JP6604154B2 - クランプ装置 - Google Patents

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本発明は、クランプ装置に関し、例えば、ワークに対して加工を施す時に、ワークをクランプするクランプ装置に関する。
機械加工方法であって、被加工ワークをワークテーブル上で治具によりクランプした際に生じる加工部位の変位を加工前に検出し、この変位量を用いてNCプログラムの加工部位の座標値データを補正して加工を実施する技術が特許文献1に開示されている。
特許文献1では、変位量を、ワークテーブル上に被加工ワークを置いた時の加工部位の座標値(X、Y、Z)と、ワークテーブル上で被加工ワークをクランプした時の加工部位の座標値(X、Y、Z)とを用いて算出している。
特開平4−372331号公報
しかしながら、特許文献1では、ワークが変形した状態で加工を行っているため、加工前にNCプログラムをワークの変位量を用いて補正しても、ワークの変形量に対して補正が対応できない場合は加工精度が悪化することになる。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、ワーク全体に対するクランプ力を維持しつつ、クランプ時のワークの変形量を極力抑えられて加工精度を向上させることができるクランプ装置を提供する。
本発明の一態様に係るクランプ装置は、ワークをクランプするクランプ部を複数有するクランプ装置であって、前記ワークの加工基準部の形状情報を計測する計測部と、計測された前記加工基準部の前記形状情報を反映した前記ワークの前記形状情報と、予め記憶された前記ワークの特性情報と、予め記憶されたクランプ情報と、に基づいて、前記ワークの加工部の変形量を算出する変形量算出部と、前記クランプ部のクランプ力の合計が所定値以上であり、かつ、前記変形量が最小になるように前記クランプ部の前記クランプ力を算出するクランプ力算出部と、を有する。このような構成とすることにより、ワーク全体に対するクランプ力を維持しつつ、クランプ時のワークの変形量を極力抑えられて加工精度を向上させることができる。
本発明により、ワーク全体に対するクランプ力を維持しつつ、クランプ時のワークの変形量を極力抑えられて加工精度を向上させることができるクランプ装置を提供する。
実施形態1に係るクランプ装置を例示した図である。 実施形態1に係るクランプ装置の動作を例示したフローチャート図である。 実施形態1に係るクランプ装置において、基準受け治具に載置したワークを例示した図である。 (a)は、図3のA−A線における断面図であり、(b)は、実施形態1に係るクランプ装置において、基準受け治具に載置したワークをクランプした状態を例示した図であり、(c)は、単純支持ばりにおける変形を例示した図である。 実施形態2に係るクランプ装置を例示した図である。 実施形態3に係るクランプ装置を例示した図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
(実施形態1)
実施形態1に係るクランプ装置を説明する。まず、クランプ装置の構成を説明する。
図1は、実施形態1に係るクランプ装置を例示した図である。図1に示すように、クランプ装置1は、計測部10と、変形量算出部20と、クランプ力算出部30と、複数のクランプ部60を有している。計測部10は、例えば、加工機40に設けられている。変形量算出部20、クランプ力算出部30及び複数のクランプ部60は、加工機41に設けられている。加工機41は、加工機40を用いた加工工程の次の加工工程で用いる加工機である。
計測部10は、ワーク運搬装置70によって支持されたワーク50の形状を計測する。計測部10は、例えば、非接触の三次元形状測定器である。計測部10は、ワーク50に対してレーザを照射する。そして、ワーク50に対する照射光と、ワーク50からの反射光との位相差より、非接触でワーク50の形状を計測する。また、計測部10は、ワーク50の加工基準部51の形状情報を計測する。加工基準部51は、ワーク50を加工する際の加工基準となる部分である。加工基準部51の形状情報には、加工基準部51の形状の他、加工基準の寸法及び幾何公差、加工基準部51の形状と加工基準の寸法及び幾何公差とのズレ等を含んでいる。計測部10は、変形量算出部20と、例えば信号線11を介して接続されている。計測部10は、計測された加工基準部51の形状情報を反映したワーク50の形状情報を変形量算出部20に対して出力する。
変形量算出部20は、計測部10が出力したワーク50の形状情報を受信する。変形量算出部20は、計測された加工基準部51の形状情報を反映したワーク50の形状情報と、予め記憶されたワーク50の特性情報と、予め記憶されたクランプ情報と、に基づいて、ワーク50の加工部の変形量を算出する。予め記憶されたワーク50の特性情報とは、例えば、ヤング率、ポアソン比等のワーク50の機械的特性を含んでいる。また、予め記憶されたクランプ情報とは、例えば、クランプ力、クランプする位置等の情報を含んでいる。ワーク50の特性情報及びクランプ情報は、予め、例えば、記憶装置(図示せず)に記憶されている。
クランプ力算出部30は、変形量算出部20と、例えば、信号線21を介して接続されている。クランプ力算出部30は、クランプ力を算出する。クランプ力算出部30は、クランプ部60のクランプ力の合計が所定値以上であり、かつ、変形量が最小になるようにクランプ部60のクランプ力を算出する。所定値とは、例えば、ワーク50を加工する際の切削力である。例えば、クランプ力の合計が、加工中の切削力に耐えられる力以上にする。
クランプ部60は、ワーク50をクランプする。クランプ部60は、加工機41内に複数個、配置されている。
加工機40及び加工機41は、ワーク50に対して所定の加工を行う。加工機41には、基準受け治具52が設けられている。基準受け治具52及び複数のクランプ部60により、ワーク50をクランプする。ワーク運搬装置70は、ワーク50を加工機40から加工機41に運搬する。
次に、クランプ装置1の動作について説明する。
図2は、実施形態1に係るクランプ装置の動作を例示したフローチャート図である。図1及び図2のステップ1に示すように、計測部10は、ワーク50の加工基準部51の形状情報を計測する。計測部10は、加工機40内における加工が終了したとき、加工機40内において、ワーク50の加工基準部51の形状情報を計測する。例えば、計測部10は、ワーク50に対するレーザ照射により、非接触でワーク50の形状を計測する。計測部10は、ワークの形状情報に、計測された加工基準部51の形状情報を反映させる。計測部10は、ワーク50の形状情報を変形量算出部20に対して出力する。
次に、図2のステップ2に示すように、変形量算出部20は、ワーク50の加工部の変形量を算出する。図3は、実施形態1に係るクランプ装置において、基準受け治具に載置したワークを例示した図であり、図4(a)は、図3のA−A線における断面図であり、(b)は、実施形態1に係るクランプ装置において、基準受け治具に載置したワークをクランプした状態を例示した図であり、(c)は、単純支持ばりにおける変形を例示した図である。
図3及び図4(a)に示すように、例えば、ワーク50としてプラネタリキャリア53を基準受け治具52に載置する。プラネタリキャリア53は、変速機のプラネタリギアを構成する部品である。プラネタリキャリア53は、半径が異なる円筒状の部品が中心軸を一致させて積み重ねた形状となっている。
図3、図4(a)及び(b)の説明の便宜上、プラネタリキャリア53を基準受け治具52に載置した状態において、XYZ直交座標系を導入する。プラネタリキャリア53の円筒の中心軸方向をZ軸方向とする。Z軸方向のうち、一方、例えば上方を+Z軸方向、その反対方向の下方を−Z軸方向とする。Z軸方向に直交する面内における一方向をX軸方向とする。X軸方向のうち、一方を+X軸方向、その反対方向を−X軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に直交する方向をY軸方向とする。+Z軸方向から+X軸方向にネジを回転させたときにネジが進む方向を+Y軸方向、その反対方向を−Y軸方向とする。
図3、図4(a)及び(b)に示すように、プラネタリキャリア53は、例えば、上方から円筒55、円筒56及び円筒57が積み重なって形成されている。円筒56は、円筒55及び円筒57よりも半径が大きくなっている。円筒56は、円筒56と円筒57とを連結する円板状の延在部56aを有している。延在部56aの下面が加工基準部51、すなわち、加工する際の加工基準となっている。基準受け治具52上には、延在部56aが配置されている。円筒55の側壁は厚くなっており、上方から見て円筒55の端面、すなわち、プラネタリキャリア53の上面53aは円環状になっている。
プラネタリキャリア53をクランプする際には、上面53aに配置するクランプ部(図示せず)と、加工基準部51に接する基準受け治具52との間でクランプする。クランプ位置は、例えば、上面53aにおける円環に沿って等間隔に配置された位置61、位置62、位置63及び位置64の4か所である。プラネタリキャリア53の加工部は、例えば、円筒55の上面から下面まで貫通する貫通孔及び円筒55の上面である。加工部となる貫通孔及び上面を、加工孔71及び加工面54という。基準受け治具52にワーク50を載置した場合に、計測部10で計測した加工基準部51における加工基準からのずれがあると、図4(a)に示すように、加工基準部51と基準受け治具52との間に隙間72が発生する。これにより、計測部10で計測されたズレと実際のズレとを確認することができる。
各位置61〜64をクランプ部によってクランプすると、図4(b)に示すように、ワーク50が変形する。変形量算出部20は、計測された加工基準部51の形状情報を反映したワーク50の形状情報と、予め記憶されたワーク50の特性情報と、予め記憶されたクランプ情報と、に基づいて、ワーク50の加工部(加工面54及び加工孔71)の変形量を算出する。
ここで、ワーク50の形状を、例えば、単純支持ばり73に例えて、ワーク50の加工部の変形量を算出する方法を説明する。図4(c)に示すように、単純支持ばり73の形状をしたワーク50が、基準受け治具52に載置されて、位置61にクランプ部60によりクランプされる場合を説明する。この場合に、位置61の近傍における加工面54の変形量δAsは、以下の式を用いて算出する。
Figure 0006604154
ここで、Fは、クランプ力を示し、ワーク50を実際にクランプするときに用いる力である。Eはヤング率であり、材料特有の値である。48は、単純支持ばりの場合に特有な係数である。長さLは、基準受け治具52間の距離である。断面2次モーメントIは、以下の式から導かれる。
Figure 0006604154
ここで、幅bは、ワーク50の幅である。高さhは、基準受け治具52の上面からクランプ部60が接触する面までの高さである。このように、変形量算出部20は、ワーク50の形状情報(長さL、幅b、高さh)、ワークの特性情報(ヤング率E)及びクランプ情報(クランプする位置、係数48、クランプ力F)に基づいて、上記(1)式及び(2)式を用いてワーク50の加工面54の変形量δAsを算出する。
図3に示すように、クランプする位置が位置61〜64の4か所の場合には、各クランプする位置におけるクランプ力F1〜F4による変形量δAs1〜δAs4を足し合わせたものが変形量δAsとなる。
また、加工孔71における変形量δAhも同様に、クランプ力F1〜F4による変形量δAh1〜δAh4を足し合わせたものとなる。このようにして、変形量算出部20は、ワーク50の加工部の変形量を算出する。なお、変形量δAh及び変形量δAsは、クランプ力F1〜F4に従属するものとなっている。
次に、図2のステップS3に示すように、クランプ力算出部30は、変形量δAh及び変形量δAs(δAh+δAs)が、最小になるように各クランプ部のクランプ力F1〜F4を算出する。クランプ力算出部は、例えば、有限要素法等のシミュレーションを用いて、変形量(δAh+δAs)が最小になるように各クランプ部60のクランプ力F1〜F4を算出する。このとき、クランプ部60のクランプ力の合計が所定値以上になるようにする。
所定値は、加工中の切断力に耐えられる力である。加工中の切削力は加工部位等によって異なっている。加工中の切断力以上を満足させながら、変形量(δAh+δAs)を最小にするようなクランプ力F1〜F4を算出する。なお、本実施形態では、加工面54及び加工孔71の加工としているが、これに限らない。1個所や複数個所の加工を行う場合には、それらの和が最小になるようにクランプ力を算出する。また、クランプ部が4つとは限らない。5か所以上または3か所以下の時は、各クランプ部60に対するクランプ力Fを算出する。
次に、図2のステップS4に示すように、求めたクランプ力Fにより、ワーク50をクランプする。このとき、加工孔71及び加工面54の変形量は最小となっている。
次に、図2のステップS5に示すように、実際に加工する。例えば、プラネタリキャリア53の円筒55の加工面54を切削する。または、プラネタリキャリア53の円筒55の上面から下面まで貫通する加工孔71を形成する。加工部の加工終了後、クランプをはずし、次の加工工程に進む。
本実施形態のクランプ装置1によれば、クランプ力Fの合計が所定値以上であり、かつ、加工部の変形量が最小になるようにクランプ部60のクランプ力Fを算出している。このため、ワーク50全体に対するクランプ力Fを維持しつつ、クランプ時のワーク50の変形量を極力抑えられて加工精度を向上させることができる。
特許文献1では、クランプした際に生じる加工部の変位を加工前に検出し、この変位量を用いてNCプログラムの加工部の座標値データを補正し、ワークの加工を実施している。しかしながら、クランプ力Fを変形量が最小になるようにしていない。したがって、中空形状等の変形しやすいワークを、大きなクランプ力を用いてクランプした場合には、変形量が大きくなる。よって、変形量に占めるバラツキが大きくなり、ワークの変形量に対して補正が対応できない。これにより、加工精度が悪化する。
本実施形態のクランプ装置1によれば、中空形状などの変形しやすいワーク50をクランプしたときに発生するワーク50の変形量を算出し、変形量が最小になるクランプ力でクランプしている。これにより、変形量のバラツキを抑制し、高精度な加工を実現している。また、ワーク50の加工基準の寸法・幾何公差からのズレも取り込んで変形量を算出している。よって、加工精度を向上させることができる。
(実施形態2)
次に、実施形態2を説明する。本実施形態は、計測部10が加工機41の外部に設けられた実施形態である。
図5は、実施形態2に係るクランプ装置を例示した図である。図5に示すように、本実施形態では、ワーク50は、ワーク運搬装置74、例えば、ベルトコンベアのようなスライド移動する台の上に載置されて加工機41に搬送される。本実施形態の計測器10は、ワーク運搬装置74の近傍に設けられている。その他の構成は実施形態1と同様である。
本実施形態によれば、ワーク50搬送中に計測することができるので、計測のためにワーク50の加工を中断する必要がない。これにより、加工に要する時間を短縮することができる。その他の効果は、実施形態1と同様である。
(実施形態3)
次に、実施形態3を説明する。本実施形態は、計測部10が加工機41の内部に設けられた実施形態である。
図6は、実施形態3に係るクランプ装置を例示した図である。図6に示すように、本実施形態では、計測部10は、加工機41の内部に設けられている。その他の構成は、実施形態1と同様である。
本実施形態によれば、加工機41内でワーク50の形状情報を計測することができる。よって、クランプ装置3をコンパクトにすることができる。その他の効果は、実施形態1と同様である。
以上、本発明にかかるクランプ装置の実施の形態を説明したが、上記の構成に限らず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、変更することが可能である。
例えば、本実施形態では、加工部を加工面と加工孔としたが、これに限らない。加工を施す部位であれば、ワークのどの部位を加工部としてもよい。また、ワークの特性情報としてヤング率及びポアソン比と例示したが、これに限らない。ワークの特性情報として、ワークの温度、ワークの材質等、ワークの特性を示す任意の情報を用いてもよい。
1、2、3 クランプ装置
10 計測部
11、21 信号線
20 変形量算出部
30 クランプ力算出部
40、41 加工機
50 ワーク
51 加工基準部
52 基準受け治具
53 プラネタリキャリア
54 加工面
55、56、57 円筒
56a 延在部
60 クランプ部
61、62、63、64 位置
70、74 ワーク運搬装置
71 加工孔
72 隙間
73 単純支持ばり

Claims (1)

  1. ワークをクランプするクランプ部を複数有するクランプ装置であって、
    前記ワークの加工基準部の形状情報である第1形状情報を計測する計測部と、
    計測された前記加工基準部の前記第1形状情報を反映した前記ワークの形状情報である第2形状情報と、
    予め記憶された前記ワークの特性情報と、
    予め記憶されたクランプ情報と、に基づいて、前記ワークの加工部の変形量を算出する変形量算出部と、
    前記クランプ部のクランプ力の合計が所定値以上であり、かつ、前記変形量が最小になるように前記クランプ部の前記クランプ力を算出するクランプ算出部と、
    を備えたクランプ装置。
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