JP5491918B2 - ワーク固定治具 - Google Patents
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Description
従来、作業者は、ワークを作業用テーブル等に固定するワーク固定治具の締結具(ボルト等)を締め付ける工具(トルクレンチ等)によって締結トルクを調節し、この締結トルクを拘束力に換算してワークを固定している。
図1に示すように、図示しないNC工作機等の工作機で加工される被加工物(ワーク2)は、ワーク固定治具1で作業用テーブル(ワークテーブル3)に固定され、当該ワークテーブル3を工作機に取り付けることによって、ワーク2が工作機に固定される。
また、ワークテーブル3には、複数の高さ調節部材30が取り付け可能である。
ワークテーブル3にワーク2を固定する作業者は、ワーク2の形状に合わせて、ワークテーブル3の好適な位置、例えば、ワークテーブル3に載置されるワーク2の周囲となる位置に複数のワーク固定治具1を取り付け、さらに、適宜、複数の高さ調節部材30を取り付けてワーク2の高さを調節し、複雑な形状のワーク2を、任意の位置、高さ、傾斜(ワークテーブル3に対する傾斜)で固定する。
なお、ワーク2が高さ調節部材30に載置される場合、ワーク2は、ワーク固定治具1によって、高さ調節部材30を介してワークテーブル3に押し付けられることになる。
作業者は、ワークテーブル3にワーク2を固定するとき、締結具13をトルクレンチ等の工具で締め付け、腕部12でワーク2をワークテーブル3に押し付ける。
ワーク2がワークテーブル3に載置された状態で締結具13が脚部10に締め付けられると、ワーク2と支持部11で締結具13の両側が支持される腕部12が微小に撓み、その撓みで発生する荷重でワーク2をワークテーブル3に押し付けるように構成される。
クランプ部14は、クランプ取付ネジ12aに締結固定されるクランプ本体15と、クランプ本体15からワーク2に向かって延びる棒状部材のクランプピン16を含んで構成され、クランプピン16の先端部にクランプヘッド16aを有する。
このようにワーク固定治具1は構成され、図2の(a)に示すようにクランプ部14がワーク2とクランプ取付ネジ12aの間に配設される。
この構成によって、クランプピン16は、複雑な形状のワーク2を確実にワークテーブル3に押し付けることができる。
そして、本実施形態に係るクランプ本体15には、例えばインジケータ17aを有する荷重算出部17が備わっている。
なお、クランプ本体15の形状は四角柱形状に限定されるものではなく、円柱形状、多角柱形状などであってもよい。
このとき、クランプヘッド16aからワーク2に印加される荷重を拘束力と称する。そして、荷重算出部17は、クランプヘッド16aからワーク2に印加される拘束力を算出する。
また、クランプ取付ネジ12aはクランプヘッド16aをワーク2に押し付ける荷重をクランプ部14に印加する荷重入力部として機能する。
そして、荷重算出部17は、外部端末装置18から非接触に電力を供給されて動作する。
このように荷重算出部17は、外部端末装置18から非接触に電力を供給される。
荷重算出部17を駆動する電力が外部端末装置18から非接触に供給される構成によって、例えば、外部電源との電気接点をクランプ本体15に設ける必要がなくなり、電気接点の腐食などの不具合の発生を抑えることができる。
換言すると、クランプ本体15に高い耐環境性を付与することができる。
なお、荷重算出部17の電源部は、無線によって電源供給される形態に限定されず、外部端末装置18などの外部電源から有線で電源が供給される形態であってもよいし、図示しない電池を内部に備える形態であってもよい。
その位置は限定するものではないが、例えば、図3の(b)に示すように、中実の四角柱形状を呈するクランプ本体15に、クランプ取付ネジ12aとクランプピン16を結ぶ線に直交する方向に貫通する貫通孔15aを形成し、貫通孔15aの対向する2つの側面(内面)にそれぞれひずみ計17bが取り付けられる構成が好適である。
したがって、ひずみ計17bが圧縮ひずみを検出するときの分解能を高めることができ、ひいては、ひずみ計17bによる圧縮ひずみの検出精度を向上できる。
例えば、クランプ本体15の圧縮ひずみを検出している一方のひずみ計17bの検出値が他方のひずみ計17bの検出値と大きく異なる場合、クランプ本体15が、検出値の大きなほう(すなわち、強く圧縮されているほう)に大きく撓んでいることを、荷重算出部17の計測制御部17dが判定できる。
したがって、クランプ本体15の圧縮ひずみに基づいて拘束力を算出する計測制御部17dは、例えば、2つのひずみ計17bの検出値の平均値をひずみ計17bの検出値とするなど、クランプ本体15の撓みの影響を好適に排除して拘束力を算出できる。
計測制御部17dは、ひずみ計17bが出力する電気信号(ひずみの検出値)と、メモリ17eに記憶される補正データ17e2と、に基づいて、クランプ本体15に発生している圧縮ひずみを算出する。
例えば、計測制御部17dは、クランプ本体15のヤング率とひずみの関係からクランプ本体15に発生している応力を算出可能であり、さらに算出した応力に基づいて、クランプ本体15に加わっている圧縮荷重を算出可能である。
そして、クランプ本体15に加わっている圧縮荷重がワーク2から入力されていることを考えると、その圧縮荷重に相当する反力がワーク2を固定する拘束力といえる。
そこで、本実施形態に係る計測制御部17dは、クランプ本体15の圧縮ひずみに基づいて算出する圧縮荷重を、ワーク2を固定する拘束力とする。
まず、補正データ17e2を説明する。
例えば、クランプ本体15の寸法誤差やひずみ計17bの検出誤差等によって、クランプ本体15に同じ圧縮荷重が印加された場合であっても、ひずみ計17bが圧縮ひずみを検出するときの検出値に誤差が生じる。
このように、検出値に誤差が生じると、ひずみ計17bの検出値に基づいて計測制御部17dが算出する拘束力に誤差が生じる。
つまり、計測制御部17dが算出する拘束力の精度が低下する。
例えば、予め設定される、基準となる複数の拘束力の値(拘束力の基準値)を、クランプ部14(図2の(a)参照)がワーク2(図2の(a)参照)に印加するときの、ひずみ計17bの検出値(電気信号の電圧)を実験等によって取得する。
そして、拘束力の基準値とひずみ計17bの検出値(電気信号の電圧)の関係をマップ形式で示した補正データ17e2をメモリ17eに記憶しておく。
したがって、クランプ部14ごとに固有の補正データ17e2が設定され、荷重算出部17(図2の(b)参照)は、自身が備わるクランプ部14の補正データ17e2をメモリ17eに記憶しておく構成が好適である。
なお、このような補正データ17e2は、例えばクランプ部14の製造時に、実験計測等で容易に求められる。
例えば、ひずみ計17bから入力されるひずみの検出値(電気信号の電圧)が図3の(c)の補正データ17e2に示す検出値V1とV2の間の値の場合、計測制御部17dは、比例配分等によって拘束力の基準値P1とP2の間の拘束力を算出する。
このように、補正データ17e2を利用して拘束力を算出することによって、ひずみの検出値の誤差を好適に吸収できる。
荷重算出部17は、クランプピン16(図2の(a)参照)がワーク2(図2の(a)参照)をワークテーブル3(図2の(a)参照)に固定するときの拘束力を、クランプ本体15(図2の(a)参照)に発生する圧縮ひずみに基づいて算出する。
この拘束力は、クランプピン16からワーク2に入力される外力であることから、拘束力がワーク2の耐力以上であるとワーク2が塑性変形する。
また、拘束力が弱いと図示しない工作機の作業によってワークテーブル3とワーク2の固定が解除され、ワーク2に対する工作機の加工作業に支障が生じる。
そして、ワーク2(図1参照)をワークテーブル3(図1参照)に固定する作業者は、ワーク2の素材や形状に応じて最適な拘束力を決定するとともに、最適な拘束力が固有拘束力として設定されているワーク固定治具1を選択して使用する。
そして、荷重算出部17の計測制御部17dは、前記したように算出する拘束力とID番号17e1に基づいてインジケータ17aを制御する。
そして、算出した拘束力が固有拘束力より大きい場合、等しい場合、小さい場合に場合分けしてインジケータ17aを制御する。
このように、本実施形態に係る計測制御部17dは算出した拘束力とワーク固定治具1に設定される固有拘束力との大小関係を判定する。
このように、計測制御部17dは、算出した拘束力と固有拘束力の大小関係の判定結果をインジケータ17aを介して表示する。
一方、下降指示部17aD(図3の(a)参照)が発光しているとき、当該作業者は締結具13を緩めて、クランプピン16がワーク2を固定する拘束力を低くする。
そして、最適指示部17aC(図3の(a)参照)が発光した状態で、当該作業者は締結具13の締め付け作業を止める。
つまり、作業者は、インジケータ17aの最適指示部17aCが発光するように締結具13の締め付け作業をすることで、ワーク2をワーク固定治具1(図1参照)の固有拘束力で、容易にワークテーブル3に固定できる。
この場合、計測制御部17dは、算出した拘束力が固有拘束力の範囲内にあるときは最適指示部17aCを発光させ、算出した拘束力が固有拘束力の上限より大きいときは下降指示部17aDを発光させ、算出した拘束力が固有拘束力の下限より小さいときは上昇指示部17aUを発光させる。
この場合、計測制御部17dは、例えば、算出した拘束力が固有拘束力と等しい場合は図示しないLEDを緑色で発光させ、算出した拘束力が固有拘束力より大きいときは図示しないLEDを赤色で発光させ、算出した拘束力が固有拘束力より小さいときは図示しないLEDをオレンジ色で発光させるように構成されればよい。
つまり、算出した拘束力が固有拘束力と等しい場合と、算出した拘束力が固有拘束力より大きい場合と、算出した拘束力が固有拘束力より小さい場合と、を識別可能であれば、状態表示手段の形態は限定されない。
インジケータ17aと、回路基板17PWBと、が取り付けられたパネル部材17PNLが、2つのひずみ計17bが取り付けられている貫通孔15aを塞ぐようにクランプ本体15に取り付けられる。
なお、回路基板17PWBには、ひずみ計17bが接続されるコネクタ17CN、受電部17f、荷重算出部17の機能を実現するためのワンチップマイコンやメモリなどの電子部品(図示せず)が実装されていることが好適である。そして、受電部17fは、外部端末装置18(図3の(a)参照)から送信される起動電波を受信しやすいように、例えば、クランプ本体15の背面(パネル部材17PNLが固定される面と対向する面)の側に備わることが好ましい。
また、パネル部材17PNLは、ネジなどの締結部材SCでクランプ本体15に固定される。
このように、2つのひずみ計17bおよび回路基板17PWBが外部環境から遮断されると、図示しない工作機がワーク2(図2の(a)参照)を加工する作業中に発生する、潤滑油、冷却水、各種気体、切削屑等から2つのひずみ計17bおよび回路基板17PWBを保護することができ、高い耐環境性を備えたクランプ部14を構成できる。
例えば、ワークテーブル3(図1参照)にワーク2(図1参照)を固定する作業者が、図3の(a)に示す外部端末装置18の電力供給部18aを荷重算出部17の受電部17fに近接させて外部端末装置18に備わる図示しないスイッチをONすると、電力供給部18aから受電部17fに向けて起動電波を発振する構成とすれば、作業者は、ワーク2をワークテーブル3に固定するときに荷重算出部17を起動できる。
そして、計測制御部17dは、ひずみ計17bからアンプ17cを介して入力される電気信号(ひずみの検出値)に基づいて拘束力を算出し、算出した拘束力に基づいてインジケータ17aを制御する。
本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更が可能である。
例えば、図6の(a)に示すように、荷重算出部17に、外部端末装置18に向けてデータを無線送信可能な本体側送受信部17gを備え、外部端末装置18に、本体側送受信部17gが送信するデータを受信する端末側送受信部18dを備える構成としてもよい。
なお、図6の(a)において、図3の(a)に示す構成要素と同じ要素には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
そして、外部端末装置18に、端末制御部18cと表示部18eを備え、端末側送受信部18dが受信したデータを端末制御部18cがデータ処理し、表示部18eに拘束力を数値として表示するように構成してもよい。この構成の場合、外部端末装置18の表示部18eは、例えば液晶表示装置などを備えて数値を表示可能であることが好適である。
また、本体側送受信部17gは、外部端末装置18にデータを送信しやすい位置に備わることが好ましく、例えば、受電部17fと同様に、クランプ本体15(図4参照)の背面(パネル部材17PNL(図4参照)が固定される面と対向する面)の側に配置されることが好適である。
外部端末装置18の端末制御部18cが、荷重算出部17の本体側送受信部17gから送信される当該データに基づいて外部端末装置18のインジケータを制御し、荷重算出部17の計測制御部17dが算出した拘束力と固有拘束力の大小関係を外部端末装置18に備わるインジケータで表示する構成とすれば、ワークテーブル3(図1参照)にワーク2(図1参照)を固定する作業者は、外部端末装置18のインジケータを確認しながら、締結具13(図1参照)を締め付けることができる。
また、図6の(b)に示すように、外部端末装置18の端末側送受信部18dから荷重算出部17の本体側送受信部17gにデータ送信可能な構成としてもよい。
なお、図6の(b)において、図6の(a)に示す構成要素と同じ要素には同じ符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
荷重算出部17の本体側送受信部17gは、受信したデータ(固有拘束力とID番号17e1)を計測制御部17dに入力し、計測制御部17dは入力されたデータに基づいて、メモリ17eに記憶される固有拘束力とID番号17e1を更新する。
すなわち、メモリ17eに記憶される固有拘束力とID番号17e1を、外部端末装置18から送信された固有拘束力とID番号17e1で更新する。
2 ワーク
3 ワークテーブル(テーブル)
10 脚部
12 腕部
12a クランプ取付ネジ(荷重入力部)
14 クランプ部
17 荷重算出部
17a インジケータ(状態表示手段)
17b ひずみ計(ひずみ検出手段)
17d 計測制御部(制御手段)
17e1 ID番号(識別データ)
17e2 補正データ
17f 受電部(電源部)
18 外部端末装置
Claims (4)
- テーブルに載置されるワークと荷重入力部の間に配設され、前記荷重入力部から印加される入力荷重で前記ワークを前記テーブルに押し付けて固定するクランプ部と、
前記クランプ部から前記ワークに印加される拘束力を算出する荷重算出部と、を備えるワーク固定治具であって、
前記荷重算出部は、
前記クランプ部が前記ワークを前記テーブルに押し付けているときに当該クランプ部に発生する圧縮ひずみを検出するひずみ検出手段と、
前記ひずみ検出手段が検出する前記圧縮ひずみの検出値に基づいて前記拘束力を算出する制御手段と、を含んで構成され、
前記ワークに応じて決定される最適な前記拘束力として前記クランプ部に設定される固有拘束力を識別するための識別データを有し、
前記固有拘束力は前記クランプ部の固有値として設定され、
前記制御手段は、前記クランプ部に設定される前記固有拘束力を、前記識別データに基づいて取得するとともに、前記ひずみ検出手段が前記圧縮ひずみを検出するときの検出値に基づいて補正データを利用して前記拘束力を算出し、
さらに、前記識別データに基づいて取得した前記固有拘束力と前記圧縮ひずみの検出値に基づいて算出した前記拘束力の大小関係を判定し、
前記補正データは、基準値として前記クランプ部に設定される前記拘束力の値と、前記基準値となる前記拘束力を前記テーブルに載置された前記ワークに印加したときに前記ひずみ検出手段が前記圧縮ひずみを検出した検出値との関係を示し、
前記制御手段は、前記拘束力を算出する際に前記補正データを利用することによって、前記ひずみ検出手段が前記圧縮ひずみを検出した検出値の誤差を補正することを特徴とするワーク固定治具。 - 前記制御手段は、前記大小関係の判定結果を、前記荷重算出部に備わる状態表示手段を介して表示することを特徴とする請求項1に記載のワーク固定治具。
- 前記荷重算出部は、
外部端末装置から送信される電磁波を受信して電磁誘導によって起電力を発生する電源部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワーク固定治具。 - 前記クランプ部は、
前記テーブルに起立する脚部から前記ワークの上方に伸延する腕部に備わる前記荷重入力部と前記ワークの間に備わり、
前記腕部が前記脚部に締結されたときに前記腕部が撓んで発生する荷重が、前記荷重入力部から前記入力荷重として印加されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワーク固定治具。
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