JP6606670B2 - フラックス回収装置およびリフロー装置ならびにフラックス回収装置における気体交換方法 - Google Patents

フラックス回収装置およびリフロー装置ならびにフラックス回収装置における気体交換方法 Download PDF

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Description

本発明は、リフロー過程で生じる気化フラックスを回収するフラックス回収装置およびこのフラックス回収装置を備えたリフロー装置ならびにフラックス回収装置において内部の気体を入れ換える気体交換方法に関するものである。
電子部品が搭載された電子回路基板を製造する基板製造過程では、半田付け箇所に電子部品が搭載された基板がリフロー装置に搬入される。基板の半田付け箇所には半田粒子をフラックス成分に含有させたペースト状のクリーム半田が予め塗布されており、リフロー装置においては基板を所定の加熱パターンにしたがって加熱することにより、クリーム半田中の半田粒子を溶融させて電子部品を基板の電極に半田付けする。
この半田付けにおいては、クリーム半田中のフラックス成分が加熱により気化した気化フラックスを含む排気ガスが発生する。この排気ガスがリフロー装置内を流動する過程において、気化フラックスがリフロー装置の内壁や天井面などの内面に接触して露点以下の温度に冷却されると、気体状態から液化や固化したフラックスが内面に付着する。そしてこの付着が進行すると、付着して堆積したフラックスが滴下して作業対象の基板を汚損する不具合が生じる。
このような気化フラックスに起因する不具合の対策として、気化フラックスを帯電させることにより、気化フラックスを誘引して回収する方法が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に示す先行技術では、プリント回路基板に電子部品を半田付けする際に発生した気化フラックスを含む気体をプラズマ放電の一種であるコロナ放電によって帯電させて、帯電させた気化フラックスとは逆極性に帯電させた回収部に気化フラックスを誘引して凝集・液化させるようにしている。
特許第4580590号公報
リフロー装置は長時間連続して稼働されるため、稼働が継続している間は気化フラックスによる基板や装置内面の汚損は継続的に進行する。このため、このような汚損に起因する不具合を防止するためには、気化フラックスを凝集させた回収対象物のフラックスを取り除くためのメンテナンス作業をできるだけ簡便に作業性よく行えることが求められる。しかしながら、特許文献1を含め従来技術には気化フラックスを凝集させて固化した回収対象物を取り除くメンテナンス作業に関しては開示がなく、メンテナンス作業の作業性を向上させるための方策が求められていた。
そこで本発明は、フラックス回収装置のメンテナンス作業の作業性を向上させることができるフラックス回収装置およびリフロー装置ならびにフラックス回収装置において内部の気体を入れ換える気体交換方法を提供することを目的とする。
本発明のフラックス回収装置は、電子部品が搭載された電子回路基板の半田付けの際に発生する気化フラックスを回収するフラックス回収装置において、前記フラックス回収装置に前記気化フラックスを含む気体を通す第1配管部と、前記第1配管部を通った前記気化フラックスをプラズマ放電手段によって固化して集塵する集塵部と、前記第1配管部に設けられた第1排気経路と、前記第1配管部に設けられた第1吸気経路と、前記排気経路の流路を開閉する第1排気バルブと、前記吸気経路の流路を開閉する第1吸気バルブと、前記第1配管部の流路を開閉する第1配管バルブとを備える。
本発明のリフロー装置は、請求項1または2のいずれかに記載のフラックス回収装置を有する。
本発明のフラックス回収装置における気体交換方法は、電子部品が搭載された電子回路基板の半田付けの際に発生する気化フラックスを回収するフラックス回収装置における気体交換方法において、前記フラックス回収装置に前記気化フラックスを含む気体を通す第1配管部の流路を閉止する第1配管閉止工程と、前記第1配管部に設けられた第1排気経路を開放する第1排気経路開放工程と、を含む。
本発明によれば、フラックス回収装置のメンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
本発明の一実施の形態のフラックス回収装置を有するリフロー装置の構成説明図 本発明の一実施の形態のフラックス回収装置の構成説明図 本発明の一実施の形態のフラックス回収装置の構成説明図 本発明の一実施の形態のフラックス回収装置における集塵部の構成および機能の説明図 本発明の一実施の形態のフラックス回収装置における集塵部の構成および機能の説明図 本発明の一実施の形態のフラックス回収装置におけるメンテナンス処理のフロー図 本発明の一実施の形態のフラックス回収装置におけるメンテナンス処理の説明図
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、本実施の形態におけるリフロー装置1の全体構成について説明する。リフロー装置1は、基板に電子部品を搭載して電子回路基板を製造する電子回路基板製造ラインにおいて、部品搭載装置により電子部品が搭載された電子回路基板の半田付けを行う機能を有するものである。
図1において、リフロー装置1はリフロー炉2、回収部3、配管部4より構成される。リフロー炉2は上流側の部品搭載装置より搬入される部品搭載後の電子回路基板を所定の加熱プロファイルに従って加熱および冷却する。これにより、部品搭載の前工程において半田付け部位に供給されたクリーム半田中の半田成分を溶融固化させて部品を基板に接着する。回収部3は、半田付け部位に供給されたクリーム半田中のフラックス成分が、リフロー炉2による半田付けの際の加熱によって気化することにより発生する気化フラックスを固化させて回収する機能を有している。
配管部4は、リフロー炉2から排出される気化フラックスを含んだ排気を回収部3に導くとともに、回収部3によって気化フラックスが除去された気体をリフロー炉2に戻す機能を有している。すなわち本実施の形態に示すリフロー装置1は、電子部品が搭載された電子回路基板の半田付けの際に発生する気化フラックスを回収するフラックス回収装置5を有する構成となっている。
以下、リフロー炉2、回収部3および配管部4の構成を説明する。図1において、リフロー炉2は閉囲されたカバー筐体部10の内部に加熱炉11を配置し、カバー筐体部10を上流側から下流側へ貫通するリフローコンベア12を設けた構成となっている。リフローコンベア12は上流側装置の搬出コンベア12a、下流側装置の搬入コンベア12bと連結されており、搬出コンベア12aからは部品搭載済みの電子回路基板7がリフローコンベア12に受け渡され(矢印a)、これにより電子回路基板7はカバー筐体部10の導入部10a内に搬入される。
導入部10aの下流に配置された加熱炉11には、それぞれ予備加熱ユニット11c、本加熱ユニット11dを備えた予備加熱ゾーン11a、本加熱ゾーン11bが設けられている。予備加熱ユニット11c、本加熱ユニット11dを作動させることにより、予備加熱ゾーン11a、本加熱ゾーン11b内は所定の温度雰囲気に保たれる。そしてリフローコンベア12により加熱炉11内に搬入された電子回路基板7が予備加熱ゾーン11a、本加熱ゾーン11bに順次移動することにより、電子回路基板7は所定の温度プロファイルにしたがって加熱される。これにより電子回路基板7の半田付け部位においてクリーム半田中の半田成分が溶融する。
次いで電子回路基板7は加熱炉11から搬出されて冷却ゾーン10bに移動する。冷却ゾーン10bには冷却ユニット10dが設けられており、冷却ユニット10dを作動させることにより、冷却ゾーン10bに移動した電子回路基板7は冷却される。これにより、半田付け部位において溶融半田が固化し、半田付けが完了する。半田付け後の電子回路基板7は、リフローコンベア12から下流側装置の搬入コンベア12bに受け渡され(矢印b)、下流側へ搬出される。
上述の加熱炉11における加熱に際しては、クリーム半田中のフラックス成分が加熱により気化した気化フラックスを含む気体が発生する。予備加熱ゾーン11a、本加熱ゾーン11bの天井面には排気ダクト13が分岐した分岐部13a、13bが開口しており、予備加熱ゾーン11a、本加熱ゾーン11b内で発生した気化フラックスを含む気体は、分岐部13a、13bを介して排気ダクト13から排気される。
排気ダクト13には配管部4を構成する第1配管部14aが接続されており、第1配管部14aは第1配管部14aの流路を開閉する第1配管バルブ15aを介してフラックス回収装置5に接続されている。第1配管部14aには第1排気経路16aが接続されており、第1排気経路16aは第1排気バルブ17aを介して外部に開放されている。
また第1配管部14aには、第1吸気バルブ19aを介して第1吸気経路18aが接続されており、さらに第1吸気経路18aはNガス供給管6aを介してNガス発生装置6と接続されている。Nガス発生装置6は、リフロー過程が実行される加熱炉11内の雰囲気を不活性雰囲気とするためのNガス(窒素ガス)を発生する機能を有する。第1吸気バルブ19aを開放することにより、Nガス発生装置6で発生したNガスは、Nガス供給管6aおよび第1吸気経路18aを経て第1配管部14aに流入する(矢印g)。
第1配管バルブ15aを開放することにより、排気ダクト13からの排気は第1配管部14aを介してフラックス回収装置5に送気され(矢印c、d)、ここで排気中の気化フラックスが回収される。フラックス回収装置5には、リフロー炉2の冷却ゾーン10bに開口した戻りダクト10cと連通した第2配管部14bが接続されている。第2配管部14bには第2配管部14bの流路を開閉する第2配管バルブ15bが介設されており、第2配管バルブ15bを開放することにより、フラックス回収装置5にて気化フラックスが回収された後の気体が、第2配管部14bを介して冷却ゾーン10bに還流される(矢印e、f)。
第2配管部14bには第2排気経路16bが接続されており、第2排気経路16bは第2排気バルブ17bを介して外部に開放されている。また第2配管部14bには、第2吸気バルブ19bを介して第2吸気経路18bが接続されている。さらに第2吸気経路18bは、Nガス供給管6bを介してNガス発生装置6と接続されている。第2吸気バルブ19bを開放することにより、Nガス発生装置6で発生したNガスは、第2吸気経路18bを経て第2配管部14bに流入する(矢印h)。
次に図2を参照して、フラックス回収装置5、配管部4の構成および機能を説明する。図2において、フラックス回収装置5は第1集塵部21、第2集塵部22および循環ファン23を有する集塵部20を備えている。第1集塵部21の入側(図2において右側)の端部には、リフロー炉2から送気される気化フラックスを含む気体を通す第1配管部14aが、第1ワンタッチ継手21aを介して着脱可能に接続されている。
第1集塵部21は第1配管部14aを通った気化フラックスを、図4に示すプラズマ放電手段によって固化して集塵する機能を有している。第1ワンタッチ継手21aは、第1配管部14aと集塵部20の第1集塵部21とを着脱可能にさせる第1継手手段となっている。第1ワンタッチ継手21aは、図4に示すように、第1集塵部21の端部から突出して設けられたアダプタ21cと、アダプタ21cに嵌脱自在なカプラ21dとを組み合わせて構成されている。
また第2集塵部22の出側(図2において右側)の端部には、気化フラックスが集塵された後にリフロー炉2に還流される気体を通す第2配管部14bが、第2ワンタッチ継手22aを介して着脱可能に接続されている。第2ワンタッチ継手22aは、第2配管部14bと集塵部20の第2集塵部22とを着脱可能にさせる第2継手手段となっている。第2ワンタッチ継手22aは、第2集塵部22の端部から突出して設けられたアダプタ22cと、アダプタ22cに嵌脱自在なカプラ22dとを組み合わせて構成されている(図4参照)。
第1集塵部21の出側(図2において左側)の端部には、循環ファン23が第3ワンタッチ継手21bを介して着脱可能に接続されている。第3ワンタッチ継手21bは、第1集塵部21の端部から突出して設けられたアダプタ21eと、アダプタ21eに嵌脱自在なカプラ21fとを組み合わせて構成されている。さらに循環ファン23の出側(図2において右側)の端部には、第2集塵部22が第4ワンタッチ継手22bを介して着脱可能に接続されている。第4ワンタッチ継手22bは、第2集塵部22の端部から突出して設けられたアダプタ22eと、アダプタ22eに嵌脱自在なカプラ22fとを組み合わせて構成されている。
循環ファン23は第1集塵部21を通った気化フラックスを含む気体を循環させる機能を有している。そして第2集塵部22は、循環ファン23を通った気化フラックスを図4に示すプラズマ放電手段によって固化する。この構成において循環ファン23を作動させることにより、リフロー炉2からフラックス回収装置5の集塵部20に送気されて、気化フラックスが集塵された気体をリフロー炉2とフラックス回収装置5との間で循環させることが可能となり、リフロー炉2における加熱効率を向上させることができる。
上記構成において、第3ワンタッチ継手21bは第1集塵部21と循環ファン23との間を着脱可能にさせる第3継手手段であり、第4ワンタッチ継手22bは、第2集塵部22と循環ファン23との間を着脱可能にさせる第4継手手段となっている。このような構成により、第1集塵部21および第2集塵部22より成る集塵部20を、フラックス回収装置5から取り外すことが可能となっている。これにより第1集塵部21、第2集塵部22の内部に付着したフラックスを除去するメンテナンス作業を、第1集塵部21、第2集塵部22がフラックス回収装置5から取り外された作業性が良好な状態で行うことができる。
次に配管部4の機能を説明する。図2に示すように、集塵部20にリフロー炉2から排気された気化フラックスを含む気体を通す第1配管部14aには、第1配管部14aの流路を開閉する第1配管バルブ15aが設けられている。また集塵部20で気化フラックスを集塵した後の気体を通す第2配管部14bには、第2配管部14bの流路を開閉する第2配管バルブ15bが設けられている。
通常の稼動状態では第1配管バルブ15a、第2配管バルブ15bはいずれも開放状態にあり、リフロー炉2から送気される排気は第1配管部14aを介して第1集塵部21に送られる(矢印c、d)。集塵部20によって気化フラックスを集塵した後の気体は、循環ファン23によって第2集塵部22に送られ、ここで再度気化フラックスの集塵が行われる。そして気化フラックスを集塵した後の気体は、第2配管部14bを介してリフロー炉2に還流する(矢印e,f)。このとき、第1配管バルブ15a、第2配管バルブ15bを閉止することにより、リフロー炉2とフラックス回収装置5との間の気体の循環が遮断される。これにより、メンテナンスなどの作業時にリフロー炉2からの送気が遮断された状態でフラックス回収装置5を開放することができる。
第1配管部14aには第1排気経路16a、第1吸気経路18aが設けられており、さらに第1排気経路16a、第1吸気経路18aはそれぞれ第1排気経路16a、第1吸気経路18aの流路を開閉する第1排気バルブ17a、第1吸気バルブ19aを備えている。第2配管部14bには第2排気経路16b、第2吸気経路18bが設けられており、さらに第2排気経路16b、第2吸気経路18bはそれぞれ第2排気経路16b、第2吸気経路18bの流路を開閉する第2排気バルブ17b、第2吸気バルブ19bを備えている。
第1配管バルブ15a、第2配管バルブ15bを閉止した状態で、第1排気バルブ17a、第2排気バルブ17bを開放することにより、フラックス回収装置5内の気体を第1排気経路16a、第2排気経路16bを介して外部に排出することができる。また第1吸気バルブ19a、第2吸気バルブ19bを開放することにより、Nガス発生装置6によって発生したNガスを第1配管部14a、第2配管部14b内に導入することができる。
なお、図2に示す配管部4の構成に替えて、図3に示すような簡略型の構成の配管部4Aを用いるようにしてもよい。配管部4Aにおいては、第1集塵部21に接続された第2配管部14bには第2排気バルブ17bを備えた第2排気経路16bのみが設けられている。ここで第2排気バルブ17bは通常の稼動状態において開放されており、リフロー炉2から第1配管部14aを介してフラックス回収装置5に送られた気体は、循環してリフロー炉2に還流することなく、第2排気経路16bから外部に放出される(矢印j)。このような構成を採用することにより、設備構成を簡略化して設備費用の低減を図ることができる。
次に図4、図5を参照して、フラックス回収装置5における集塵部20の構成および機能について説明する。集塵部20は、略直方体箱形状(図7参照)の第1集塵部21および第2集塵部22を、フラックス回収装置5内に並列して配置した構成となっており、図4は、第1集塵部21および第2集塵部22の水平断面を模式的に示している。
図4に示すように、第1集塵部21、第2集塵部22は基本的に同一構造であり、いずれも電極ホルダ24a、26aに保持された針電極24、26と、集塵電極25、27とを、対向配置して構成されている。針電極24、26はいずれも尖った形状の先端部を有したプラズマ放電用の電極である。本実施の形態では、電極ホルダ24a、26aを中心側にした対称配置となっている。第1集塵部21における電極ホルダ24aと集塵電極25との間の空間S1、第2集塵部22における電極ホルダ26aと集塵電極27との間の空間S2は、気化フラックスを含む気体を導入して集塵処理を行う処理空間を形成する。
なお図7に示すように、第1集塵部21および第2集塵部22は、針電極24、26が設けられた箱状部Aと、集塵電極25、27が設けられた蓋部Bとに分割されており、箱状部Aに対して蓋部Bを開放して内部のメンテナンスを行うことができるようになっている。
フラックス回収装置5は集塵部20に電源を供給する電源部29を備えており、電源制御部31によって電源部29を制御して作動させることにより、電源部29に接続された電力線30を介して集塵部20の第1集塵部21、第2集塵部22に電力が供給される。電力線30には電源部29と第1集塵部21、第2集塵部22との間を着脱可能にさせるコネクタ28を備えている。
すなわち図7(a)に示すように、第1集塵部21、第2集塵部22には、コネクタ28を構成する接続凸部28aが凸設されており、電力線30の端部に接続された接続凹部28bを接続凸部28aに嵌脱させることにより、電力線30を第1集塵部21、第2集塵部22に着脱させることができる。このように電力線30を第1集塵部21、第2集塵部22に着脱可能に構成することにより、第1集塵部21、第2集塵部22の内部に付着したフラックスを除去するメンテナンス作業を、第1集塵部21、第2集塵部22をフラックス回収装置5から取り外して作業性が良好な状態で行うことができる。
電源部29によって第1集塵部21、第2集塵部22に電力を供給することにより、針電極24と集塵電極25、針電極26と集塵電極27との間に電圧を印加して、第1集塵部21、第2集塵部22の空間S1,S2内においてプラズマ放電を発生させることができる。このプラズマ放電により、空間S1,S2内にはイオンが発生する。上述構成において、針電極24および電源部29は、第1集塵部21におけるプラズマ放電手段となっている。そして針電極26および電源部29は、第2集塵部22におけるプラズマ放電手段となっている。
このとき、電圧印加における針電極24、26の極性によって、空間S1,S2内に発生するイオンの極性が異なったものとなる。すなわち電源部29によって第1集塵部21に電源を供給することにより、針電極24と集塵電極25との間には、針電極24を負極とし集塵電極25を正極とする電圧が印加される。これにより針電極24の先端部の周囲には負イオン32が発生し、発生した負イオン32は空間S1内を移動する。これに対し電源部29によって第2集塵部22に電源を供給することにより、針電極26と集塵電極27との間には、針電極26を正極とし集塵電極27を負極とする電圧が印加される。これにより針電極26の先端部の周囲には正イオン33が発生し、発生した正イオン33は空間S2内を移動する。
図5は、集塵部20に気化フラックスを通した状態で上述のプラズマ放電手段を作動させたときの状態を模式的に示している。第1配管部14a(図2参照)から第1ワンタッチ継手21aを介して第1集塵部21の空間S1内に気化フラックスを含む処理対象の気体が送気されることにより(矢印n)、気体中の気化フラックス粒子34が空間S1内に送り込まれる。
このとき、循環ファン23が作動することにより空間S1内の気体は第3ワンタッチ継手21bから外部へ吸引され(矢印o)、空間S1の内部では、第1ワンタッチ継手21aから第3ワンタッチ継手21bに向かう気体の流動が発生する。そしてこの気体の流動によって移動する気化フラックス粒子34のうち、正電荷を帯びたものは空間S1内に存在する負イオン32に誘引されて捕捉される。これにより負イオン32に捕捉された気化フラックス粒子34は負電荷を帯びた気化フラックス粒子34(−)となり、逆極性である正電荷を帯びた集塵電極25に誘引されて付着し、集塵される。
次に第3ワンタッチ継手21bから外部へ吸引された気体は、循環ファン23によって第4ワンタッチ継手22bを介して第2集塵部22の空間S2内に送り込まれる(矢印p)。この気体中には、第1集塵部21によって集塵の対象とならなかった気化フラックス粒子34、すなわち負電荷を帯びた気化フラックス粒子34が含まれている。これら気化フラックス粒子34は、空間S2内に存在する正イオン33に誘引されて捕捉される。
これにより正イオン33に捕捉された気化フラックス粒子34は、正電荷を帯びた気化フラックス粒子34(+)となり、逆極性である負電荷を帯びた集塵電極27に誘引されて付着し、集塵される。このようにして第1集塵部21、第2集塵部22によって2段階で集塵の対象となった後の気体は、第2ワンタッチ継手22aを介して第2配管部14b(図2参照)に送られる(矢印q)。
本実施の形態に示すフラックス回収装置5では、上述の気化フラックスを対象とする集塵に用いられるプラズマ放電手段における電源部29の制御を、以下に示すような制御方法によって行うようにしている。すなわち図4に示すように、電源部29を制御する電源制御部31は、電流制御部31a、放電制御部31bの2通りの制御機能を有した構成となっている。
電流制御部31aは、プラズマ放電手段を構成する電源部29を定電流制御する制御パターンによって制御する。この制御パターンにおいては、針電極24、26や、集塵電極25、27へのフラックスの付着状態に拘わらず、プラズマ放電における電流が予め設定された規定電流値に維持されるよう、電極間の印加電圧を制御する。
すなわちフラックス回収装置5を継続して稼働させる過程においては、気化フラックスが固化したフラックスが針電極24、針電極26や、集塵電極25、27などフラックス回収装置5の内部に付着する汚損が進行し、これによりプラズマ放電における放電量が減少して集塵作用が低下する傾向にある。このような状態にあっても、上述の定電流制御を採用することにより、フラックス回収装置5内部の汚損状態、換言すればフラックス回収装置5において集塵対象となる気化フラックスの量に応じて放電量を増加させることができ、所望の集塵作用を維持することが可能となっている。
また放電制御部31bは、プラズマ放電手段の放電量を制御する制御パターンで電源部29を制御する。すなわちこの制御パターンでは、所望の集塵作用を維持するために必要とされる放電量を、リフロー炉2の稼働状況に応じて増加させる。例えば、リフロー炉2内で処理する電子回路基板7の数の増加に比例して放電量を増加させる。またはリフロー炉2の稼働時間の経過に比例して、放電量を増加させる。いずれの例においても、稼働状況に応じて予測されたフラックス回収装置5の内部の汚損状態、換言すればフラックス回収装置5において集塵対象となる気化フラックスの量に応じて、放電量を増加させるように電源部29を制御する。
このような制御方法を用いることにより、フラックス回収装置内に配設された気化フラックスの検出手段の検出結果に基づいてプラズマ放電手段を制御する制御方式における問題点、すなわち凝集したフラックスがセンサなどの検出手段に付着することに起因する不正確な検出結果に基づいてプラズマ放電手段を制御することによる放電量の制御不良を防止することが可能となっている。
次に、リフロー装置1を継続して稼働させる過程で実行されるフラックス回収装置5のメンテナンス処理について、図6のフローに則して各図を参照しながら説明する。リフロー装置1の稼働の状態においては、リフロー炉2から第1配管部14aを介して処理対象の気体をフラックス回収装置5に送気し、フラックス回収装置5によって集塵処理を終えた戻りの気体を第2配管部14bを介してリフロー炉2に還流させている。ここで行われるメンテナンス処理では、フラックス回収装置5の集塵部20の内部に集塵により付着したフラックスを除去する作業が実行される。
メンテナンス作業に際しては、まず第1配管部14aおよび第2配管部14bの流路を閉止する(ST1)。すなわち、第1配管バルブ15a、第2配管バルブ15bを閉止することにより、フラックス回収装置5とリフロー炉2との間での気体の流動を遮断する。次いで第1排気経路16a、第2排気経路16bを開放し、フラックス回収装置5内の気体を排気する(ST2)。すなわち第1排気バルブ17a、第2排気バルブ17bを開放することにより、フラックス回収装置5の集塵部20内の気体を第1排気経路16a、第2排気経路16bから外部へ排気する。これにより、集塵部20内に残留する高温の気体が排気され、人手によって集塵部20を開放してメンテナンス作業を実行することが可能となる。
次いで作業対象となる集塵部20を取り外す(ST3)。ここでは、集塵部20を構成する第1集塵部21および第2集塵部22を取り外して、フラックス回収装置5の外部に取り出す。この第1集塵部21の取り外しに際しては、図7(a)に示すように、第1ワンタッチ継手21aにおいてアダプタ21cからカプラ21dを離脱させ(矢印r)、第3ワンタッチ継手21bにおいてアダプタ21eからカプラ21fを離脱させ(矢印s)、さらにコネクタ28において接続凸部28aから接続凹部28bを分離する(矢印t)。なお図7では第1集塵部21を作業対象とする作業例のみを示しているが、第2集塵部22を対象とする場合についても同様である。
このようにして第1集塵部21の接続部分を離脱させたならば、第1集塵部21をフラックス回収装置5から取り外した状態で第1集塵部21を開放して、内部に付着したフラックスを除去して回収する(ST4)。すなわち、図7(b)に示すように、針電極24が設けられた箱状部Aに対して集塵電極25が設けられた蓋部Bを開放し(矢印u)、針電極24、電極ホルダ24a、集塵電極25など第1集塵部21の内部に付着したフラックスを除去する作業を行う。この作業において、第1集塵部21はフラックス回収装置5から取り外された作業環境のよい場所にあり、しかも第1集塵部21は開放されて内部が露呈した状態となることから、メンテナンス作業を極めて良好な作業環境で作業性よく行うことが可能となっている。
次に、メンテナンスが完了した集塵部20を再取り付けする(ST5)。すなわち内部に付着したフラックスの除去が完了した第1集塵部21、第2集塵部22を、フラックス回収装置5の内部に配置するとともに、第1ワンタッチ継手21a、第3ワンタッチ継手21b、第2ワンタッチ継手22a、第4ワンタッチ継手22bおよびコネクタ28の接続を行う。次いで第1排気経路16a、第2排気経路16bを閉止する(ST6)。すなわち第1排気バルブ17a、第2排気バルブ17bを閉じることにより、第1配管部14a、第2配管部14bおよびフラックス回収装置5の集塵部20内の気体が外部に排気されないように遮断する。
次いで、Nガスを充填する(ST7)。すなわちNガス発生装置6が作動してNガス供給管6a、6bを介してNガスの供給が可能な状態で、第1吸気バルブ19a、第2吸気バルブ19bを開放して、第1吸気経路18a、第2吸気経路18bを介して第1配管部14a、第2配管部14b内にNガスを流入させる。
そしてこの後、第1配管部14aおよび第2配管部14bの流路を開放する(ST8)。すなわち、第1配管バルブ15a、第2配管バルブ15bを開放することにより、フラックス回収装置5とリフロー炉2との間での気体の流動が許容される状態にする。これにより、第1配管部14aおよび第2配管部14bに流入したNガスがリフロー炉2に到達し、フラックス回収装置5とリフロー炉2の内部およびフラックス回収装置5とリフロー炉2との気体の循環経路全体にNガスが充填された状態となる。これにより、フラックス回収装置5を稼働状態にして、気化フラックスを集塵して回収することが可能となる。
上述の処理フローは、電子回路基板7の半田付けの際に発生する気化フラックスを回収するフラックス回収装置5内の気体交換方法を構成している。この気体交換方法では、第1配管部14aのみを気体交換のための配管経路に用いる例を示している。すなわち、上述処理フローの(ST1)は、フラックス回収装置5に気化フラックスを含む気体を通す第1配管部14aの流路を閉止する第1配管閉止工程となっており、(ST2)は、第1配管部14aに設けられた第1排気経路16aを開放する第1排気経路開放工程となっている。また(ST6)は、第1排気経路16aを閉止する第1排気経路閉止工程となっており、Nガスを充填する(ST7)は、第1配管部14aに設けられた第1吸気経路18aを開放する第1吸気経路開放工程に相当する。
上記説明したように、本実施の形態に示すリフロー装置1が有するフラックス回収装置5は、電子回路基板7の半田付けの際に発生する気化フラックスを回収するフラックス回収装置5において、フラックス回収装置5に気化フラックスを含む気体を通す第1配管部14aと、第1配管部14aを通った気化フラックスをプラズマ放電手段によって固化して集塵する集塵部20と、第1配管部14aと集塵部20との間を着脱可能にさせる第1継手手段としての第1ワンタッチ継手21aを備える構成としたものである。そしてこの構成により、メンテナンス作業時には集塵部20を第1配管部14aから取り外して作業環境がよい場所で作業を行うことができ、フラックス回収装置のメンテナンス作業の作業性を向上させることが可能となっている。
また上述と同様の構成を有するフラックス回収装置5において、配管部4の構成を、第1配管部14aに設けられた第1排気経路16aと、第1配管部14aに設けられた第1吸気経路18aと、第1排気経路16aの流路を開閉する第1排気バルブ17aと、第1吸気経路18aの流路を開閉する第1吸気バルブ19aと、第1配管部14aの流路を開閉する第1配管バルブ15aとを備える構成としている。
この構成により、フラックス回収装置5のメンテナンス作業に際し、フラックス回収装置5の内部の気体を交換する換気作業を容易に行うことが可能となっている。すなわち、フラックス回収装置5に気化フラックスを含む気体を通す第1配管部14aの流路を閉止する第1配管閉止工程と、第1配管部14aに設けられた第1排気経路16aを開放する第1排気経路開放工程とを実行することにより、フラックス回収装置5の内部の気体を第1排気経路16aを介して排気することができる。
さらに上述と同様の構成を有するフラックス回収装置5において、プラズマ放電手段を定電流制御する電流制御部を備えることにより、フラックス回収装置5内部におけるフラックスによる汚損状態に拘わらず、気化フラックスの量に応じてプラズマ放電の放電量を適正に制御することが可能となっている。
以上、本発明の一実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
上述ではプラズマ放電手段として、コロナ放電を例として説明したが、電圧を掛けることにより、気化したフラックスの分子をイオンと電子に電離させ、集塵部の正極と負極の電極に引き付けて集塵させることができれば、グロー放電やアーク放電等の放電手段を用いてもよい。
また、上述では集塵部20が着脱可能であることを例として説明したが、第1集塵部21と第2集塵部22がそれぞれ着脱可能であってもよい。
また、上述ではNガス発生装置6を用いて説明したが、Nガス以外の気体をフラックス回収装置5およびリフロー炉2に流入してもよい。
本発明のフラックス回収装置およびリフロー装置ならびにフラックス回収装置における気体交換方法は、フラックス回収装置のメンテナンス作業の作業性を向上させることができるという効果を有し、電子部品を電子回路基板に半田付けにより搭載する分野において有用である。
1 リフロー装置
2 リフロー炉
3 回収部
4 配管部
7 電子回路基板
11 加熱炉
13 排気ダクト
14a 第1配管部
14b 第2配管部
15a 第1配管バルブ
15b 第2配管バルブ
16a 第1排気経路
16b 第2排気経路
17a 第1排気バルブ
17b 第2排気バルブ
18a 第1吸気経路
18b 第2吸気経路
19a 第1吸気バルブ
19b 第2吸気バルブ
20 集塵部
21 第1集塵部
21a 第1ワンタッチ継手
21b 第3ワンタッチ継手
22 第2集塵部
22a 第2ワンタッチ継手
22b 第4ワンタッチ継手
23 循環ファン
24,26 針電極
25,27 集塵電極
28 コネクタ
30 電力線
32 負イオン
33 正イオン
34 気化フラックス粒子
A 箱状部
B 蓋部

Claims (3)

  1. 電子部品が搭載された電子回路基板の半田付けの際に発生する気化フラックスを回収するフラックス回収装置において、
    前記フラックス回収装置に前記気化フラックスを含む気体を通す第1配管部と、
    前記第1配管部を通った前記気化フラックスをプラズマ放電手段によって固化して集塵する集塵部と、
    前記第1配管部に設けられた第1排気経路と、
    前記第1配管部に設けられた第1吸気経路と、
    前記第1排気経路の流路を開閉する第1排気バルブと、
    前記第1吸気経路の流路を開閉する第1吸気バルブと、
    前記第1配管部の流路を開閉する第1配管バルブと
    前記集塵部で前記気化フラックスを集塵した後の気体を通す第2配管部と、
    前記第2配管部に設けられた第2排気経路と、
    前記第2配管部に設けられた第2吸気経路と、
    前記第2排気経路の流路を開閉する第2排気バルブと、
    前記第2吸気経路の流路を開閉する第2吸気バルブと、
    前記第2配管部の流路を開閉する第2配管バルブとを備える、フラックス回収装置。
  2. 請求項1に記載のフラックス回収装置を有する、リフロー装置。
  3. 電子部品が搭載された電子回路基板の半田付けの際に発生する気化フラックスを回収するフラックス回収装置内の気体交換方法において、
    前記フラックス回収装置に前記気化フラックスを含む気体を通す第1配管部の流路を閉止する第1配管閉止工程と、
    前記フラックス回収装置に前記気化フラックスを集塵した後の気体を通す第2配管部の流路を閉止する第2配管閉止工程と、
    前記第1配管部に設けられた第1排気経路を開放する第1排気経路開放工程と
    前記第2配管部に設けられた第2排気経路を開放する第2排気経路開放工程と、
    前記第1排気経路を閉止する第1排気経路閉止工程と、
    前記第2排気経路を閉止する第2排気経路閉止工程と、
    前記第1配管に設けられた第1吸気経路を開放する第1吸気経路開放工程と、
    前記第2配管に設けられた第2吸気経路を開放する第2吸気経路開放工程とを含む、フラックス回収装置内の気体交換方法。
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