JP6606382B2 - 車両の制御装置、及びその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は車両の制御装置、及びその制御方法に関するものである。
従来、特許文献1には、エンジンを停止し、クラッチを解放し、エンジンとインプットシャフトとの間の動力伝達を遮断して走行する惰性走行時に、駆動輪から動力をメカオイルポンプなどの補機に伝達して補機を駆動する車両用制御システムが開示されている。
国際公開第2012/023210号
上記の技術により惰性走行時に駆動輪から伝達される動力によって補機を駆動している場合に、補機の出力が大きくなると、ブレーキ力が増大することになる。例えば車速が低い場合に、このようなブレーキ力が増大すると、運転者に違和感を与えるおそれがある。
本発明はこのような問題点を解決するために発明されたもので、惰性走行時に駆動輪から補機に動力を伝達している場合に、補機の出力増大によって運転者に違和感を与えることを防止することを目的とする。
本発明のある態様に係る車両の制御装置は、エンジンと、エンジンと駆動輪との間に設けられ、エンジンと駆動輪との間の動力伝達を断接可能な摩擦締結要素と、エンジンから第1動力伝達機構を介して伝達される動力、または駆動輪から第2動力伝達機構を介して伝達される動力によって駆動可能な補機と、補機を駆動可能なモータとを備えた車両を制御する車両の制御装置であって、走行中に、エンジンが停止され、摩擦締結要素が解放され、第1動力伝達機構によってエンジンと補機との動力伝達が遮断され、駆動輪から第2動力伝達機構を介して動力を伝達して補機が駆動され、補機の出力増加量が所定変化量よりも大きくなる場合にモータを駆動するモータ制御手段を備える。
本発明の別の態様に係る制御方法は、エンジンと、エンジンと駆動輪との間に設けられ、エンジンと駆動輪との間の動力伝達を断接可能な摩擦締結要素と、エンジンから第1動力伝達機構を介して伝達される動力、または駆動輪から第2動力伝達機構を介して伝達される動力によって駆動可能な補機と、補機を駆動可能なモータとを備えた車両を制御する車両の制御方法であって、走行中に、エンジンが停止され、摩擦締結要素が解放され、第1動力伝達機構によってエンジンと補機との動力伝達が遮断され、駆動輪から第2動力伝達機構を介して動力が伝達されて補機が駆動し、補機の出力増加量が所定変化量よりも大きくなる場合にモータを駆動する。
これら態様によると、走行中にエンジンを停止し、駆動輪から第2動力伝達機構を介して補機に動力を伝達している場合に、補機の出力が増加しても、補機の出力増加により車両が減速することを抑制し、運転者に違和感を与えることを抑制することができる。
第1実施形態の車両の概略構成図である。 第1実施形態のM/Gの駆動制御を説明するフローチャートである。 第1実施形態のM/Gの駆動制御を説明するタイムチャートである。 第1実施形態の変形例を説明するタイムチャートである。 第2実施形態のM/Gの駆動制御を説明するフローチャートである。 第2実施形態のM/Gの駆動制御を説明するタイムチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、バリエータの変速比は、入力回転速度を出力回転速度で除算した値であり、変速比が大きい場合をLow、変速比が小さい場合をHighと言う。
(第1実施形態)
図1は、車両1の概略構成図である。車両1は、エンジン2と、トルクコンバータ3と、モータジェネレータ4と、ポンプ5と、第1ワンウェイクラッチ6と、前後進切替機構7と、バリエータ8と、第2ワンウェイクラッチ9と、終減速機構10と、駆動輪11と、油圧回路100と、を備える。
エンジン2は、車両1やポンプ5の駆動源を構成する。エンジン2の出力は、トルクコンバータ3、第1ワンウェイクラッチ6、前後進切替機構7、バリエータ8、及び終減速機構10を介して駆動輪11へと伝達される。換言すれば、トルクコンバータ3や第1ワンウェイクラッチ6や前後進切替機構7やバリエータ8や終減速機構10は、エンジン2から駆動輪11に動力を伝達する動力伝達経路に設けられる。
トルクコンバータ3は、流体を介して動力を伝達する。トルクコンバータ3では、ロックアップクラッチを締結することで、動力伝達効率を高めることができる。
モータジェネレータ4は、ポンプ5の駆動源を構成する。以下では、モータジェネレータ4をM/G4と称す。M/G4には、インバータ41が設けられる。M/G4は、インバータ41から出力される電力により駆動される。インバータ41には、バッテリ42が接続される。M/G4が車両1の制動時に電力として回生するエネルギは、インバータ41を介してバッテリ42に供給される。M/G4は、例えば三相交流により駆動される同期型回転電機により構成される。
ポンプ5は、エンジン2、M/G4、プライマリプーリ81(駆動輪11)のうち少なくとも1つから動力が伝達されると駆動し、油を吐出する。ポンプ5は、車両空調用のコンプレッサ14、ウォーターポンプ15と共に補機を構成する。
第1ワンウェイクラッチ6は、エンジン2及びバリエータ8間、具体的にはトルクコンバータ3及び前後進切替機構7間に設けられる。第1ワンウェイクラッチ6は、第1内輪61と、第1外輪62と、第1クラッチ部63と、を備える。また、第1ワンウェイクラッチ6には、第1動力伝達部64と、第2動力伝達部65と、第3動力伝達部66と、第4動力伝達部67とが設けられる。
第1内輪61は、第1クラッチ部63を介して第1外輪62と係合する。第1内輪61には、エンジン2の動力が伝達される。第1内輪61は、エンジン2の出力軸の回転に応じて回転するように設けられる。第1内輪61は具体的には、エンジン2の出力軸と一体回転するように設けられる。
第1外輪62は、第1動力伝達部64を介してM/G4の回転軸と連結し、第2動力伝達部65を介してポンプ5の回転軸と連結する。また、第1外輪62は、第3動力伝達部66を介してコンプレッサ14の回転軸と連結し、第4動力伝達部67を介してウォーターポンプ15の回転軸と連結する。第1動力伝達部64、第2動力伝達部65、第3動力伝達部66、及び第4動力伝達部67は例えば、ベルトやチェーンで構成することができる。なお、第1動力伝達部64、第2動力伝達部65、第3動力伝達部66、及び第4動力伝達部67は例えば、さらに動力を断続するクラッチを有して構成されてもよい。
第1クラッチ部63は、エンジン2の駆動に応じて得られる第1内輪61の回転速度が、M/G4の駆動、または第2ワンウェイクラッチ9を介してプライマリプーリ81(駆動輪11)から伝達される動力に応じて得られる第1外輪62の回転速度よりも高い場合に、第1内輪61と第1外輪62とを係合し、第1内輪61から第1外輪62に動力を伝達する。また、第1クラッチ部63は、エンジン2の駆動に応じて得られる第1内輪61の回転速度が、M/G4の駆動、及びプライマリプーリ81から伝達される動力に応じて得られる第1外輪62の回転速度よりも低い場合に、第1内輪61と第1外輪62との係合を解除し、第1内輪61から第1外輪62への動力伝達を遮断する。
エンジン2の駆動に応じて得られる第1内輪61の回転速度は、第1ワンウェイクラッチ6におけるエンジン側回転速度である回転速度Neを構成する。また、M/G4の駆動、及びプライマリプーリ81から伝達される動力に応じて得られる第1外輪62の回転速度は、第1ワンウェイクラッチ6におけるモータ側回転速度である回転速度Nm1を構成する。
このため、第1ワンウェイクラッチ6では、回転速度Neが回転速度Nm1よりも高い場合に、第1内輪61が第1クラッチ部63を介して第1外輪62を連れ回し、エンジン2の動力をポンプ5に伝達する。一方、走行中にエンジン2が停止した場合など、回転速度Neが回転速度Nm1よりも低い場合には、第1外輪62が第1内輪61を連れ回すことはなく、第1外輪62は自由に回転し、エンジン2と、ポンプ5及びM/G4との動力伝達は遮断される。
前後進切替機構7は、エンジン2及びバリエータ8間、具体的には第1ワンウェイクラッチ6及びバリエータ8間に設けられる。前後進切替機構7は、前進走行に対応する正転方向と後退走行に対応する逆転方向との間で、入力される回転の回転方向を切り替える。
前後進切替機構7は具体的には、前進クラッチ71と、後退ブレーキ72と、を備える。前進クラッチ71は、回転方向を正転方向とする場合に連結される。後退ブレーキ72は、回転方向を逆転方向とする場合に連結される。前進クラッチ71及び後退ブレーキ72の一方は、エンジン2とバリエータ8と間で回転を断続するクラッチとして構成することができる。前後進切替機構7の前進クラッチ71、及び後退ブレーキ72が解放されると、エンジン2とバリエータ8との間の動力伝達が遮断される。
バリエータ8は、プライマリプーリ81と、セカンダリプーリ82と、プライマリプーリ81及びセカンダリプーリ82に巻き掛けられたベルト83と、を有する。以下では、プライマリをPRIとも称し、セカンダリをSECとも称す。バリエータ8は、PRIプーリ81とSECプーリ82との溝幅をそれぞれ変更することでベルト83の巻掛け径を変更して変速を行うベルト式無段変速機構を構成している。
PRIプーリ81は、固定プーリ81aと、可動プーリ81bと、PRI室81cと、を有する。PRIプーリ81では、PRI室81cに供給されるプライマリ圧を制御することにより、可動プーリ81bが作動し、PRIプーリ81の溝幅が変更される。
SECプーリ82は、固定プーリ82aと、可動プーリ82bと、SEC室82cと、を有する。SECプーリ82では、SEC室82cに供給されるセカンダリ圧を制御することにより、可動プーリ82bが作動し、SECプーリ82の溝幅が変更される。
ベルト83は、PRIプーリ81の固定プーリ81aと可動プーリ81bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面と、SECプーリ82の固定プーリ82aと可動プーリ82bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面に巻き掛けられる。
第2ワンウェイクラッチ9は、PRIプーリ81の後方に設けられる。第2ワンウェイクラッチ9は、第2内輪91と、第2外輪92と、第2クラッチ部93と、を備える。また、第2ワンウェイクラッチ9には、第5動力伝達部94が設けられる。
第2内輪91は、第2クラッチ部93を介して第2外輪92と係合する。第2内輪91は、PRIプーリ81の固定プーリ81aの回転軸と連結し、固定プーリ81aの回転が伝達される。
第2外輪92は、第5動力伝達部94を介してM/G4の回転軸と連結する。第5動力伝達部94は例えば、ベルトやチェーンで構成することができる。なお、第5動力伝達部94は例えば、さらに動力を断続するクラッチを有して構成されてもよい。
第2クラッチ部93は、PRIプーリ81の回転に応じて得られる第2内輪91の回転速度が、第2外輪92の回転速度よりも高い場合に、第2内輪91と第2外輪92とを係合し、第2内輪91から第2外輪92に動力を伝達する。また、第2クラッチ部93は、第2内輪91の回転速度が、第2外輪92の回転速度よりも低い場合に、第2内輪91と第2外輪92との係合を解除し、第2内輪91から第2外輪92への動力伝達を遮断する。
PRIプーリ81の回転が伝達される第2内輪91の回転速度は、第2ワンウェイクラッチ9におけるPRIプーリ81側回転速度である回転速度Npriを構成する。また、第2外輪92の回転速度は、第2ワンウェイクラッチ9におけるモータ側回転速度である回転速度Nm2を構成する。
このため、第2ワンウェイクラッチ9では、回転速度Npriが回転速度Nm2よりも高い場合に、第2内輪91が第2クラッチ部93を介して第2外輪92を連れ回し、PRIプーリ81の回転をポンプ5に伝達する。一方、回転速度Npriが回転速度Nm2よりも低い場合には、第2外輪92が第2内輪91を連れ回すことはなく、第2内輪91、及び第2外輪92は自由に回転し、PRIプーリ81の回転はポンプ5に伝達されない。
このように、本実施形態の車両1においては、M/G4の回転軸に第2ワンウェイクラッチ9を介してPRIプーリ81の回転を伝達可能となっている。そのため、前後進切替機構7によってエンジン2とバリエータ8との動力伝達が遮断され、エンジン2が停止している場合であっても、第2ワンウェイクラッチ9、第5動力伝達部94、M/G4の回転軸、第1動力伝達部64、第1外輪62、及び第2動力伝達部65を介してPRIプーリ81の回転をポンプ5に伝達し、ポンプ5を駆動することができる。また、同様に、第3動力伝達部66を介してコンプレッサ14、第4動力伝達部67を介してウォーターポンプ15を駆動することができる。即ち、第5動力伝達部94によって駆動輪11から補機に動力を伝達可能となっている。
なお、エンジン2が停止しておらず、前後進切替機構7によってエンジン2とバリエータ8との動力伝達が行われている場合には、第2内輪91の回転速度Npriが第2外輪92の回転速度Nm2よりも低くなるように、第2ワンウェイクラッチ9、及び第5動力伝達部94は構成されている。
また、第2外輪92を第5動力伝達部94を介してポンプ5の回転軸に直接連結してもよい。
終減速機構10は、バリエータ8からの出力回転を駆動輪11に伝達する。終減速機構10は、複数の歯車列やディファレンシャルギアを有して構成される。終減速機構10は、車軸を介して駆動輪11を回転する。
油圧回路100は、複数の流路、複数の油圧制御弁で構成される。油圧回路100は、コントローラ12からの信号に基づいて、ポンプ5から吐出された油で発生する油圧から必要な油圧を調整する。そして、油圧回路100は、調整した油圧を、バリエータ8のPRIプーリ81にプライマリ圧を供給するとともに、SECプーリ82にセカンダリ圧を供給する。また、油圧回路100は、前後進切替機構7、トルクコンバータ3にも油圧を供給する。
車両1はコントローラ12をさらに備える。コントローラ12は、電子制御装置であり、コントローラ12には、センサ・スイッチ群13からの信号が入力される。
センサ・スイッチ群13は例えば、アクセル開度APOを検出するアクセル開度センサや、ブレーキペダルが踏み込み量BRPに基づくブレーキ踏力を検出するブレーキセンサや、車速VSPを検出する車速センサや、回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサを含む。
センサ・スイッチ群13はさらに例えば、PRI圧を検出するPRI圧センサや、SEC圧を検出するSEC圧センサや、PRIプーリ81の入力側回転速度である回転速度Npriを検出するPRI回転速度センサや、SECプーリ82の出力側回転速度である回転速度Nsecを検出するSEC回転速度センサや、変速レバーの操作位置を検出するインヒビタスイッチを含む。
コントローラ12は、センサ・スイッチ群13からの信号に基づき、M/G4や油圧回路100を制御する。
M/G4を制御するにあたり、コントローラ12は具体的には、インバータ41にトルク指令を出力する。
本実施形態では、エンジン2の燃費を向上させるために、車両1走行中にエンジン2を自動停止させるコーストストップ制御を実行する。コーストストップ制御は、例えば走行中に車速VSPが所定車速以下となり、アクセルペダルの踏み込みがなく、さらにブレーキペダルが踏み込まれた場合に実行される。
コーストストップ制御中は、エンジン2を停止し、前後進切替機構7の前進クラッチ71、及び後退ブレーキ72を解放し、エンジン2とバリエータ8との動力伝達を遮断している。従って、エンジン2から第1ワンウェイクラッチ6を介したポンプ5への動力伝達は行われない。しかし、本実施形態の車両1は、コーストストップ制御中、駆動輪11から、バリエータ8のPRIプーリ81、第2ワンウェイクラッチ9などを介してポンプ5などの補機へ動力伝達を行うことができる。
駆動輪11から補機へ動力伝達を行っている場合には、補機を駆動する分、車両1には制動力が発生する。即ち、補機の出力が大きくなると、車両1で発生する制動力が大きくなる。このようにして制動力が大きくなると、運転者によってブレーキ操作がされていないにもかかわらず制動力が大きくなるので運転者に違和感を与えるおそれがある。特に車速VSPが低い場合に、このような制動力の増加は、運転者に違和感を与えやすい。
本実施形態では、このような場合にM/G4を駆動し、補機を駆動することによる減速度dの発生を抑制し、運転者に違和感を与えることを抑制する。以下において、M/G4の駆動制御について図2のフローチャートを用いて説明する。ここでは、コーストストップ制御が実行され、エンジン2が停止し、前後進切替機構7によってエンジン2とバリエータ8との動力伝達が遮断されているものとする。
ステップS100では、コントローラ12は、ポンプ5に要求される要求吐出量を吐出するために必要なポンプ5の出力Ppを算出する。具体的には、コントローラ12は、要求吐出量と要求吐出圧とからポンプ5を駆動するために必要な出力Ppを算出する。
ステップS101では、コントローラ12は、コンプレッサ14に要求される要求冷媒吐出量からコンプレッサ14の出力Pcを算出する。
ステップS102では、コントローラ12は、ウォーターポンプ15に要求される要求冷却水量からウォーターポンプ15の出力Pwを算出する。
ステップS103では、コントローラ12は、予め設定された許容減速度d1に基づいて許容出力変化量ΔP1を設定する。本実施形態では許容減速度d1はゼロであり、許容出力変化量ΔP1もゼロである。
ステップS104では、コントローラ12は、ポンプ5、コンプレッサ14及びウォーターポンプ15の各出力Pp、Pc、Pwの変化量を加算した出力変化量ΔPと、許容出力変化量ΔP1とを比較する。出力変化量ΔPは、例えば、ウォーターポンプ15の出力Pwが変化せず、ポンプ5の出力Ppが増加した場合に、その増加量と同量の減少量がコンプレッサ14の出力Pcで生じた場合には、ゼロとなる。駆動輪11からの動力伝達によってポンプ5などの補機を駆動している状態で補機の出力が増加すると、補機の出力増加は、制動力の増加につながる。従って、出力変化量ΔPが許容出力変化量ΔP1よりも大きい場合には、補機の出力増加により減速度dが増加し、運転者に違和感を与えるおそれがある。出力変化量ΔPが許容出力変化量ΔP1以下の場合には処理はステップS105に進み、出力変化量ΔPが許容出力変化量ΔP1よりも小さい場合には処理はステップS106に進む。
ステップS105では、コントローラ12はM/G4を駆動する。コントローラ12は、補機の出力増加によって減速度dが発生しないように、M/G4の出力Pmを制御する。
ステップS106では、コントローラ12はM/G4を駆動しない。
次に、M/G4の駆動制御について図3のタイムチャートを用いて説明する。ここでは、コーストストップ制御が実行されており、M/G4を駆動してないものとする。コーストストップ制御が実行され、エンジン2は停止しているのでエンジン2の回転速度Neはゼロであり、バリエータ8はダウンシフトしている。
時間t1において、ポンプ5を駆動するために必要な出力Ppが増加し、さらにコンプレッサ14の出力Pcが増加する。ポンプ5及びコンプレッサ14の出力Pp、Pcが増加するので、ポンプ5、コンプレッサ14及びウォーターポンプ15の各出力Pp、Pc、Pwを加算した出力変化量ΔPが増加し、出力変化量ΔPが許容出力変化量ΔP1よりも大きくなる。そのため、M/G4を駆動させ、ポンプ5及びコンプレッサ14をM/G4によって駆動する。これにより、M/G4の出力Pmは増加するが、車両1の減速度dは変化しない。
時間t2において、バリエータ8の変速比iが最Lowとなると変速に必要な油圧がなくなり、ポンプ5の吐出量が少なり、ポンプ5の出力Ppが低下し、M/G4の出力Pmも低下する。
本発明の第1実施形態の効果について説明する。
駆動輪11からの動力伝達によってポンプ5などの補機を駆動する際に、補機の出力増加により出力変化量ΔPが許容出力変化量ΔP1よりも大きい場合には、M/G4を駆動し、M/G4によって補機を駆動する。これにより、補機の出力増加により減速度dが大きくなることを抑制し、運転者に違和感を与えることを抑制することができる(請求項1に対応する効果)。
特に、補機の出力増加により、減速度dが発生する、すなわち車両1が減速する場合に、M/G4を駆動し、M/G4によって補機を駆動する。これにより、運転者のブレーキ操作とは関係がない補機の出力増加による制動力の発生を防止することができ、運転者に違和感を与えることを防止することができる(請求項2に対応する効果)。
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
変形例では、ステップS103の許容減速度d1は、駆動輪11からの動力伝達によって補機を駆動している場合に、補機の出力が増加することで発生する減速度dが運転者に違和感を与えない減速度(所定減速度)に設定される。許容減速度d1は予め設定されている。従って、変形例においては、許容出力変化量ΔP1は、駆動輪11からの動力伝達によって補機を駆動する際に、運転者に違和感を与えない出力変化量ΔPである。
このように許容出力変化量ΔP1を設定することで、図4のタイムチャートで示すように、時間t1で出力変化量ΔPが増加しても、時間t1’において出力変化量ΔPが許容出力変化量ΔP1よりも大きくなり、減速度dが許容減速度d1となるまで、M/G4は駆動されない。これにより、M/G4の駆動時間を短く、または駆動タイミングを少なくすることができ、M/G4におけるバッテリ42の消費電力を少なくすることができる(請求項3に対応する効果)。
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、M/G4の駆動制御が異なっており、駆動制御について図5のフローチャートを用いて説明する。ここでは、コーストストップ制御が実行され、エンジン2を停止し、前後進切替機構7によってエンジン2とバリエータ8との動力伝達が遮断されているものとする。
ステップS200からステップS206までの制御は第1実施形態のステップS100からステップS106までの制御と同じなのでここで説明は省略する。
ステップS207では、コントローラ12は、M/G4の出力Pmがゼロであるかどうか判定する。M/G4の出力Pmがゼロの場合には処理はステップS206に進み、M/G4の出力Pmがゼロではない場合には処理はステップS207に進む。
ステップS208では、コントローラ12は、M/G4の出力Pmを、現在のM/G4の出力Pmから所定値を減算した値に設定する。所定値は、予め設定されており、M/G4の出力Pmを低減することで減速度dが増加した場合であっても、運転者に違和感を与えない値である。M/G4の出力Pmを低減すると、補機は駆動輪11からの動力伝達により駆動するので、制動力が大きくなり、車両1が減速するが、減速度dがわずかに増加しても運転者は違和感を覚えにくい。そこで、本実施形態では、運転者に違和感を与えないようにM/G4の出力Pmを徐々に低減する。これにより、M/G4における消費電力を少なくする。
次に、M/G4の駆動制御について図6のタイムチャートを用いて説明する。ここでは、コーストストップ制御が実行されており、M/G4を駆動してないものとする。コーストストップ制御が実行され、エンジン2は停止しているのでエンジン2の回転速度Neはゼロであり、バリエータ8はダウンシフトしている。
時間t1において、ポンプ5を駆動するために必要な出力Ppが増加し、さらにコンプレッサ14の出力Pcが増加する。ポンプ5及びコンプレッサ14の出力Pc、Pp、Pcが増加するので、ポンプ5、コンプレッサ14及びウォーターポンプ15の各出力Pp、Pc、Pwを加算した出力変化量ΔPが増加し、出力変化量ΔPが許容出力変化量ΔP1よりも大きくなる。そのため、M/G4を駆動させ、ポンプ5及びコンプレッサ14をM/G4によって駆動する。
また、M/G4を駆動した後に、M/G4の出力Pmを徐々に低減する。ここでは、M/G4の出力を低減することで発生する減速度dが運転者に違和感を与えない減速度dとなるようにM/G4の出力Pmを制御する。
時間t2において、バリエータ8の変速比iが最Lowとなると変速に必要な油圧がなくなるので、ポンプ5の吐出量が少なくなるので、M/G4の出力Pmも低下する。
本発明の第2実施形態の効果について説明する。
M/G4を駆動した後に、M/G4の出力Pmを運転者に違和感を与えない範囲で徐々に低減する。これにより、運転者に違和感を与えることを抑制するとともに、M/G4で消費される電力を低減し、M/G4におけるバッテリ42の消費電力を少なくすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
バリエータ8の変速比iが最Lowになっていない場合には、バリエータ8を最Lowとした後に、上記M/G4によるポンプ5の駆動制御を行ってもよい。バリエータ8をLow側に変速させることで、PRIプーリ81の回転速度Npriを高くすることができ、ポンプ5からの吐出量を大きくすることができる。バリエータ8を最Lowとしても、ポンプ5からの吐出量が不足する場合にのみ、M/G4を駆動することで、M/G4によってポンプ5を駆動する時間を短く(M/G4の駆動機会を少なく)し、M/G4で消費される電力を少なくすることができる。
上記実施形態では、第2内輪91をPRIプーリ81の固定プーリ81aの回転軸に連結したが、これに限られず、前後進切替機構7よりも駆動輪11側の回転部材に連結し、駆動輪11からポンプ5に動力を伝達可能であればよい。
また、上記実施形態、変形例を組み合わせてもよい。
1 車両
2 エンジン
4 M/G(モータ)
5 ポンプ(補機)
6 第1ワンウェイクラッチ(第1動力伝達機構)
8 バリエータ
9 第2ワンウェイクラッチ(第2動力伝達機構)
12 コントローラ(モータ制御手段)
14 エアコンプレッサ(補機)
15 ウォーターポンプ(補機)
65 第2動力伝達部(第1動力伝達機構)
94 第5動力伝達部(第2動力伝達機構)

Claims (5)

  1. エンジンと、
    前記エンジンと駆動輪との間に設けられ、前記エンジンと前記駆動輪との間の動力伝達を断接可能な摩擦締結要素と、
    前記エンジンから第1動力伝達機構を介して伝達される動力、または前記駆動輪から第2動力伝達機構を介して伝達される動力によって駆動可能な補機と、
    前記補機を駆動可能なモータとを備えた車両を制御する車両の制御装置であって、
    走行中に、前記エンジンが停止され、前記摩擦締結要素が解放され、前記第1動力伝達機構によって前記エンジンと前記補機との動力伝達が遮断され、前記駆動輪から前記第2動力伝達機構を介して動力を伝達して前記補機が駆動され、前記補機の出力増加量が所定変化量よりも大きくなる場合に前記モータを駆動するモータ制御手段を備える、
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制御装置であって、
    前記所定変化量は、前記補機を駆動したときに前記車両に発生する減速度に基づき設定される前記補機の出力変化量である、
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  3. 請求項1に記載の車両の制御装置であって、
    前記所定変化量は、前記補機を駆動したときに前記車両に発生する減速度がゼロよりも大きくなる前記補機の出力変化量である、
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の車両の制御装置であって、
    前記モータ制御手段は、前記モータを駆動した後に、前記モータの出力を漸減させる、
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  5. エンジンと、
    前記エンジンと駆動輪との間に設けられ、前記エンジンと前記駆動輪との間の動力伝達を断接可能な摩擦締結要素と、
    前記エンジンから第1動力伝達機構を介して伝達される動力、または前記駆動輪から第2動力伝達機構を介して伝達される動力によって駆動可能な補機と、
    前記補機を駆動可能なモータとを備えた車両を制御する車両の制御方法であって、
    走行中に、前記エンジンが停止され、前記摩擦締結要素が解放され、前記第1動力伝達機構によって前記エンジンと前記補機との動力伝達が遮断され、前記駆動輪から前記第2動力伝達機構を介して動力が伝達されて前記補機が駆動し、前記補機の出力増加量が所定変化量よりも大きくなる場合に前記モータを駆動する、
    ことを特徴とする車両の制御方法。
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