JP6483319B1 - セルスタック装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスリークを抑制するとともに耐久性を向上するセルスタック装置を提供する。【解決手段】本発明のセルスタック装置1は、燃料電池セル100と、マニホールド200と、接合材と、を備えている。燃料電池セル100は、上下方向に延びる。マニホールド200は、燃料電池セル100の下端部を支持する。接合材は、燃料電池セル100とマニホールド200とを接合する。接合材は、第1領域310及び第2領域320からなる。第1領域310は、マニホールド200の内部空間に露出する露出面301を有する。第2領域320は、第1領域310よりも外部側に位置する。第2領域320の気孔率に対する第1領域310の気孔率の比は、1.25以上200以下である。【選択図】図6

Description

本発明は、セルスタック装置に関する。
従来、複数の燃料電池セルと、この燃料電池セルの一端が固定されるマニホールドと、を固定するシール材とを備えるセルスタック装置が知られている。このようなセルスタック装置として、例えば、2016−225035号公報(特許文献1)が挙げられる。
特許文献1の接合材としてのシール材は、マニホールドの内部空間側である内側表面と、燃料電池セルの他端側である外側表面とを有しており、内側表面は、外側表面よりも表面粗さが大きい。表面粗さが大きい内側表面に優先的にクラックを発生させることによって、ガスリークを伴う外側表面のクラックを防止することが特許文献1に開示されている。
特開2016−225035号公報
しかしながら、上記特許文献1のシール材において、内側表面に優先的にクラックを発生させることができない場合があった。この場合、マニホールドの内部空間と、マニホールドの外部空間とを繋ぐクラックが発生し、内部空間に導入された燃料ガスが、内部空間から外部空間へと漏れ出してしまう。このため、上記特許文献1のセルスタック装置は、ガスリークを十分に抑制できないという問題があった。
本発明は、接合材におけるクラックを抑制できるセルスタック装置を提供することを課題とする。
本発明者は、接合材にクラックが発生するという問題は、セルスタック装置の動作時にマニホールドが変形することにより、接合材の下側に引張応力が加えられることに起因していることを見出した。そこで、本発明者は、接合材に加えられる引張応力を緩和する手段を鋭意研究して、本発明を完成させた。
本発明の第1側面に係るセルスタック装置は、燃料電池セルと、マニホールドと、接合材と、を備えている。マニホールドは、燃料電池セルを支持する。接合材は、燃料電池セルとマニホールドとを接合する。接合材は、第1領域及び第2領域からなる。第1領域は、マニホールドの内部空間に露出する露出面を有する。第2領域は、第1領域よりも外部側に位置する。第1領域の気孔率は、第2領域の気孔率よりも大きい。第2領域の気孔率に対する第1領域の気孔率の比は、1.25以上200以下である。
本発明の第2側面に係るセルスタック装置は、燃料電池セルと、マニホールドと、接合材と、を備えている。マニホールドは、燃料電池セルを支持する。接合材は、燃料電池セルとマニホールドとを接合する。接合材は、燃料電池セルとマニホールドとを接合する。接合材は、第1領域及び第2領域からなる。第1領域は、マニホールドの内部空間に露出する露出面を有する。第2領域は、第1領域よりも外部側に位置する。第1領域の気孔率は、第2領域の気孔率よりも大きい。接合材における露出面からの距離に対する、第1領域における露出面からの距離の比は、0.00050以上0.10以下である。
本発明の第3側面に係るセルスタック装置は、燃料電池セルと、マニホールドと、接合材と、を備えている。燃料電池セルは、上下方向に延びる。マニホールドは、燃料電池セルの下端部を支持する。接合材は、燃料電池セルとマニホールドとを接合する。接合材は、第1領域及び第2領域からなる。第1領域は、マニホールドの内部空間に露出する露出面を有する。第2領域は、第1領域よりも外部側に位置する。第1領域の気孔率は、第2領域の気孔率よりも大きい。接合材の露出面は、マニホールドの上面の延びる方向と交差する方向に延び、かつ第1領域と第2領域との境界は、露出面に沿った面である。
本発明の第4側面に係るセルスタック装置は、燃料電池セルと、マニホールドと、接合材と、を備えている。燃料電池セルは、上下方向に延びる。マニホールドは、燃料電池セルの下端部を支持する。接合材は、燃料電池セルとマニホールドとを接合する。接合材は、第1領域及び第2領域からなる。第1領域は、マニホールドの内部空間に露出する露出面を有する。第2領域は、第1領域よりも外部側に位置する。第1領域の気孔率は、第2領域の気孔率よりも大きい。第1領域と第2領域との境界は、マニホールドの上面よりも下方に位置している。
これらの構成によれば、接合材は、気孔率が大きい第1領域と、気孔率の小さい第2領域とを有する。これにより、引張応力が加えられる露出面近傍の第1領域の変形性を向上できる。また、応力が加えられる露出面から離隔した第2領域によって、接合材の強度低下を抑制できる。
第2領域の気孔率に対する第1領域の気孔率の比(第1領域の気孔率/第2領域の気孔率)が1.25以上200以下であると、第1領域の応力緩和と、第2領域の強度低下の抑制とを効果的に発現することができる。
また、接合材における露出面からの距離Lに対する、第1領域310における露出面からの距離L1の比(L1/L)が0.00050以上0.10以下であると、第1領域の応力緩和と、第2領域の強度低下の抑制とを効果的に発現することができる。
また、第1領域と第2領域との境界が露出面に沿った面であると、引張応力が加えられる露出面から第1領域が均等に位置する。このため、第1領域の応力緩和と、第1領域の応力緩和と、第2領域の強度低下の抑制との効果が局所的になることを防止できる。
また、第1領域と第2領域との境界は、マニホールドの上面よりも下方に位置していると、マニホールド内に第1及び第2領域が位置する。このため、第1領域の応力緩和と、第1領域の応力緩和と、第2領域の強度低下の抑制との効果が局所的になることを防止できる。
以上より、本発明の第1〜第4側面に係るセルスタック装置は、第1領域による応力緩和と、残部の第2領域による強度低下の抑制とによって、接合材におけるクラックを抑制できる。
好ましくは、第1領域は、露出面からの距離が50μm未満である。
好ましくは、第1領域の気孔率は、5%以上であり、第2領域の気孔率は、4%以下である。好ましくは、第1領域の気孔率は、25%以下であり、第2領域の気孔率は、0.1%以上である。
好ましくは、第1領域の気孔径は、0.1μm以上20μm以下である。
以上説明したように、本発明は、接合材におけるクラックを抑制できるセルスタック装置を提供することができる。
セルスタック装置の斜視図。 セルスタック装置の断面図。 セルスタック装置の断面図。 燃料電池セルの斜視図。 燃料電池セルの断面図。 セルスタック装置の拡大断面図。 セルスタック装置の製造方法の断面図。 セルスタック装置の製造方法の断面図。 従来のセルスタック装置の課題を説明するための模式図。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、各図におけるx軸方向、y軸方向、及びz軸方向のそれぞれは、マニホールドの高さ方向、短手方向(幅方向)、及び長手方向に対応する。また、各図におけるx軸方向、y軸方向、及びz軸方向のそれぞれは、各燃料電池セル及び支持基板の長手方向、短手方向(幅方向)、及び厚さ方向に対応する。また、本明細書の「上」及び「下」は、マニホールド及びセルスタック装置を水平面に載置したときのマニホールドの高さ方向(x軸方向)を基準とする。
図1〜図6を参照して、本発明の一実施の形態であるセルスタック装置及び燃料電池セルについて説明する。セルスタック装置及び燃料電池セルは、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)に用いられる。
[セルスタック装置]
図1〜図3に示すように、セルスタック装置1は、複数の燃料電池セル100と、マニホールド200と、第1接合材300とを備えている。各燃料電池セル100は、マニホールド200によって支持されている。第1接合材300は、各燃料電池セル100と、マニホールド200とを接合する。
[燃料電池セル]
図1〜図3に示すように、燃料電池セル100は、マニホールド200から上方に延びている。詳細には、各燃料電池セル100は、マニホールド200の上壁230から上方に延びている。燃料電池セル100の下端部101は、マニホールド200の挿入孔231内に挿入されている。なお、燃料電池セル100の下端部101が挿入孔231内に挿入された状態において、燃料電池セル100の下端部101の外周面と挿入孔231の内壁面との間には隙間が形成されている。この隙間に第1接合材300が充填されている。このため、燃料電池セル100の下端部101は、マニホールド200に支持されている。一方、燃料電池セル100の上端部102は、自由端である。燃料電池セル100は、マニホールド200によって、片持ち状態で支持され、自立している。
各燃料電池セル100は、マニホールド200の長手方向に沿って、互いに間隔をあけて配置されている。図2に示すように、各燃料電池セル100は、第1集電部材4を介して互いに電気的に接続されている。第1集電部材4は、各燃料電池セル100の間に配置されており、隣り合う各燃料電池セル100を接続している。なお、第1集電部材4は、第2接合材5によって各燃料電池セル100に接合されている。第1集電部材4は、導電性を有する材料から形成されている。例えば、第1集電部材4は、酸化物セラミックスの焼成体または金属などによって形成されている。
図2〜図6に示すように、燃料電池セル100は、支持基板110と、複数の発電素子部120とを備えている。各発電素子部120は、支持基板110の両面に支持されている。なお、各発電素子部120は、支持基板110の片面のみに支持されていてもよい。各発電素子部120は、燃料電池セル100の長手方向において、互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、本実施の形態に係る燃料電池セル100は、いわゆる横縞型の燃料電池セルである。
各発電素子部120は、電気的接続部160(図5参照)によって互いに電気的に接続されている。また、燃料電池セル100の上端部102側において、支持基板110の一方面に形成された発電素子部120と他方面に形成された発電素子部120とが第2集電部材6(図2参照)によって電気的に接続されている。なお、各発電素子部120は、直列に接続されている。
支持基板110は、燃料電池セル100の長手方向に延びる複数のガス流路111を内部に有している。ガス流路111は、マニホールド200の挿入孔231を介して、マニホールド200の内部空間と連通している。
支持基板110の長手方向は、燃料電池セル100の長手方向と同じ方向である。各ガス流路111は、互いに実質的に平行に延びている。各ガス流路111は、燃料電池セル100の長手方向の両端部において開口している。
支持基板110は、絶縁性であり、例えば、セラミックスで形成される。具体的には、支持基板110は、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiOとY(酸化イットリウム)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板110は、多孔質である。支持基板110の気孔率は、例えば、20〜60%である。
図5に示すように、支持基板110は、複数の第1凹部112を有している。各第1凹部112は、支持基板110の両面に形成されている。各第1凹部112は、支持基板110の長手方向において互いに間隔をあけて形成されている。
各発電素子部120は、燃料極130、電解質140、及び空気極150を有している。また、各発電素子部120は、反応防止膜121をさらに有している。
燃料極130は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極130は、燃料極集電部131と、燃料極活性部132とを有する。燃料極集電部131は、第1凹部112内に配置されている。各燃料極集電部131は、第2凹部131a及び第3凹部131bを有している。燃料極活性部132は、第2凹部131a内に配置されている。
燃料極集電部131は、例えば、NiOとYSZとから構成されてもよいし、NiOとYとから構成されてもよいし、NiOとCSZとから構成されてもよい。燃料極集電部131の厚さ、すなわち第1凹部112の深さは、例えば、50〜500μmである。
燃料極活性部132は、例えば、NiOとYSZとから構成されてもよいし、NiOとGDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部132の厚さは、例えば、5〜30μmである。
電解質140は、燃料極130上を覆うように配置されている。詳細には、電解質140は、あるインターコネクタ161から他のインターコネクタ161まで燃料電池セル100の長手方向に延びている。すなわち、燃料電池セル100の長手方向において、電解質140とインターコネクタ161とが交互に配置されている。
電解質140は、イオン伝導性を有し、かつ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質140は、例えば、YSZから構成されてもよいし、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質140の厚さは、例えば、3〜50μmである。
反応防止膜121は、緻密な材料から構成される焼成体であり、平面視において、燃料極活性部132と略同一の形状であり、燃料極活性部132と略同じ位置に配置されている。反応防止膜121は、電解質140内のYSZと空気極150内のSr(ストロンチウム)とが反応して電解質140と空気極150との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。反応防止膜121は、例えば、GDCから構成される。反応防止膜121の厚さは、例えば、3〜50μmである。
空気極150は、反応防止膜121上に配置されている。空気極150は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極150は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極150は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極150の厚さは、例えば、10〜100μmである。
電気的接続部160は、隣り合う発電素子部120を電気的に接続するように構成されている。電気的接続部160は、インターコネクタ161及び空気極集電膜162を有する。インターコネクタ161は、第3凹部131b内に配置されている。インターコネクタ161は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ161は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成されてもよいし、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ161の厚さは、例えば、10〜100μmである。
空気極集電膜162は、隣り合う発電素子部120のインターコネクタ161と空気極150との間を延びるように配置される。空気極集電膜162は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極集電膜162は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)Oから構成されてもよいし、LSC=(La,Sr)CoOから構成されてもよいし、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜162の厚さは、例えば、50〜500μmである。
図6に示すように、燃料電池セル100の下端部101は、緻密膜122によって覆われている。詳細には、緻密膜122は、支持基板110を覆っている。緻密膜122は、下端部側に形成された発電素子部120と電気的に接続されている。詳細には、緻密膜122は、電気的接続部160と電気的に接続されている。緻密膜122は、空気極集電膜162と支持基板110との間から近位側に向かって延びている。
緻密膜122は、緻密膜122の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密膜122の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。このガスシール機能を発揮するため、この緻密膜122の気孔率は、例えば、10%以下である。また、緻密膜122は、絶縁性セラミックスで構成されている。
具体的には、緻密膜122は、上述した電解質140と反応防止膜121とによって構成することができる。緻密膜122を構成する電解質140は、支持基板110を覆っており、インターコネクタ161から支持基板110の下端近傍まで延びている。また、緻密膜122を構成する反応防止膜121は、電解質140と空気極集電膜162との間に配置されている。なお、緻密膜122は、電解質140のみで構成されていてもよいし、電解質140及び反応防止膜121以外の材料によって構成されていてもよい。
[マニホールド]
図1〜図3に示すように、マニホールド200は、燃料電池セル100に反応ガスを供給する。マニホールド200は、中空状であり、内部空間を有している。図1に示すように、マニホールド200の内部空間には、導入配管Pを介して燃料ガスが供給される。図2に示すように、マニホールド200は、この内部空間と外部とを連通する複数の挿入孔231を有している。
マニホールド200は、実質的に直方体状である。図3に示すように、マニホールド200は、上方が開口する箱状のマニホールド本体と、開口を塞ぐ板状部材とを備えている。詳細には、マニホールド本体は、底壁210と、側壁220と、第1フランジ部240とを備えている。マニホールド本体の開口を塞ぐ板状部材は、上壁230である。
底壁210、側壁220、及び第1フランジ部240は、一体成形されている。一体成形された底壁210、側壁220及び第1フランジ部240と、上壁230とは、互いに別部材であり、接合されている。底壁210、側壁220、上壁230、及び第1フランジ部240は、例えば、耐熱性を有するような金属で構成されている。
底壁210は、平面視(x軸方向視)が矩形状である。底壁210は、平面視において、長手方向と幅方向とを有している。
側壁220は、底壁210の外周部から上方に延びている。側壁220は、図1に示すように、一対の第1側壁221と、一対の第2側壁222とを有している。
一対の第1側壁221は、底壁210の対向する一対の縁部のそれぞれから上方に延びている。詳細には、各第1側壁221は、底壁210の縁部のうち、長手方向に延びる一対の縁部から上方に延びている。第1側壁221は、マニホールド200の長手方向に延びている。すなわち、複数の燃料電池セル100の並ぶ方向に延びている。一対の第1側壁221は、マニホールド200の幅方向において、互いに対向している。
一対の第2側壁222は、底壁210の残りの対向する縁部から上方に延びている。詳細には、各第2側壁222は、底壁210の縁部のうち、幅方向に延びる一対の縁部から上方に延びている。また、各第2側壁222は、マニホールド200の幅方向に延びている。すなわち、各第2側壁222は、燃料電池セル100の幅方向に延びている。各第2側壁222は、マニホールド200の長手方向において、互いに対向している。一対の第2側壁222のうち、一方の第2側壁222に導入配管Pが接続されている。このため、一方の第2側壁222は、導入配管Pが接続されるための貫通孔を有している。
第1フランジ部240は、側壁220の上端部から外方に延びている。詳細には、第1フランジ部240は、各第1側壁221及び各第2側壁222の上端から外方に延びている。第1フランジ部240は、環状である。
第1側壁221と第2側壁222との第1境界部202は、R形状である。具体的には、第1側壁221と第2側壁222との第1境界部202の内側面及び外側面は、R形状である。この第1境界部202の内側面及び外側面の曲率半径は、例えば3〜30mmである。4つの第1境界部202は、マニホールド200の高さ方向に延びる。
図3に示すように、底壁210と側壁220との第2境界部203は、R形状である。具体的には、底壁210と、第1側壁221及び第2側壁222との第2境界部203の内側面及び外側面は、R形状である。この第2境界部203の内側面及び外側面の曲率半径は、例えば2〜20mmである。第2境界部203は、環状である。
側壁220と第1フランジ部240との第3境界部204は、R形状である。具体的には、第1側壁221及び第2側壁222と、第1フランジ部240との第3境界部204の内側面及び外側面は、R形状である。この第3境界部204の側面及び外側面の曲率半径は、例えば1〜10mmである。第3境界部204は、環状である。
なお、本明細書における「R形状」とは、円弧状に湾曲している形状である。また、第1〜第3境界部202〜204の内側面とは、マニホールド200の内部空間を臨む面である。第1〜第3境界部202〜204の外側面とは、マニホールド200の外側を臨む面である。
上壁230は、側壁220の上端部を塞ぐように構成されている。具体的には、上壁230の外周部は、第1フランジ部240上に配置されている。マニホールド200の内部空間を密閉するため、上壁230が全周に渡って、第1フランジ部240に接合されている。上壁230は、例えば、接合材、溶接などによって、第1フランジ部240に接合されている。
図2に示すように、上壁230は、燃料電池セル100が挿入される挿入孔231を複数有している。各挿入孔231は、マニホールド200の幅方向(y軸方向)に延びている。また、挿入孔231は、マニホールド200の長手方向において、互いに間隔をあけて配置されている。
[第1接合材]
第1接合材300は、燃料電池セル100をマニホールド200に固定する。詳細には、第1接合材300は、燃料電池セル100の下端部101とマニホールド200の上壁230とを接合している。また、第1接合材300は、緻密膜122と接触している。なお、燃料電池セル100がマニホールド200に固定された状態において、挿入孔231とガス流路111とが連通している。
第1接合材300は、マニホールド200の内部空間(燃料ガスに曝される空間)と、セルスタック装置1の外部(酸素を含有するガスに曝される空間)とを区画することによって、燃料ガスと酸素を含有するガスとの混合を防止する機能を有している。このため、図6に示すように、第1接合材300は、燃料ガスに曝される面である露出面301と、酸素を含有するガスに曝される外表面302とを有している。露出面301は、マニホールド200の内部空間に露出する。なお、露出面301は、マニホールド200の内部空間と連なる空間に露出してもよい。外表面302は、セルスタック装置1の外部に露出する。
露出面301は、図6に示すように、マニホールド200の上壁230の上面232の延びる方向と交差する方向に延びている。本実施形態では、露出面301は、マニホールドの挿入孔231の外周部から中央部に向けて上方に傾斜するように延びる。また、露出面301と外表面302とは、略平行である。なお、露出面301及び外表面302は、図6では模式的に平面で示しているが、実際には凹凸が形成されている。
第1接合材300は、第1領域310と、第2領域320とからなる。つまり、第1接合材300は、2層構造である。
第1領域310は、露出面301を有する内側領域である。第2領域320は、第1領域310よりも外部側に位置している。第2領域320は、外表面302を有する外側領域である。
第1領域310の気孔率は、第2領域320の気孔率よりも大きい。このため、第1領域310は、高い変形性を有し、第2領域320は、高い強度及びシール性を有している。
第2領域320の気孔率に対する第1領域310の気孔率の比(第1領域310の気孔率/第2領域320の気孔率)は、1.25以上200以下であり、好ましくは6.30以上40.0以下である。上記範囲内とすることで、シール性と応力緩和との効果を両立することができる。
第1領域310の気孔率は、好ましくは5%以上25%以下であり、より好ましくは5%以上20%以下である。5%以上であると、変形性がより向上し、応力を緩和する効果がより得られる。25%以下であると、強度低下の影響が小さい。
第2領域320の気孔率は、好ましくは0.1%以上4%以下であり、より好ましくは0.1%以上3%以下である。4%以下であると、良好なシール性を確保できる。第2領域320の気孔率についてはシール性の観点でより小さいほど好ましいが、作製容易性の観点から0.1%以上が好ましい。
上記「気孔率」は、FE−SEMの断面画像を画像解析により気孔部分を数値化することで測定される値である。具体的には、FE−SEMで1000〜20000倍に拡大した画像をMVTec社製の画像解析ソフトHALCONによって解析する。解析後の断面画像上で接合材を構成する材料部分と気孔部分とのそれぞれの面積占有率を求め、気孔部分の面積占有率を気孔率として定義する。断面画像は、第1領域310及び第2領域320ともに各10視野について撮影して気孔率を数値化し、その平均値を第1領域310及び第2領域320の気孔率とする。
第1領域310の気孔径は、例えば0.1μm以上20μmであり、好ましくは0.1μm以上10μm以下であり、より好ましくは0.2μm以上8μm以下である。0.1μm以上であると、変形性が向上し、応力をより緩和する効果が得られる。20μm以下であると、強度低下の影響が小さい。
上記「気孔径」は、FE−SEMの断面画像の画像解析により求めた気孔の円相当径の値である。ここで、円相当径とは、断面の画像解析により求められる測定対象(粒子や気孔)の面積値を有する円の直径である。気孔率の算出と同様に、断面画像は10視野について撮影して気孔径を数値化する。各視野の平均気孔径を算出し、10視野の平均気孔径をさらに平均したものを気孔径として定義する。
なお、第1領域310及び第2領域320の気孔率及び気孔径は、例えば、熱処理前に添加される有機成分を含有する造孔材の大きさ及び量(体積割合)を調整することによって制御できる。
第1領域310と第2領域320との境界Bは、露出面301に沿った面である。すなわち、露出面301に沿った方向が境界Bである。本実施形態では、境界Bは、露出面301及び外表面302と略平行である。なお、境界Bは、図6では模式的に平面で示しているが、実際には凹凸が形成される。
境界Bは、マニホールド200の上面232よりも下方に位置している。詳細には、境界Bの最上端は、上面232よりも下方に位置している。このため、上面232の下方には、第1領域310及び第2領域320が存在する。図6では、上面232の下方には、第1領域310全体、及び第2領域320の一部が存在する。
第1接合材300における露出面301からの距離Lに対する、第1領域310における露出面301からの距離L1の比(L1/L)は、0.0005以上0.10以下であり、好ましくは0.0013以上0.050以下である。上記範囲内とすることで、第1接合材300の強度と応力緩和との効果を両立することができる。
なお、「第1接合材300における露出面301からの距離L」は、露出面301と外表面302とを結ぶ距離の最大値である。詳細には、距離Lは、露出面301のそれぞれの位置における接線に垂直な直線において、露出面301から外表面302までの長さを求め、最大の長さをLとする。また「第1領域310における露出面からの距離L1」は、露出面301と境界Bとを結ぶ距離の最大値である。詳細には、距離L1は、露出面301のそれぞれの位置における接線に垂直な直線において、露出面301から境界Bまでの長さを求め、最大長さをL1とする。
具体的には、境界Bは、露出面301からの距離L1が50μm未満の位置であることが好ましい。すなわち、第1領域310は、露出面301からの距離L1が0μmを超えて50μm未満の領域であることが好ましく、距離L1が2μm以上45μm以下の領域であることがより好ましい。
また、燃料電池セルの幅方向に沿った断面(z軸方向視)において、第1接合材300の面積に対する第1領域310の面積の比(第1領域310の面積/第1接合材300の面積)は、例えば0.0005以上0.10以下であり、好ましくは0.0013以上0.050以下である。上記範囲内とすることで、ガラス強度と応力緩和との効果を両立することができる。
なお、第1領域310及び第2領域320の距離及び面積は、第1領域310及び第2領域320となるべき材料を塗布する量及び範囲を調整することによって制御できる。
第1領域310と第2領域320とを構成する材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。第1接合材300は、例えば、結晶化ガラスである。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、またはSiO−MgO系が採用され得る。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスを指す。なお、第1接合材300の材料として、非晶質ガラス、ろう材、またはセラミックス等が採用されてもよい。具体的には、第1接合材300は、SiO−MgO−B−Al系及びSiO−MgO−Al−ZnO系よりなる群から選ばれる少なくとも一種である。
ここで、第1領域310及び第2領域320は、さらに気孔率の異なる複数の部分を有していてもよい。この場合、第1接合材300は、上側に向けて気孔率が減少することが好ましい。つまり、第1接合材300の気孔率は、露出面301から上方に向けて常に同じまたは減少している。
[製造方法]
続いて、本実施の形態のセルスタック装置1の製造方法について図1〜図8を参照して説明する。
まず、複数の燃料電池セル100と、マニホールド200とを準備する。そして、図7に示すように、第1集電部材4、及び第2接合材5となる材料によって、各燃料電池セル100を互いに接続し、セル集合体103を作製する。なお、この段階では第2接合材5となる材料は焼成されておらず、各燃料電池セル100は互いに仮止めの状態である。
次に、図8に示すように、セル集合体103の各燃料電池セル100の下端部101をマニホールド200の各挿入孔231に挿入する。なお、各燃料電池セル100が厚さ方向に沿って所定の間隔を保持するための治具を用いてもよい。
次に、図2に示すように、挿入孔231に挿入された燃料電池セル100とマニホールドの上壁230とを接合するように第1接合材300となる材料を塗布する。なお、第1接合材300となる材料は、燃料電池セル100の付け根に沿って塗布されている。また、第1接合材300となる材料は、燃料電池セル100の下端部101の外周面と挿入孔231の内壁面との隙間に充填されていてもよい。
第1接合材となる材料を塗布する工程では、例えば、以下のように行う。まず、マニホールド200の挿入孔231に、第1領域310となる材料を充填する。その後、第1領域310となる材料上に、第2領域320となる材料を配置する。この工程では、熱処理後に、第2領域320の気孔率に対する第1領域310の気孔率の比が1.25以上200以下になるように、第1領域310及び第2領域320となる材料に、造孔材を添加する。また、熱処理後に、L1/Lが0.00050以上0.10以下になるように、第1領域310及び第2領域320となる材料に、造孔材を添加する。また、熱処理後に、境界Bが露出面301に沿った面で、かつマニホールドの上面232よりも下方に位置するように、第1領域310及び第2領域320となる材料を配置する。
次に、第1接合材300及び第2接合材5となる材料に対して熱処理が加えられる。この熱処理によって、第1接合材300及び第2接合材5が固化され、セルスタック装置1が完成する。詳細には、第2接合材5は、熱処理を施されることによって焼成される。この結果、各燃料電池セル100と第1集電部材4とが固定される。また、第1接合材300は、熱処理を施されることによって、非晶質材料の温度が結晶化温度まで到達する。そして、結晶化温度下にて材料の内部で結晶相が生成されて、結晶化が進行していく。この結果、非晶質材料が固化・セラミックス化されて、結晶化ガラスとなる。これにより、結晶化ガラスで構成される第1接合材300が機能を発揮し、各燃料電池セル100の下端部101がマニホールド200の上壁230に固定される。
上記工程を実施することによって、図1〜図6に示すセルスタック装置を製造できる。
[動作]
本実施の形態のセルスタック装置1の動作について、図1〜図6を参照して説明する。セルスタック装置1は、例えば以下のように動作する。
マニホールド200を介して各燃料電池セル100のガス流路111内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板110の両面を酸素を含むガス(空気等)に曝すことにより、電解質140の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。このセルスタック装置1を外部の負荷に接続すると、空気極150において下記の式1に示す電気化学反応が起こり、燃料極130において下記の式2に示す電気化学反応が起こる。
(1/2)O+2e→O2− ・・・(式1)
+O2−→HO+2e ・・・(式2)
さらに、支持基板110のガス流路111を流れる燃料ガスのうち発電に使用されなかった余剰燃料ガスは、ガス流路111の他端側に位置する排出口から外部に排出される。そして、排出口から排出される余剰燃料ガスと、酸素を含むガスとを混合して、燃焼する。
[作用]
続いて、本実施の形態のセルスタック装置1の作用について説明する。
まず、上記特許文献1などの従来のセルスタック装置の問題について、図9を参照して、説明する。従来のセルスタック装置の動作時には、マニホールド200が撓む。このため、図9に示すように、接合材350の下側に引張応力が加えられる。この引張応力に起因して、接合材350にクラックが発生することがある。このクラックが成長して、マニホールドの内部空間と、マニホールドの外部空間とを繋ぐ場合がある。この場合、内部空間に導入された燃料ガスが、内部空間から外部空間へと漏れ出してしまう。このため、従来のセルスタック装置は、ガスリークを十分に抑制できないという問題があった。
そこで、第1接合材300の下側に加えられる引張応力を緩和するために、本発明者は、第1接合材300におけるマニホールド200に露出する露出面301近傍の気孔率を大きくして、変形性を確保することを考えた。つまり、気孔により、第1接合材300をマニホールド200の撓みに応じて曲がりやすくするという技術的思想に想到した。一方で気孔率が大きすぎると、第1接合材300全体としての強度低下を生じ、クラックが生じてしまうという問題に対処することを考えた。このように、第1領域310の応力緩和と第2領域320の強度とを両立することによりクラックを抑制する第1接合材300を実現するために、鋭意検討した結果、第1接合材300の距離Lに対する第1領域310の距離L1の比を制御することを見出し、下記の表1の知見を得た。
Figure 0006483319
表1は、図6に示すように、第1接合材300の露出面301が挿入孔231の側面から燃料電池セル100に向けて上方に傾斜するように形成されたセルスタック装置に関する。40個の燃料電池セルがマニホールドに固定されている。第1接合材は、結晶化ガラスである。セルスタック装置において燃料電池セル100の幅方向(z軸方向)に沿った断面において、第1接合材300の気孔率を測定する。気孔率が大きい第1領域310と気孔率の小さい第2領域320との境界Bが位置する露出面301からの距離L1、及び第1接合材300における露出面301からの距離Lは、上記の表1に記載の通りである。
第1接合材において、第1領域の気孔率は41〜42%であり、第2領域の気孔率は0.2〜0.3%である。なお、「気孔率」は、FE−SEMの断面画像を画像解析により気孔部分を数値化することで測定した。具体的には、FE−SEMで1000〜20000倍に拡大した画像をMVTec社製の画像解析ソフトHALCONによって解析した。解析後の断面画像上でガラス材料部分と気孔部分とのそれぞれの面積占有率を求め、気孔部分の面積占有率を気孔率として定義した。断面画像は、第1領域310及び第2領域320ともに各10視野について撮影して気孔率を数値化し、その平均値を第1領域310及び第2領域320の気孔率とした。
また、第1領域310の気孔径は、0.1μmである。なお、「気孔径」は、FE−SEMの断面画像の画像解析により求めた気孔の円相当径の値である。円相当径とは、断面の画像解析により求められる測定対象(粒子及び気孔)の面積値を有する円の直径である。気孔率の算出と同様に、断面画像は10視野について撮影して気孔径を数値化した。各視野の平均気孔径を算出し、10視野の平均気孔径をさらに平均したものを気孔径として定義した。
サンプルNo.1〜22のセルスタック装置について、熱サイクル試験により、ガスリーク量及びクラックの有無を調べた。具体的には、各セルスタック装置を電気炉内に設置し、室温から850℃まで昇降温速度400℃/hrでの上げ下げを20回繰り返した後、電気炉から取り出して、ガスリーク量とクラック発生の有無とを調べた。その結果を上記表1に記載する。
上記表1において、ガスリーク量については、燃料電池セル100のガス流路111出口端部を封止した上でマニホールド200の導入配管Pよりアルゴンガスを供給し、マニホールド200内部を印加圧20kPaまで高めて保持し、その時のガスリーク量を測定した。クラック有無の確認については、第1接合材の表面に浸透探傷剤を塗布し、マイクロスコープで観察することにより行った。
表1に示すように、気孔率の大きい第1領域を有していないサンプルNo.1、6、11及び16は、ほとんど変形できない。また、気孔率の大きい第1領域を有するが割合の小さいサンプルNo.22は、変形量が小さすぎる。このため、熱サイクル試験(動作)時にマニホールド200が変形すると、マニホールド200の内部空間に露出する露出面301からクラックが発生してしまう。その結果、マニホールドの内部と外部とを繋ぐクラックが発生し、内部空間に導入されたアルゴンガスが外部空間へと漏れ出してしまった。
一方、気孔率の大きい第1領域310を有するサンプルNo.2〜4、7〜10、12〜15、17〜20は、L1/Lが0.00050以上であったので、十分に変形が可能であった。このため、熱サイクル試験時の応力によってマニホールド200が変形しても、第1接合材300に発生する引張応力を緩和できる。つまり、サンプルNo.2〜4、7〜10、12〜15、17〜20では、第1領域310の変形による応力緩和が有効に機能することで、第1接合材300におけるクラックを抑制できる。その結果、サンプルNo.2〜4、7〜10、12〜15、17〜20では、ガスリークが発生しないことを確認した。
また、第1領域が大きいサンプルNo.5及び21は、L1/Lが0.10であるサンプルNo.4と比べて、変形性は同程度である。このことから、L1/Lが0.10を超えても、変形性を大きく向上できないことがわかる。したがって、L1/Lが0.10以下であっても、第1接合材300の高い変形性を発現できるので、動作時のマニホールドの撓みに有効である。
さらに、サンプルNo.5及び21は、変形性は高いものの、第2領域320が小さくなるので、第1接合材300を構成するガラス全体としての強度低下を生じ、クラックが多く生じてしまった。その結果、マニホールドの内部と外部とを繋ぐクラックが発生し、内部空間に導入されたアルゴンガスが外部空間へと漏れ出してしまった。
なお、サンプルNo.2〜4、7〜10、12〜15、17〜20において、第1領域310と第2領域320との境界は、露出面に沿った面である。また、サンプルNo.2〜4、7〜10、12〜15、17〜20において、第1領域310と第2領域320との境界Bは、マニホールド200の上面232よりも下方に位置する。
以上より、本実施の形態の第1接合材300は、第1接合材300における露出面301からの距離Lに対する、第1領域310における露出面301からの距離Lの比(L1/L)が0.00050以上0.10以下である。したがって、この第1接合材300を備える本実施の形態のセルスタック装置1は、高い変形性と、高い強度とを両立できるので、クラックを抑制できる。よって、本発明のセルスタック装置は、クラックに起因したガスリークを抑制できる。
また、サンプルNo.2〜4、7〜9、12〜14、17〜19は、第1領域310を、露出面301からの距離を50μm未満に制御したので、第1接合材300におけるクラックをより抑制できた。
また、本発明者は、第1領域310の応力緩和と第2領域320の強度とを両立することによりクラックを抑制する第1接合材300を実現するために、鋭意検討した結果、第2領域320の気孔率に対する第1領域310の気孔率の比(第1領域310の気孔率の比/第2領域320の気孔率)を制御することを見出し、下記の表2の知見を得た。
Figure 0006483319
表2は、図6に示すように、第1接合材300の露出面301が挿入孔231の側面から燃料電池セル100に向けて上方に傾斜するように形成されたセルスタック装置に関する。40個の燃料電池セルがマニホールドに固定されている。第1接合材は、結晶化ガラスである。なお、サンプルNo.23〜41のL1/Lは0.0048〜0.00052であった。セルスタック装置において燃料電池セル100の幅方向(z軸方向)に沿った断面において、第1接合材300の気孔率を測定する。第1領域310及び第2領域320の気孔率は、上記の表2に記載の通りである。サンプルNo.23〜41のセルスタック装置のガスリーク量及びクラック有無について、サンプルNo.1〜22と同様の熱サイクル試験で評価した。
表2に示すように、第2領域320の気孔率に対する第1領域310の気孔率の比が1.25以上200以下であるサンプルNo.23〜26、28〜40のセルスタック装置は、ガスリークが生じなかった。
第2領域320の気孔率に対する第1領域310の気孔率の比が1.25未満であるサンプルNo.41は、変形性が小さいため、クラックが多く生じ、内部空間に導入されたアルゴンガスが外部空間へと漏れ出した。また、第2領域320の気孔率に対する第1領域310の気孔率の比が200を超えるサンプルNo.27は、強度低下によりクラックが多く生じ、内部空間に導入されたアルゴンガスが外部空間へと漏れ出した。
また、表2に示すように、第1領域の気孔率が5%以上であり、第2領域320の気孔率が4%以下のサンプルNo.24〜26、28〜39は、この範囲外のサンプルNo.23及び40に比べて、クラック発生を抑制できる。このため、第1領域の変形性を高めるとともに、第2領域の強度を高めることによる効果をより発現できる。
なお、サンプルNo.23〜26、28〜40において、第1領域310と第2領域320との境界は、露出面301に沿った面である。また、サンプルNo.23〜26、28〜40において、第1領域310と第2領域320との境界Bは、マニホールド200の上面232よりも下方に位置する。
以上より、本実施の形態の第1接合材300は、第2領域320の気孔率に対する第1領域310の気孔率の比1.25以上200以下である。したがって、この第1接合材300を備える本実施の形態のセルスタック装置1は、高い変形性と、高い強度とを両立できるので、クラックを抑制できる。よって、本発明のセルスタック装置は、クラックに起因したガスリークを抑制できる。
さらに、本発明者は、上記サンプルNo.4のセルスタック装置において、第1領域310の気孔径による効果について、下記の表3の知見を得た。なお、サンプルNo.42〜47のセルスタック装置のガスリーク量及びクラック有無について、サンプルNo.4と同様の熱サイクル試験で評価した。
Figure 0006483319
表3に示すように、第1領域310の気孔径が0.1μm以上20μm以下のサンプルNo.4、43〜46は、この範囲外のサンプルNo.42及び47に比べて、クラック発生を抑制できる。このため、第1領域310の変形性を高めることによる効果をより発現できる。
なお、サンプルNo.42及び47のセルスタック装置においては、L1/Lが0.00050以上0.10以下であるので、微小なクラックは発生したものの、ガスリークは生じなかった。
また、本発明者は、第1領域310の応力緩和と第2領域320の強度とを両立することによりクラックを抑制する第1接合材を実現するために、鋭意検討した結果、第1接合材300の露出面301と境界Bを制御することを見出し、下記の知見を得た。
第1接合材300の露出面301がマニホールドの上面232の延びる方向と交差する方向に延び、かつ境界Bが上面232と平行な面のサンプルNo.48を準備した。サンプルNo.48のL1/Lは、0.00049であり、第2領域の気孔率に対する第1領域の気孔率の比は、1.24であった。
このサンプルNo.48のセルスタック装置のガスリーク量及びクラック有無について、サンプルNo.1〜22と同様の熱サイクル試験で評価した。その結果、サンプルNo.48は、マニホールド200の内部空間に露出する露出面301からクラックが発生する。その結果、マニホールドの内部と外部とを繋ぐクラックが発生し、内部空間に導入されたアルゴンガスが外部空間へと漏れ出してしまった。
図6に示すように、第1接合材300の露出面301がマニホールドの上面232の延びる方向と交差する方向に延び、かつ境界Bが露出面301に沿った面であるサンプルNo.2〜4、7〜10、12〜15、17〜20、23〜26、28〜40は、第1領域310の高い変形性と、第2領域320の高い強度とをバランスよく両立できるので、クラックを抑制できる。よって、本発明のセルスタック装置は、クラックに起因したガスリークを抑制できる。
また、本発明者は、第1領域310の応力緩和と第2領域320の強度とを両立することによりクラックを抑制する第1接合材を実現するために、鋭意検討した結果、マニホールドの上面232に対する境界Bの位置を制御することを見出し、下記の知見を得た。
第1領域310と第2領域320との境界Bがマニホールドの上面232よりも上方に位置するサンプルNo.49を準備した。サンプルNo.49のL1/Lは、0.00049であり、第2領域の気孔率に対する第1領域の気孔率の比は、1.24であった。
このサンプルNo.49のセルスタック装置のガスリーク量及びクラック有無について、サンプルNo.1〜22と同様の熱サイクル試験で評価した。その結果、サンプルNo.49は、マニホールド200の内部空間に露出する露出面301からクラックが発生する。その結果、マニホールドの内部と外部とを繋ぐクラックが発生し、内部空間に導入されたアルゴンガスが外部空間へと漏れ出してしまった。
図6に示すように、第1領域310と第2領域320との境界Bがマニホールド200の上面232よりも下方に位置するサンプルNo.2〜4、7〜10、12〜15、17〜20、23〜26、28〜40は、第1領域310の高い変形性と、第2領域320の高い強度とをバランスよく両立できるので、クラックを抑制できる。よって、本発明のセルスタック装置は、クラックに起因したガスリークを抑制できる。
変形例1
上記実施形態のセルスタック装置は、支持基板110の1つの主面上に複数の発電素子部120が配置された横縞型を例に挙げて説明したが、本発明のセルスタック装置は、支持基板の1つの主面上に1つの発電素子が配置される縦縞型であってもよい。また、本実施の形態のセルスタック装置1は、円筒平板型の支持基板110を備えているが、本発明のセルスタック装置は、円筒型の支持基板を備えていてもよい。
変形例2
上記実施形態では、マニホールド200に形成された1つの挿入孔231に1つの燃料電池セルの下端部が挿入されているが、本発明では、1つの挿入孔に複数の燃料電池セルが挿入されていてもよい。
変形例3
上記実施形態のマニホールド200は、側壁220の上面が開口し、その上面を上壁230が塞いでいる構造であるが、本発明のマニホールドは、これに限定されない。例えば、側壁及び上壁が一体であって、側壁の下面が開口し、その下面を底壁が塞いでいる構造であってもよい。
変形例4
上記実施形態のマニホールド200は、側壁220が底壁210から略垂直に上方に延びているが、本発明のマニホールドは、これに限定されない。例えば、側壁220は、上方に向かって外方に広がるように傾斜していてもよく、下方に向かって外方に広がるように傾斜していてもよい。
1 セルスタック装置
100 燃料電池セル
200 マニホールド
300 第1接合材
301 露出面
302 外表面
310 第1領域
320 第2領域
B 境界
L,L1 距離

Claims (8)

  1. 燃料電池セルと、
    前記燃料電池セルを支持するマニホールドと、
    前記燃料電池セルと前記マニホールドとを接合する接合材と、
    を備え、
    前記接合材は、
    前記マニホールドの内部空間に露出する露出面を有する第1領域と、
    前記第1領域よりも外部側に位置する第2領域と、
    からなり、
    前記第1領域の気孔率は、前記第2領域の気孔率よりも大きく、
    前記第2領域の気孔率に対する前記第1領域の気孔率の比は、1.25以上200以下である、
    セルスタック装置。
  2. 燃料電池セルと、
    前記燃料電池セルを支持するマニホールドと、
    前記燃料電池セルと前記マニホールドとを接合する接合材と、
    を備え、
    前記接合材は、
    前記マニホールドの内部空間に露出する露出面を有する第1領域と、
    前記第1領域よりも外部側に位置する第2領域と、
    からなり、
    前記第1領域の気孔率は、前記第2領域の気孔率よりも大きく、
    前記接合材における前記露出面からの距離に対する、前記第1領域における前記露出面からの距離の比は、0.00050以上0.10以下である、
    セルスタック装置。
  3. 上下方向に延びる燃料電池セルと、
    前記燃料電池セルの下端部を支持するマニホールドと、
    前記燃料電池セルと前記マニホールドとを接合する接合材と、
    を備え、
    前記接合材は、
    前記マニホールドの内部空間に露出する露出面を有する第1領域と、
    前記第1領域よりも外部側に位置する第2領域と、
    からなり、
    前記第1領域の気孔率は、前記第2領域の気孔率よりも大きく、
    前記露出面は、前記マニホールドの上面の延びる方向と交差する方向に延び、かつ前記第1領域と前記第2領域との境界は、前記露出面に沿った面である、
    セルスタック装置。
  4. 上下方向に延びる燃料電池セルと、
    前記燃料電池セルの下端部を支持するマニホールドと、
    前記燃料電池セルと前記マニホールドとを接合する接合材と、
    を備え、
    前記接合材は、
    前記マニホールドの内部空間に露出する露出面を有する第1領域と、
    前記第1領域よりも外部側に位置する第2領域と、
    からなり、
    前記第1領域の気孔率は、前記第2領域の気孔率よりも大きく、
    前記第1領域と前記第2領域との境界は、前記マニホールドの上面よりも下方に位置している、
    セルスタック装置。
  5. 前記第1領域は、前記露出面からの距離が50μm未満である、
    請求項1から4のいずれかに記載のセルスタック装置。
  6. 前記第1領域の気孔率は、5%以上であり、
    前記第2領域の気孔率は、4%以下である、
    請求項1から5のいずれか1項に記載のセルスタック装置。
  7. 前記第1領域の気孔率は、25%以下であり、
    前記第2領域の気孔率は、0.1%以上である、
    請求項6に記載のセルスタック装置。
  8. 前記第1領域の気孔径は、0.1μm以上20μm以下である、
    請求項1から7のいずれか1項に記載のセルスタック装置。
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