JP5660328B2 - 穿孔方法 - Google Patents

穿孔方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5660328B2
JP5660328B2 JP2011282477A JP2011282477A JP5660328B2 JP 5660328 B2 JP5660328 B2 JP 5660328B2 JP 2011282477 A JP2011282477 A JP 2011282477A JP 2011282477 A JP2011282477 A JP 2011282477A JP 5660328 B2 JP5660328 B2 JP 5660328B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wall surface
hole
displacement
workpiece
hole wall
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011282477A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013132692A (ja
Inventor
貴士 山口
貴士 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2011282477A priority Critical patent/JP5660328B2/ja
Publication of JP2013132692A publication Critical patent/JP2013132692A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5660328B2 publication Critical patent/JP5660328B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Drilling And Boring (AREA)
  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

本発明は、穿孔方法に関するものである。
従来から、ワークに孔加工を施すための加工方法として、切削刃を有する回転工具を用いる手法が広く用いられている。そして、特に、深孔を加工する必要がある場合には、ガンドリル加工方法が採用されている。ガンドリル加工方法は、図8(a)に例示されるように、ワークWに形成される孔10の、直径に対する長さの比が、例えば1:40程度の深孔加工をも可能とするものである。又、これに用いられる回転工具であるガンドリル12は、直径に対する長さの比が、加工すべき孔10の直径対長さ比以上のものとなる。従って、孔10の加工中におけるガンドリル12の変形を可能な限り抑え、孔10の位置度を高めるため、図8(b)に示されるように、ガンドリル12の先端部にはガイドパット12aが設けられている。
このガイドパット12aは、切削刃12bの刃先位置に対して、ガンドリル12の回転方向に所定の角度だけ位相がずれた位置に、孔10の穿孔中、ガンドリル12によってワークWに既に形成された孔10の(円筒状の)壁面10aに摺接する態様で、設けられている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平05−253722号公報 特開2005−288669号公報
ところで、一般に、製品の製造手順は、図1(b)に示されるように、設計(S10)、製品形状決定(S20)、設備製作・調整(S30)、試加工(S40)、精度OK(の確認)(S50)、生産開始(S60)の、各工程を踏むことが多い。しかしながら、上述のように、ガンドリル12を用いて孔10を穿孔を行なう製品を製造する場合、実際には、一回の試加工(S40)の後に精度OK(S50)となることは稀であり、試加工(S40)の後に、設備製作・調整(S30)へと戻る作業を繰り返し、精度OK(S50)へと到達することとなる。
しかも、試加工(S40)において、ワークWに対し実際に孔10を穿孔した後、孔10の位置度を測定する際に、孔10の位置度測定に用いられる三次元測定器のプローブが、孔奥まで到達しないような深孔の場合には、ワークWを破壊検査する必要がある。よって、試加工(S40)と設備製作・調整(S30)とを繰り返す、いわゆるトライ&エラーに要する負担は、極めて大きなものとなる。
ところで、本発明者らは、鋭意研究の結果、ガンドリル加工方法におけるトライ&エラーを繰り返す中で、孔の位置度を低下させる要因を把握するに至った。すなわち、穿孔中は、図8(b)に示されるように、孔10の壁面10aに対して、ガンドリル12のガイドパット12aから荷重Fが付与され、ワークWの孔10を施す部位に薄肉部等、剛性が局所的に異なる部位が存在すると、孔壁面10aは薄肉方向へと変位(変形)してしまう。このような孔壁面10aの変位を受けて、矢印Aで示されるように、切削刃12bは薄肉方向へと逃げるようにして穿孔を進め、結果として、孔10は図8(a)に矢印で示されるようにワークWの薄肉方向へと曲がり、孔10の位置度が損われるものである。
本発明は、上記の如き事情に鑑みてなさたものであり、その目的とするところは、深孔加工を行なう際の孔の位置度を、短時間で所望の精度に高め、試加工と設備製作・調整とを繰り返すトライ&エラーを、不要とすることにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)切削刃を有する回転工具を用いてワークに穿孔を行なう穿孔方法であって、前記回転工具による穿孔中、その回転工具から、前記ワークに既に形成された孔壁面に付与される荷重を受けて生じる、孔壁面の変位の量を予測する工程と、該予測された孔壁面の変位の量に基づき、前記ワークに対して前記孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施す工程と、該対策を施したワークに対し、前記回転工具を用いて穿孔を行なう工程とを含む穿孔方法(請求項1)。
本項に記載の穿孔方法は、切削刃を有する回転工具を用いてワークに対し実際に穿孔を行なう前段階で、回転工具による穿孔中その回転工具から、ワークに既に形成された孔壁面に付与される荷重を受けて生じる、孔壁面の変位の量を予測する。そして、予測された孔壁面の変位の量に基づき、ワークに対して孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施すものである。すなわち、予測される孔壁面の変位の量に基づく孔加工の曲がり修正対策を、製品設計段階、又は、加工条件設定段階で盛り込むものである。そして、対策を施したワークに対し、実際に回転工具を用いて穿孔を行なうことで、試加工及び設備製作・調整を繰り返すことなく、孔の所望の位置度を確保するものである。
(2)上記(1)項において、前記回転工具として、ガイドパットを備える回転工具を用い、前記孔壁面の変位の量を予測する工程において、前記ガイドパットが前記孔壁面に当接する位置と、前記切削刃の刃先が前記孔壁面に当接する位置とに対応する、前記孔壁面に生じる変位の量を予測する穿孔方法(請求項2)。
本項に記載の穿孔方法は、孔壁面の変位の量を予測する際に、ガイドパットが孔壁面に当接する(孔の円周方向の)位置と、切削刃の刃先が孔壁面に当接する(孔の円周方向の)位置とに対応する、孔壁面に生じる変位の量を予測し、各変位量に基づき、ワークに対して孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施すものである。
(3)上記(2)項の、前記孔壁面の変位の量を予測する工程において、前記ガイドパットが前記孔壁面に当接して孔壁面に生じる変位に起因する、前記孔壁面の前記切削刃が当接する位置での変位を考慮して、前記孔の曲がり傾向を求め、前記孔壁面の予測された変位の量に基づき、前記ワークに対して前記変位を打ち消すための対策を施す工程において、求められた前記孔の曲がり傾向を解消するための、所定の対策を施す穿孔方法(請求項3)。
本項に記載の穿孔方法は、孔壁面の変位の量を予測する際に、ガイドパットが孔壁面に当接して孔壁面に生じる変位に起因する、孔壁面の切削刃が当接する位置での影響を考慮した上で、孔の曲がり傾向(孔の曲がり方向及び曲がり量、位置度)を求めるものである。そして、孔壁面の予測された変位の量に基づき求められた、孔の曲がり傾向を解消するための、所定の対策を施すものである。
(4)上記(1)から(3)項の、前記ワークに対して前記孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施す工程において、前記ワークの形状変更を行なう穿孔方法。(請求項4)。
本項に記載の穿孔方法は、ワークに対して前記孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施す際に、製品設計にフィードバックを行なうものである。例えば、ワークの孔を穿孔する部位に、薄肉部等剛性の異なる部位が存在することで、孔の曲がりが生じている場合には、孔を穿孔する部位の剛性バランスを取るように、ワークの肉圧調整を行なうものである。具体的には、薄肉部に剛性バランスを取るための肉盛を行い、又は、薄肉部に対し剛性バランス上の対象位置にある部分の肉を薄くする、等の設計変更を行なうものである。そして、この設計変更を、予測した孔壁面の変位の量に基づき行なうものである。
(5)上記(1)から(4)項の、前記ワークに対して前記孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施す工程において、前記ワークに対し、前記孔壁面の変位を抑えるための荷重を付与する穿孔方法(請求項5)。
本項に記載の穿孔方法は、ワークに対して孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施す際に、ワークに対し、孔壁面の変位を抑えるための荷重を付与するものである。例えば、ワークの孔を穿孔する部位に、薄肉部等剛性の異なる部位が存在することで、孔の曲がりが生じている場合には、ワークの外壁から薄肉部に荷重を加え、薄肉部の変形を抑え込んで、孔の壁面に変形が生じないようにするものである。そして、この荷重を付与する位置や大きさの決定を、予測した孔壁面の変位の量に基づき行なうものである。
(6)上記(1)から(5)項の、前記ワークに対して前記孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施す工程において、前記ワークに対する前記回転工具の軸方向の角度が、前記孔壁面の変位を打ち消す方向となるように、前記回転工具に対する前記ワークの保持角度を設定する穿孔方法(請求項6)。
本項に記載の穿孔方法は、ワークに対して孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施す際に、ワークに対する回転工具の軸方向の角度が、孔壁面の変位を打ち消す方向となるように、回転工具に対するワークの保持角度を設定するものである。例えば、ワークの孔を穿孔する部位に、薄肉部等剛性の異なる部位が存在することで、孔の曲がりが生じている場合には、ワークの保持治具を調整し、薄肉部の変形が生じない方向に穿孔が進むように、回転工具とワークとの角度を定めて、ワークを保持するものである。そして、この角度の決定を、予測した孔壁面の変位の量に基づき行なうものである。
本発明はこのように構成したので、深孔加工を行なう際の孔の位置度を、短時間で所望の精度に高め、試加工と設備製作・調整とを繰り返すトライ&エラーを不要とすることが可能となる。
(a)は、本発明の実施の形態に係る穿孔方法を示すフロー図であり、(b)は比較例として、従来の穿孔方法に係るフロー図である。 本発明の実施の形態に係る穿孔方法において、回転工具のガイドパットが孔壁面に当接する位置と、回転工具の切削刃の刃先が前記孔壁面に当接する位置とに対応する、孔壁面に生じる変位の量を予測する手法を示す説明図であり、(a)は孔壁面の変形を模式的に示す断面図、(b)は、孔壁面に生じる変位の量を予測する際に、孔の軸方向と直交する面に設定する座標軸を示す説明図である。 図2(b)の座標により定められる各位置に対し荷重を付与した際の、孔壁面の変形の量を示す図表である。 本発明の実施の形態に係る穿孔方法において、簡易モデルを用いて孔の曲がり傾向を予測した結果を検証したものであり、(a)は簡易モデルの概観図、(b)は孔の曲がり方向の検証図、(c)は孔の曲がり量の検証図である。 本発明の実施の形態に係る穿孔方法を適用するワークの一例としての、シリンダヘッドを示す平面図である。 図5のシリンダヘッドにおける、孔の曲がり傾向を検証した図である。 本発明の実施の形態に係る穿孔方法において、シリンダヘッドの断面図と共に、ワークに対し孔壁面の変位を抑えるための荷重を付与するクランプを、模式的に示したものである。 従来の穿孔方法を説明するものであり、(a)はシリンダヘッドの断面図、(b)は、その穿孔方法に用いられるガンドリルの先端部と共に、シリンダヘッドに形成された孔を断面図示したものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて説明する。本説明において、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、同一符号を付して、詳しい説明を省略する。又、適宜、従来技術に係る図8も参照されたい。
本発明の実施の形態に係る穿孔方法は、ワークWに対して、ガンドリル12を用いて孔10の穿孔を行なうものであり、図1(a)に示されるように、設計(S10)、製品形状決定(S20)、設備製作・調整(S30)、試加工(S40)、精度OK(の確認)(S50)、生産開始(S60)の各工程が含まれる。しかも、一回の試加工(S40)で、精度OK(S50)とすることを可能とするものである。以下に、その具体的手法について説明する。
本発明の実施の形態では、設計(S10)のステップには、予測された孔10壁面10aの変位の量に基づき、ワークW対して孔10の壁面10aに生じる変位を打ち消すための、適切な対策を施す工程が含まれるものである。
又、製品形状決定(S20)のステップには、ガンドリル12による孔19の穿孔中、そのガンドリル12から、ワークWに既に形成された孔10の壁面10aに付与される荷重F(図8(b)参照)を受けて生じる、孔10の壁面10aの変位の量を予測する工程が含まれるものである。
そして、孔10の壁面10aの変位の量を予測する工程(S20)では、図2(a)に示されるように、ガイドパット12aが孔10の壁面10aに当接する(孔の円周方向の)位置と、切削刃12aの刃先が孔10の壁面10aに当接する(孔の円周方向の)位置とに対応する、孔10の壁面に生じる変位の量を予測するものである。
更に、孔10の壁面10aの変位の量を予測する工程(S20)において、ガイドパット12aが孔10の壁面10aに当接することによって孔10の壁面10aに生じる変位に起因する、切削刃12bが当接する位置での壁面10aの変位を考慮して、孔10の曲がり傾向を求めるものである。
具体的には、図2(a)に示されるように、ガイドパット12aが孔10の壁面10a当接し、壁面10aに荷重が加わることで、壁面10aは、図中点線で示されるように、ガイドパット12aが当接する位置では拡径方向(ベクトルA)へと変形する。そして、ガイドパット12aが当接する位置での変形を受けて、切削刃12bが当接する位置では縮径方向(ベクトルB)へと変形が生ずることとなる。このような壁面10aの変形の影響を考慮して、孔10の曲がり傾向を求めるものである。
なお、以下の説明では、ガンドリル12のガイドパット12aと、切削刃12bとの位置関係は、ガンドリル12の中心軸を基準として、円周方向に90°の位相差がある場合を例示しているが、ガンドリル12のガイドパット12aと切削刃12bとの位相差は、90°に限定されるものではない。
さて、孔10の壁面10aに生じる変位の量を予測する手順は、まず、図2(b)に示されるように、孔10の軸方向と直交するY−Z面における、壁面10aの断面に、等間隔(45°ピッチ)に複数箇所の点(No.1〜8)を規定する。ここで規定する点の数は、演算精度と演算時間とを考慮して、適宜決定されるものである。そして、各点に対して半径方向の荷重を掛けたときの、各点のR成分(半径方向)の変位の量を算出する。このときの算出方法としては、有限要素法に沿った解析方法を用いることが可能である。具体的には、必要なデータ読込み、剛性マトリックス作成、固定条件の処理、荷重ベクトル算定、連立一次方程式を解く、要素内のひずみを計算、要素内の応力を計算、結果の出力の手順となる。
図3の上の図表には、上記手法により算出された、各点に対し荷重を付与することによる壁面10aの各点の変位の量が、例示されている。図3の上の図表において、孔10の拡径方向の変形はプラス値で、孔10の縮径方向の変形はマイナス値で、各々示されている。例えば、図2(b)のNo.1方向にガイドパット12aが位置して、壁面10aのNo.1方向に荷重が付与されたとき、No.1〜3、8の位置では拡径方向に変形し、No.4〜7の位置では縮径方向に変形している。
ここで、ガンドリル12のガイドパット12aと、切削刃12bとの位置関係が、ガンドリル12の中心軸を基準として、円周方向に90°の位相差があることを考慮する。すなわち、図2(b)のNo.1方向にガイドパット12aが位置するとき、No.1の位置における変位の量と、切削刃12bが当接する位置に対応するNo.3の位置における変位の量とを比較する。
具体的には、図3の左下の図表に示されるように、壁面10aのNo.1、3の位置における、壁面10aの変位の量を、図2(b)に示されるように、Y方向及びZ方向の成分に分解する。そして、各YZ成分を加算して得られた値(図3左下の図表の最下段の値)が、図2(a)に示される、ガイドパット12aの位置(壁面10aのNo.1)における変形ベクトルAの変位量の、YZ成分として得られる。又、刃先12bの位置(壁面10aのNo.3)における変形ベクトルBの変位量も、YZ成分として得られる。
更に、変形ベクトルAの変位量のYZ成分から、変形ベクトルBの変位量のYZ成分を引くことで、図3の右下の図表の如く、壁面10aのNo.1方向に荷重が付与されたときの、孔10の軸変位量(設計上の孔10の軸中心位置に対する変位量)が、切削刃12bの位置における変位量も考慮した上で、YZ成分(図示の例では、Y成分:0.073、Z成分:0.215)として求められる。上記手順に沿って、図2(b)のNo.2〜8方向にガイドパット12aが位置するときの、孔10の軸変位量を求めることで、壁面10aの変位の量を予測するものである。
さて、図4には、本発明の実施の形態に係る手法により得られる、ガンドリル12による穿孔中、ガンドリル12からワークWに既に形成された孔10の壁面10aに付与される荷重を受けて生じる、壁面10aの変位の量の予測値を、実加工において生じる変位の量と比較した例を示している。又、ここでは、孔10の曲がり方向及び曲がり量、すなわち孔10の曲がり傾向を比較している。
そして、本例では、孔10の壁面10aに生じる変位の量を予測するための仮想のワークWとして、図4(a)に示される簡易モデルを用い、実加工用のワークWも同形状の実体品に孔10の加工を行い、破壊検査を実施するものである。このワークWは、金属ブロックの一面に平行な溝を形成して、溝に挟まれる部分に孔10を形成するものである。孔10の直径は、ガンドリル12の直径として、本例では8(mm)であり、孔10の左右両側の肉厚は3(mm)となっている。そして、孔10の上方の肉厚T(mm)を変更して、孔110の壁面10aの変位の量を比較した。その結果、図4(b)に示されるように、孔10の曲がり方向は、実加工と予測とが実質的に問題の無い範囲に収まり、一致しているとの判断が可能となった。又、図4(c)に示されるように、孔10の曲がり量も、肉厚Tの変化に関わらず、実加工と予測とが実質的に問題の無い範囲に収まり、一致していると判断可能な結果となった。
更に、図5に示されるように、ワークWとしてシリンダヘッドを対象とした場合についても、同様の検証を行った。この場合のワークWは、図4(a)の簡易モデルよりも複雑な形状を有しているが、演算精度と演算時間との兼ね合いから、図示の例ではガイドパット12aの長さが35(mm)であることを考慮して、有限要素法に沿った剛性解析を行なう断面位置を、孔の延びる方向に沿って35(mm)ピッチに設定した。
図6には、異なる形式のエンジンのシリンダヘッドにおいて、EXマニホールド側及びINマニホールド側の、孔10の位置度(φ1.4)について、予測及び実加工の値を比較した結果が示されている。そして、いずれの形式のシリンダヘッドについても、図4の例と同様に、予測及び実加工に係る孔10の曲がり傾向が、一致していると判断可能な結果が得られた。
そして、本発明の実施の形態では、図1(a)に示される、製品形状決定(S20)すなわち孔10の壁面の変位の量を予測する工程から、設計(S10)すなわちワークWに対して変位を打ち消すための所定の対策を施す工程へと戻り、ワークの形状変更を行なうものである。
例えば、孔10を穿孔する部位の剛性バランスを取るように、ワークWの肉圧調整を行なうものである。より具体的には、薄肉部に剛性バランスを取るための肉盛を行い、又は、薄肉部に対し剛性バランス上の対象位置にある部分の肉を薄くする、等の設計変更を行なうものである。又、例えば、製品形状決定(S20)を行う演算手段(CAE等)と、設計(S10)を行う演算手段(CAD等)とを、適切な通信手段によりデータリンクさせることで、ワークWに対して孔10の壁面10aに生じる変位を打ち消すための形状変更を、製品設計に直ちにフィードバックさせることも可能である。
又、孔10の壁面の変位の量を予測する工程(S20)の後、設計変更に代えて、設備製作・調整工程(S30)において、ワークWに対し、孔10の壁面10aの変位を抑えるための荷重を付与することとしても良い。
この場合には、図7に示されるように、ワークWの外壁から薄肉部に対しクランプ14によって荷重を加え、薄肉部の変形を抑え込み、孔10の壁面10aに変形が生じないようにするものである。又、例えば、製品形状決定(S20)を行う演算手段(CAE等)と、設備製作・調整(S30)に係る、自動クランプを有するワーク保持具とを、適切な通信手段によりデータリンクさせることで、ワークWに対して孔10の壁面10aに生じる変位を打ち消すための荷重付与を、直ちにフィードバックさせることも可能である。
更には、孔10の壁面の変位の量を予測する工程(S20)の後、設備製作・調整工程(S30)において、ワークWの保持治具を調整して、ワークWに対するガンドリル12の軸方向の角度が、孔10の壁面10aの変位を打ち消す方向となるように、ガンドリル12に対するワークWの保持角度を設定することとしても良い。この場合には、ワークWの保持治具を調整し、薄肉部の変形が生じない方向に穿孔が進むように、ガンドリル12とワークWとの角度を定めて、ワークを保持するものである。又、例えば、製品形状決定(S20)を行う演算手段(CAE等)と、設備製作・調整(S30)に係る、自動角度調整手段を有するワーク保持具とを、適切な通信手段によりデータリンクさせることで、ワークWに対して孔10の壁面10aに生じる変位を打ち消すための角度調整を、直ちにフィードバックさせることも可能である。
更に、各ワークWに対して変位を打ち消すための、上記所定の対策は、適宜併用することも可能である。
さて、上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
本発明の実施の形態に係る穿孔方法は、図1(a)に示される試加工(S40)、すなわち、切削刃12bを有するガンドリル12を用いて、ワークWに対し実際に穿孔を行なう工程の前段階である、製品形状決定(S20)の段階で、ガンドリル12による穿孔中、そのガンドリル12から、ワークWに既に形成された孔10の壁面10aに付与される荷重Fを受けて生じる、孔10の壁面10aの変位の量を予測するものである。そして、予測された孔10の壁面10aの変位の量に基づき、ワークWに対して孔10の壁面10aに生じる変位を打ち消すための、所定の対策(S10、S30)を施すものである。すなわち、予測される孔10の壁面10aの変位の量に基づく孔加工の曲がり修正対策を、製品設計段階(S10)、又は、加工条件設定段階(S30)で盛り込むものである。そして、対策を施したワークWに対し、実際にガンドリル12を用いて穿孔を行なうことで(S40〜)、従来(図1(b)参照)の如く、試加工(S40)及び設備製作・調整(S30)を繰り返すことなく、孔10の所望の位置度を確保することが可能となる。
よって、試加工(S40)と設備製作・調整(S30)とを繰り返すトライ&エラーの工数がとなり、深孔加工を行なう際の孔10の位置度を、短時間で所望の精度に高めることが可能となる。
又、本発明の実施の形態に係る穿孔方法は、孔10の壁面10aの変位の量を予測する際に(S20)、図2(a)に示されるように、ガイドパット12aが孔10の壁面10aに当接する位置と、切削刃12bの刃先が孔壁面10aに当接する位置とに対応する、孔10の壁面10aに生じる変位の量を予測し、各変位量に基づき、ワークWに対して孔10の壁面10aに生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施すものである。
又、孔10の壁面10aの変位の量を予測する際に(S20)、ガイドパット12aが孔10の壁面10aに当接して壁面10aに生じる変位に起因する、切削刃12bが当接する位置での変位を考慮した上で(図3)、孔10の曲がり傾向を求めるものである。そして、孔10の壁面10aの予測された変位の量に基づき求められた、孔10の曲がり傾向を解消するための、所定の対策を施すことで(S10、S30)、孔10の壁面10aに生じる変位を打ち消すものである。
又、本発明の実施の形態に係る穿孔方法は、ワークWに対して孔10の壁面10aの変位を打ち消すための、所定の対策を施す際に、製品設計にフィードバックしてワークWの形状変更を行なうものである(S10)。そして、この設計変更を、予測した孔壁面の変位の量(S20)に基づき行なうことで、試加工(S40)と設備製作・調整(S30)とを繰り返す工数が不要となり、深孔加工を行なう際の孔10の位置度を、短時間で所望の精度に高めることが可能となる。
又、本発明の実施の形態に係る穿孔方法では、ワークWに対して変位を打ち消すための、所定の対策を施す際に、ワークWに対し、孔10の壁面10aの変位を抑えるための荷重を付与することとしても良い(S30)。そして、この荷重を付与する位置や大きさの決定を、予測した孔10の壁面10aの変位の量(S20)に基づき行なうことで、試加工(S40)と設備製作・調整(S30)とを繰り返す工数が不要となり、深孔加工を行なう際の孔10の位置度を、短時間で所望の精度に高めることが可能となる。
更に、本発明の実施の形態に係る穿孔方法は、ワークWに対して孔10の壁面10aの変位を打ち消すための、所定の対策を施す際に、ワークWに対するガンドリル12の軸方向の角度が、孔10の壁面10aの変位を打ち消す方向となるように、ガンドリル12に対するワークWの保持角度を設定することとしても良い(S30)。そして、この角度の決定を、予測した孔10の壁面10aの変位の量(S20)に基づき行なうことで、試加工(S40)と設備製作・調整(S30)とを繰り返す工数が不要となり、深孔加工を行なう際の孔10の位置度を、短時間で所望の精度に高めることが可能となる。
10:孔、10a:壁面、12:ガンドリル、12a:ガイドパット、12b:切削刃、14:クランプ、W:ワーク

Claims (6)

  1. 切削刃を有する回転工具を用いてワークに穿孔を行う穿孔方法であって、
    前記回転工具による穿孔中、その回転工具から、前記ワークに既に形成された孔壁面に付与される荷重を受けて生じる、孔壁面の変位の量を予測する工程と、
    該予測された孔壁面の変位の量に基づき、前記ワークに対して前記孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施す工程と、
    該対策を施したワークに対し、前記回転工具を用いて穿孔を行う工程とを含むことを特徴とする穿孔方法。
  2. 前記回転工具として、ガイドパットを備える回転工具を用い、前記孔壁面の変位の量を予測する工程において、前記ガイドパットが前記孔壁面に当接する位置と、前記切削刃の刃先が前記孔壁面に当接する位置とに対応する、前記孔壁面に生じる変位の量を予測することを特徴とする請求項1記載の穿孔方法。
  3. 前記孔壁面の変位の量を予測する工程において、前記ガイドパットが前記孔壁面に当接して孔壁面に生じる変位に起因する、前記孔壁面の前記切削刃が当接する位置での変位を考慮して、前記孔の曲がり傾向を求め、
    前記孔壁面の予測された変位の量に基づき、前記ワークに対して前記孔壁面に生じる変位を打ち消すための対策を施す工程において、求められた前記孔の曲がり傾向を解消するための、所定の対策を施すことを特徴とする請求項2記載の穿孔方法。
  4. 前記ワークに対して前記孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施す工程において、前記ワークの形状変更を行うことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の穿孔方法。
  5. 前記ワークに対して前記孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施す工程において、前記ワークに対し、前記孔壁面の変位を抑えるための荷重を付与することを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の穿孔方法。
  6. 前記ワークに対して前記孔壁面に生じる変位を打ち消すための、所定の対策を施す工程において、前記ワークに対する前記回転工具の軸方向の角度が、前記孔壁面の変位を打ち消す方向となるように、前記回転工具に対する前記ワークの保持角度を設定することを特徴とする請求項1から5の何れか1項記載の穿孔方法。
JP2011282477A 2011-12-23 2011-12-23 穿孔方法 Expired - Fee Related JP5660328B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011282477A JP5660328B2 (ja) 2011-12-23 2011-12-23 穿孔方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011282477A JP5660328B2 (ja) 2011-12-23 2011-12-23 穿孔方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013132692A JP2013132692A (ja) 2013-07-08
JP5660328B2 true JP5660328B2 (ja) 2015-01-28

Family

ID=48909761

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011282477A Expired - Fee Related JP5660328B2 (ja) 2011-12-23 2011-12-23 穿孔方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5660328B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111745177A (zh) 2019-03-29 2020-10-09 日本碍子株式会社 圆柱状工件的开孔装置及其开孔方法、圆柱状产品的制造方法以及圆柱状工件的检查方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2543409B2 (ja) * 1989-06-24 1996-10-16 九州東芝機械株式会社 深穴加工における曲がり制御方法
JPH05253722A (ja) * 1992-03-04 1993-10-05 Aisan Ind Co Ltd ガンドリル
JP2762842B2 (ja) * 1992-05-18 1998-06-04 日産自動車株式会社 薄肉シリンダブロックのシリンダボア加工方法および装置
JPH06210505A (ja) * 1993-01-14 1994-08-02 Honda Motor Co Ltd 軸穴加工方法
DE4430331A1 (de) * 1994-08-28 1996-02-29 Schwaebische Huettenwerke Gmbh Verfahren und Vorrichtung zur Beeinflussung des Verlaufs von Tieflochbohrungen
JP3597705B2 (ja) * 1998-06-11 2004-12-08 トヨタ自動車株式会社 穴の機械加工方法
JP4460868B2 (ja) * 2003-09-30 2010-05-12 ユニタック株式会社 深孔切削工具
DE102005049461A1 (de) * 2005-10-15 2007-04-19 Daimlerchrysler Ag Metallgussteil mit Tieflochbohrung

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013132692A (ja) 2013-07-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ratchev et al. An advanced FEA based force induced error compensation strategy in milling
KR100986669B1 (ko) 로봇 캘리브레이션 장치 및 그 방법
KR102123173B1 (ko) 공작기계의 열변위 보정 파라메터 자동 변환 장치 및 변환 방법
KR101769952B1 (ko) 삼축응력 해석 방법
JP6570957B2 (ja) 機械構造体の幾何誤差同定方法と当該幾何誤差同定方法を使用した数値制御方法、数値制御装置及びマシニングセンタ
EP2371464A1 (en) Springback occurrence cause analyzing method, springback occurrence cause analyzing device, springback occurrence cause analyzing program, and recording medium
JP5984630B2 (ja) 工作機械のインターフェースシステム
Ferreras-Higuero et al. Robot-process precision modelling for the improvement of productivity in flexible manufacturing cells
US12086734B2 (en) Manufacturing assistance apparatus
JP2018008367A (ja) 振動解析システムおよび加工機
JP5268351B2 (ja) 初期バニシング加工パラメータを決定する方法
Yi et al. Error compensation of thin plate-shape part with prebending method in face milling
JP5272598B2 (ja) 加工装置の治具座標特定方法及びその方法を用いた加工装置
JP6268373B2 (ja) 残留応力測定方法、及び、残留応力測定装置
Llanos et al. On-machine characterization of bulk residual stresses on machining blanks
JP5660328B2 (ja) 穿孔方法
JP2016028227A (ja) 力覚センサを利用して対象物を検査する検査システム
JP2006102843A (ja) 最適加工装置及び最適加工方法
JP7096962B2 (ja) 残留応力の最適測定方法
JP6200274B2 (ja) 加工機におけるパンチの最終デプス検出装置および最終デプス検出方法
JP2015222207A (ja) 構造物の評価方法及び評価装置
KR20140092078A (ko) 머시닝센터 볼스크류의 열변위보정방법
JP4358705B2 (ja) 工作機械の熱変形誤差の補正方法
JP2008030127A (ja) 工作機械の熱変位補正に用いられる熱変位量の演算方法、同熱変位量の演算システム、工作機械の熱変位補正方法、および同熱変位補正システム
Holub et al. Prediction of machining accuracy for vertical lathes

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140117

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20141030

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141118

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5660328

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees