と区別するために、用紙トレイの後ろに“優先”の文字が表示される。
ただし、コピー処理の設定値は、設定変更アイコン76の操作により変更することが可能である。詳しくは、設定変更アイコン76の操作により、ディスプレイ16に、図9に示す設定変更画面100が表示される。設定変更画面100には、用紙サイズ変更アイコン104と、トレイ変更アイコン106と、拡縮率変更アイコン108と、OKアイコン112とが表示される。用紙サイズ変更アイコン104は、印刷対象の印刷用紙の用紙サイズを変更するためのアイコンである。トレイ変更アイコン106は、使用対象の用紙トレイを変更するためのアイコンである。なお、トレイ変更アイコン106の操作により、トレイA〜Cのうちの何れかのトレイの設定、若しくは、使用対象の用紙トレイの自動設定を選択することが可能である。拡縮率変更アイコン108は、拡縮率を変更するためのアイコンである。そして、各種変更アイコンの操作後に、OKアイコン112が操作されることで、ディスプレイ16に、図8に示すコピー処理実行画面70が表示され、そのコピー処理実行画面70の設定値表示欄74には、各種変更アイコンの操作に応じた設定値が表示される。
つまり、例えば、設定画面において、使用対象の用紙トレイの自動設定が選択されている場合であっても、設定変更画面100において、トレイ変更アイコン106が操作され、特定のトレイがユーザ操作により設定された場合は、そのユーザ操作により設定された用紙トレイ及び、そのトレイに収容されている用紙サイズが、設定値表示欄74に表示される。また、例えば、設定画面において、使用対象の用紙トレイの自動設定が選択されている場合であっても、設定変更画面100において、用紙サイズ変更アイコン104が操作され、印刷用紙の用紙サイズが設定された場合は、そのユーザ操作により設定された用紙サイズ及び、その用紙サイズの印刷用紙を収容している用紙トレイが、設定値表示欄74に表示される。
また、コピー処理実行画面70において、モノクロコピー開始アイコン78若しくは、カラーコピー開始アイコン80が操作されると、設定値表示欄74に表示されているコピー処理の設定値に応じたコピー処理が実行される。ただし、MFP10では、上述したように、ユーザの意思に従って用紙トレイが設定されている場合と、用紙トレイの自動設定が選択されている場合とがあり、それぞれの場合に応じてコピー処理の手法が異なっている。このため、以下に、それぞれの場合に応じたコピー処理について詳しく説明する。
まず、ユーザの意思に従って用紙トレイが設定されている場合のコピー処理について説明する。なお、ユーザの意思に従って用紙トレイが設定されている場合とは、設定変更画面100での用紙サイズ変更アイコン104へのユーザ操作により、印刷用紙の用紙サイズが設定された場合、設定変更画面100でのトレイ変更アイコン106へのユーザ操作により、特定の用紙トレイが設定された場合である。また、設定画面で特定の用紙トレイが設定され、設定変更画面100において、用紙サイズ若しくは、用紙トレイの変更が行われなかった場合も、ユーザの意思に従って用紙トレイが設定されている場合に該当する。
ユーザの意思に従って用紙トレイが設定されている場合には、コピー処理実行画面70の設定値表示欄74に表示されている用紙トレイと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズが、テンポラリ設定領域48bに記憶される。このテンポラリ設定領域48bは、コピー選択アイコン54がユーザ操作により選択され、コピー処理実行画面70が表示されると、設定値表示欄74に表示される設定値が記憶され、設定変更画面100において各種設定値が変更されることで上書きされ、コピー処理が完了すると、そこに記憶された設定値がクリアされる領域である。
また、透明板36、若しくは、ADFにセットされた原稿の主走査方向の寸法が検出される。詳しくは、透明板36に原稿がセットされ、カバー37が閉じられると、読取装置38が僅かに移動され、CIS43による読取が行われる。これにより、透明板36にセットされた原稿の主走査方向の寸法が検出される。また、ADFに原稿がセットされると、検出センサ24によって主走査方向の原稿の寸法が検出される。
続いて、モノクロコピー開始アイコン78若しくは、カラーコピー開始アイコン80が操作されると、テンポラリ設定領域48bに記憶された用紙サイズと、コピー処理の設定値として設定されている拡縮率とに基づいて、原稿の原稿サイズが推定される。詳しくは、原稿の原稿サイズに対する印刷用紙の用紙サイズの比率が、拡縮率であるため、原稿サイズは、用紙サイズを拡縮率で除することで演算される。次に、演算された原稿サイズと、検出された主走査方向の原稿寸法とに基づいて、原稿の載置方向が推定される。そして、読取装置38が、その載置方向で載置された原稿の副走査方向での寸法に相当する距離、移動されることで、推定された方向で載置された原稿サイズに応じた領域が、CIS43によって読み取られる。つまり、例えば、原稿サイズがA4と推定され、主走査方向の原稿寸法がA4サイズの原稿の長辺に相当する寸法である場合は、CIS43の延びる方向、つまり、図5の矢印44の延びる方向に沿って、A4サイズの原稿が載置されているため、原稿の載置方向は、縦方向と推定される。この際、縦方向に延びるように載置されたA4サイズの原稿の副走査方向(図5の矢印40の延びる方向)の寸法は、A4サイズの原稿の短辺に相当する寸法となる。このため、読取装置38が、A4サイズの原稿の短辺に相当する距離、移動されることで、縦方向に載置されたA4サイズの原稿に相当する領域が、CIS43によって読み取られる。そして、その読み取られた画像データが、拡縮率に応じた印刷用の画像データに変換される。つまり、例えば、原稿がA4サイズであり、拡縮率が141%である場合には、A4サイズに相当する画像データを、縦方向及び横方向に141%、拡大させる。これにより、A3サイズに相当する印刷用の画像データが作成される。
また、原稿の原稿サイズがA4以下であり、原稿の載置方向が横方向である場合には、原稿の画像読取時の原稿の姿勢と、印刷用紙への画像印刷時の印刷用紙の姿勢とが異なるため、読み取られた原稿の画像を90度回転させた状態で、印刷用紙に印刷する必要がある。詳しくは、例えば、A3サイズの原稿の画像が、読取部22により読み取られる際には、原稿は横方向を向いた姿勢で、長辺の延びる方向に、原稿とCIS43とが相対的に移動される。また、A3サイズの印刷用紙に画像が、記録部20により印刷される際には、図2に示すように、原稿は横方向を向いた姿勢で、長辺の延びる方向に搬送される。つまり、画像読取時の原稿の姿勢と、画像印刷時の印刷用紙の姿勢とは同じとなる。このように、画像読取時の原稿の姿勢と、画像印刷時の印刷用紙の姿勢とは同じとなる場合には、原稿の画像が、読取部22によって読み取られた状態で、印刷用紙に印刷される。詳しくは、横方向を向いた姿勢の原稿と、CIS43とが、原稿の長辺の方向に相対的に移動されると、CIS43は、原稿の短辺の方向に沿って画像を読み取る。また、横方向を向いた姿勢の印刷用紙が、長辺の方向に向かって搬送されると、インクジェットヘッド31は、印刷用紙の短辺の方向に沿って画像を印刷する。このように、画像読取時の原稿の姿勢と、画像印刷時の印刷用紙の姿勢とが、横方向である場合には、原稿の短辺の方向に沿って読み取られた画像が、印刷用紙の短辺の方向に沿って印刷される。つまり、画像読取時の原稿の姿勢と、画像印刷時の印刷用紙の姿勢とが同じである場合には、原稿の画像が、読取部22によって読み取られた状態で、印刷用紙に印刷される。
また、例えば、A4サイズ以下の原稿は、縦方向と横方向との何れかの方向で透明板36、若しくは、ADFにセットされるが、縦方向にセットされた場合には、図5に示すように、原稿は縦方向を向いた姿勢で、短辺の延びる方向に、原稿とCIS43とが相対的に移動される。また、A4サイズ以下の印刷用紙に画像が、記録部20により印刷される際には、図2に示すように、原稿は縦方向を向いた姿勢で、短辺の延びる方向に搬送される。つまり、画像読取時の原稿の姿勢と、画像印刷時の印刷用紙の姿勢とは同じとなる。このように、画像読取時の原稿の姿勢と、画像印刷時の印刷用紙の姿勢とは同じとなる場合には、原稿の画像が、読取部22によって読み取られた状態で、印刷用紙に印刷される。詳しくは、縦方向を向いた姿勢の原稿と、CIS43とが、原稿の短辺の方向に相対的に移動されると、CIS43は、原稿の長辺の方向に沿って画像を読み取る。また、縦方向を向いた姿勢の印刷用紙が、短辺の方向に向かって搬送されると、インクジェットヘッド31は、印刷用紙の長辺の方向に沿って画像を印刷する。このように、画像読取時の原稿の姿勢と、画像印刷時の印刷用紙の姿勢とが縦方向である場合には、原稿の長辺の方向に沿って読み取られた画像が、印刷用紙の長辺の方向に沿って印刷される。つまり、画像読取時の原稿の姿勢と、画像印刷時の印刷用紙の姿勢とが同じである場合には、原稿の画像が、読取部22によって読み取られた状態で、印刷用紙に印刷される。
しかしながら、A4サイズ以下の原稿が横方向に透明板36、若しくは、ADFにセットされた場合には、図5に示すように、原稿は横方向を向いた姿勢で、長辺の延びる方向に、原稿とCIS43とが相対的に移動される。また、A4サイズ以下の印刷用紙に画像が、記録部20により印刷される際には、図2に示すように、原稿は縦方向を向いた姿勢で、短辺の延びる方向に搬送される。つまり、画像読取時の原稿の姿勢と、画像印刷時の印刷用紙の姿勢とは異なる。このように、画像読取時の原稿の姿勢と、画像印刷時の印刷用紙の姿勢とは異なる場合には、原稿の画像が、読取部22によって読み取られた状態から90度回転された状態で、印刷用紙に印刷される。詳しくは、横方向を向いた姿勢の原稿と、CIS43とが、原稿の長辺の方向に相対的に移動されると、CIS43は、原稿の短辺の方向に沿って画像を読み取る。また、縦方向を向いた姿勢の印刷用紙が、短辺の方向に向かって搬送されると、インクジェットヘッド31は、印刷用紙の長辺の方向に沿って画像を印刷する。このように、画像読取時の原稿の姿勢が横方向であり、画像印刷時の印刷用紙の姿勢が縦方向である場合には、原稿の短辺の方向に沿って読み取られた画像を、印刷用紙の長辺の方向に沿って印刷できない。このため、原稿の画像が全て読み取られた後に、その読み取られた画像が、印刷用紙の長辺の方向に沿った画像に変換され、その変換された画像が、印刷用紙の長辺の方向に沿って印刷される。つまり、画像読取時の原稿の姿勢と、画像印刷時の印刷用紙の姿勢とが異なる場合には、原稿の画像が、読取部22によって読み取られた状態から90度回転させた状態で、印刷用紙に印刷される。
このため、先に推定された原稿サイズがA4以下であり、先に推定された原稿の載置方向が横方向である場合には、原稿の画像が、読取部22によって読み取られた状態から90度回転させた状態で、印刷用紙に印刷されるように、印刷用の画像データの変換が行われる。このように、印刷用の画像データが作成されると、テンポラリ設定領域48bに記憶されている用紙サイズと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙トレイから、印刷用紙が給紙される。そして、給紙された印刷用紙に、印刷用の画像データに基づく画像が、記録部20によって印刷される。これにより、ユーザの意思に従って設定された印刷用紙に、画像が印刷される。
次に、用紙トレイの自動設定が選択されている場合のコピー処理について説明する。用紙トレイの自動設定が選択されている場合においても、ユーザの意思に従って用紙トレイが設定されている場合と同様に、用紙サイズが、テンポラリ設定領域48bに記憶される。また、透明板36、若しくは、ADFにセットされた原稿の主走査方向の寸法が検出される。
次に、その原稿寸法と拡縮率とに基づいて、印刷用紙の用紙サイズが推定される。詳しくは、まず、原稿寸法に基づいて、原稿の原稿サイズが推定される。この際、例えば、主走査方向の原稿寸法が、A5サイズの原稿の長辺に相当する寸法であれば、原稿サイズはA5であると推定される。ただし、主走査方向の原稿寸法が、A3サイズの原稿の短辺に相当する寸法であれば、原稿サイズはA3サイズ若しくはA4サイズであると推定される。具体的には、例えば、図10に示す形状の透明板36において、矢印44の方向がCIS43の延びる方向である場合には、点線120で示す位置に、A3サイズの原稿が載置されると、主走査方向の原稿寸法は、A3サイズの原稿の短辺に相当する寸法となり、1点鎖線122で示す位置に、A4サイズの原稿が載置されると、原稿寸法は、A3サイズの原稿の短辺に相当する寸法となる。このため、主走査方向の原稿寸法が、A3サイズの原稿の短辺に相当する寸法である場合には、原稿サイズはA3サイズ若しくはA4サイズと推定される。
次に、推定された原稿サイズと拡縮率とに基づいて、印刷用紙の用紙サイズが推定される。詳しくは、拡縮率は、原稿の原稿サイズに対する印刷用紙の用紙サイズの比率であるため、用紙サイズは、推定された原稿サイズに拡縮率を乗じることで演算される。このため、例えば、主走査方向の原稿寸法がA3サイズの短辺に相当する寸法である場合には、図11に示すように、拡縮率に応じて用紙サイズが推定される。図から解るように、主走査方向の原稿寸法がA3サイズの短辺に相当する寸法であり、拡縮率が141%である場合には、推定される用紙サイズ(以下、「推定用紙サイズ」と記載する)として、A3サイズの1種類の用紙サイズが推定される。また、拡縮率が69%である場合には、A4サイズとA5サイズとの2種類の用紙サイズが、推定用紙サイズとして推定され、拡縮率が100%である場合には、A3サイズとA4サイズとの2種類の用紙サイズが、推定用紙サイズとして推定される。
そして、推定用紙サイズが1種類の用紙サイズとして推定された場合には、その推定用紙サイズの印刷用紙が、MFP10内に収容されているか否かが判断される。つまり、用紙トレイと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズのなかに、推定用紙サイズと一致するものが存在するか否かが判断される。この際、用紙トレイと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズに、推定用紙サイズと一致するものが存在する場合には、その推定用紙サイズが、テンポラリ設定領域48bに記憶されている用紙サイズに上書きされる。一方、用紙トレイと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズのなかに、推定用紙サイズと一致するものが存在しない場合には、テンポラリ設定領域48bに記憶されている用紙サイズが維持される。
また、推定用紙サイズが複数種類、推定された場合には、それら複数種類の推定用紙サイズが、複数の用紙トレイ毎に設定されている優先順位に従って、用紙トレイと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと一致するか否かが判断される。そして、複数種類の推定用紙サイズとパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズとが一致する場合には、複数種類の推定用紙サイズのうちの、パーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと最初に一致すると判断されたものが、テンポラリ設定領域48bの用紙サイズに上書きされる。
つまり、例えば、A3サイズとA4サイズとの2種類の用紙サイズが、推定用紙サイズとして推定され、図7に示す優先順位が設定されている場合には、まず、優先順位が1位のトレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと、推定用紙サイズとが一致するか否かが判断される。この結果、トレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズがA3であり、推定用紙サイズがA3サイズとA4サイズとであり、パーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと、推定用紙サイズとが一致する。このため、推定用紙サイズのA3サイズが、テンポラリ設定領域48bに記憶されている用紙サイズに上書きされる。
また、例えば、A4サイズとA5サイズとの2種類の用紙サイズが、推定用紙サイズとして推定され、図7に示す優先順位が設定されている場合には、まず、優先順位が1位のトレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと、推定用紙サイズとが一致するか否かが判断される。この結果、トレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズがA3であり、推定用紙サイズがA4サイズとA5サイズとであり、パーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと、推定用紙サイズとが一致しない。このため、次に、優先順位が2位のトレイAと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと、推定用紙サイズとが一致するか否かが判断される。この結果、トレイAと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズがA4であり、推定用紙サイズがA4サイズとA5サイズとであり、パーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと、推定用紙サイズとが一致する。このため、推定用紙サイズのA4サイズが、テンポラリ設定領域48bに記憶されている用紙サイズに上書きされる。なお、推定された複数種類の推定用紙サイズが、全ての用紙トレイと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと一致しない場合には、テンポラリ設定領域48bに記憶されている用紙サイズが維持される。
続いて、モノクロコピー開始アイコン78若しくは、カラーコピー開始アイコン80が操作されると、パーマネント設定領域48aに記憶されている用紙トレイ毎の用紙サイズ、つまり、用紙トレイ毎に設定された用紙サイズ(以下、「設定用紙サイズ」と記載する場合がある)と、拡縮率と、原稿寸法とに基づいて、原稿の原稿サイズおよび、原稿の載置方向が推定される。具体的には、まず、原稿寸法が、拡縮率に応じた印刷用紙の寸法に変換される。詳しくは、拡縮率は、原稿の原稿サイズに対する印刷用紙の用紙サイズの比率であるため、原稿の一辺の長さ寸法に、拡縮率を乗じることで、印刷用紙の一辺の長さ寸法が演算される。このため、原稿寸法に拡縮率を乗じることで、拡縮率に応じた印刷用紙の一辺の寸法(以下、「用紙寸法」と記載する場合がある)が演算される。つまり、例えば、原稿寸法がA3サイズの原稿の短辺に相当する寸法Xであり、拡縮率が69%である場合には、用紙寸法は、X×0.69となり、その数値は、A4サイズの原稿の短辺に相当する寸法となる。
次に、用紙寸法が演算されると、設定用紙サイズのなかに、用紙寸法を短辺若しくは、長辺とする用紙サイズが存在するか否かが、優先順位に従って判断される。つまり、設定用紙サイズの短辺若しくは、長辺が、用紙寸法と一致するか否かが、優先順位に従って判断される。そして、設定用紙サイズの短辺若しくは、長辺が、用紙寸法と一致すると判断された場合に、設定用紙サイズの中で最初に一致すると判断された用紙サイズが、抽出される。具体的には、例えば、演算された用紙寸法がA3サイズの短辺に相当する寸法であり、図7に示す優先順位が設定されている場合には、まず、優先順位が1位のトレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズの短辺若しくは、長辺が、A3サイズの短辺に相当する寸法であるか否かが判断される。この結果、トレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズがA3であるため、用紙寸法と、設定用紙サイズの短辺とが一致すると判定され、A3サイズが抽出される。
また、例えば、演算された用紙寸法がA4サイズの短辺に相当する寸法であり、図7に示す優先順位が設定されている場合には、まず、優先順位が1位のトレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズの短辺若しくは、長辺が、A4サイズの短辺に相当する寸法であるか否かが判断される。この結果、トレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズがA3であるため、用紙寸法と、設定用紙サイズの短辺及び長辺とは一致しないと判定される。このため、次に、優先順位が2位のトレイAと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズの短辺若しくは、長辺が、A4サイズの短辺に相当する寸法であるか否かが判断される。この結果、トレイAと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズがA4であるため、用紙寸法と、設定用紙サイズの短辺とが一致すると判定され、A4サイズが抽出される。
なお、抽出されたサイズは、用紙寸法と設定用紙サイズとに基づいて推定される印刷用紙のサイズである。このため、抽出されたサイズを拡縮率で除することで、原稿サイズが演算される。これは、拡縮率は、原稿の原稿サイズに対する印刷用紙の用紙サイズの比率であり、用紙サイズを拡縮率で除することで、原稿サイズが演算されるためである。つまり、抽出されたサイズがA3サイズであり、拡縮率が69%である場合には、原稿サイズとして、A4サイズが演算される。
上述した手法により原稿サイズが演算されると、用紙寸法と一致すると判断された設定用紙サイズの短辺若しくは、長辺をCIS43の延びる方向に沿うように、その用紙サイズの印刷用紙を、透明板36、若しくは、ADFに載置した場合の載置方向が、原稿の載置方向として推定される。つまり、例えば、原稿サイズが推定される際に、トレイAと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズ(A4)の長辺と、用紙寸法とが一致すると判断された場合には、A4サイズの印刷用紙が長辺をCIS43の延びる方向に沿うように載置された方向、つまり、縦方向が、原稿の載置方向として推定される。
そして、原稿サイズおよび、原稿の載置方向が推定されると、ユーザの意思に従って印刷用紙の用紙サイズが設定されている場合と同様に、推定された原稿サイズに応じた領域を、CIS39によって読み取り、その読み取られた画像データが、拡縮率に応じた印刷用の画像データに変換される。次に、用紙トレイの自動設定が選択されている場合には、原稿サイズがA4サイズ以下であり、原稿の載置方向が横方向であることを条件として、原稿の載置方向として、縦方向を推奨する旨の画面がディスプレイ16に表示される。
詳しくは、上述したように、原稿サイズがA4サイズ以下であり、原稿の載置方向が横方向である場合には、原稿の画像読取時の原稿の姿勢と、印刷用紙への画像印刷時の印刷用紙の姿勢とが異なるため、読み取られた原稿の画像を90度回転させた状態で、印刷用紙に印刷する必要がある。このため、読取部22によって1枚の原稿の画像が全て読み取られた後に、その画像を90度回転させるべく、画像データの変換を行う必要がある。一方、原稿サイズがA3サイズである場合、および、原稿サイズがA4サイズ以下であり、原稿の載置方向が縦方向である場合には、原稿の画像読取時の原稿の姿勢と、印刷用紙への画像印刷時の印刷用紙の姿勢とが同じとなり、原稿の画像が、読取部22に読み取られた状態で、印刷用紙に印刷される。このため、画像を90度回転させるための画像データの変換を行う必要がない。つまり、原稿サイズがA4サイズ以下であれば、原稿の載置方向が横方向である場合には、載置方向が縦方向である場合と比較して、画像を90度回転させるための画像データの変換作業が、余分に必要となり、コピー処理に要する時間が長くなる。
また、例えば、原稿サイズがA4サイズ以下であり、原稿の載置方向が縦方向である場合には、画像読取時の原稿の姿勢と、画像印刷時の印刷用紙の姿勢とが縦方向となり、原稿の長辺の方向に沿って読み取られた画像が、印刷用紙の長辺の方向に沿って印刷される。このため、1枚の原稿の全ての画像が読み取られる前であっても、原稿の長辺方向の読み取りが完了する毎に、その長辺方向に読み取られた画像を、印刷用紙の長辺の方向に沿って印刷することが可能である。つまり、原稿サイズがA4サイズ以下であり、原稿の載置方向が縦方向である場合には、原稿の読み取りと、印刷用紙への印刷とを並行して行うことが可能となり、コピー処理に要する時間を短縮することが可能となる。
さらに言えば、図5に示すように、例えば、A4サイズの原稿が横方向で透明板36に載置された場合には、CIS43の副走査方向への移動距離は、A4サイズの原稿の長辺に相当する距離となる。一方、A4サイズの原稿が縦方向で透明板36に載置された場合には、CIS43の副走査方向への移動距離は、A4サイズの原稿の短辺に相当する距離となる。つまり、原稿の載置方向が縦方向である場合には、載置方向が横方向である場合と比較して、画像読取時のCIS43の移動距離を短くすることが可能となり、コピー処理に要する時間を短縮することが可能となる。
このようなことに鑑みて、原稿サイズがA4サイズ以下であり、原稿の載置方向が横方向である場合には、ディスプレイ16に、図12に示す第1報知画面150が表示される。第1報知画面150には、原稿を縦方向に載置した方が高速にコピー処理を実行できる旨のコメント152と、その旨を示すイラスト154とが表示される。これにより、ユーザに、原稿の載置方向を縦方向とすることで、コピー処理に要する時間を短縮することが可能である旨の情報を、告知することが可能となり、ユーザビリティが向上する。なお、透明板36、若しくは、ADFに既に載置された原稿の載置方向を変更していては、ユーザに負担がかかるとともに、載置方向の変換に時間を要するため、既に載置された原稿は、読取部22により読み取られ、コピー処理が実行される。つまり、第1報知画面150は、既に載置された原稿の次の原稿の載置方向に関して、ユーザに告知するための画面である。
ただし、第1報知画面150がディスプレイ16に表示されることで、適切なコピー処理が実行されない虞がある。具体的には、例えば、A4サイズの原稿が、横方向で透明板36、若しくは、ADFに載置された場合には、A4サイズの短辺に相当する寸法が、主走査方向の原稿寸法として検出される。主走査方向の原稿寸法が、A4サイズの短辺に相当する寸法である場合には、原稿サイズは、A4サイズ、若しくは、A5サイズと推定される。そして、その推定された原稿サイズに、拡縮率を乗じることで、推定用紙サイズが推定される。つまり、例えば、拡縮率が100%である場合には、A4サイズとA5サイズとの2種類の用紙サイズが、推定用紙サイズとして推定される。この際、図7に示す優先順位が設定されている場合には、まず、優先順位が1位のトレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと、推定用紙サイズとが一致するか否かが判断される。この結果、トレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズがA3であり、推定用紙サイズがA4サイズとA5サイズとであり、パーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと、推定用紙サイズとが一致しない。このため、次に、優先順位が2位のトレイAと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと、推定用紙サイズとが一致するか否かが判断される。この結果、トレイAと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズがA4であり、推定用紙サイズがA4サイズとA5サイズとであり、パーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと、推定用紙サイズとが一致する。このため、推定用紙サイズがA4サイズに決定される。そして、モノクロコピー開始アイコン78、若しくは、カラーコピー開始アイコン80への操作により、上述した手法に従って、A4サイズの印刷用紙に画像が印刷される。
また、そのコピー処理時には、A4サイズの原稿が横方向で、透明板36、若しくは、ADFに載置されていたため、通常は、ディスプレイ16に第1報知画面150が表示される。そして、ユーザが第1報知画面150の表示に従って、次の原稿を縦方向で透明板36、若しくは、ADFに載置すると、その原稿がA4サイズである場合には、主走査方向の原稿寸法として、A4サイズの原稿の長辺に相当する寸法が検出される。この際、原稿サイズは、A3サイズ、若しくは、A4サイズと推定され、例えば、拡縮率が100%である場合には、A3サイズとA4サイズとの2種類の用紙サイズが、推定用紙サイズとして推定される。そして、図7に示す優先順位が設定されている場合には、まず、優先順位が1位のトレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと、推定用紙サイズとが一致するか否かが判断される。この結果、トレイBと関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズがA3であり、推定用紙サイズがA3サイズとA4サイズとであり、パーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと、推定用紙サイズとが一致する。このため、推定用紙サイズがA3サイズに決定される。つまり、ユーザが、A4サイズの原稿を横向きでセットした際に、推定用紙サイズがA4に決定され、適切なコピー処理が実行されていたにも拘らず、第1報知画面150をディスプレイ16に表示したことで、推定用紙サイズが変更され、適切なコピー処理が実行されない虞がある。
このため、推定された原稿サイズの長辺の寸法に拡縮率を乗じることで演算される寸法を長辺の寸法とする印刷用紙を収容する用紙トレイより優先度の高い用紙トレイが存在するか否かが判定される。そして、優先度の高い用紙トレイが存在し、その用紙トレイに、推定された原稿サイズの長辺の寸法に拡縮率を乗じることで演算される寸法を短辺の寸法とする印刷用紙が収容されている場合には、A4サイズの原稿が横方向でセットされていても、ディスプレイ16に第1報知画面150は表示されない。
つまり、先の例では、A4サイズの原稿が、横方向でセットされており、A4サイズの短辺に相当する寸法が、原稿寸法として検出される。原稿寸法が、A4サイズの短辺に相当する寸法である場合には、原稿サイズは、A4サイズ、若しくは、A5サイズと推定される。そして、その推定された原稿サイズに、拡縮率を乗じることで、推定用紙サイズが推定される。つまり、例えば、拡縮率が100%である場合には、A4サイズとA5サイズとの2種類の用紙サイズが、推定用紙サイズとして推定される。ここで、A4サイズとA5サイズとの用紙サイズの長辺寸法は、A4サイズの印刷用紙の短辺と長辺とに相当する寸法である。この寸法を、長辺の寸法とする印刷用紙のサイズは、A4サイズとA5サイズであり、そのサイズに相当する印刷用紙は、トレイA及びトレイCに収容されている。それらトレイA及びトレイCは、優先順位は2番及び3番であるため、トレイA及びトレイCより優先順位の高い用紙トレイは存在する。そして、その優先順位の高い用紙トレイ、つまり、トレイBには、A3サイズの印刷用紙が収容されており、そのA3サイズの印刷用紙の短辺の寸法は、A4サイズの印刷用紙の長辺に相当する。このため、先の例において、A4サイズの原稿が、横方向でセットされていても、ディスプレイ16に第1報知画面150は表示されない。これにより、適切なコピー処理を担保することが可能となる。
なお、テンポラリ設定領域48bに設定されている用紙サイズの印刷用紙を収容する用紙トレイより優先順位の高い用紙トレイに、その用紙サイズの印刷用紙の長辺の寸法を、短辺の寸法とする印刷用紙が収容されていない場合に、A4サイズの原稿が横方向でセットされていても、ディスプレイ16に第1報知画面150を表示しなくてもよい。つまり、先の例では、A4サイズの原稿が、横方向でセットされており、その場合には、上述したように、推定用紙サイズがA4サイズに決定される。つまり、テンポラリ設定領域48bに設定される用紙サイズは、A4サイズとなる。このA4サイズの印刷用紙は、トレイAに収容されており、そのトレイAよりも、トレイBの優先順位は高い。そして、そのトレイBには、A3サイズの印刷用紙が収容されており、そのA3サイズの印刷用紙の短辺の寸法は、A4サイズの印刷用紙の長辺に相当する。このため、このように優先度の高いトレイの印刷用紙を判定することでも、A4サイズの原稿が横方向でセットされている場合の第1報知画面150の表示を防止することが可能である。
また、MFP10におけるファックス処理でも、原稿の載置方向に応じて、原稿の載置方向の変更を告知する画面が表示される。具体的には、メニュー画面50において、ファックス選択アイコン52が操作されると、ディスプレイ16に、ファックス処理実行画面(図示省略)が表示される。この画面には、設定変更アイコン,ファックス開始アイコン等が表示される。そして、ユーザが、透明板36、若しくは、ADFに原稿を載置すると、コピー処理と同様に、主走査方向の原稿寸法が検出され、その原稿寸法に基づいて、原稿サイズ及び原稿の載置方向が推定される。詳しくは、MFP10におけるファックス処理では、A3サイズ、A4サイズ、A5サイズの原稿のファックス処理が可能とされている。このため、主走査方向の原稿寸法がA3サイズの長辺に相当する寸法である場合には、原稿サイズがA3サイズと推定され、原稿の載置方向は、長辺をCIS43の延びる方向に沿うように載置された方向、つまり、縦方向と推定される。このように、原稿サイズ及び原稿の載置方向が、1意に推定される場合には、推定された原稿サイズ及び原稿の載置方向が、ファックス処理用のテンポラリ設定領域48bに記憶される。
一方、例えば、主走査方向の原稿寸法がA4サイズの長辺に相当する寸法である場合には、原稿サイズは、A4サイズ若しくは、A3サイズと推定される。そして、原稿サイズがA4サイズである場合には、原稿の載置方向は、長辺をCIS43の延びる方向に沿うように載置された方向、つまり、縦方向と推定され、原稿サイズがA3サイズである場合には、原稿の載置方向は、短辺をCIS43の延びる方向に沿うように載置された方向、つまり、横方向と推定される。このように、原稿サイズ及び原稿の載置方向が、1意に推定されない場合には、ディスプレイ16に問い合わせ画面(図示省略)が表示される。問い合わせ画面には、透明板36、若しくはADFにセットされた原稿の原稿サイズを問い合わせる旨のコメントと、ユーザ操作により原稿サイズを選択するための選択アイコンとが表示される。そして、問い合わせ画面において、原稿サイズを選択するための選択アイコンが操作されると、操作された選択アイコンに応じた原稿サイズが、テンポラリ設定領域48bに記憶される。また、その原稿サイズと、原稿寸法とに基づいて、原稿の載置方向が推定される。つまり、操作された選択アイコンに応じた原稿サイズがA4サイズであり、原稿寸法がA4サイズの長辺に相当する寸法である場合には、原稿の載置方向は、長辺をCIS43の延びる方向に沿うように載置された方向、つまり、縦方向と推定される。そして、推定された載置方向がテンポラリ設定領域48bに記憶される。
次に、原稿サイズ及び載置方向が、テンポラリ設定領域48bに記憶されると、そのテンポラリ設定領域48bに記憶された載置方向が、縦方向であるか否かが判断される。これは、ファックス処理時において、原稿の載置方向が縦方向である場合は、画像データの送信に適さないためである。詳しくは、ファックス処理では、透明板36、若しくは、ADFにセットされた原稿が読取部22により読み取られ、その画像が電話回線網49を介して送信される。この際、画像読取時において、原稿の載置方向が縦方向である場合に、原稿の画像は、上述したように、原稿の長辺に沿って読み取られる。また、読み取られた画像の送信時において、原稿の画像は、原稿の長辺方向における一端から他端に向かって、短辺方向に沿って送信される。つまり、画像送信時には、読み取られた原稿の画像を90度回転させた状態で、送信する必要がある。このため、読取部22によって1枚の原稿の画像が全て読み取られた後に、その画像を90度回転させるべく、画像データの変換を行う必要がある。この際、その原稿の全ての画像の画像データは、一旦、データ記憶領域48に記憶され、その記憶された画像データが変換される。ただし、データ記憶領域48は、ファックス処理以外の処理と共有しているため、多くの画像データがデータ記憶領域48に記憶されると、他の処理に支障をきたす虞がある。
一方、画像読取時において、原稿の載置方向が横方向である場合に、原稿の画像は、上述したように、原稿の短辺に沿って読み取られる。そして、その読み取られた画像は、原稿の長辺方向における一端から他端に向かって、短辺方向に沿って送信される。つまり、原稿の載置方向が横方向である場合は、原稿の画像が、読み取られた状態で、送信される。このため、画像が短辺に沿って読み取られる毎に、その短辺に沿って読み取られた画像を送信することが可能となる。これにより、データ記憶領域48に、原稿の全ての画像の画像データを記憶する必要が無くなり、他の処理の実行を担保できる。
このように、ファックス処理時には、原稿は横方向で透明板36、若しくは、ADFに載置されることが好ましい。そこで、テンポラリ設定領域48bに記憶された載置方向が、縦方向であるか否かが判断され、載置方向が縦方向である場合には、ディスプレイ16に、図13に示す第2報知画面160が表示される。第2報知画面160には、原稿の横方向での載置を促す旨のコメント162と、その旨を示すイラスト164とが表示される。これにより、ユーザが原稿の載置方向を横方向とすることで、他の処理を担保した状態で、ファックス処理を行うことが可能となる。
なお、コピー処理での原稿の載置方向の変更は、時間短縮が目的であり、原稿の再載置により時間のロスが生じるため、第1報知画面150が表示されても、コピー処理は実行されたが、ファックス処理での原稿の載置方向の変更は、他の処理の実行の担保を目的としているため、第2報知画面160が表示された場合には、原稿の載置方向が変更されない限り、画像の送信は行われない。つまり、コピー処理での第1報知画面150は、既に載置された原稿の次の原稿の載置方向に関して、ユーザに告知するための画面であったが、ファックス処理での第2報知画面160は、既に載置された原稿の載置方向に関して、ユーザに告知するための画面である。このため、ユーザが、第2報知画面160の指示に従って、原稿の載置方向を縦方向にすることで、原稿の画像が読み取られる。この際の画像の読み取り手法は、コピー処理の際の画像の読み取り手法と同じである。そして、読み取られた画像は、電話回線網49を介して送信される。
<制御プログラム>
上記コピー処理は、MFP10のCPU12において制御プログラム47が実行されている際に、メニュー画面50のコピー選択アイコン54が操作されることによって行われる。以下に、その際のフローを、図14乃至図17を用いて説明する。
メニュー画面50のコピー選択アイコン54が操作されると、図14に示すように、テンポラリ設定領域48bに用紙サイズが記憶される(S100)。次に、透明板36、若しくは、ADFに原稿が載置されたか否かが、CPU12によって判断される(S102)。なお、原稿が載置されているか否かは、次の様に判断される。すなわち、カバーセンサ25によりカバーが開状態から閉状態へと変化したことをCPU12が検知すると、CISをわずかに走査し読み取りを行う。そして原稿のエッジを検出した場合、CPU12は、原稿が載置されていると判断し、検出しなかった場合は原稿が載置されていないと判断する。また、検出センサ24により原稿の主走査方向の寸法が検出された場合に、CPU12は、原稿が載置されていると判断し、検出しなかった場合は原稿が載置されていないと判断する。つまり、S102以前に原稿が載置されていたか否かに基づき判断を行うことができる。なお、1度のコピー処理では本判定で一度Yesとなり、再度S102が実行される場合は、原稿が引き続き載置されていてもNoとして判断される。そして、透明板36若しくは、ADFに原稿が載置されている場合(S102:YES)には、主走査方向の原稿寸法が検出される(S104)。続いて、用紙トレイを自動で設定するための条件(以下、「設定条件」と記載する場合がある)を充足しているか否かが、CPU12によって判断される(S106)。
設定条件としては、1)パーマネント設定領域48aに記憶された使用対象の用紙トレイの設定が“自動”に設定されており、設定変更画面100において用紙トレイ、用紙サイズの設定が変更されていないこと、2)パーマネント設定領域48aに記憶された使用対象の用紙トレイの設定に特定の用紙トレイが記憶されているが、設定変更画面100において用紙トレイの設定が“自動”に変更されたことのいずれかを満たすことである。
そして、設定条件を充足する場合(S106:YES)には、第1推定処理サブルーチンが実行される(S108)。第1推定処理サブルーチンでは、図15に示すように、検出された原稿寸法と、拡縮率とに基づいて、印刷対象の印刷用紙の用紙サイズが推定される(S130)。次に、推定された用紙サイズが1種類であるか否かが、CPU12によって判断される(S132)。推定された用紙サイズが1種類である場合(S132:YES)には、推定用紙サイズと一致する設定の用紙トレイが存在するか否かが、CPU12によって判断される(S134)。つまり、推定用紙サイズが、用紙トレイ毎に関連付けてパーマネント設定領域48aに記憶されている用紙サイズと一致するか否かが判断される。
そして、推定用紙サイズと一致する設定の用紙トレイが存在する場合(S134:YES)には、その推定用紙サイズがテンポラリ設定領域48bの用紙サイズに反映される(S136)。つまり、推定用紙サイズがテンポラリ設定領域48bの用紙サイズに上書きされる。そして、第1推定処理サブルーチンが終了する。また、推定された用紙サイズが1種類でない場合(S132:NO)および、推定用紙サイズと一致する設定の用紙トレイが存在しない場合(S134:NO)にも、第1推定処理サブルーチンが終了する。
第1推定処理サブルーチンが終了すると、メインルーチンに戻り、図14に示すように、推定用紙サイズが複数種類あるか否かが、CPU12によって判断される(S110)。そして、推定用紙サイズが複数種類ある場合(S110:YES)には、第2推定処理サブルーチンが実行される。第2推定処理サブルーチンでは、図16に示すように、N=1とされる(S140)。次に、N番目に優先度が高い用紙トレイに設定された用紙サイズが、推定用紙サイズに含まれるか否かが、CPU12によって判断される(S142)。N番目に優先度が高い用紙トレイに設定された用紙サイズが、推定用紙サイズに含まれる場合(S142:YES)には、推定用紙サイズのうちのN番目に優先度が高い用紙トレイに設定された用紙サイズが、テンポラリ設定領域48bの用紙サイズに反映される(S144)。そして、第2推定処理サブルーチンが終了する。
また、S142でN番目に優先度が高い用紙トレイに設定された用紙サイズが、推定用紙サイズに含まれない場合(S142:NO)には、Nに1加算される(S146)。続いて、全ての用紙トレイに対して判断が実行されたか否かが、CPU12によって判断される(S148)。全ての用紙トレイに対して判断が実行されていない場合(S148:NO)には、S142に戻る。一方、全ての用紙トレイに対して判断が実行されている場合(S148:YES)には、第2推定処理サブルーチンが終了する。
第2推定処理サブルーチンが終了すると、メインルーチンに戻り、図14に示すように、S114に進む。また、S102で透明板36、若しくは、ADFに原稿が載置されていない場合(S102:NO)、若しくは、S106で設定条件を充足していない場合(S106:NO)、若しくは、S110で推定用紙サイズが複数種類ない場合(S110:NO)にも、S114に進む。次に、S114では、コピー設定の受付が有ったか否かが、CPU12によって判断される(S114)。コピー設定の受付が有った場合(S114:YES)には、受け付けたコピー設定が、コピー処理の設定値に反映される(S116)。そして、S118に進む。また、コピー設定の受付が無かった場合(S114:NO)にも、S118に進む。
S118では、原稿の載置を検知済みであるか、すなわちS102で既にYESと判断されているか否かが、CPU12によって判断される(S118)。そして、原稿の載置が検知済みでない場合(S118:NO)には、S102に戻る。一方、原稿が載置済みである場合(S118:YES)には、モノクロコピー開始アイコン78若しくは、カラーコピー開始アイコン80が操作されたか否かが、CPU12によって判断される(S120)。モノクロコピー開始アイコン78若しくは、カラーコピー開始アイコン80が操作されていない場合(S120:NO)には、S102に戻る。一方、モノクロコピー開始アイコン78若しくは、カラーコピー開始アイコン80が操作された場合(S120:YES)には、コピー処理サブルーチンが実行される(S122)。
コピー処理サブルーチンでは、図17に示すように、用紙サイズ設定と拡縮率と原稿寸法とに基づいて、原稿サイズ及び原稿の載置方向が推定される(S150)。次に、原稿サイズ及び原稿の載置方向に応じた領域が、CIS43によって読み取られる(S152)。続いて、推定された原稿の載置方向が横方向であるか否かが、CPU12によって判断される(S154)。そして、原稿の載置方向が横方向である場合(S154:YES)には、用紙トレイの自動設定が選択されているか否かが、CPU12によって判断される(S156)。
用紙トレイの自動設定が選択されている場合(S156:YES)には、推定された原稿サイズの原稿を縦方向に載置可能であるか否かが、CPU12によって判断される(S158)。つまり、例えば、推定された原稿サイズがA4サイズであれば、透明板36、若しくは、ADFに縦方向に載置可能であるが、推定された原稿サイズがA3サイズであれば、透明板36、若しくは、ADFに縦方向に載置できない。そして、推定された原稿サイズの原稿を縦方向に載置可能である場合(S158:YES)には、テンポラリ設定領域48bに記憶された用紙サイズの長辺の寸法を、短辺の寸法とする印刷用紙が、優先度の高い用紙トレイに収容されているか否かが、CPU12によって判断される(S160)。
そして、優先度の高い用紙トレイに所定の印刷用紙が収容されていない場合(S160:NO)には、ディスプレイ16に第1報知画面150が表示される(S162)。次に、テンポラリ設定領域48bに記憶された用紙サイズを収容する用紙トレイから印刷用紙が給紙される(S164)。続いて、給紙された印刷用紙に、S152で読み取られた画像が印刷される(S166)。そして、コピー処理サブルーチンが終了する。
また、S160で優先度の高い用紙トレイに所定の印刷用紙が収容されている場合(S160:YES)、S158で推定された原稿サイズの原稿を縦方向に載置不能である場合(S158:NO)、S156で用紙トレイの自動設定が選択されていない場合(S156:NO)、S154で原稿の載置方向が縦方向である場合(S154:NO)には、S164に進み、以降の処理が実行されることで、コピー処理サブルーチンが終了する。
コピー処理サブルーチンが終了すると、メインルーチンに戻り、図14に示すように、制御プログラム47が終了する。
また、上記ファックス処理は、MFP10のCPU12において制御プログラム47が実行されている際に、メニュー画面50のファックス選択アイコン52が操作されることによって行われる。以下に、その際のフローを、図18を用いて説明する。
メニュー画面50のファックス選択アイコン52が操作されると、図18に示すように、透明板36、若しくは、ADFに原稿が載置されたか否かが、CPU12によって判断される(S200)。透明板36、若しくは、ADFに原稿が載置されている場合(S200:YES)には、原稿寸法が検出される(S202)。続いて、ファックス開始アイコンが操作されたか否かが、CPU12によって判断される(S204)。ファックス開始アイコンが操作されていない場合(S204:NO)には、S200に戻る。一方、ファックス開始アイコンが操作された場合(S204:YES)には、原稿寸法に基づいて、原稿サイズ及び原稿の載置方向が推定される(S206)。
次に、原稿サイズ及び原稿の載置方向が1意に特定されるか否かが、CPU12によって判断される(S208)。原稿サイズ及び原稿の載置方向が1意に特定されない場合(S208:NO)には、ディスプレイ16に問い合わせ画面が表示される(S210)。続いて、問い合わせ画面への入力により、原稿サイズを特定するとともに、その原稿サイズと原稿寸法とに基づいて、原稿の載置方向が特定される(S212)。そして、S214に進む。また、原稿サイズ及び原稿の載置方向が1意に特定される場合(S208:YES)にも、S214に進む。
S214では、特定された載置方向が縦方向であるか否かが、CPU12によって判断される(S214)。この際、原稿の載置方向が縦方向である場合(S214:YES)には、ディスプレイ16に第2報知画面160が表示される(S216)。そして、S206に戻る。一方、原稿の載置方向が横方向である場合(S214:NO)には、原稿サイズ及び原稿の載置方向に応じた領域が、CIS43によって読み取られる(S218)。そして、読み取られた画像が電話回線網49を介して送信される(S220)。これにより、制御プログラム47が終了する。
なお、S104を実行するCPU12は、取得手段の一例である。S120を実行するCPU12は、第1受付手段の一例である。S154を実行するCPU12は、第1判定手段及び第2判定手段の一例である。S162を実行するCPU12は、第1報知手段の一例である。S166を実行するCPU12は、第1実行手段の一例である。S204を実行するCPU12は、第2受付手段の一例である。S214を実行するCPU12は、第3判定手段の一例である。S216を実行するCPU12は、第2報知手段の一例である。S220を実行するCPU12は、第2実行手段の一例である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、上記実施形態では、A3、A4、A5サイズの原稿及び印刷用紙を使用可能なMFP10が採用されているが、種々のサイズ、具体的には、例えば、B4等のB判サイズ,Letterサイズ,Ledgerサイズ等の原稿及び印刷用紙を使用可能な装置を採用することが可能である。
また、上記実施形態では、副走査方向の原稿寸法については、センサを用いることなく推定されているが、センサにより検出する構成としてもよい。この場合には、A4サイズ以下の原稿に対して、S160の判断を行うことなく、縦置きを推奨することが可能となります。
また、上記実施形態では、透明板36等に載置されている原稿が横置きである場合に、その原稿の複写処理は実行され、次に透明板36等に載置される原稿に対して、縦置きが推奨されるが、既に透明板36等に載置されている原稿に対して、縦置きを推奨してもよい。この場合には、原稿が縦置きにセットされた後に、再度、スタートボタンが操作されることで、その原稿の複写処理が実行される。
また、インクジェットヘッドとして、シリアル式インクに限定されず、ライン式インクでもよい。また、印字機構は、インクジェット方式に限定されず、レーザ方式でもよい。
また、上記実施形態では、CPU12によって図14乃至図18に示す処理が実行される例を説明したが、これら処理は、CPU12に限らず、ASICや他の論理集積回路により実行されてもよいし、これら処理が、CPU等やASIC、他の論理集積回路が協働することにより実行されてもよい。