JP6605109B1 - 燃料電池セル及びセルスタック装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、クラックを抑制する燃料電池セル及びセルスタック装置を提供する。【解決手段】本発明の燃料電池セル100は、マニホールド200に基端部が支持される燃料電池セルである。燃料電池セル100は、支持基板110と、発電素子部120と、被覆膜170と、を備えている。支持基板110は、外側面及び基端面を有する。発電素子部120は、外側面に設けられる。被覆膜170は、基端面の少なくとも一部を覆う。被覆膜170を構成する材料の気孔率は、20.0%以下である。【選択図】図6

Description

本発明は、燃料電池セル及びセルスタック装置に関する。
従来、複数の燃料電池セルと、この燃料電池セルの一端が固定されるマニホールドと、燃料電池セルとマニホールドとを固定するシール材とを備えるセルスタック装置が知られている。このようなセルスタック装置として、例えば、2016−225035号公報(特許文献1)が挙げられる。
特許文献1のシール材は、マニホールドの内部空間側である内側表面と、燃料電池セルの他端側である外側表面とを有しており、内側表面は、外側表面よりも表面粗さが大きい。表面粗さが大きい内側表面に優先的にクラックを発生させることによって、ガスリークを伴う外側表面のクラックを防止することが特許文献1に開示されている。
特開2016−225035号公報
しかしながら、上記特許文献1のセルスタック装置において、燃料電池セルにクラックが生じることによって、ガスリークを十分に抑制できないという問題があることに本発明者は着目した。すなわち、ガス封止するシール材は緻密体であるため高強度であるのに対し、燃料電池セルの支持基板は多孔体であるため強度に劣る。そのため、セル下端部からクラックが発生しやすいことを本発明者は見出した。
そこで、本発明の課題は、クラックを抑制することのできる燃料電池セル及びセルスタック装置を提供することにある。
上記特許文献1においてガスリークを十分に抑制できないという問題は、シール材よりも燃料電池セルが低強度であることに起因していることを本発明者は見出した。燃料電池セルが低強度であると、熱膨張及び熱収縮による熱応力の発生時に、シール材よりも燃料電池セルの下端部に優先的にクラックが発生してしまう。このクラックが燃料電池セルの外側面に達すると、マニホールドの内部空間と、マニホールドの外部空間とを繋ぐ通路となる。このため、内部空間に導入された燃料ガスが、内部空間から外部空間へと漏れ出してしまい、ガスリークが発生する。そこで、本発明者は、熱応力によって燃料電池セルにおいてクラックが発生しやすい部分の強度を高めるという着想に至った。
すなわち、本発明の第1側面に係る燃料電池セルは、マニホールドに基端部が支持される燃料電池セルである。燃料電池セルは、支持基板と、発電素子部と、被覆膜と、を備えている。支持基板は、外側面及び基端面を有する。発電素子部は、外側面に設けられる。被覆膜は、基端面の少なくとも一部を覆う。被覆膜を構成する材料の気孔率は、20.0%以下である。
本発明の第2側面に係る燃料電池セルは、マニホールドに基端部が支持される燃料電池セルである。燃料電池セルは、支持基板と、発電素子部と、被覆膜と、を備えている。支持基板は、外側面及び基端面を有する。発電素子部は、外側面に設けられる。被覆膜は、基端面の少なくとも一部を覆う。被覆膜の厚さは、10μm以上である。
本発明の燃料電池セルによれば、熱応力によってクラックが発生しやすい部分である支持基板の基端面の少なくとも一部に、気孔率を制御した被覆膜、または、厚さを制御した被覆膜が形成されている。このため、熱応力が加えられても、支持基板の基端面を起点とするクラックを抑制できる。
本発明のセルスタック装置は、上記いずれかに記載の燃料電池セルと、この燃料電池セルの基端部を支持するマニホールドと、マニホールドと燃料電池セルとを接合する接合材と、を備えている。
本発明の第3側面に係るセルスタック装置は、燃料電池セルと、マニホールドと、接合材と、を備えている。マニホールドは、燃料電池セルの基端部を支持する。接合材は、マニホールドと燃料電池セルとを接合する。接合材は、マニホールドの内部空間に露出する露出面を含む。燃料電池セルは、支持基板と、発電素子部と、被覆膜と、を含む。支持基板は、外側面及び基端面を有する。発電素子部は、外側面に設けられる。被覆膜は、基端面の少なくとも一部を覆う。支持基板の基端面は、先端部側に湾曲している。被覆膜の表面及び接合材の露出面は、同一平面上に位置する。
本発明の第4側面に係るセルスタック装置は、燃料電池セルと、マニホールドと、接合材と、を備えている。マニホールドは、燃料電池セルの基端部を支持する。接合材は、マニホールドと燃料電池セルとを接合する。接合材は、マニホールドの内部空間に露出する露出面を含む。燃料電池セルは、支持基板と、発電素子部と、被覆膜と、を含む。支持基板は、外側面及び基端面を有する。発電素子部は、外側面に設けられる。被覆膜は、基端面の少なくとも一部を覆う。支持基板の基端面は、基端部側に湾曲している。被覆膜の表面及び接合材の露出面は、同一平面上に位置する。
本発明の第3側面及び第4側面に係るセルスタック装置によれば、支持基板の基端面が上方または下方に湾曲しているので、熱応力を分散できる。それに加えて、湾曲した基端面の少なくとも一部を被覆膜が覆っており、被覆膜の表面及び接合材の露出面は、同一平面上に位置する。このため、熱応力によってクラックの発生しやすい基端面の強度を向上できる。このように、支持基板による熱応力が分散される効果と、被覆膜による強度向上の効果との相乗効果が得られる。したがって、クラックを抑制することができる。
好ましくは、燃料電池セルは、支持基板の外側面を覆う緻密膜をさらに含む。支持基板は、多孔質材料で構成される。支持基板の外側面は、第1領域と第2領域とを有する。第1領域は、緻密膜によって覆われている。第2領域は、基端側において緻密膜から露出する。支持基板は、緻密領域を有する。緻密領域は、基端面及び第2領域の少なくとも一部から、他の材料が1.0μm以上含浸されてなる。
熱応力によってクラックが発生しやすい基端面近傍領域に位置する基端面及び外側面の少なくとも一部に、支持基板を構成する多孔質材料よりも強度が高い緻密領域が1.0μm以上形成される。このため、基端面近傍領域の強度をより向上できる。したがって、クラックをより抑制できる。
好ましくは、被覆膜は、接合材を構成する材料と同じ材料で形成されている。あるいは、被覆膜は、接合材を構成する材料と異なる材料で形成されていてもよい。
以上説明したように、本発明は、クラックを抑制する燃料電池セル及びセルスタック装置を提供することができる。
実施形態1のセルスタック装置の斜視図。 実施形態1のセルスタック装置の断面図。 実施形態1のセルスタック装置の断面図。 実施形態1の燃料電池セルの斜視図。 実施形態1の燃料電池セルの断面図。 実施形態1のセルスタック装置の拡大断面図。 実施形態1の燃料電池セル及び接合材の模式図。 実施形態1のセルスタック装置の製造方法を示す断面図。 実施形態1のセルスタック装置の製造方法を示す断面図。 実施形態2のセルスタック装置の断面図。 実施形態2の燃料電池セル及び接合材の模式図。 変形例の燃料電池セル及び接合材の模式図。 変形例のセルスタック装置の拡大断面図。 変形例の燃料電池セルの拡大断面図。 変形例の燃料電池セル及び接合材の模式図。 変形例の燃料電池セル及び接合材の模式図。 比較例の燃料電池セル及び接合材の模式図。 参考例のセルスタック装置の拡大断面図。 変形例のセルスタック装置の断面図。 変形例のセルスタック装置の断面図。 変形例のセルスタック装置の断面図。 変形例のセルスタック装置の断面図。 変形例のセルスタック装置の断面図。 変形例のセルスタック装置の断面図。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。なお、各図におけるx軸方向、y軸方向、及びz軸方向のそれぞれは、マニホールドの高さ方向、短手方向(幅方向)、及び長手方向に対応する。また、各図におけるx軸方向、y軸方向、及びz軸方向のそれぞれは、各燃料電池セルの長手方向、短手方向(幅方向)、及び厚さ方向に対応する。また、本明細書の「上」及び「下」は、マニホールド及びセルスタック装置を水平面に載置したときのマニホールドの高さ方向(x軸方向)を基準とする。以下の説明では、燃料電池セルの基端部は下端部を意味し、燃料電池セルの先端部は上端部を意味する。
(実施形態1)
図1〜図7を参照して、本発明の一実施形態であるセルスタック装置及び燃料電池セルについて説明する。実施形態1のセルスタック装置及び燃料電池セルは、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)に用いられる。
[セルスタック装置]
図1〜図3に示すように、セルスタック装置1は、複数の燃料電池セル100と、マニホールド200と、第1接合材300とを備えている。各燃料電池セル100は、マニホールド200によって支持されている。第1接合材300は、各燃料電池セル100と、マニホールド200とを接合する。
[燃料電池セル]
図1〜図3に示すように、燃料電池セル100は、マニホールド200から上方に延びている。詳細には、各燃料電池セル100は、マニホールド200の上壁230から上方に延びている。燃料電池セル100の下端部101は、マニホールド200の挿入孔231内に挿入されている。なお、燃料電池セル100の下端部101が挿入孔231内に挿入された状態において、燃料電池セル100の下端部101の外周面と挿入孔231の内壁面との間には隙間が形成されている。この隙間に第1接合材300が充填されている。このため、燃料電池セル100の下端部101は、マニホールド200に固定されている。一方、燃料電池セル100の上端部102は、自由端である。燃料電池セル100は、マニホールド200によって、片持ち状態で支持され、自立している。
各燃料電池セル100は、マニホールド200の長手方向に沿って、互いに間隔をあけて配置されている。図2に示すように、各燃料電池セル100は、第1集電部材4を介して互いに電気的に接続されている。第1集電部材4は、各燃料電池セル100の間に配置されており、隣り合う各燃料電池セル100を接続している。なお、第1集電部材4は、第2接合材5によって各燃料電池セル100に接合されている。第1集電部材4は、導電性を有する材料から形成されている。例えば、第1集電部材4は、酸化物セラミックスの焼成体または金属などによって形成されている。
図2〜図6に示すように、燃料電池セル100は、支持基板110と、複数の発電素子部120と、被覆膜170とを備えている。各発電素子部120は、支持基板110の両面に支持されている。なお、各発電素子部120は、支持基板110の片面のみに支持されていてもよい。各発電素子部120は、燃料電池セル100の長手方向において、互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、本実施形態に係る燃料電池セル100は、いわゆる横縞型の燃料電池セルである。
各発電素子部120は、電気的接続部160(図5参照)によって互いに電気的に接続されている。また、燃料電池セル100の上端部102側において、支持基板110の一方面に形成された発電素子部120と他方面に形成された発電素子部120とが第2集電部材6(図2参照)によって電気的に接続されている。なお、各発電素子部120は、直列に接続されている。
<支持基板>
支持基板110は、燃料電池セル100の長手方向(上下方向)に延びる複数のガス流路111を内部に有している。ガス流路111は、マニホールド200の挿入孔231を介して、マニホールド200の内部空間と連通している。
支持基板110の長手方向は、燃料電池セル100の長手方向と同じ方向である。各ガス流路111は、互いに実質的に平行に延びている。各ガス流路111は、燃料電池セル100の長手方向の両端部において開口している。
支持基板110は、絶縁性であり、例えば、セラミックスで形成される。具体的には、支持基板110は、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiOとY(酸化イットリウム)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板110は、多孔質である。支持基板110の気孔率は、例えば、20〜60%である。
図4に示すように、支持基板110は、上下方向に延びる外側面112と、この外側面112の下端に連なる下端面116と、外側面112の上端に連なる上端面117と、を有している。
外側面112は、第1領域及び第2領域を有している。第1領域は、後述する緻密膜122(図6参照)によって覆われている。第2領域は、下端側において緻密膜122から露出する。以下の説明において、外側面112の第2領域を、露出面112bと言う。
本実施形態の支持基板110は、長手方向に延びる扁平な円筒平板型である。このため、図4に示すように、支持基板110は、第1主面113と、この第1主面113の反対側の第2主面114と、第1主面113と第2主面114とを接続する一対の側端面115とを有している。第1主面113、第2主面114及び一対の側端面115は、支持基板110の外側面を構成する。第1主面113と第2主面114とは、ガス流路111を挟んで対向し、互いに平行に延びる。第1主面113と第2主面114との間隔、すなわち支持基板110の厚さは、例えば1〜10mmである。一対の側端面115は、幅方向の両端である。第1主面113及び第2主面114は平面であり、一対の側端面115は、曲面である。
下端面116は、第1主面113、第2主面114及び一対の側端面115の下端と連なっている。下端面116は、下方を向く面である。詳細には、下端面116は、支持基板110の下端に位置し、上下方向と交差する方向に延びる面である。上端面117は、第1主面113、第2主面114及び一対の側端面115の上端と連なっている。上端面117は、上方を向く面である。下端に位置する下端面116と、上端に位置する上端面117とは、対向している。
本実施形態の下端面116は、図3及び図7に示すように、上方に湾曲している。すなわち、下端面116は、正面視(z軸方向視)において、上向きの円弧状である。本実施形態の下端面116は、上方に凹む球面状である。
図5に示すように、支持基板110の外側面112は、複数の第1凹部112aを有している。各第1凹部112aは、支持基板110の両面(第1主面113及び第2主面114)に形成されている。各第1凹部112aは、支持基板110の長手方向において互いに間隔をあけて形成されている。
<発電素子部>
図5に示すように、各発電素子部120は、燃料極130、電解質140、及び空気極150を有している。また、各発電素子部120は、反応防止膜121をさらに有している。
燃料極130は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極130は、燃料極集電部131と、燃料極活性部132とを有する。燃料極集電部131は、第1凹部112a内に配置されている。各燃料極集電部131は、第2凹部131a及び第3凹部131bを有している。燃料極活性部132は、第2凹部131a内に配置されている。
燃料極集電部131は、例えば、NiOとYSZとから構成されてもよいし、NiOとYとから構成されてもよいし、NiOとCSZとから構成されてもよい。燃料極集電部131の厚さ、すなわち第1凹部112aの深さは、例えば、50〜500μmである。
燃料極活性部132は、例えば、NiOとYSZとから構成されてもよいし、NiOとGDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部132の厚さは、例えば、5〜30μmである。
電解質140は、燃料極130上を覆うように配置されている。詳細には、電解質140は、あるインターコネクタ161から他のインターコネクタ161まで燃料電池セル100の長手方向に延びている。すなわち、燃料電池セル100の長手方向において、電解質140とインターコネクタ161とが交互に配置されている。
電解質140は、イオン伝導性を有し、かつ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質140は、例えば、YSZから構成されてもよいし、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質140の厚さは、例えば、3〜50μmである。
反応防止膜121は、緻密な材料から構成される焼成体であり、平面視において、燃料極活性部132と略同一の形状であり、燃料極活性部132と略同じ位置に配置されている。反応防止膜121は、電解質140内のYSZと空気極150内のSr(ストロンチウム)とが反応して電解質140と空気極150との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。反応防止膜121は、例えば、GDCから構成される。反応防止膜121の厚さは、例えば、3〜50μmである。
空気極150は、反応防止膜121上に配置されている。空気極150は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極150は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極150は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極150の厚さは、例えば、10〜100μmである。
電気的接続部160は、隣り合う発電素子部120を電気的に接続するように構成されている。電気的接続部160は、インターコネクタ161及び空気極集電膜162を有する。インターコネクタ161は、第3凹部131b内に配置されている。インターコネクタ161は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ161は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成されてもよいし、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ161の厚さは、例えば、10〜100μmである。
空気極集電膜162は、隣り合う発電素子部120のインターコネクタ161と空気極150との間を延びるように配置される。空気極集電膜162は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極集電膜162は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)Oから構成されてもよいし、LSC=(La,Sr)CoOから構成されてもよいし、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜162の厚さは、例えば、50〜500μmである。
図6に示すように、緻密膜122は、支持基板110の下端部101において、下端面116と連なる外側面112の一部が露出するように設けられている。つまり、下端部101の外側面112において、下端面116から間隔を隔てた少なくとも一部に緻密膜122が設けられている。具体的には、支持基板110の下端部101は、下端面近傍領域Rを除いて、緻密膜122によって覆われている。下端面近傍領域Rは、下端面116から所定距離Lだけ上方に延びる領域である。所定距離Lは、下端面116から最大の距離であり、例えば、0を超えて3.0mm以下である。
緻密膜122は、緻密膜122の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密膜122の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。このガスシール機能を発揮するため、この緻密膜122の気孔率は、例えば、10%以下である。また、緻密膜122は、絶縁性セラミックスで構成されている。緻密膜122の外側面は、平滑面である。
緻密膜122は、下端部101側に形成された発電素子部120と電気的に接続されている。詳細には、緻密膜122は、電気的接続部160と電気的に接続されている。緻密膜122は、空気極集電膜162と支持基板110との間から近位側に向かって延びている。
具体的には、緻密膜122は、上述した電解質140と反応防止膜121とによって構成することができる。緻密膜122を構成する電解質140は、支持基板110を覆っており、インターコネクタ161から支持基板110の下端面116近傍まで延びている。また、緻密膜122を構成する反応防止膜121は、電解質140と空気極集電膜162との間に配置されている。反応防止膜121は、インターコネクタ161から支持基板110の下端面116近傍まで延びている。本実施形態では、電解質140が反応防止膜121よりも下方の下端面近傍領域Rまで延びている。なお、緻密膜122は、電解質140のみで構成されていてもよいし、電解質140及び反応防止膜121以外の材料によって構成されていてもよい。
<被覆膜>
図2〜図4、図6及び図7に示すように、支持基板110の下端面116の少なくとも一部を覆うように、被覆膜170が形成されている。被覆膜170は、下端面116の強度を補強する。
図3及び図7では、被覆膜170は、湾曲している下端面116に形成されている。また、図4では、下端面116の外周部の全周を覆っている。また、図6に示すように、被覆膜170は、幅方向(y軸方向)の断面視においては、ガス流路111を除く下端面116を被覆している。
被覆膜170は、表面171を有する。本実施形態の表面171は、被覆膜170の下端に位置する下面である。図7に示すように、被覆膜170の表面171は、第1接合材300の露出面301と上下方向において同じ位置である。すなわち、表面171及び露出面301は、同一平面上に位置する。本実施形態では、露出面301及び表面171は、水平(y軸及びz軸)方向に延びる。なお、図3、6及び7は、被覆膜170と第1接合材300とを模式的に示したものであるので、露出面301及び表面171は、模式的に平坦面で示しているが、実際は凹凸が形成される。後述する図10〜図18も同様である。
被覆膜170の厚さは、支持基板110の幅方向端縁から中央部に向けて大きい。被覆膜170は、厚さの大きい部分を有する。
被覆膜170の厚さは、10μm以上である。この厚さは、被覆膜170の表面171から支持基板110の下端面116までの最大厚さである。被覆膜170の厚さは、例えば、被覆膜170となる材料の塗布量を調整することによって制御できる。10μm以上であると、下端面116の強度を高めることができる。厚さが大きいほど、被覆膜170の強度が高くなるので好ましいが、上限値は、例えば1000μmである。
被覆膜170の気孔率は、20.0%以下であり、好ましくは15.2%以下である。20.0%以下であると、下端面116の強度を高めることができる。気孔率が低いほど、被覆膜170の強度が高くなるので好ましいが、下限値は、例えば0.1%である。
被覆膜170は、支持基板を構成する材料よりも気孔率が低い材料で形成されている。支持基板110の気孔率に対する被覆膜170の気孔率の比(被覆膜170の気孔率/支持基板110の気孔率)は、例えば、0.65以下である。
ここで、「気孔率」は、FE−SEMの断面画像を画像解析により気孔部分を数値化することで測定される値である。具体的には、FE−SEMで1000〜20000倍に拡大した画像をMVTec社製の画像解析ソフトHALCONによって解析する。解析後の断面画像上で接合材を構成する材料部分と気孔部分とのそれぞれの面積占有率を求め、気孔部分の面積占有率を気孔率として定義する。断面画像は、被覆膜170及び支持基板110ともに各10視野について撮影して気孔率を数値化し、その平均値を被覆膜170及び支持基板110の気孔率とする。
被覆膜170の気孔率及び気孔径は、例えば、熱処理前に添加される有機成分を含有する造孔材の大きさ及び量(体積割合)を調整することによって制御できる。
被覆膜170は、支持基板110を構成する材料よりも曲げ強度が高い材料で形成されている。支持基板110の曲げ強度に対する被覆膜170の曲げ強度の比(被覆膜170の曲げ強度/支持基板110の曲げ強度)は、1.1以上であることが好ましく、1.1以上20以下であることがより好ましい。1.1以上であると、燃料電池セルの下端部の曲げ強度を効果的に向上できる。
ここで、「曲げ強度」は、JIS R1601に規定されるファインセラミックスの室温4点曲げ強度試験法に基づいて測定される値である。具体的には、支持基板110を構成する材料及び被覆膜170を構成する材料で試験片をそれぞれ作製する。それぞれの試験片を用いて、上記4点曲げ強度試験法に基づいて測定する。測定により得られたそれぞれの値を、支持基板110を構成する材料及び被覆膜170を構成する材料の曲げ強度とする。
被覆膜170を構成する材料は、例えばガラス、セラミックスなどで構成されており、ガラスで構成されていることが好ましい。ガラスとしては、例えば結晶化ガラスを用いることができる。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、またはSiO−MgO系が採用され得る。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスを指す。なお、被覆膜170の材料として、非晶質ガラス、ろう材、またはセラミックス等が採用されてもよい。具体的には、被覆膜170は、SiO−MgO−B−Al系及びSiO−MgO−Al−ZnO系よりなる群から選ばれる少なくとも一種である。
被覆膜170を構成する材料は、第1接合材300を構成する材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。前者の場合、被覆膜170は、第1接合材300と連なっていてもよく、第1接合材300と分離していてもよい。なお、被覆膜170は、1層で構成されてもよく、複数層で構成されてもよい。
[マニホールド]
図1〜図3に示すように、マニホールド200は、燃料電池セル100に反応ガスを供給する。マニホールド200は、中空状であり、内部空間を有している。図1に示すように、マニホールド200の内部空間には、導入配管Pを介して燃料ガスが供給される。図2に示すように、マニホールド200は、この内部空間と外部とを連通する複数の挿入孔231を有している。
マニホールド200は、実質的に直方体状である。図3に示すように、マニホールド200は、上方が開口する箱状のマニホールド本体と、開口を塞ぐ板状部材とを備えている。詳細には、マニホールド本体は、底壁210と、側壁220と、フランジ部240とを備えている。マニホールド本体の開口を塞ぐ板状部材は、上壁230である。
底壁210、側壁220、及びフランジ部240は、一体成形されている。一体成形された底壁210、側壁220及びフランジ部240と、上壁230とは、互いに別部材であり、接合されている。底壁210、側壁220、上壁230、及びフランジ部240は、例えば、耐熱性を有するような金属で構成されている。
底壁210は、平面視(x軸方向視)が矩形状である。底壁210は、平面視において、長手方向と幅方向とを有している。
側壁220は、底壁210の外周部から上方に延びている。側壁220は、図1に示すように、一対の第1側壁221と、一対の第2側壁222とを有している。
一対の第1側壁221は、底壁210の対向する一対の縁部のそれぞれから上方に延びている。詳細には、各第1側壁221は、底壁210の縁部のうち、長手方向に延びる一対の縁部から上方に延びている。第1側壁221は、マニホールド200の長手方向に延びている。すなわち、複数の燃料電池セル100の並ぶ方向に延びている。一対の第1側壁221は、マニホールド200の幅方向において、互いに対向している。
一対の第2側壁222は、底壁210の残りの対向する縁部から上方に延びている。詳細には、各第2側壁222は、底壁210の縁部のうち、幅方向に延びる一対の縁部から上方に延びている。また、各第2側壁222は、マニホールド200の幅方向に延びている。すなわち、各第2側壁222は、燃料電池セル100の幅方向に延びている。各第2側壁222は、マニホールド200の長手方向において、互いに対向している。一対の第2側壁222のうち、一方の第2側壁222に導入配管Pが接続されている。このため、一方の第2側壁222は、導入配管Pが接続されるための貫通孔を有している。
フランジ部240は、側壁220の上端部から外方に延びている。詳細には、フランジ部240は、各第1側壁221及び各第2側壁222の上端から外方に延びている。フランジ部240は、環状である。
第1側壁221と第2側壁222との第1境界部202は、R形状である。具体的には、第1側壁221と第2側壁222との第1境界部202の内側面及び外側面は、R形状である。この第1境界部202の内側面及び外側面の曲率半径は、例えば3〜30mmである。4つの第1境界部202は、マニホールド200の高さ方向に延びる。
図3に示すように、底壁210と側壁220との第2境界203は、R形状である。具体的には、底壁210と、第1側壁221及び第2側壁222との第2境界部203の内側面及び外側面は、R形状である。この第2境界部203の内側面及び外側面の曲率半径は、例えば2〜20mmである。第2境界部203は、環状である。
側壁220とフランジ部240との第3境界部204は、R形状である。具体的には、第1側壁221及び第2側壁222と、フランジ部240との第3境界部204の内側面及び外側面は、R形状である。この第3境界部204の側面及び外側面の曲率半径は、例えば1〜10mmである。第3境界部204は、環状である。
なお、本明細書における「R形状」とは、円弧状に湾曲している形状である。また、第1〜第3境界部202〜204の内側面とは、マニホールド200の内部空間を臨む面である。第1〜第3境界部202〜204の外側面とは、マニホールド200の外側を臨む面である。
上壁230は、側壁220の上端部を塞ぐように構成されている。具体的には、上壁230の外周部は、フランジ部240上に配置されている。マニホールド200の内部空間を密閉するため、上壁230が全周に渡って、フランジ部240に接合されている。上壁230は、例えば、接合材、溶接などによって、フランジ部240に接合されている。
図2に示すように、上壁230は、燃料電池セル100が挿入される挿入孔231を複数有している。各挿入孔231は、マニホールド200の幅方向(y軸方向)に延びている。また、挿入孔231は、マニホールド200の長手方向において、互いに間隔をあけて配置されている。
[第1接合材]
第1接合材300は、燃料電池セル100をマニホールド200に固定する。詳細には、第1接合材300は、燃料電池セル100の下端部101とマニホールド200の上壁230とを接合している。また、図6に示すように、第1接合材300は、緻密膜122と接触している。なお、燃料電池セル100がマニホールド200に固定された状態において、挿入孔231とガス流路111とが連通している。
第1接合材300は、マニホールド200の内部空間(燃料ガスに曝される空間)と、セルスタック装置1の外部(酸素を含有するガスに曝される空間)とを区画することによって、燃料ガスと酸素を含有するガスとの混合を防止する機能を有している。このため、第1接合材300は、燃料ガスに曝される面である露出面301と、酸素を含有するガスに曝される外表面302とを有している。露出面301は、マニホールド200の内部空間に露出する。外表面302は、セルスタック装置1の外部に露出する。
第1接合材300は、例えば、結晶化ガラスである。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、またはSiO−MgO系が採用され得る。第1接合材300の材料として、非晶質ガラス、ろう材、またはセラミックス等が採用されてもよい。具体的には、第1接合材300は、SiO−MgO−B−Al系及びSiO−MgO−Al−ZnO系よりなる群から選ばれる少なくとも一種である。
本実施形態では、支持基板110の被覆膜170と、第1接合材300とは、同じ材料であり、連なっている。
[製造方法]
続いて、本実施形態のセルスタック装置1の製造方法について図1〜図9を参照して説明する。
まず、上方に湾曲している下端面を有する支持基板を準備する。そして、図8に示すように、支持基板110上に発電素子部120を形成したセル体103を複数準備する。また、マニホールド200を準備する。そして、第1集電部材4、及び第2接合材5となる材料によって、各セル体103を互いに接続し、セル集合体104を作製する。なお、この段階では第2接合材5は焼成されておらず、各セル体103は互いに仮止めの状態である。
次に、図9に示すように、セル集合体104の各セル体の下端部101をマニホールド200の各挿入孔231に挿入する。なお、各セル体103が厚さ方向に沿って所定の間隔を保持するための治具を用いてもよい。
次に、挿入孔231に挿入されたセル体103とマニホールド200の上壁230とを接合するように、図2に示すように第1接合材300となる材料を塗布する。この工程では、各セル体103の支持基板110の下端面116の少なくとも一部に、第1接合材300となる材料をさらに塗布する。
次に、被覆膜170、第1接合材300及び第2接合材5となる材料に対して熱処理が加えられる。この熱処理によって、第1接合材300及び第2接合材5が固化される。詳細には、第2接合材5は、熱処理を施されることによって焼成される。この結果、各燃料電池セル100と第1集電部材4とが固定される。また、第1接合材300及び被覆膜170となる材料は、熱処理を施されることによって、非晶質材料の温度が結晶化温度まで到達する。そして、結晶化温度下にて材料の内部で結晶相が生成されて、結晶化が進行していく。この結果、非晶質材料が固化・セラミックス化されて、結晶化ガラスとなる。これにより、結晶化ガラスで構成される第1接合材300が機能を発揮し、各燃料電池セル100の下端部101がマニホールド200の上壁230に固定される。また、結晶化ガラスで構成される被覆膜170が各支持基板110の下端面116の少なくとも一部を被覆するように形成される。
上記工程を実施することによって、図1〜図7に示す燃料電池セル100及びセルスタック装置1を製造できる。
なお、上記製造方法では、第1接合材300と被覆膜170とを同じ材料で一体に形成する場合を例に挙げて説明した。そして、第1接合材300を形成する工程と被覆膜170を形成する工程とを、上記製造方法は同時に実施しているが、同時に実施しなくてもよい。例えば、支持基板110の下端面116に被覆膜170を形成した後に、第1接合材300で燃料電池セル100とマニホールド200とを接合してもよい。また、例えば、支持基板110の下端面116に被覆膜170となる材料を塗布した後に、セル体103とマニホールド200とを接合するように第1接合材300となる材料を塗布し、次いで熱処理を同時に施してもよい。
また、上記製造方法では、セル体103及びマニホールド200を準備した後、第1接合材300によってセル体103とマニホールド200とを接合する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。セル体103と上壁230とを第1接合材300で接合した後、上壁230と箱状のマニホールド本体とを接合してもよい。
[動作]
本実施形態のセルスタック装置1の動作について、図1〜図7を参照して説明する。セルスタック装置1は、例えば以下のように動作する。
マニホールド200を介して各燃料電池セル100のガス流路111内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板110の両面を酸素を含むガス(空気等)に曝すことにより、電解質140の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。このセルスタック装置1を外部の負荷に接続すると、空気極150において下記の式1に示す電気化学反応が起こり、燃料極130において下記の式2に示す電気化学反応が起こる。
(1/2)O+2e→O2− ・・・(式1)
+O2−→HO+2e ・・・(式2)
[作用]
続いて、本実施形態の燃料電池セル100及びセルスタック装置1の作用について、図17に示す比較例と比較して説明する。なお、図17示す比較例の燃料電池セル及びセルスタック装置は、支持基板110の下端面116に被覆膜170が形成されていない。
図17に示すように、比較例の燃料電池セル及びセルスタック装置が動作すると、熱サイクルの温度分布による熱応力が、燃料電池セル及びマニホールドに発生する。この熱応力によって、図17の矢印に示すように、燃料電池セルの下端に曲げモーメントが発生する。支持基板110の強度は低いので、燃料電池セルの支持基板110の下端面116に優先的にクラックが発生する。支持基板110の下端面116を起点とするクラックがさらに成長すると、クラックCがマニホールドの内部空間と、マニホールドの外部空間とを繋ぐ通路となり、内部空間に導入された燃料ガスが、内部空間から外部空間へと漏れ出してしまう。このため、比較例のセルスタック装置では、ガスリークを十分に抑制できない。
一方、図6及び図7に示す本実施形態の燃料電池セル100及びセルスタック装置1は、下端面116の少なくとも一部を覆う被覆膜170を備えている。被覆膜170を構成する材料の気孔率は20.0%以下、及び/または、被覆膜170の厚さは10μm以上である。本実施形態のセルスタック装置1が動作して、熱応力が燃料電池セル100及びマニホールド200に加えられても、被覆膜170が形成された燃料電池セル100の下端の強度は高くなるので、燃料電池セル100の下端を基点とするクラックを抑制できる。このため、燃料電池セル100は、マニホールド200の内部空間と、マニホールド200の外部空間とを繋ぐクラックを抑制できる。したがって、セルスタック装置1は、ガスリークを抑制できる。
また、本実施形態では、下端面116が上方に湾曲し、下端面116及び露出面301が同一平面上に位置し、被覆膜170の厚さは、幅方向端縁から中央部に向けて大きい。支持基板110の形状を制御することにより、熱応力を分散できる。また、被覆膜170は厚さの大きな部分を有するので、下端面116の強度を向上できる。このように、支持基板110による熱応力が分散される効果と、被覆膜170による強度向上の効果との相乗効果が得られる。それに加えて、支持基板110の下端面116に、第1接合材300と同じ材料の被覆膜170を形成しやすいという製造上の利点を有している。
(実施形態2)
図10及び図11に示す実施形態2の燃料電池セル及びセルスタック装置2は、基本的には図3及び図7に示す実施形態1の燃料電池セル及びセルスタック装置1と同様の構成を備えているが、支持基板及び被覆膜において異なる。
図10及び図11に示すように、支持基板110の下端面116は、下方に湾曲している。すなわち、下端面116は、正面視において下向きの円弧状である。本実施形態の下端面116は、下方に凹む球面状である。
湾曲している下端面116下に、被覆膜170が形成されている。被覆膜170の表面171は、第1接合材300の露出面301と上下方向において同じ位置である。露出面301及び表面171は、水平方向に延びる。被覆膜170の厚さは、中央部から支持基板110の幅方向端縁に向けて大きい。被覆膜170の厚さは、10μm以上1000μm以下である。
変形例1
上記実施形態のセルスタック装置は、支持基板110の1つの主面上に複数の発電素子部120が配置された横縞型を例に挙げて説明したが、本発明のセルスタック装置は、支持基板の1つの主面上に1つの発電素子が配置される縦縞型であってもよい。また、実施形態のセルスタック装置1は、円筒平板型の支持基板110を備えているが、本発明のセルスタック装置は、円筒型の支持基板を備えていてもよい。
変形例2
上記実施形態では、マニホールド200に形成された1つの挿入孔231に1つの燃料電池セルの下端部が挿入されているが、本発明では、1つの挿入孔に複数の燃料電池セルが挿入されていてもよい。
変形例3
上記実施形態のマニホールド200は、側壁220の上面が開口し、その上面を上壁230が塞いでいる構造であるが、本発明のマニホールドは、これに限定されない。例えば、側壁及び上壁が一体であって、側壁の下面が開口し、その下面を底壁が塞いでいる構造であってもよい。
変形例4
上記実施形態のマニホールド200は、側壁220が底壁210から略垂直に上方に延びているが、本発明のマニホールドは、これに限定されない。例えば、側壁220は、上方に向かって外方に広がるように傾斜していてもよく、下方に向かって外方に広がるように傾斜していてもよい。
変形例5
上述した実施形態では、被覆膜170を構成する材料は、第1接合材300を構成する材料と同じであったが、異なっていてもよい。
具体的には、第1接合材300を構成する材料は、例えば、結晶化ガラスであり、被覆膜170を構成する材料は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、NiO(酸化ニッケル)とY(酸化イットリウム)、MgO(マグネシア)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)、MgO(マグネシア)とY(酸化イットリウム)の複合材料である。
なお、被覆膜170は、上記材料で形成された第1の膜と、この第1の膜の少なくとも一部の下に形成された第2の膜とを有し、第2の膜は、第1接合材300と同じ材料で構成されていてもよい。
変形例6
上述した実施形態では、被覆膜170は、幅方向(y軸方向)の断面視において、ガス流路111を除く下端面116の全体を被覆しているが、これに限定されない。図12に示すように、被覆膜170は、幅方向の断面視において、ガス流路111を除く下端面116の一部を覆っていてもよい。詳細には、被覆膜170は、下端面116においてガス流路111と反対側の領域を覆っている。なお、被覆膜170は、下端面116の少なくとも一部を覆っていれば、ガス流路111側の領域を覆ってもよい。
また、被覆膜170は、連続した形状に限定されない。例えば、被覆膜170は、断続的な形状であってもよい。すなわち、被覆膜170は、分離した複数の膜で構成されてもよい。
変形例7
図13〜図16に示すように、燃料電池セル105及びセルスタック装置2は、緻密領域119をさらに有している。なお、図15は、実施形態1において緻密領域119をさらに有するセルスタック装置1aを示す。図16は、実施形態2において緻密領域119をさらに有するセルスタック装置2aを示す。
図13〜図16に示すように、緻密領域119は、外側面112において緻密膜122から露出する露出面112b及び下端面116の少なくとも一部から、他の材料が含浸されてなる。このため、支持基板110は、多孔領域118と緻密領域119とを有している。本変形例の支持基板110は、上述した多孔質材料で構成される多孔領域118を主に有し、残部が緻密領域119からなる。
緻密領域119は、支持基板110を構成する多孔質材料の気孔の少なくとも一部に、他の材料が配置されている。他の材料は、特に限定されないが、例えば、ガラス、セラミックスなどで構成されており、ガラスで構成されていることが好ましい。ガラスとしては、例えば結晶化ガラス、非晶質ガラス、部分的に結晶化する部分結晶化ガラスを用いることができ、結晶化ガラス及び非晶質ガラスが好ましく、結晶化ガラスがより好ましい。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、またはSiO−MgO系が採用され得る。なお、他の材料として、非晶質ガラス、ろう材、またはセラミックス等が採用されてもよい。具体的には、緻密領域119は、多孔質材料の気孔に、SiO−MgO−B−Al系及びSiO−MgO−Al−ZnO系よりなる群から選ばれる少なくとも一種である他の材料が配置されている。
他の材料は、後述する第1接合材300と同じ材料であることが好ましい。この場合、緻密領域119は、露出面112b及び下端面116の少なくとも一方から、第1接合材300と同じ材料が含浸されてなる。つまり、緻密領域119は、支持基板110を構成する多孔質材料の気孔の少なくとも一部に、第1接合材300を構成する材料と同じ材料が配置されてなる。また、他の材料と、第1接合材300と、被覆膜170とが同じ材料であることがより好ましい。
緻密領域119は、支持基板110を構成する多孔質材料、すなわち多孔領域118よりも気孔率が低い。緻密領域119の気孔率は、例えば10%以下であり、好ましくは7%以下である。なお、緻密領域119の気孔率は0%であってもよい。
図14に示すように、緻密領域119において露出面112b及び下端面116(緻密膜非形成部)の少なくとも一部からの他の材料の含浸深さは、1.0μm以上であり、好ましくは1.5μm以上1000μm以下である。なお、含浸深さは、含浸面からの距離が一定であってもよく、一定でなくてもよい。一定でない場合には、含浸深さは、最大の深さである。
図14に示す緻密領域119は、露出面112bから他の材料が含浸されてなる第1領域119aと、下端面116から他の材料が含浸されてなる第2領域119bとを有している。緻密領域119の含浸深さとは、露出面112bからの含浸深さD1と、下端面116からの含浸深さD2のうち、最大の深さを意味する。具体的には、第1領域119aの含浸深さD1及び第2領域119bの含浸深さD2のうち、最大深さが1.0μm以上であり、好ましくは1.5μm以上1000μm以下である。つまり、緻密領域119は、露出面112bまたは下端面116の少なくとも一部から、含浸深さが1.0μmに亘って設けられている。
第1領域119aの含浸深さD1は、図14に示すように燃料電池セル105の幅方向(y軸方向)の断面において、第1領域119aが延びる方向(図14におけるx軸方向)と直交する方向(図14におけるz軸方向)の最大深さである。第2領域119bの含浸深さD2は、燃料電池セル105の幅方向(y軸方向)の断面において、第2領域119bが延びる方向(図14におけるz軸方向)と直交する方向(図14におけるx軸方向)の最大深さである。このように本変形例の含浸深さは、含浸面と直交する方向の深さであり、詳細には、第1領域119aの含浸深さD1は、露出面112bと直交する方向の深さであり、第2領域119bの含浸深さD2は、下端面116と直交する方向の深さである。
第1領域119aは、露出面112bから一定の深さD1だけ内部に延びており、環状である。図14に示す構造では、緻密領域119は、露出面112b全体から他の材料が1.0μm以上含浸されてなる。つまり、緻密領域119は、露出面112b全体から内部に向けて1.0μm以上延びている。緻密領域119は、露出面112bからの最大深さが1.0μm以上の環状である。
下端面116における含浸面から内部に延びる第2領域119bのそれぞれは、下方に凹む形状、すなわち下向きの円弧状である。
なお、第1領域119a及び第2領域119bの気孔率は、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、第1領域119aと第2領域119bとの重なり合う領域は、他の領域よりも気孔率が小さい。
含浸深さは、多孔質材料の気孔に配置する他の材料の粒子径、多孔質材料に他の材料を含浸させる含浸処理時の減圧などによって調整できる。具体的には、粒子径の小さい材料を含浸することで、深さは大きくなる。また、含浸する際に、多孔質材料内部の圧力を低くすることで、深さは大きくなる。
また、緻密領域119を形成するべき位置以外の領域にマスクを形成した状態で、含浸処理をすることによって、緻密領域119の位置を調整できる。
[製造方法]
本変形例の燃料電池セル105及びセルスタック装置1a、2aの製造方法は、基本的には実施形態1と同様の構成を備えているが、緻密領域119を形成する工程をさらに備えている点において異なっている。
具体的には、各セル体103の露出面112bの少なくとも一部に、第1接合材300となるべき材料を塗布する。また、各セル体103の下端面116の少なくとも一部に、第1接合材300となるべき材料を塗布する。下端面116に塗布する材料は、多孔質材料の気孔に配置されるとともに、被覆膜170となる。
なお、所定部位のみを含浸面とするために、第1接合材300となる材料を塗布する工程に先立って、所定部位以外の面上にマスクを形成してもよい。
次に、含浸面から、第1接合材300となるべき材料を、含浸深さが1.0μm以上になるように含浸させる。この工程では、含浸面に第1接合材300となる材料を塗布した後、または、塗布する前に、多孔質材料内部を減圧にする。例えば、真空引きをして多孔質材料の気孔から空気を取り除いた後に、含浸面に第1接合材300となる材料を塗布する。
次に、第1接合材300及び第2接合材5となる材料に対して熱処理が加えられる。この熱処理によって、第1接合材300及び第2接合材5となる材料が固化される。これにより、多孔質材料の気孔に第1接合材300と同じ材料が配置された第1領域119a及び第2領域119bを有する緻密領域119を形成できる。また、結晶化ガラスで構成される被覆膜170が各支持基板110の下端面116の少なくとも一部を被覆するように形成される。
なお、上記製造方法では、緻密領域119の気孔に配置される材料と、第1接合材300と、被覆膜170とを同じ材料で形成する場合を例に挙げて説明した。本発明において、緻密領域119の気孔に配置される材料と、第1接合材300と、被覆膜170とは、同じ材料であってもよく、別の材料であってもよい。
また、上記製造方法では、減圧雰囲気で第1接合材300と同じ材料を含浸面に塗布することによって、含浸深さが1.0μm以上の緻密領域119を形成する場合を例に挙げて説明した。真空引きする工程の代わりに、あるいは併せて、セル体103を準備する工程において緻密領域119を形成してもよい。この場合、第1接合材300を塗布する工程に先立って、多孔質材料で構成されたセル体103を準備し、露出面112b及び下端面116の少なくとも一部から他の材料を含浸する。
また、上記製造方法では、セル体103及びマニホールド200を準備した後、第1接合材300でセル体103とマニホールド200とを接合する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。セル体103と上壁230とを第1接合材300で接合した後、上壁230と箱状のマニホールド本体とを接合してもよい。
[作用]
図13〜図16に示す本変形例の燃料電池セル105及びセルスタック装置1a、2aは、第1接合材300と接合される下端部101であって、外側面112において緻密膜122から露出する露出面112b、及び下端面116の少なくとも一部から、他の材料が1.0μm以上含浸されてなる緻密領域119を有する支持基板110を備えている。セルスタック装置1a、2aが動作して、熱応力が燃料電池セル100及びマニホールド200に加えられても、緻密領域119が形成された燃料電池セル100の下端面近傍領域Rの強度が高いので、燃料電池セル100の下端面近傍領域Rを基点とするクラックを抑制できる。このため、燃料電池セル100は、マニホールド200の内部空間と、マニホールド200の外部空間とを繋ぐクラックを抑制できる。したがって、セルスタック装置2は、ガスリークをより抑制できる。
また、本変形例の緻密領域119は、露出面112b及び下端面116の少なくとも一部から、第1接合材300を構成する材料と同じ材料が含浸されてなり、含浸深さが1.0μm以上である。支持基板110を構成する多孔質材料の気孔に第1接合材300が浸透することで、アンカー効果が得られる。緻密膜122の外側面は平滑面であるが、アンカー効果によって、燃料電池セル100と第1接合材300との接合強度を向上できる。したがって、燃料電池セル100と第1接合材300との剥離を抑制できる。
なお、緻密領域119には複数の他の材料が含浸されてもよい。例えば、緻密領域119は、露出面112bから一の材料が含浸されてなる第1領域119aと、下端面116から他の材料が含浸されてなる第2領域119bとを有している。
変形例8
上述した実施形態では、被覆膜170の表面171は、マニホールド200の上壁230の下面よりも下方に位置しているが、これに限定されない。図19及び図20に示すように、被覆膜170の表面171は、上壁230の下面と同一平面上に位置してもよい。また、被覆膜170の表面171は、上壁230の下面よりも上方に位置してもよい。
なお、図19及び図20は、ガス流路111が表れない断面を示している点において、図3と切断面が異なる。以下、図21〜図24も、図19及び図20と同様である。また、図19、21及び23のセルスタック装置1b、1c、1dは、実施形態1のセルスタック装置1の変形例を示す。図20、22及び24のセルスタック装置2b、2c、2dは実施形態2のセルスタック装置2の変形例を示す。
変形例9
上述した実施形態では、マニホールドの上壁230は平板状の部材であるが、これに限定されない。例えば、図21及び図22に示すように、上壁230は、折り曲げられた部材を適用してもよい。本変形例の上壁230は、フランジ部240と対向する第1部と燃料電池セル100と対向する第2部と、第1部及び第2部を連結する第3部とを有する。フランジ部240は、側壁220の上端部から外方かつ上方に延びている。フランジ部240と上壁230とを接合する第3接合材250が設けられている。
変形例10
上述した実施形態では、燃料電池セル100は、第1接合材300を介してマニホールド200に支持されているが、これに限定されない。燃料電池セル100は、マニホールド200に直接支持されてもよい。例えば、図23及び図24に示すように、燃料電池セル100の下面がフランジ部240に支持されている。燃料電池セル100の下面は、マニホールド200に接している。
図23に示す被覆膜170は、幅方向の断面視において、ガス流路111を除く下端面116の全体を覆っている。図24に示す被覆膜170は、幅方向の断面視において、幅方向端縁部に配置されている。
実施例1
(サンプル1〜12、14、15)
サンプル1〜12、14、15の燃料電池セル及びセルスタック装置は、図6に示す被覆する被覆膜170を備えていた。また、図7に示すように、サンプル1〜12、14、15の燃料電池セルの下端面116が上方に湾曲していた。
詳細には、多孔質材料で構成された支持基板110となる材料を準備した。この材料に発電素子部120及び下記の表1に記載の材料で構成される被覆膜170を形成し、複数のセル体103を互いに接合し、セル集合体104を作製した。マニホールド200の挿入孔231にセル体103を挿入し、セル体103の露出面とマニホールド200の上壁230とを接合するように第1接合材300となる材料としてスラリー状のガラスを塗布した。次に、熱処理を施して、結晶化ガラスからなる第1接合材300を形成した。
(サンプル16〜27、29、30)
サンプル16〜27、29、30の燃料電池セル及びセルスタック装置は、図12に示す被覆膜170を備えていた。詳細には、サンプル16〜27、29、30は、下記の表2に記載の材料で構成される被覆膜170を下端面116においてガス流路111と反対側の領域のみに形成した点において、サンプル1等と異なっていた。なお、サンプル1〜12、14〜27、29及び30の被覆膜170の厚さは、8μm〜12μmであった。
(サンプル13、28)
サンプル13及び28は、被覆膜170を形成しない点において、サンプル1等と異なっていた。
(評価方法)
サンプル1〜12、14〜27、29及び30の被覆膜の気孔率を、下記の表1及び表2に記載する。気孔率は、FE−SEMの断面画像を画像解析により気孔部分を数値化することで測定した。具体的には、FE−SEMで1000〜20000倍に拡大した画像をMVTec社製の画像解析ソフトHALCONによって解析した。解析後の断面画像上でガラス材料部分と気孔部分とのそれぞれの面積占有率を求め、気孔部分の面積占有率を気孔率として定義した。断面画像は、支持基板及び被覆膜ともに各10視野について撮影して気孔率を数値化し、その平均値を被覆膜の気孔率とした。
サンプル1〜30のセルスタック装置について、熱サイクル試験により、燃料電池セルのクラックの有無を調べた。具体的には、各セルスタック装置を電気炉内に設置し、室温から800℃まで昇降温速度400℃/hrでの上げ下げを10回繰り返した後、電気炉から取り出して、燃料電池セルにおけるクラック発生の有無及びガスリーク量を調べた。その結果を下記表1及び表2に記載する。
具体的には、燃料電池セル100の下端面に浸透探傷剤を塗布し、マイクロスコープで観察することによりクラックの有無を確認した。また、燃料電池セル100のガス流路111出口端部を封止した上でマニホールド200の導入配管Pよりアルゴンガスを供給し、マニホールド200内部を印加圧20kPaまで高めて保持し、その時のガスリーク量を測定した。表1及び表2において、「◎」はクラックがなく、ガスリークがなかったことを意味し、「○」は微小なクラックがあったが、ガスリークがなかったことを意味し、「×」はクラックがあり、ガスリークがあったことを意味する。
Figure 0006605109
Figure 0006605109
(評価結果)
表1及び表2に示すように、気孔率が20.0%以下の被覆膜を備えるサンプル1〜12及びサンプル16〜27は、気孔率が20.0%を超えるサンプル14、15、29、30と、被覆膜を備えていないサンプル13及び28とに比べて、燃料電池セルのクラックの発生を抑制できた。
また、サンプル1〜12とサンプル16〜27とを比較すると、気孔率が20.0%以下の被覆膜170が下端面116の少なくとも一部に形成されていれば、燃料電池セルのクラックの発生を抑制できることがわかった。
また、サンプル1〜12及びサンプル16〜27において、被覆膜170の表面171及び第1接合材300の露出面301は、同一平面上に位置していた。このため、製造工程において、被覆膜170となる材料を容易に形成できた。一方、サンプル14、15、29及び30において、被覆膜170の表面171及び第1接合材300の露出面301は、同一平面上に位置していなかった。
さらに、気孔率が0.1%以上20.0%以下の被覆膜を備えることによって、被覆膜170の材料に関わらず、燃料電池セルのクラックの発生を抑制できることがわかった。
なお、被覆膜の気孔率に対する試験結果は、支持基板の気孔率が10〜80%の範囲で同様である、という知見を本発明者は得ている。
実施例2
実施例1と同じサンプル1〜30に対して、異なる熱サイクル試験を行って、燃料電池セルにおけるクラック発生の有無及びガスリーク量を調べた。具体的には、各セルスタック装置を電気炉内に設置し、室温から600℃まで昇降温速度100℃/hrでの上げ下げを5回繰り返した後、電気炉から取り出して、燃料電池セルにおけるクラック発生の有無及びガスリーク量を調べた。
実施例1よりも熱サイクル試験の条件を緩くした結果、被覆膜を設けたサンプル14、15、29及び30は、微小なクラックがあったが、ガスリークがなかった。一方、被覆膜を設けなかったサンプル13及び28は、ガスリークが発生するようなクラックが生じた。この結果から、支持基板110の下端面116に被覆膜170を設けることで、クラックを抑制する効果があることを確認した。
実施例1及び2から、燃料電池セルは、支持基板110の下端面116の少なくとも一部を覆う被覆膜170を備えることによって、クラックを抑制でき、さらに実施例1から、被覆膜170を構成する材料の気孔率を20.0%以下にすることによって、クラックを効果的に抑制できることがわかった。
実施例3
参考例1〜7のセルスタック装置は、図18に示すように、燃料電池セルが被覆膜を備えていない点において、図13に示す変形例7と異なっていた。
(参考例1、2、5〜7)
気孔率が40%の多孔質材料で構成された支持基板110となる材料を準備した。この材料上に発電素子部120及び緻密膜122を形成し、複数のセル体103を互いに接合し、セル集合体104を作製した。なお、緻密膜122は、下端面116と連なる外側面が500μm露出するように形成した。マニホールド200の挿入孔231にセル体103を挿入し、セル体103の露出面とマニホールド200の上壁230とを接合するように第1接合材300となる材料としてスラリー状のガラスを塗布した。次いで、真空引きをして、緻密膜122から露出する露出面112b上に、第1接合材となる材料と同じガラスを塗布し、ガラスを露出面112bから含浸させた。次に、熱処理を施して、結晶化ガラスからなる第1接合材300を形成するとともに、結晶化ガラスが多孔質材料の気孔に配置された緻密領域119を形成した。露出面112bからの含浸深さを、下記の表3に記載する。
(参考例3及び4)
参考例3及び4のセルスタック装置は、第1接合材300を構成する材料と異なる材料が含浸されてなる緻密領域を有している点において、参考例1及び2と異なっていた。
具体的には、参考例1、2、5〜7と同じ支持基板110となる材料を準備し、露出面112bから非晶質ガラスを含浸させた。参考例1、2、5〜7と同様に、第1接合材300となる材料としてスラリー状のガラスを塗布し、熱処理を施した。これにより、結晶化ガラスからなる第1接合材300を形成するとともに、非晶質ガラスが多孔質材料の気孔に配置された緻密領域119を形成した。露出面112bからの含浸深さを、下記の表3に記載する。
(比較例1)
比較例1のセルスタック装置は、支持基板に他の材料を含浸しなかった点において、参考例1〜7と異なっていた。つまり、比較例1の支持基板は、多孔領域118のみであり、緻密領域119を有していなかった。
(比較例2)
比較例2のセルスタック装置は、真空引きの時間を短くすることによって、露出面からの含浸深さが小さい緻密領域を形成した点において、参考例1、2、5〜7と異なっていた。
(比較例3)
比較例3のセルスタック装置は、含浸させる他の材料の粒子径を大きくすることによって、露出面からの含浸深さが小さい緻密領域を形成した点において、参考例3及び4と異なっていた。
(評価方法)
参考例1〜7及び比較例1〜3のセルスタック装置について、実施例1と同様の熱サイクル試験により、燃料電池セルの強度及び接合強度を調べた。
接合強度については、第1接合材の下端面に浸透探傷剤を塗布し、マイクロスコープで観察することによりクラックの有無を確認した。その結果を下記の表3に記載する。表3において、「◎」はクラックがなかったことを意味し、「○」は微小なクラックがあったことを意味し、「×」はクラックがあったことを意味する。
Figure 0006605109
(評価結果)
表3に示すように、露出面112bからの含浸深さが1.0μm以上の参考例1〜7は、燃料電池セルの強度を向上できた。また、露出面112bからの含浸深さが1.5μm以上1000μm以下の参考例2、4〜7は、燃料電池セルの強度をより向上できた。
また、第1接合材を構成する材料と同じ材料を露出面から含浸させた参考例1、2、5〜7は、異なる材料を含浸させた参考例3及び4に比べて、接合強度を向上できた。
一方、被覆膜及び緻密領域を有していない比較例1は、燃料電池セルの下端面近傍領域の強度が非常に低かった。また、緻密領域を有しているものの含浸深さが小さい比較例2及び3は、強度の向上が不十分であった。
以上より、本実施例によれば、多孔質材料の支持基板の露出面112bの少なくとも一部から、他の材料が1.0μm以上含浸されてなる緻密領域を有することによって、燃料電池セル100の強度を向上できることが確認できた。また、支持基板に含浸させる材料と第1接合材とが同一材料であることによって、接合強度がより高まることが確認できた。
なお、本発明者は、含浸深さが1000μmを超えても、燃料電池セルの強度がほとんど向上しないという知見を得ている。このため、ガラスを容易に含浸させる観点、含浸させるガラス材料を低減する観点などから、含浸深さの好ましい上限は1000μmである。
また、露出面112bの代わりに、あるいは併せて、下端面116の少なくとも一部から、他の材料が1.0μm以上含浸されてなる緻密領域119を有することによって、燃料電池セル100の強度を同様に向上できるという知見を本発明者は得ている。
このように、本発明者は、熱応力によって燃料電池セルのクラックが発生しやすい部分である下端面近傍領域Rの強度を含浸により高めることによって、クラックを抑制することでガスリークを抑制できるという特有の効果を見出した。続いて、本発明者は、この効果が顕著に発現できる支持基板の気孔率について検討した。具体的には、以下のように支持基板の気孔率を種々変更して、燃料電池セルを製造した。
(参考例8〜11)
参考例8〜11のセルスタック装置のそれぞれは、気孔率が15%、20%、60%及び70%の気孔率の多孔質材料で構成された支持基板110となる材料を準備した点において、参考例1と異なっていた。
気孔率が20%未満の参考例8は、露出面112bからガラスが含浸しにくかった。また、支持基板110自体の強度は高いので、緻密領域による効果が小さかった。
また、気孔率が60%を超える参考例11は、露出面112bからガラスが含浸しやすかった。しかし、支持基板110自体の強度が低いので、第1接合材300との接合部分が剥がれやすく、微小なクラックがあった。
一方、気孔率が20%以上60%以下の多孔質材料で構成された支持基板110となる材料を準備した参考例1、9及び10は、緻密領域による効果が大きく発現したため、燃料電池セルの強度を向上できた。また、露出面112bからガラスを含浸しやすかったので、容易に1μm以上の含浸深さの緻密領域を形成できた。さらに、第1接合材300との接合部分にクラックが発生しなかった。
以上より、20%以上60%以下の気孔率を有する多孔質材料で構成された支持基板を用いることにより、緻密領域による効果が顕著であるとともに、接合強度を向上できることが確認できた。
ここで、比較例1の結果について、以下のように考察している。比較例1のセルスタック装置が動作すると、熱サイクルの温度分布による熱応力が、燃料電池セル及びマニホールドに発生した。この熱応力によって、燃料電池セルの下端に曲げモーメントが発生した。比較例1の支持基板は第1接合材よりも曲げ強度が低いので、燃料電池セルの支持基板の下端面に優先的にクラックが発生した。そして、支持基板の下端面を起点とするクラックがさらに成長して、クラックがマニホールドの内部空間と、マニホールドの外部空間とを繋ぐ通路となり、内部空間に導入されたガスがリークした。
これに対して、本実施例では、燃料電池セル100の下端面近傍領域Rを高めることで、ガスリークを抑制できることを確認した。また、燃料電池セルが被覆膜を備えるとともに、支持基板が緻密領域を有することで、ガスリークを抑制する効果が相乗的に大きくなるという知見も本発明者は得ている。
なお、上記実施例1〜3は、支持基板110の下端面116が上方に湾曲している図7に示すセルスタック装置について説明した。下端面116が下方に湾曲している図11に示すセルスタック装置についても、同様の効果を奏するという知見を本発明者は得ている。
1,1a,2,2a セルスタック装置
100,105 燃料電池セル
110 支持基板
116 下端面
170 被覆膜
171 下端面
200 マニホールド
300 第1接合材
301 露出面

Claims (8)

  1. マニホールドに基端部が支持される燃料電池セルであって、
    外側面及び基端面を有する支持基板と、
    前記外側面に設けられる発電素子部と、
    前記基端面の少なくとも一部を覆う被覆膜と、
    を備え、
    前記支持基板の前記基端面側が前記マニホールドに支持され、
    前記被覆膜の気孔率は、20.0%以下である、
    燃料電池セル。
  2. マニホールドに基端部が支持される燃料電池セルであって、
    外側面及び基端面を有する支持基板と、
    前記外側面に設けられる発電素子部と、
    前記基端面の少なくとも一部を覆う被覆膜と、
    を備え、
    前記支持基板の前記基端面側が前記マニホールドに支持され、
    前記被覆膜の厚さは、10μm以上である、
    燃料電池セル。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池セルと、
    前記燃料電池セルの基端部を支持するマニホールドと、
    前記マニホールドと前記燃料電池セルとを接合する接合材と、
    を備える、セルスタック装置。
  4. 燃料電池セルと、
    前記燃料電池セルの基端部を支持するマニホールドと、
    前記マニホールドと前記燃料電池セルとを接合する接合材と、
    を備え、
    前記接合材は、前記マニホールドの内部空間に露出する露出面を含み、
    前記燃料電池セルは、
    外側面及び基端面を有する支持基板と、
    前記外側面に設けられる発電素子部と、
    前記基端面の少なくとも一部を覆う被覆膜と、
    を含み、
    前記支持基板の前記基端面側が前記マニホールドに支持され、
    前記支持基板の前記基端面は、先端部側に湾曲し、
    前記被覆膜の表面及び前記接合材の露出面は、同一平面上に位置する、
    セルスタック装置。
  5. 燃料電池セルと、
    前記燃料電池セルの基端部を支持するマニホールドと、
    前記マニホールドと前記燃料電池セルとを接合する接合材と、
    を備え、
    前記接合材は、前記マニホールドの内部空間に露出する露出面を含み、
    前記燃料電池セルは、
    外側面及び基端面を有する支持基板と、
    前記外側面に設けられる発電素子部と、
    前記基端面の少なくとも一部を覆う被覆膜と、
    を含み、
    前記支持基板の前記基端面側が前記マニホールドに支持され、
    前記支持基板の前記基端面は、前記基端部側に湾曲し、
    前記被覆膜の表面及び前記接合材の露出面は、同一平面上に位置する、
    セルスタック装置。
  6. 前記燃料電池セルは、前記支持基板の外側面を覆う緻密膜をさらに含み、
    前記支持基板は、多孔質材料で構成され、
    前記支持基板の前記外側面は、
    前記緻密膜によって覆われている第1領域と、
    基端側において前記緻密膜から露出する第2領域と、
    を有し、
    前記支持基板は、前記基端面及び前記第2領域の少なくとも一部から、他の材料が1.
    0μm以上含浸されてなる緻密領域を有する、
    請求項3から5のいずれか1項に記載のセルスタック装置。
  7. 前記被覆膜は、前記接合材を構成する材料と同じ材料で形成されている、
    請求項3から6のいずれか1項に記載のセルスタック装置。
  8. 前記被覆膜は、前記接合材を構成する材料と異なる材料で形成されている、
    請求項3から6のいずれか1項に記載のセルスタック装置。
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